*一話完結小説*7コメント

1 奏 id:frpnlC1/

2011-10-22(土) 19:16:25 [削除依頼]
はじめまして☆奏(かな)です♪
これからいくつかの一話完結小説を載せます
そのなかで一番いいと思ったものを教えてください!
お願いしますm(_ _)m
  • 2 奏 id:frpnlC1/

    2011-10-22(土) 19:23:27 [削除依頼]


    私が彼女と会ったのは、クリスマスの病院だった。
    怪我のせいでクリスマスを病院で過ごす羽目になった友人とパーティーをして帰る途中、自販機から暖かい飲み物を買おうとしたとき、彼女と会った。
    水色のカーディアンを羽織って、ずっとこっちを見ている。
    私は特に気にせず、暖かいミルクティーのフタをあけ、飲み始めた。
    はっきり言って、私は「ロイヤルミルクティー」と「ミルクティー」の区別がつかない。
    どちらが特においしいとかも感じない。
    値段や気分にあわせて「ミルクティー」と「ロイヤルミルクティー」のどちらかを買っている。
    「こんにちは」
    後で声がした。
    振り返ると、髪が長くて、色白でかわいい女の子がいた。
    時間的には「こんばんは」なんだけど、私も彼女につられて言った。
    「こんにちは」
    「お見舞い?それともクリスマスパーティーの帰り?」
    彼女は人懐っこく聞いてきた。
    「両方です」
    「そう」
    彼女はふふふっと上品に笑った。
    「その紙袋の中身はプレゼント?何を頂いたの?」
    「お菓子とマフラーです」
    「そうなの。素敵ね」
    口調のせいか、長い髪のせいか、私には彼女がなにか神に近い存在のように思えてきた。
    「ところで、クリスマスはなんの日かご存知?」
    「え?」
    「わかる?」
    またふふふっと笑った。
    「イエズス様のお誕生日なの」
    「イエズス様って誰ですか?」
    「中学の社会で習わなかった?イエス=キリストよ」
    「・・・あぁ」
    キリストと言えば、言わずと知れたキリスト教を啓いた御仁。
    「本当はミサに行きたかったのだけれど、仕方ないよね、この体じゃ。雪も降ってるし。外出許可が出るわけない。先生と婦長さんにうるさいくらい頼んだのだけれど」
    彼女は寂しそうに外を見る。
    雪がしんしんと降っている。
    「ちなみにミサっていうのはイエス=キリストの十字架上の犠牲を継承・再現する重要な祭儀のことよ」
    私がなにも言ってないのに、ミサの説明をしてくれた。
    彼女はキリスト教徒なのかもしれない。

    それから私たちは色々なことについて話しあった。
    お互いの趣味、住んでいる場所、好きな異性のこと、キリスト教のこと。
    話題は途絶えなかった。彼女ともっと話していたいと思った。
    思っていたとおり、彼女はキリスト教徒だった。
    「そういえば、あなたは電車?」
    唐突に彼女が言った。
    「はい」
    「急がないと終電に間に合わないんじゃない?」
    「あっ!」
    時計を見て驚いた。
    「短い時間だったけど、あなたと話せて嬉しかった。とても楽しかった。素敵なクリスマスプレゼントをありがとう。マリア様からの贈り物かしらね」
    「私こそ楽しかったです。ありがとうございます」
    一応の礼儀として一礼する。
    「引き止めてしまってごめんなさい。また会えるといいね。さようなら。お気をつけて」
    最後に彼女は笑った。
    マリア様のような慈悲深さと神々しさを兼ね備えた笑顔だった。
  • 3 奏 id:frpnlC1/

    2011-10-22(土) 19:24:18 [削除依頼]

    終電にはギリギリ間に合った。
    イスの気味悪い熱を感じながら彼女のことを思い出していた。
    顔、口調、髪、指、目、鼻。
    そして、名前と病室を聞くことを忘れていたことも。


    「キリスト教徒の女の子?誰それ」
    翌日。
    友人へのお土産のポテトチップ(150円)、彼女への少し遅れたクリスマスプレゼントのチョコレート(2000円)を持ち、友人の病室へ行った。
    ナースステーションに行ったほうが良いのだけれど、耳が遠いお婆さんが看護婦さんを困らせていたので、先に病室へ行った。
    「大体、キリスト教徒については話してみないとわからないじゃん。外見的特長は?」
    ポテトチップの袋を破りながら言う友人。
    「えーっとね、私たちと同じくらいの年で、髪が黒くて長くて、可愛くて、水色のカーディガンを羽織ってて、昨日の夜、売店にいた子!」
    「あのね。カーディガンからは外見的特長じゃないんじゃない?」
    「そうだけど。で、そんな感じの子、見たことない?」
    「残念ながら見たことないなぁ」
    友人はポテトチップの油のついた指先をティッシュで拭いてから財布を手に取る。
    「その女の子のこと、ナースステーションで聞いてみたら?」
    「ここに行く前に聞こうと思ったんだけど、耳が遠いお婆ちゃんいて・・・」
    「そのお婆ちゃん、もういないかもよ。行ってみなよ。ついでに」
    友人は私の手に小銭数枚を握らせる。
    「売店でコーラ買ってきて?おつりで好きなもの買っていいから」
    小銭を数える。
    おつりで何か買うとしたら10円や20円の駄菓子しか買えない代金だった。


    ナースステーションにあのお婆ちゃんはいなかったお陰で、すぐに看護婦さんに聞くことが出来た。
    「キリスト教徒の子?」
    若い看護婦さんはきょとんとした目で私を見る。
    「はい。昨日、『教会に行きたい』ってうるさいくらいに言ってた髪の長い子です」
    「・・・そんな子いたかな?名前とかわかる?」
    「すみません。わからないです」
    若い看護婦さんは少し考えてから言った。
    「婦長に聞いてみるから少し待っててね」
    若い看護婦さんが去っていった。
    「こんにちは」
    少したってから人柄の良さそうな年配の女性が現れた。
    この人が婦長さんなのだろう。
    「女の子を捜してるって聞いたんだけど、その子ってキリスト教徒で髪が長いみたいだね?」
    「はい。昨日、ここで『教会に行きたい』ってうるさいくらいに言ってたそうなんですが」
    私がそう言うと、婦長さんが恐ろしいものを見るような目で私を見る。
    「それ、本当なの?」
    「はい。彼女が言ってました」
    「・・・・」
    婦長さんは黙ってしまった。
    顔は青ざめている。
    「あの、どうかしたんですか?」
    「からかってる、わけじゃ、ないんでしょうね」
    婦長さんは途切れ途切れに言った。
    「はい」
    「本当に、昨日だったの?」
    「はい」
    「・・・」
    婦長さんはまた黙ってしまった。
    一体、彼女に何があったんだろう。
  • 4 奏 id:frpnlC1/

    2011-10-22(土) 19:24:33 [削除依頼]
    「・・・あのね」
    ずっと黙っていた婦長さんが口を開いた。
    「10年位前のクリスマスにね、貴方くらいの年の女の子が亡くなったの。
     私を含む看護婦たちと先生でがんばったのだけれど、ダメだったの。ガンでね。あんなに若かったのに」
    クリスマスの日に亡くなった女の子と彼女はどんな関係があるのだろう。
    「その子、敬虔なクリスチャンで『教会のミサに行きたい』ってうるさいくらいに頼んでた。先生と当時の婦長さんにね。
     でも、私や先生は許可しなかったの。雪が降っていてとても寒かったし、教会まで遠かったし」
    「・・・」
    「教会は今度行こうって言って、なんとか黙らせたんだけど。ほかの患者さんの迷惑だしね。
     でも、その日の夜2時くらい、2時は次の日かな?に容態が急変して。手を尽くしたんだけど・・・」
    「・・・」
    「亡くなる間際に『イエズス様。教会に行けなくて申し訳ございません。お誕生日おめでとうございます』って言ってた。ずっと、ロザリオっていうキリスト教で使う十字架のついたペンダントを握ってた」
    弱々しく笑う婦長さん。
    「あの、その子の名前はなんていうんですか?」
    「確かね、高津、高津マキちゃん」
    「『タカツマキ』ってどういう字を書くんですか?」
    「『高津』は『高い』に三重県の『津市』の『津』。『マキ』はカタカナ。『マリア』と『キリスト』の頭文字をとったらしいよ。マキちゃん本人が言ってた」
    彼女の名前は高津マキ。
    マキはマリアとキリストの頭文字から。
    「その子が昨日現れたなんて、嘘でしょ?夢でも見てたんじゃない?」
    昨日の出来事は本当にあったことなのだろうか。
    夢か幻を見ていたのだろうか。
    彼女は一体何だったのだろうか。
    手の中の小銭が音を立てて落ちる。
    冬なのに額に汗が浮かぶ。
    「大丈夫?」
    「大丈夫です」
    おぼつかない手つきで小銭を拾い、婦長さんに一礼してナースステーションを立ち去る。
    友人には「コーラは売り切れだった」と嘘をつこう。
    今はどうしても売店に行きたくなかった。
  • 5 るか(*^^)v id:El9Uj8r.

    2011-10-22(土) 19:25:22 [削除依頼]
    がんばって!!
  • 6 琉季 id:EbuFG4/0

    2011-10-22(土) 19:50:44 [削除依頼]

     面白いですね^^

     ですが……こういう一話完結ものだったりする短編小説は、
     基本「SS版」で書いてもらうことになっています。

     SS版に移動してはいかがでしょうか??
  • 7 白桃 id:pdkFYNN1

    2011-10-22(土) 20:04:28 [削除依頼]
    >6 別に一話完結型を向こうで書きなさいと決まってるわけではないよ。 確かにSS板は、 「小説投稿板では書きにくい、単発読みきりのストーリーを投稿できます」 という触れ込みのものですが。 こちら側に、一話完結ものだったりする短編小説を投稿してはいけないと言う決まりはないんです。 さすがに、短編一個だけでスレを立てると言うのはあまりみませんが(そういうのためのss板) こうやって、たくさん載せるのならば、 別にこちら側でも構わないと思うので 移動する必要はないですね。
コメントを投稿する
名前必須

投稿内容必須

残り文字

投稿前の確認事項
  • 掲示板ガイドを守っていますか?
  • 個人特定できるような内容ではありませんか?
  • 他人を不快にさせる内容ではありませんか?

このスレッドの更新通知を受け取ろう!

ログインしてお気に入りに登録すると、
このスレッドの更新通知が受け取れます。

お気に入り更新履歴設定

お気に入りはありません

閲覧履歴

  • 最近見たスレッドはありません

キャスフィへのご意見・ご感想

貴重なご意見
ありがとうございました!

今後ともキャスフィを
よろしくお願い申し上げます。

※こちらから削除依頼は受け付けておりません。ご了承ください。もし依頼された場合、こちらからの削除対応はいたしかねます。
※また大変恐縮ではございますが、個々のご意見にお返事できないことを予めご了承ください。

ログイン

会員登録するとお気に入りに登録したスレッドの更新通知をメールで受け取ることができます。

お気に入り更新履歴設定

お気に入りはありません
閲覧履歴
  • 最近見たスレッドはありません