-N- 僕の大切な人。11コメント

1 なんばら id:EZt0tW//

2011-08-23(火) 10:44:24 [削除依頼]

…Nは、ほっといたら死んでしまうんじゃないかというほど不安定だ。

だから。

僕が必要なんだ、きっと。
Nは力なく笑う。
君は僕が守ってみせる。
きっと。

ぎこちなく、笑ってみせた。
  • 2 なんばら id:EZt0tW//

    2011-08-23(火) 10:48:10 [削除依頼]

    男性目線です!

    精一杯、頑張りますので
    応援よろしくお願いします♪!

        なんばら
  • 3 なんばら id:EZt0tW//

    2011-08-23(火) 11:02:16 [削除依頼]
    僕が「N」に初めて逢ったのは、
    2ヶ月前、小雨が降る昼下がりだった。

    僕は友人のタクと出かけに行っていた。

    「ぎゃははは…でな〜」
    会話を交わしながら街中を進む中…

    ……ポツ。

    「ん?雨、降ってきてないか?」
    「雨降ってきたって最初に気付くヤツってバカなんだぜ〜〜!」

    タクの下らないうんちくにあいずちを
    うちながら、雨宿りできる所を探していた時、だった。


    喫茶店の店がある隣で、一人。
    女性が体育座りをして顔をうずめていた。

    地に落ちる雫がスローモーションになる。
    少ない人が行き交う中、誰も彼女に気付かない。


    僕は、吸い寄せられるように彼女の元へ
    歩み寄った。
  • 4 ミカン id:dbrvYFD0

    2011-08-23(火) 11:09:57 [削除依頼]
    お!!!
    どうなるの???
  • 5 なんばら id:EZt0tW//

    2011-08-23(火) 11:19:13 [削除依頼]

    「……君、大丈夫?」
    うずくまっている彼女はぴくりともせずにいた。
    「おぃ智紀!いきなりどこ行くん…
    ってワア!どしたのこのコ!?」
    「分からない…ずっとうずくまった
    ままなんだ…」
    タクも少し驚いている。

    ヴ--ッヴッ---ッ。
    携帯の振動音が聞こえる。
    この子の携帯か?と、思ったらタクの
    機械が小刻みに震えていた。
    電話のようだ。

    「もしもしお袋?何だよ急に………
    っえ!?マジかよ…!?すぐ行く!!」
    みるみるうちにタクの顔色が悪くなり、
    唇が青紫に変化していく。
    「おいどうした?」

    「オヤジが…ヤバいって…!
    俺、帰るわ!!」
    血相を変えてタクは走り去っていった。
    予想はついた。
    親父さん、助からないのだろう。

    友人の異常事態にも、僕は何故か冷静でいられた。
    普通は、心配するものなのだろうか…

    僕は、心が冷たいのだろうか?
    あの友人より、今ここにいる謎の女性の方が気になっている。

    そういうことだろう。


    すると彼女が、ゆっくり顔を上げた!

    「あっ!だ、大丈夫ですか?気分とか…
    悪いんですか?立てますか?」


    目をつむっている。

    「あの…」

    戸惑う僕。
    黙ったままの女性。


    彼女の、まつ毛が揺れた。
  • 6 なんばら id:EZt0tW//

    2011-08-23(火) 11:27:13 [削除依頼]

    目を開いた彼女に、僕の心が頼りなく
    きゅう、と鳴った。

    艶やかな赤い唇が、


    「エ    ヌ」
    と口パクしていた。
    「N??…Nさんですか?」
    ゆっくり、Nさんは頷く。

    声が出せないのか?
    そう思っていたら…

    「出せるわ」
    Nさんは言った。
    「心が読めるみたいなの」

    と言って、笑った。


    透明で、今にも壊れそうなガラスのような頼りない笑顔だった。

    僕は、その笑顔に魅了されてしまう。


    …これが、Nと初めて出逢った日。

    しとしと雨が降っていた。
  • 7 なんばら id:nkbF98s.

    2011-08-28(日) 14:24:14 [削除依頼]

    -現在-


    目が覚めた。
    ここはNの部屋だ。
    昨日、Nに招待されて、古めかしい
    この“ゆきら荘”に足を運んだ。


    ケータイを開くとメールが一件。
    タクからだった。
    “今日
    コンパ
    しない
    か!?可
    愛いコ
    揃ってる
    ぜ〜!”
    意味のない改行がさらに読みづらい。
    タクはれっきとしたチャラ男だ。
    断りのメールを二文字で返す。


    「こんぱって…?」
    「!?」
    後ろで、Nが言う。
    「おはよう智紀」
    「え…あぁ。おはよう」
    Nはレースがあしらわれた白い木綿の
    ワンピースを着ている。
    後ろから覗くようにケータイを見ている。

    さらっとした黒髪が、僕の肩にかかる。
    いい匂い…
    せっけんと、甘い香り。
    キンモクセイ…??

    「コンパっていうのは…そうだな。
    男と女が集まって会を開く!…かな」
    「楽しいの?」
    「ん?まぁ。話したりゲームしたり…
    結構にぎやかだね、楽しいよ」
    「なら何故、ムリと返したの?」
    「そりゃだって。君がいるから」
    「…私、じゃまなのかしら」
    「違う違う。君がいるからそういうのは
    別に行きたくもないし楽しくもないんだ。
    Nのおかげだよ。ありがとう」
    「どういたしまして」

    僕らはだいたいこんな感じ。
    満たされている。
  • 8 なんばら id:nkbF98s.

    2011-08-28(日) 14:53:27 [削除依頼]

    Nはきっと、何も知らない。
    例えば風俗的なこと、性のこと。
    ケータイもパソコンも、ない。
    Nの部屋には、生活上に必須なものしか置かれていない。いつもしんとしている。

    「朝ごはん」
    と言って彼女はテーブルに、イングリッシュマフィンと目玉焼きを皿にのせて、
    わかめスープも運んできてくれた。
    これはNの定番メニューだ。

    「ありがとう。いたたぎます」
    僕はいつもそう言って、
    Nが作る朝食を平らげる。
    「ごちそうさま」
    「お粗末さまでした」
    Nは決まって言う。そして皿を片付ける。

    南の空の温かい光が通り抜ける。
    皿を洗う音が聞こえる。

    Nは台所に立って洗い物をしている。
    エプロンを着ているN。
    後ろからだと心は読めない、と以前Nがぽつりと言っていた。目やおでこを見ると読めるらしい。

    僕はNを後ろから抱きしめる。
    「どうしたの?」
    彼女は驚くこともなく手を休めずに聞く。
    「……」
    僕は答えず、Nの首に顔をうずめ、
    あの匂いを思いきり吸う。

    落ち着く。
    Nの驚かないところ。
    口調が変わらないところ。
    世間の黒い部分を知らないところ。
    その全てを僕は病的に愛してしまう。


    「N…愛してる」
    僕は言う。
    彼女は何も言わない。
    これが僕の愛情表現。
    カチャカチャとガラス製のものがこすれる音だけが響く。
    僕はそれを耳を澄まして聞く。

    これがNの返事なのかもしれないから。
  • 9 なんばら id:nkbF98s.

    2011-08-28(日) 15:14:43 [削除依頼]

    時々、Nは様子がおかしくなる。
    こないだは、僕が大学に授業を受けに行っての昼頃。
    彼女の自宅から電話がかかってきた。

    「もしもしN?」
    友人のいる前でそう言ったら、
    さわがれた。
    “N”というのが気になったらしい。
    「ともき…」
    かすれた小さい声。
    助けを求めるような声。
    「すぐ行く」
    それだけ言って僕は走った。
    ただ、心配だった。

    「Nっ!!」
    息をきらしてドアを開けた。
    Nは、出会った時のように体育座りをしてちょこんとうずくまっていた。
    そっと歩み寄ると、顔を上げ、黒い瞳で、濡れた赤い唇で僕に何か訴えていた。

    そして、何も言わず抱きついた。
    彼女は震えていたし、僕も動揺していた。
    こんなこと、初めてだったからだ。

    でも。
    でもこれがNの、精一杯の
    “表現”なのかもしれない。


    「N、愛してる」
    僕は優しく、囁いた。
  • 10 なんばら id:ZBXPg0h/

    2011-08-28(日) 19:51:11 [削除依頼]

    一度だけ、Nに聞いたことがある。

    …Nの本名。

    もちろん「N」が実名でないのは
    分かっていたし、運転免許証や身元が
    確認できるものを持っていなかった。

    そう、一度だけ。
    「Nって、名前なんていうの?」

    そう聞いた。
    タブーのようにも思えたが、親密な仲になりつつあるので、聞きたいと思ったのだ。
    「…もうすぐ、恋人になるから?」
    彼女はじっと僕の目と眉と
    額あたりを凝視していた。
    しまった、と思った。
    「しまった。Nは心が読めるんだっけ」
    からかうようになぞるように、
    僕が考えたことを口に出す。
    口元を少し歪ませながら。
    これじゃあNの前でやらしいことは考えてはいけないな。
    「ふっ。おかしい……」

    Nの。
    彼女のすらりとした腕が肩に伸びる。
    どっくん。
    心臓がいつになく高鳴る。
    どっくん。
    どっくん。
    Nのキンモクセイの香りが強くなる。
    顔が、近い…

    「ひみつって、いいと思わない?」
    吹きかけるように耳元で囁くN。


    …つまり、名前はひみつ?
    「そういうこと」
    どうしてだろう?
    彼女なりに、何か気にしているのか?
    「今は。…今は、言えないだけ」
    指を絡ませてくる。
    僕も、それに応える。
    「待ってる」
    それだけ言った。
    Nがどんな表情をしたか分からない。
    たぶん、分からなくていい。


    いつか。
    いつか、分かる。


    ゆっくり。
    ゆっくり、近づく距離。
    彼女の吐息と、僕の呼吸が混ざり合う。


    短く、唇が触れ合う。
    僕の鼻や、耳や、彼女に触れている
    手、指。
    全てが、ひどく儚いものに見えた。
  • 11 なんばら id:ohCre4W0

    2011-09-03(土) 13:59:05 [削除依頼]



    -N-


    雨が静かに、しとしと降るこの頃。

    よく、あいつを思い出す。
    俺は、あいつをとても愛していた。
    もう何年も前なのに…

    またあいつに、会いたいと思う。

    あいつは俺のことを“シン”と呼んでいた。
    俺はあいつのことを“ナナ”と呼んでいた。

    俺はナナが好きだった。

    あいつは、人の心が読めると言う。
    実際、本当だった。
    俺も幾度となく心を読まれた。
    それだけで、ナナのことを“普通の人とは少し違う”と思っていた。


    俺とナナが出会ったのは、高校の時だ。
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