散りゆく中で122コメント

1 利代 id:i-pgCuTtW1

2011-09-17(土) 17:12:40 [削除依頼]
終わりの時が近づいている。
刻一刻と。
滅びの時へ。


"彼"は知っている。全てを。
"彼"を慕う者たちは知らない。自分たちが"裏切り者"だと言われていることを。
"彼"の裏の仲間たちは知っている。そして、願ってもいる。叶わないと知りながら。
何も知らず、平穏に暮らしている"彼"の義弟。
そして、"彼"の片割れ。

歯車は回り始めた
  • 103 利代 id:i-B7GX0DJ0

    2011-09-30(金) 18:42:25 [削除依頼]
    「それは真か?」
    震える体を叱咤しながら、喉に力をこめる。
    「嘘を言ってなんになるのさ」
    「だから私は妖怪なんて大嫌いなんですよっ!
    どうして? 和希さんが狙われ続けるの。
    どうして? 和希さんが傷付かなくてはいけないの。
    どうして? 和希さんが何かをしたというの。
    どうして、どうして?
    好きでそんなものになったになったわけじゃないのにっ!!」
    もう我慢出来ない。溢れんばかりの感情が爆発した。そんな感じだ。
    はぁはぁと肩で息をしている。見てわかるほど、彼女は激昂していた。それは、理不尽に狙われ続ける和希をずっと見てきたからだ。
    「だっ」
    「桜、ストップ」
    和希が静止の声をあげる。
    そして、ポンポンと桜の頭を撫でる。それはそれは優しく、暖かな笑みで。
    「お前が怒ることじゃないよ?」
    けれど、彼は自分の運命(さだめ)を宿命を恨んだことなどなかった。全てを受け入れ、了承した。
  • 104 利代 id:i-B7GX0DJ0

    2011-09-30(金) 19:09:21 [削除依頼]
    「和希さん、和希さん。
    愛してます、愛してます。だから、いなくならないでください。
    だから、消えないでください。
    私の前から、私の傍から」
    また先程と同じようなことを口にする。
    「大丈夫だよ。もう二度といなくなったりなんかしないから」
    それを聞いて和希は悲しそうに笑う。
    その表情に気付くものは何人いただろうか。それほど、小さな変化だったのだ。
    部屋にいる妖怪たちは皆、自分が今聞いたことが信じられないようだった。まぁ、当たり前だろう。なにせ、幻の存在が自分たちのすぐ近くにいたのだから。
    「じい様。俺は、簡単に殺される気なんてないんです。」
    だから、と続ける。俺を狙う奴はどんな奴でも始末します。じゃなきゃ、俺が殺されてしまうから。
    「私は和希さんに忠誠を誓った。」
    突拍子もない言葉。
    その部屋にいる者たちは皆、目を疑った。
    桜が和希に膝を折り曲げたからだ。
    「我が真名は扇璃。
    貴方以外の誰にも頭(こうべ)を垂れず、
    貴方以外の誰にも膝を折り曲げず、
    貴方以外の誰にも忠誠を誓わず、
    一生貴方に尽くすことをお許しください」
    「いいよ」
  • 105 利代 id:uxjjOY21

    2011-09-30(金) 21:25:04 [削除依頼]
    「お許しいただき有り難う御座います」
    まるで花が綻ぶように、本当に嬉しそうに笑顔を浮かべた。
    性格は最悪でも顔はそんじゃそこらへんの女性より綺麗なのだ。
    それを間近で見てしまった者は顔を赤らめた。
    「桜、これ、二週間前もやったよね? それに、簡単に真名を口にしていいの?」
    そこでようやく妖怪たちは、桜が自分の真名を名乗ったことに気付かされた。
    「大丈夫ですよ。私は真名しか名乗っていませんから」
    拗ねたように、そっぽを向く。
    その姿を愛おしそうに眺めるのは和希。その視線がどれほど桜を大切にしているのかがわかる。

    和希は桜を決して拒絶しない。
    和希は桜を決して否定しない。
    自分に拒絶されてしまったら、否定されてしまったら桜はおかしくなってしまう。桜を狂わせてしまったのは、紛れもなく自分だと和希は知っているからだ。
    これ以上、狂わせてしまわぬように、おかしくさせてしまわぬように。
    桜は、和希に依存している。
    それは誰が見ても、わかるほど。

    「だけど、あんまり誰かの前で名乗っちゃダメだよ?」
    「和希さんが言うなら・・・」
    本当にもう二人だけの世界だ。
    それをおもしろくなさように見ているのは望夢。
    さっきからここにいるのに、誰も、というより和希が自分を見てくれない。
    そのことが望夢を苛立たせる。
  • 106 利代 id:uxjjOY21

    2011-09-30(金) 21:38:52 [削除依頼]
    「お前さんは、なぜに和希に従っておるんじゃ?」
    「何故、私が和希さんに従っているのか?
    そんなの愚問ですね。愚かで滑稽。決まっているじゃありませんか。和希さんだけが私の主に相応しいからですよ」
    それしかない、と言いたげに断言する。
    和希に対する態度とは百八十度違うもの。イライラとしているのが丸わかりだ。
    和希はそんな彼女を見て、諦めたように笑う。
    「わしが訊きたいのは、どうして和希を主にしたのかじゃよ」
    何か、理由があったんじゃろう?
    そういって、ほけほけと愉快そうに笑う。
    本当に食えない妖怪だ。

    「和希さんだけだった、私を私として見てくれたのは。
    和希さんだけだった、私を見つけてくれたのは。
    和希さんだけだった、闇の中で生きていた私に光を教えてくれたのは。
    和希さんだけだった、誰一人気付けなかった、誰一人気付こうとしなかった私の本当を一目みて言い当てたのは。
    和希さんだけだった、私を愛してくれたのは。
    和希さんだけだった、私を傍にいさせてくれたのは。
    和希さんだけだった。和希さんだけだった・・・・・・」
    高揚しているのがわかる。
    そう、恋する少女。その言葉が本当にピッタリなのだ。

    他の者の言葉よりも桜の言葉のほうが気になる。
    「何故? そう思ってるんでしょう?」
    思っていたことを言い当てられる。
    「お主は一体? 巫湖殿とは違うような気が」
    「裏切り者の名を口にするな!」
    激しい感情。本気で憎んでいるのが、本気で恨んでいるのがわかる。
  • 107 利代 id:uxjjOY21

    2011-09-30(金) 22:00:21 [削除依頼]
    「その名を私の前で口にするなっ!
    私は裏切り者たちが大嫌いなんですよ。罪を犯したことを知らない。罪を忘れ、気付こうともしない!
    あいつらは・・・、和希さんに許されて傍におかせてあげているだけなのに。
    さも、当たり前のように和希さんの傍にいる。裏切ったのはあいつらなのにっ!!」

    ”裏切り者”とは、どうやら巫湖たちのようだ。
    だが何故彼女らが、”裏切り者”なのだろうか。

    「桜、例えお前でも俺の大切な仲間を侮辱することは許さないよ?
    それにもう忘れろ、あの時のことは」
    巫湖たちが”裏切り者”だということは一切否定していない言葉。
    「和希、僕たちは忘れることなんて出来ないよ。けど、和希に嫌われたくないから言わないけど」
    ずっと存在を無視されてきた望夢がようやく言葉を発する。
    その言葉には、ずっとこれからもあいつらのしたことを覚えている。とも、とれる。
  • 108 利代 id:Y.YxIX8/

    2011-10-01(土) 02:35:19 [削除依頼]
    「知らぬは罪だ。何も知らぬということは、無知だということは最大の罪なんだよ」
    唄うようにように囁く。
    まるで悪魔の囁きのように。くすくすと嘲りと嘲笑、嫌悪を含ませた声音で囁く。


    「話が脱線したね、それでえ〜と、確か俺の知っていることを話すっていうことだったよね?」
    傍にいる悠翔に尋ねる。
    「うん、そうだよ」
    「俺の知っていることね〜? なんだろう」
    「じゃあ、兄貴。兄貴は知ってたの? ここに自分を狙っている者がいるって」
    首を傾げている和希に悠翔は尋ねる。
    「知ってたよ」
    「じゃあなんで!」
    声を荒げる。
    何故、と悠翔は訊いた。
    理由は簡単。
    「会いたかったから」
    これまたなんでもないふうに言う。それも、にこにこと笑いながら。
    一気に体から力が抜けていくのがわかった。
    「だって、この機会を逃したら次、いつ帰って来れるかわからなかったんだもん」
    こっちの言葉のほうが余程、問題だと思われる。
    一体、和希は今までどこにいたというのだろうか。
  • 109 利代 id:oToCx1s1

    2011-10-01(土) 11:58:17 [削除依頼]
    「和希殿」
    「なに、眞矩」
    確かに先程までいなかったはずの眞矩が呼びかける。
    上手く気配を殺していたようで誰も気付けなかった。
    「和泉様が、こちらに向かっているようです」
    仮面をかぶっているのに、苦渋の表情が見えるかのようだ。
    「えっ?! ちょっと待って、和泉あそこから出られたの?」
    ギギギとまるで、錆びついた人形のように眞矩のほうに顔を向ける。
    そこには、たった今見せていた笑顔はない。あるのは、純粋な怖れ。
    「すみません、どうやら手助けした者がいると」
    「もしかして、藍と鈴?」
    「もしかしなくてもそうです」
    「まー、あいつらならやりそうだけど・・・」
    深々とため息を吐く。
    先程まであった怖れは今はなりをひそめている。
    「お初にお目にかかります。狩人が一人、狐影とお呼び下さい」
    サッと羅刹の前に来ると恭しくお辞儀をとる。
    「それはお主の名前かの?」
    「いいえ、任務のときだけに使う名です。
    本来は違います。けれど、会ってすぐの人に自らの名を呼ばれたくないのです」
    遠まわしに言っているがつまり、お前らごときが私の名を呼ぶんじゃない。ということだ。
    それをしっかり理解した羅刹は眞矩の言葉に従った。
    なにせ相手は“狩人”機嫌を損ねてしまったらこちらが危険にさらされる。
    そう思っているとなにやら外が騒がしい。
    今は、夜。
    こんな時間に騒ぐなんて迷惑きまわりない。
    と、その時、大きい音をたてて襖がひらいた。

    「大丈夫か?! 和希!」
  • 110 利代 id:oToCx1s1

    2011-10-01(土) 18:14:46 [削除依頼]
    「そんな大声あげなくても聞こえてるよ」
    「和希っ!」
    顔を喜色に染め和希に飛びつく。
    年頃は和希と同じくらいだろう。鋼色の髪。着ているものは、着物よりもラフで身軽そうなもの。
    「なぁ、和希。お前さ、オレに溜めこんだ仕事押し付けて何してるの?」
    さっきまでとは違う。低い声。
    和希はたじたじとなって言い訳をしようとする。
    「いや、えっと。ほら、和泉」
    「言い訳はいい。覚悟できてるよな?」
    笑顔がものすごく怖い。
    後ろに鬼が見える。まずい、ものすごくまずい。
    「ごめん、ごめんなさい! 謝るから」
    和希は必死だった。
    そんな和希に眞矩が哀れみの視線を向ける。
    「和希、オレね? 頑張ったんだよ、ものすごく、和希がやるって言うから。なのに・・・」
    何故あれほど和希が怖れていたのかがこの図を見れば、理解できるだろう。
  • 111 利代 id:oToCx1s1

    2011-10-01(土) 21:07:00 [削除依頼]
    まさに、問答無用に叱ってる母親と悪いことをしてそれがバレて叱れている子供だ。
    「ごめん、ごめんってば。・・・そこにいるのは誰?!」
    鋭さを帯びた言葉。
    誰もいない空間を睨みつけるように、言葉を放つ。
    「ニハハハ。すごい、すごい! やっぱり、和希はすごいね!」
    キャッキャッと子供のように騒ぐ声。
    けれど、姿が見えない。
    「だから、殺してあげる」
    桜よりも無邪気な少年の声。
    「あぁ、お前か。狛火」
    「正解、正解!」」
    「下がってください、和希さん」
    「邪魔だよ」
    冷淡で何の表情もうつさない。
    サァッと目の前に少年が現れた。和希と同い年だろうか。変わっているところといえば、両目が朱く光っていることだろう。
    他の者たちは突如現れた少年に驚き、また、少年を知っている者は眉を顰めた。
    しかし皆、応戦できるように体勢を整える。
    「久しぶりだね、狛火。まだ懲りずに俺を殺そうとしてるの?」
    「だってだって。そうしたら、一生和希は僕のものでしょう? ニハハハ」
    狂ってる。そう、狂ってとしか言いようがなかった。
    「俺はお前に殺される気なんてないよ」
    きっぱりと断言する。
    「ニハハハ。いいの、いいの。」
    今更だが特徴的な笑い方だ。
    相手を挑発するように、馬鹿にするような表情で嗤う。
  • 112 利代 id:qy/yS0O/

    2011-10-02(日) 03:28:21 [削除依頼]
    「和希さんを殺させる・・・? そんなこと出来ると思っているんですか」
    「君には訊いてないよ」
    冷淡で無表情。興味がないと言いたげに、けれど、その声音には苛立ちが混じっている。
    「ねぇ、どうして君なの? そこにいたのは僕だったのに」
    「狛火・・・」
    「どうしてどうして、どうして?
    どうして僕を見捨てたの?
    どうして僕を切り捨てたの?
    どうして僕を和希の配下から外したの?」
    悲痛な心からの叫び。それが例え偽りであろうとも。
    和希は、悲しそうに、哀しそうに、苦しそうに、傷付いた顔で謝罪の言葉を口にする。
    「ごめんな、狛火。」
    「どうして裏切ってくれなかったの? そうしたら、躊躇わずに憎めたのに」
  • 113 利代 id:qy/yS0O/

    2011-10-02(日) 12:55:48 [削除依頼]
    「ニハハハ。いい? 和希を殺すのは僕なんだよ。
    ――――あぁ、そうだ。和希、僕は卑怯なことは大嫌いなんだよ」
    今、思い出したばかりだというようにポンと手を打つ。
    たった今あったあの面影はもうない。
    「うん、知ってるよ」
    先程から命を狙われているというのに和希からは緊張感が感じられない。
    そのかわり、和希の傍にいる桜、眞矩そして和泉が緊迫した空気で相手を睨んでいる。
    「だからだからだから。いいこと教えてあげる。
    『歯車が狂い始めた。
    人魚姫は泡になって消えた。
    愚かな王子は知らない事実。
    哀れな女は自業自得。
    どちらが悪いかは人次第。』
    なんのことかわかるかな? ニハハハ」
    皆はどういう意味なのか全くわかっていないようだ。
    だが、これだけ意味がわからない言葉を理解しろとも難しいことであろう。
    「うん、わかんなくてもいいよ。いいよいいよいいよ。ニハハハ」
    そう言い残すと狛火は文字通り、消えた。和希たちの前から。
    「どうして、狛火がいたんですか? 和希さん」
    「さぁ? あいつの考えていることは今でもわかんないよ」
    「兄貴、あの人」
    言いよどむ悠翔に対して、哀しそうに微笑んだ。
    「あいつは俺の配下だった」
    それは過去形の言葉。
    「あいつは、俺に関わっちゃダメなんだよ」
    和希が悲しそうに笑う。
    その笑みを見ればもう悠翔は何も言えなくなる。
    この兄は、言いたくないときは悲しそうに笑うのだ。勿論、その癖に気付いていないのだろう。
    気付いていたら、やめるはずだ。けど、やめようと思ってもやめられないのが癖なのだが。
  • 114 利代 id:qy/yS0O/

    2011-10-02(日) 13:24:25 [削除依頼]
    その後、気まずい空気のまま桜たちと別れた。
    望夢は楽しそうにクスクスと嗤っているだけ。
    じい様や悠翔も何と言っていいのか探しあぐねているようだ。
    仕方ない。そう思う。
    何せ自分は家族に何も言わないで、知らせないできたのだから。
    これは自分の勝手な行為。自己満足でやっていたことなのだ。
    だから、責められたら謝ろうと思う。拒絶されたらそれでも愛そうと思う。怒られたら「ありがとう」と言おうと思う。


    ここは、和希の部屋。
    周りには誰もいない。
    「望夢、結界を」
    「わかった。≪虚夢囲≫」
    透明な膜のようなものが和希の部屋を囲む。
    「そこにいるんだろう?」
    「よく、わかったねぇ」
    「そりゃ、気配ダダ漏れだし?」
    コテンと首を傾げる。
    今、和希は座っているので必然的に上目づかいになる。
    「僕の演技、完ぺきだったでしょ、ニハハハ」
    「演技は完ぺきだけど、口癖は変わんないね。―――――――狛火」
    すると誰もいなかった空間に人影が現れた。
    そう、その者は先程和希を殺そうとした・・・狛火だった。
  • 115 利代 id:qy/yS0O/

    2011-10-02(日) 15:20:09 [削除依頼]
    「いいの? 桜とか和泉とか騙したままで」
    「今はね」
    意味ありげに妖しく笑う。
    というより、さっきまで和希を殺そうとしていた者が和希と親しげに会話をしているだなんて、誰が見ても不審すぎる。
    けれど、もとから狛火は和希を殺す気なんてなかったのだ。
    ただ、自分が和希を殺そうとしている。という、虚像を植え付けたようとしただけ。
    「別のどうでもいいけどね。”願い”さえ叶えられれば。」
    「叶わないと知りながら?」
    彼の言う”願い”。
    それは、和希のこと。
    だから、和希が叶わないと言うならば決して叶うはずがないのだろう。

    知っている。叶わないと。
    気付いている。絶対に。
    けれど、願うことはやめられない。諦めきれない。

    「それよりお前、まだあそこにいるのか?」
    「ニハハハ。しょうがないじゃん。僕、幻覚使いなんだからさ」
    ”幻覚使い”
    ”異能の力を持つ者”のその中でも謎に包まれている一族。
    名前の通り、幻覚を使い、相手の視覚、聴覚など惑わすことまでは知られているがそれがどれほどの能力なのかは知られていないのだ。
    その力のおかげで、狛火は誰にも気付かれずにここまで入ってこれたのだ。
    「お前は俺の配下だ。―――狐晁」
    「ニハハハ。当たり前でしょ」

    この二人の密会を知るは、和希の部屋にいた者たちだけ。


    歯車が狂い始めた。
    人魚姫は泡になって消えた。
    愚かな王子は知らない事実。
    哀れな女は自業自得。
    どちらが悪いかは人次第。
    だが、これを悲劇と呼んでいいのだろうか。
  • 116 利代 id:qy/yS0O/

    2011-10-02(日) 16:31:55 [削除依頼]
    なんかどんどん駄文になっていく・・・・・・。
    何を書きたいんだ、私!!

    えーと、またまた新キャラ出てきたので設定を・・・


    紫初 狛火(しぞめ はくび)

    年齢不詳。
    見た目は、和希と同い年ぐらいだが・・・。変わっているところといえば、両目が朱いこと。
    和希と一緒に何かをたくらんでいる様子。和希の配下。
    ”幻覚使い”。
    口癖は「ニハハハ」。
    何を考えているのかわからない。けど、和希はよく見ているから感情の機微に聡い。
  • 117 利代 id:i-OgoAh9z/

    2011-10-02(日) 18:07:20 [削除依頼]
    翌朝、家の中は薄暗い空気に包まれていた。
    違和感を抱きながら、部屋を出る。
    見覚えのない妖怪に近付き、どうしてこんなに皆暗いのかの理由を訊く。
    その妖怪は和希を見るとビクリと肩を震わせて『畏れ』の視線でこちらを見てくる。

    けれど、和希はそんなこと気にしない。彼が愛しているのは、大切にしているのは、悠翔に羅刹、昔自分のことを慈しんでくれた人たちだけ。
    だから、傷付かない。悲しまない。苦しくない。だってどうでもいいから。
    彼にとっての大切な者たちは、そんなことしないと知っているから。

    そして、妖怪から何故こんなに家の中が暗いのかを聞くと和希は真っ青な顔で羅刹のもとへと急ぐ。
  • 118 利代 id:yh77qYf/

    2011-10-03(月) 17:13:24 [削除依頼]
    「じい様! あおさん、大丈夫なの!?」
    「心配ない。だが、三日間はまともに動けんそうじゃ」

    あおさん。
    本来の名を、送り雀という。
    和歌山では雀送り(すずめおくり)ともいう。その鳴き声を実在の鳥のアオジにたとえ、蒿雀(あおじ)とも呼ばれている。
    夜、人が山道を歩いていると「チチチチ……」と鳴きながら飛んできては、夜に提灯を灯して歩いている人に寄って来るともいわれている妖怪。
    和歌山では妙法山によく現れたという。


    昔からなにかと和希の世話を焼いてくれた頼れる兄貴分なのだ。
    その、送り雀が何者かに襲われたという。
    幸い、命に関わるような怪我ではなかったが襲った者がまだ見当がついていない状態なのだ。
    送り雀は組の中でも皆から信頼されており、頼りにされてきたのだ。
    皆、送り雀が心配で心配でたまらないのだ。

    「じい様、俺お見舞いに行ってきます」
  • 119 利代 id:yh77qYf/

    2011-10-03(月) 17:56:44 [削除依頼]
    じい様にそう言ってから、和希は送り雀のところに行く準備をしていた。
    悠翔も行きたいと言っていたが、学校があるだろうといって無理矢理納得させた。
    その代わり、どんな様子だったかちゃんと教える約束をして。


    送り雀は、今、近くにある山深くに住んでいる。
    人間などが決して近付くことなど出来ない場所。
    まぁ、悠翔などは妖怪の血が流れているし、それに送り雀が住んでいる場所は一種の結界のようなもので守れており、許された者しか入ることが出来なくなっているのだ。
    和希は許された者。時効ではなかったら。


    「やっぱり、重いな」
    「持とうか?」
    そう言って尋ねてくるのは、二十歳前後の姿をしたなかなかの美形の男性。
    「お願い、望夢」
    「わかった」
    和希から大きい荷物を渡される。
    和希が送り雀のところにお見舞いに行くと言ったら、皆からお見舞い品を渡してくれと頼まれたのだ。
    荷物の中には酒や薬草、これ必要なくね? という物まで入っている。
    「本当にお前、姿変わると性格も口調も変わるよな」
    「そうか?」
    そうこの男性は、望夢の変化した姿なのだ。
    人の思い描いた人物像を望夢は表すことができるのだ。そのため、性格や口調などがもとの望夢違ってくるのだ。
    少年の姿は、妖力をあまり使わないため。


    それから電車に乗り、漸く送り雀が住む山までやってきた。
  • 120 利代 id:spqrfMb1

    2011-10-04(火) 18:32:08 [削除依頼]
    「すいませーん、誰かいませんかー?」
    無事に送り雀の家まで着いた。――無事だったかは定かではないが。そこはあまりつっこまないでほしい。
    「はいはい。あら、どうかしたの?」
    「お見舞いに来たんですが・・・」
    「あら、そうなの。なら、どうぞ立ち話もなんだし」
    そう言われて家の中を通される。
    ほのぼのとした雰囲気の女性。一緒にいるだけで癒されるような。
    と、そんなことを考えて歩いていると、どうやら目的の場所に着いたようだ。
    「それでは」と言いながら去っていく姿を見送る。

    「入ってもいい?」
    一応、声をかける。
    ここに連れてきたのだから、おそらくこの部屋にいるのだろう。と、見当をつけて。
    「あぁ、いいぜ」
    思ったより元気そうだ。
    ふっと安堵の息をつく。
    まぁ、元気でなければ通されないと思うが。

    スッと襖を開く。
    「かず・・・き、か?」
    戸惑い混じりの問いかけ。
    噂では聞いたけど、まさか本人が自分のもとに来るなんて考えもしていなかったのだろう。
    「そうだよ、あおさん」
    上半身を起こしている送り雀に寝たままでいいと促す。
    渋々といった感じで布団をかぶる。
    「懐かしいな、元気にやってたか?」
    自分が怪我をしているのに、他人のことまで気遣う。そんな彼だからいろんな者から慕われているのだろう。
    「はい、・・・・・・あおさん、大丈夫ですか?」
    「こんなの掠り傷だって」
    わかっている。
    自分を心配させないように言っていることぐらい。

    「あおさん、俺の力あなたに少しだけ分けます」


    青い鳥は幸せの鳥。
    朱い鳥は不死身の鳥。
    黒い鳥は不吉な鳥。
    なら、黄色の鳥は・・・?
  • 121 利代 id:spqrfMb1

    2011-10-04(火) 19:04:28 [削除依頼]
    「どういう意味だ?」
    不審そうに問いかけられる。
    「ダーメ! そんなこと、和希がしなくてもいいじゃん!」
    怒り心頭。まさにその言葉が当てはまる。というより、男性の姿からいつもの少年の姿になっていた。
    「いいだろ? 晶?」
    その言葉が、その声音が、その名を呼ぶことが、和希の意志の強さを窺わせる。
    「わかった」
    「手を出してくれますか?」
    恐る恐る手を差し出す。
    そっと手を取り、ほんの少しだけ力を加える。
    「なっ?」
    送り雀が驚きの声をあげる。
    今まであったあの怪我が嘘のように消えているからだ。
    「良かった」
    「お前、何者なんだ?」
    「さぁ?」
    はぐらかしているのか、それとも本当にわからないのか和希は曖昧に笑う。

    「これは、俺ができる数少ない力なんです」
  • 122 利代 id:aFBiV/B/

    2011-10-24(月) 14:46:12 [削除依頼]
    「このこと言ったら、――――わかってる?」
    妖しそうに口角をつり上げる。けれど、一切目が笑っていない。
    「和希はね、陰気や穢れを祓うことができるんだ」
    それが、どういうことかわかる?

    送り雀は愚かではなかった。だから、その考えを即座に理解できた。
    人間が妖怪が、和希の能力を知れば、和希を利用するに決まっている。
    それが、望夢は嫌なのだ。

    「俺は俺の好きなようにするだけ。
    あの、あおさん。もし、もしですよ? ――――――――自分が死ぬ日を知っていたらどうしますか?」
    「はっ?」
    口をあんぐりと開けて何を言われたのかわからないというような表情。
    送り雀は気付かなかったが、望夢は動揺したように顔を強張らせていた。けれど、それは一瞬。
    「俺は後悔したくないから、全てのことをやろうと思うんです。
    だけど、悲しむ人たちがいるのが嫌なんです。悲しまないでほしいんです」
    送り雀のことなど忘れたように言の葉を紡いでいく。
    「あっ、ごめんなさい。急にこんなこと・・・」
    しゅんと落ち込んだように俯く。
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