悠美と名付けられる筈だった子。9コメント

1 RuKA id:p/p.71/0

2011-10-31(月) 21:29:36 [削除依頼]

「私、女の子が生まれたら絶対、
“悠美”って名前にする」

学生時代、玲菜は言う。
その白い肌が太陽によく映えて。
私は横目で見るしかなかった。

あの日。
  • 2 RuKA id:p/p.71/0

    2011-10-31(月) 21:48:43 [削除依頼]

    「ねぇママ。マーマぁ」
    さっきから服の裾をしつこく引っ張っているのは、私の娘。
    「これ買ってぇ」
    そう言って娘が指差すのは、
    ショーウィンドーの中。
    キラキラ輝くお人形さん。

    青い目、艶やかな肌。
    ピンクの唇からのぞく白い歯。
    ブロンドの髪、水玉模様のワンピース。

    …この頃の女の子なら誰でも憧れる。

    私の時代はリカちゃん人形だった。

    娘が欲しがっているのは、バービー人形。

    「バービーちゃんかわいい。欲しい欲しい。さくら組の子はみぃんな持ってるの。もってないのうちぃだけなのぉ」

    ただをこねる娘、幼稚園児にしては似つかわしくない言葉が娘の口からこぼれる。

    「こら、“うち”なんて言わないの。
    “わたし”でしょ。わ・た・し!」

    しゃがんで肩を掴んだ私を、うざったそうにはねのける。
    「やだっ。だって、“わたし”なんてみんな言わないっ。バカにされる、いやだっ」
    「またカホちゃんたちに何か言われたの?」
    娘は顔を赤くしてうつむく。

    ♪ゆ〜うや〜〜けこやけ〜の………

    はっとする。
    夕方を知らせるチャイムだ。
    もう、こんな時間だ。
    早く帰って晩ごはんを作らないと。

    「帰ろう?ごはん食べよう?」
    娘の手を無理やり繋ぐ。

    温かい、人肌のぬくもり。
    少し湿った小さい手に握る力を込める。
  • 3 RuKA id:p/p.71/0

    2011-10-31(月) 22:01:54 [削除依頼]
    *
    ある日、瑠花のお迎えに行くと、庭の砂場でピンクのスモックを着た無数の女子が、円になっていた。

    「お約束の光景」に嫌な予感がした私は、少し近くに寄って足を止めた。

    「ちょっと、こっち、来ないでよ!」
    ばすっ。
    1人の女の子。
    ふたつ結びの子が、円の中心に向かって怒鳴り、足で砂を蹴った。
    「バービーちゃん持ってないくせに!」
    ばすっ。
    ばすっ。
    次々と、他の子も砂を蹴る。


    円の中に、誰かいる…

    砂をかけられても、泣きもしない。


    「ほんっと、るかちゃんって、うざい!」


    ……?
    止めに入ろうとした足が止まった。
    るか?
    瑠花?
    私の瑠花?
    私の娘?
    私の娘を、いじめているの?

    「どっかいけ!どっかいけ!」
    ばすっ。
    ばすっ。
    ばすっ。
    囲んで身動きできない状態にしといて、
    どっかいけ、なんて矛盾。子供だ。


    ばすっ。
    ばすっ。

    ばすっ!


    「瑠花!」
    私はやっと駆け出した。
  • 4 RuKA id:p/p.71/0

    2011-10-31(月) 22:20:12 [削除依頼]
    「瑠花!?大丈夫?瑠花?」
    円をかき分けて我が子を見る…

    さらさらの黒い髪は茶色い砂がからまり、スモックにも砂。外履きも砂、砂、砂…

    体育座りのまま瑠花は動かない。

    「…ぁ……」
    ふたつ結びの子がいち早く、私が誰かを理解したらしい。
    この子は確か…香帆。
    森本香帆。

    困惑した表情でこちらを見ていたが、
    ひらめいたのか、すぐに、
    “雨に濡れた捨て犬のつぶらな瞳”で
    何か訴えるようにして見てきた。

    大人がこれに弱いことを、知っている。

    「あなたたち、瑠花にいつも、こんはわなことしてるの?」
    香帆のサル真似をして、他の子供もうつむき始めた。
    「顔を上げなさい。香帆ちゃんだったよね?」
    ひとりの少女の肩がぴくんと揺れた。
    「香帆ちゃんが率先して瑠花のことをいじめてたのかな?」

    「……」
    顔を上げない。喋らない。

    もっと言ってやりたいけど、瑠花の状態が心配だ。こんなこと、一度もなかった。

    …スモックが雨も水遊びも無い日にびしょびしょになっていた時も、手首に赤黒い痣を見つけた時も、瑠花は笑って水道の水がはねた、の転んだ、と言っていた。


    それも……


    「あなたたちのせいだったのね」
    きっと周りを睨む。
    そして、子供が一番嫌う言葉…
    「あなたたちのお母さんとお父さんに、ちゃんと言っておきますからね」

    と、捨て台詞を残して、瑠花を抱えて車に乗り込んだ。
  • 5 RuKA id:PLy8HIi.

    2011-11-02(水) 22:01:40 [削除依頼]

    ああ瑠花。
    私の大事な瑠花。

    瑠花!

    家に着いても瑠花は黙りこんだまま、
    砂だらけの体で布団に入ってしまった。

    仕方なく、家事をしていると、
    メールが鳴った。


    さくら組の子の母からだった。
  • 6 なぉむ id:ZwcB4Jv/

    2011-11-03(木) 13:12:05 [削除依頼]
    おもしろいッ!更新待ってます!
  • 7  さやにゃむ*.   id:bb6ZvHz/

    2011-11-03(木) 18:37:48 [削除依頼]


    面白いですね!

    続きが気になる@.*
  • 8 なぉむ id:/3PYNul1

    2011-11-03(木) 21:24:35 [削除依頼]
    楽しみですッ
  • 9 凛 id:2YLqGmx0

    2011-11-12(土) 16:20:23 [削除依頼]
    たのしみです〜
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