モダン・ファンタジー18コメント

1 クレス id:jaH0kmF/

2011-10-31(月) 12:45:39 [削除依頼]
『モダン・ファンタジー』


激しい風の音。乱気流が当たりに渦巻いている。
しかも、ただの風ではない。黒い、歪んだ色に染まっていた。
その中で、彼は意思をこめた瞳をしていた。この世界でただひとり、この場所にたどり着いてしまったその男は、絶望していなかった。ただ、今の自分がなすべきことに集中しようとしていた。目の前には変わり果てた、かつての友が、その男に強烈な敵意と殺意を向けていたが、男はその友に穏やかな顔を向ける。

「ったくよ。おれらもずいぶん変わっちまったな」

男が口を開くのに反応してか、かつての友はその変わり果てた姿で、一瞬、嘆きのような、悲しみのような、少なくとも人間らしい表情をとった。それに驚いた男は、さらに今からしようとしていることを果たそうと決意する。
「なんでこうなったか、とか。いろいろ思うところはある。お前は、優しい奴で。そんなお前だから、おれはお前と共にあろうとした。自分を捨てても、お前の友でいようとした」
去来する気持ちとともに、男は静かに自分の手にある「フェアリーハート」を起動させる。すると特殊な鉱石が反応して、その鉱石が光り輝くと同時に特別な力場を発生させ、それを制御するための情報媒体が反応し男の周囲に展開した。
即座に、周囲の環境データなどを打ち込む。何もない空間の中にキーボードでもあるかのようだ。
その姿を警戒したかつての友は人間ではありえぬ獣のうなり声をあげた。
それもそのはず、彼はもはや人間ではない。その姿は、異様である。八つの頭を持ち、十本の角があり、足は熊、顔はライオン、体は巨大なドラゴンであり、舌は蛇のようであった。

プログラムを組み終えたのか、男は手を動かすのをやめた。
突然うなり声を上げたそいつは、男に向かって攻撃をしてきた。
常人では、何が起きたかもわからぬ速度だが、男は反応していた。熊の手のようなものから繰り出される爪が空間を切り裂いていた。それをよけた男の額には汗が一筋流れる。 空間は歪んで、音が激しくなるかと思うと、突然音を吸収してしまうかのように、音が無くなる。
男はその空間のなかで、人ならざるものと闘わなければならなかった。
だが男は、余裕の笑みとさえとれる表情を浮かべ、かつての友に、かつて言われた言葉を述べる。

「……わたしは願う。世界の平和を。
……わたしは願う。世界の回復を。
……わたしは願い、そして、私の生きる意味を。
……答えを」
  • 2 クレス id:jaH0kmF/

    2011-10-31(月) 12:50:16 [削除依頼]
    男の決意を込めた口調に、獣はうめき声をもらす。
    空間が変わり始めていることに気づいたのだ。激しい野獣の殺意が空間を支配する。男はフェアリーハートから、自分の武器を取り出す。その手には先ほどは無かった、日本刀があった。獣の突進と真っ向からぶつかり、獣の爪を受ける。
    「最後なんだ。俺とお前、久しぶりにどっちがつよいか勝負といこうぜ」
    その戦いは奇妙なものだった。どう考えても、男はその勝負を楽しんでいた。そして男が一太刀ごとにその日本刀で相手の体を受け止めるたびに、獣となった友がかつての姿を取り戻していったのだ。野獣の殺意はなくなり、ついにはその姿は完全に人となる。

    空間は、いつしか穏やかになった。

    静かに男とかつての友は対峙した。


    言葉を交わすことなくただ沈黙していた。
    その世界で。男と友は最後の時を迎えようとしていた。
    「・・・付き合わせたな。悪かった」
    沈黙を破り、かつての友は、かつてのようにその男に穏やかに述べた。
    「へっ。今更だな」
    ただ笑顔を浮かべる男。
    艱難辛苦をともにした二人。
    後の時代に、この彼は最悪の犯罪者として名を残すこととなるのだが、そんな事件を起したとは思えぬ、最後。
    静かだった空間は、またもや変わり始めていた。二人の体にも異変が起き、激痛が二人に襲い掛かる。
    そんな中、友と男は脂汗を流しながら、立ち続ける。
  • 3 クレス id:jaH0kmF/

    2011-10-31(月) 12:51:20 [削除依頼]
    「ヤツはどんなかんじだ?」
    「今もこの空間のどこかにいる」
    「そうか」
    「この封印も、いつかは外れる」
    「そうだな」
    「どうやって、わたしを元に?」
    「わかんないね。おれは何もしてねーよ。ただ、信じただけさ」
    「信じた?」
    「この宇宙にいる設計者さんに、ね」
    悪戯をしたときのような笑みを浮かべる男。その笑顔につられて、相手はどこまでも気持ちよさそうに笑っていた。激しい痛みがその体中に走り、息の詰まるようなその空間にいながら、二人は笑いあう。

    空間は最後の段階を迎えようとしていた。もはや男とその友は立つこともままならない。だが、突如変化があった。フェアリーハートの光が強まり、男の手から離れた日本刀も光ったのだ。この世界の中で、異様な光景に、もはや意識さえも保つに難しい二人だが、少し意識を覚醒させる。
    「……なあ、なんだこの現象」
    「……わかんないか? 奇跡だよ」
    「なんの?」
    「……ははははは。そうか、お前、選ばれたんだな」
    「はあ?」
    「エリザバド・シャーケード」
    「なんだよ、突然」
    そんな男の声を無視し友は、その激痛が走る体を、その動けぬはずの体の最後の力を降り渋るように、自分の手にある、フェアリーハートに何かを打ち込む。そしてそのフェアリーハートを男のフェアリーハートに重ねる。すると、男の体に異変が起こる。体が激痛とは違う、体の奥を熱するような力が湧く。だがそれはギリギリのラインとバランスで存在するため、絶えず、異常な空間に存在することによって生じている激痛に襲われながらの極限状態となった。
    「っがああああああああ」
    「すまない。お前を死なすわけには行かなくなった。……私にも、どうしてなのかわからないが、確かに聞こえた。お前は生きなければいけないらしい」
    「っぐうううううう、な、っがああああ、に、い、って。」
    言葉をなんとか出した男。それを見て、友は言う。
    「ありがとう。私と、……いや、僕と一緒にいてくれて。君は僕を殺したい思ってもおかしくないはずだ。僕は君から何もかもを奪った人間だから。だけど、君は僕を見つけてくれた。だから、君になら全てを託せる。いいかい、今から言う言葉を覚えておくんだ。隠されしこの言葉を。その言葉は」
    友はその隠されし言葉を伝えた。一人称は、いつしか、少年の頃のものに変わっていた。男は暗転する意識を、どうにかその言葉を覚えるために使う。確かに聞こえた。そこで、男の意識は、かすむ。友は、微笑を浮かべ、最後の言葉をその男に述べる。
    「僕は、もう疲れた。眠るよ。お休み」
    そう述べてから、友は突如として光に包まれ、そして消えた。後は、ただ静寂だけが残った。男は、叫んだ。言葉にできない、その思いを、痛みで打ち震える叫び声とともに。それはその空間のなかで、たった一人になってしまった男の、この空間で発せられる最後の感情らしい声であった。その光景は、荘厳であり、美しさがあった。世界になんと言われようと、このとき、この瞬間、男は憎しみを、怒りを、切なさを、全てを包含したその感情を、人は美しいというだろう。

    それから男は長い間、その空間にいることになる。途方も無い苦しみを、終わりの無いような時間の中で、男はただ、その友の言葉を信じ、耐え続けた。
  • 4 クレス id:jaH0kmF/

    2011-10-31(月) 12:52:40 [削除依頼]



    プロローグはこれから始まる。物語を始めよう。彼の、物語を。
  • 5 クレス id:jaH0kmF/

    2011-10-31(月) 12:53:33 [削除依頼]


    ≪プロローグ≫


    少女は走っていた。
    泥にまみれながら、後ろから迫ってくる、追っ手から逃れるために。
    少女は泣いていた。
    さっきまでいた数多くいた、自分の側近の死に深い悲しみを抱いて。
    恐怖で体がすくみそうになる。体に力が入って、余計に少女の体力を奪い、走る速度を弱めていく。少女の手にあるフェアリーハートを駆使し、一生懸命になって、追っ手から逃れようとするが、追っ手は、もうすぐそこまで来ている。
    もう駄目かと少女は頭の片隅で思う。
    もう走るのをやめてしまいたい。そう思う。苦しい。苦しい。苦しい。
    呼吸をするたびに、のどの奥が熱くなっていく。手足も、フェアリーハートの使いすぎで、限界に近づいている。ふと、足と足が絡んで転んだ。フェアリーハートを使っての全力疾走であるため、普通に転ぶのとはわけが違う。
    激しく転げ周り、岩に背中を打ちつけた。息がつまり、呼吸ができず、むせる。何とか立ち上がろうと、体を動かそうとするが、体はもう指一本動かせそうに無い。自分の呼吸が闇の中でただ響く。少しの静けさとともに追っ手が、倒れている彼女に近づいてきた。
    追っ手はみな、無言であり、誰一人その目に、少女に対する哀れみを持たない。暗視ゴーグルで少女の状態を再度確認し、確実な死を与えるために近づいてくる。
    「けほっ、けほっ。ううう、うあああああ」
    近づいてくる敵を、指一本動かせない体で、少女が唯一使えるスキルアート、ファイアーアローをそのフェアリーハートの光とともに周囲に光の矢が出現して発射する。
    だが、暗殺者達にとって、その力と技は児戯に等しく、アンチアートスキルの自動防御型でかき消されてしまう。
    いよいよ、少女は絶望する。
    もう自分を守るすべが無いのだ。体も動かない。ただ死を待つのみだ。
    恐怖が全身に巡る。体は動かないが、全身につめたいものを感じる。少女は、ただただ恐怖するしかない。
    自分の人生はまだまだだとおもっていた。まだ未来があると、当然思っていた。
    父から、母から、たくさんの愛を注がれるものだと思っていた。そのために、厳しい教育も乗り越え、気品を見につけようと意識し、期待にこたえようとした。
    その全てが、突如として現われた、この感情を感じられない、同じ人とも思えないような瞳の持ち主達によって無駄になる。

    ――嫌だ。
    と心のそこから思った。
  • 6 クレス id:jaH0kmF/

    2011-10-31(月) 12:54:03 [削除依頼]
    自分はまだ何も知らない。
    ここで死んでしまったら、私は何のために生まれてきたのだろうか。
    ・・・死ぬためか?

    そんなのはいやだ。
    そんなのはいやだ!
    いやだいやだいやだ。
    もし、この世に神がいるなら、悪趣味だ。冷酷だ。もしそうでなければ、なんだというのだ? ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな。私はまだ何もしていない。何も悪いことなんかしてない。だから、誰でもいいから、ううん。だからこそ、そんなやつがいるなら、助けてみせて。私を救ってみせて!
    「誰か、助けてよ!」
    そんな声に耳を傾けることなく。少女のその心のうちを察することも無く。暗殺者は持っていたアーミーナイフを抜き、少女の体に触れた。その時である。

    光ったのだ。
    その瞬間、突如として、少女の体に触れた暗殺者は、弾き飛ばされた。
    そして、少女は見た。その光から、徐々に形が見え、それが人間の形となり骨格が見え、肉体を着け、ひとりの子供が現われたのを。

    長い黒髪が印象的だ。
    その後ろ姿から、少女と同じ年齢のように見える。
    光が収まり、その子供は突如として重力を受けたかのように体を地面に沈ませた。
    荒い呼吸が少年の状態が良くないことを示していた。
    少しして、思わぬ目くらましにあい動揺していた暗殺者たちも立ち直り、自分たちに立ちふさがるように現われたその子供を見て感情を切り替えたのか、いっせいに、その少年に向かってアーミーナイフを構えた。子供はまだ立ち上がれずにいた。少女が声を出そうとするよりも速く、暗殺者たちは子供に向かって突進した。
    (避けられない)
    その攻撃におもわず目をつむる。
    だが、予想に反して、少年の体を全身で刺したような様子ではなく、複数の金属音が聞こえた。
    見ると、いつの間にか子供と暗殺者の位置が入れ替わっていた。子供の手にはその身の丈には合わない、長い日本刀が握られており、その刀でどうやら彼らの刃の部分を全て切り離したようだ。
    何が起きたかわからない暗殺者達は、そのことを考えるまもなく、体から血しぶきが上がる。斬られたことに暗殺者が気づいた時には彼らは地面に伏し、意識をなくした。

    「……すごい」

    今起きた光景を少女はどこか夢を見ているように感じてしまう。自分が助かったのだという実感が無く、まだ恐怖に体が震えている。
    「……だい……じょうぶか?」
    子供は振り返ると、その少女のほうに体を向けた。少し感情の抜けたような表情をしていて、さらに少女は緊張する。
    「あなたは何者なの?」
    気丈に振る舞い、少女は言った。それを見た子供は少女の状態に気がつき、おぼつかない体で、引き摺るようにして少女の体に触れた。
    「や、やめて。何をするの」
    体が言うことをきかないが、何とか抵抗しようとする。だが、そんな少女に子供はいう。
    「……じっと…してろ」
    意識がはっきりしていないようだが、その声に敵意は無いように感じる。少女は少し警戒感をゆるめたが、体は硬いままだった。少年がもつフェアリーハートが光り、スキルアートのプログラムが発動する。途端に、その子供が苦しみだした。
    「きゃあ!」
    体中が悲鳴を上げているような声に、少女はびっくりする。思わず、心配になり、
    「大丈夫?」
    と訊ねた。するとその子供は相変わらず、生気の抜けたような表情で言った。
    「……っは、こ……んなん、今までに……くら……べりゃあ」
    そこで言葉を区切り、気合を込めて、プログラムを完成させる。
    激しい激痛がその間もその子供には走っているようで、膝を落とした。
    そして完成したことを示す光がフェアリーハートから洩れ、子供は少女の体に触れた。するとその子供の手から温かな力を感じて、それが回復形のスキルアートだということに気がつく。それと同時に、子供の手のぬくもりを感じて、急速に意識が遠ざかるのを少女は感じた。まるで陽だまりのような優しい安心感を少女は得た。最後に少女が意識をなくす前に見たのは、子供が意識をなくして、少女の体にそのまま倒れこむところだった。その子供にはいろいろと聞きたいこともあるが、とりあえずは、少女はその意識を手放すのであった。


    それから十年後、物語は始まる。
  • 7 クレス id:tUZNmBg/

    2011-12-10(土) 15:07:11 [削除依頼]


     空中都市「テトラ」。
     それは古代文明が残した、その名の通り空中に浮かぶ巨大な島の上に作られた都市。
    「すげーな」
     長い漆黒の髪をなびかせながらレオン・ラインハルトは感嘆の声をあげる。
    「あれが、空中都市か」
     甲板からみる雲と空と海の境界線も非常に綺麗であったが、その空の一点に浮かぶ島が見えて思わず嬉しくなってしまったのだ。何故か知らないが、その島の姿を見たとき、懐古するような気持ちにさえなった。自分の住んでいた街とは何の関係性もないというのに。
    「しかし、長旅だった」
     手元にある紙に目を落とす。
    ――テトラ杯特別招待券 レオン・ラインハルト様。
     今日、レオンがわざわざ高い飛行船のチケットを買ってやってきたのはこの券のためだ。毎年世界一の広大な国土を有するオールランド王国が主催するテトラ杯。オールランド王国の王都である空中都市テトラに存在する「オールランド学園」から選ばれた戦士たちの武芸を競う、世界中の人間がこのほしがるほどの有名な大会の招待券。
     そんな券がなぜ、レオンの手元にあるかというと、オールランド学園にいる幼馴染が大会に参加することになり、家族や友人たちを呼ぶための招待券をもらえるので、その一つをレオンに送りつけてきたからである。
     最初は行くのを渋った、レオンであったが、せっかくの券を無駄にはしたくないと思った。それに、久しぶりに幼馴染の顔を見るのもたまには悪くはない。
    (冷やかしにきたぜ、ニーナ)
     幼馴染の顔を思い浮かべて、まず最初にどんな言葉をかけてやろうかと、ほくそ笑むレオン。
     前方を見ると、最初は豆粒ほどの小さかった島の形が近づくにつれて、巨大な山脈ぐらいの大きさになっていた。
    「……しかし、なんだか、落ちつかねーのはなんでだ?」
     妙な胸騒ぎとともに、その壮大な島の中心地である、都市に目を向ける。王都ということもあって、
    「なんか、あんのか?」
     落ち着かない胸の内をぼやくレオンであった。
  • 8 海月幼 id:ZnKalqY/

    2011-12-10(土) 15:18:00 [削除依頼]
    初めまして 海月 幼と申します。

    クレス様の作品面白すぎます!!

    その才能を分けてほしい程です。

    私も小説を書いております。よければ見ていただいて、アドバイスを頂けないでしょうか?

    初めましてなのに図々しいお願いをすみません。

    よければでよろしいので、迷惑な際はこの書き込み消してください。

    それでは、失礼いたします。
  • 9 クレス id:tUZNmBg/

    2011-12-10(土) 15:22:53 [削除依頼]
    >>7誤字だらけorz 修正します。  空中都市「テトラ」。  それは古代文明が残した、その名の通り空中に浮かぶ巨大な島の上に作られた都市。 「すげーな」  長い漆黒の髪をなびかせながらレオン・ラインハルトは感嘆の声をあげる。 「あれが、空中都市か」  甲板からみる雲と空と海の境界線も非常に綺麗であったが、その空の一点に浮かぶ島が見えて思わず嬉しくなってしまったのだ。何故か知らないが、その島の姿を見たとき、懐古するような気持ちにさえなった。自分の住んでいた街とは何の関係性もないというのに。 「しかし、長旅だった」  手元にある紙に目を落とす。 ――テトラ杯特別招待券 レオン・ラインハルト様。  今日、レオンがわざわざ高い飛行船のチケットを買ってやってきたのはこの券のためだ。毎年世界一の広大な国土を有するオールランド王国が主催するテトラ杯。その王都である空中都市テトラに存在する国の未来を担うエリートが集う学校「オールランド学園」の中から選ばれた戦士たちの武芸を競う大会。世界中の人間がこの大会を一目見ようと集まってくるほしがるほどの有名な大会の招待券。  そんな貴重な券がなぜ、レオンの手元にあるかというと、オールランド学園にいる幼馴染がその大会の参加者として選ばれたからだ。参加者は家族や友人たちを呼ぶための招待券をもらえるので、その一つをレオンに送りつけてきたのある。  最初は行くのを渋った、レオンであったが、せっかくの券を無駄にはしたくないと思った。それに、久しぶりに幼馴染の顔を見るのもたまには悪くはない。 (冷やかしにきたぜ、ニーナ)  幼馴染の顔を思い浮かべて、まず最初にどんな言葉をかけてやろうかと、ほくそ笑むレオン。  前方を見ると、最初は豆粒ほどの小さかった島の形が近づくにつれて、巨大な山脈ぐらいの大きさになっていた。 「……しかし、なんだか、落ちつかねーのはなんでだ?」 島に近づくに連れて感じる胸騒ぎ。 「なんか、あんのか?」  落ち着かない胸の内を吐き出すようにぼやくレオンであった。
  • 10 クレス id:tUZNmBg/

    2011-12-10(土) 15:25:33 [削除依頼]
    >>9集まってくるほしがるw …すんません
  • 11 クレス id:tUZNmBg/

    2011-12-10(土) 15:27:05 [削除依頼]
    >>8 わかりました。読んでくださってありがとうございます。 作品名をよろしければ教えてください。
  • 12 クレス id:tUZNmBg/

    2011-12-10(土) 16:32:42 [削除依頼]

    「しかし、すげーな、こりゃー」
     街の外れにある港に着くと、ウインドバスに乗り継いで街街の中心に近づくにつれて人の数もあふれてきており、飛び交う声も自然と増え、活気が出ている。
     しばらくして、ウインドバスの導力である鉱石フェアリーハート≪エメラルドグリーン≫と≪ルビーレッド≫の光が消え、バスは止まった。どうやら、ここが最後のバス停だったらしい。
     
     ウインドバスから降りたレオンはまず現在地を確認するため、近くにある案内板に向かった。
    「えっと、今は。うーん」
     手を額にかざすようにして案内板を見るレオン。どうやら、目的地である闘技場まで、まだまだかかりそうだった。時間を確認するため、手元にある腕時計を見遣り一息つく。
    「まだまだ、時間あるな」
     今は午前の10時。開会するのは13時からなので、それまでにつけばいい。その間、どう暇をつぶそうか。
     脳裏に幼馴染のシーナが浮かんだ。黒茶色のレザージャケットの内ポケットから携帯を取り出して、シーナに電話をかける。
    『もっしもし!』
     すると、ニーナの明るい声が聞こえてくる。
    「あー、おれおれ」
    『おれおれ? 誰さんですかー?」
     画面にレオンの名前が出ているはずなのに、そんなことを聞いてくるニーナ。
    「誰でもいいだろう」
    『いやー、誰でもよくないよ。私の電話に知らない人が掛けてきたことになるじゃん」
    「ニーナはモテるからな。不特定多数の男からアプローチされて、幼馴染のことなんて忘れちまったか?」
    『ぶっふ』
     電話口で吹いたらしい。ニーナは少々あせり口調で、
    『わ、私なんて、モテナイよ。可愛くないし。だから、そんな、アプローチされても』
     最後は尻すぼみになっている。そんなニーナに口元が緩むレオン。
    「ははは」
    『もう、レオン! からかわないで!』
    電話の向こうで、顔を真っ赤にさせている幼馴染が思い浮かぶ。
    「なんだ、やっぱり、わかってるんじゃないか」
  • 13 クレス id:tUZNmBg/

    2011-12-10(土) 17:08:33 [削除依頼]
    『う、すみません』
    「ったく」
    「だってさ、レオン、今日来てくれないから」
     ちょっと拗ねたような口調のニーナ。
    「めんどくせーからな」
    「もう……今から出発しても、三日間続くんだから、最後の日くらいなら間に合うよ」
    「まあ、頑張れよ」
    「レオン!」
    「じゃあな」
     そう言い残して、電話を切る。すぐに、ニーナの方から電話がかかってくるが、無視して、電源をオフにする。
    (ニーナの奴、驚くだろうな)
     今日レオンがテトラ杯を見に行くことは、ニーナには秘密にしてある。なので、大会が始まる直前に顔を出して、ニーナを驚かせようという作戦なのだ。
    「さてと、これからどうすっかな」
     旅行用のカバンを肩に担ごうとしたとき、
    「うん?」
     中でもぞもぞと動く物体が。
    「おっと、忘れてた」
     すぐさま、カバンの口を開けると、中から、飛び出してきた。
    「わりーな、コルン。寝てるの忘れてた」
    「コルー。コルコルコルー」
     飛び出してきた物体は上等な毛並みをした白い生き物だ。くりっとした目と輝くようなエメラルドの瞳。全体的に上品さを感じるその生き物は体長30センチほどでレオンもどういう種類の動物なのかは知らない。レオンは勝手にネコと分類しているが、定かではない。記憶が始まったころに出会って、それからすぐに仲良くなった。
    「そうか、腹減ったか。待ってろよ、なんか、食いもん買うからよ」
    「コルン」
     コルンはレオンの肩に移動すると、嬉しそうに、その顔をレオンのほほにくっつけてきた。そんなコルンの頭をなでつつ、レオンはカバンを左肩に担ぎ、歩き出したのであった。
  • 14 クレス id:64eTGxL.

    2011-12-12(月) 16:40:13 [削除依頼]
    「しっかし、こんなに人を見んのなんて、うちの田舎じゃあり得ねーな」
     レオンは歩きながら改めて、人ごみの多さにうんざりした気持ちになった。
     普段、こんな人数が集まったところを見たことがないレオンにとっては騒々しいように感じる。慣れればどうということもないのだろうが。
    「コルン、これだけの人なんだから、どっか行って迷子になんなよ」
    「コル?」
    「……まあ。お前なら、勝手に帰ってきそうな気もするがな」
     首をかしげるような仕草をするコルン。
    「さて、食べ物、食べ物、と」
     辺りを見回すと、同じく大会を見に来るためにきたであろう、外人の姿がちらほらと。(服装が独特なので)
    (しかしまあ、遊撃士がいるったって、外国からもわざわざくるなんて)
     レオンがそう思うのは当然で、街の外というのは危険なのである。何故なら、凶悪な猛獣たちが跋扈しているのだから。
  • 15 クレス id:64eTGxL.

    2011-12-12(月) 16:44:06 [削除依頼]
     一般人がのこのこと、何の準備もなしに、人里離れた場所に行くのは死にに行くことに等しい。
     なので、レオンの乗った飛行船もそうだが、外に出る場合、必ず雇うことになるのが遊撃士。
     体内に精製された特殊なフェアリーハート。
     『エルザバド』を精錬することによって危険な猛獣とも対抗できるようになった人間のことを『エルザバド・シャーケード』。
     (通称「シャーケード」≪目覚めた者≫と呼ぶ)
     遊撃士とは、そうしたエルザバド・シャーケードだけで構成される組織、「遊撃士協会」の認証を受けたギルドの構成員を指す。

     世界には様々な仕事をするギルドがいるが、その主な仕事は商人や旅人達の護衛だ。とはいえ、遊撃士にもその実力ごとにAからGと7段階のランクに設定されており、多くの場合ランクFだ。
     エリザバド・シャーケードの資格を得ることそれだけで難しいものなのだが、外の猛獣を相手にするということでその実力に見合ったランクがあるのは当然のことだろう。
     ちなみに今回、レオンが乗ってきた飛行船にいた遊撃士たちはDランク。ランクに伴って相応のお金を払わなければならないのだが、飛行船にいる大勢の客のことを考えれば当然のことだった。
  • 16 wwwwwwww id:I49rzeW.

    2011-12-12(月) 18:23:04 [削除依頼]
    初めましてワラっちと申します。

    小説の感想を・・・
    うまいです、文がまとまっててとてもいいです。
    いや〜、僕もテトラに行ってみたくなっちゃいま
    すよね〜。やっぱキャスフィのファンタジー需要を
    もっと増やすべきだと思うんですよね、最近つくづく。。。
    自分は推理もの書いてますけどw
    頑張ってください、応援してます!
  • 17 黒の組織 id:SjUvLGW.

    2011-12-12(月) 19:37:06 [削除依頼]
    どうも!
    黒の組織です。
    今回は評価人ではなく一人の読者として参りました。
    空中都市テトラ、かっこいいですね。
    遊撃士というのもかっこいぃ!
    更新頑張ってください!一応知ってる人にはオススメしときます!
    ではでは。
  • 18 クレス id:5LN9QB5.

    2011-12-14(水) 18:38:05 [削除依頼]
     そうした飛行船という誰もが乗る公共の場所で雇われる遊撃士たちは信頼できるが、だからといって獰猛な猛獣たちを相手にするのに確実というものはない。中には人間以上に賢い知能を持ちながら、フェアリーハートを駆使してくる猛獣もいる。
     下手したら全滅する。
     そうした猛獣が入ってこないよう、街の周辺には人間には全く害がないが、いくつかのフェアリーハート鉱石と材料を組み合わせて作った、『ガーディン』と呼ばれる装置が設置してある。『がーディアン』は猛獣が嫌がる音や匂いを出したり、万が一入ってきた場合に警音や電気が流れるようにしており、情報をその街にある国の役所や軍に送信するようになっている。
     なので、こうした街は安全といえる。だからこそ、街を出るときはだれも気を引き締めるものなのだ。
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