生き残る、ということ。10コメント

1 k id:vIDrLfE0

2011-10-08(土) 18:33:55 [削除依頼]
神崎へ。

あの時と変わらないものが、一つだけある。

‘空はまだ、綺麗だ’っつーことだ。

まだ、世界は捨てたもんじゃない。
まだ、俺はこの世界を救う為、自分の命を懸けて、仲間と一歩一歩前進していく。

まだ、あんたを忘れるわけにはいかない。
大事な仲間だったから。

こんな世界になったせいで、俺たちは生死を彷徨う世界で生きていくことになった。

でも、こんな世界になったが、よかったと思うことが、一つだけある。
あんたと出会うことが出来た、ということ。

あんたの墓参りは、全てが終わったときに、行くとするよ。

それまで、ぜってー生き残ってやっから待ってろよ。
  • 2 k id:vIDrLfE0

    2011-10-08(土) 18:48:46 [削除依頼]
    この世界は、ちょうど七年前、豹変した。

    世界が、誰かの手によって支配され、人々は戦うことを余儀なくされた。
    誰かをその手で殺めると、自分にその命が加算され、人は死んでもそれがある限り死ななくなる。
    自分の命は、自分と相手が了承すれば、誰かに与えることができるようになった。
    ただし、死人は蘇らせず、誰かに命を与えることが出来るのは、自分の命が複数のときのみ。

    何故、こんな世界になってしまったのか?
    誰が、こんな世界にしてしまったのか?

    人々は、困惑し、必死に生き残ろうとした。

    そして、人々は気付いた。
    ‘命は限りがあるから、輝くものなのだ’

    全ては、七年前の、全世界テレビ、ラジオ放送ジャックから始まった。
  • 3 k id:vIDrLfE0

    2011-10-08(土) 19:11:46 [削除依頼]
    テレビが砂嵐になり、ラジオが急に切れ、その五秒後、あるものの声が聞こえてきた。
    『まぁ、この世界は俺が支配したんで、あと世界のルールは全世界のテレビにつけっぱで映しとくから読んどいてね』
    あとで、分かったことだが、やはりその国ではその国の言語で放送していたらしい。
    それにしても、適当な放送である。

    それから、全世界のテレビには、白いバックに、黒い文字が写っている。

    ライフラインは今まで通り、ずっと途切れないらしい。
    携帯も使え、全世界に繋がるようになり、料金無料のトランシーバー状態となった。
    しかし、そのおかげで繋がりにくくなったのが、難点だ。

    働いてる人もいないのに、どういうからくりでライフラインが揃っているのかは分からない。
    だが、七年後である今も、途切れる事なく電気も水もガスも通っている。

    とりあえず、ルールが説明され、最初は誰も信じていなかっただろうが、わずか一週間で人々はそれが真実だと全員認識した。

    時は進み、人口も、億という単位から万の単位に変わっていった。
  • 4 k id:vIDrLfE0

    2011-10-08(土) 19:47:57 [削除依頼]
    今、二人の仲間と一緒に、どこか分からない、東京のホテルにいる。
    俺らは入念にチェックして、誰もいなかったので今日はここに泊まることにしたのだ。

    仲間の一人は、まだ中学生で、実は俺もまだ20歳。
    中学生は上条沙希(かみじょう さき)といって、女だ。
    事が起こったときはまだ小学生で、道端で泣いていたところを俺が保護をした。
    といっても俺もまだ中学生だったが……。
    親はもう殺されたらしい、すぐに逃げてきたようだった。
    最初はまずまずだったが、今はすっかり慣れて、妹のようだった。

    また、食事など、衛生面も管理してくれるのは、二十五歳である、栄養士である女だった。
    髪はいつもポニーテールで、俺らのなかではお姉さん的な存在であった。
    名前は、赤松希(あかまつ のぞみ)である。
    まぁ元々俺の近所で知り合いだった、そして二人とも親が殺され、一緒に逃げてきたのだ。

    俺らは拳銃をいつも持ち歩いており、弾も二十四発はそれぞれもっている。
    俺のバックには、ショットガンや、マグナム、その他色々な凶器が入っている。
    武器が手に入ったのは、親父がそういう類の仕事をしており、隠し地下にあった武器を息子である俺にくれたのだ。

    「ねぇ……春途(はると)?」
    真っ暗闇なので何も見えないが、俺の名前を呼ぶ、希の声がした。
  • 5 k id:vIDrLfE0

    2011-10-08(土) 21:48:17 [削除依頼]
    「ん? どうした?」
    春途はベッドに横になったまま希の声に返事をした。
    「明日はどこに行くか決めたの?」
    一番年上は、希だったが、行動に関しては異論がなければほとんど俺が決めていた。
    俺には、二人を守る、という義務もある。

    「明日か、どこか行きたいとこ、あるか?」
    と、そこに沙希の声も加わった。
    「ねぇねぇ、うちは東京を出てみたいなぁ。いいでしょ〜?」
    たしかに、どこでも住めるし、働かなくても生きていけるので、どこに行っても問題はなかった。
    沙希はまだ、東京を出たことがないので他県に興味があるのは当然だった。
    「んじゃあ、明日は関西のほうに向かおうか?」
    「やったぁ〜!」
    真っ暗だったが、沙希が手をグーにして喜んでいる気がした。
    「賛成……かな」
    希の声も聞こえる。

    「決まったことだし、早く寝ろよ? もう十二時過ぎてるからな」
    開いた携帯が、真っ暗に慣れた春途の目には眩しくて、目を瞑ってしまった。

    「おやすみ」
    沙希だけが言った。
    そして、三人は静かに眠りについた。
  • 6 k id:vIDrLfE0

    2011-10-08(土) 22:11:46 [削除依頼]
    新・西暦七年 九月二十四日
    春途、五命
    希、二命
    沙希、三命
    (※命は、生きられる命の数を表してます)

    暑さもなくなり、過ごしやすい季節になった。
    だが、この季節も長くは続くことはない、すぐに冬の寒さがやってくる。

    「おはよ〜、お腹空いたぁ……」
    朝から一発目がその言葉とは、さすが成長期、と春途は沙希に対して思った。
    春途も沙希と同じタイミングで起きたが、もうすでに、希は起きていたらしくて、部屋からいなくなっていた。
    「希姉ちゃんは?」
    「さぁ? 俺も今起きたから分かんないんだよ」

    着替えをすませ、そろそろ希に連絡をとろうかと携帯を取り出したとき、部屋のドアが開いた。
    「さぁ、朝食だよ。下の食堂に降りてきて?」
    希が素晴らしいタイミングで戻ってきた。
  • 7 k id:RfsgY2b0

    2011-10-09(日) 12:43:11 [削除依頼]
    さすが栄養士、と言わんばかりの朝食だった。
    俺らはぺロリと朝食を食べると、寝ていた部屋に戻って言った。
    「さぁ、今日は関西方面に行くんだって?」
    希は自分のバックの中を整理しながら言った。
    「だな、車は俺が運転する」
    十六歳のとき、希から運転の仕方をおしえてもらったのだ、今の世界じゃ、運転免許証なんて役に立たないからな。
    運転できればそれでいいのだ。

    「うちは、車で寝てていいの?」
    「あぁ、沙希は寝てていいが、急に起こすかもしれないから、よろしくな」
    「やった!」
    この時期特有の眠さが沙希にはあるのだろう。

    俺らは、荷物を積んで、ミニワゴンで、一晩限り泊まったホテルを出発した。
    今の車のほとんどは、電気で走ることができ、充電時間も五時間で千kmは走るという。
    中には空気を使って走る車がある、構造はよく知らない。

    「んじゃぁ、おやすみなさい」
    助手席に希、運転席に俺、後部座席に沙希が横になっていた。

    信号機はちゃんと作動していたが、それも人がいないので、あまり意味がなくなっていた。
  • 8 k id:s8aiA4m0

    2011-10-10(月) 13:17:45 [削除依頼]
    その途中、戦いが行なわれているようだったマンションの前を通った。
    耳をすませなくても聞こえてくる銃声、叫び声。
    もうこの世界は一変してしまった、と一瞬で分かるようだった。
    希に止めるよう言われ、そのマンションの前で車を止めた。

    「叫んでるの女の人じゃない?」
    希が助手席で心配そうに言った。
    「多分、敵は複数いるぞ? どうしたい?」
    基本的に、希に聞いているが、いつも答えは同じだった。
    「私……放っておけない」
    「バカかって。希、お前は残っておけ、俺が様子を見に行く。沙希を頼んだぞ」

    春途たちは助けられる命がある限り、いつもこうしてきたが、なかなか上手くいくことはない。

    「なにかあったらすぐ連絡よこせよ?」
    「わかったよ」
    沙希は今さっき起きたようだった。
    「春途どこか行っちゃうの?」
    「あぁ、でもすぐ戻ってくるから安心しろよな」
    「別に心配してるわけじゃないけどさぁ……」

    春途は車を人目につかないような公園に止め、バックを背負い、静かにマンションに入っていった。
    まだ、銃声が鳴り響いてることから女は生きている事が分かった。
  • 9 k id:s8aiA4m0

    2011-10-10(月) 21:55:19 [削除依頼]
    このマンションは十四階建て、一階にあるポストの番号で分かった。
    今、銃撃戦が繰り広げられているのは、恐らくは十階あたりであろう。
    地上約三十メートルで殺し合いが行なわれているのだ。

    こんなに身近になってしまったとは……。
    春途はゆっくりと音を立てないように階段を上った。
    一階のエレベータ乗り場付近で男が一人、うたた寝をしながら見張りをしていた。
    今、仲間が殺しをしているというのにのんきなものだ。

    声からすると、さっきの男を合わせて敵は三人、襲われているのは女一人のようだった。

    春途が七階にいたところで、女が腕から血を流し、階段から降りてきた。
    女は後ろを見ていたのでこっちには気付いてないようだった、だが春途は強引に女を引き寄せ、女の口に手をあてて声を出せないようにした。
    もうすでに部屋に鍵があいていた部屋を確認していて、すぐにその704と書いてある部屋に閉じこもった。
    素早く二重ロック式の鍵をドアにかける。

    玄関を抜け、リビングにおいてあったソファに腰かけ、静かに言った。
    「いいか? 手を離しても絶対に騒ぐなよ? さっきの奴らに気付かれるからな?」
    女は春途の目を見つめ、ゆっくりと頷いた。
    茶髪で、ショートカット、大きな目、身長百五十五センチ程度、今はそれしか春途から確認できなかった。

    春途はゆっくりと女の口から自分の左手を離した。
  • 10 k id:s8aiA4m0

    2011-10-10(月) 22:30:51 [削除依頼]
    「とりあえず……助けてくれたんだよね?」
    それが彼女の第一声だった。
    綺麗な声、というと希の声のほうが綺麗で、かわいい声、というと沙希のほうがかわいい声で、彼女の声は中間といった声だった。
    だからと言って、嫌いな声ではない。

    「あぁ、とりあえず、春途だ。よろしく」
    春途は軽く微笑み、右手を差し出し、彼女と握手をした。
    「わたしは芽衣(メイ)だよ、とりあえず、ありがとね?」
    「お礼はここのマンションを抜け出せたらでいい。命は……何個持ってる?」
    「さっき二つ取られて、今は最後の一個しかないの」
    「んじゃぁ、左手出して、俺のほうに向けな? 俺のを一つやる」
    「ダメだって! そんなこと申し訳ない……」

    いくら言っても芽衣は俺の命をもらおうとはしなかったのだが、次の言葉でしぶしぶ了解してくれた。
    「んじゃぁ後で返してくれよ?」

    「俺が最初に部屋を出て、奴らを東の階段に引き寄せる。そしたら芽衣は西の階段で一気に駆け下りるんだ。一階のエレベータ付近に奴らの仲間がいるから気をつけろよ?」
    「わかったけど……ホントにいいの?」
    「あぁ、俺は死ぬ事はないから大丈夫だ。森林前公園にミニワゴンがあってそこに俺の仲間の女が二人乗ってるからそこに行くんだ。芽衣、出来るな?」
    「うん、ありがとう。会ったばかりでこんな絶望的なのに助けてくれるって春途、ホント優しいね」
    「そういうのは助けてもらってからにしろよ」
    芽衣の笑顔に、春途も満面の笑みで返した。

    春途は玄関のドアの前に立ち、静かにドアをあけた。
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