高圧のゲリラ-The EvilClown-12コメント

1 アザラシ id:LfztoSc1

2011-09-04(日) 23:59:04 [削除依頼]

どうも、ハジメマシテ「アザラシ」です。

幸せになりたいなら、まず他人を幸せにしろという言葉は、どうも僕には達成出来ないミッションです。
他人より自分。結局それが人間。

はい。僕はこんなに嫌な人間です。
こんな人間の書く小説なので、嫌なものかもしれませんがどうにか僕の足跡を追う形で、
少なくとも抜かさないように、真っ直ぐ見てくだされば。と思います。

今回はSFファンタジー?みたいなものらしいです。
僕の指がどうキーボードを打っていくのかは、僕にもわかりませんw

ですが、一生懸命練り上げますので、是非ご堪能くださいませ
  • 2 ライカ id:i7Zgv9Z/

    2011-09-05(月) 00:39:22 [削除依頼]
    楽しみです。
  • 3 アザラシ id:poYNcjN.

    2011-09-05(月) 19:46:11 [削除依頼]

    「高圧のゲリラ-The EvilClown-」序章

     NYの夜明けは寂しい事無く向かえる結果となった。
     全人類に嫌と言う程に差し込む朝陽は、高層ビルの23階の広々と設計された横長長方形の窓から無駄なく侵入し、部屋の隅々まで光を提供してくれる。その光がリビングに置かれているソファで横になる金髪碧眼の青年「シャルル・ノット・フェヌチ」の顔にかかる頃よりも先に彼の目は毎度の事のように見開かれ蒼の輝きを放っているのだ。
     なんとも微妙な時間帯。その時間に自然に目覚めてしまう事がシャルルの悩みの一つでもあるのだが、シャルルは今現在ベッドでは無くソファに横になっている事の方が悩みと言っても良いだろう。訳アリ。この言葉が原因の一つで、その原因こそが悩み。

     シャルルは仕方ないように諦めて、豪腕な両手の力を頼りに、ソファから腰を上げて立ち上げた。眠い目を擦るのは子供の動作と決め込み続けるシャルルにとっては「寝起き直後に走り込みをしろ」と言われても成功する見込みはある。そんなシャルルが一番に行った作業は、腕を伸ばせば届く程の距離にある高級のウォーターベッドに揺らされている、天使のような微笑みと共に寝顔を向けている一人の少女を睨むような目で見守る事であった。
     少女の華奢な肩や、触れただけで壊れてしまうような細身の身体を、護るようにして包まれた薄地のシルクは少々肌蹴ていて、所々に少女の白肌が覗かされている。
     濃い蒼色の綺麗な髪はペンキを頭から被ったように、毛先の先まで万遍なく染まっている。瞳は瞑られていて、よくは解らないのだが今のシャルルには昨晩の記憶が残っている。それこそが、シャルルの最も大きい悩みの根源である。
  • 4 アザラシ id:cBHl6DS0

    2011-09-06(火) 22:02:01 [削除依頼]
     
     シャルルは癖のある黄金色の髪をかき上げて、面倒な物を目の前にしているような顔で大きな溜め息を吐く。
     「ティフェラ・セルフート、もう朝だ『お前』の時間だぞ、起きろ」
     シャルルはベッドで横になっている少女の、シルクから肌蹴るようにして見えている左肩の白肌に手をあて優しく揺らすようにして擦った。
     ティフェラと呼ばれた少女の目は朝陽の光に気がついたのか、一瞬力強く瞑られ、それから力無くゆっくりと見開かれる。
     揺れるウォーターベッドから両手の力を込めて腰を立ち上がらせ、蒼石を代表するサファイアのような涼しい輝きを放つ眠い眼を、腕で擦る作業をする少女は頬を焼き上げた餅のように膨らませる。原因はシャルルが訊くよりも先に少女が言った。
     「ティフェラじゃないもん、ティフェル・セルフィート。ティファだもん」
     ティファと名乗る少女の膨れ上がる頬は、一体何処から空気が抜けるのかは知らないが、恐らく少しガス抜きまで時間がかかるような事であろう。
     「聞こえてたのか」
     シャルルは「なら起きろよ」と言わんばかりの顔で、シルクに身を包んだティファの身体を視界に入れ興味の無いような冷めた眼のまま「服を着ろ」と吐く。
     ティファの現在の姿は薄地のシルク一枚で、所々にティファの白肌が肌蹴ている。ティファはその現状に驚きを覚えたのか、顔をリンゴのように赤くして手元に置かれている先程まで使用していた、綿製の枕に手をかけて、思い切りの力を振り絞り両手でシャルルの顔面向けて投げ込む。
     ティファ自体力が無くともその枕は直球でシャルルの顔面に、綿毛の行く手を無理矢理に阻むような音が響いて、数秒間枕は落ちずに顔面で停止していた。

     「ロリコン!! 変態!! 最低!! えっち!! ばか!!」
     ティファの口から多量の罵声が飛び交いながらも、枕の落下が開始したシャルルの顔は面倒臭そう以外の言い方が出来るのか。と思うほどの表情である。
     「俺はロリコンでも、変態でも、エッチでもバカでもない。最低ではあるが」
     シャルルは薄地のシルク一枚で身体を巻くティファを、鬼の形相で眉間に刻みをつけながら眺めている。相当に子供の扱いに慣れていないのか面倒くさそうな顔は定着しつつある。
     そんなシャルルへ怨みだらけの罵声を浴びせるティファは、残念な事に罵声のネタが尽きたのか「えっと、それで……」と頭を悩ませている。
  • 5 アザラシ id:unuROgF1

    2011-09-09(金) 22:28:17 [削除依頼]
     
     結局、罵声だけの会話に勝者などいないで、ティファが満足すればそれで良いという形でこの些細な時間は終了した。

     「ティファ、俺の構造は見えてるな」
     シャルルは、その一言でギャグタイムとシリアスタイムの区切りを作った。
     その言葉に反応するのか否かは、シルクを被った少女の判断に任せて、シャルルは一視しながら言葉を待つ。
     「うん」と、時間を空けてティファは小さく頷いた。その表情に先程までの明るさなど存在しなく、身体中を差し込める朝陽に照らされているシャルルの身体を見渡している。ヒトを見る目ではなく、それはまるで背景を見るように遠く悲しいような目である。
     「そうか、右腕部に少し異常があると思う。メンテナンスを頼めるか」
     シャルルの目はティファだけを見ていた。強制感の強いその口調に脅えているのかティファはすぐに目を反らしてシルクを強く握った。恨みか憎悪があるようなその行動があるが故に「うん」と小さく応えるだけである。

     その応答を待っていたかのように、いや、それだけしか待っていないかのように、シャルルは吐き捨てるような言い方で「なら準備をする」とだけ言って、リビングから廊下へと繋がる扉に手をかけて、ティファとの時間を後にした。
     取り残されたような結果になってしまったティファは「うん」と一人呟いた。二度、三度。四度に五度。たった一人しか居ないリビングで何度も何度も繰り返す。
  • 6 アザラシ id:nlf0cQk/

    2011-09-10(土) 22:43:20 [削除依頼]

    第一章「コンクリートに咲いた花」

     シャルル・ノット・フェヌチは、騒ぎの街と呼ばれる「NY」のど真ん中に建設された高層ビルの屋上に居た。天を掴むことを可能とされる程に高く、その27階建てのビルの屋上には、NY全域を支配する者のようにも実感できるのだが、純血のフランス人であるシャルルにとって騒ぎよりも清楚を選んだのか、シャルルは街を一視して苦い表情を造形してみせた。
     降り積める4時の朝陽を遮る物など屋上が故に存在しなく、シャルルの瞼は力なく朝陽への対抗策を模索して薄目を開けている。
     「(……騒ぎの街ね)」
     シャルルは些細な口の動きで呟いた。近辺ですら耳を澄まさなければわからないほどに小さい声。
     「(昨夜だけとは思ったが、まさか今夜も続くなんてな)」
     眉間に力を入れて、ただただ睨んだ。高層ビルの並ぶ街。人間達は野蛮が多く、事件は多発する街。夜にその本領を発揮させる街。騒ぎの街。NY。


     その天に無造作に降臨しているようにして、非科学的に浮上している風に撫でられる紅蓮の旗、黄金色の十字に切られる紅蓮の旗を睨んだ。


     昨夜に突然にその姿を現して、NYの人間達に恐怖を与え続けた存在。紅蓮に黄金色の十字の旗「EvilClown」『地獄の使い』という意味を、たったの一夜にしてつけられたその旗には、それ故の訳がある。
     たったの一夜にして、NYの過半数の人間から「心」と呼ばれる物を抜き取った非科学的な殺戮兵器。抵抗する事さえ出来ずに人間を抜け殻にさせ、立つ力すらも発揮させずに人形のような動かない目を開けたまま倒れ込む。残酷的に「人間らしさ」を無くさせた。一夜の事件の発端者がその「旗」と思ったのは、全員合致の意見であった。
     シャルルがこの高級高層ビルに居る訳も、避難の一つで決して経済事情が勝ち組寄りという訳ではないのだ。人間の消えかかった街を再びに眺め顔をしかめる事意外できなかった。
     その空気に色が混ざるようにして、唐突に屋上に現れたのは一言の言葉であった。
     「シャルル・ノット・フェヌチ、キミは誇りを持って良いのだぞ」
     背後からの言葉が聞こえた時には、その声主が誰かは見分けのつく事であった。中年の低い声で、思ってもいないような事を言うその声主は「エネフォント・ペルアント」黒のコートに身を包むシャルルより一回り小さい横太りのオヤジである。特徴的な肌白のスキンヘッドは、髪が抜けていく事への気遣いなのか、それ故にあまり似合うような物ではなく、顎に生える髭は一センチ感覚を保っているかのように剃られて、これも似合うような物ではない。
     「……俺は自分の役割分担の理解をする為にお前を呼んだんじゃない」
     言い捨てたシャルルの背中に、舌打ちで返すエネフォントは「なら、なんだよ」と本当に心にも無いような事を言っていた事を主張させた。シャルルは中年のオヤジであるエネフォントを信頼でもしているかのように、背中を見せたまま口を動かす。
     「二度目の行進は、二日連続の今夜か」
     その質問を応える事は人間では不可能ではあるものであった。だが、故に人間はその答えが知りたかった。
     エネフォントは、「さあな」と小さく呟き顔を顰めた。シャルルとの会話間に隙間が生まれているのは百も承知での応えであるが、「昨夜、生きていただけでも凄いもんだ」と付け足した。昨夜の事件の発端「EvilClown」と呼ばれる紅蓮黄金十時の旗に怨み全てをぶつけるような目で、エネフォントも睨み続けた。
     「なら、EvilClownとは、なんだ」
     続けざまの無意味な質問に腹を立てたのか、エネフォントは睨む視線を質問者シャルルへと変更させ、「簡単だ」と吐いた中年のオヤジは同じようにシャルルの視線を浴びる破目にあった。だが、そのシャルルの知的好奇心に応えることすらせずに、エネフォントは嫌な笑顔で「地獄から来た使者だよ」と応えてみせた。
  • 7 アザラシ id:nlf0cQk/

    2011-09-10(土) 22:43:47 [削除依頼]

     シャルルの眉間に濃い皺が寄り出したのは言うまでもない。エネフォントも満足気に嫌な笑みで、年齢の離れた金髪の青年を一視する。
     「……お前、昨夜の事で過半数の人間を守れなった事を悔やんでるのか?」
     尋ねるというよりも、確認するような形でシャルルの顔を覗いてきた。シャルルの応答が来るか来ないかの判断はせずに、シャルルの口を紡ぐような形で早口で「お前の妹も逝ったからな」と言葉を漏らした。
     刹那、エネフォントの横太りな身体を浮かす程に胸倉を、たったの片手だけで掴み上げてその挑発にのった。
     薄ら笑いのエネフォントは「どうした、『利き手』は使わないのか」と何が楽しいのか続け様に挑発を欠かさない。
     「ああ、そうか昨夜に『利き手』を故障したのか」
     シャルルは左手に込める力を、より一層に上げてエネフォントの身体を完璧に数センチ浮かせ鬼の形相で睨みつけた。だが、エネフォントは勢いを止めずに付け足して言った。
     「妹を守る代償、いや、守りも出来なかった責任感とでも言うのか」
     瞬間的に、シャルルの右手がエネフォントの頬を殴りつけた。肌で殴ったにしても重すぎるような威力で横太りのオヤジを数メートルか飛ばさせた。 
     背中から倒れ込んだエネフォントは、摩擦熱をそのコートの上から味わい、怒りすら覚えてはいないが舌打ちを飛ばした。
     だが未だに嫌な笑みを止める事はしなかった。殴られた頬には痛みだけが走って、その部位をさすり続けるエネフォントは告げるようにシャルルの顔を見ずに言った。

     「……全てがEvilClownの作った運命だ。俺たちが今夜に限らず今死ぬか、それとも一週間後かは知らんが」
     言葉を区切るようにしてシャルルの顔を見上げる。相変わらずにして、その眉間に掘り込まれたように刻まれた皺はとれずにエネフォントを一視している。
     その表情を見て満足気な顔で「俺たちは必ず殺される」とシャルルに継げた。予測なのか、ただの絶望的状況での判断なのか。エネフォントは薄ら笑いを続けた。
  • 8 アザラシ id:9JXPCi.1

    2011-09-17(土) 20:17:25 [削除依頼]

     「シャルル」
     発せられた声に力は無い。綺麗に透き通る水のようなその声は、とてもエネフォントのような中年男の出せる物でもなかった。屋上に立ち込める風を無風へと一変させる程の状況変化に、シャルルは視線を送った。声主が居ると思われる屋上玄関付近へと、その目は光りながらも的確にその位置を追った。
     水の様な色で覆いながらも、その髪の毛先すらも直線的で汚れの無い少女は、暗い表情を浮かべるティファそのものであった。
     着替えをしたのか、ティファは白のワンピースにその身を包んでいた。
     「……シャルル、その……準備出来たんだよね、今から治すから」
     清楚な格好が似合わないティファは、俯いた顔を起こす事無く、無理にでも視線を押し倒していた。先程までの天真爛漫な表情が仮面でも被っていたかのように、心身共に暗いその少女はまるで人形のそれである。
     「……ああ、治してくれ」
     吐き捨てる様に言った後に、すでにティファへの視線は向けずにその場から離れた。いや、エネフォントから距離を取ったかのような足取りに思わせる事など何も無かった。


     「待てよ」


     エネフォントから送られた言葉に振り返る事はしなかった。しかし反射的な行動なのか、シャルルの足はその場で動く事を不可能となった。
     「ティフェル・セルフィート、お前の能力(ちから)について、俺にも教えてくれてはいいんじゃないか」
     少女の髪は無風の中、不自然に靡いた。それから数秒遅れてティファは首を小さく横に降った。
     シャルルは「行くぞ」とティファに告げた。エネフォントの言葉の反射的な呪縛はすでに解けたのか足を動かし続けた。
  • 9 ブラック†フルーツ id:5R1wg27/

    2011-09-17(土) 20:43:12 [削除依頼]
    もっと改行をした方がいいと思います。
    読みにくいです。

    あと、

    シャルルは「行くぞ」とティファに告げた。

    じゃなくて、

    シャルルは、
    「行くぞ」
    とティファに告げた。

    の方が見やすいですね。

    まぁ上の方法を使っても別に良いと思います。
    セリフが短いので。

    もう少し長いセリフの時は下の方法が良いと思います

    あと、全体的に文だらけなので、もう少しセリフを増やしてはどうですか。
  • 10 アザラシ id:5rxEGnP1

    2011-09-18(日) 23:36:21 [削除依頼]
    >9 一言の呟きは、文章内に入るのですからそのようにしていますよ。 そして僕としても改行は十分行っていると思います((汗 ですが忠告ありがとうございます。
  • 11 アザラシ id:2Invw9P1

    2011-09-23(金) 11:10:49 [削除依頼]
     
     窓すら存在しない長々とした廊下にシャルルとティファは居た。
     昨夜の事件で電源の大幅カットが確認されたのか、その空間に涼しいという空気は流れてはこずに、ただ湿気と言うのか、むさ苦しいような汗ばむ空気が覆っている。
     そんな腐りかけたような空気が充満しているにだが、驚くことに壁部や床部にこれといって汚れを発見する事は困難である。それもNYの高級ビル内と考えれば、昨夜からその廊下を歩く者など居ないのだから、あたりまえと言えばあたりまえなのかも知れない。
     落ちているゴミを見つけたら高得点と言えば、子供の探究心は膨らむだろうが、それこそ断念すべき程に忌まわしく綺麗なのである。
     そんな邪険な空気とは似合わない綺麗さを身に付けた廊下を、革靴の底を地に立たせ、コツコツと音を立てる金髪黒スーツのシャルルと、その背に一生懸命に早足で付いて行く白の清楚なワンピースに身を纏った少女が、似合わぬ関係を築きながらも歩いていた。
     一方は無愛想な面で前を見て歩く。一方は無表情の顔を俯せたまま歩く。見事なまでに他人に見えるような関係。
     気まずい、と言えば否定されるのかも知れないが、そんな無愛想な空気を言葉で斬り裂いたのは意外な事にも俯く少女であった。
     
     「エネフォントに秘密にしておいて良いの?」
     確認なのか、ティファの言える精一杯を吟味した結果なのか、少女は顔を伏せ、歩きながらシャルルに尋ねた。まるで、「私の選択は正しかったのか」と訊いている様な口調。
     だが、シャルルは過ぎた事を悔やむというのが、「子供っぽい」という理由で嫌っていた。その上に自分の意見を正当化する態度がシャルルの癇に障ったらしい。それ全てが一言の低音で吐かれる「ああ」という言葉に含まれていた。
     不機嫌な人間というのは、解り易い人間と解り難い人間が居るという。シャルルの言動では前者で、ティファの表情すら変わらないという事はティファは、いや『今の』ティファは後者なのだろう。
     そんな人間達の言葉のキャッチボールはティファが投げ、シャルルがそれを弾く、と言う決して続くはずも無く、再びの空気が流れようとした時であった。
     「私は、エネフォントも仲間だと思ってる」
     何が悲しかったのか再びボールを投げつけたティファの一言は、シャルルの耳に進入したことは明確で、それ故の行動だったのだろう。シャルルも即答で「ああ」と呟く。本心が故に怪しさを持っているその一言に食いついたのは、誰でもないティファ一人であった。
     「なら、私の能力(ちから)……正体を教えても良いと思う」
     現状のティファはそれもピッチングマシーンのように、ボールを投げ続け挑発するような物で、その言動も全て的確。それがシャルルの行動に現れたのは一瞬の出来事であった。
     背を向けて歩いていたティファに襲い掛かるようにして、瞬間的に振り向き、少女の白のワンピースを豪腕な腕で掴み取る。反動を受けた少女の華奢な肩は数センチ上昇し、清楚なワンピースから純白の太ももが言わんとばかりに肌蹴てくる。
     少女は驚いた表情も出さずに冷静な蒼の瞳でシャルルを見上げる。
     「シャルル、キレやすいのも大概にして。エネフォントにも……こうしてた」
     漂う空気は一変すらしない。むしろ先程よりも賑やかと言う捕らえ方すら出来る。
     シャルルの目はティファの目を一視して、何一つ言わん口ぶりだがシャルルが怒りに身を任せていたという事だけはティファは理解したらしい、シャルルの腕をその貧弱な細腕で掴んだのがその証拠と言えよう。
     「いつ見てたんだ」と小声で言ったシャルルは、軽い舌打ちをして浮き上がったティファの身体を何も言わずに地面に下ろした。

     「……ティファ、エネフォントが仲間なのは自覚してる。だが、お前の正体は隠しておけ」
     「なんで」
     「理由はない」
     シャルルは再び背を向けて、足を前に運んだ。その足取りは然程変動の無い物ではあったが、ティファの顔は暗くなり、動く足の速度は上げなければいけなかった。
     再びの沈黙に、ティファはボールを投げつける行為すらいつのまにか止めていた。
  • 12 アザラシ id:2Invw9P1

    2011-09-23(金) 11:22:39 [削除依頼]

     窓の無い廊下には人工光が乏しくも輝いていたのだが、その直属で扉さえ存在しない空間には、そんな光すら届かないほどに闇が広がっている。
     シャルルの踏み入れるその空間は、全てが黒という表現の背景で纏められ、それ以外の異物の進入は許さない様な異様さを備えている。

     ココこそが、シャルルを修理する場。『黒』だけが広がる壁があるのか、隅があるのか、床があるのか、酸素があるのかすら理解する事が出来ない異空間。
     先程まで歩んでいた廊下とは打って変わって、人口光は入る事を禁じられており、何かに遮断されるように光の入らない空間。
     
     「シャルル、『虚数空間』に入るのは二回目だね」
     人形の様な表情に生が吹き込まれたようなティファは、その背に歩み寄りシャルルの右腕を掴み取った。
     「すぐに直してあげるから」
     ティファはその表情をやわらかく表現させて、シャルルの右腕を必要以上に触り始める。
     だが、シャルルは遠くを見据えるように『黒』に塗りつぶされた背景に目を送る。それしか目に入れず、それしか神経を尖らせずに、ただ沈黙の空間がココでも流れる。
     今のシャルルには、まるで意識の無い人間のように立ち尽くすだけで、立つという行動以外は何もしない。遠くを見る。という行為も、もしくはしていないのかもしれない。ただ単に目を開いているというだけかもしれない。
     そんな二人の画があまりにも背景の『黒』と合っていたのを知ったのか、ティファだけがうすら笑いを零したのを知るのは誰一人居ない。

     すると、準備が整ったのか、ティファの合図も無い修理が始まるのは、そう遅いことでは無かった。
     意識を他に向け、その背だけをティファに向けているシャルルの右腕部、肱から下を拘束具を取り外す様に力すらも入れずに、本当にか弱いような少女の腕で一気に抜き取った。

     痛みの表情すら出さないシャルルの右手は、一滴の血すら流すこと無くティファの手によって、床すら確認できないその黒の下に放られ、右腕部があった部位に手を伸ばし、合図も無しに『もう一つの』腕を復元した。
     魔法のように、目を疑わせるような出来事をほんの一瞬で行ったティファは愉快な顔でシャルルの耳に口を運ぶ。修理完了の合図だけは報告してくれるらしい。その作業を終えて修理時間は終了する。ほんの1分もしない簡単で不可思議な修理。
     それが終わる頃には、シャルルの足は人工光が届く事の出来るその境に向かって歩んでいた。たった一言の「世話になった」という言葉だけをティファに残して。
     「……シャルル、」
     寂しいような表情を瞬間的にしたティファは、黙ってシャルルの背に付いて行く。愉快な表情は誰にも見せる事はなく、ただただ自己満足の様な表情を繰り返す。
コメントを投稿する
名前必須

投稿内容必須

残り文字

投稿前の確認事項
  • 掲示板ガイドを守っていますか?
  • 個人特定できるような内容ではありませんか?
  • 他人を不快にさせる内容ではありませんか?

このスレッドの更新通知を受け取ろう!

ログインしてお気に入りに登録すると、
このスレッドの更新通知が受け取れます。

最近作られた掲示板

お気に入り更新履歴設定

お気に入りはありません

閲覧履歴

  • 最近見たスレッドはありません

キャスフィへのご意見・ご感想

貴重なご意見
ありがとうございました!

今後ともキャスフィを
よろしくお願い申し上げます。

※こちらから削除依頼は受け付けておりません。ご了承ください。もし依頼された場合、こちらからの削除対応はいたしかねます。
※また大変恐縮ではございますが、個々のご意見にお返事できないことを予めご了承ください。

ログイン

会員登録するとお気に入りに登録したスレッドの更新通知をメールで受け取ることができます。

お気に入り更新履歴設定

お気に入りはありません
閲覧履歴
  • 最近見たスレッドはありません