メロドラマを哀悼する9コメント

1 フィッシュ id:i-dhv8hl//

2011-08-07(日) 08:47:05 [削除依頼]
 桜が咲く季節、僕は養護教諭としてこの桜川学校にやって来た。そして、彼女に出会った。
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 それは面倒くさい入学式の後だった。一日目から保健室に来るやつなんていないだろうと践んでいた僕は、まだ真新しいベッドで寝ていた。
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「失礼します」
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そこへいたのが彼女。びっくりしてベッドから落ちた僕に、彼女は職務怠慢だと笑った。
雪を思わせる白い肌に、真っ黒いきれいな髪。桃色の頬に桜色の唇。ただきれいな子だな、と思った。
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 彼女は病弱で、よく入退院を繰り返していたらしい。その日も貧血で保健室へ来た。春にしては暖かい、過ごしやすい日だった。
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「失礼します」
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六月上旬の寒い雨の日。彼女はまた保健室へ来た。彼女の保健室訪問率はぶっちぎりの一位。慣れてしまった僕は、ベッドで漫画を読みながら「いらっしゃい」となるべく優しく言った。彼女はまた、職務怠慢、と呟いた。
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「今日はどうしたんだい」
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少し震えていた彼女に温かいお茶でも出してあげようと立ち上がり、デスクに向かったとき。
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「先生…」
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背中に小さな衝撃。彼女が僕に抱き着いてきたのだと一瞬で理解した。これは今回が初めてではない。五月の十日、僕の誕生日から始まった行為で、彼女なりの愛情表現だった。この行為に対して僕は何の感情も抱かなかった。いつもそっと彼女の腕から抜け出し、何もなかった風を装う。
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 しかし、今日は違った。僕は彼女の方を向き、彼女を抱き締めた。
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これはほんの気まぐれだった。ただなんとなく。無理にでも理由をつけるなら、朝の占いの結果がよかったから。それぐらい下らない気の迷いだった。
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  • 2 フィッシュ id:i-dhv8hl//

    2011-08-07(日) 08:54:15 [削除依頼]
     先生と私は恋人同士なのだと思う。たった一度関係を持ったから。理由はそれだけ。
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    「おい、立花。」
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     授業中、先生の事を考えぼーとしていると、隣の席の田中に小声で名前を呼ばれた。田中は容姿が少し先生に似ているが、性格は大違い。私はこいつが大嫌いだ。
     私が何、と田中を睨むと、田中は はぁあとわざとらしく大きな溜め息を吐いた。
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    「あてられてるぞ」
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    「うそ!」
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    反射的に前を向くと、数学教師の田口が射殺すような視線で私を睨んでいた。し、しまった。
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    「さ、答えをどうぞ?」
    _
    聞いていなかったのに、わかるはずない。どうしていいかわからず俯いていると、田中がチッと舌打ちした。ムッとして目だけを動かし田中の方を見ると、シャープペンでノートをさしていた。シャープペンはぐるりと数式を囲むと机の隅に置かれた。仕方ない…。私は一か八か、その数式を読み上げた。
    _
    「…いいでしょう」
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    田口が不服そうにそう言い、黒板に向き直った。数学がさっぱりな私にとってまるで呪文のようなその数式は、どうやらあっていたようだ。一応お礼を言っておこうと小さなメモ帳にありがとうと書き、田中の机に置いた。しばらくしてそれは返ってきた。
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    別にお前助けたわけじゃない。授業早く続けてほしかったから。
    そして最後に、自惚れるな。と大きく書かれていた。
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    やっぱり嫌なやつ!
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  • 3 フィッシュ id:i-dhv8hl//

    2011-08-07(日) 09:01:39 [削除依頼]
     朝から気分が優れなかったその日、私は数学の授業が終わってすぐ保健室へ行った。先生は珍しくデスクで仕事をしていた。ベッドの方を見ると、一つだけカーテンが閉まっている。なるほど、誰か来ているからか。
    _
    「気分が悪いから、寝ていい?」
    _
    小声でそう言うと、先生も小声で「どうぞ。」と言った。
    私は一番端っこのベッドのカーテンを閉め、布団に潜り込んだ。
    このベッドはいつも先生が使っている。だから私もこのベッドを好んで使っている。布団からは先生が吸っているたばこのいい匂い。それに安心してだんだん眠たくなってきた。どこか遠くでチャイムが鳴ってる…、そう思いながら瞼を閉じた。その瞬間。
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    「エリナァ!」
    _
    荒々しくドアを開ける音と同時にそんな叫び声が聞こえた。私はびっくりして飛び起きる。何事かとカーテンを開けると、そこにいたのは隣のクラスの枯夏原くん。サラサラな黒髪を揺らしながら肩で大きく息をしている。ちらりとデスクの方を見ると、先生はもういなかった。
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    「蓮!」
    _
    そんな彼に抱き着いたのは、隣のベッドから出てきた枯夏原くんの彼女、水沢エリナ。二人は学校公認の美男美女カップルだ。
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    「エリナ! 大丈夫だったか?
    エリナが保健室に行ったとき、もう気が気じゃなかった。エリナが死んだらどうしようとか病気だったらどうしようとか…。」
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    「だから走ってきてくれたの?
    まぁ、蓮…。嬉しいわ! 蓮の走ってる所が見られなかったの残念だけど、本当に嬉しい。私は大丈夫よ。だって蓮が来てくれたんだもの。ほら、この通り。」
    _
    学校公認の、バカップル。二人とも学業面ではすごく頭がいい。エリナは学年二位で、枯夏原くんは学年トップ。しかし恋愛面ではどうにも、バカ…というかなんというか、毎日こんな様子なのだ。そしてバカはこの二人だけではない。
    _
    「エリナちゃあああん!」
    _
    「大丈夫? 水沢さん」
    _
    たった今保健室に飛び込んできた、中谷と岡村も。四人とも同じクラスで毎日こんな風に騒いでいる。私は遠くで見ていた。
    _
     私も、あの輪の中に入れないかな…。私は正直エリナが羨ましい。だって私が保健室に行っても誰も心配してはくれないけど、エリナは違う。授業終了と同時に駆けつけてくれる彼氏に友達がいる。品行方正で美人で、頭もよくてかっこいい彼氏がいて友達がいて…
    _
    「どうした、立花」
    _
    わーわーぎゃーぎゃーと騒いでいる四人をぼーと見つめていると、それに気付いた中谷が話しかけてきた。
    _
    「え、いや、その…」
    _
    中谷だけでなく、他の三人も私を見ている。さきほどまでの騒がしさは微塵もなくなっていた。どうしよう…。
    _
    「はっはーん、俺に見とれてたな?」
    _
    「…え?」
    _
    思わぬ言葉に間抜けな声が出た。いや、でも間違ってるわけでもない…のかな?
    _
    「そうかも…。ごめんね」
    _
    そう言うと、四人は驚いた顔をした。そしてぱちぱちとまばたきをした後、中谷以外の三人が一斉に笑い始めた。何か変なこと言ったかな、と顔に集まる熱を隠すように俯く。
    _
    「あっはは!
    立花さんって、意外と面白いね」
    _
    岡村が腹を抱えながら言った。意味がわからなくて首を傾げると、枯夏原くんが、あぁ、天然か。と笑いながら言った。
    _
    「なに笑ってんだよ!」
    _
    「うふふ…中谷君に見とれるてるんだって!」
    _
    エリナがおかしそうにそう言った後、
    _
    「それは無いわ」
    _
    と皆が同時に真顔でそう言った。今度は私が噴き出した。まるでコントを見ているみたい!
    _
    「お、やっと笑った。」
    _
    突然、枯夏原くんがそう言った。
    _
    「笑ってる方がかわいい!」
    _
    岡村がそんな変なこと言うもんだから、また顔に熱が集まった。
    _
    _
  • 4 フィッシュ id:i-dhv8hl//

    2011-08-07(日) 15:28:38 [削除依頼]
     どうやら私はあの四人と友達になれたようだ。「これからは昼休みの度にお見舞いに来てやるよ!」と中谷くんが言ってくれた。教室にいる時間よりも保健室にいる時間の方が長い私は、友達が少ない。だからすごく嬉しかった。
    _
    「先生!」
    _
    この感動を誰かに伝えたくて、保健室に帰ってきたばかりの先生に話しかけた。すると先生は困ったように笑った。
    _
    「あぁ、ごめんね。
    ちょっと用事で…」
    _
    「そうだったんですか…。
    それより! 聞いてください!」
    _
    私が珍しく元気だからか、先生が嬉しそうに笑い、私の頭を撫でた。
    _
    「どうしたんだい?」
    _
    「新しい友達ができました!」
    _
    「よかったね」
    _
    「はい!」
    _
    先生は目を細め笑った。私は、ふと思う。
    _
    もし、今抱き着いたら。またあの時のようにしてくれるだろうか。震える手を、伸ばした。もう一度、だけ。
    _
    「あぁ、そうだ。」
    _
    そう言って先生は踵を返した。
    _
    ただ伸ばした手だけが惨めに残った。
    _
    _
  • 5 フィッシュ id:i-dhv8hl//

    2011-08-07(日) 18:29:05 [削除依頼]
     人気のない放課後、私は一人廊下を走っていた。がらりと教室のドアを開け中に入る。そこで見慣れた背中を見つけた。男子にしては少し長い黒髪、弱々しい背中にグレーのベスト。何より座っている席。

    「田中…?」

    ソッと話し掛けると、田中の肩が大きく跳ねた。田中は目を真ん丸にしてゆっくりと振り向いた。あ、眼鏡かけてる。

    「立花か」

    私とわかった途端、田中は眉間にシワを寄せた。何をしているのかと気になって、田中に近付き机を覗き込んだ。置かれているのは小汚ない学級日誌。

    「今日、日直だったんだね。」

    「…あぁ。」
  • 6 フィッシュ id:i-dhv8hl//

    2011-08-07(日) 18:31:34 [削除依頼]
    面倒くさそうにそう言って、田中は日誌に向き直った。小さくてほんのちょっとだけ丸っこい田中のきれいな字がびっしりと書かれている。真面目だなあ。と感心しながら、私はしばらくそれを見ていた。

    「立花は、何しに来たんだ。」
  • 7 フィッシュ id:i-dhv8hl//

    2011-08-07(日) 18:33:04 [削除依頼]
    手は動かしたまま、田中がそう聞いてきた。
    .
    「あ、忘れてた。
    弁当箱取りに来たの。」
    .
    私は当初の目的を思いだし、自分の机の中から弁当箱を取り出した。この時期ただでさえ腐りやすくなってるのに、それを一日中放置するなんて自.殺行為だ。既に異臭を放ち始めているそれを、私はかばんに詰め込んだ。
  • 8 フィッシュ id:i-dhv8hl//

    2011-08-07(日) 18:34:49 [削除依頼]
    「じゃあ、私帰る。
    ばいばい」

    足早に教室を去ろうしたが、それは田中によって阻止された。田中が私のセーラー服の裾を掴み、何か言いたげにしている。驚いて何も言えないでいると、田中は怒ったような顔をした。

    「数学、得意か」

    「………え?」

    田中の突飛な言葉を理解するのに、少々時間がかかった。数学? まだ根に持ってるの?

    「得手か、不得手か」

    「えっと、苦手…」

    「ノートと教科書出せ」

    「え、あ、はい」

    田中に睨まれ、私は何も理解できないまま机の中から教科書とノートを出した。捨てられない…よね?

    「一番苦手なのはなんだ」

    「えっと、全部…だけど、特に苦手なのは関数と図形かな」

    「じゃあ、まずは三次関数だな。」

    そう言って数学?と書かれた教科書を開く田中。さすが私の教科書、きれいだ。

    「これ解いてみろ」

    田中が指差したのは例題。やはり何が何やらわからない。呪文にしか見えない。どうしてこんな問題を解けるようにならなくちゃいけないんだろう。将来日常的に三次関数を使うとは到底思えない。そもそも三次関数、いや、数学なんて必要ない。算数ができればなんとかなる。いや、なんとかしてみせる。絶対に。
    .
    「ハァ…解らないんだな」
    .
    黙りこくっていた私を見て悟ったらしく、田中が憐れみを含んだ声音で私に言ってきた。
    .
    「すみません…」
    .
    「二次関数はできるのか?」
    .
    「できない…」
    .
    「一次関数は」
    .
    「できない…」
    .
    「…比例反比例は?」
    .
    「…できない」
    .
    ハァアアと田中が長い溜め息を吐いた。眉間をおさえ、首を振る。
    .
    「絶望的だな…」
    .
    すみません…
  • 9 猫林 id:Gr4UYkQ1

    2011-08-11(木) 11:05:47 [削除依頼]

    どうもこんにちは。
    猫林が評価します。からやってきた猫林です。
    この度は依頼ありがとうございます。
    では早速評価の方へ移らせていただきます。

    まず最初に
    改行の際にあるあの「.」や「-」は何でしょうか?
    あるところも無いところもあるので理由が思い付かなかったのですが。

    それから
    ほら、この通り。」
    のような台詞の最後の句点は必要ありません。
    たまについていることがあるので、気をつけましょう。

    あと、最後に。
    情景描写が少ないですね。
    情景描写では、上手になればなるほど小説ならではの良さが引き立ちます
    その場の空気やそれが何時頃の話なのかなど
    綺麗な文章で表せるため、読者にも伝わりやすいですし
    本当の小説には欠かせないものです。

    心理描写はお上手のようですが
    まだまだ伸びます。


    序盤なのであまり大したことは書けませんでした。
    申し訳ありません。
    では、依頼ありがとうございました。
    またのご利用お待ちしております。
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