金魚鉢ーキンギョバチー27コメント

1 亜隅 id:ez-RI.LB2w/

2011-08-31(水) 21:57:13 [削除依頼]



赤い花咲いた、
赤い花綻び、
裂けた間から、
赤い花開いた。


噛んだ唇に、
赤い花揺れる。


きみを想うと、
赤い花ひらり。


募るは怨みか、
赤い花ひとつ。


軋む恋心、
赤い花歪み。


終わらせたこの指。


赤い花落ちた。


咲くも花なら散るも花、
想い揺らいで陽炎花、
募る情念裏表、
鏡映せば移ろい憎み、
この手で幕切る。


たった一言、
後姿に、
ぽつり呟く。


今宵も咲いた。


赤い花咲いた。


 
  • 8 亜隅 id:ez-oqbYp02.

    2011-10-06(木) 21:14:21 [削除依頼]
    にいさん
    ありがとうございます♪嬉しいです∀
  • 9 亜隅 id:ez-oqbYp02.

    2011-10-06(木) 21:32:10 [削除依頼]



    世の中は、金でできている。
    人間は、生活に必要な物を欲しいと思う。
    例えば、食品や日用品、衣類など。
    それは金持ちでも貧乏で困っている人でも、変わらない。
    世の中は、金でできている。
    笑える話だ。
    物の為に、紙切れを渡しているようなものなのだから。
    紙切れは、世では札と言われ、金の一種として存在している。
    紙切れを稼ぐより、紙切れをつくってしまった方がはやい。
    ただ、本物に似せてつくり、あとはコピー。
    一瞬で楽園へと飛べる。
    だが、楽園の先に待っているのは真っ黒な檻。
    人間は檻に怯え、紙切れをつくらない。
    だが、ワタシは違う。
    ワタシはつくりだした。
    紙の束を。
    楽園を。
    自らの手で。
    世の中は、金でできている。
  • 10 亜隅 id:ez-n7KhLHk/

    2011-10-07(金) 18:45:11 [削除依頼]



    男は、深い深い森林の中を、愛用のベンツで颯爽と走り抜けていた。
    グレーのジャケットにピュアホワイトのシャツ、淡いピンクのネクタイ。
    男の服装は至ってシンプルで、好青年に見える。
    それに合わせ、男はかなりの美青年であった。
    艶のある黒髪はだらしなくだらりと前に伸び、その間から覗く澄んだ美しい黒い目は、形が程よく整っている。
    目元に影を落とす程の長い睫毛、整った形の高い鼻、少し引き締まった口元。
    いろいろな女性に、淡い恋心を抱かせてしまうような顔つきであった。
    男の名は望月綾芽(モチヅキアヤメ)。
    今年で24になる。
    望月は、大手高級デザイン会社の出張係、いわゆる営業マンを職としている。
    名家へ、名家へと飛び回り、プロがデザインした壁紙や絨毯、食器などの写真を見せて、売りつける。
    それが望月の一日の仕事だ。
    彼の勤める会社は少し特殊で、金を出してくれるのであれば、どんな商品でもオーダーメイドで注文することができる。
    例えば、屋敷に合うシャンデリアや、ダブルとシングルの間のサイズのベッドなどと、細かい注文でもすんなりと聞いてくれる会社なのだ。
    だからかどうかは分からないが、会社は僅か4年で大手企業に発展していた。
    それに比例し、望月の給料は数倍に膨れ上がり、毎日贅沢三昧なのである。
  • 11 亜隅 id:ez-n7KhLHk/

    2011-10-07(金) 22:00:53 [削除依頼]



    望月はこの仕事を始めてもう3年になるが、一度もこの仕事を辞めようと思った事がない。
    だが良点は給料だけで、上は望月の営業マンとしての素質を見込み、昇格しても営業マン止まりである。
    そのため、時々不満を覚える事もしばしばあるが。
    「……チッ」
    望月は静かに舌打ちをし、ハンドルを握る右手の人差し指で、せわしなくトントンとハンドルを叩いた。
    今回の営業する相手は、宝石店第六代目社長の高羽(タカハネ)氏だ。
    高羽氏は少し変わった性格をしている。
    自前の数億円の屋敷を、隠すように田舎の山奥に建てた人なのだ。
    望月は今からその屋敷に向かおうとしているのだが……。
    どうにもおかしい。
    山に入ってもう4時も車を走らせているのに、屋敷に着かない。
    屋敷すら、見えないのだ。
  • 12 亜隅 id:ez-n7KhLHk/

    2011-10-07(金) 23:16:09 [削除依頼]
    訂正
    もう4時も車を
       ↓
    もう4時間も車を
    すいませんp(´д`q)
  • 13 亜隅 id:ez-gatYa2c/

    2011-10-08(土) 11:37:36 [削除依頼]



    会社からは、1時間程度で着くと言われた。
    それに高羽家の方から、昼食を用意して待っていると伝えられたので、望月は何の腹ごしらえもせず、山に入ったのだ。
    腹が減っては戦はできぬとは、まさにこの事だろう。
    「……」
    耐えかねた望月は、車を大きな木の近くに止め、扉を開いて外に出た。
    風に揺らされた枝が、さわさわと音をたて青々とした葉を落としていた。
    望月はシャツの胸ポケットから黒色のシンプルな携帯を取り出し、馴れた様子で淡々とボタンを押した。
    それを耳に当て、大きな欠伸をする。
    高級ブランドの腕時計に視線をやると、もう午後4時を過ぎようとしていた。
    『こんにちは、山羅邸(サンラテイ)でございます』
    数コールあけて、相手が電話に出た。
    少女の様な声。
    話し方からして、屋敷のメイドだろうか。
    ちなみに、山羅邸とは今から向かう高羽氏の屋敷の事である。
    「……先ほどお電話差し上げました、デザイン会社の望月です」
    望月はそう言いながら、大きな大木にもたれかかる。
    柔らかい風が、ふわっと望月の髪を持ち上げた。
    『望月様ですね。ご予定しておられた時間を、とうに過ぎていますが……。何か、おありでしたでしょうか??』
    望月は、相手に聞こえない様に小さくため息をついた。
    そして携帯を持ち替え、淡々と言葉を漏らす。
    「実はお恥ずかしい話、山で迷ってしまいまして。ナビに山羅邸と打ち込んでみたんですが、どうにも電波が悪いんです」
    『でしたら、わたくしがお迎えにあがります』
    迷う素振りもなく、相手はそう言った。
  • 14 うみ id:ez-gatYa2c/

    2011-10-08(土) 22:30:32 [削除依頼]
    素晴らしいです!亜隅様!
  • 15 亜隅 id:ez-VpZvHIU0

    2011-10-09(日) 08:47:55 [削除依頼]
    うみさん
    いや、とんでもないです!!
    コメありがとうございます∀
  • 16 亜隅 id:ez-VpZvHIU0

    2011-10-09(日) 10:17:26 [削除依頼]



    望月は僅かに目を見開き、大木から背を離す。
    「しかし……、私から見ても、どこにも山羅邸が見えないのですよ?そんな深い森で私を見つけるなんて、とても無理だと思うのですが……」
    4時間も、ぐるぐると適当に車を走らせているのだ。
    一瞬でも、まぐれで屋敷を見つけてもおかしくはない。
    しかし、現実はそうではない。
    屋敷を見つけるどころか、自分が入ってきた入り出口さえ分からなくなってしまったのだ。
    相手は少し黙っていたが、やがて口を開いた。
    『……望月様?……わたくしは、ご立派な当家の使用人でございます。使用人は、お客様に最上級のおもてなしをしなくてはなりません。お客様がお迷いになられたのであれば、使用人は死に物狂いで望月様をお捜し致します』
    望月はそっと目を伏せ、「……わかりました、お願いします」と静かに言った。
    しかし実際、望月はあまり期待はしていなかった。
    見つけられる訳がない。
    あと20分待って、何もなかったら帰ろう。
    そう思いながら電話をきった。
  • 17 亜隅 id:ez-VpZvHIU0

    2011-10-09(日) 12:25:06 [削除依頼]



    望月は車内に戻り、携帯を革でできた営業用鞄に戻した。
    それと入れ替えるようにタバコを取り出し、馴れた様子で口にくわえる。
    ライターを取ろうとジャケットの胸ポケットに指を這わすが、ライターが無い。
    そういえば、上から言われていた。
    「高羽氏の奥様がタバコを嫌うから、ライターとタバコは置いていけ」と。
    ライターは置いてきたが、タバコを抜くのを忘れていた。
    望月はニコチン切れでイライラしながらも、タバコを窓の外に吐き捨てた。
    タバコはコロコロと転がりながら、立派な木の前で止まる。
    「……タバコ吸えず、メシ食えず、仕舞いには迷うなんて……俺、運ねーなぁ……」
    望月はそう言いながら、小さくため息をついた。
  • 18 亜隅 id:ez-L432N7P.

    2011-10-16(日) 17:07:26 [削除依頼]



    「そんな事ございませんわ、望月様」
    不意に、声がした。
    下げていた顔を上げると、……見つけた。
    人を。
    手が届きそうな程の距離で、ドアの真横に立っている。
    「……!!」
    驚いて目を見開いていると、目の前に立つ“少女”がふっと微笑んだ。
    「お迎えにあがりました」
    ……まさか、有り得ない。
    ほんの数秒前にタバコを吐き捨てた時は、人なんていなかった。
    気配すら、なかった。
    望月はしばらく硬直していたが、やがてゆっくりと深呼吸をした。
    「……いつからそこに?」
    望月はドアを開けて、車内から体を引きずるように這い出た。
    望月が地面に足をつけて立ち上がると、少女は思ったより背が低く、望月の肩にも及ばない。
    「つい先ほどからですわ」
    少女がそう言うと、弱めの風がふわりと2人の間を通っていった。
    そういえば。
    この声、確か先ほど電話を通して聞いた声によく似ている。
    そんなに屋敷が近くにあるのかと思い、望月はあたりを見渡した。
    しかし、屋敷などどこにもない。
    あるのは、永遠に続く大きな木だけ。
    「望月様」
    少女に呼ばれ、望月は首の動きを止めた。
    こじんまりした少女は、例えるなら子犬の様な印象であった。
    「……ん?」
    「大変申し訳ないのですが、すでに旦那様がお待ちです」
    少女はそう言いながら、静かに望月の車に目をやる。
    早くしろと言いたい訳か。
    望月はため息をつき、「助手席で案内してもらえますか」と言った。
    しかし少女は、黙って首を横にふる。
    「いえ、望月様は運転なさらなくてよいのです」
    「……は?」
    少女はそう言った後、いつも望月が乗る運転席へ、吸い込まれるように乗り込んでいった。
    そして窓から顔を出し、「わたくしがご運転差し上げます」と棒読みで言った。
  • 19 亜隅 id:ez-lnin8qe1

    2011-10-17(月) 22:00:52 [削除依頼]



    太陽の光を浴びると、その光を反射するように輝く髪。
    あかぬけた金髪のショートボブヘアに、雪のような真っ白な肌。
    くりりとした大きな瞳は、漆黒の如く色づいている。
    化粧はしていないようだが、顔立ちはとても綺麗であった。
    それに加え、細い足腰に小さな身長。
    中学生に見えても、おかしくはない。
    その少女……いや、女は、現に今望月の隣で車を運転していた。
    履いてきた革靴を脱ぎ、座席の上に正座をして。
    「えーっと……」
    沈黙に耐えかねた望月が、口を開きかける。
    すると彼女は望月に見向きもせず、淡々と言葉を放った。
    「わたくしは只今、19歳。今年でハタチになります」
    「え……?」
    驚いて目を見開く望月に、彼女はクスリと笑う。
    「今、お聞きになろうとなさったでしょう?」
    そう言いながら、望月の車はゆったりと右折する。
    なんでわかったんだろうと、望月の顔には書かれていた。
    それを見た彼女は、また意味ありげな微笑みを浮かべる。
    「……望月様」
    気まずくなった望月は、視線を窓の外にうつしながら、静かに「ん」と返事をする。
    外には、一面に青が広がっていた。
    「……カヲル」
    「……?」
    窓を鏡の様にして、うっすらと彼女が見える。
    望月は目を細め、次の言葉を待った。
    しかし彼女は、それからしばらく何も話さなかった。
  • 20  まり id:aehDnHA0

    2011-10-17(月) 22:02:01 [削除依頼]
    すごいです!
    名前変えたので、
    かなりお久しぶりですが、
    尊敬しています!
  • 21 あやか@ id:ez-lnin8qe1

    2011-10-17(月) 22:06:17 [削除依頼]
    うまい!!
    描写が素敵です!!
  • 22 亜隅 id:ez-S4G7.vy.

    2011-10-18(火) 21:08:24 [削除依頼]
    まりさん
    こんばんは∀
    尊敬って…!!
    そんな立場じゃないです、でもありがとうございます^^*
    あやか@さん
    はじめまして☆
    ありがとうございます、嬉しいです
  • 23 亜隅 id:ez-ZgFUr2E.

    2011-10-19(水) 19:17:20 [削除依頼]



    ベンツは休まる事なく走り、もう右も左も同じ景色になった頃。
    望月は、うとうとと夢の世界に潜り込んでいた。
    望月は、小さい夢を見た。
    それは、自分自身の過去の記憶。
    記憶の中に、一人の女がいた。
    彼女は、涙を流している。
    「助けて……、お願い……」
    至る所に青々しいアザがあり、引っ掻いたような傷もあった。
    泣き喚くのではなく、ただ静かに涙を流している。
    女は、震える手を……望月に伸ばす。
    助けを求めるように。
    弱く、か細く。
    その手は、望月の服を掴む。
    しかし、その瞬間……望月は、女の手を振り払った。
    そして、静かにこう言い放つ。
    「触るな、裏切り者」ーーー……。
  • 24 さむたん? id:ez-ZgFUr2E.

    2011-10-19(水) 22:37:38 [削除依頼]
    やった〜?
    亜隅たま、みぃ〜っけ?
    Eの次は金魚鉢ぃ?
    ちょ→面白そうだねっ?
    さむたん?、
    ずっとファンでいるからね??
  • 25 亜隅 id:ez-ctBnoLJ.

    2011-10-20(木) 17:30:37 [削除依頼]
    さむたんさん
    お久しぶりです。
    ありがとうございます。
    ファンなんて、照れますよ∀
  • 26 亜隅 id:ez-yFYO5ET1

    2011-10-22(土) 14:05:50 [削除依頼]


    10
    ーーー……「もちづきさま……」
    甘い香水のような香りが鼻をかすめ、望月は形の良い目をうっすらと開いた。
    ぼんやりしていた視界が、ピントが合っていくカメラを覗いたように、徐々にはっきりとしていく。
    ……「レ……ンナ……?」
    望月はかすれる声で呟きながら、ゆっくりと目を見開く。
    目の前に、夢に出てきた女の顔があったのだ。
    しかし、その顔は再びぼやけ、先ほど会った女使用人の顔になった。
    「……望月様」
    彼女はホッとため息をもらし、ゆったりと望月から離れる。
    どうやら、車内の助手席でいつの間にか眠ってしまっていたようだ。
    望月は慌ててだらしない前髪をかきあげ、車外に目をやった。
    ベンツは、白をベースにした美しい門の前に停車していた。
    門の横には、『高羽』と彫られているプレートが壁にかけてある。
    壁は永遠に左右に伸び、ここからは高羽家の敷地だとあらわしていた。
  • 27 亜隅 id:ez-3vjwEMw0

    2011-10-29(土) 22:18:37 [削除依頼]


    11
    「……なんつー広さ……」
    目線をどんどんと奥にやるが、屋敷が見えない。
    門の向こうには、美しい庭が広がっていた。
    不思議な色をした薔薇や、よくわからない花がたくさん咲いている。
    絵の中に入ったような、印象を感じた。
    運転席に座る彼女が、ゆっくりと窓をあけた。
    そして、少し前屈みになり窓から顔を出す。
    「カヲルよ、今帰ったわ。門をあけて頂戴」
    その声とほぼ同時に、目の前にある門がガシャリと音をたてた。
    ゆったりとした動きで、門が開いてゆく。
    完全に開くと、改めて庭の大きさを確認する事ができた。
    「……でか……」
    望月の心の声が、つい口に出てしまった。
    それを聞いた彼女が、クスリと笑う。
    「山羅邸のお庭だけでも、東京ドーム四つ分は建ちますよ」
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