灰色の天使6コメント

1 ろっかく id:ez-V/wS9lQ/

2011-09-21(水) 21:26:57 [削除依頼]

『僕、消えたいんだ。』
  • 2 ろっかく id:ez-V/wS9lQ/

    2011-09-21(水) 21:30:03 [削除依頼]

    はじめまして
    ろっかくです
    挫折するかもしれませんが良ければ読んでってください
    ちょっと暗めな話です
    うん……多分暗くなると思う←

    それではスタート〜
  • 3 ろっかく id:ez-V/wS9lQ/

    2011-09-21(水) 22:19:42 [削除依頼]

    1、『これって運命?』


    目を開くと突き刺すような鋭い光が目に飛び込んできた。

    「篠世(しのせ)さーん。朝ですよ、起きてくださーい」

    僕の名前を呼びながら、ナース服を身にまとった女の人が笑顔でカーテンを開けている。

    「おはようございます」

    僕は目をこすりながら女の人にそう言った。
    それを聞いた女の人はにっこりと笑って、僕の腕に血圧計を付けた。

    「気分はどう?」
    「大丈夫です」

    僕が素っ気なくそう答えると女の人はまたにっこりと笑った。
    こびり付いて離れなくなった偽物の笑顔、僕はこの笑顔が大嫌いだった。
    血圧が計り終えると次は体温計を渡された。
    女の人は計り終えた数値を紙に書き連ねていく。
    そして書き終わるとその紙を持って部屋を出て行った。

    僕は篠世東(しのせ あずま)とある病院に入院している。
    たぶん入院してから5年は経っている。
    今、僕は16歳、普通なら高校に通っている歳だけど高校には行けない。
    たぶん、一生行けない。
    いや、絶対行けない。
    僕はたぶんもうすぐ死んじゃうんだ。
    だって最近、周りの人が作り笑いをするようになったから。
    その人達は決まって同じ事を口にする。
    『絶対に病気治るから』
    作り笑いでそんな事を言われたら逆に分かってしまう。
    『絶対に病気治らない』んだって。
    僕の病気は心臓の病気で今まで生きてきたのが奇跡なくらいの難病らしい。
    治すことも今の医学には難しいらしくて、この間の寿命宣告では半年も保たないだろうって言われたって父さんから聞いた。
    でも、母さんはそれを信じてなくて、しつこく僕に「絶対に治るわ」なんて言ってくる。
    僕はあと半年も生きなきゃいけないのかって嫌気がさしているのに。
    いつも同じ白い病室で目が覚めて、病院の外に行くことも、学校に行くことも出来ず、1日中部屋にこもって夜を迎える。
    何が楽しいんだろう、これが生きるって事なのかな。
    だったら生きていたくない。
    こんな人生つまらないよ。
    僕はもっとちゃんと生きていたい。
    生きているって自覚したいんだ。
  • 4 ろっかく id:ez-MeK4zYq0

    2011-09-22(木) 00:00:36 [削除依頼]
    でも、この鳥籠みたいな所じゃ一生無理だ。
    僕はここじゃ本当の意味で生きていけないんだ。

    ――しばらくすると朝食が運ばれてきた。
    決して美味しいとは言えない食事に手をつける。
    鮭とご飯とサラダとお味噌汁、昨日も同じようなメニューだった。
    でも、別に文句は言わない。
    今の僕はきっと何を食べても何も感じないから、別に不満はない。
    病院食を食べ終え、僕はごろんと寝転がった。
    僕のいる病室には僕以外に誰もいない。
    前はいて話し相手をしてくれていたけど、その人はもう退院してしまった。
    元気な顔で「またね」と言った顔。眩しくてたまらなかった。
    僕には一生出来ない顔。羨ましくて、憧れで、妬ましくもある表情。
    本当の笑顔でその人は去っていったんだ。
    心も身体も死にかけの僕には真似をすることさえ出来ない。
    それが歯痒くて、悲しくて、悔しい。
    僕だって本当は笑いたいのに……。
    笑い方が分からないんだ。

    「もう考えるのは止めよう」

    そう言うと、僕は頭から布団をかぶって瞳を閉じた。
    その時――――。

    「なんだ、人間は寝てばっかなのだな」

    ふとそんな声が窓の方から聞こえてきた。
    僕はバッと布団をどかし、窓に目をやった。
    すると、そこには腰まである灰色の髪をなびかせた、僕と同じくらいの歳の女の子が窓に寄りかかっていた。
    白い制服のような服を着ていて、黒いハイソックスに、胸には赤いネクタイを身に付けている。
    1番印象に残ったのは全てを見透かしているような鋭く赤い瞳だった。

    「だ……誰?」

    僕は恐る恐る彼女にそう聞いた。
    彼女は少し考えるような素振りを見せてから静かに答えた。

    「カールレット=マダムレイシー、それが私の名だ。皆はカルレと呼ぶ。貴様も名乗れ」

    彼女――カルレは腕を組みながら僕に命令するようにそう言った。
    僕は少しカルレを睨みながらも正直に名乗った。

    「篠世東……」
    「アズマか、変な名前だな」

    カルレは鼻で笑い、僕を見下すような目で見た。
    僕からすればカールレット=マダムレイシーって名前の方が変だと思うんだけど。
    僕は少しイラつきながらもカルレに問いを投げつけた。
  • 5 ろっかく id:ez-MeK4zYq0

    2011-09-22(木) 00:41:37 [削除依頼]

    「君って外国人?にしては日本語上手いけど……」

    僕がそう言うと、カルレはまた鼻で笑った。

    「外国人でも日本人でもない。いや、その前に人ではない。私は……死神だ」

    カルレは真剣な顔でそう言った。
    でも、死神だなんて言われても、はいそうですかと納得出来るわけなかった。
    冗談だろうと僕は聞き返した。

    「はい?死神?」
    「厳密には違うが、同じようなものだ。と言っても人間には信じられないだろうがな」

    カルレは真剣な声色でそう言った。
    嘘を言っているようには見えないけど、本当に死神なんて思えない。
    でも、死神が来るのは納得できる。
    やっぱり僕死んじゃうんだ。

    「じゃあ僕を殺.してくれるの?」
    「いや、お前は病気で亡くなる。私が手を加えることは無い。私はお前の魂を黄泉に送り届けるだけだ」

    僕の思っていた死神とは少しシステムが違うようだ。
    てっきり鎌か何かでズバッと斬られるんだと思っていたのに。

    「なんだ、残念なのか?」

    カルレは僕の顔を見て不思議そうにそう言った。
    僕はため息を混じらせながら答える。

    「そうだね。僕、消えたいんだ。いますぐに」

    自虐的にそう言うと、カルレは僕の方に歩いてきて、いきなり僕の胸ぐらを掴んだ。
    そして、鼻先が触れるくらいに顔を近づけて僕を睨みつけた。

    「だったらここから飛び降りたらどうだ。ここは5階だし、私の力も借りずに消えれるぞ」

    怒っているように見えるその瞳を、僕はそらすことが出来なかった。

    「それ、前にやろうとした事があったんだけど、足がすくんで無理だったんだ」
    「それは、怖くて出来なかったと言うことか?」
    「そう……だね」

    悔しいけど言い返せなかった。
    死にたがりのくせに、いざとなると怖くなるんだ。
    消えたいのに本当に消えてしまうのは怖い。
    矛盾してるのは分かってる。
    でも、どうしても自分から命を絶つことは出来なかった。
  • 6 ろっかく id:ez-MeK4zYq0

    2011-09-22(木) 21:55:01 [削除依頼]

    「弱虫なのだな、お前は。そして、どうしても生きたいらしい」

    その言葉に少しムッとして、僕はカルレを睨みつけた。

    「生きたくなんてないさ。言ったろ?僕は消えたいんだ」
    「なら、自分の意志で死.ねるはずだ。お前は自虐的な自分に酔っているに過ぎない。本当は誰よりも生きたいのに、本当は誰よりも幸せに過ごしたいのに、お前は自分の意志でその道を閉ざしているだけだ」

    見透かしているようなカルレの強い瞳が僕を追い詰めるみたいにそう言った。
    カルレに何が分かる?もうすぐこの世から居なくなる僕の気持ちなんて。
    分かるわけないのに、分かっているような事を言って……。

    「君に僕の何が分かるって言うんだ!」

    僕はカルレを突き飛ばしそう叫んだ。
    ……全て図星だ。
    カルレの言ったことの全てが当たっていた。
    僕は自虐的な自分に酔っているんだ。
    常に死にたがりでいれば、いつ死んでも後悔なんてないって思ってる。
    それに、生にすがるのは醜いって思い込んでいるんだ。
    本当は消えたくなんかない。
    幸せに生きていたい。
    本当は、本当は……。
    もっと長く生きていたいんだ。
    学校に行って友達も作ってみたい。もっと勉強もしたい。行事にも参加してみたい。
    母さんにも父さんにも笑顔でいてほしい。本物の笑顔でいてほしい。
    でも、それを認めてしまったら、僕は……死が怖くなってしまう。
    死ぬのは嫌だって言ったら父さんや母さん、それに看護婦や医者までもを困らせてしまう。
    僕に残された道は1つ――――死だけなのだから。

    「分かるさ。私はお前の様な奴を死ぬほど目にしてきたのだからな」

    カルレは僕から視線をそらしてそう呟いた。

    「私は帰る。また明日来る」
    「…………」

    それだけを言うとカルレは僕に背を向けて病室を出て行った。
    そんなカルレの後ろ姿を僕はただ睨みつけることしか出来なかった。
    どこにもぶつけることの出来ない苛立ちが、僕の中で渦を巻いていた。
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