猫かぶり少女の初恋33コメント

1 小恋 id:rYaaR0K0

2011-12-16(金) 19:01:19 [削除依頼]

「優梨愛さん、素敵」
「私も、優梨愛さんみたいになりたい……」
「美人で性格もよくて、頭も運動神経も
抜群に良いなんて、完璧ね……」

そう、私はいつも完璧を目指してきた。
そのためには努力も惜しまない。

そのおかげでみんな、私を
完璧な優等生としてみてくれている。
男子に告白されることも、女子に羨望の
まなざしを向けられ、ちやほやされることも、
先生にほめたたえられるのも、
当然のこと。

私にあこがれない人なんて、
私を尊敬しない人なんて、
ましてや、馬鹿にする人なんて、
絶対にいないはずだったのに……――
  • 14 小恋 id:vTF88e7/

    2011-12-23(金) 23:05:32 [削除依頼]

    次の日。
    私は、いつも通りの時間に起きると、
    てきぱきと支度をして、学校に向かう。

    バスに乗って、学校に向かう。
    バスを降りた後は『猫かぶり優梨愛』の
    ニコニコ笑顔を作る。
    「優梨愛さん! おはよう」
    「おはよう」

    「篠原さん、おはようございます」
    「先輩、おはようございます!」
    色々な人から掛けられる声に、
    すべてにこやかに答える。

    そんな中、
    「優ー梨ー愛っ! おっはよう」
    肩を後ろからポンとたたかれる。
    「梨桜! おはよう」
    私の親友、大原 梨桜に声をかけられた。
    「そういえば、昨日また告白されたって
    本当?」
    どこから情報を仕入れてきているのか、
    梨桜の情報収集能力はすごい。
    おそらく、荒川のことを言っているのだろう。

    「うん。本当だけど……」
    「また、断ったの?」
    梨桜の問いに私は静かに答える。
    「だって、誰かと付き合ったりなんて、
    考えられないんだもん……。
    失礼だけど、丁重にお断りさせてもらったの」
    丁重に……ね。

    「そっかぁ。まあ、優梨愛みたいに
    可愛い優等生だったら誰だって、
    好きになっちゃうよねぇ〜」
    梨桜はケラケラと笑った。
    その言葉にチクッと胸が痛む。

    「そんなことないよ!」
    みんな、表の顔の私が好きなだけだもん。
    本当の私と過去を知ったらみんな、
    離れて行っちゃう。

    だから、親友の梨桜にでさえ、
    本当の私を見せたことはない。
    『猫かぶり優梨愛』としてしか、
    接することはできない。
    嘘をついていることになるのかもしれないけど、
    でも、しょうがないの。

    ごめんね、梨桜。
  • 15 小恋 id:vTF88e7/

    2011-12-23(金) 23:15:48 [削除依頼]

    「優梨愛?」
    梨桜の言葉で私は、現実に引き戻される。
    「あ、ごめん。なんかぼーっとしてた」
    「何それー」
    梨桜が笑う。

    「あ、それで話は変わるけど、
    今日転校生が来るらしいよ!
    しかも、私たちのクラスに!」
    梨桜がすごくうきうきとした様子で言う。
    「へぇ、そうなんだぁ。楽しみだね」

    そんなやり取りをしているうちに
    学校に着く。

    教室に入ると、
    数人のクラスメイト達が集まっていた。
    そのうち、数人の女子が駆け寄ってくると、
    「優梨愛さん、先生が職員室に来てほしいって
    言ってたよ」
    と言ってきた。
    「教えてくれてありがとう」
    私はニコッと微笑む。
    女の子たちは、嬉しそうに笑った。

    「じゃあ、梨桜。私、ちょっと行ってくる」
    「うん、わかったー」
    そうして、私は机の上に荷物を置いて
    教室を出て行った。
  • 16 小恋 id:UIytQoG.

    2011-12-25(日) 13:58:50 [削除依頼]

    「失礼します」
    そういって入った職員室は暖房で
    暖められていて、コーヒーのにおいがした。

    そのまままっすぐに、私たち3年C組の担任、
    桜井 香織先生の席に行く。
    桜井先生は、40代後半のベテランの先生だ。
    「先生、おはようございます」
    笑顔で丁寧にあいさつをする。
    すると、先生も嬉しそうに、
    「篠原さん、おはよう」
    と返してくる。

    「先生が職員室に来るようにおっしゃっていたと聞いて
    来たのですが……」
    「ええ。実は、あなたに頼みごとがあるの」
    先生は私の目をジッと見つめる。
    「頼みごと……ですか?」
    先生はコクリとうなずくと、
    「あなたももう聞いているかもしれないけど、
    今日、3年C組のクラスメイトが一人増えるの。
    でも、まだ教科書は届いてないし、
    学校のことも知らないだろうから、あなたに
    色々と面倒を見てもらおうと思って……」
    「そうですか、分かりました」
    ニコッと微笑む私に、先生は不安そうな顔をして
    視線を落とした。
    私は、先生?と声をかけた。

    「生徒のあなたに言うべきではないのかもしれないけど、
    私はあなたを信頼しているから……」
    呟くように言って、もう一度私の目を見つめた。

    「その転校生は……」
  • 17 小恋 id:UIytQoG.

    2011-12-25(日) 15:24:12 [削除依頼]


    それから、数十分後。
    私は、先生の指示によって簡単な
    席替えと机と椅子の運び込みをしていた。
    私の隣には、私より少し高い机と椅子が
    置かれた。
    転校生は私より身長が高いということだろう。

    もともと、私の隣だった梨桜の席は、
    一つ後ろにずれて、私の斜め後ろの席となった。

    「優梨愛ー。せっかく隣だったのに、
    ずれちゃったね〜」
    梨桜が少し悲しそうな顔をして言う。
    しかし、すぐ
    「でも、転校生ってどんな人だろうね。
    楽しみだよ!
    あ、優梨愛、さっき転校生のことで
    呼ばれたんでしょ?
    先生、何か教えてくれなかったの?」
    興味津々といった様子で、私に聞いてきた。

    そこで、私は先生と職員室で話したことを
    思い出す。
    『その転校生は、心に大きな傷を負っているの』
    心に大きな傷……。
    先生の立場上、転校生に何があったのかを
    言うことはさすがにできないらしい。
    でもとにかく、つらい過去のせいで一時期
    荒れていた時期もあったとのこと。

    『できれば、篠原さん。その子のことを支えてあげて。
    あなたは人の心の痛みがよくわかる子だと思ってるから、
    きっとできるって思ってるわ』
  • 18 小恋 id:UIytQoG.

    2011-12-25(日) 15:56:02 [削除依頼]

    「ねえ、優梨愛?」
    梨桜が不思議そうな顔をして聞く。
    「あ、ごめん。残念ながら、私も
    特に何も聞いてないよ」
    「えーそうなの? 残念……」

    先生には、あの会話のことを誰にも
    言わないように、くぎを刺されている。

    よく考えてみれば、転校生の名前も
    性別も全く聞かされていない。
    肝心なところを聞くのを忘れていた。

    すると、ガラリと教室の扉があいた。
    先生だ。
    先生に気付いたみんなは、転校生の事が
    気になるのか、ササッと席に着いた。
    いつもなら、なかなか席につかずに
    騒ぎ続けるのに。

    先生もその態度の違いに、苦笑いを一瞬した。
    そして、
    「みなさんも、知っている通り
    今日は転校生を紹介します。
    じゃあ、結城君。入って」
    男の子なのか……。

    みんなの注目が、教室のドアに集中する。
    ガラリと音を立てて、ドアが開く。
    中に転校生が入ってきた瞬間、
    女子達は嬉しそうな声をあげた。
    そんな中、私は、
    「嘘……」
    呆然と入ってきた男の子を見つめた。
  • 19 小恋 id:UIytQoG.

    2011-12-25(日) 16:39:08 [削除依頼]

    漆黒で、無造作にはねた髪の毛。
    整った顔立ちにきれいな肌。
    昨日見た、あの失礼な男子だ。

    でも、様子が違う。
    昨日みたいな挑発的で生意気な目は、
    冷ややかでうんざりしたように、悲しそうだ。

    そんなことを思ったとき、先生が彼に
    自己紹介をするように促した。
    「結城 奏多です。よろしくお願いします」
    昨日の人とは、違う人のように無口な感じだった。

    でも、顔がいいからか、女子のみんなの評価は
    高かった。
    「カッコいい!」
    「無口でクールっていうのも良いよね」
    とひそひそと声が聞こえる。

    すると、先生が
    「えーっと、結城君の席は篠原さんの隣よ」
    と言いながら、私の席の隣を指差した。
    結城君は――というかあいつは、何を考えているのか
    分からない表情でこちらに向かってきた。

    フッと私と視線が合うと、一瞬目を見開いた。
    「はじめまして、結城君。私は、篠原優梨愛。
    困ったことがあったら気軽に言ってね?」
    ほかの人に聞こえても変に思われないように、
    文句を言いたい気持ちを抑えながら、
    『猫かぶり優梨愛』の表情で……ニコニコしながら言う。

    あいつは、困ったような戸惑っているような表情を
    しながら私を見ていたが、結局私の言葉を無視した。

    その態度に、私は、
    (チッ。私のことを無視してんじゃないわよ!)
    心の中で舌打ちをして、悪態をついた。
  • 20 おしゃべり娘 id:Lz3y8Rb/

    2011-12-25(日) 17:05:45 [削除依頼]
    おもしろい!!!
    続きが楽しみ!!!


    4649ね☆
  • 21 小恋 id:UIytQoG.

    2011-12-25(日) 17:11:00 [削除依頼]
    おしゃべり娘さん
    ありがとうございます!
    すごく嬉しいです。
    挫折しないように頑張りたいです。
    こちらこそよろしくです!
  • 22 小恋 id:UIytQoG.

    2011-12-25(日) 17:31:28 [削除依頼]
     〜登場人物の追加〜
    篠原 優梨愛 ―SHINOHARA YURIA―
     美人で、性格も頭も運動神経も良く、
     何をやっても完璧にこなす優等生、というのは
     表の顔で、実は腹黒い猫かぶり少女。
     星南中学校の生徒会長。
     小学校低学年の時に、篠原家に引き取られると共に
     引っ越しをしている。

    荒川 知己 ―ARAKAWA TOMOKI―
     優梨愛に上から目線の告白をしてきた、
     東英中学校の生徒会長。
     優梨愛曰くナルシストで自己中で変態の弱い男。

    大原 梨桜 ―OOHARA RIO―
     優梨愛の親友。
     しかし、優梨愛は本当の自分を見せることができない。
     そのことで、悩んだり罪悪感を感じたりしている。
     情報収集能力がすごい。

    桜井 香織 ―SAKURAI KAORI―
     優梨愛たちのクラス、3年C組の担任。
     40代後半のベテラン先生。

    結城 奏多 ―YUUKI KANATA―
     辛い過去を持ち、心に大きな傷を負っている。
     その過去から、あまり人と関わりたがらないが……。
     
  • 23 小恋 id:UIytQoG.

    2011-12-25(日) 18:07:03 [削除依頼]

    そのあと、あいつは女子からの人気ぶりを
    発揮させていた。
    あいつの席の周りには、女子の輪ができていた。
    「結城君、どこから転校してきたの?」
    「すごくカッコいいけど、モデルとか
    してるの?」
    「彼女とかいる?」

    しかし、あいつの反応は無反応。
    女子たちを無視して、立ち上がると、
    スタスタと教室を出て行った。

    その時点で普通の男子なら嫌われる所だが、
    「やっぱり、クールだね!」
    「すっごく、カッコいい」
    あの容姿から、彼が嫌われることはなかった。

    「すごい人気だね、結城君」
    隣にいる梨桜が言った。
    「そうだねー」
    あんな風に女子を思いっきり無視しておいて、
    ここまで人気だなんて、腹立たしい。
    でもまあ、あそこまで無口なら、
    昨日のことをばらされる心配もないし、
    良かったのかもしれないけど……。

    「一応……口止めしておいたほうがいいわよね」
    「優梨愛? 何か言った?」
    いけない! つい、口に出ちゃった。
    「ううん、なんでもないよ?」
  • 24 ichi id:Sjk0hLL0

    2011-12-25(日) 18:32:02 [削除依頼]
    面白いです!
    更新待ってますね(^^*)

    ?bokuraのkibou*?
    ?伝えたいよ、キミに。?って言うの書いているんですけど、
    良かったら息抜きにどうぞ♪
  • 25 小恋 id:UIytQoG.

    2011-12-25(日) 21:35:10 [削除依頼]
    ichiさん
    ありがとうございます!
    どっちも小説読ませていただきましたが、
    すっごく面白かったです。
    お互い頑張りましょうね☆
  • 26 小恋 id:UIytQoG.

    2011-12-25(日) 21:56:29 [削除依頼]

    そして、午前中の授業が終わって、
    お昼休み。
    私と梨桜と数人も女子たちはいつも通り、
    一緒にお弁当を食べる。

    あいつは、女子たちに声をかけられていた
    ものの、当然のごとく教室から出て行った。
    私も後で、あいつに口止めをしなければ
    いけない。
    私はいつもより、早めにお弁当を食べる。
    「じゃあ、私、ちょっと用事あるから、
    行ってくるね」
    ニコッと微笑みながら言って、
    教室から出るとき、後ろから、
    『やっぱり、優梨愛さんは素敵よね』
    と言う声が聞こえた。

    一人になった私はその声でフッと笑った。
    当然よ! 声には出さないものの、
    心の中で言い放つ。

    私が、この地位を確立するために、
    どれだけの努力をしたか!
  • 27 小恋 id:UIytQoG.

    2011-12-25(日) 22:21:43 [削除依頼]

    数分後。
    私は、昨日の体育館裏にいた。
    「ねえ、ちょっと! 起きてよ!」
    目の前にいるのは、というか
    横たわっているのは、結城 奏多。
    私は寝ている彼をペシペシとたたいて、
    起こそうとしている。

    私は教室を出て、この体育館裏に来た。
    思った通り、彼はここにいて、
    昨日のように寝ていた。
    しかし、どんなに声をかけても、
    起きる様子はない。

    はぁ……とため息をついて、
    私は彼の寝顔をジッと見つめた。
    悔しいけれど、女子たちがいくら無視されても
    騒ぎたくなる気持ちが分かるくらい
    (私は絶対にそんな事はしないけれど)
    彼は美形だ。

    すると、彼の唇が小さく動いた。
    『うぅ……友梨ねえさん、ゴメン……』
    「え……寝言?」
    そうつぶやいたと同時に、閉ざされている
    彼の目から、一筋の涙が零れ落ちた。
    「え……。ね、ねえ。どうしたのよ」
    突然のことに驚きながら、私は
    彼の手をつんつんとつついた。

    すると、彼は私の腕を掴んで起き上がりながら
    叫んだ。
    「友梨ねえさんっ!」
  • 28 小恋 id:UIytQoG.

    2011-12-25(日) 22:41:36 [削除依頼]

    男の子の力というのは強いものだ。
    私はそれを改めて感じた。
    彼が、私の腕をつかんで起き上がるときの
    力で私も引っ張られた。
    そして、私の体はこの結城 奏多の
    胸の中にある。
    傍から見れば、抱き合っているようにも
    見えるかもしれない。

    って、そんな冷静に分析している場合じゃない。
    そう気づいて私は、
    「きゃああああ!」
    と悲鳴を上げながら、私は後ずさった。

    当の本人を見ると、まだ状況が
    把握しきれていない様子だった。
    と、私には一瞬そう見えたがそうではないようだ。
    呆然としたまま、どこかを見つめていて、
    目にはまだ涙の跡が残っている。
    見ていたであろう、夢のことを
    考えているのかもしれない。

    「ちょっと……ちょっと!」
    私の声で、やっと我に返って
    やっと私に気付いたのか、
    私を見て、驚いたような表情をした。

    涙を流していたことを隠すためか、
    照れ隠しなのか、あわてて目をそらすと、
    「なんで……お前がここにいるんだよ」
    とつぶやくように言った。

    「なんでって、あんた……」
    私に何したか気づいてないの?
    ……まあ、いいや。
    気づいてないなら、それはそれで。
    私も忘れたいし、知らないほうがいいわよね。

    私は、座っている結城 奏多に向き直ると
    腕を組んで、見下ろすように言った。
    「私は、あんたに口止めしにきたの!
    昨日見たことは誰にも言うなって!」
    「別に……。誰にも言わないし。
    お前がどうなろうと俺の知ったこっちゃないしな」
    面倒くさそうに言う、態度にムカッと
    来た。

    「ええ。まあ、あなたは誰とも関わりを
    持つ気はなさそうだし、
    誰かにしゃべるとはあんまり思えなかったの。
    でも、念には念を入れておこうと思って!
    じゃあね。無口でクールでカッコいい
    結城 奏多君」
    最後のほうは嫌味ったらしい口調で
    私は言った。
  • 29 ichi id:04OpMro1

    2011-12-26(月) 10:06:11 [削除依頼]
    ホントに読んでくれたんですか!?
    ありがとうございます♪

    優梨愛さんいいですね(^^*)
    猫かぶり具合がw
  • 30 小恋 id:SV8Yy.V/

    2011-12-26(月) 21:33:35 [削除依頼]
     ichiさん
    小説、とっても面白かったです。
    私のも読んでいただいて、嬉しかったです。
    ありがとうございました☆
    優梨愛のキャラは結構気に入ってます♪
  • 31 小恋 id:SV8Yy.V/

    2011-12-26(月) 23:19:07 [削除依頼]

    そうして、歩き出すと、
    「おい……」
    後ろから、静かな声が聞こえてきた。
    「何よ?」
    私は足を止める。

    「お前、他のやつらに対する態度と、
    俺に対する態度のギャップありすぎ。
    猫かぶって、優等生演じて楽しい?」

    非難するような声……。

    やめて……。

    私は、心をかき乱されるような感覚を覚え、
    息苦しさを感じた。
    でも、それは誰にも気づかれては
    いけないことだった。
    強気な顔を作って、言い放つ。
    「……別に。そのくらいの方が色々と
    便利でしょ?」
    「あっそ……。まあ、いいけど」

    自分から、聞いておいて……
    その興味なさげな態度は何!?

    私はクルリと振り返って、
    あいつの顔をキッと睨みつける。
    「あんただって……。
    無口でクールを演じてるくせに……!
    人のこと言えないでしょ?」
    「演じてないし。
    こっちはただ、面倒だから無視してるのに、
    あいつらが勝手にそんなこと言ってるだけ。
    お前とは違う……」

    『お前とは違う』
    その言葉に私は、異様な吐き気と頭痛を
    感じた。
    変な感じがして、気持ち悪い。

    そうして、思い出す。
    この言葉は、昔、私が言われ続けた
    言葉だ――
  • 32 小恋 id:SV8Yy.V/

    2011-12-26(月) 23:26:54 [削除依頼]

    うぅ……気持ちが悪い、気持ちが悪い……。

    私は手で口元を覆って、
    気持ちを鎮めようとした。

    私の異常な様子に、あいつも気づいたのか、
    驚いた表情をして、
    「おい、篠原……?」
    と声をかけてくるのが聞こえた。
    でも、それに反応しているような
    余裕は私にはなかった。

    落ち着くの、落ち着くのよ、優梨愛。
    頭の中では冷静な声が聞こえるのに、
    気持ちがついていかない。

    考えれば考えるほど、気持ちが悪くなって、
    視界もぼやけてくる。

    もう、嫌だ……。

    そう思った瞬間。
    私は、意識を失った。
  • 33 小恋 id:MujKf4M0

    2011-12-28(水) 22:20:02 [削除依頼]

    気づいたら、私は、見覚えのある部屋に立っていた。

    『このバカ娘がぁ! 言うこと聞けって言ってんでしょうがぁ!』
    そんな怒鳴り声が聞こえて、私は、
    その声のある方に視線を向けた。
    見ると、女の人が、立ち上がって、何かを睨みつけていた。
    『ご……ごめんなさい……。ママ……』
    酷く怯えた様子の幼い声が聞こえた。
    その声の主は、小さな女の子だった。
    椅子に怯えたように小さくなって座っている。
    どうやら、怒鳴っているのは、女の子の母親らしい。

    私は、胸がざわざわとしているのを感じた。

    女の子の怯えた様子を見た母親は、
    キリキリとさらに目を吊り上げて、
    幼い女の子の元へツカツカと歩み寄った。
    『ふざけんじゃないわよ!』
    そう言いながら、女の人は、女の子の前にあった
    ご飯を床に叩き落とした。
    ガシャーーンとお皿の割れる音が響くと同時に
    幼い女の子は耳を塞ぐように、手を耳に当てながら
    『いやあっ! ごめんなさい……ママァ!』
    と叫ぶように言う。

    その声を聞いた私は、助けなきゃ! と感じた。
    でも、私の体は動かなかった。
    怖い……。怖くて怖くて仕方がない。
    何かに拒否反応を表しているようだった。
    やめて、やめて、お願いっ!
    頭の中の私がそう叫んでいる。

    女の人は、女の子の細い手首を強く掴んだ。
    そして、笑った。
    怖い笑みを浮かべていた。
    『ねえ……。全部あんたのせいなんだよ?
    あんたのせいで、あの人に……優に捨てられたのよ?
    あんたさえいなければ、私は幸せになれたのに……。
    あんたなんか、いらないのよっ!
    大っ嫌い、大っ嫌い、大っ嫌い、死.んでよ!』
    そうして、女の人は、幼い女の子の手首をグイッと
    引っ張って、椅子から落とした。

    「きゃあああっ!」
    その叫びは、私のものだったのか、
    幼い女の子のものだったのか、よく分からない。
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