彼等の最後の、依存。9コメント

1 美羽 id:zgGO7ox0

2011-10-09(日) 11:56:27 [削除依頼]
「これで終わりにするよ」

その言葉は本当なのか、嘘なのか。
分からないわたしは見守る事にした。
完璧に壊れ掛けている彼を。
  • 2 美羽 id:zgGO7ox0

    2011-10-09(日) 12:02:21 [削除依頼]
    一章 方向音痴と不協和音
    彼の事を一言で言うなら、“異常”だ。
    正直、わたしだって、あまり彼と関わりたくない。
    だけど、彼とわたしは幼馴染と言う絶対に縁を切れない関係上に置かれていて、やっぱり放って置けなかった。

    「嬰歌?」

    彼が、わたしの名前を呼んだ。
    蒼井嬰歌。
    わたしの名前。
    名前から分かるように親は音楽が好きだった。
    特にクラッシック。
    ま、わたしは嫌いだけど。

    「何?」

    「また変わったわ。俺の、依存」

    「そう。で、次は何なの?」

    「二次元」

    わたしは大きく溜め息を吐いた。
  • 3 美羽 id:pjNiFms/

    2011-10-09(日) 12:14:52 [削除依頼]
    彼の趣味(=依存)は直ぐに移り変わって行く。
    バスケ、野球、サッカー、陸上、読書、音楽、引きこもり等、挙げて行くとキリがない。
    特に引きこもりは陰湿だった。
    だって、ずっと家に引きこもっているんだから。
    出席日数が危ぶまれて、わたしまで焦って来た時、偶然彼の趣味が変わってくれて、何とか助かった。
    簡単に言えば、彼は物事に直ぐ飽きるって事だ。
    反対にわたしはハマる物事が何一つない。
    趣味もないし、特技もない。
    成績は良い方で、運動も良い方。
    優等生と言っても良いくらいの人間。
    それが凄い事なのかも知れない。
    けど、裏を返せば、何の特徴もないしょうもない人間。
    彼とわたしは正反対だった。

    「二次元って、何よ。オタク?」

    「そう。ヤバい。深夜アニメにハマった」

    ま、今回の依存はマシだ。
    ちょっと、ズレているかも知れない依存だけど、良しとするか。
    わたしは安堵する。

    「でさ、嬰歌」

    「ん?」

    「俺って、何なんだろうな」

    若干、天然っぽかったコイツが凄い事を言った。
    今年で十六年間、ずっと一緒にいるけど、こんな事、一度も言わなかったのに。
    自分の存在について、悩み始めたのか。

    「何って、人間じゃない」

    「だよな。嫌、俺、生きている意味、ないような気がして」

    「大丈夫よ。あなたは生きなきゃいけない理由がある。分かった?」

    「理由って、何?」

    流石にわたしもそれは答えられなかった。
    数秒間、考えた後にわたしは言う。

    「し、死.んだら、葬式代、掛かるでしょう?親に迷惑掛けるじゃない」
  • 4 美羽 id:pjNiFms/

    2011-10-09(日) 12:53:22 [削除依頼]
    鬱々とした話だったから、違う事を考えよう。
    例えば、彼がモテる話とか。
    彼は小学校の頃から、よくモテていた。
    バレンタインデーもよくクラスの女子から、チョコを貰っていて、凄くベタだが、靴箱にはチョコの入った箱が沢山入っていた。
    それは中学に入ってからも続いていて、バレンタインデーだけでなく、通常の何気ない日に告白だったりと、彼は告白される事も多くなって行った。
    幼馴染がモテていると言うのはちょっと誇れる事だったりして、わたしは嬉しかったが、当人の彼は何も思ってないみたいだった。
    彼は誰とも付き合う気がないらしい。
    勿体無い。
    と、中学三年間、誰にも告白されなかったモテないわたしは思う。

    「蒼井さん」

    放課後。
    廊下を歩いていると、声を掛けられた。
    振り返ると、見覚えのある男子生徒だった。
    確か、生徒会役員の一人。
    学年は二年生で、先輩。

    「はい。何ですか?」

    「蒼井さん、生徒会、入って見る気、ない?」

    意外な展開だった。
    まさか、生徒会への誘いだとは。

    「え、えっと、生徒会、ですか?」

    「ちょっと、一枠、空いててね。書記何だけど。書記って、一年がやる決まりっぽくて。会長が一年で一番優秀なのは蒼井さんだって言ってたから、僕が代わりに勧誘しに来たんだけど」

    「か、考えて置きます」

    「そう?じゃ、良い返事、期待してるよ」

    先輩は爽やかに立ち去って行った。
    凄い失礼な話だが、わたし、この先輩の名前を知らない。
    どっちにしろ、入る気なんて、全くないんだけど。
  • 5 美羽 id:pjNiFms/

    2011-10-09(日) 13:03:50 [削除依頼]
    彼とわたしの家は隣だった。
    生まれるのも、同時期だったから、彼とわたしは0歳からの付き合いって事だ。
    ある意味、凄過ぎる。
    ちなみに彼は十月十日生まれで、わたしは十一日生まれだったりする。
    幼稚園から小学校低学年までは合同で誕生日パーティーとかしてたけど、小四の途中、わたしの両親が仕事で家を留守にしがちになってから、それはなくなってしまった。
    自然消滅って奴だ。

    「あ、真冬、今から部活?」

    下駄箱で靴を履き替えていると、真冬が現れた。
    鳴上真冬。
    偶然、この高校の入試の時に知り合った。
    クラスが違うけど、廊下で擦れ違ったりしたら、よく話している。

    「そう。生物部、だけど」

    よく見れば、真冬は水槽を持っていた。

    「嬰歌は?今、帰り?帰宅部だから?」

    ちょっと特徴的な話し方だが、これが何時もの真冬だった。
    断片的な事しか聞いて来ない。
    そして、真冬は何処となく、
    彼と似ていた。
  • 6 美羽 id:pjNiFms/

    2011-10-09(日) 13:10:31 [削除依頼]
    真冬と別れて、わたしは家に帰る。
    家には誰もいない。
    両親が次に帰って来るのは多分、年末。
    二人とも、忙しいのか、連絡もあまり来ない。
    正直、わたし、捨てられてるんじゃないかと思ってしまう。
    嫌、育児放棄?

    「あーあ」

    スクバを放り投げ、ベットに飛び込む。
    一人で、一戸建ては広過ぎる。
    掃除も大変だし。
    さて、夕飯でも、買いに行こうかな。
    とか何とか思っていると、思わず、居心地が良くて寝てしまった。
  • 7 美羽 id:pjNiFms/

    2011-10-09(日) 13:31:09 [削除依頼]
    起きたら、八時を回っていた。
    全く、何で寝てしまったんだか。
    わたしは夕飯を求め、コンビニにいた。
    弁当と適当にジュースを持って、レジに向かう。
    バイトの店員がやる気のない感じにレジを打ち、わたしはお金を払ってコンビニを出る。
    再び通って来た夜道を歩く。

    「……、」

    途中、道の真ん中に血痕があった。
    しかも、結構大きい。
    行く時はなかったのに。
    何が、あったんだろう。
    コンビニ袋を持って、首を傾げる。
    ……ま、いっか。
    あまり気にする事なく、わたしはそのまま家に帰った。
    そして、次の日まで、その事を綺麗さっぱりと忘れていた。
  • 8 美羽 id:pjNiFms/

    2011-10-09(日) 13:46:38 [削除依頼]
    次の日。
    学校に行くと、彼はもう来ていた。
    日頃、遅刻ギリギリでやって来るのに珍しい。

    「あ、嬰歌、見たか?朝のニュース」

    自分の席に着くと、彼から話し掛けて来た。
    朝のニュース?
    思い返せば、今日はテレビを点けてない。

    「見てないけど」

    「この町で殺.人事件があったらしいぞ」

    「へえ。何処?」

    「櫻町三丁目ぐらいじゃねーの?ほら、コンビニの近くの裏道っぽいトコ」

    「……え」

    「お前、よく夕飯とか買ってたコンビニだろ。大丈夫だったか?」

    あの血痕、マジだったのかも知れない。
    わたし、下手すれば、犯人と遭遇してた。
    危な……

    「嬰歌?」

    「う、うん。何ともなかったけど。ちなみに時間とかは?」

    「時間?」

    「犯行時間」

    「さあ?ニュースは深夜にやってたらしいけど。だから、昨日の夕方か夜くらい何じゃねーか?」

    「そう」

    「で、亡.くなったのが此処の生徒でな」

    「凄い怖いわね。誰なの?」

    「一年の鳴上真冬、だっけ?」

    「……真冬?」

    同姓同名……じゃない。
    本当に真冬が。

    「何かの間違いじゃないの?」

    「嫌、合ってると思うけど。気になるなら、ケータイで調べろよ」

    言われる通り、サイトに繋げて調べた。
    結果、彼の言い分は正しかった。

    「真冬」

    「知り合いだったのか?」

    「え、あ、うん。友達」

    友達が亡.くなったのに。
    如何してだろう。
    わたしは泣けなかった。
  • 9 美羽 id:pjNiFms/

    2011-10-09(日) 13:57:51 [削除依頼]
    そのまま流される様に校内で、真冬の名前は囁かれる様になった。
    多分、全校生徒で真冬を知らない人間はいない。
    それから、数日後。
    わたしは真冬のお葬式に来ていた。
    来ている人達はやっぱり、制服を着ている女子が多かった。
    何だかんだ言って、真冬は友達が多かったのだろう。

    「真冬……っ」

    真冬の母親らしい人や友達が泣いている。
    まただ。
    お葬式に行ったら、絶対泣いてしまうと思った。
    なのに涙は出て来ない。
    真冬がいなくなって、哀しいのに。
    何で、何だろう。

    「嬰歌?」

    驚いて、振り返ると、彼がいた。

    「嫌、何でいるの?」

    「何となく」

    「そう」

    「お前さ、泣かないんだな」

    まさか指摘されるとは思わなかったので、わたしは大いに驚く。

    「友達、なんだろう?」

    「知らないわよ。もう分からない。只の知り合いだったのかなって思ってしまうし。それより、まだ二次元が持続中なの?」

    「ああ」

    「あっそ」

    早く立ち去りたかった。
    真冬には申し訳ないけど。

    「じゃ、わたし、帰るね」

    そう言って、彼を横切って行くつもりだった。

    「待てよ」

    彼はわたしの腕を掴んで、行くのを止めた。
    彼らしくない行動。

    「お前、本当に覚えてないのか?」

    「何を?」

    「あの日、俺はコンビニの近くでお前を見たんだ」

    「そりゃそうでしょうよ。わたし、夕飯買いに行ってたんだから」

    「その時のお前、血塗れでナイフ、持ってただろ」

    え……

    「は?何言ってるんだか」

    「幼馴染だから、黙ってたけど、お前がやったのか?」

    「やってないって。大体、証拠なんてないでしょう?」

    「お前、泣かなかったじゃないか」

    それは証拠にならない。

    「煩い。わたしが人殺.しなんてするわけないじゃない。右京、何かの見間違いじゃないの?」

    彼の手を振り切って、わたしは走った。
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