幻影の真影術師129コメント

1 轟雷 id:Yg4K21L/

2011-09-10(土) 12:13:41 [削除依頼]
No.00 プロローグ 悲しき記憶

 世界は、炎に包まれていた。
 大切な品と記憶を焼き払われる人々の悲鳴が灼熱の大地に響き渡る。
 逃げ惑う人々は、紅蓮の煙火に身を焼かれ、戦う意思がある者は体が肉片となり血と一緒に舞い鈍い音を立てて大地の業火に焼かれ消し炭になって消えていく。
 人々は、箱舟に勝つために禁忌に手を染めることを選択しなければなくなった。
 最古の錬金術師と最強の魔術師が作り上げて禁断の書に印された真影術を完成させるために町のあちこちに朽ち果てている死体をかき集めた。
 死体からは、血液を抜き取った。その代わりに源血を流し込んだ。
 源血とは、最古の魔術師が煉獄から持ち出さられたとされる禁断の血液だった。その血液に触れた生物は、煉獄の淡紅焔に焼き伏せられたと記されていた。
 町の研究者達は、最古の魔術師の過ちを学び、考えに考え抜いて死体に伝説の源血を流し込むことにした。
 しかし、なかなか源血の適合者が現れなかった。
 何人も、何人もの死体が淡紅焔によって焼き尽くされて、跡形もなく消されてしまった。
 全ての死体を研究に使ってしまい死体が無くなったとき、一人の慈悲の無い科学者が更なる禁忌に手を染めてしまった。
 それは、生きた人の血を抜き取りながら源血を流し込むと人として最悪で許されない行為までやってしまった。
 他の研究者達は、この者を止めようとしたが、止めることが出来なかった。止めよとした者は、最優先に被検体となってしまった。
 そう、一人、また一人と隠れて細々と生きている人に源血を流し込んでいった。いつしかは、誰も止める人が居なくなってしまった。
 人々は、箱舟よりも慈悲の無い科学者の方を恐れるようになっていった。
 自然と科学者から遠ざかるに誰もいなくなった。近づいて来る人は、餓死しそうな子供に儚い希望を持った親が源血に適合できると信じて科学者に差し出してくるのみだった。
 いつしか科学者の周りには、死にかけの子供達が次々と集まって行った。
 研究者は、どうにか子供を助けようと源血に手も加え始めた。
 手を加えた直後は、幼い子供が辛うじて適合できただけだった。悲しいことは、適合できても一週間も経たないうちに淡紅焔によって消えていくことだった。
 寝る間も惜しんで研究に励んだ。
 いつの間にか箱舟と生きた人々が居なくなっていった。残っているのは、研究者と幼い子供達だけだった。
 子供達の心は、親の死によって壊れてしまった。一部の子供は、ショックとストレスによって過労死する子もいた。
 月日が経つにつれて子供の人数も減って行った。いくら慈悲が無いと言っても大切に育てていた子供がこの世から去る時は、子供と一緒に悲しんだ。
 研究が完成しようとしていた時には、二人の子供しか残っていなかった。
 一人は、光の角度で色が変わるほど綺麗な銀髪で碧い瞳を持つ無口な男の子だった。
 もう一人は、綺麗で長い金髪を持ち、真紅の瞳で優しい雰囲気な女の子が残った。
 最後に残った子供達には、実験をしたくないと思っていたが実験をしないといけない事態になってしまったのだ。
 盗賊が研究者を拉致されてしまった。子供にとって親に等しい存在が居なくなってしまったのだ。
 二人の子供は、研究者を助けるために自らの体に源血を流し込むことを決意した。いくつもの実験を影から見ていた子供は、源血がどの様な物か知っていった。
 自ら抜きそして、源血を入れる作業は、とても悲しい姿にしか見えなかった。
 ほぼ完成している源血を体に入れた直後に体に副作用の前兆が現れた。しかし、子供は、続けて源血を体に流し込み続けた。
 完全に入れ替えた時には、全身から源血が漏れていた。
 完成品に近い源血は、体に馴染むのが早かった。
 そして二人の源血入れ替えが終わると、研究者を助けるために盗賊の元にいった。
 盗賊が居るはずの場所には、研究者の屍しかなかった。
 悲しみに明け暮れた二人は、研究者を埋葬した後この場から立ち去ることにした。
 子供二人旅は、過酷なもので女の子は、嵐によって飛ばされてどこかに消えてしまった。
 男の子は、探す気力がすでになかったので町を求めて探し回った。
 その後二人の存在は、確認できなくなった。

No.00 プロローグ 悲しき記憶 終
  • 110 ジャック id:cUAFpFG/

    2011-10-20(木) 22:38:36 [削除依頼]
    え!?

    もう一つ


    あれかな
    HN変えてるやつ
  • 111 轟雷 id:9S8Mbx90

    2011-10-20(木) 22:41:56 [削除依頼]
    御坂殿

    助言有り難う御座います!!
    ――は、既に使っているので、もし使ったら大変なことになりますね
    俺も()を使っている作家さんの本を友人に借りて読んでます。

    第三のカッコ的なノリでやってみます。

    大分役に立ちましたよwww
  • 112 轟雷 id:9S8Mbx90

    2011-10-20(木) 22:45:49 [削除依頼]
    兄貴

    『漆黒の夜空』とまぁ、改正版擬きを書いています。
    時間がある時に、良ければ見て下さい。

    まだ、10にも届いていないような気がしますが……
  • 113 ジャック id:cUAFpFG/

    2011-10-20(木) 22:52:06 [削除依頼]
    よし

    明後日暇になるから行ってみようと思う


    では更新ファイト
  • 114 轟雷 id:RdlUP6p.

    2011-10-22(土) 11:27:01 [削除依頼]
     >96  余りにも高い音で、最後の方は聞き取ることが出来なかったけど、何か叫んでいるようで少し不気味だった。  体からは、炎の様に影の力が溢れてきている。  もし、今すぐ戦えと言われたら相手を、完膚なきまで叩きのめすことが出来るような気がする。感覚だけで、その他が廃れているわけでも満更無いと願っているが、実際は戦ってみないと分からないものだと思う。  まぁ、今の時代戦う事がないから、もう二度と戦うことはもう無いと願って纏う影を払った。  体から影が離れていくと、突如全身に脱力感が襲ってきたのでその場に倒れ込んでしまった。体に異変があるわけではなのに、変な感じがして自分の体では無いみたいで地手も気持ちが悪かった。  原因は、ひとつしかないと思う。  結晶に閉じ込められた際、不思議と発生した霧を取り込んで自らの一部にした影響だと考えられる。考えても仕方ないので、ベッドに沈む感じで倒れ込んだ。  天井を見上げると、見たことない文字が隙間なく書き記されていた。今までは気にしていなかったのか、見て見ぬふりをしていたのか分からないけど確かに記されている。まるで昔見たロレンズの陣みたいだと思う。  目を逸らすように寝返りを打つと天窓から溢れ出るように輝き出る零れ日が目に差し込むのを感じることが出来た。当然眩しいので瞳に力を入れて一生懸命閉じるが、強い光は瞼を貫通して直接眼球に刺すような痛みと共に差し込んでくる。仕方なく手で光を遮るけどこんなに日差しが強かったのかと疑問的なものみたいのが出てきてしまう。 「起きてから一時間弱過ぎたけど何でこんなに疲れているんだろう」  ふと呟く声は、沈黙が支配する部屋に響く。小さな声で囁くように喋っても沈黙の部屋なら普通の声と変わりなく世界に響く。  自分の体内時計の時間が正しいのかを確かめようと、上着の内側に入れてある懐中時計に手を伸ばすと金属と金属が擦れるような音が微かに聞こえた。確かめるように懐中時計を指先で遊んでいると、ふと目的を思い出し慌てて取り出した。  金色の外装に純白に輝く内装で如何にもこう高級品と言わんばかりな品物だった。  この時計は別にアリア嬢から貰ったわけでは無く、昔名を知らない同い年の少女に貰ったのだ。少女が今どうしているのかは、俺が知った事ではないが気になる。だってあんなに美人だったから。もし、アリア嬢に知れたら惨殺されそうで怖くて話すことが出来ない。  時計を見ると予想通り本当に一時間弱過ぎていた。  そろそろ準備が出来た時間だと踏んだので、自分の支度を済ますことにした。    
  • 115 轟雷 id:DZGOm2m0

    2011-10-29(土) 19:00:20 [削除依頼]
    No.02

     自分の支度を終え部屋から出ると驚愕する世界が広がっていた。
     部屋に入る前の事は、何故か殆ど覚えていない。そのことも十分不思議な事だが、目の前に広がる世界の方が俺にとってよっぽど不思議な事だった。
     滲み擦れる記憶を、瞳を閉じ集中して遡ると確かに酷い惨劇みたいな状態だった。俺の記憶が正しければ、体から大量の血を流出し淡黄色の炎にこの辺り一辺焼き尽くされていたような情景が脳裏に過る。
     もし、記憶が間違っていたとしても何処から夢で、何処で夢が終わったのかその境目が分からないとこれまた不思議な事だった。
     部屋を一歩出ると少し悪寒が全身を過った気がした。
     確かめるように目を凝らし血痕を探すが、いくら探しても見つかる様子が無い。見つかったといえば見つかった物もある。
     これは、見つかった物と言っていいのか分からないがいくつか発見した。惨劇の記憶を頼りに探しているとき、血痕に似たような黒い跡が微かに残っていた。これがいつからあったのか分からないが禍々しい物を感じる。
     もう少し調べようと黒い跡に触れると、部屋から出た時と同じ嫌な悪寒が襲ってきた。
     一瞬意識が飛んだような気がした。もっと明確に表現すると、幽体離脱したような気持になった。実際は、幽体離脱などの未知の体験はしたことが無いので想像上の予想だが、とにかく体から魂だけが違うところに遊びに行っていたと言いたいのだ。
     こんなに悠長な事を考えていられるとは幸せかもしれない。
     もう、黒の染みにつては、調べない方が良いと体が警告をしている。出来るだけ今の感覚信じていたいと思ったので、一刻も早く立ち去ることにした。
     部屋に入る前の事を思い出しながら歩いていると不可解な点がいくつかある。
     一つ目は、全身から流失していた血液の痕跡が何処にもないこと。二つ目は、今まで目視できなかったものが見えるようになったこと。この二つは、どう考えてもあり得ない事だと思う。
     俺の記憶が間違っているという仮説も考えられるが、朧な記憶でも確信を持って正しいと言い切れる。根拠が無いから信憑性が無いかもしれない。でも、心理の奥魂がそう告げている気がする。だから、魂を信じる俺は、朧な記憶を信じることが出来るのだ。
     出来るだけ遠くの方を見ていると見なれた人影があった。
     人影は、まだ俺の事を見つけていないようで不安そうな顔して壁にもたれ掛かっている。
     あまり彼女で遊ぶと痛い目を合うので、遠くから話しかけることにした。
    「アリア!」
     俺の声を聞いてアリア嬢の表情が明るくなった。今思うと、どれだけの人に心配かけていたんだろうと考え込んでしまう。
  • 116 轟雷 id:BuiVULh.

    2011-10-30(日) 19:40:00 [削除依頼]
     声に気が付いたアリア嬢は、辺りをキョロキョロ見渡すが俺を見つける事が出来ない様子だった。
     もう少しだけ遊んでも良い気がするが、あまり遊びすぎると怒られるのでそろそろ遊ぶのは止める事にした。どうせなら後ろから脅かした方が面白と思ったので実行することにした。
     後ろからゆっくりゆっくり音を立てずに近づいて行く。しかし、運悪くアリア嬢が振り向いてしまった。
    「ジェン……やっと見つけた。思ったよりも元気になっているわね」
    「お蔭様で元気になりました。ところで、どれぐらい時間経ちましたか?」
     時計を見た方が早いと分かっているが、あの時計は見せたくなかったので聞くしかなかったので聞いてみた。
    「あれから二時間ぐらい経っているけど……何で自分の時計を見ないの?」
    「今、時計が壊れていて使い物にならないので……」
     適当に言っておけば何とかなる。けど、自分の首を絞めないようにほどほどにしておかないと大変なことになる。
     昔、嘘がばれて……思い出すだけで鳥肌が立つ。二度とあのような事にならないように心に深く言い聞かせた。
    「準備は出来ていますか?」
     準備が出来ていたようで、可愛らしい笑顔で頷いてくれた。
    「では、行きましょうか」
    「うん」
     アリア嬢の手を握り亜空間転移術式の準備をした。
    「何処に行きたいですか?」
    「うん……」
     デートに誘ってくれたのに、何処に行くか決めていないとはすごいと感心してしまう。
     今ここで使う術は、アリア嬢が知らない術なのでどの様に誤魔化すか考えなといけなかった。
     まぁ、適当に誤魔化せば何とかなると思うけど……
    「決まったわ。ローゼル・ヴァイルに行きましょう」
    「はい?」
    「昔、ジェンが居た場所だって話していたような気がするから……」
     アリア嬢に話したような気がするがどうしてこのタイミング何だろう。別に普通の廃墟になっていただけで、特に行っていけないような場所ではないはずなのに町の名前を聞いただけで胸騒ぎがした。
    「分かりました」
     ここで拒んだら、もっと行きたくない場所に連れて行かないと、いけなくなるよう気がして怖かったので了承した。
     決めたことなのでしょうがないと諦める事にした。
     俺と裏腹にとても嬉しそうな顔をしているアリア嬢を見ていると心が和んだ。
     壁に軽く手を当てると黒い染みみたいのが、手を中心にして何処までも広がっていきそうだった。
    「これは、何なの?」
     やっぱり面倒な質問をしてきた。
     当然答えなかったら、痛い目に合うことは明白なので渋々答える事にした。
    「えーと、ですねぇ……」
    「早くしなさい! 私を待たせないでよ」
     適当に悩んでいるような仕草をしながら術の完成を待った。
     壁一面、黒に染まるのを確認してから、壁に手を突っ込むと何かが手に当たった。それを掴み黒に染まった壁から引きずり出した。
    「何なの……」
     驚愕を露わにしているアリア嬢を見ると少し良い気分になる。日頃の恨みを返せた感じがして清々しかった。
  • 117 轟雷 id:on3Nkb91

    2011-11-06(日) 14:36:19 [削除依頼]
    >116 「気にしないで下さい」  そう言って黒に手を突っ込んだ。  黒の中は、変な感じがする。粘着質の気体みたいのが手に絡み付いて来るような変な感じ。これを使えば、ある程度の事を行うことが出来る。  俺が先導切って中に入ると嫌な感覚が襲ってきた。  これを使うのは、初めてで何が何だか分からない。こんな得体の知れないものを使ってまでも楽をして良いものだろうか。 「待ってよ!」  アリア嬢の声が後方から聞こえる。  黒の中に入れば入るほど音や光ましては匂いまでも失われていく。  この術は、煉獄の洞窟内部に存在していると言い伝えられている【黒蟲師】を参考に作られている術式だった。知識で知っているので畏れるに足らずとまではいかないが、何となくこれを使いこなす自信があった。 「大丈夫です。俺の手を握っていれば安全ですよ」 「そうなの……?」  アリア嬢が手を強く握ってきたので、俺は答えるように握り返した。  本格的に黒の中に入っていく。  一人でここに入ることは、恐怖に立ち向かうことよりも難しいと思う。いくら力を持っていても出来る事と出来ない事を弁えているからである。  俺とアリア嬢が中に完全に入ると入り口が塞がった。  塞がったと言うよりも黒の霧に包まれて、現世と隔絶されてしまった様だった。霧の中では、さっきまで居た世界と全ての理がずれている感じがした。  まず、方向感覚が可笑しくなった。どちらを向いて歩いても黒の霧に視界が潰されているからどうしようも無いと言えばそうなってしまう。  問題は、何処を向いて歩いても簡単に進むことが出来てしまう。上を向いて歩いていくといつの間にかそれが前に歩いているような感覚に落ちる。 「ジェン、ここ変な感じがするよ。で何処に向かっているの? まさか迷っていないよね」 「大丈夫です。ここで迷うこと無いですから」  黒の霧に匂いが付き纏ってきた。  匂いがするということは、目的地に着いたという証拠だった。あとは、出口を探すために光を求めれば出ることが出来る。  震える手を握りながら進んでいくのは、あの時の状況に似ている気がした。  記憶が戻りつつあるこのとき懐かしい感じがした。  光を求め迷走していると、運が良かったのかすぐに霧が晴れた。 「眩しい……」  黒の世界に居たので眩しいのは仕方ないと思う。俺も眩しいと感じているし。  黒の霧が晴れると、初めは零れ日の様に光が射しこんできた。そのまま突き進んでいくと視界が真っ白になり目がつぶれるかと思った。  睨むように視界を狭め世界を見るとすごい事になっていた。 「なに……この世界」  アリア嬢が驚愕するのは仕方ないと思う。俺自身も驚いているからである。  空は、漆黒の雲に所々覆われている。雲の隙間から零れ日が差し込む以外光と言う光が存在していなかった。  目を凝らし零れ日を覗き込むと、不思議と光を遮る何かが存在していた。これをなんて言ったのか覚えてはいなかった。  視点を変えて地を見てみると何存在しなかったもなかった。  瓦礫いや塵ひとつ存在しない孤高の世界と言っても過言でないと思う。  何も存在しない大地には、生物が生息するのは不可能だろう。  塵ひとつ存在しない世界の大地は、大地が水面の様に反射して何かが動くと波紋を作る。まるで、この世と隔絶させた世界に居る様だった。  しかし、ここは隔絶させた世界では無く、俺達が住んでいる世界だった。 「大丈夫です。元々あの戦いでこうなったんです」  嘘をつくしかなかった。俺がここを離れたときは、死臭やヘドロのような臭い匂いが漂っていたが何もなかったわけでは無かった。  人の死体や、瓦礫などその他諸々この地に存在していた。  いくらここが気に食わないと言っても全てを掻き消すことは不可能だと思う。
  • 118 轟雷 id:0.lV3Oh0

    2011-11-19(土) 17:23:38 [削除依頼]
     >117  知らない間に変わってしまった。  前精神を研ぎ澄ましてみると不思議なことが分かった。ここ一週間以内に魔導を使った小規模な抗争があったようだった。感じられる魔圧の種類は大まかに二つだった。  ひとつは、特に変化が無いがとてつもなく膨大な魔力を体内に凝固しているようだった。反対にもう一人は、そこまで強大な力を宿しているようではなかったが、暗い力と明るい力の両方を使って戦っていたようだった。  俺の探知能力ではここまでしか解析できなかった。しかし、片方が死んだわけでは無さそうだった。そんなことはどうでも良かった。  大規模な魔術を使ったせいで地形が大きく変貌していた。  ここまで酷いと違う場所に行った方が良いかもしれない。もしかしたら抗争の片割が近くに潜伏しているかもしれないからだった。 「アリア、間違って違う場所に出てしまったようですね」  全ての真実を知られないように笑顔で誤魔化した。  普段から笑って誤魔化しているが、俺自身の心が鬼なわけがない。やっぱり大切な人に嘘をつくのは、精神的に堪えるし好き好んでやっていない。  今思い出してみたら此処に来たとき――  一人で脳内口論をしているとアリア嬢が不安そうな声で状況を訪ねてきた。  ふと、振り返ってみると、やっぱりすごく不安なで如何したら良いのか全く分からないと言う顔をしていた。 「ねぇ……ここじゃないの?」  あまり嘘をついていると面倒な事になるが仕方がない。 「すみません。あの術を使ったのが久しぶりなので少し出る場所を間違えてしまったようです……。大丈夫ですよ。ちゃんと目的地に着きますから」  罪悪感が心を縛る。  ここ近年になって都合が悪いことは全て嘘で誤魔化している気がする。しかし、どうしてかアリア嬢は、俺の事を疑う素振りを一度も見せたことが無い。そんな健気なアリア嬢だからこそ強い罪悪感が有るのかもしれない。  もう一度【黒蟲師】を使う事にした。  右手に力を込めた。  微かにこの地に滞留している魔力が、俺の力に共鳴して震えたのが感じられた。  屋敷で発動した時は、壁に手を当てて作ったため簡単にできたが虚空から作り出すのはそれなりに成れる必要があると思った時にはすでに遅かった。  右手に小さな球体が作り出されていた。それは、滞留する魔力と俺の体内の魔力を吸出し、疲労感を齎した。  普通は、何かに広がるはずの黒は何処にも広がらずに大きくなっていく。  時間が経てばたつほど、魔力の吸収速度は増し収拾がつかなくなってきた。このままいくと取り返しに付かない気がするが、既に手遅れだったので黒を生成し続けた。
  • 119 ジョバンニ id:u4oIJlE.

    2011-11-19(土) 17:54:54 [削除依頼]
    評価に来たジョバンニです。どうぞよろしく。

    遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。未熟者ゆえ至らない点があると思いますが、どうか温かい目で見てくださると嬉しいです。

    それでは始めますね。
    独特な世界の中、次々と進んでいく新展開がとても心に染みます。内容は、複雑な世界観のため分かりやすいとは言えませんが、それでもある程度の要素は楽に納得できました。様々な設定や戦闘も臨場感があり、爽快に読めます。……どうやらあなたの一番の武器は情景描写であり、心理描写に若干の不安があるのではないでしょうか。まあ参考になるか分かりませんが、そこを考慮してアドバイスを書かせていただきます。これからも頑張ってくださいね。
    <アドバイス>
    未熟者ながらアドバイスをさせていただきます。
    まずは文の構成について。小難しい事じゃありません。あなたの文章の中にはチラホラと、無理をしている感じが見受けられます。一文の中に表現を入れ過ぎたり、変なポイントで読点を使っていたり……特に読点は直した方が良いでしょう。「副作用、突如体から血液が汗の様に出てくる謎の症状で最近までは、無かったのに異変も無く訪れるなんて記憶がある中では、初めてのことだった」という文章が物語にありますが、「最近までは」の次にある読点は文章の繋がりを両断しているため、逆に読みにくくしているかと思われます。このような読点の配置が他にも多いので、注意が必要かと。また、取捨選択を意識すればどの表現が大切なのか見極められ、更にすっきりとした文を書きやすくなると思います。

    次に説明について。俺が言っている説明とは、例えば世界観とか、オリジナルに考えた武器など、読者が全く知らない知識の事です。こういうのを説明する時は、作者としても難しい事ですよね。では、何故難しいのでしょうか。それはおそらく、どうやって自然に物語の中で語るかということだと思います。機械的に説明してしまったら小説らしさが消えてしまいますからね。俺が知る限り、説明を自然に書くポイントは二つあります。一つ目のポイントは物語の展開を利用して書くこと。例えば主人公が襲撃にあい、武器を取り出す。この展開を利用して武器の説明……みたいな流れです。これはあなたも使っていますが、ややズレのある時もあったので注意。二つ目のポイントは、説明を分散させること。「あの説明をしたから、次はこの説明を」という感じでバンバン読者の知らない知識を説明しては危険。だから分散させて物語に潜り込ませる。まあ言ってしまえば簡単な、基本的な二点のポイントですが、長編ともなれば基本が一番重要になります。あなたの世界観は独特なので、少なくとも説明を自然に取り入れる工夫は大切なものだと思います。一度、お考えくだされば嬉しいです。

    最後に、一人称と三人称について悩んでる様子でしたが、分かりやすさを考えれば、もちろんどちらかを統一させるべきでしょう。統一させないにしても、展開が変わった時などに視点をチェンジさせるのが定石ですね。また、一人の時でもセリフっぽいのは書けます。まあセリフじゃないですけど、情景描写から心理描写に自然と移せば比較的に容易です。「森が静寂を取り戻す(改行)心にも静寂が響いてきた。私の動揺も隠れてしまえばいいのに、そうなれば幸せだ」みたいな感じで。本当にセリフそのものを書きたい時はラノベ調じゃないと無理がありますね。
    <総合評価:B>
    これで評価終了です。
    質問や評価で分かりにくい点があれば遠慮せずに準備版にてお願いします。では失礼しました。
  • 120 轟雷 id:0.lV3Oh0

    2011-11-19(土) 20:25:54 [削除依頼]
    ジョバンニさん

    評価どうもです!!
    お礼は、準備版の方に書かせてもらいます
  • 121 轟雷 id:clulOJM0

    2011-11-23(水) 00:27:43 [削除依頼]
     想像以上に魔力の吸収が激しかった。
    「――ッ」
     体から魔力が枯渇していくと共に疲労感が襲ってくる。体の疲れが表情に出ているようだった。黒は、鏡の様に自分の姿を映し出している。
     不思議と嫌な感じだけはしなかった。
    「だ、大丈夫なの?」
     ただ笑顔で答えた。それだけで伝わると信じて笑った。
     ある地点から急激に、魔力の吸収が今まで以上に激しくなった。このまま吸われ続けたら死んでしまう勢いだった。何か作があるわけでは無い。何も考えずに魔力をささげる事しか考えつかなかったからだ。
     大量の魔力を分け与えても大きさに変化が無くなってきた。拳二つ分の大きさになった今、これ以上大きくなる様子が無かった。
     額に大量の脂汗が滲む。体の疲労が限界に近づいて来ているのか分からないが、口の中が乾燥して更には咽までもが水を求めているように痛かった。
     服にも大量の汗が沁みこんでいる。
     何をどうすれば無意味の消費に終止符を打てるのか考えなくてはならなかった。しかし、手中力を切らしている今の頭脳では考えることは不可能だと思う。
     ただ茫然と分け与え続けるのに無理があったようだった。
     突如、膝からあらゆる力と言う力が抜け落ちて自分の体では無い感じに襲われた。
  • 122 轟雷 id:2I1zBmP.

    2011-11-30(水) 20:01:59 [削除依頼]
    「――あ」
     とっさに声が漏れた。
    「危ない!」
     倒れかけたところをアリア嬢が支えてくれた。
    「本当に大丈夫なの? 少し休憩した方が良いんじゃないの?」
    「心配しないで下さいよ。若者は、少しくらい無茶しても大丈夫ですよ」
    「待ってよ。その言い方だと私が老いているみたいじゃないの」
     先ほどまで不安そうな顔をしていたのにもかかわらず、少しからかわれただけでいつも通りのアリア嬢に戻ってくれた。
     それは、嬉しいことだ。
     調子に乗っているときの方が扱いやすいのもあるけど、暗い陰湿な雰囲気よりも明るくて軽い雰囲気の方が居心地良いからかもしれない。
     まぁ、個人的な考えはともかく良い雰囲気になってよかったと思う。
     緊張の糸が途切れたのか耐えきれないほどの疲労感が襲ってきた。今の俺は、アリア嬢の支えが無いと真面に立っていられなくなっていた。
     体から魔力が枯渇した。
  • 123 轟雷 id:2I1zBmP.

    2011-11-30(水) 21:08:59 [削除依頼]
     魔力の供給が無くなった黒は、何故か拳の周囲に留まり供給を待っているようだった。
    「ねぇ? 近くで休める場所探さない? ほら、あれ……うん。そうだ、ジェン顔色悪しさぁ――私もいろいろあって疲れたし」
     子猫みたいに可愛く上目使いで訴えてくる。
     正直この時のアリア嬢は、とても可愛いと思う。これぞ萌えと言うものだと感心して少しだけ眺めていると――
    「っな、なにジロジロ見ているの! 恥ずかしいじゃないの」
     と突っ込みが来たので偶には素直に答えてみる事にしてみた。
    「今思ったんですけど、稀に可愛い言動しますね。そう、例えるなら小動物みたいな感じですかね」
     こんな恥ずかしい事を真顔で口走った自分の顔に、血が上っていくのが手に取るように分かった。
    「へ、へんあ……変なこと言わないでよ!」
     恥ずかしい事を聞いて顔を林檎の様に真っ赤に火照らした。それと、突然の事で焦ってしまい舌を噛みそうになっていた。
     ここまでグタグタのアリア嬢を見ていると守ってあげたくなる。実際は、有無問わず守らないといけない立場にいるけど、普段見せない一面を見ると母性本能みたいのが湧き上がってくる。
    「冗談は置いといて、少し休める場所を探してみましょうか」
    「冗談だったの?」
     小さな声で何かを囁いた様だった。
    「何か言いました?」
     全く聞こえないので聞き返してみると――
    「知らない! じょぉ……」
     最後の方は何を言っているのか聞き取れなかった。
     どうせならはっきり言ってほしものだ。何を言ったのか気になってなかなか集中出来やしない。
     さてこれからが問題だ。俺の魔力は尽きて当分は魔法を行使することが不可能になってしまった。残された移動手段は、徒歩か近辺に落ちている魔石を合成して亜空間移動するための結石を作るか、二つに一つの選択だった。
     どちらにしても行動あるのみと言いたいが、疲れ切った体を動かすには少し休養をつる必要がある様だった。
    「質問しますけど、今魔石か結石のどちらか持っていませんか?」
    「残念ね! どちらとも持ち合わせていないわ」
     何処か誇らしげに言い張っている姿を見ていると幼稚だなと思ってしまった。口に出したら機嫌を取り直すのに時間が掛かるので、頑張って口に出さないように堪えた。
     仕方なく自分が持ち合わせている魔石で、即席の亜空間移動術式を作ろうと試みる事にした。
  • 124 御坂紫音@青い腕輪 id:Vv9oPh10

    2011-12-04(日) 10:24:30 [削除依頼]
    遅くなりましたが、評価が終了しました。
    準備版までお越し下さい。
  • 125 轟雷 id:e2SEjy70

    2011-12-06(火) 20:41:34 [削除依頼]
     持っていると言っても、それほど多くは持ってはいなかった。それでも作らないといけない理由がここに有った。
     見渡す限り地平線しか見えないこの土地から、どのくらい歩けば町に着くのか分からないので必然と歩く気力が失せてしまう。
     俺が、何もない場所に出てしまった事に落ち度があるのは十分理解しているけど、それでも嫌になってしまうのだった。
    「ジェン、聞きたい事があるんだけど……答えてくれるよね?」
     改まって話しかけられると少し緊張してしまう。
    「答えられる範囲なら答えますけど」
    「嘘じゃあないよね? 約束だよ」
     つい先ほどの長閑な空気は壊されてしまい、息が苦しいような嫌な空気に変わってしまった。
     空気だけが変わった訳では無く、アリア嬢の表情が変わったから空気が同調するように、変わったと直感的に察することが出来た。
     じっと、冷たい目線が注がれる。
    「だ、大丈夫ですよ。答えますから」
    「ほんとだね。聞くよ。後悔しないでよ」
     じれったいなぁーと思う。何回も言わなくても、答えると言っているんだから信じてほしいものだ。
    「ジェン、単刀直入に聞くわよ。あなたが倒れた時、口走っていた人の事教えてくれない?」
     簡単な質問だった。
     でも、顔が怖かった。変な答えを言ったら殺してやると言わんばかりに睨んでいる。
    「どんな名前でしたか? 教えてくれませんか?」
    「む、むむむっ」
     一生懸命怒りを堪えているのが目に見えている。
     普段なら突っ込んで遊んでいるところだが、機嫌が悪い時に遊ぶと大変なことになる。特に、大切な話を切り出してきたときほど怒りやすい。
    「いい度胸だね」
     オーラがパネェー。死ぬ、これは死んでしまうかもしれない。
     と思うほど、危険な威圧を放っている。おまけに、右手拳を力込めて握っている。
    「何処の口が、駄目なのか教えてあげようか?」
     笑っている。怒りで笑っている。気だけで、髪の毛が宙を彷徨うかと思うほど気を飛ばしてくる。
     これは、ある意味殺気よりも怖いかもしれない。
     当然、俺も恐怖で笑うしかなかった。
  • 126 轟雷 id:dQppeln1

    2011-12-07(水) 21:54:08 [削除依頼]
    「冗談ですよ……名前ですか? そうですね、あッ!」
    「あッ! ッて、なによ。早く教えてよ」
     怒りと我慢の限界が来たようだった。
    「あッ、ああああああああ。もう! 答えるって約束したよね」
     綺麗に梳かれている髪を手で……。せっかく頑張って梳いたのに、こんな扱いは無いと思う。
    「アリア、綺麗な髪が駄目になってしまいますよ」
    「――ッ」 
     沸騰した鍋の如く真っ赤になっていく。
     そんなアリア嬢、追い打ちを掛けるように言葉の爆撃を放った。
    「ッふ、ふ……ふざけたこと、言わないでよ」
    「まぁ、良いんですけど。教えますよ、教えれば良いんでしょ?」
     半分嫌味の気持ちを込めながら言ってみた。
    「分かっているなら、早く教えてよ。ジェンとフィンと言う子について」
     半分、気持ちのほぼ全部が面倒だと思いつつも語り出した。
     昔の出来事、二人で何をしてきたのかを時間を掛けて説明した。


    「分かったわ。っで、その子とは、会っていないのよね?」
    「何回も説明したでしょ?」
     何時間とまで話したわけでは無いが、簡単な話をわざわざ引き伸ばして面倒だったとしか言いようがなかった。
     それで、納得がいったなら別にいいと思う。
     体の疲れは、自然と無くなっていた。その代わりに、精神的な苦痛を味わった様な気がするが気にしないことにした。俺の中では、一刻も早く忘れたい出来事になっているとも知らずに、上機嫌なアリア嬢を見ていると、少し気分が不の方に傾いたと思う。
    「そんなに嫌そうな顔しなくても良いじゃない? 私に、過去を知られたくなかったの?」
    「そうですよ! こんな悲惨な過去を知られたくありませんよ。アリアだって、知られたくない事幾つもあるでしょう?」
    「そんなこと、無いわ。私は、ジェンなら全て晒しても良いわ」
     と顔を林檎の様に赤く染めながら、平均的な大きさの胸を張って自慢してきた。
     アリア嬢に気付かれないように、小さく「っぷ」と笑いを漏らしてしまった。
    「分かっていますよ。アリアが凄いことは」
     このまま褒め続ければ楽に扱えるけど、どうしたものか……
    「そういえば、何か作るとか言っていなかった?」
    「あっ……忘れていました」
  • 127 轟雷 id:2a5gW/g.

    2011-12-09(金) 22:12:22 [削除依頼]
     大事な事を忘れていた。それだけ真剣に説明していたことが、察することが出来る。
     そんな、悠長な事言っている時間は無いのだが……。
    「大丈夫なの? 悠長な事言っていて……」
     今日のアリア嬢は、とても表情豊かだなと思った。家に居る時は、つまらなそうにただ一日を過ごしているだけだった。それに比べれば、とっても楽しそうに見えた。
    「大丈夫ですよ」
     苦笑した。
     本当は大丈夫でなかった。
     太陽は、頭の真上に来ていた。時計が無くても憶測の時間を察することが出来た。そう、今は昼だった。
     という事は、そろそろアリア嬢の機嫌が右肩下がりになることを表していた。
     一刻も早く作らないといけなかった。もしもの事を思うと、脳裏に悪寒が走り回って冷静ではいられなくなってしまう。
     空腹を我慢できなくなりつつあるアリア嬢と、迅速な作成どちらが勝負に勝つだろうか。
    「早くしてね」
     アリア嬢からの苦笑返しをくらってしまった。
     まずい、まずいぞ、俺! 早くしないと何をさせられるか……
     早速悪寒が脳裏を迷走した。
     脳裏に悪寒と言うよりも、朝の事を思い出していた。一般的な考えを持つ女性ならば、男の前で脱ぐことは無いだろ。増しては、服を着せろ! なんて言わないだろ。
     初めて会った時は、もっと普通の女の子だったのに、どうしてこんな子に育ってしまったのだろうかと思っていると、アリア嬢が服の袖を軽く引っ張るのを感じた。
    「何ですか? 今忙しいですけど」
    「何よ! どこの口が忙しいと言っているのかな? 何もしないで、ただ地面を眺めていただけじゃぁん」
    「失礼な事を言わないで下さいよ。これでも、どんなふうに陣を組み込もうか考えていたんですよ」
    「ふぅーん。そうなんだ」
     歯切れの悪い言葉を交わしたあと、待っていたのは沈黙だった。
     このぐらい静かだと逆に怖くなる。普段からうるさいアリア嬢が、こんなに静かなんて雨でも降り出すじゃないのと、思うくらい有りえない事だった。
     有りえない事でも静かだと作業がやり易いから良いことだが――
    「まだぁ……?」
     唐突に聞いてきた。
     ついさっき説明したばかりなのに、どうして我慢が出来ないと言うのか自己中心的な感覚しか持ち合わせていないだろうかと心の中で呟く。
  • 128 轟雷 id:EeixCXY1

    2012-01-02(月) 11:42:55 [削除依頼]
     アリア嬢は、一分間以上我慢が出来なくなってきているようだった。これは、ゆゆしき事態だった。
    「もう少し我慢してください。もう、出来ますから……」
    「分かった……。早くしてよ」
     いつもの明るい雰囲気が無くなっていた。
     ふと、地面を見た。
     この土地に足を踏み入れた時から感じていた違和感がより強くなっている様な気がした。上手く感じ取れないけど、足元いやもっと深い下層の彼方から感じられる違和感。普段、実用的で普及している魔術ならば問題なく使える。
     けど、俺が使っている魔術は殆どオリジナル世界に影響を与えるとは考えにくいが、この地から感じられる違和感は心のざわつきを増幅させる。
     もう一度見た。何も変わらないただの地面だった。変わっている所が有るのは、此処一体に滞留している空気だった。
     アリア嬢と俺が住んでいる場所は、此処まで濃度が濃い魔力が滞留していない。いや、此処が以上なだけだと思う。
     先ほど発動しようとした黒蟲師は、全身体エネルギーを使うレベルの魔術では無い。いくら大量の力を消費するからと言って有りえないとしか言えない。
     ここまでの推測を実行に移してみる事にした。これが吉と出るのか凶と出るか分からないがやってみないと始まらない。
    「アリア、準備が出来ました」
     陰のオーラを纏っていたアリア嬢が、陰を捨てて陽のオーラを手にしていた。
    「本当なの?」
    「はい、もうすぐ此処から出ることが出来ますよ」
     足元を見てみれば、当初の計画から外れまくった陣が書き記されていた。
     どこら辺が外れているかと言うと、それは……。全てだった。初めは、円を描いて力を上手く運んで錬金術に近いことをやろうと思っていたが、この地の疑問を晴らすために黒蟲師の応用魔術を使ってみる事にした。
    「今から術を発動させますから、少しだけ離れていて下さい」
     俺は、陣の中心に立った。円では無いので、他の人から見ればどこが陣の中心か分からいけど、作った本人ならば容易に理解できる。
    「発」
     小さく呟いた。
     陣が言霊ひとつだけで淡い光を放ちだした。
     光出したと同時に、全身から力が抜け始めていた。初めは、ほんの少しだけなので気付かなかったが、時間と比例してだんだんと抜けていく力の量が増えていった。
     ここまでは、俺の予想通りだった。
  • 129 轟 id:EeixCXY1

    2012-01-02(月) 17:48:41 [削除依頼]
     次からが、俺にとって大きな問題だった。
    「術式逆展開」
    「な、なんなの……、逆展開って?」
     答えるほど精神的に余裕が全くなかった。少しでも他ごとを考えてしまったら、前代未聞術の出来事に巻き込まれてしまうからだ。
     先ほど淡く光っていた陣が急に、言霊に反応するかのように光を喰う闇の光に変わっていた。陣の真ん中に立っている俺は、外の状態を判断出来ているが恐らく外から中の様子を見る事は不可能だと思う。
    「答えなさいよ!」
     外から罵声が聞こえたような気がした。
     今は、身動きが出来ないので普通に無視をして術に集中した。
     闇は次第に大きくなってきた。
     闇が大きく広がって行くにつれて、陣に刻まれた文字からは花の甘い香りがする黒紫色の煙龍の如く上に立ち上ってきた。
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