― know ―43コメント

1 のっと id:ez-/YSyGYl0

2011-09-27(火) 17:56:22 [削除依頼]
少女は知っていた。
この道が自分の家への帰路ではないことを
少女は気づいていた。
少女を挟むように歩く二人の男女が自分の肉親ではないことを
少女は勘づいていた。
その男女はこれから…いや、今から自分の親になることを
少女は悟っていた。
もう本当のお母さんにもお父さんにも会うことはないのだと
少女は告げた。
沈みかけた金色の太陽に
さようなら
少女はわずかに五歳であった。
沈む空は少女には大きすぎた。
  • 24 のっと id:ez-Vm7dDg3.

    2011-10-25(火) 22:16:17 [削除依頼]
    悲しいのだろうか、
    いや、きっと何も考えてなどいないのに
    思い出したように溢れ出る涙。
    「なに、いい年こいた坊っちゃんが泣きべそかいていやがる。」
    少ししゃがれた低い声の持ち主は煙草をくわえたままポッケに両手を突っ込み塀にもたれて言う。
    いつから居たのだろう?
    ずっと見ていたのかもしれない。
    彼は年齢には合わない、
    白髪だらけの頭を掻きながら半ば呆れ顔で自分に近づく。
    近寄れば近寄るほど、
    顔の黄ばみが目立ってとても30代前半とは思えない。
    その間
    彼はもちろん、
    煙草をくわえたままである。
    だから、老けて見えるのだ、煙草なんかやめればいい。
    と心の底で愚痴ってみたが、彼には伝わらなかったようだ。
    泣いている玲哉を前に立ち止まり、
    ずっと吸い続けていた煙草を口から外し、それを地面に捨て、踏んで火を消すと、
    彼は呆れ顔から一変、
    真剣な表情になり、
    約2秒後に玲哉を抱き締めた。
    「玲哉、何かあっても俺がいる、ここの皆がいる、泣くなら思う存分泣いてやれ。」
    彼の声も幾らか震えていた。
    十秒程の抱擁の後、
    玲哉は頭を軽くぽんぽんとされた、
    その頃にはもう原因不明の涙は止まっていた。
    それは父親の温もりに似ているのかもしれなかった。
    と、言ったって勿論彼は父親ではないし、
    父親の温もりなど、
    玲哉は持っていない記憶だ。
    彼の名前は町田圭介、
    7才の頃からこの施設で育ち、
    今はこの施設の職員をしている。
    いわば、
    ベテランかもしれない。
    まぁ、こんな施設のベテランがベビースモーカーと言うのも笑える話だが。
    そう思っている間に
    彼はまた一本新しい煙草を口にくわえ、満足そうな笑みを浮かべる。
    絶対に圭介さんは早死にするだろう。
  • 25 のっと id:ez-Vm7dDg3.

    2011-10-25(火) 22:17:38 [削除依頼]
    wwwwwwwwさん
    なんか更新まちまちですが、読んでくださりありがとうございますm(__)m♪
  • 26 wwwwwwww id:Y2zbrdN.

    2011-10-26(水) 17:05:31 [削除依頼]
    メッセージ性が強くて。毎回考えさせられます。
    自分がこういう風になったらどうしよう?って
    キャスフィにはこういう作品他に無いので
    頑張って更新して欲しいです。
    ↑別にペース速めて、って言ってる訳じゃありませんよw
  • 27 のっと id:ez-QT35zyg/

    2011-10-27(木) 20:48:16 [削除依頼]
    wwwwwwwwさん
    なんか照れます//←
    ありがとうございます♪
    更新も頑張りますw
  • 28 のっと id:ez-QT35zyg/

    2011-10-27(木) 21:15:37 [削除依頼]
    屋内に入るといい香りが鼻をかすめた。
    シチューだろうか?
    「おぅ、玲哉。
    今夜はシチューなんだ。喜べ。」
    圭介さんが一瞬、
    自分の心でも読んだのかと思って目を見開いた。
    まぁ、
    そんなわけはなく、
    彼は嬉しそうな横顔で煙草をくわえている。
    「うん、
    いい匂いがするね。」
    「だろう?」
    圭介さんは自慢気にニカッと笑って見せたが、
    きっと作ったのは彼の奥さんだ。
    知恵子さんと圭介さんは大学で知り合ったらしい。
    本当に仲の良い夫婦だ。
    「あぁ、そういえば、
    お前の学年に目立った女はいないか?」
    圭介さんは思い出したように唐突に言ったが
    どうゆう意味なのだろう?
    目立った女?
    「…例えば、
    留年したやつとか…」
    一瞬、圭介さんは刑事ドラマでよくみる、
    犯人の核心をついたときのような表情をした。
    …目立った女、留年、
    玲哉は出来る限り、
    記憶を探った。
    途中少し頭痛が響いた。
    「藤堂つったかな?
    その人のこと?」
    「あぁ、
    そうだそいつだよ!」
    やけに大袈裟な反応が帰ってきて、
    玲哉は少し驚いた。
    まるで、もともと
    名前も何も覚えていて、知っていたかのようだった。
    いや、知っていて聞いたに違いない。
    「玲哉、そいつ…藤堂瑛梨には気をつけろよ?」
    圭介さんはそれだけで
    後はもとの他愛ない会話に戻っていた。
    なぜ―
    俺は名字しか言っていないのに。
    藤堂瑛梨…
    何者なのだろうか?
    帰ってくる前に彼女に会っている気がするが、
    わからない。

    疑問が再び頭痛を呼び起こしそうだった。
  • 29 のっと id:ez-Pi3Ty/g.

    2011-10-28(金) 16:33:00 [削除依頼]
    ―疑心暗鬼―
    翌日、学校に行くと何故だかクラスは閑散としていた。
    まだ、ホームルーム前ではあるけれど、もう5分ほどで始まろう教室には生徒は通常の3分の2ほどしかいない。
    いつも、遅い生徒は別として、クラスの人気者といった感じの牧野やその連れまでもがいない。
    インフルエンザでも流行ったのだろうか?
    それとも、皆で遅刻か?
    それは何とも羨ましい。
    不思議に思ったが、それ以上は考えなかった。
    後のホームルームで先生は怪我だと言っていたが、おおよそ自分には関係ないだろう。
    チラッと牧野の席を横目で確認すると一人のクラスメイトと目があった。
    向こうは一瞬、目を見開いてびっくりしたが、直ぐに顔を前に向かせた。
    顔が少し青ざめているようにも見える。
    やっぱり、誰がどう見ても俺は不良なんだな。
    彼はたしか、牧野のつるんでいる連中の一人、
    萩原一騎。
    細身の中性顔なため
    女装なんかしたら様になるかもしれない。
    ただ、今はなんだろうか、足にギプスがついている。
    よくみれば机の横に松葉づえもあった。
    また、彼の綺麗な顔は所々に傷がある。
    昨日までとはなにか違う…気がする。
    とはいえ、いつも彼を見ていた訳ではないし、なんせ、ここ数日の記憶はないため、核心などもてないが。
    そんなことを考えていると再び彼と目があった。
    だが、次にびっくりしたのは自分の方だった。
    彼はニコッと自分に笑いかけたのだ。
    何故だ?
    なぜ俺に?
    空いた口がふさがらないとはこの事だ。
    疑問は様々あったが、とりあえず、嬉しかったので自分も微笑みを返した。
    …巧く笑えているだろうか?
  • 30 のっと id:ez-Pi3Ty/g.

    2011-10-28(金) 17:12:00 [削除依頼]
    全ての授業がおわると、まるで当たり前だと言わんばかりの表情で萩原は自分の机の前に立っていた。
    「な、なぁ?
    本田くんさぁ、き、昨日の事なんだけど…。」
    彼は笑顔ではあったが、語尾は弱々しくどもっているように話した。
    松葉づえをもった手は少し震えている。
    そんなにも俺は怖いのだろうか?
    「えと…。ごめん。
    俺、あんまし覚えて、ないんだけど…何かしたかな?」
    正確にはまったく覚えていないが。
    出来るだけ、怖くないように柔らかく話してみた。
    彼はそれを聞いてパッと明るい表情になり、
    「いや、特に重要なことじゃないよ。」
    と、今度はハキハキと話した。
    また、語尾に付けた笑顔はまさに好青年だ。
    「なぁ、本田くんて帰り道はどっちの方向なんだ?」
    どっちの方向とは
    多分校門をでてどちらに曲がるのかだろう。
    「右だよ。」
    俺も萩原を真似て笑顔で返したが、やはり好青年には見えないのかも知れない。
    萩原が一瞬、ギクッとしたような気がした。
    「奇遇だ!俺もそっちだよ!なぁ、一緒に帰らないか?」
    今度はこちらがギクッとした。
    萩原は全てをお返してくるようだ。
    ただ、これは感動だった。
    ―一緒に帰らないか?
    と脳内が萩原の言葉で埋め尽くされそうだ。
    涙が出そうになり、
    多少焦った。
    「か、帰ろう…!」
    小学校以来に聞いた言葉だ。
    体が熱くなって、嬉しいのと同時に、
    何故か素直じゃない自分がいるのに気づいた。
    ―信じて大丈夫か?
    疑うことの方がないのに、何故かこの疑問が頭をかすめて小さな頭痛をおこした。
    深層心理?潜在意識?
    なんなのだろうか。
    わからない。
    俺の奥深くには人間不信でもあるのだろうか?
    何とも、遺憾である。
    圭介さんが前にいった。
    「玲哉は単純なばかだな。直ぐに騙されるし、その事を学ぼうとしない、ただ、それがお前の長所だ。人間不信なんてお前に一番近そうで実は一番かけ離れている言葉だな。」
    そういって、玲哉の頭をぽんぽんと軽く叩いた。
    本当に柔らかい笑顔だった。
    また、自分の長所があることにたいしての喜びもあった。
    中学1年生の今頃だ。
    そうだ、圭介さんが間違いをゆうはずがないんだ。
    自分の長所を誇りにもたなければ。
    「さぁ、帰ろうか!」
    そういって笑う青年に玲哉は精一杯の笑顔で頷いた。
  • 31 wwwwwwww id:ePXCjOe/

    2011-10-28(金) 17:17:00 [削除依頼]
    怪しい少年ですね〜。
  • 32 のっと id:ez-Pi3Ty/g.

    2011-10-28(金) 17:51:03 [削除依頼]
    ―萩原一騎said―
    あぁ、聖母マリアよ。
    大勝利だ。
    一騎は玲哉との帰り道、ニヤニヤが顔にでていないか不安でしかたなかった。
    予習はやはり命だ。
    一騎は一人の部屋で密かにほくそ笑んだ。
    彼は1つのファイルを引き出しから乱雑に取り出すと、とうとう声を上げて笑い出した。
    「ふはは!クククッ!」
    ファイリングされているのは、
    奴――本田玲哉の"情報"である。
    一騎が自ら調べあげて纏めたものである。
    まぁ、苦労をした、
    纏めるのに2週間もかかってしまった。
    そこにこんなことが書かれている。
    ――――
    本田 玲哉
    →よく短期間の記憶をなくす。
    衝撃的なことがあるとそれを忘れる癖(精神的病)があるらしい。
    ――――
    彼の中学時代の同級生に聞いた話であり、半信半疑ではあったが、まさに使える情報であった。
    まさか本当だったとは。
    一騎はまた笑いだしそうになったが、今度は抑えた。
    最初に目があったときは死ぬかと思ったが、全て結果オーライだ。
    いま、聖母マリアは完全に俺についている。
    まぁ、さすがに足をバットで折られたときは先輩を睨んだが、
    全ては本田のせいなのだ。
    本田がいなければ、先輩は怒らなかったし、藤堂瑛梨だっていなかったかもしれない。
    先輩達はニッコニコで俺の足もごくごく健康なはずだ。
    ギプスのある足に目を落とすと怒りがこみあげる。
    本田めが…。
    まぁ、いい。
    じっくり、確実にだ。
    痛めつけてやる。
    それでまた、全ての記憶をなくせばいいんだ。
    そしたら、
    また俺がお前をやる。
    最悪の永遠ループだ。
    いや、こいつは最高だ。
    綺麗な顔の口だけがニヤっと歪む。
    あぁ、マリア様?
    正当行為の復讐を許して下さいな!
    「ふはははは!うひひゃっ!!」
    ファイルには様々な事が書いてあったが、
    一騎が重要と蛍光ピンクでマークした場所には
    『藤堂瑛梨=本田玲哉の実姉』

    一言書き留めてあった。
  • 33 のっと id:ez-Pi3Ty/g.

    2011-10-28(金) 20:36:46 [削除依頼]
    wwwwwwwwさん
    如何にもですね(笑)
  • 34 のっと id:ez-Pi3Ty/g.

    2011-10-28(金) 20:50:25 [削除依頼]
    何となく区切りがよさげだから、
    人物紹介を――

    ――やらないか☆キラッ
    ―――――――
    町田圭介 マチダケイスケ
    …児童福祉課託児所の現職員で卒業生。
    かなりのヘビースモーカー。
    ―――――――
    町田知恵子 マチダチエコ
    …児童福祉課託児所の職員で圭介の妻。
    料理が得意。
    圭介とはおしどり夫婦。
    ―――――――
    萩原一騎 ハギワライツキ
    …見た目は今時の好青年。
    情報収集能力にはたけており、キリスト教の信者。
    本田玲哉を嫌う。
    ―――――――
    最初のテンションについてはノーコメントでw
  • 35 のっと id:ez-boJF22l1

    2011-11-04(金) 17:52:19 [削除依頼]
    萩原一騎。
    彼は自分の中で特別な存在になりつつある。
    所謂友達。
    いや、そう思っているのが自分だけだとしたなら…。
    彼に対する疑いは1ヶ月程たった今もまだ消えずにいた。
    学校では四六時中一緒にいるから、周りから見たら"親友"に見えるのだろうか?
    いや――
    玲哉は頭を降って無理矢理別のことを考えた。
    今日の晩御飯はなんだろう?
    知恵子さんは魚が好きだからな…。
    俯き加減でそんなことを考えているといきなり肩を叩かれる。
    「よっ!玲哉、なんだ?悩み事かい?」
    一騎はニカッと笑って見せた。
    「あぁ、晩御飯の事考えてて。」
    「なんだよそら!(笑)」
    一騎と自分の笑い声が廊下に響く。
    一騎は本当にいいやつだ。
    だからこそ、疑う自分が嫌でしょうがない。
    一騎が自分を裏切るとでも?
    そんなわけないじゃないか。
    こんなもの即答だ。
    しかしながら――
    「なぁ、一騎?
    俺達って…その…友達…だよな??」
    不安なら、聞けばいい。
    一騎は一度大きく目を開いて表情が微妙な笑い顔で固まった。
    不安がつのる…。
    息苦しい…。
    「なんだよ!
    そんなわけないさ!」
    彼は笑顔で答える。
    自分の表情が歪むのが鏡を見ているかのようにわかる。
    「え…?」
    思わず声が漏れた。
    一騎は余裕たっぷりの笑顔で続ける。
    「だって、親友だろ?」

    …。
    …なんだよ。
    一騎はずるい。
    心配して損したな。
    涙が頬を伝わる。
    一騎はいつも予想を超えた答えをもっている。
    「え、あえ!?なんで!?ごめん?やべ!」
    焦る一騎を見て笑う俺。
    「ははっ、
    一騎はずるいなぁ。」
    「え!?」
    「一騎、愛してる(笑)」
    これは我ながら気持ち悪いテンションだ(笑)
    「玲哉、お前変なやつだ!」
    あっかんべーをして、
    走り出す一騎を見てもう一度笑う。
    あれ?
    一騎のやつ、
    頬が赤くないか?笑
    それから下校までは
    まるで、中学生の女子みたいなやりとりをしていた。
    これが青春なら、
    とても心地のいいものだ。
    "親友"…。
    こんな感覚知らなかった。
  • 36 のっと id:ez-4/x.e7B.

    2011-12-31(土) 10:23:09 [削除依頼]
    ―萩原一騎side―
    面白い。
    面白すぎてたまらない。
    あいつは完全に俺を信じている。
    今日信じきったのかもしれない。
    極わずかだが遠慮が消えた気がした。
    はっ、親友ね。
    一騎は思わず口がにやりとするのを感じた。
    だが、同時に変な気持ちがあるのも確認していた。
    親友…ね。
    一騎は何年ぶりに使った言葉なのか考えていた。
    いや、ひょっとすると自分に当てはめたのは今回が初なのかもしれない。
    しかし、これはもちろん本田を貶めるための演技のなかでの話であって…
    思い出せ、足の痛みを!
    しかしながら、あしはもうほぼ治っていた。
    彼は考えた。
    何かを実行するならいまだろう。
    緩んだ帯を絞め直さなくてはいけない。
  • 37 のっと id:ez-4/x.e7B.

    2011-12-31(土) 12:40:18 [削除依頼]
    09:16分
    一騎はまだだろうか、
    9時に時間厳守だといったのはあいつなのに…
    驚いた。本当に。
    昨日、一騎に明日遊ぼうと誘われたのだ。
    一騎とは学校ではかなり一緒にいるが、遊ぶのは今回が初だ。
    何より休日も一騎と過ごせるなんて有難い。
    まるで恋人だな…。
    玲哉は少し笑った。
    「お〜い!!」
    人ごみに紛れて遠くに一騎の声がした。
    やっと来たか…。
    少し拗ねてやろうかと思ったがやめた。
    一騎の後ろには二人の男がいた。
    「あ、この二人は俺の部活の先輩なんだ。やっぱ二人じゃ寂しいかな〜と思って…だめだった?」
    最後の
    だめだった?は先輩達に気をつかってか小さく玲哉にだけ聞こえるように言った。
    「ん…?あ!いえ、大歓迎だよ!!一騎の部活の先輩さん、はじめまして。宜しくお願いします!」
    少し反応が遅れたので怪しまれたかもしれない。
    二人の男は驚きの表情をしていた。
    「ははは、なんだよ先輩さんて。君面白いねー!」
    「おう、よろしくな本田!」
    その後何度か話したが、名前は聞きそびれてしまった。
    一人は如何にもインテリといったメガネを掛けていて、もう一人は風格があるというか、大将やボスが似合いそうな男だった。
    話している間、何度か偏頭痛が起きた。
    それから何とも不思議な考えが浮かぶようになった。
    初めましてじゃない…?
    確かなことはわからないが、記憶のない期間に会ったような気がする…。
    何度か…。
    だから、始めに変な顔をされたのだろうか?
    考えれば考えるほど、頭痛は広がり、苦しい。
    分からないのだ。
    「あの…俺、先輩達に前に会ったことあります?」
    とりあえず、聞いてみよう。それが一番だ。
    二人の男はまたも驚きの表情をつくって、ボスの方は一騎を睨んだ気がした。
    「え?本当?廊下ですれ違ったんじゃないかなぁ〜?」
    インテリメガネ先輩は落ち着いて言った。
    玲哉も確かにそうかもしれないと思うことにした。
    「そうですね!いや、なんかデジャブ?みたいな感じで。ははは。」
    一騎がほっと胸を撫で下ろしたように見えた。
  • 38 のっと id:o4AJFQB1

    2012-08-20(月) 22:16:10 [削除依頼]
    既に日は沈んでいた。
    夏前とはいってもまだ早い時間に暗くなってしまう。
    そろそろ6時になる頃だろうか。
    「あー!」
    急な声に驚く三人。
    一斉に同じ方向をぽかんとしてみるその図はかなりシュールだったかもしれない。
    「あーあ、俺そういや7時からバイトだわ〜!ごめん!いっそいでかえりまーす♪」
    「え、おまえいつからばいとなんて…」
    「ん?2月前かなー?覚えてないわ(笑)じゃーね♪」
    かなり軽い調子でインテリメガネ先輩は答えるとそそくさと行ってしまった。
    またぽかんとしてお互いの顔を見る三人と沈黙を残して。
    「え、…えっと、じゃあ!そろそろ僕らもお開きにしますかね!」
    沈黙を破った一騎は少し動揺しているようにも見えた。
    「そ、そ、そうだな!よし!な!帰るぞ!おう!」
    ボスの風格の先輩は、こちらは確実に同様をしていた。
    眼が泳いでいる。それだけじゃない、少し怒りもあるような気がする。
    予想外に友達が一人帰ると言うのはこんなものなのだろうか。
    なにせ最後に"本当の"友達と遊んだのが
    小学校低学年の玲哉には何もわからなかった。
    「そうですね。そろそろ遅いですよね。」
    うまく返せていたのか、一騎はまたほっとした様に見えた。
    「おう、じゃーな。また、誘ってくれ。」
    そういうと、今度は明らかにむすっとしてもう一人の先輩は帰っていった。
    「じゃーな、玲哉。今日は楽しかったよ。」
    「あ、あぁ、俺も楽しかったよ一騎。あのさ…その。」
    「ん?なんだ?」
    「あぁ、いや。なんでもない。」
    また、ずきんと一度頭痛がした気がして最後まで言えなかった。
    「そうか。」
    少し困ったように一騎が返したのを聞くと、
    玲哉は頷いてから手をふって帰路へ向かった。
  • 39 のっと id:ajMdsTY/

    2012-08-20(月) 22:35:50 [削除依頼]
    たった一言。
    言おうと思って言わなかった言葉は"また、遊ぼう。"だった。
    これも最後に使ったのは随分と昔だ。
    そんなことをふらふらと考えながら我が家に着いた。
    つーんとさすスパイスの香り。
    今朝の会話を思い出す。
    知恵子さんが確かに今夜はカレーだと話していた。
    知恵子さんの作るカレーは
    大袈裟に聞こえるかもしれないが本当に世界一うまい。
    それと同時に別の会話もおもいだした。
    "今日は休日なのにこんなに早起きで…なにかあるの?"
    "え、あー。うん。と、…友達と遊ぶんです。"
    言うのには何故かためらった。
    信じてもらえないのではないかなとも思った。
    一瞬、知恵子さんの動きが止まったようにもみえた。
    "…"
    "ち、知恵子さん…?"
    恐る恐る確認をする。無論信じてもらいたかった。
    "よかったね…!"
    それだけ。
    ただそれだけを、涙を流して知恵子さんは呟いた。
    それが悲しい涙でないことは自分にもわかった。
    とたんに玲哉もないてしまいそうで顔を伏せた。
    心配をかけていたのだなと今更ながら実感をした今朝であった。
    そのあとは、圭介さんが起きてきて
    知恵子さんが泣いてるのを玲哉のせいにしてあれやこれと質問をするのでとても困った。
    いや、確かに泣かせたのは自分だが…。
    その様子を優しい笑顔で知恵子さんは見つめていた。
    そんなことを思いだしながら帰宅をしたので、
    玄関先でついついにやにやしてしまい、
    それを見た圭介さんが火のついたタバコを床に落とすと言う
    ちょっとした事件がそのあとあった。
    布団の上。
    玲哉はまた、今日のことを思い出していた。
    一騎は…一騎は大切な友達だ。
    いや、親友だ。
    大切に大切に俺が絶対に一騎を守る。
    何があっても、一騎を守る。
    楽しかった思い出がいつのまにか
    決意に変わったことに玲哉は気づかなかった。
    自分自身に初めての約束をすると、玲哉は静かに目を閉じた。
  • 40 のっと id:Iv.Incc.

    2012-08-21(火) 22:48:25 [削除依頼]
    ー萩原一騎sideー
    いきなりの予定変更に当初は戸惑いを隠しきれなかった。
    中津輩も同じ様子だった。
    あとで気になり町田先輩にも連絡を入れた。
    バイトでないことは一騎も薄々わかっていたのだ。
    本当なら今日、本田玲哉はまた
    ずたぼろにされる予定だった。
    しかしなかなか行動に移らずやきもきしていた時のことであった。
    全く町田先輩は何を考えていたのだろうか。
    深読みが深すぎて凡人にはきっとわからないのかもしれない。
    ーチャラーン
    携帯の鳴る音が部屋に響く。
    きっと、町田先輩だ。
    "ごめんねー♪
    予定いきなり変えちゃってさー(>_<)
    でもさ、この方がきっとこの先
    もうちょっと面白くなるとおもうんだよね。
    だから許してー(((^^;)
    んじゃーぬ"
    正直メールの文章を見たって全く何を考えているのかわからない。
    んじゃーぬってなんだよ…。
    そんなことを考えながらも、
    一騎は確かに背筋がぞくぞくするような感覚を感じていた。
    それは、興奮よりは恐怖に近い。
    町田先輩は頭がよく冴え渡る。
    発想はまさに天才的だ。
    だが、その発想は全てが冷めきっている。
    普段の口調からは考えられないほど。
    だから、怖いのだ。
    いまにはもちろん関係ないが、平気で仲間だって裏切るだろう。
    いや、そんなことは最も考えたくは無いことだ。
    リーダーの中津先輩ですら、裏では恐れているのだ。
    そんな人物はメールだけで人をビビらすことができるのかもしれない。
    面白くなる…ね。
    しかしながら、一騎にはやはり変な感情もあった。
    確かにあのとき、町田先輩が帰ってしまって、
    お開きになったとき、計画が崩れてしまったのにもかかわらず、
    内心ほっとしたのだ。
    こんなことは生まれてはじめてだった。
    ふと恐ろしい考えが頭をよぎる。
    それを急いでかきけす。
    あーもう、なんなんだ、調子が狂う…。
    今日は早く寝よう。
    そう思い、聖母マリア様にお祈りをして目を閉じた。
  • 41 のっと id:IDPRodk1

    2012-08-23(木) 00:33:03 [削除依頼]
    ー町田side ー
    なにこれ楽しい。
    今日一日、本田を見てた感想はこれにつきる。
    いや、面白い。
    もしかしたら当初の予定で進めていたらかなり勿体ないのかもしれない。
    そう考えて今日は勝手に予定を変更した。
    まぁ、もともとあってすぐ痛め付けるだなんて
    ナンセンスなことは僕は極限したくなかった。
    あの、カチカチなリーダーの計画だった。
    予定変更でもちろん怒らせてはしまったけれどなんとかなった。
    これだから馬鹿は助かる。
    本田は…おもった以上に萩原に依存している。
    この短期間でよくやったなと萩原をほめたいところだが、
    僕の予想で面白いのはここからだ。
    萩原自身もなんと、本田に依存している。
    多分、いや、ほぼ確定事項。
    今日の二人のやり取りはまるで"親友"だ。
    あー面白い。
    歪んだ形の友情だ。
    その証拠に萩原は僕が帰ると言ったとき、
    そう。確かにほっとした表情を見せた。
    一瞬だったが、見逃すなんてことはしない。
    ああ、なんて神は残酷なんだ。
    二人は敵どうしなのに。
    町田は指人形を2つだすと右手と左手のそれぞれの人差し指につけた。
    「愛し合ってる二人はまるでロミオとジュリエット。あは!ほら、いいことを思い付いたよ!ふふふ。」
    町田は段々と激しくぶつかり合う指人形どうしで遊んでいた。
    とうとう、ぽーんと片方は指からはずれ、飛んで床におちた。
    それを冷たく笑う青年。
    「ロミオもジュリエットも最後は結局死んじゃうのになぁ。可哀想に。」
    もうひとつの人形も指から床にぽとんと落とす。
    2つの指人形は床に寂しく並べられていた。
    青年はただ風景に似合わず、
    腹を抱えて声を殺して笑っていた。
  • 42 のっと id:IDPRodk1

    2012-08-23(木) 00:37:50 [削除依頼]
    はいー追加の人物紹介タイム!!
    ーーーーーーーー
    町田 直人 マチダ ナオト
    似非インテリの本名

    ーーーーーーーー
    津田 修平 ツダ シュウヘイ
    リーダーの本名
  • 43 のっと id:KT8Rgd01

    2012-08-23(木) 09:24:08 [削除依頼]
    それからまた何日か過ぎて、
    通学路はそろそろ夏の景色に変わっていた。
    いつもどうり一騎とかえり、途中で道を別れる。
    「じゃーな。また明日!」
    「おう。明日。」
    そこからあと5分もすれば我が家だ。
    玲哉はちらっと時計を確認する。
    もう、06時30分か…そろそろ晩飯だな…。
    そんなことを思いつつ顔をあげるとそこには噂の藤堂瑛梨が立っていた。
    玲哉の学年ではいろいろな噂があるらしく有名人だから顔くらいはわかる。
    一応ペコリとお辞儀をして、通りすぎるつもりであったが止められた。
    「ね、なんであいつらと仲良ししちゃってんの?」
    …ここでいうあいつらとは一騎や先輩たちのことだろうか?
    「なんでって…ていうか、貴女に関係ありますか?」
    うっ…という表情を藤堂は見せた。
    ひょっとしたら頭はあまり良くないのかも知れない。
    「だって、あなた一度裏切られたでしょ!」
    「…はい?言っている意味がよくわかりません。」
    その言葉を聞くと今度は藤堂は頭を抱えて、そうかという風に表情を作った。
    本当によくわからない。
    もしかして、この人は記憶が無い時季のことを話しているのだろうか。
    裏切る?
    そんな言葉は玲哉と一騎には無縁だ。
    とは思いつつも不安が何処かに芽生えた気がしてた。
    頭痛がおきる。
    「あぁ、そうか…。じゃ、あたしとお話ししよう!ね!」
    なぜ、この人と話さなくてはならないのだ。
    頭が痛い。
    「いえ…、今日は具合が悪いので。」
    しかし、そんな言葉が届いてないのか藤堂は斜め後ろから質問攻めをしてくる。
    「ね!クラスどう?友達いるの?」
    「普通です。友達は…います。」
    「帰るのいつもこのくらい?」
    「まちまちです。」
    「ね、あたしさ。前に君に会ってるんだけど覚えてない?」
    この質問には少し戸惑った。
    歩く足が止まってしまった。
    いや、もちろん嘘の可能性だってあるが。
    「…すいません。分からないです。」
    「そっかー。まぁ、ならいいんだけどさ。
    ていうか、敬語やめない?同じ学年でしょ?」
    「いえ、貴女は二年留年してるじゃないですか。先輩です。」
    ん?おかしい。
    なんでこんな情報知ってるんだ。
    一騎と藤堂のことを話したか?
    それとも噂で聞いたのか…。
    「えへ、ばれた?」
    彼女はのんきに話を続ける。
    質問攻めの再スタートだ。
    そろそろ家についてしまう。
    このままでは圭介さんの目にもとまるだろう。
    一方的ではあるが仲が良さげに見えれば
    圭介さんはきっといいかおはしないだろう。
    「…あの、そろそろ家なんで、帰ってもらえませんか?」
    「えーなんでー。だってあたしはまだま…」
    「ストーカで訴えますよ。」
    彼女は一瞬ぎくっとした。
    それから納得したようすで、一騎とは逆方向を向いた。
    「…お姉ちゃんなのになぁ…。」
    ボソッとなにか聴こえた気がした。
    「なにかいいましたか?」
    「…いーえ!」
    そこから走って一定距離に立つと、
    藤堂はあっかんべーをしてから走って帰っていった。
    「なんなんだ…。」
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