名探偵の才能101コメント

1 ウォルター id:ez-TWF6M1S1

2011-08-27(土) 23:00:22 [削除依頼]
[プロローグ・名探偵の才能と聞いて]

 名探偵と呼ばれる時点で才能があるのだろうと、鋭い貴方はそう思うかも知れない。しかし、恐らく貴方が考えたそれは推理力に優れた“探偵の才能”を持つ人物であって、“名探偵の才能”とはまた違うだろう。ならば、二つの才能の違いとは何なのか?

 推理するまでも無い。
 続きを読んで戴ければその答えはすぐにでも――。

[プロローグ・End]
  • 82 ウォルター id:ez-s90UQ.K1

    2012-01-10(火) 18:13:49 [削除依頼]
     数え年とは生まれた年を一歳として数える、現代の数え方より一つ年上になる数え方の事です。つまり、現代の数え方で行けば、男性の厄年は二十四歳、女性の厄年は十八歳という計算になるのでした。第一話で池波さんを厄年だと紹介したのは間違えだったようです。私としたことが……。
     芋羊羹以外。寂しい三回転半。厄年誤算。
     ただ自分の二十歳を祝いたいだけなのに、その都度腰を折られてしまいました。私は不貞腐れて、ソファに置いてあった機能的枝豆型ショルダーバッグに正拳を繰り出して八つ当たりしました。三つの内の真ん中の豆が切なさ満点に窪みます。

    「でも良かったじゃないか。つまり君は、知らぬ間に厄年という一つの波を乗り越えしまったという事になる」
    「なっ、な……なるほど!」
    「人生楽勝だな。うんうん」

     私はなんだか丸め込まれてしまったような気が致しますが、池波さんは勝手に上機嫌です。恐らく池波さんも、去年自分が厄年だったことを私が指摘するまで気が付かなかったのでしょう。なにやら物凄く間の抜けたやり取りでしたが、こういった時に歪でもポジティブシンキングなのが池波さんなのです。岡本君なら阿呆鳥よりも阿呆阿呆と言ったに違いありません。
     芋羊羹を食べ終えた池波さんは再び活字を摂取するのかと思いきや、数秒間書物を睨み付けた後、耐えかねて勢いよくそれを閉じました。

    「暇だなぁっ!」
    「ですね」

     少し機嫌を持ち直してきた私は、緑茶を啜りながら応えます。
     そうです。我々は暇だったのです。今まで大して暇だったことが無い方には、到底理解不能な申し訳だとは思いますが、体験した人ならきっと「本当にそうであるよなぁ」と、固く握手したくなる程の同意を頂ける事でしょう。
     暇である事程、辛く恐ろしい事は無いのです。
  • 83 ウォルター id:ez-e0nLK7s.

    2012-01-12(木) 23:37:51 [削除依頼]
     勿論、私も池波さんも読書が好きですが、だとしても矢張り読み続けるのにも限界があります。もしかしたら池波さんは際限が無いのかも知れませんが、彼は一応に社会人なのです。日々趣味に没頭しているのは羨ましい話ですが、社会人としてはあまり誉められた状態で無いでしょう。
     椅子の上で両手を天井へ伸ばし、鈍りに鈍った体をほぐす池波さんです。

    「怪盗でも現れないかなぁ」
    「不謹慎ですよ」
    「またまた、君だっていたら面白いと思ってるくせに」
    「……否定はしません」

     だって夢があるじゃない。というのは、盗難の被害に逢ったことが無いから言える事ですが、どうしても心のどこかで期待しているのです。ミステリーファンなら誰しもが抱く事柄でしょう。勿論、殺人ともなれば話は別ですが。
     謎解き合戦からおよそ二週間が経過していました。サークルの面々の前で推理を披露できたので、数日の内は池波さんもご機嫌でした。が、あの推理に味を占めたのか、昨日くらいから仕切りに「事件はねぇがぁ、事件はねぇがぁ」と喚いています。
     ただのアルバイターである私が言ってしまうのも失礼ですが、池波探偵事務所はそれ以前からかなーり暇でした。現実なんてこの様なものです。世に広く受け入れられているベストセラーの中の怪盗や、精巧なトリックを用いた事件などに巡り会うチャンスなど、滅多に無いのです。
  • 84 wwwwwwww id:w8ESc3H0

    2012-01-13(金) 10:48:29 [削除依頼]
    いいですな〜こういう推理小説。
    僕なんか事件起こしまくってるので、いつもこの小説
    で落ち着いています。更新頑張ってください!
  • 85 ウォルター id:ez-/zmoeJ90

    2012-01-14(土) 17:22:58 [削除依頼]
    ミステリーファン的にはwwwwwwwwさんの作品の方が楽しめると思いますよ。
    池波さんは事件に恵まれない、なんか現実的で悲しい探偵ですね……。
  • 86 ウォルター id:ez-/zmoeJ90

    2012-01-14(土) 21:36:20 [削除依頼]
     よく言えば、冬の寒い日を室内でのんびりとしていた私達の所に人が訪ねて来たのは、そんな池波さんの不謹慎発言の直後でした。
     事務所は喫茶店の上にありますので、入るには建物脇に設置されている階段を登らなければなりません。鉄製の階段を踏む音は中に良く響くので、その時も誰かが訪ねて来た事はすぐに分かりました。世界は彼の都合で廻っているのではないか、と疑ってしまいます。

    「いらっしゃいませ!!」
    「わっ!」

     私は勢い良く扉を開けて出迎えたのです。が、インターホンを鳴らそうとしていたその人は目を丸くしていました。
     長い黒髪とスーツがとてもキマっている女性です。年齢は二十代後半くらいでしょうか。スーツと黒縁眼鏡で出来る女オーラが漂っています。ほぅ、一瞬だけと見とれた私でしたが、肌を刺すような冷気に襲われ、慌てて女性を中に迎え入れました。
     振り返ると、それまで亡くなった祖父を彷彿させる仕草で緑茶を啜っていた池波さんは、椅子にもたれたまま窓の外を向いているではありませんか。早速、探偵的雰囲気を作り出している模様。それを見た私は興奮の余り鼻孔の膨らみを覚えます。

    「此処、探偵事務所……ですよね?」

     そうですよ。と頷きながら私は来客用スリッパを出します。
     女性は少々戸惑っているようでした。探偵事務所を普段から訪れる人はなかなかいないでしょうし、無理もありません。そして何より、探偵に用があるという事は、何かしらの問題を抱えている。という事なのですから。
  • 87 黒猫 id:m7H/hIk.

    2012-01-22(日) 16:03:11 [削除依頼]
    久しぶりに見に来たらかなり進んでるではないですか!

    今回はどんな事件なのか楽しみです。
    これからも頑張って下さいね!
  • 88 路石(元ウォルター) id:ez-Qh/gwe30

    2012-02-05(日) 14:53:02 [削除依頼]
    >87 わぁ……コメント下さっていたのにスミマセンorz 自分の屑さを噛み締めながら頑張りますので、気が向いたらまた来て下さい。 サボっていてスミマセン。 ちょっと忙しい週がありまして、そしたら糸が切れたように話が見えなくなりまして……以前言ったように私は脳内で話を構成しているのですが、今回はボロが出ました。情けない。スローペースなのを更にスローになりますが更新します。宜しくお願いします。
  • 89 あbc id:DxNjoEp.

    2012-02-05(日) 17:39:49 [削除依頼]
    heta
  • 90 路石 id:ez-Qh/gwe30

    2012-02-05(日) 18:20:56 [削除依頼]
    >89 私の英和辞書にはhetaという単語は載っていなかったので少し考えてみました。 ローマ字読みをして「へた→下手」と言う考察に至ったのですが、真逆、日本語が下手糞な人が私の作品を批判したという事でしょうかね。不思議な事もあるものです。 えー、私はそうは思いません。以上。
  • 91 ジャック id:2w6K5rb.

    2012-02-05(日) 18:24:49 [削除依頼]
    おっと、更新再開してくれるんですね 楽しみですね^^ 待ってますよ >>90 まあおそらく名前もアレですからかわいそうな方が来たようですね 真逆・・・過去レス読んでなかったら【まぎゃく】って読んでましたよ では失礼
  • 92 ``理文" id:akFv10d1

    2012-02-05(日) 19:27:38 [削除依頼]
    楽々の推理小説見っけ。
    とりまお気に入り登録して、また暇があるときに読みに来るとするか。
    では失敬。
  • 93 路石 id:ez-9u0L1rk/

    2012-02-06(月) 18:21:18 [削除依頼]
     マフラーを掛けたハンガーを猫ちゃん洋服掛けに引っかけますと、彼女はキョロキョロと部屋を眺めながらソファに座りました。私はテキパキと緑茶を淹れます。
     急須を持つ手が少し震えます。
     私がこの池波探偵事務所のアルバイターとして、日頃から通うようになって半年は経過しますが、その間に訪れた依頼人は、なんと十数人なのです。しかも、相談話で解決。または依頼人が勝手に満足してしまう。というパターンが殆どでしたので、今回も期待し過ぎるな、と自分に言い聞かせました。

    「それで、本日のご用件は……?」

     池波さんは相手がお茶を啜るのを待ってから切り出しました。机に肘を突いてその上で手を組み、普段よりトーンの低い声です。一体、彼の中でどんな理想像が浮かんでいるのか分かりませんが、依頼人の話を聞く前から、兎に角やる気満々なのは確かな様子。
  • 94 路石 id:ez-9u0L1rk/

    2012-02-06(月) 18:31:57 [削除依頼]
    >91 定期的に来る天災みたいなモノとして割り切るのが吉ですよね。 なんとか継続しようと思います。 コメント感謝。 >92 日常に起こる不思議。みたいな事件をテーマにしてるんで、推理小説として満足してもらえるかは分からないけど、気が向いたら読んでみて下さいな。 お互い頑張ろう。 二人とも有難う。 ではまた。
  • 95 wwwwwwww id:Lblirs7.

    2012-02-06(月) 18:43:34 [削除依頼]
    ハンネ変えたんですね〜 いや〜、久しぶりに見たんで興奮しちゃいましたよ! 更新頑張ってくださいね! >90いや、これは何かの暗号かもしれませぬぞ…。
  • 96 くま id:fFs4g5c/

    2012-02-15(水) 19:13:09 [削除依頼]
    頑張ってください。
  • 97 路石 id:ez-nKgxXbL1

    2012-02-24(金) 12:14:27 [削除依頼]
     普段から顔を合わせていない人間なら、およそ気付く筈もないレベルの、微妙な違和感に私は気付きました。どこが、というのではありません。池波さんの挙動全体から滲み出す、形容し難い違和感です。池波さんも緊張しているのだなぁ、と思うのですが、なんなのでしょう。何かを忘れているような。
     スーツ姿の彼女も、用件を切り出せないと言うよりは、何かを待っているような。
     あれ? 「彼女」? と、私はやっとこさ気付くのでした。主題に入る以前に、お互いに名乗っていないのです。何たることか。悪魔的な暇というのは社交性までを奪ってゆくみたいです。皆様もご注意あれ。

    「……の前に、取り敢えずまずはお名前を……」

     私が言って、池波さんはハッと気付いたようでした。恥ずかしさを紛らわす為か、わざとらしく咳払いを一つしました。それから、デスクの引き出しから名刺を探します。
     一段、二段、三段と探しても見つからず、焦りながら机上の本の塔に手をかけたばっかりに、それらはデスク周りに広がる活字の海と墜落しました。しかも名刺は見つからない。池波さんの焦りにも拍車が掛かります。言いたくないのだけれど、凄く、凄く、ベリベリ格好悪い。
     アルバイト暦半年。当然ながらというか、残念ながらというか、この様な場面は初めてではありません。活字の海で無様に溺れ掛ける池波さんを堪能してから、台所上の棚に保管しておいた彼の名刺を取り出しました。勿論、全部を保管していた訳ではありませんよ。こんな時の為の予備として、です。

    「あちら、本事務所の所長、池波 正次郎です」
    「はぁ……私、森 絵美と申します」

     アンタが名乗っていいのか、と私を一瞥してから森さんは名刺を受け取りました。
     デスクの向こう側から強い視線を感じましたので、私は台所へと待避します。もう一度、今度は大きく咳払いをしてから池波さんは切り出します。

    「で、ご用件は?」
  • 98 路石 id:ez-nKgxXbL1

    2012-02-24(金) 12:17:18 [削除依頼]
    再開と言いつつ再開せんですみません。 >95 変えましたよー。 路傍の石ころ的な、路石→じごく→地獄に墜ちろ的な意味です。 >96 有難う御座います。 なんか無視したみたいになってすみませんでした。
  • 99 路石 id:ez-2svecA31

    2012-02-26(日) 17:40:41 [削除依頼]
     促された彼女は、少しの間躊躇いました。
     珍しい事ではありません。探偵事務所を訪れる方々の殆どは、乱射もいいところなマシンガントークでまくし立てるか、「話をしに来たんじゃないのかい?」といった具合に俯くばかり、のどちらかに当てはまるのです。森さんは後者のようですが、それでもまだマシな方と言えたでしょう。
     緑茶を一口啜ってから、森さんは話し始めました。

    「今回は、その、夫の事なんですが……」
    「ほぅ、ご主人に関して……もしかして謎の失踪を遂げたとか?」
    「えぇ……えぇ!? 違います! 違います!」

     森さんは慌てて否定しました。私は彼女に出すつもりだったお茶請けの中から、チョコレートを池波さんの頭に投げつけます。

    「すみません、すみません。飢えてるものでね。謎に」
    「はぁ」
    「それで、ご主人に関するどのような依頼なんでしょう」
    「えぇ、今回は夫の身辺調査を、依頼したいんです」
    「身辺調査? ご主人のコートのポケットから拳銃でも?」
    「へ?」

     私はチョコレートを二つ投げつけました。

    「すみません、すみません。飢えてるものでね。事件に」
    「……夫の衣服から拳銃が見つかった訳では無いです」
    「ではナイフとか」
    「最近、なんだか様子がおかしくてですね」
    「つまり麻薬と」
    「帰ります」
    「わーっ、すみません、すみません。悪気は無いんです!!」

     尚更質が悪いわ。
     池波さんは慌てて立ち上がり、帰ろうとする森さんを手を引いて、なんとか呼び止めました。それから、お皿が直撃した後頭部をさすりながらデスクに戻ります。
     無礼なやり取りをする過程で緊張が溶けた森さんは、単刀直入に言いました。

    「今回は、夫の浮気調査を依頼しに来たんです!」
    「帰れぇえ!」
    「えぇーっ」

     速攻で言い放つ池波さん。ぷいと窓の方を向いてしまいました。私はというと、もう呆れて何も言う気になれませんでした。お菓子も投げ切っていました。
     何故か森さんが怒られる形になり、これが理不尽と言うものかと思っていると、愚の骨頂探偵は更に、こう言いやがったのです。

    「そんな、事件性の無い依頼なんざお断りじゃい!」
  • 100 黒猫 id:IvTMjNm/

    2012-04-24(火) 20:56:03 [削除依頼]
    すごいことになってますね。
    相変わらず面白いです。

    更新を楽しみに待ってます。
  • 101 よみ id:5cUeL89.

    2013-06-27(木) 16:13:31 [削除依頼]
    こんにちは。吹雪の山荘派のよみです。
    キャス小説としてはけっこうな分量があるにも関わらず、軽快な語り口のおかげで一気読みできました。面白かったです。
    主人公のみきちゃんがとても可愛いですね。さらりと出てくる言い回しにたびたび腹筋を持っていかれました。「海老チリハンター」「ダルマジック」「機能的枝豆型ショルダーバッグ」がツボです。彼女と岡本君との関係が気になってます……。
    また、ネタバレになってしまうのでぼかした言い方になりますが、一話目のトリックに納得しました。私には書けないタイプの作品で勉強になります。
    作家の名前をもじったキャラクターたちはみんな個性的ですね。男前美女の堀田さんとインテリ悪人顔の三島先輩が特に好きです(笑)
    第二話も楽しみにしてます。では、長文失礼しました!
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