Dancing in Dark19コメント

1 藍梨 id:gmoladn0

2011-09-09(金) 20:52:09 [削除依頼]
これは自分の存在をまともに保持出来ない者達の物語――。
  • 2 藍梨 id:gmoladn0

    2011-09-09(金) 20:56:20 [削除依頼]
    ♯01 監視者
    異常者。
    その通りに普通の人間とは言い難い。
    普通の人間は無意識に自分と言う存在を保持しているが、異常者は出来ない。
    そこが異常者と普通の人間の違いだと思う。
    そして、そんな異常者は“ある事”で自分を保とうとする。
  • 3 平子 id:NF758Sa/

    2011-09-09(金) 20:58:15 [削除依頼]
    凄く続きが気になります!頑張って下さい!
  • 4 藍梨 id:gmoladn0

    2011-09-09(金) 21:06:01 [削除依頼]
    「日向君」

    思考が、誰かに声を掛けられた事で一時停止する。
    流石に全然違う事を考えながら、話せない。
    そこまで、俺は頭が良くない。

    「あ、あのね」

    声がして、机から顔を上げると、俺の目の前には見覚えのない女子生徒が立っていた。
    勿論、俺は座っていて、彼女は俺を見下ろす形なのだが、如何にも彼女の慌て振りから、立場が逆転してる感じがする。

    「わたし達、今日、日直、なんだ」

    途切れ途切れだな。
    一瞬、自分の聴力を疑ってしまう。
    って、日直だったのか。

    「ほとんど、わたしがしたんだけど、せめて教室の戸締りはしてくれない、かな?」

    ずっと下を向いていた彼女が顔を上げた。
    偶然、目が合う。
    挙動はおろおろとしていたが、目はしっかりと俺を見ていた。
    矛盾、してる気がする。

    「名前、何だっけ?」

    「え、あ、わたし?」

    今、教室には俺と彼女しかいないのだから、そうに決まってる。
    わざと惚けるのも、いい加減にして欲しい。

    「北見麻梨愛だけど」

    「そうか。じゃあ、北見サン」

    俺は椅子から立ち上がる。
    これで、今度は俺が彼女を見下ろす形となった。

    「で、何の用?」
  • 5 藍梨 id:gmoladn0

    2011-09-09(金) 21:13:48 [削除依頼]
    彼女はまだ隠す気なのらしい。
    未だに弱弱しい生徒を“演じている”。

    「何の用って、わたし達、日直で」

    「嫌、バレバレ何だけど。確かに最初は普通に信じ切ってたけどさ」

    「……ふっ」

    北見さんから、笑い声が漏れた。
    若干、自嘲気味な笑い方。

    「初めまして。あなたを監視する事になった北見麻梨愛」

    全然、仲良くしようと思っていない自己紹介だった。
    ちょっとおかしくて、俺は薄っすらと笑みを浮かべる。
  • 6 藍梨 id:gmoladn0

    2011-09-09(金) 21:19:37 [削除依頼]
    北見さんはさっきと正反対の性格らしく、今は腕を組んで偉そうにしていた。

    「監視か。北見サンは誰から命じられたのかな?」

    「親よ、親。あなたも異常者何でしょう?」

    あなた“も”?
    その言い方だと、北見さんもそうなのだろうか。

    「最近の一部の警察は異常者の排除に拘ってる。異常者は法に触れている者が多いから」

    「なるほど。で、異常者には異常者を、って考えなのか」

    「わたしは監視者よ」

    聞いた事はあった。
    監視者は誰かを監視していないと、生きていけない。
    分かり易く言えば、ストーカーだ。
    まあ、ストーカーも、法に触れるのか、よく分からないが。
    これから、北見さんに監視されるのかと思えば、ちょっと気が引ける。

    「さて、自己紹介も終わった事だし、本題に入りましょう。単刀直入に聞くわ。あなたは何の異常者なのかしら?」
  • 7 藍梨 id:gmoladn0

    2011-09-09(金) 21:26:16 [削除依頼]
    「北見サンの親は警察の関係者って事か?」

    「何、話、変えて、誤魔化そうとしてるのよ。そうだけど、その話はもう終わったわよ」

    北見さんの親は北見さんの事を自分の娘だとか思ってないのだろう。
    親に愛されていない。

    「だーかーら、何の異常者なのよ?」

    「さあ、何の異常者何だろうな」

    机の横に掛けたスクバを取り、俺は教室を出た。
    北見さんは諦めずに後ろから追い掛けて来る。
    あ、もう、監視されているのか。

    「答えて貰うわよ」

    「監視する上で、知っててもおかしくないと思うけど。何で知らないんだよ?」

    俺は振り返りもせずに聞いた。

    「し、仕方ないじゃない。監視しろとしか言われなかったんだから」

    「大変だな。北見さんも」

    「別に。これで、私も救われるんだから、一石二鳥よ」

    「救われる、ね」

    そうなのだろうか。

    「言って置くけど、俺は異常者じゃないから」

    「は?」

    誰が如何言おうと、俺は絶対に否定する。
  • 8 藍梨 id:gmoladn0

    2011-09-09(金) 21:30:48 [削除依頼]
    夜中。
    俺が一番嫌いな時間。
    何しろ、俺には寝ている間の記憶がないからだ。
    ま、誰だってそうなのだが、俺の場合は起きると、ベットに寝たはずが玄関で寝ていた、とか、夢遊病的な事がある。
    だから、寝る度に今夜は何処で起きるのか、気になるモノだ。

    「ん……」

    目を開けると、朝陽が眩しかった。
    ちゃんと、ベットに寝ている。
    珍しい。
    俺は念の為、口の周りを右手で擦る。

    「……、」

    右手にはベッタリと血が付いた。

    「…………っ」

    そう、これが俺の異常。
  • 9 藍梨 id:gmoladn0

    2011-09-09(金) 21:34:45 [削除依頼]
    教室の引き戸を引き、足を踏み出す。
    何時もの教室の風景が広がる。

    「日向君、おはよう」

    自分の席に座ると、隣の席には北見さんが座っていた。

    「んーと、この状況を説明してくれない?」

    「七瀬さんが黒板見え辛いって言うから、変わってあげたのよ」

    七瀬さんと言うのは俺の隣の席の人だ。
    でも、俺は知っている。
    七瀬さんの視力はAだ。
    ……きっと、北見さんが監視する為に無理矢理、席を変えさせたのだろうけど。
    こう言う強引な人間は嫌いだ。

    「はい、隣、よろしくね」

    北見さんは俺に微笑み掛ける。
    確かに可愛い。
    可愛いが、俺は如何にも、この笑みが受け付けられない。
  • 10 藍梨 id:gmoladn0

    2011-09-09(金) 21:42:53 [削除依頼]
    ザザザザザザッ

    古文の授業中。
    隣から、そんな音がした。
    気になって、横を見ると、北見さんがカッターでプリントを切り裂いていた。

    「何、してるんだ?」

    「ん、暇潰し」

    暇潰しで、紙を切り裂く奴、いるのか。
    俺は普通にストレス解消だと思ったが。

    ザクッ

    「あっ」

    北見さんが声を漏らす。
    見れば、左手が赤い液体で濡れていた。
    妙に甘い匂いが漂う。

    「……っ」

    「あーあ、切ったわね。日向君、ハンカチとか持ってる?」

    「持ってないけど」

    匂いが充満していて、気持ち悪い。

    「って、日向君、どうかしたの?物凄く苦しそうに見えるわよ」

    「だ、だよな。ちょっと保健室行って来る」

    一刻も早く、この空間から出たかった。
  • 11 藍梨 id:gmoladn0

    2011-09-09(金) 21:47:05 [削除依頼]
    ガラガラガラッ
    バタンッ

    保健室に入り、引き戸を閉める。
    生憎、保健医はいなかった。
    俺は病人らしく、ベットに横たわる。

    「……っ」

    匂いが、移ったのだろう。
    北見さんの血の匂いが俺の周りにも付いている。
    ヤバいな。

    ガラガラッ

    「先生が消毒して来いって煩いので来たんですけど」

    出入り口の方から、北見さんの声がした。
    マジかよ……
  • 12 藍梨 id:gmoladn0

    2011-09-09(金) 21:54:36 [削除依頼]
    「って、誰もいないの?おーい」

    カラカラッ

    カーテンを捲られた。
    俺はうつ伏せになって、顔を枕に押し付ける。

    「日向君、いたの」

    いたのって、俺、保健室行って来るって言ったんだけど。
    聞いてなかったのか。

    「日向君、面倒だから、消毒してくれないかしら?」

    「……」

    寝たフリでもして置こう。
    我ながら、狸寝入りは得意だ。

    「思ったんだけど、日向君って、血、見るの嫌いだったりするの?」

    好きな奴がいるみたいな言い方だ。

    「寝たフリ、ウ.ザいわよ」

    「……」

    「10秒以内に起きないと、血塗れの左手、日向君の顔に押し付けるわよ」

    は?

    「10、9、8、7、6、5……あ、起きた」

    起きるしかなかった。

    「寝てたの起こすとか、北見サン、性格悪いな」

    「寝てなかったでしょう」

    ジト目で、北見さんは俺を見て来る。
  • 13 藍梨 id:gmoladn0

    2011-09-09(金) 22:00:21 [削除依頼]
    結局、俺は北見さんの左手を消毒する羽目になった。
    左手を水で洗って、消毒液をぶっ掛ける。
    深く切ったのか、血が中々止まらなかった。
    限界が着々と近付いて来ているのは目に見えていた。

    「日向君、痛いわよ。もっと優しく消毒してくれない?」

    「じゃ、後は自分でやってくれ。俺は教室に戻る」

    「……、」

    保健室を出て行こうとした時だ。
    北見さんは俺の左腕を掴んだ。
    驚いて、俺は振り返る。

    「薄々、あなたが何の異常者なのか、分かった気がするわ」

    「へ、へえ」

    「や……」

    “あれ”を言おうとした北見さんの口を俺は無意識に手で塞いでいた。
  • 14 藍梨 id:iLrd.q40

    2011-09-10(土) 10:08:35 [削除依頼]
    「むぐぐっ」

    「え、あ、悪い」

    俺は手を離す。

    「ぶは……殺.す気かしら?」

    北見さんは俺を睨み付ける。
    若干、やり過ぎた。

    「もう良いわよ。言わないわ。トラウマとか?そう言うのあるんでしょう?」

    「嫌、そう言われるとないけど」

    「……面倒な奴。ったく」

    ガラガラッ

    引き戸が開いた。
    多分、保健医だろう。
    そう俺は普通に思った。
    だが、

    「くす、こんにちは」

    現れたのは見覚えのある奴だった。
  • 15 藍梨 id:J3AlfmZ1

    2011-09-10(土) 10:32:29 [削除依頼]
    ♯02 記憶破壊者
    「会いたかった。日向君」

    「……鏡、雪菜?」

    「そう。ちょっと髪型が変わったから、分からなくても当然だけどね」

    胸の辺りまで伸びている黒髪に右だけ括った長い赤いリボン。

    「誰なのかしら?」

    「そっか。監視者さんとは初めましてよね。私は鏡雪菜。そう、日向君の」

    鏡は俺に抱き付く。

    「彼女なの」

    ややこしい事になって来た気がする。
  • 16 藍梨 id:J3AlfmZ1

    2011-09-10(土) 10:42:48 [削除依頼]
    別に鏡と付き合っていた記憶は俺にはない。
    それに鏡とは小6以来だ。
    俺は公立の中学に進んだが、鏡は名門の私立校に行って、そのまま縁切り状態だったと思う。

    「へえ。日向君、彼女いたのね。で、あなたも関係者なのかしら?わたしの事を監視者って言ったぐらいだし」

    「そう。私は記憶破壊者」

    北見さんから、笑みが消えた。

    「また厄介な彼女ね。記憶破壊者なんて、異常者の中でも、レア中のレアでしょう?」

    「ん、そう言う事。監視者さんは普通に有り勝ちだよね」

    2人の間に亀裂が走った様な気がしたが、気のせいだろう。
    鏡は上品な笑みを浮かべて、北見さんに微笑み掛ける。

    「じゃあ、私達はもう行くね」

    「鏡?」

    「日向君、しんどいなら、早退しよ?」

    「何、言ってんだ」

    すると、鏡は俺にしか聞こえない声で、

    「殺.されたくないなら、言う通りにしろ」

    そう言った。
    忘れていたが、コイツは記憶破壊者の前に重度の二重人格だった。
  • 17 藍梨 id:j5dbNZc1

    2011-09-10(土) 11:52:43 [削除依頼]
    引き摺られる形で、俺は早退した。
    結構、模範的な生徒だったんだけどな。
    サボってしまった。

    「で、鏡、何処に行く気なんだ?」

    学校から出てからも、鏡が俺の腕を離す事はなかった。

    「やっだな。鏡じゃなくて、雪菜よ?」

    「じゃあ、雪菜さん、あなたは俺を何処に連れて行くんですか?」

    「うーん、何処だろうね。ぶっちゃけ、無計画」

    は?
    俺は立ち止まる。

    「雪菜さん、無計画とかありっすか」

    「くす、まあ、此処で良いか」

    鏡は見えていた公園の方へ走って行く。
    流石に平日の午前中の公園には誰もいない。
  • 18 藍梨 id:j5dbNZc1

    2011-09-10(土) 11:59:12 [削除依頼]
    ギコギコッ

    錆びたブランコに鏡は楽しそうに乗る。
    まるで、小学生の様だ。

    「くすくす、楽しい」

    本当に楽しいのか。
    俺は溜め息を吐いて、鏡の横のブランコに座る。

    「そろそろ、本題に入ってくれないか?かが……雪菜さん」

    「驚いたんだけど、今、日向君が通っている高校、異常者の数が恐ろしいほど多いの」

    そりゃ、そうだろう。
    この町、異常者の数、多いし。

    「あれ?驚かないの?」

    「知ってた」

    「あ、そうなんだ」

    そんな話をする為にわざわざ早退させたのか?
    聞こうとする前に鏡が話し出す。

    「じゃあ、あの人が2年生に在籍しているのも、知ってる?」

    「あの人?」

    「殺.人者さんよ」

    …………、
  • 19 藍梨 id:j5dbNZc1

    2011-09-10(土) 12:06:13 [削除依頼]
    殺.人者。
    異常者の中で記憶破壊者の次に一番酷い。
    何せ、人を殺.さなければ、生きていけないからだ。
    そりゃ、自分が生きていく為だから仕方ないが、殺.人者にはまともな性格の奴がいない。
    既に自分を保てていない。
    完璧に狂.っている。

    「いるのか?」

    「知らなかった様ね」

    「ああ、知らなかった」

    「私が話したかったのはそれだけ。せいぜい、気を付けて置く事ね。私の彼氏さんっ」

    鏡はブランコを勢い良く扱いで、飛び降りる。

    「じゃ、バイバイ」

    笑顔で手を振って、鏡は公園から出て行った。
    ぶっちゃけ、思う。
    早退する意味、あったのか?
    時刻は10時。
    俺は途方に暮れる。
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