存在消失少女と破壊衝動少年71コメント

1 美羽 id:tXYwz9P/

2011-09-21(水) 14:00:17 [削除依頼]
これは異常な少年少女達の物語――。
  • 52 美羽 id:7oG6sAM.

    2011-09-29(木) 14:14:01 [削除依頼]
    本当にアイツ、誰だったっけ?
    ついさっき見た夢を思い出しながら、通学路を歩く。

    「………………、」

    違和感を感じて、立ち止まる。
    この臭い……

    ピピピピピピッ

    ケータイが鳴った。
    画面には非通知の3文字が表示されていた。
    基本、出ない主義だが、しつこく鳴る為出る事にした。

    「もしもし」

    『お兄ちゃん』

    「若干、お前だろうなとは思ってた」

    『やっぱ、お兄ちゃんの嗅覚、良いよね。ちょっと指を切って血を出して見たら、直ぐに気付いちゃったんだもん』

    じゃあ、今凄くするこの臭いは、

    『その臭いは私の血の臭いだよ、お兄ちゃん』

    「お前、何処にいるんだ?」

    ケータイを持ったまま、周囲を見渡す。
    が、それらしき奴が見当たらない。

    『お兄ちゃんが今いる所から、10歩ぐらい歩いて?』

    俺は素直に10歩歩く。

    『会いたかったよ。お兄ちゃん』

    直ぐ横にある電信柱の影から、妹が、

    「会いたくて会いたくて、もう如何しようもなかった」

    綾乃は俺に抱き付く。

    「……、」
  • 53 美羽 id:7oG6sAM.

    2011-09-29(木) 14:17:51 [削除依頼]
    現在。
    俺は家にいた。
    勿論、綾乃の、俺の本当の家。
    実家と呼ぶべきだろうか。

    「はい、お茶ね」

    綾乃は嬉しそうに麦茶が入ったコップを俺の前に出す。

    「嫌、まさか本当に家に帰ってくれるとは思わなかったよ」

    俺も帰りたくはなかった。
    だが、仕方ない。
    だって、アイツは、
    俺を脅したんだから。
  • 54 美羽 id:7oG6sAM.

    2011-09-29(木) 14:28:12 [削除依頼]
    つい、30分ほど前の事だ。
    綾乃が俺に抱き付いて、俺が綾乃を引き離した時、

    「お兄ちゃん、家に帰って来てくれる?」

    当然の様にコイツは言った。
    だが、俺はそう言うつもりはない。

    「お兄ちゃんに拒否権はないよ。ねえ、お兄ちゃん」

    次の一言のせいで、俺は帰らざる終えなくなった。

    「日向伊織さんが如何なっても良いの?」

    回想終了。
    久し振りの実家は綺麗に片付いていた。

    「綾乃」

    「何?」

    「俺の住んでる住所、何処で知った?」

    そうでないと、俺の通学路で待ち伏せできるわけないしな。

    「んー、それは色々かなぁ?」

    ぶりっ子ぽく綾乃はくすくすと笑う。
    鬱陶しい。

    「俺、帰るわ」

    俺は椅子から立ち上がる。

    「何で?あ、そっか。私がお兄ちゃんの家に行けば良いんだ」

    「来るなよ」

    「小学校の時のお兄ちゃんはずっと一人ぼっちだったのに、今のお兄ちゃんは沢山知り合いと友達がいるんだね」

    振り返ると、綾乃は俯いていた。
    演技だろうな。
    コイツ、昔から、嘘泣きとか上手かったし。
    綾乃はきっと泣いたら全てが許されると思ってしていたんだろうけど。

    「日向伊織も藤和由梨も神崎詠子も……ねえ、何で女子ばっかなの?」

    「ちょっと待て。弁解させてくれ」

    「どうぞ」

    あっさりと綾乃は言った。

    「日向は只のクラスメイトで、藤和は只の後輩で、神崎、先輩は只の先輩だ」

    「じゃあ、特に恋愛感情で好きだとかないの?」

    「当たり前だ」

    「そう。そう、なんだ。お兄ちゃんがそこまで言うなら、信じる。だって、私、お兄ちゃんの事が好きだから」

    変わってないな、コイツ。
  • 55 美羽 id:7oG6sAM.

    2011-09-29(木) 14:39:53 [削除依頼]
    何とか綾乃を言い包めて、俺は実家を出た。
    流石に梅雨が来たのか、外は大雨で、俺は傘を忘れた。
    若干の風邪を引いている奴が大雨に打たれて帰ると如何なるのか。
    答えは決まってる。
    悪化するだけだ。

    「げほげほっ」

    既に打たれている真っ最中なのだが、凄く悪化している気がする。
    目眩に咳に熱っぽい。
    ふら付く足を何とか動かし、その辺の電信柱に凭れ掛かる。
    うわ、凄く廃れてねーか、俺。
    自嘲気味な笑みが自然と浮かんだ。
    視界がぼやけて来る。
    ヤバい。
    マジで死.にはしないだろうが、倒れる。

    「…………、」

    最後に見えたのは黒いブーツ、だった。

    「時雨、見ぃつーけたぁっ」
  • 56 美羽 id:7oG6sAM.

    2011-09-29(木) 14:43:44 [削除依頼]
    ♯004 暴走少年
    6月上旬。
    黒宮時雨が欠席していた。
    それは大変珍しい事だと思う。
    同じ中学じゃなかったけど、何だかんだ言って、黒宮君はちゃんと学校に来ているイメージが強かった。
    確かに授業中休憩中ずっと机に突っ伏して寝ているけど、遅刻と欠席は私が見る限りしていない。
    別にアイツの事なんか、如何でも良いけど。
    だけど、黒宮君にはちょっとした恩があるわけで、だから私にしては珍しく彼の事を気に掛けている。
    以上。
  • 57 美羽 id:7oG6sAM.

    2011-09-29(木) 14:54:25 [削除依頼]
    担任教師によると、黒宮君は風邪を理由に欠席している。
    そういや、休む前日、咳をしていた気がする。

    「ねえ、日向さん」

    購買でパンを買って、廊下を歩いていると、声を掛けられた。
    振り返ると、神崎詠子だとか言う先輩が裏のある笑みを浮かべて立っていた。
    この先輩はあまり好かない。

    「何ですか?」

    「時雨君、今日、欠席何だってね」

    黒宮君とこの先輩は何処で知り合ったのか、私は前から気になっていた。
    黒宮君は普通に神崎先輩と呼んでいるけど、先輩は時雨君で……とにかく、親しそうだった。
    一瞬、付き合っているのかと思ったけど、そうでもない様だ。
    ま、実際の所、如何なのかは知らないけど。

    「はい。風邪だそうです」

    「へえ。時雨君の事、心配?」

    可愛らしく先輩は首を傾げる。
    その動作が出来るのは精々、小学生までだ。
    私は絶対にしない。
    そんなに自分に自信があるのだろうか、この先輩は。

    「別に。先輩の方が彼の事、心配してるんじゃないんですか?」

    「うん。すっごく心配してるよ。何せ、時雨君の欠席の電話を学校に入れたのは第3者だしねぇ」

    「第3者?」

    「そう。時雨君自身が電話したわけじゃないんだよ。今朝、職員室にいた教師に聞いた所、電話の声は女の人だったらしい」

    「妹さんじゃないんですか?」

    「さあ?妹さん、だったら良いね」

    妹さんじゃなかったら、今、黒宮君といるのは誰何だろう。

    「じゃ、わたし、行くね」

    軽く手を振って、先輩は私とは逆方向の方に歩いて行った。
  • 58 美羽 id:7oG6sAM.

    2011-09-29(木) 14:58:41 [削除依頼]
    ピンポーンッ

    放課後、私は何故か黒宮君のマンションにいた。
    本当に私、如何かしてる。
    何で只のクラスメイトの家に押し掛けてるんだろう。
    嫌、全てはあの先輩が悪い。
    あの人が私に変な事を吹き込んだからだ。
    って、誰もいないのか。
    何度、インターホンを押しても、反応はなかった。
    風邪で欠席しているはずの奴が家にいない。
    薄々、頭の端っこにあったサボり説が浮上した。
    でも、アイツはサボる様な奴でもないだろうし。
    黒宮君の家の前で、私は腕を組んで考え込む。

    「……あ」

    視界の隅に人が映った。
    左横を見ると、この辺の中学の制服を着た女子生徒が立っていた。
  • 59 美羽 id:7oG6sAM.

    2011-09-29(木) 15:06:54 [削除依頼]
    「日向伊織先輩」

    ビクッ

    まさか名前を呼ばれるとは思わなかった。
    って、この人、誰だっけ?

    「私、藤和由梨って言います」

    「黒宮君と知り合いなのかしら?」

    「中学の時、先輩後輩でした。あ、私は中学3年生です」

    「そう。それで、何で私の名前、知っていたの?」

    「あ、あの、私、完全記憶能力者何ですよ。黒宮先輩が言う異能の力を持った人間何です」

    上手くはぐらかされた気がする。

    「そう。じゃあ、あなたなら知っているかしら。黒宮君が今、何処にいるか」

    「分からないです。途方に暮れていまして……日向先輩も知らないんですよね」

    私は頷く。

    「電話しても、出なかったんです。もしかすると、妹さんの所かと思いますけど」

    「そうだと良いわね」

    「はい。じゃあ、私、行きますね。あ、その前にメアド交換しません?」

    「え」

    「お互いに黒宮先輩の情報が分かったら、連絡取れる様にしましょう。その方が良いですよ」

    渋々、私は藤和由梨だとか言う中3と連絡先を交換した。
    凄い私、流されてる気がする。
  • 60 美羽 id:7oG6sAM.

    2011-09-29(木) 15:25:30 [削除依頼]
    次の日。
    授業が始まっても、黒宮君が教室に来る事はなかった。
    今日も欠席なのか。
    そんなサボる奴だとは思わなかった。
    大きく溜め息を吐いて、ノートを取る。

    「じゃあ、この問題を黒宮」

    数学担当の教師は欠席している奴を当てた。
    どれだけ存在感がないんだろう。

    「って、あれ?黒宮は?」

    ガラガラッ

    教室の引き戸が引かれた。
    入って来たのは少々やつれ気味の黒宮君だった。
  • 61 美羽 id:7oG6sAM.

    2011-09-29(木) 15:34:10 [削除依頼]
    「おい、黒宮、遅刻か?」

    「すみません。寝坊しました」

    黒宮君は席に座る。

    「何よ、これ」

    つい、声に出てしまう。
    けど、今の黒宮君の周りに漂う臭いは完璧に血の臭いだった。
    今までの微かな臭いじゃなく、もうその物がそこにあるくらいの強烈な臭い。

    「何がだよ。って、何か久し振りだな」

    「風邪、治ったの?」

    「ああ。まあな」

    黒宮君は机に突っ伏す。

    「あなた、誰といたの?」

    「何が?」

    「家にいなかったじゃない」

    「あのさ、何で日向がそんな事まで知ってるわけ?ストーカーか?」

    「違うわよ。偶々、マンションを通り掛かったから、ピンポンダッシュしようとしただけよ」

    「相変わらずだな」

    何とか誤魔化せた様だった。
    私は安堵する。

    「藤和由梨って奴も、家に来てたわよ」

    「うわ、藤和か。何て誤魔化そう……」

    誤魔化そうって。
    何があったのか問い詰め様と思った。
    けど、寸止めの所で踏み止まる。
    だって、私と黒宮君の関係はクラスメイトでしか過ぎなかったからだ。
    行き過ぎた行動だった。
    私は1人、反省する。
  • 62 美羽 id:9mGWli40

    2011-09-30(金) 19:41:18 [削除依頼]
    私、日向伊織はどんな人間何だろうか。
    時々、そんな事を1人で考える時がある。
    特にずば抜けて出来る事もなく、明るくて優しい優等生キャラでもなく、反対にそんなキャラを演じる(要するに猫を被る)つもりもなく、一体私と言う存在は何なのかと思ってしまう。
    だからだろうか。
    4月に私の存在が消えたのは。
    自分が無意識に存在を消そうとしたんじゃ……
    嫌、やっぱ、それはない。
    ないに決まってる。
    ……多分、だけど。

    「……、」

    黒宮君が復帰して、2日目。
    今は偶然、この時間(授業)の担当の教師が休んでいる為、自習だった。
    教室はざわついて、まともに自習をしている生徒等誰一人いない。
    でも、一番真面目なのは私なのかも知れない。
    ま、勉強してるんじゃなくて、読書だけど。
  • 63 美羽 id:9mGWli40

    2011-09-30(金) 19:48:41 [削除依頼]
    「……っ」

    まだ体調が悪いのか、黒宮君は何処か苦しそうだった。
    私は何時の間にか本を読むのを止めて、黒宮君の様子を無意識に観察していた。

    「帰りてー」

    そんな時、黒宮君がボソリと呟いた。
    独り言、何だろうけど。
    如何にも、私は反応してしまう。

    「そんなにしんどいなら、帰ったら良いじゃない」

    「嫌、帰ったら帰ったで嫌何だよ。アイツ、いるし」

    アイツ?
    私は首を傾げる。
    アイツに該当する人間が見当たらない。

    「それに何か色々限界だしさ。ホント、破壊衝動、しそう」

    黒宮君は嘲笑う。
    コイツらしくない発言だ。
    って、破壊衝動って、何?

    「保健室行けば良いじゃない?」

    「そうだな」

    ガタッ

    椅子を引き摺って、黒宮君が立ち上がる。
    頼りないフラフラとした足取りで教室を出て行く。

    「………………っ」

    我慢出来なかった。
    本当に何でこんなに気になるんだか。
    私は黒宮君の後を追った。
  • 64 美羽 id:9mGWli40

    2011-09-30(金) 19:52:42 [削除依頼]
    案の定、黒宮君は教室を出て直ぐの廊下の壁に凭れ掛かる様にしてぐったりとしていた。

    「ちょっと、しっかりしなさいよ」

    「……何で日向がいるんだよ」

    「付き添いよ。自習も暇だから、サボろうしただけ」

    「それはどうも。でも、生憎、その助けはいらねーよ」

    「ねえ、黒宮君」

    ずっと気になってた事を言って見る。

    「何だ?」

    「何で私の方、見ないの?」
  • 65 美羽 id:9mGWli40

    2011-09-30(金) 19:55:33 [削除依頼]
    教室を出てからの黒宮君は私が現れてからずっと、私の方を見る事はなかった。

    「あーあ、何で気付くかな」

    黒宮君はズルズルと壁に凭れながら立ち上がった。
    多分、無理してる。

    「悪いな、日向」

    えっ……
    ドンッと、腹部に大きな衝撃が走った。
    鈍い痛みがする。

    「ちょっと、何を……」

    そう言い切る前に視界が真っ暗になった。
  • 66 美羽 id:vgl5fFU1

    2011-10-01(土) 09:43:26 [削除依頼]
    目を開けると、白い天井が見えた。
    此処……

    「あら、起きたのね」

    カーテンが捲られ、身体検査でしか見掛けない保健医が顔を出す。
    って事は保健室なのか。

    「黒宮君だっけ……があなたを運んで来た時は驚いたわ。多分、睡眠不足何だと思うんだけど、ちゃんと眠れてる?」

    そうだった。
    思い出した。
    アイツ、私を気絶させやがった。
    私は勢いよく起き上がる。

    「起きて大丈夫?」

    「あの黒宮君は何処にいるんですか?」

    「嫌、まだ4時間目の授業中よ。教室にいるんじゃないかしら」

    「そう、ですか」

    私はベットから降りる。
    軽くよろけてしまったが、何とか歩く。

    「じゃ、授業戻ります」

    何か保健医が言っていたが、無視して保健室を出た。
  • 67 美羽 id:vgl5fFU1

    2011-10-01(土) 09:55:47 [削除依頼]
    ガラガラッ

    投げやりに教室を引き戸を引くと、教室中の視線が私に集まった。
    鬱陶しい。
    話し掛けて来るこの授業担当の教師の声を総無視して、私は自分の席に座った。
    そして、隣で平然としている黒宮君を睨み付ける。

    「な、何だよ?」

    「こっちのセリフよ。あれ、如何言うつもりなのかしら?」

    「何が?」

    「惚けるつもり?」

    「嫌、いきなり、日向が倒れたから、運んだだけの事だろ」

    「へえ。私、倒れたんだぁ、あはははは……バ.カバ.カしい。白々しい。嘘を吐くのも、大概にしてくれる?あの状況で如何して私を気絶させる必要があったの?それだけで良いわ。答えて」

    黒宮君は数秒間、視線を下に落として、大きく溜め息を吐いた。

    「仕方なかったからだ。気絶させなきゃ、お前、殺.してそうだったし」

    ……、

    「此処で言って置く。それが俺の異能の力」

    「軽く危ない能力だったのね」

    「そうだな」

    まるで他人事の様な言い草だった。
    何となく思う。
    黒宮君の言ってる事、半分嘘で半分本当なんじゃないんだろうか。
    って言っても、本当の事は全く分からないけど。
  • 68 美羽 id:vgl5fFU1

    2011-10-01(土) 10:28:20 [削除依頼]
    昼休み。
    基本、絶対に教室で食べなきゃいけない事もなく、ほとんどの生徒が教室を出て行く。
    教室以外に食べる場所と言えば、屋上や中庭や他のクラスの教室ぐらいなのだが。
    当然、特に親しい人間もいない私は1人で食べるから、何も関係ない。
    ふと横を見ると、黒宮君は何も食べずに机に突っ伏して寝ていた。
    それだけ寝てたら、もう寝れないと思うんだけど。

    ガラガラッ

    教室の引き戸が引かれた。
    別に休憩時間だし、おかしい事でもないのだが、結構大きな音をたてて開いたから思わず見てしまった。
    入って来たのは何故か真新しそうな制服を着た茶髪の女子生徒だった。
    女子生徒はきょろきょろと辺りを見渡し、こっちを見ると微笑んで、

    「しーぐーれっ」

    寝ている黒宮君の席へ駆け寄って来た。
  • 69 美羽 id:vgl5fFU1

    2011-10-01(土) 10:33:26 [削除依頼]
    ガタガタガタと女子生徒は黒宮君の机を揺らすが、彼が起きる事はない。
    よほど、熟睡しているらしい。

    「全く、時雨は変わらないな……ん」

    偶然、その女子生徒と目が合った。
    何もしていないが、何か罪悪感がして私は目を逸らす。

    「あなた、時雨の友達?」

    「嫌、クラスメイト、だけど」

    「そう。僕は天野って言うんだけど。あ、此間、転校して来たんだ。時雨は僕の幼馴染何だよ」

    黒宮君の幼馴染……

    「それとね、“日向”さん」

    天野だとか言う奴は不敵な笑みを浮かべた。

    「時雨は僕のモノ、何だからね」
  • 70 美羽 id:vgl5fFU1

    2011-10-01(土) 10:42:06 [削除依頼]
    ♯005 依存少女
    アイツ――天野は小学校の頃からずっとピンが好きだった。
    だから、赤いピンを髪に付けて、安全ピンもネクタイやスカートに沢山付けていた。
    ぶっちゃけ、洗濯する時、面倒な気がするが、色々とコイツは依存している物が多かった。
    小学校の時も、現在も。

    「時雨、あーそーぼっ」

    高校生の癖にガキっぽく、天野が飛びついて来る。

    「天野さ、他人の目とか気にしないタイプ?」

    「別に。でも、時雨、僕の事、思い出してくれて嬉しいよ。ホント」

    俺は天野の事を忘れていた。
    小学校6年間の内、3年間だけ同じクラスで、時々遊んでいたぐらいの奴だったのに天野は俺の事を忘れずに覚えていた。
  • 71 美羽 id:vgl5fFU1

    2011-10-01(土) 10:50:05 [削除依頼]
    天野に借りを作ってしまった。
    あの雨の日、倒れていた俺を助けたのは天野だった。
    相変わらず、愛用らしい黒いブーツを履いた天野は暫くの間、俺を看病していた。
    嫌、してくれたと言うべきか。

    「ねえ、天野さん」

    「何?日向さん」

    ずっと横で本を読んでいた日向は何処か不機嫌そうだった。

    「イチャつくなら、此処じゃなくて、何処か行ってくれない?読書の邪魔何だけど」

    「あ、そっか。時雨、行こ」

    天野が俺の右腕を引っ張って来る。

    「別に俺等はイチャついてない」

    「へえ、私はイチャついている様にしか見えなかったんだけど」

    全く、何なんだろう、この状況。
    天野が転校して来てから、日向はずっと不機嫌だった。
    嫌、マジで何でなのか分からない。
    相性が合わないとか、そう言うのだろうか。

    キーンコーンカーンコーンッ

    チャイムが鳴る。
    ま、一応、

    「じゃ、時雨、次の休憩時間でね」

    天野と同じクラスじゃなかっただけ、まだマシなのかも知れないが。
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