忠犬執事と御主人様。8コメント

1 @聖夜@ id:oFrMoMg1

2011-08-16(火) 10:51:08 [削除依頼]
    

     ●忠犬執事と御主人様1●
        <1>雪宮家の御主人様
  • 2 @聖夜@ id:oFrMoMg1

    2011-08-16(火) 11:03:25 [削除依頼]
    「だ―――もぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!」
    雪宮(ユキノミヤ)家の子息,雪宮冬樹(ユキノミヤ・トウキ)は屋敷中に響き渡るほどの叫び声を上げた。
    雪宮冬樹という人間とは。基本口数の少ない,その名の通り,冬のように雪の様に寒く,冷たい人間だ。
    彼の通ういわゆるセレブ学校の(本人はあまり自覚はしていないが)首席。それはともかくとして,クラスでも取っ付き難さで距離を置かれているような,どちらかというと独り静かな人間だ。
    しかしこれはどういうことなのか。
    「冬樹ぼっちゃん,如何なされましたか?!」
    彼の叫びを聞いて,屋敷中の使用人が,彼の部屋の前に集まる。
    冬樹は,その使用人たちの前に飛び出し,部屋の中を指差した。
    「なんなんだよっ!あの・・・・あのっ……」

    「あの,犬っコロはぁっっ!!!」

    彼の指し示した先には,一人の少年がいた。
  • 3 @聖夜@ id:oFrMoMg1

    2011-08-16(火) 11:14:51 [削除依頼]
    葬式で着る様な漆黒の燕尾服を身に纏った,同じ色の髪の少年。
    使用人たちは「それ」を見て,得心がいったという風に頷いた。
    「冬樹坊ちゃん,あの方は貴方様専用の執事…従者でございますよ」
    「はぁあ!? なんだよソレっ!僕はそんなもの要らないし,くれと頼んだ覚えなんかないぞっ?!」
    いまだに混乱しているのか,いつもの調子に戻れない冬樹に,使用人の一人が,冬樹のよき理解者であったはずのクロエという青年が,ドス黒い笑顔で宣告を言い渡した。
    「今日から,旦那様の命によって,貴方に配属されたんですよ。冬樹様?」
    「なっ……!? 父様は僕の世話をアレにさせるつもりかっ!?冗談だろぅ!?」
    「いいえ。本気のご様子でしたよ?」
    「・………ありえない………」
    彼にしてみてばあまりに唐突,あまりに突然,あまりに非情。
    必要のなかった「従者」が,「御付の」執事が,邪魔な存在が。
    15歳の誕生日のこの日,無情にも,「誕生日プレゼントです★」とでも言われそうなノリで,現れてきたのだった。
  • 4 @聖夜@ id:oFrMoMg1

    2011-08-16(火) 11:25:29 [削除依頼]
        ◆      ◇      ◆  
    「ありえない…ありえないだろぉ」
    ボソボソと,隣の幼馴染に呻く。
    幼馴染―柊羅夢(ヒイラギ・ラム)―は,そんな彼に同情するように,苦笑を向ける。
    「冬樹様っ!冬樹様っ!!アレはなんですか?!ヒラヒラヒラヒラとかなり鬱陶しいです!!捕まえて引き裂いて中身を抉り出して晒してぶっ壊して冬樹様に啓上しても宜しいものですかっ??!」
    尻尾が生えていたらブンブン振られていそうなテンションで,学校にまで付いてきた御馬鹿な執事―七海(ナナミ)というらしい(♂)―がはしゃぐ。
    「冬樹,今なんか物騒な台詞が飛んだような気がするんだけど」
    「気のせい。持ってくンな。気持ち悪い」
    羅夢に答え,中身…燐粉を撒き散らし,手足をもがれた哀れな蝶を輝かんばかりの笑顔で持ってきた七海をあしらい,冬樹は深い溜息をつく。
  • 5 @聖夜@ id:oFrMoMg1

    2011-08-16(火) 11:34:22 [削除依頼]
    「いいなぁ,羅夢の執事。いつもどっかいってて,さ」
    シュンと落ち込んだ様子で渋々蝶を水道で流している七海を横目に,冬樹は幼馴染を羨む。
    「僕もそういう奴の方が良かった」
    羨望の眼差しで見る冬樹に,羅夢は笑って応える。
    「そう? 結構寂しいもんだよ?」
    「自分から『好き勝手してていいよ〜』とかいってたくせに」
    「ソレはソレ。知ってるでしょ?俺の我侭さ加減」
    でも,羨ましい。冬樹はそう呟いて,自分の執事を見た。
    今度は,放し飼いにされている大型犬(シベリアンハスキー)と格闘の最中で,牙やら爪やらの傷でお互い血まみれだった。
  • 6 @聖夜@ id:oFrMoMg1

    2011-08-16(火) 11:44:15 [削除依頼]
    「なーなみくーん。その犬は学園長のお気に入りだから壊しちゃ駄目だよぉ」
    両手を口元に当てて七海に叫ぶ羅夢は,柊財閥の令嬢だ。
    少年用の衣服で常に身を纏い,レディの扱いを嫌う,少し変わったお嬢様。
    一人称でさえも,社交界など,公式の場以外では先ほどのように男のソレであり,それを自然と思わせるような雰囲気を持った冬樹の数少ない友人だ。
    「…晒す事も引き裂く事も抉り出す事も赦されないのですか…?」
    むっとしたように尋ね返す七海に,今度は冬樹が言う。
    「当たり前だっ! ……馬鹿が,犬のほうがよっぽど賢い」
    しかし,それとは反対に羅夢が無邪気に提案する。
    「別に引き裂いてもいいし,晒してもいいし,抉り出してもいいよ?御家柄の権力駆使して隠滅することだって出来るし。でも,その場合は俺らの眼に見えないところでやってきてね。返り血とか浴びないでね」
    隠滅すればいいという問題でもないのだが。
    冬樹は突っ込むのをやめておいた。
  • 7 @聖夜@ id:oFrMoMg1

    2011-08-16(火) 12:02:03 [削除依頼]
    「むぅ・……冬樹様の手を煩わせるわけには…」
    名残惜しげに犬を手放す七海は,しかしころっと顔を変えて再び冬樹に近寄ってきた。
    「冬樹様!冬樹様!!アレがしたいです!アレがしたいです!!」
    アレってなんだよ。つか何で二回もいったんだよ。
    そういう突っ込みは置いておくとして,冬樹は彼を無視した。
    「冬樹様!冬樹様!冬樹様っ!冬樹様!冬樹様!冬樹様!冬樹様!冬樹様っっ!!冬樹様!冬樹様!冬樹様!冬樹様ってばぁー!!!」
    「えぇぇいぃっ!しつっこいなぁっ!!なんだよクソ犬っ!話しかけてくんなっっ!鬱陶しい!」
    「アレがしたいです!!あのむやみやたらとボールを蹴って馬鹿みたいにはしゃいでいる愚の骨頂みたいなアレがしたいです!!」
    七海の差した先には,サッカーをして遊ぶ,やたらとキラキラ輝いている,冬樹の大っ嫌いな春園美月(ハルゾノ・ミツキ)という少年がいた。
    「アレはサッカーっていうんだよっ!愚の骨頂とか言うなっ!やってる奴は下衆ばっかだけど競技に罪はねぇんだよっ!?」
    この台詞は大きな声で言われ,美月にまで届いていたのは,おそらく言うまでもないことだろう。
  • 8 @聖夜@ id:Bj3aUQU.

    2011-08-22(月) 13:44:24 [削除依頼]
    「ふんっ,何か用なのかぃ?雪宮クン」
    ずかずかと美月はテラスに進入し,見下すように冬樹をみた。
    「何かって?」
    分かっているだろうに,冬樹は美月を挑発するように聞き返す。
    そんな冬樹の傍らで,七海を留め面倒臭そうに見守る羅夢はあえて何も言わなかった。
    「そうだね,…例えばそこの野良犬に何か叫んではいなかっただろうか」
    あくまで”何か”と表現するのは,羅夢からしてみればくだらない,男のプライドとか言うもののためだろう。
    「だから,何かって?特に大して人間に問題のあるような発言はしていないと思うけど?」
    しかし,それでもまだ聞き返し続ける冬樹。
    羅夢は(毎回やってんだからいい加減どっちか折れろよ)と思っていたりするのだが,少し暴れそうな七海を押さえつける事に無駄な集中力を注いだ。
    この喧嘩にもなっていないような喧嘩には関わるだけ時間の無駄になるとこっちは学習しているのだ。
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