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1 Lito id:GWEKF3X/

2011-10-15(土) 21:37:07 [削除依頼]


空は繋がってるなんて嘘。

この国だけは、世界から切り離されている。


異質な世界で生き足掻いた少年と少女の物語。
  • 2 ゆい id:D62bv.i/

    2011-10-15(土) 21:39:47 [削除依頼]
    なんかおもしろそうですー!!

    がんばってください!!

    私の小説、「心の迷路〜もう1人の自分〜」
    も、よければ見に来てください!
  • 3 Lito id:GWEKF3X/

    2011-10-15(土) 21:48:54 [削除依頼]

    5歳の少年と少女はぼんやりとその光景を眺めていた。

    「悪いことしたのかな」
    「悪いことしたんだよ」

    たどたどしい幼い口調で会話が成り立つ。
    少年の右手には少女に左手があり、少女の右手には小動物のぬいぐるみが握られていた。

    「痛いのかな」
    「痛そうだね」

    まだ輝きを覚えているそれぞれ二つの黒い目に映る光景。
    彼らはまだ、その光景を見て湧くその感情の名を知らない。

    「許してくれないのかな」
    「許してくれないんだよ」

    徐々に涙声に変っていく少女の問いかけに、一足先に状況を察する知能を身につけた少年が諭す。
    少女はやがて得体のしれない感情に耐えきれず、不安げな泣き声を上げて涙をこぼしはじめた。
    少年は黙って少女の手を引いて、その光景から離れた場所へと静かに向かった。


    彼らがいなくなった道の中央には、あまりに惨い人の影。
    粗末な衣を体に巻きつけ体中を赤黒く染め、かすかな痙攣と共に荒い呼吸をしていた。
    薄汚れた肌は乾ききり、衰弱しきった体はやせ細っていた。

    彼をそんな姿にしたのは、最後に彼に唾を吐きかけその場を後にした主人だった。

    子供たちを目の前に彼の主人であるその男は、彼を殴り、蹴りあげ、踏みつぶし、叩きつけた。
    そうしている間、「奴隷」である彼には痛みを叫ぶことすら許されてはいなかった。
    数日間の間、家畜同然の扱いをされ不可能に近い程の雑用を押し付けられた男の行く末はゴミと同類。

    彼を残して誰ひとりいなくなった道に、少女がこぼした涙が地面に浸透していった。


    第00章 日常
  • 4 Lito id:GWEKF3X/

    2011-10-15(土) 21:50:36 [削除依頼]
    >2 ゆいさん コメント嬉しいです^^頑張ります! 小説見に行きますね。
  • 5 Lito id:GWEKF3X/

    2011-10-15(土) 22:07:07 [削除依頼]

    少年と少女が15歳になるまでの間、彼らは幾度も同じ光景をこの国で見ていた。
    幼いころに感じたあの激しい感情も薄れ、慣れという奇妙な人間の習性が彼らを侵していた。
    わざわざ光景を目の当たりにして感想を述べることもなくなった。
    でもまだ心弱い少女を気遣う少年は、目の前で奴隷が傷つけられるたびに、少女の手を引いて静かにその場から離れていくのだった。

    少年は何処か異国の書物から「人は平等」と聞かされた。
    少女にその話をすると少女はしきりに少年に答えを求めた。

    「平等って?国の外では平等が普通なの?……ねぇ」

    少年が眉を歪めて首を横に振れば、少女は不安を顔に現す。
    かすかに震える少女の手を握ることしか少年にはできなかった。

    あれから10年の時が過ぎ、この国で変わらなかったのはふたりの距離だけ。

    国はだいぶ成長し、立派な外見をもつ「人身売買店」がいくつもできた。
    国民は3つの階級に分けられ、それぞれ身分相応の権利を与えられていた。
    性格に言うと、一番下の階級にいる身分の人は権利を与えられていない。
    彼らが「奴隷」だった。割合で言えば国民の30%だった。

    一方で、毎月使えきれないほどの収入を得、時間も労働力も蓄えも捨てるほど与えられた階級もある。
    彼らは「神民(シンミン)」と呼ばれ、国民の10%を占めていた。
    2つの階級のちょうど間にある「平民」は、世界の先進国に住む人の平均的な暮らしをしている。
    少年と少女もこの階級に属していた。

    3種類の国民は地域はわけられることなく、街で当たり前のように混じり合っていた。
    その分奴隷身分に対する視線は冷たく、ある意味地域をわけられることよりも残酷だった。
    とはいっても、奴隷のほとんどが商品として扱われているため住居を持っている者は少ない。
    商品にならないのは体が弱く使いものにならない連中だった。
  • 6 Lito id:GWEKF3X/

    2011-10-15(土) 22:29:13 [削除依頼]

    たくさんの法律も定められた。
    奴隷身分に物を与えたら罰金、奴隷身分を助けたら謹慎処分、奴隷身分と対等な付き合い(主に恋愛)をした場合階級を落とす処分。
    国が言いたいのは「奴隷を苦しめろ」または「身分社会を目指せ」のどちらかでしかない。
    独裁政治ではないが、国民の意見が反映されてこんな社会になったのかと思うと、少年や少女は首を傾げるばかりだった。


    少年と少女は特別約束をしていたわけではないが、幼いころから自然に、太陽が昇ると街の外れの小さな森で会っていた。
    森で会い、たまに街へ出かけ、陽が落ちれば別れを告げて家へと帰る。そんな毎日を繰り返している。

    人が人と扱われない狂った明るい街にいるよりずっと良かった。

    「お金が欲しい」
    切り株に座った少女が呟く。
    「神民みたいに?」
    少女の発言になんとなく気を悪くした少年が皮肉交じりに言う。
    「神民は嫌いよ」
    少女は苛立ったように言い放った。
    「じゃあ何で」

    「お金って、力(権力)と同じことでしょ。
     私に力があればこの国を変えたいなって思ったの」

    言葉を聞いて黙りこくる少年に少女は慌てたように言う。

    「ごめん……簡単な気持ちで言ったわけじゃないんだけど……」
    「分かってる」

    少年だって幾度も考えた。自分に力さえあればと。
    そうしたらこの狂った国を、少女が笑える場所へと変えられるのに。
    昔から洞察力に優れた少年は、少女にい抱く己の気持ちもすでに理解していた。
    国を変えたいという願いの、本当の動悸の不順さにひとり自重する。
  • 7 花音 id:28aI42h1

    2011-10-15(土) 22:33:47 [削除依頼]
    すごい…、読んでみたら
    本当の小説みたいです!私も見習いたいです
    再新頑張って下さい*
  • 8 Lito id:E5XvEuh.

    2011-10-16(日) 09:00:17 [削除依頼]
    >7 花音さん 見習うほどのもんじゃないですよ(慌 更新がんばります!
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