息を止めるまでの時間7コメント

1 tiara id:wBXooSp.

2011-09-07(水) 17:54:46 [削除依頼]
「ごめんね」
そう言って沙織は真っ白な顔をだらりと垂らした
目の前で命の消える瞬間を見た

想うことはただひとつ

終わったんだね
  • 2 tiara id:wBXooSp.

    2011-09-07(水) 18:01:00 [削除依頼]
    窓の向こうからサイレン音がする
    救急車…

    マンションのインターホンを押し
    土足で入ってくる救急隊員
    バスルームで刃を入れた手首を湯船に落とした沙織に駆け寄ると
    「意識ありますか?!大沢沙織さん!」
    彼女が目を覚ますはずがない
    後からちょこちょことやってきた新人救急医らしき女の人が呆然と沙織を見つめている
    新人救急医に向かって私は

    「あの子、もう死んでます」
    そう言い放った

    新人救急医はその場に崩れ落ちて泣き出した
  • 3 tiara id:wBXooSp.

    2011-09-07(水) 18:08:53 [削除依頼]
    「島田さん!しっかりしてよ!こんなとこで泣かないで!」
    新人救急医の名前は島田と言うらしい
    眼鏡の中年女性救急医が島田を無理やり立たせる
    「だって…この人…もう…」
    泣きじゃくる島田
    まったくの他人の死になぜ泣けるのだろう

    私は知っている
    他人の死だから泣くのだ
    自分とはまったく関係のない、これから自分の生活になんの支障もきたさない人間だから涙することができるのだ

    「あなたは誰?大沢さんのお友達?」
    中年女性救急医が私のことを見つめる
    「…知らない人です」
    「知らないってことはないでしょう、見知らぬ人の家に入る訳ないじゃない」
    あなた、名前は?そう問いただされ、私は言った
    「……東条紗枝」
  • 4 tiara id:wBXooSp.

    2011-09-07(水) 18:19:35 [削除依頼]
    授業なんて退屈
    こんな安易な問題、解いて何になる訳?
    クラスメイトが必死に数分かかって解く問題も
    私にとっては掛け算九九のようにすらすらと答えが浮かぶ
    窓際の席だったのが唯一の救いか…
    ふっと窓のほうを見ると
    校庭のほうから蝉の声が聞こえてくる
    もうとっくにそんな時期過ぎてるだろうに…
    風の音にときどき混ざってミンミンと鳴く蝉
    ほとんどひとりぼっちである
    一人だけ生き残ったのか…仲間はもう死んだのか?
    ぼぅっとしながら蝉の音を聴いていた

    ・・・

    ジジッ

    蝉の声が止んだ
    もう一度、窓のほうを見る
    しばらく待ってみたが蝉の音はもう聞こえなかった

    死んだんだ…
    蝉の命の終わりとはここまであっけないものなのか
    教室の廊下側に座っているクラスメイト
    おしゃべりするクラスメイト
    黒板とにらめっこしているクラスメイト
    だれもが蝉の音に気付いていなかっただろう
    そしてその命が消えたことも…
    彼の命が消えた瞬間に気付いたのは
    この世界でたった一人
    私だけなんだ
  • 5 tiara id:WNFfQsn.

    2011-09-12(月) 12:48:44 [削除依頼]
    「起立、礼」
    「さようなら」
    授業が終わり、帰り支度を済ませて教室を出る
    誰も私に話しかけない、それが当たり前
    廊下に出てもそれは変わらず、私をよけるようにしてすれ違っていく
    教師もまるで腫れ物に触るかのように接し、極力近づかないようにしているみたいだ
    それも仕方がないだろう
    あんな事件を起こしては・・・

    校庭を突っ切って歩く
    サッカー部の連中も動きを止め、私に道をあける
    ひそひそと喋る声、男は女以上に内緒話が苦手のようだ
    すべて聞こえている
    「仲井有佐って小学校の頃に親友を毒殺したんだろ?」
    「まじかよ、さすがIQ210の天才だな」

    校門に近いところにある小さな森の入り口を通るとき
    木の根元に蝉が落ちていた
    蝉爆弾のように近寄っても動かない…完全に息絶えているのか
    ふと今日の蝉のことを思い出した
    「あの蝉か…」
    人目につくところに落ちるなんて不憫なやつだ
    このあと、道行く生徒たちに気味悪がられるに違いない

    ・・・私みたいに

    私は蝉をかわいそうな目で見た
    そして踏み潰した
    くしゃり・・・乾いた音を立てた
    足をそっと上げると奇妙な汁がまとわりついてぐちゃぐちゃに地面に張り付いている
    靴の裏を木の幹になすりつけて私は歩き出した
  • 6 tiara id:WNFfQsn.

    2011-09-12(月) 13:05:26 [削除依頼]
    顔を上げると
    向こうから一人の少女が近づいてきた
    無視して普通に通り過ぎようとした

    「もうすぐだね、排他物」
    独り言のように、私にささやくように
    もしかしたら風の音を聞き間違えたのかもしれない

    でも確かに、聞こえた

    「・・・あんた、誰」
    そう言ってみた、すると少女は振り向いて
    「弱者」
    とはっきり言った
    白いブラウスに紺のプリーツというシンプルな格好の少女は
    青い瞳をしていたがどこか濁っているように見えた
    「あんた、なんでここにいるの」
    「忘れ物を取りに来た」
    「それってなに」
    「嘘つきのしるし」
    その瞬間、太陽が雲に隠れまわりが暗くなった
    一瞬空を見上げ、少女のほうに視線を戻すと
    少女はもう消えていた
  • 7 猫背 id:WNFfQsn.

    2011-09-12(月) 13:18:27 [削除依頼]
    tiaraさん、文章書くのうまいです^^
    なんかこわいし難しい話になりそうですね!
    がんばってください
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