魔導戦士‡エマみらくる!161コメント

1 奏楽 id:vt-VMgnY5m1

2011-09-16(金) 19:24:14 [削除依頼]
『それでも、君は戦い続けますか?』
その言葉に意味はなかった。
その世界に意味はなくなった。
それでも、それでも。
「当たり前じゃない」


「終わらせてみせる。全てを。」
  • 142 奏楽@テスト終了ベイベー id:vt-QaimcFZ.

    2012-02-18(土) 01:00:49 [削除依頼]
    》匿名さん
    まじっすか!ありがとうございます!!
    最終残れる…のか?汗
    でも嬉しいです。本当ありがとうございます。
  • 143 奏楽 id:vt-VbFd9WY.

    2012-02-26(日) 15:10:49 [削除依頼]
    †Chapter5.大丈夫だよ、当たり前だよ†


    「おっはよー!」
    「うっわ藤崎かよ。朝からあちーなー」
    「やだユイガ、近づかないでー汗うつるー」
    「汗かいてねーよ! もう七月だけど!」


    初夏の季節になった。
    中肉中背の少年が周りに笑顔を振り撒きながら教室に入ってくる。
    藤崎ユイガ。彼にとって、夏は一番好きな季節だった。テンションだって自然に上がる。
    やがてユイガは、自分の席の隣に座って本を読んでいる少女に軽く手を挙げた。
    「おはよ、桜井」
    「…………おはよう、藤崎君」
    つまらなそうに彼に目をやり、すぐにまた本に並ぶ字の羅列を見ることに戻った少女――桜井エマに対し、苦笑いしながらユイガは教科書を机に押し込み始める。すると、前の席の矢島がやって来た。耳元に口を寄せ、
    「また桜井に絡んでんのかよ? 相変わらず趣味ワルイ奴」
    「は?」
    「は?」
    「桜井はいいやつだぞ。最近なんか変わったし、あいつにはでっかい秘密が……っ、と、あ、嘘嘘嘘!」
    「……お前って馬鹿だよな、多分」
    馬鹿、という言葉に思わず反応して矢島を軽く睨むユイガだったが、エマは気にせず読書をしている。
  • 144 奏楽@実力テストなんて… id:vt-LDHUAKM0

    2012-03-03(土) 20:34:28 [削除依頼]



    さすがに梅雨明けの暑い時期とあってか、常にあまり変わらないもっさりしたベストを着ているエマも、半袖のワイシャツ一枚だ。
    「何か涼しくなったよなー、桜井も……」
    「そう?」
    「……あ、進んでる? その……『答え』とかそこら辺」
    「たいして」
    うーむ。ユイガは心の中で首を捻った。
    素っ気ない。エマが非常に素っ気ない。
    学校の外――ここ最近、ユイガはエマと共に先輩陣とクルーレ探しをしていた――では、エマは普通よりは下のランクであるものの、もう少し口数が多かったはずだ。無口、という第一印象を彼女に持っていたユイガはその様子に少々驚いたのをよく覚えていた。
  • 145 奏楽 id:vt-2pWO6FO.

    2012-03-11(日) 18:34:45 [削除依頼]



    とにかく、ユイガはエマが気になって仕方がないのである。今まで自分が出会ったことのないキャラに、標準以上といってもおかしくないかんばせ。更に二人で共有した魔法の秘密と来れば、思春期の中学生であるユイガの心をくすぐるには十分だった。
    なのに、エマはユイガが満足するような反応は取ってくれない。それが、イマイチ気に入らない。
    心の中でこっそり口を尖らせ、ワイシャツで風を仰ぐ。
    エアコンが付いていない古い校舎では、教室に二つしかない扇風機、それにうちわ代わりのワイシャツや教科書が手放せない。
    もう夏だ。何か思い出を作りたい。一生手放せないような。
    それにはそう、早めに片をつけたい。
    「あ」
    唐突にエマがこちらを見た。待ってましたとばかりにユイガは何、と返す。
    「今日のお昼、屋上で一緒に食べないか、って。ワタルが。よければ」
    「あ……うん」
    生返事。心の口が、ますます尖って、まるでくちばし。
  • 146 奏楽 id:vt-3fFpfE70

    2012-03-16(金) 21:43:53 [削除依頼]
    †急に番外.ひとやすみ†
    ※会話文
    ※読んでも読まなくても本編には関係ありません
    ※前レスの後の昼休みのお弁当の話
    ※クオリティ低い
    ※それでもよいかたはどうぞ


    「時雨沢先輩ってさー」
    「急に何、藤崎少年」
    「なんすか少年って。
    いや、ぶっちゃけさ。
    先輩って桜井のこと好きですよね」
    「ちょっ!!! ちょ、ちょっと待て」
    「あー図星かー意外とわかりやすいなー(棒読み)」
    「いやね? そ、そんな先輩をからかうんじゃないよ」
    「えー? 先輩いつもと口調が違いますよー?」
    「何話してるの?」
    「うぎゃあああああエマあああ!!!!」
    「おー桜井ー」
    「ワタル、変。どうしたの……? あ、藤崎君いたんだ」
    「ひどい!!」
    「いやいやいやいや何でもないよ別に俺変じゃないよ」
    「いや変だし」
    「桜井のツッコミが……冷たい……俺に対してじゃないけど」
    「楽しそうだね〜」
    「あ、アヤカ先輩!?」
    「……吉野さん……高校生ですよね? 伯明高ってここからだいぶ離れてますよね?」
    「でも吉野先輩、弁当全く冷めてねー……!!」
    「はは、補佐魔法だよ諸君。『モーメンス』、瞬間移動だよね」
    「……何語?」
    「うーむ、俺も魔導戦士になったばっかだしわかんねーよ」
    「いいわよ、ちょっとくらいわかんなくても。細かいのは気にしない」
    「てか《疑問》と無関係じゃ……?」
    「別にいいのよ。これはあたしの力。どう使うかはあたしが決める。
    元々この魔導戦士って力は《疑問》さえ解決できればどう使っても大丈夫でしょう」
    「あ! 私気になってたんですけど、答えって見つかったら魔導戦士の力はどうなるのでしょうか?」
    「さあ」
    「さあ」
    「さあ」
    「え!?」
    「そういえば知らなかった」
    「でも、多分消えたりはしないんじゃね? 俺はそう思うよ、桜井!」
    「えっ? あ……チャイム鳴った。もう行かなくちゃ」
    「……ぐっ」
    「じゃ、かいさーん」
  • 147 奏楽 id:vt-3fFpfE70

    2012-03-16(金) 23:42:03 [削除依頼]
    本編に戻ります
  • 148 奏楽 id:vt-jZT02/70

    2012-03-17(土) 22:11:11 [削除依頼]



    *****
    何日かたった日の朝、ユイガとエマのクラスにある事件が起こった。
    クラスでユイガの友人の矢島がカッターで怪我をしたのだ。
    「だってカッターだろ? 部活の時間とかに自分でミスったんじゃねーの?」
    軽く遅刻した事を紛らわすように、ユイガはさりげなく喧騒の輪の中に入った。
    矢島は美術部である。クラスの人とは誰とでも話すユイガは、彼が今トーンを使った絵を作っているのも聞いていた。
    「そうかもしれねーけどよぉ……」
    いつの間にか、クラス委員の加藤が隣に来ていた。幸い、遅刻には気付いていないようだ。
    ユイガはホッと息をついた。
    ラッキー、とどうせクラスの揉め事などには関わらないだろうエマにピースサインを送ろうと辺りを見回した時、
    「だって矢島本人が言ってるんだぜ?
    『昨日の放課後、桜井エマにやられた』って」
    加藤の声に、ユイガは首にうなりを付けて方向転換を行った。
    ゴキッ!! とグロテスクなサウンド。
    「……はぁ!?」
    「…………なんだよ藤崎、テンション上がったな。てかお前! 知らなかったってことは遅刻して」
    「おかしいだろ!? 何で桜井なんだよ!? だって昨日の放課後、あいつは俺達と、」
    魔導戦士になってクルーレを探していた。
    すんでの所で、喉の奥に無理矢理言葉を突っ込む。
  • 149 奏楽 id:vt-9pQact80

    2012-03-18(日) 19:55:09 [削除依頼]



    そうだ。そもそも、ユイガが魔導戦士になり、手始めにクルーレを探すようになった理由……もとい《疑問》。
    それは、本当の正義を探すことだった。
    世の中には悪が星の数ほど存在する。
    しかし。それと同時に現実――自分の周りに合わせてあやふやに作り上げられた偽りの事実、真実――も同じ数だけ有ることをユイガは知ったのである。
    偏った考えをとらない、そう、まるでアニメのヒーローのような。
    そんな正義を、ユイガは見付けたかった。
    だからこそ、エマが犯人として疑惑の目を向けられているのをユイガは許せなかったのだ。
    そのためには、まずは矢島だ。クラスにほぼ関心の無いエマが特定の誰かに恨みを募らせるような事は無いだろう。矢島から何か聞き出さなければ。
    ユイガは夏の太陽に決心した。
    この事件の真実を見つけると。そして本当の正義を見つけるのだ。
    ギラギラと、刺すような太陽の光を窓のガラス越しに受けてユイガは顔を大きく見せるように深呼吸した。
    と、その時、クラスの隅の目立たない女子のひそひそ話が聞こえた。
    「怖いよねー……桜井さん。情緒不安定、ってやつ?」
    「あ、分かる分かる。若干イっちゃってんじゃん?」
    物騒な言葉を出す割に、見下すような嘲笑を続ける女子二人。
    ユイガは不快感に眉を潜めてその場を離れた。
    こういう所からも、偽りの真実は形成されるのだ。
  • 150 奏楽 id:vt-/gNXqS5.

    2012-03-25(日) 19:26:47 [削除依頼]



    それにしても、とユイガはシャープペンを回して考える。
    矢島は元々優しくて大人しいタイプの人間だ。
    いつも暴走しがちの、ユイガを筆頭としたクラスの男子共の突っ込み役を担っている。
    所謂ユイガと正反対のタイプだったのだ。
    それがエマに濡れ衣など。
    目を向けると、先程の喧騒はたいぶ収まり、朝のホームルームに向けて学級委員が動いていた。
    いつの間にかエマも隣に戻り、相変わらずの無表情で読書を始めている。
    自分なら、こんな時どうするだろうか。きっと…………考え始めてやめた。彼は自分に起こらない事は考えないタイプだ。
    「でも、桜井は強いなあ」
    心の中で思っていただけの呟きは洩れていたらしい。
    訝しげにこちらを伺うエマに、ユイガは笑顔で首を振った。
  • 151 ichi id:f3R1V3/1

    2012-03-26(月) 11:24:11 [削除依頼]
    初めまして^^

    一気読みしました!
    ストーリーがとにかく面白いです!
    更新頑張ってください^^
  • 152 奏楽 id:vt-FgDBhrM.

    2012-03-28(水) 21:50:59 [削除依頼]
    >ichiさん
    ふおお!!コメントありがとうございます!!
    嬉しいです、頑張ります*
  • 153 奏楽 id:vt-FgDBhrM.

    2012-03-28(水) 21:58:24 [削除依頼]



    *****
    放課後、ユイガは矢島を教室に居残らせた。殆ど喧嘩を売るようなユイガに彼は鬱陶しげな視線を向けたが、一日中付きまとって来るしつこさには折れたらしい。夕方、完全下校時刻ぎりぎりの時間に残ることを了承した。
    そして今、ユイガはその時間、教室にいる。
    夕日は確実にその姿を隠し始めて、既にちらほら、星が瞬いていた。
    絶対にエマを救う。本当の正義を見つける。
    ユイガは覚悟を決めたかのように、大きく深呼吸をした。その時、ギシギシしたドアが開く。
    矢島が来た。
    ユイガはいきなり。話を切り出した。
  • 154 奏楽 id:vt-FgDBhrM.

    2012-03-28(水) 22:34:08 [削除依頼]



    「単刀直入に言うけどさ、お前」
    ユイガは矢島を捕らえるように見つめた。少年二人の、視線が絡み合う。
    「桜井エマにカッターに傷付けられた、っての。
    ――あれ、嘘なんじゃねーか?」
    矢島は感情のある顔を見せない。唇だけが小さく動いた。
    「根拠は?」
    「根拠!? ――そんなのっ……考えればいくらでも出るだろっ。ほら、あいつ、クラスの奴と全然、喋んないじゃん」
    痛い所を突かれた。感情のままに奔走するユイガは理詰めしてくるようなタイプに極端に弱い。急に口調がたどたどしくなってしまった。
    焦って声を張り上げるユイガに対して、矢島の瞳はどんどん冷たくなってゆく。
    夕日が落ちる。影が落ちる。
    「それだけ?」
    「――っ、まだ、あるっつーのっ…………!!」
    「あのさぁ……」
    矢島が初めて動いた。ドア付近から歩き、ユイガの席の隣――エマの机に腰掛ける。同時に、ため息をついた。
    「根拠ってたくさんあれば良いってもんじゃねーし。感覚だけで嘘とか決め付けて、女のために友達につっかかるとかどこの古参番長だよ」
    冷静に分析してくる所がまた、意図しているのかしていないのか、ユイガを追い詰める。
    やがて、矢島は極めつけの一言を口にした。
    「おまえって、ほんとばか」
    座った机――を、所持している生徒――を、踏み潰すような態度。
    見下す視線。
    ユイガの導火線に火がつくには充分過ぎる程だった。
    「んだよ、てめぇ!!!!」
    勢いで胸倉を掴む。矢島の身体が、机から離れかけて、ぐらつく。
    「てめぇがやったんだろ!? 言い訳してねーで、さっさと言えよ!! 桜井に謝れよ!!」
    「ったく、藤崎はいつも情にあついっつーか、なんつーか。」
    矢島はもう半分呆れながら、がっちりついたユイガの指を一本一本剥がしていく。
    「そーだよ、カッターをヤったのは俺自身だよ。
    ――だが、それはお前には関係ないはずだ。少なくとも、『藤崎ユイガ』には関係ないはずだ」
    「――どーいう事だ」
    「お前には分からないさ。逆に、俺もお前がどうしてそこまでク.ソ桜井にこだわるかも分からないがな」
    ク.ソ桜井、と発音した言葉に、ほんの微かに強さがあった。
    しかしユイガはそんな事気にもとめずに答えを返す。
    「桜井をそんな風に言うんじゃねえよ! あいつはあんなんだけど、すっげえ良い奴だ! それを利用するなんて……っ。
    ――それに、俺は見つけるんだ。てめぇみたいなのには分からねえ、本当の正義を!」
    矢島がポカンとした。緊迫した空気が、一気に解けた気が、ユイガにはした。
    しかも、矢島は笑いはじめた。カラカラ、渇いた唾も残っていない笑い方。
    馬.鹿にするならいくらでもしろ。所詮、お前ごときの人間には魔導戦士は、《疑問》は分からない。
    ユイガが歯を食いしばったその時、矢島が再び口を開いた。
    気がつけば、今さっきまでの笑いは消えていた。
    「はあ?
    お前、やっぱしばかだな。」


    「今俺たちの目の前にあるのが、ココの本当の正義だよ」
  • 155 奏楽@わすれなーいよだいっじっなー id:vt-va.Drz80

    2012-03-30(金) 00:02:14 [削除依頼]



    「――は?」
    今度は、ユイガがポカンとする番だった。ただ、矢島の時のように空気は緩まない。むしろ、凍ったようだった。
    静かだ。セミの声も、部活終了の挨拶も、聞こえない。せかいに、二人きりのような。
    「どういう事だ……!?」
    お前なんかに分かるはずがないと。正義なんかないと。信じていたはずなのに。
    「どういうもこういうも、言った通りの意味だ」
    「このクラスにとって、桜井エマが大切な人なんていない。友達なんていない。だから、あいつは『悪』だ」
    「はぁ!? 決め付けやがって!! 『悪』はお前だろ!?」
    「いちいちうっさいよ。やっぱしばかだなあ」
    「黙.れ!」
    「ったく……良く聞けよ。
    全員がニコニコ笑ってはい平和、万事解決、なんて環境が存在するわけないだろ? 誰だって欲があるさ。意味も無い怒りがあるさ。理不尽な憎悪があるさ」
    「だから黙.れ! そんならそれを改善すればいいじゃねーか!!」
    「うるせえ。お前が黙.れ。人が話してる時は遮るな。
    改善できないから『悪』があるんだよ。『悪』があるならそれに対抗するための『正義』が当然のように生まれてくる。これがうちのクラスで起きてんだよ、分からねえのか?
    ネット中.毒で情.緒不安定、無口でう.ざいってイメージがほぼ全員に一致している桜井エマが『悪』、逆にそれを受け入れない俺たちは反対側の存在だから『正義』」
    「だからそれがおかしいんだよ!!」
    ユイガが机を叩いた。木材と金属が無機質に混ざり合った音が響く。
    「俺は桜井を受け入れてる! 大切だって思える! あいつだってきっとそう、」
    「黙.れ! 空気読めよお前!!」
    何かを言いかけたユイガを、矢島が一気に制した。
    「何だよ!? 何がしたいんだよ!! 生きてる価値も無いような奴庇ってよお!!!! ヒーロー気取りか!? あ?
    悪者は悪い事してなくても悪者にしておくんだよ!!
    他の奴らは皆分かってる! ク.ソ桜井でさえもだ!! なのに何故お前は分からない!? 酔ってるのか!? 自己陶酔か!? あ!?
    ――っとか言えよ!!!!」
    「……ん、で」
    何で。
    何で、お前はそこまで『悪』にこだわるんだ?
    何で、そんなに桜井エマを嫌うんだ?
    そうだ。ユイガがエマに近づいた時、一番嫌がったのは矢島だった。しきりに、会話に介入してきた。
    分からない事は考えれば考えるほど増える。何で? どうして? 何故?
    いろいろ言いたいのに、胸倉を掴んで離さない矢島の腕が邪魔する。
  • 156 奏楽@わすれなーいよだいーじーなー id:vt-Etn/ILN0

    2012-04-20(金) 18:11:18 [削除依頼]



    お互い、息が荒い。普段滅多に感情を爆発させない矢島は特に辛そうな表情をしていた。
    一瞬疲労からかユイガを掴む腕を緩めた隙に、ユイガはかすれかすれに声を出す。
    「何で…………」
    何で、そんなに桜井が嫌いなんだ。
    桜井はお前のこと、悪くは言ってなかったよ。
    何にも興味は無かったよ。
    それなのに、何でお前は。
    「……から、」
    「…………?」
    「――もう俺自身が悪には、」


    なりたくないから。
    誰かに押し付ければ、自分は安全だから。
    だから、桜井エマが嫌いな振りをして、縋り付いている。屈しない彼女に。


    「とにかく、もうこの話は終わりだ。こんなザマお前に見られるなんてな――他言するんじゃねーぞ」
    「ああ」
    ユイガの答えを確認してから、矢島は外に出た。
    しばらく教室で呆けてから、ユイガも外に出る。チャイムの鳴る一分前に、校門をくぐる。
    昇降口の近くの鏡を見た時の自分の顔は、暴.走族の返り討ちにあったようだった。
  • 157 奏楽@わすれなーいよだいーじーなー id:vt-704JrTW0

    2012-04-24(火) 20:33:59 [削除依頼]
    *****


    帰り道、ユイガはとぼとぼとコンクリートを踏み付けて歩いていた。
    自分の影がいつもよりも小さく、濃く見える。らしくもない溜め息をついてユイガはつい下を向いてしまった。
    と、目に映ったのは明るい大きな影。
    「お? 藤崎少年じゃん、どうした?」
    ユイガの知る限り、この呼称を使う人物は二人しかいない。
    そしてこの、大人と子供の狭間にいるような声は。
    「吉野さん!」
    「あっはは、やっと気づいたかー。藤崎少年、何か鈍いぞ? 何かあった?」
    アヤカはいつぞやのワタル発案の藤崎少年、というのを気に入って使っていたのだった。その声を聞いた瞬間、へなへなと力が抜け、ユイガはアヤカに縋り付いた。
    「よ、吉野さぁ〜ん」
    子供みたいじゃない、とアヤカは笑いながらも、しっかり話を聞く姿勢をとってくれる。
  • 158 奏楽 id:vt-yjB5kWN/

    2012-05-25(金) 21:50:54 [削除依頼]
    あれ?過去レスが消えてる?
    まあいいか…
    更新します
  • 159 奏楽@森へお帰り id:vt-yjB5kWN/

    2012-05-25(金) 22:14:02 [削除依頼]



    「……そうかー、そんなことがあったのか」
    ユイガの話を聞き終わったアヤカはうんうんと頷いた。
    「でも、目標達成のための障害って誰にでもあるってあたしは思う。そのヤジマっていう彼はいわゆる君の、順調、の邪魔をする一種の壁なんじゃないかな。そういうの何て言うんだっけ……青天の……霹靂?」
    ヘキレキ、という言葉は学に徹することが苦手なユイガには少々馴染みの無い言葉だった。実はアヤカも自分と同じような感じだと思っていたのだが、これは想定外に傷付く。
    「あ、そういえば」
    自分の脳みそをもっと鍛えておけば良かったと後悔しつつ、ユイガは話題を移す。影は更に黒を増やし、空には星が瞬き始めていた。
    「吉野先輩のヘッドフォン、ずいぶん使い込んでありますね? 何聞いてるんですか」
    アヤカは虚を衝かれたらしい。慌てて淡いライトグリーンが塗られている細かい傷の多いヘッドフォンを外した。
    そしてユイガは見た。鞄にしまわれるそれのコードには――音楽プレーヤーが付いていなかった。
    「――別に言うほどのもんじゃないよ。あたし音楽センスなんて無いし」
    アヤカは笑ったが、それはもうこの話題は出すなという暗黙の指示に過ぎなかった。空気が読めないとよく言われるユイガでもそれは分かるので口をつぐむ。
    でもそうか、壁か。
    桜井にも話を聞いてもらえば分かってもらえるし。矢島も本当は良い奴なのを、俺は知ってるしな。
    心のコップはまた自信で満たされ、ユイガは「よしっ」と大きく深呼吸した。
  • 160 奏楽@森へお帰り id:vt-yjB5kWN/

    2012-05-25(金) 22:15:45 [削除依頼]
    あ、過去レス勘違いでした。
    すみませんー。
  • 161 毬瀬@元奏楽 id:vt-3RvswHZ1

    2012-05-28(月) 21:26:31 [削除依頼]
    あげ
    名前変えました
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