エルミカに幸せを添えて23コメント

1 流星 id:U2ukZGD0

2011-12-18(日) 14:52:24 [削除依頼]
例えばこの屋敷の三階から、あいつが俺に気付いたら。

「僕が叶えてあげようか?」

真っ昼間の時計台の前。
ある意味、運命の出会いだった。
  • 4 美羽 id:yEA9E570

    2011-12-18(日) 15:06:11 [削除依頼]
     流星さん

    初めまして☆
     面白いです。これからも頑張ってください。

    …読者になっても良いですか?
     これからも応援してます。
  • 5 流星 id:U2ukZGD0

    2011-12-18(日) 16:35:31 [削除依頼]
    賑やかな店内、その中で俺とチビは異様な雰囲気を醸し出していた。
    「全く何さ、人のことを強引に…。あ、すいませーん!ココアひとつ!」
    「ふざけんなチビぃ!人の気持ち言い振らしかけやがって!しかも何でのんびりココア頼んでんだよ!」
    「いいじゃん、君だって裕福層だし。てかあんな所で立ってりゃ分かるよ」

    俺の名前は、セリウス=アルバート・シュヴァイツァー。
    このゼィウセル領ロゼトロスの街に屋敷を構える、シュヴァイツァー家の次男坊だ。
    曾祖父が一代で作り上げた巨大な商人連合、それのおかげで今、うちは貴族になった。

    「少なくともお金は持ってるでしょ?」
    「まあ、な…」
    目の前にウェイターがカップを置いた。甘い香りがする。
    チビは両手でカップを持ち、ココアを飲み始めた。
    真正面から見て、やっとチビの顔を伺えた。
    金髪碧眼。男か女かまでは分からないが、幼い顔立ち。
    「そういえば君の名前、セリウスでいいんだっけ?」
    「まあな、てか俺お前に言ったか?」
    「ううん。前から知ってたけど、合ってるか確認しただけ」
    「……、おいチビ」
    するとチビはむっとした顔で、俺を睨み付けた。
    「チビじゃなくて、僕はエルミカだからね?」
  • 6 流星 id:U2ukZGD0

    2011-12-18(日) 16:38:44 [削除依頼]
    美羽さん、初めまして!
    おもしろくなり、ますかね…(^^;)

    読者になっていただけますか、有り難い限りです!
    すごく遅い更新になりますが…。
    気長にお付き合い、よろしくおねがいしますm(_ _)m
  • 7 流星 id:U2ukZGD0

    2011-12-18(日) 16:52:36 [削除依頼]
    「エ、ルミカ?」
    「何だよ、文句ある?」
    チビ、じゃなくてエルミカは、空になったカップを叩き付ける。
    「とにかく君はあれだろ?ゼィウセル嬢と結ばれたいって願ってる」
    「っ何でそれを…」
    「僕はそれを叶えるためにここにいるの、分かった?」
    エルミカの青い眼が、真っ直ぐ俺を見る。
    まるで深海のようだ。吸い込まれる感覚に襲われる。
    「…まぁいいや。僕はもう帰るよ、セリウス。ごちそうさま」
    笑ってイスを降りたエルミカは、黒いポンチョを翻し、喫茶店を出ていった。
    からん、とドアのベルが鳴る。
    俺は、はっと我に帰り、気付いた。
  • 8 流星 id:U2ukZGD0

    2011-12-18(日) 16:54:02 [削除依頼]


    「エルミカぁぁぁ!ココアぐらい、自分の金で飲めぇぇぇぇ!」
  • 9 流星 id:8EZcAUf/

    2011-12-28(水) 00:00:22 [削除依頼]
    空が茜に染まり出す。
    俺はただ一人、また時計台の前で立ち尽くしていた。
    逆光で見えないけれど、あのバルコニーには彼女がいた。

    『好きよ。私、世界でいちばんセルが好き』

    幼い頃の戯言。なのにこの成長しない心は、反応を示してくれた。
    あの日、木から落ちなければさ、お前もここにいたのかな。
    俺は屋敷に背を向けて、自分の家への帰り道に着いた。
    ちょうど四時の鐘が領地全体に、響きわたっていた。

    ゼィウセル嬢の本名は、何故か公にされなかった。
    ただ学友だった互いの親のおかげで、俺はミクに出会った。
    『大きくなったら教えるわ、本当のお名前。今は私のことはミクって呼んで?』
    ミク、それがあいつの愛称だった。
    それから俺とミクは会う度に遊ぶ、最高の仲になっていった。
    ミクの青い瞳がほころぶたびに、俺はミクに惹かれていた。

    そして俺とミクが13の時、ミクが木から落ちた。

    一生歩けなくなった足。一人で上ろうとした結果だった。
    ミクはそれ以来、屋敷に閉じこもるようになってしまった。
    それでも俺は好きだったんだ、ミクのことが、誰よりも。

    夕暮れに染まる街、ゼトロス。
    俺は静かに歩いていた。
  • 10 ソラ id:TumUs8i1

    2011-12-28(水) 00:10:58 [削除依頼]
    面白い…!!!
    あ、どーも☆
    ソラって言います♪

    すごい、何か大人っぽい感じの小説!!
    ソラにはマネできないや^^;
    頑張ってね!!
  • 11 流星 id:cvx.G6m0

    2011-12-28(水) 23:58:37 [削除依頼]
    ソラさん、初めまして!

    日本じゃない話を
    初めて書いている身としては
    嬉しいの言葉に尽きます(*^^*)

    また見に来ていただけたら嬉しいですm(_ _)m
  • 12 流星 id:TbAO389/

    2011-12-30(金) 21:54:39 [削除依頼]
    次の日の朝、いつもの様に窓を開ける。
    すがすがしい空気と同時に、黒ポンチョが俺の顔に激突した。
    「反射神経皆無〜!おはよ、セリウス」
    「〜っ!何でお前は朝から、人様の家に飛び込んで来る!」
    いつの間にかチ、じゃなくてエルミカは、俺のベッドの上にいた。
    「いやね?君とは親密な関係にありたいって、何となく?」
    「何となくで来るな!」
    相変わらずエルミカは、憎まれ口を叩いてくる。
    気にくわないとは思うのだが、何故か嫌ではなかった。

    そして今俺とエルミカは、ゼトロスで一番大きな商店街、ニーフェラ通りに来ていた。
    「いい、セリウス?ゼィウセル嬢の好みをよーく考えて買ってくるんだよ?」
    「…おい、お前は行かないのか?」
    「僕は君のプレゼントを、彼女に届けるだけさ。そら!行ってきなよ!」
    そう言ってエルミカは、俺の体を人混みへと押した。
    「…行ってらっしゃい!」
    遠くに白いエルミカの手のひらが見えて、ひらひらとしている。
    俺は少し笑って手を振り返し、背を向けて歩き出した。


    エルミカは一人、空を見上げていた。
    碧眼に映る空。ため息が一つこぼれた。
    「……セル」
  • 13 流星 id:otFxloE0

    2012-01-18(水) 09:13:19 [削除依頼]
    「おい!エルミカ!…って」
    先ほどまでそこにいた筈の、エルミカの姿がない。
    何もチビの癖に動き回るから、どこか近くにいるだろう。

    俺は紙袋を抱え、いつもの時計台の前に行くと、案の定そこにいた。
    「そら、買ってきたぞ。可愛いヤツ」
    「…ぁあ、さすがだね!ラッピングもされてる!」
    「でもお前、どうやってミクに届けるんだ?」
    しかしその質問は、エルミカの耳には届いていないようだった。
    「ちゃんと渡してくるからね、責任重大っ!」
    大切そうに紙袋を抱え、ニコリと笑ったエルミカは、背中を翻し普通に屋敷に入って行った。
    その時俺は、何も分からなかった。
    もう、彼女の部屋を見つめていたから。

    エルミカの姿が一瞬にして消えたことなんて。
    全く気付いていなかった。
  • 14 流星 id:otFxloE0

    2012-01-18(水) 09:19:31 [削除依頼]
    その日の夜はあの夢を視た。
    ミクが落ちた時のこと。

    そんな時俺の頭に、何故か激痛が走る。
    「ってぇ……、ミク…」
    きっと何かを忘れている。その時に限ってはそう思ってしまう。
    けれど俺は、何も忘れていない。

    そんな夜に限って、どこかから歌が聞こえる。
    いつか、赤子の頃に聞いた歌なのかもしれない。


    思い出せない、俺は何を忘れているんだ?
  • 15 流星 id:otFxloE0

    2012-01-18(水) 09:30:20 [削除依頼]
    「おっっっはよーーーー!!!!!」
    いきなり後頭部の激痛、楽しそうにエルミカが笑っていた。
    右手には何やら、手紙らしきものを持っている。
    「ほらほらゼィウセル嬢から、君へのお返事だよ?」
    「!?」
    俺は着替えるのも忘れ、エルミカから手紙をふんだくる。
    宛先を読んだ瞬間、心臓が高鳴った。

    『親愛なるセルへ、愛を込めて。』

    「…読んであげるよ。貸して」
    エルミカは俺の手から手紙を受け取り、窓際に座って読み始めた。
  • 16 流星 id:otFxloE0

    2012-01-18(水) 09:37:58 [削除依頼]
    すてきなプレゼント、ありがとう。

    きっとセルの事だから、ものすごく悩んだんでしょうね。
    私がウサギの人形が好きだって事、覚えていてくれていたのね。
    すごく嬉しかったわ、今ウサギさんは私の横にいるの。

    でも貴方にはまだ会えないわ、ごめんなさい。
    いつか会える日がきっと来るはずだから、その時まで私を忘れないで。

    私はずっと、貴方だけが好きよ。

    親愛なるセルへ、愛を込めて。
  • 17 流星 id:otFxloE0

    2012-01-18(水) 14:07:19 [削除依頼]
    「……セリウス、良かったね」
    俺は言葉を返すことが出来なかった。
    口から漏れる嗚咽、久しぶりに目が潤された。
    「落ち着いたら、ご飯食べなよ。じゃあね」
    たぶん窓から飛び降りたのだろう、エルミカの姿はそこになかった。

    「鈍感だな、いつまでも」
    東方に咲く花、サクラの木の下で彼女はひとり呟いていた。
    黒いポンチョを脱ぎ捨て、大きく背伸びをする。
    この木もまた、見ないうちに大きくなっていた。
    「…あと少し、か」
    彼女は木の根に腰掛け、黒いブーツを脱ぎ捨てた。


    半透明の足の向こうには、広場の時計台が見えた。
  • 18 流星 id:otFxloE0

    2012-01-18(水) 14:25:16 [削除依頼]
    「……」
    また俺はいつものように、あの窓を見ていた。

    ミク、そこにいるのなら、俺のことを見てくれよ。

    胸を締め付けるこの想いは、幼い頃から少しも変わっていない。
    あの窓のカーテンが揺らめくだけで、何かを期待してしまう。
    そして、今日3回目に聞く鐘の音が響いた。

    「…ウス、セリウスー!」
    離れたところから、俺の名を呼ぶ声で我に返った。
    駆けてきたのは学友であり幼なじみの、カロレノだった。
    「何だよ、カル…。今は長期休みだろ?」
    「いやさ、俺とダルトでこれから隣町のバザールに行くから、一緒にどうかなって!」
    カルとダルトか、ならいいかと思った刹那。

    俺は遠くに男に絡まれているエルミカを見つけた。

    「ごめん、俺パス」
    「へっ?ちょっ、セリウ…」
    カルの言葉が終わらないうちに、俺はもう走り出していた。
  • 19 流星 id:otFxloE0

    2012-01-18(水) 14:43:34 [削除依頼]
    「離せっ…、痛いよ!」
    「何だぁコイツ、女か?男か?」
    「どっちでもいいじゃねぇか、使えれば」
    「離せよっ!離してよっ…!」
    エルミカの細い足が、地面から離れる。
    …あのままだと、危ない!
    「エルミカをっ、放せぇっ!」
    俺はエルミカの腕を掴んでいる男に、蹴りを入れた。
    「っぐ…!」
    「誰だぁお前、何してくれんだよぉ!」
    「っ駄目!セル!」
    もう一人の男が、近くの店から丸太を持ち出してきた。
    俺に降り下ろされた武器を間一髪で避け、そいつにも顔面に一発拳を当てる。
    「ひゃぁっ!」
    奇声を上げながら、丸太の男は道ばたに吹っ飛んだ。
    あっけにとられている男の両手が緩む。
    「こっちだ、エルミカ!」
    拘束が解けたエルミカを受け止め、俺達は人混みに逃げ込んだ。

    どこかで聞こえたような気がした。
    誰かが呼んだ気がしたんだ。

    俺を、セルと。
  • 20 流星 id:otFxloE0

    2012-01-18(水) 14:55:27 [削除依頼]
    「ただ歩いてただけだよ、君のところに行こうとしてさ」

    俺とエルミカは、またあのカフェにいた。
    今日は何も頼んでいない。ウェイターの視線がこっちに向いている。
    「そしたら、いきなりあの人達が近付いてきて、ああなった」
    俺はただ、エルミカの話に耳を傾けていた。
    テーブルの木目を眺めている内に、エルミカの声が止む。
    「…セリウス、ありがとうね」
    そして静かに席を立って、エルミカはカフェを出ていった。
    エルミカが座っていたところに視線を置く。そこは空っぽだった。

    いや、違った。
    そこにはサクラの花びらが、一枚置いてあった。
  • 21 流星 id:YCzSR570

    2012-01-31(火) 19:34:03 [削除依頼]
    「ってかお前強いな、セリウス!この前の見たぜ!」
    そう言って声をかけてきたのは、その日俺をバザールに誘ったカロレノだった。
    長い付き合いの彼とは、たまにこんな風に立ち話したりもする。
    「別に、あれはエルミカを…」
    「へぇっ!あの女の子、エルミカちゃんっていうんだ!」
    「…女の子?」
    少し違和感を覚える。そう言えば俺はあいつの、エルミカの事を何も知らない。
    そもそもあいつは何なんだ、俺の願いを叶える為に来た…。

    其れは一体何なんだ。

    大学が終わって、俺は校舎を出てきた。
    すがすがしい風に吹かれて、サクラの花弁が舞い踊る。
    その時だった。

    「セリウス=アルバート・シュヴァイツァー様で、いらっしゃいますか?」
  • 22 流星 id:YCzSR570

    2012-01-31(火) 20:41:03 [削除依頼]
    俺は今、少し立派なレストランにいる。
    目の前に座るシャープな男性に連れられ、やってきたはいいのだが、どうも落ち着かない。
    「…セリウス様も、何かどうぞ」
    「あ、いえ。…じゃあ、ココアひとつ」
    白髪をオールバックにして眼鏡をかけたこの男性を、俺は見覚えがあった。

    ウェイターに注文を頼み終え、一息吐いたところで男性が口を開いた。
    「セリウス様、余りに突然のお呼出、誠に申し訳ございません」
    「えっいや…、そんな、かっ顔上げてください…」
    「失礼いたしました…、私はボルトレー・クルスと申す者です」
    「えっ、クルスさん?!」
    クルスさんは覚えている。紛れもなく、あの人だ。
    ミクの、ゼィウセル家に仕える執事さん。その人を確か、ミクはクルスさんと呼んでいた。
    「お久しぶりでございます、大きくなられて…」
    「クルスさん、元気そうでよかった…。っそうだ!ミクは元気ですか?」

    その瞬間、クルスさんの表情が陰った。
    何故だか泣きそうな、苦しそうなその顔を見つめるのは、少し怖い。
    「…セリウス様」
    クルスさんが静かに言う。

    「これから私がお話ししますことは、全て真実でございます。お聞き下さいますか?」
  • 23 流星 id:xfx.G9k1

    2012-01-31(火) 21:30:18 [削除依頼]
    レストランを出ると、雨が降り出していた。
    外套のフードを深く被り、俺は道を歩いていった。
    電灯に照らされた雨が光り輝く。

    あの日、お嬢様が木から堕ちてしまった日のことでした。
    お嬢様はあの後、旦那様が衰弱させ、お嬢様は……。
    セリウス様に伝えなかったのは、旦那様のご建言の元で…。

    ミクは、死んでいた。
    カーテンの揺らめきは、ただの俺の期待だった。
    死んだのは、もう昔のこと。
    ミクはこの世に、もういない人になっていた。

    エルミカに会いに行こう。
    その決心は、俺の視界の様に揺らぎはしない。
    馬鹿野郎と伝えなくては。
    何でだよと伝えなくては。


    ごめんと。
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