君が、隣にいたから。 〜心〜23コメント

1 朱里 id:Uk12h6N/

2011-09-23(金) 12:42:55 [削除依頼]
 たとえば。
 この地球上で、万単位…いや、億単位で人の命が消えているとする。「
 でも、みんな、大丈夫だって、思い込んでいる。

 私もそう思っていた。
 苦しくても、生きなければいけないと。
 生きていけると。
 だけどあの時、生死を彷徨って。
 
 私は、生きながら、死んでいる。
 何も感じたくない。

 だったら。
 心を消してしまえば良い。


 だけど、君は気づけば、私の隣にいてくれた。
 だから。
 消したはずの心を、温かく感じることができたんだ。
  • 4 朱里 id:Uk12h6N/

    2011-09-23(金) 13:39:59 [削除依頼]

     こいつは自分と違う。みんなとも違う。
     一般的と呼ばれるものから、少しでも離れてはいけない。

     でも、不幸な生まれを、どうにかすることはできなかった。

     みんなと違う容姿は、疎外の対象。
     つまり、
     
     いじめの対象。

     存在意義として、手首にできた死の予感…黒い痕。
     それも、隠して。
     悲しくて。
     苦しくて。
     心が悲鳴を上げる。

     痛いのならば。
     感じなくなれば良い。

     
     あの頃、そう信じていた。

     
     
  • 5 朱里 id:Uk12h6N/

    2011-09-23(金) 13:49:19 [削除依頼]
    「お前、目障りなんだよ!」
     今でも、あの声が聞こえる。

     いじめの終わり。それはあっさりとやってきた。
     そう、あの時。
     画体の良い男子たちに囲まれて、慌てて逃げようとした。
     一番背の高い男子は、私の前髪をつかんで、

    「消えろ、ばーか!」
     
     そう言って、窓のほうへ突き飛ばした。
     窓は、開いていた。
     また、心が悲鳴を上げる。
     
     うるさいなぁ。
     私なんか、どうなったって良いんだから、
     いちいち悲鳴なんか上げないで。
     
     余計に苦しくなるから―


     幸い、命は助かった。
     でも。
     変わりに失った。
    「……」

     心。
  • 6 ぷりん id:XSKFm4g/

    2011-09-23(金) 13:51:45 [削除依頼]
    頑張ってください!
    心失うー…

    …;
    なんか、辛いです((汗
    自分に心がなくなったら?
    と考えると;

    頑張ってください☆
  • 7 朱里 id:Uk12h6N/

    2011-09-23(金) 18:10:48 [削除依頼]
     ぷりん様
     早速のご感想、ありがとうございます!
     頑張ります!
  • 8 朱里 id:OyMHPB6.

    2011-09-24(土) 21:05:43 [削除依頼]
     心がなくたって、笑うことができる。
     泣きまねだってできる。

     でも…からっぽなんだ。

     そんなときだった。君が私を見つけたのは。
  • 9 朱里 id:OyMHPB6.

    2011-09-24(土) 21:33:11 [削除依頼]
     松葉杖を突いて歩こうが、誰も助けてくれない。
     私はそれを分かってる。
     
     でも、その日は違ったんだ。

    「荷物、持つよ」
     
    「え…」
     私は固まってしまった。突然、背の高い男の子が、話しかけてきたから。
    「大変でしょ? 荷物、貸して」
     私が無表情なのを見て、彼は心配そうに声をかける。
     ずっと私が反応を示さないからか、彼は勝手に、私の荷物を取った。

    「っや…」
     
     咄嗟だった。
     何かを盗られたり、壊されたり。この人も…?
     私が変な反応をしても、彼は驚かなかった。

    「大丈夫。大丈夫だよ」

     その声は優しくて。
     心をなくした代わりにある『からっぽ』に、心地よくしみこんだ。

    「あ、俺は岸本龍也(きしもとたつや)」
     彼はこんな私に、笑いかける。

    「あの…私が怖くないんですか?」
     どうして。
    「私が気持ち悪くないんですか?」
     ドウシテ。
    「私…」

    「気持ち悪くなんかないよ!」
     彼が苦しげに顔をゆがめて、激しい口調で言った。それを聞いて、私は口を閉じた。この人は…いい人すぎる。

    「君を探してた。心を、なくした君を」
     
     私は言葉を失った。心があったら、ちゃんと驚けただろう。彼は優しげに笑っている。

    「アンジュ。天宮杏樹(あまみやあんじゅ)…俺が、隣にいるから。また、笑えるようになってね」

     
  • 10 朱里 id:OyMHPB6.

    2011-09-24(土) 21:36:44 [削除依頼]
     春が来た。
     新しいクラスになろうが、私はいじめの対象だろう。
     また、作り笑いをしていればいい。
     もう、痛くないんだ。

     中学二年生になった。
     ただ、それだけ。
     世界は私に、冷たいままだ。
  • 11 空*☆☆ id:i-YYmp.mh1

    2011-09-24(土) 21:46:21 [削除依頼]
    朱里
    見たょお〜ヽ(≧▽≦)/
    これからも頑張って☆
  • 12 朱里 id:8/6bQCr/

    2011-09-25(日) 13:28:49 [削除依頼]
     空
     サンキュー!これからもよろしく!
  • 13 朱里 id:8/6bQCr/

    2011-09-25(日) 13:36:45 [削除依頼]
     202の教室。
     私は…窓際の席か。ふと、よみがえる。

    『消えろ、ばーか!』
     
     あんなこともあったな。でも、私はもう、天宮杏樹じゃないから、痛くない。
     記憶…心をなくした、天宮杏樹の抜け殻。
     本当の天宮杏樹は、私じゃない。
     偽者の、天宮杏樹。

     本物の天宮杏樹は…私はどこにいるの?
  • 14 朱里 id:8/6bQCr/

    2011-09-25(日) 13:44:26 [削除依頼]
     記憶喪失。ただ単に、自分が誰か分からなくなる。生きた記憶がなくなる。
     
     私は少し、違う。
     天宮杏樹の存在は覚えている。でも、それは『私』の記憶じゃない。
     自分が天宮杏樹だった実感が、なくなった。
     生まれたときから、『彼女』を知っていた、ただそれだけ。

     それは私であり、私じゃない。

     天宮杏樹…『彼女』は私の心だったもの。
     天宮杏樹…『私』は、私の抜け殻。

     記憶ではない、感情を忘れた。
     分かりやすくいえば、知っている人がいても、その人がどんな人かは、覚えていない。

     自分でも、分かってない。
     ただ分かるのは。
     私は心を、完全に失ったのだということ。
  • 15 朱里 id:8/6bQCr/

    2011-09-25(日) 14:01:56 [削除依頼]
     窓際の席に座る。
     誰かが近寄ってくる。
     
     空間が軋む。
     この感情だけは、捨てられなかった。

     怖い。

    「アンジュ…さん?」
     この人の声、知ってる…? 天宮杏樹の記憶ではない、私の記憶で。

    「……岸本、龍也…?」

     あの時、初めて私なんかに、笑いかけてくれた人。でも…
     怖い。この人もきっと、きっと心の奥では私を気持ち悪いと思ってる…
    「隣の席だね」
     彼は私に、笑いかける。誰であろうと関係ない。誰であろうと、私を嫌う。
     この人だって…
     
    「そんなことない。大丈夫だよ」
     
     私は顔を上げる。今…考えてることを、読まれた?
     偶然だとは思えない。

    「大丈夫」

     彼の大丈夫は、空間に沁みて。ないはずの痛みを、微かに感じた。
    「これからよろしくね、アンジュ」
     優しげに笑う彼を、無視できなくて。
     信じてはいけないはずの彼を、拒否できなくて。

    「…はいっ…」
     
     そう言ってから、心があったはずの空間が、くすぐったく、暖かくなった。

     それは、
     なくしたはずの心。
  • 16 朱里 id:8/6bQCr/

    2011-09-25(日) 14:25:15 [削除依頼]
     予鈴が鳴る。
     みんなは慌てて席に着いた。私は俯いた。誰とも目が合わないように。
    「ほえ〜綺麗やな〜」
     近くでそんな声が聞こえたけれど、私には関係ない。
    「へえ、天宮杏樹って、可愛い名前やなぁ」
     
     天宮…杏樹?

     自分のことだと理解するのに、しばらくかかった。
     そっか、天宮杏樹って、私のことなんだっけ。

    「お〜い、聞こえてる? シカトせえへんといて〜。寂しゅうなるわ」

     私? そっと顔を上げる。
    「むう、えらいべっぴんさんやな。前の席のうちが惨めになるわ」
     眉間にしわを寄せているところを見ると、彼女は私に、いい印象を抱いていないようだ。
     当たり前か…でも、それは見当違いだった。

    「あ、うちは橋本美優(はしもとみゆう)。あんたは?」
    「え、あっ、私……えっと、天宮杏樹…」
     戸惑ってしまった。でも、彼女はそれを気にせず、綺麗に笑う。
    「アンジュか! また天使みたいな名前してんなぁ。髪も綺麗やし」
    「えっ…!?」
     
     つい、驚いた。綺麗…? この髪が?

    「美優、落ち着け。アンジュが驚いてるだろ」
    「何や、たっちゃん。あんたには関係ないやん」

     たっちゃん…岸本君に似合ってなくて、笑ってしまった。
     それから、驚いた。いま、私、笑ってた…?
    「…やっと、笑った」
     岸本君が呟いた。彼も笑顔で。
     他人の笑顔なんて、久しぶりに見た。
     自分が笑ったのも、久しぶりすぎて、綺麗に笑えなかった。

     心。
     岸本君といると、心が動く。
     私の心は、まだ消えていない。
     ただ、動いていないだけで。
     失っていなかったんだ。
  • 17 みっきー id:8/6bQCr/

    2011-09-25(日) 14:36:12 [削除依頼]
     ファイト☆
  • 18 朱里 id:MyRE0TM1

    2011-09-26(月) 22:31:27 [削除依頼]
     みっきーさん
     ありがとうございます!
     頑張ります!
  • 19 朱里 id:MyRE0TM1

    2011-09-26(月) 22:46:16 [削除依頼]
     私が怖がって、誰かを信じなかっただけかもしれない。

     岸本君。
     美優さん。

     二人の友達ができた。

     美優さんは、私とみんなの架け橋になってくれた。
     みんなは少し驚いたりしていたけれど、私を仲間にしてくれた。

     岸本君は、私を笑わせようとしてくれる。寂しいときは、いつだってそばにいてくれる。
     岸本君の笑顔は、私の動かない『心』を動かした。
     
     楽しい。嬉しい。
     岸本君は、私に『心』をくれる。

     それは何故か。
     それは、必然的で、彼の意思でこうなったわけではなかったんだ。

    「え…?」
     岸本君から聞いた話は、意外と深く、心に傷をつけた。

    「俺には、二次元の力があるみたいでさ。人の心が見えるんだ。アンジュみたいに、恐怖だけをもって生きている人なんて初めて見たから、つい、声をかけちゃって」
     岸本君は笑顔だったのに、心がもやもやした。
     心を読めるらしい彼は、それに気づいた。

     さっきの話は、本当なんだ。
     私が可哀想だったから、同情されただけだったんだ。
     
    「…っ」
    「アンジュ!」
     私は駆け出した。

     心が痛い。岸本君が動かしてくれた心が、邪魔だ。
     悲鳴を上げる心が、私を苦しめる。
     私の心は、岸本君に操られていただけなんだ。
  • 20 朱里 id:1NDRwNM1

    2011-09-27(火) 17:11:03 [削除依頼]
    「痛…!」
     派手に転んでしまった。情けなくて涙が出た。悲しかったから、泣いたわけじゃない。
     心、心、心…。
      
     やっぱり、邪魔なだけだ。
     私は涙で濡れた顔を上げた。

     もう一度。
     心よ、消えてしまえ。

     もう二度と。
     動かなくていい。

    「あ、アンジュ!」

     突然呼ばれて顔を上げると、美優さんがいた。
    「うわ、何泣いてんねん! 驚くやろー?」
     私は彼女に飛びつき、全てを話した。


    「んあー、相変わらず馬鹿でぶきっちょやな、たっちゃんは…アンジュ、あんたもや。あいつやて、思ってることがあるんや」
     美優さんは私を、よしよししながら言った。

    「うちには、あいつの言葉に、続きがあると思う。隠された思いが…あーもう、よう分からんけどな」

     隠された心…?

     他人の心は見えない。他人の心は感じられない。でも…美優さんは岸本君の心に気づいた。
     心って、不思議だ。

    「アンジュ!」
     荒い息づかいが耳元で聞こえて、私は振り返られなかった。

    「あ、うちはお暇するで。ほんじゃ!」
     
     美優さんは、走っていってしまった。
     岸本君の腕の中で、彼の心を聴いた。

    『だから、守りたい』

     それは、あの言葉の続きだった。
  • 21 朱里 id:8cGkrxu/

    2011-09-28(水) 16:26:37 [削除依頼]
     あの日から、何事もなくやっている。
     岸本君に抱きしめられたとき、少し…かなりドキドキした。今でも思い出すと…
    「ううう……」
    「どないしたん、アンジュ」
     おかしな様子の私に、美優さんが声をかけてくれる。

    「アンジュ! 美優! 図書室行こう!」

     張りのある、でも柔らかい声。
     江頭彩加(えとうさやか)さんは、美優さんが紹介してくれた友達だ。ブロンドの髪と、優しげな笑顔が、男女問わず人気の元だ。

    「はい!」
    「今行くで!」
     二人同時に答えて、笑ってしまった。


     〜おまけの龍也〜

    「龍也! 何ボーっとしてんだよ」
    「あ、悪い…」

     まただ。またあいつのほうを見ていた。

     光のように輝く長い髪。グレーの瞳。白い肌。桃色の唇。
     天宮杏樹。

     恐怖しか見えなかった彼女の心を見て、いてもたってもいられなかった。
     動かない、からっぽの心。
     自分が彼女の心になろうって、思った。

     やっと笑うようになってくれたのに。
     彼女は美優の方へばかり行ってしまう。

    「龍也ー! 俺の話を聞けー!」
    「あ、悪い、将太」

     
  • 22 朱里 id:bcU965o.

    2011-09-30(金) 18:38:44 [削除依頼]
     これから龍也目線でも書いていきます!
  • 23 朱里 id:vjULWrU/

    2011-10-08(土) 19:40:35 [削除依頼]
     〜龍也〜

    「お前さー雨宮のこと好きだろ?」
    「えっ!?」

     将太に指摘され、つい驚く。

    「誤魔化すなって。分かるんだよ。
     まー確かにあの容姿はビビルけど、よく見たら美少女だよなー。オレ、タイプかも♪」

     ……言葉が出てこない。
     なるほど、この気持ちが好きなのか。
     乱れてるけれど、優しく動いている。
     暖かい、桃色の。

     見えた。これが恋心。
     将太の心から見えて、不安な気持ちになった。
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