淡想深愛29コメント

1 希美 id:BLHaq8K.

2011-08-06(土) 09:08:07 [削除依頼]
ザァァァァァァーーーー
外は雨。今は数学の時間。

「えぇ、これはこの公式にあてはめると……」

「では、橋本さん。この問題の答えをどうぞ」

「橋本さん?橋本さん!!」

はっとその時目が覚めた。
やばい。あそこまで聞いてたのに、また寝てしまった。
ノートを見る。
………3行しか書いてない。

「あぁ、えっと……分りません」

「授業を聞いていれば簡単な問題ですよ。」

みんながほほ笑む。
なぜかこれがうちのクラスのお決まり。


いつもテストの点は20点台の私、橋本樹里亜。
小学生の時から勉強はできない。
中学2年生になった今も、どんどんみんなにおいてかれている。
でも、運動神経は抜群。体育はいつも5。
100メートルだって15秒台で、学年でも1位2位を競う速さ。
そんな私は、1人っ子。
小さい時は人見知りで、いつも1人で遊んでた。
でも、中学生になってたくさんの人と関わるようにした。
自分を変えたかった。
そして変わった。
私の天然な所を生かして、この二学年にも先輩や後輩にも友達が出来た。
明るく天然でバカな私は、母と2人で暮らしている。
父は単身赴任中。
そんな事もあって、家族はすれ違っていた。


キーんコーンカーンコーン

「やっと終わったー」
  • 10 ごん id:cisz3N51

    2011-08-17(水) 21:17:10 [削除依頼]
    雨でよかった。本当によかった。

    憂鬱な数学の後はお待ちかねの体育の時間。
    今の時期は、男子は校庭でソフトボール、女子は体育館でバレーなのだが、雨で男子も体育館の半分を借りてバレーをすることになった。
    狭い体育館だから、試合はなかなか回ってこない。体を思う存分動かせないのは残念だが、それでもお釣りが出るくらい嬉しいことがある。
    休憩の間、俺の視線は隣の女子のコートにくぎ付け。もちろん、試合を見ているわけじゃない。女子の試合なんて、ゆるすぎて見ててつまらない。

    俺の視線の先には、たった一人の女の子。
    もちろん、愛しの樹里亜だ。
    今は、ちょうど試合の最中らしい。
    樹里亜が跳ねた!
    どうやら、アタックを決めたらしい。入ったかどうかは知らないけど、決まったのだろう。
    俺は、樹里亜の小鹿のような生足にくぎ付けになっていた。
    ……一応、言わせていただくが、俺は変態じゃない。
    ただのお年頃な恋する男子だ(気持ち悪いので、次から”恋する”の部分を省くことにしようと誓った)。

    あぁー……しっかし、樹里亜は可愛いなぁ。

    そうやって樹里兄見惚れていたのに、俺と樹里亜の間に男が割り込んできた。邪魔だ、ボケ。
    俺は、少し睨みを利かせて顔を上げた。
    「邪魔」
    「ひどいな。呼びに来たのに」
    それは、悪かった。

    「だからって、まん前に立つこともないだろ」

    こいつも整っていて、いい顔しているがアップでは見たくない。
    そう言うと、俺よりも不機嫌な顔をされた。

    眉間にしわが寄っていてもいい男、片倉。

    「さっきから、呼んでるんだけど。お前気付かないじゃん」
    「ごめん。樹里亜に見惚れてた」
    「あっそ」

    樹里亜の名前を出したら、ますます眉間にしわが寄った。本人は気づいているかわからんけど。

    「次、お前らの出番」
    「わかった。……あぁー試合おつかれ。勝っただろ?」
    「うん。そっちもガンバ」

    俺は立ちあがり、今まで俺がいた場所に片倉が座る。
    コートに入る時、ちらっと前の試合の成績を見た。

    ”25−0”

    まさかのラブゲーム。どうせ、9割は片倉が入れたんだろう。あの完璧人間に叶うようなやつは、この学年にいない。
    ちらっと、片倉を振り返ったが、あいつは俺のことなんかもう見ていなかった。

    俺の座っていた場所で、俺が見ていたものと全く同じものを見ているんだろう。
    視線の先がよくわかる。

    俺は、肩をすくめて、軽くジャンプをした。

    むかつくけど、こればっかりはどうしようもない。あの完璧人間に叶うとは、思っていない。

    それでも、想いの強さは、負けない自信がある。

    俺は、雑念を振り払うように、頭を振ると、試合に頭を切り替えた。
  • 11 『夏にゃん』 id:9eKYuh1/

    2011-08-20(土) 23:44:15 [削除依頼]
    数学の次は体育。

    今はバレーをしている。
    雨の日は、男女共に体育館でやってます。

    そして試合は始まった。
    うちは今は試合に出ていない。
    後から出る事になっている。
    本当は樹里亜と一緒に出たかったけどね。

    「樹里亜ガンバ!」
    そんな風に応援をしている中……。
    ふと男子の方を見る。
    ……はい。やっぱり、熱い視線送ってますよ、蓮次郎くん。

    今日は男女の行動が見られる日でもあるからね。
    だから、予想はしてたんだけど……ね。
    ……ていうか樹里亜って、これ気づいてないよね……。

    まあ、レンは普通にいつも言ってるのに。
    見てる誰もが気づくっていうのに。
    当の本人は気づいてないって。
    どれだけ鈍感なんだろうね……。

    「野村さん?早くコートに入ってください」
    ボーっとしてたから、自分の番に気付いていなかった。
    「あ、ハイ!すみません」
    うちはノコノコとコートの中に入る。
    そして、試合開始。

    すると、急にうちの目の前にボールが……
    「わっ!」
    思いっきり、顔面に当たってしまった。
    「あれ……?」
    けど、全く痛くない。
    ただ、先生の投げたふわふわしたボールが当たっただけだった。
    ……何だ。うちがボーっとしてたからか……

    それから分かるように、うちは運動音痴です。
    それも極度の……。
    でも、うちはスポーツ好きだけどね。

    ま、これって下手の横好きってやつだよね。
  • 12 希美 id:Q03LN4o1

    2011-08-25(木) 21:52:53 [削除依頼]
    やっと、体育だぁ〜。今日もバレー頑張らなくっちゃっっ!!

    「樹里亜ガンバ!」

    真都羽の応援が聞こえた。手を振り応える。
    あなたも、ね……。


    「よっっ」

    ピーーーーッッ
    得点が追加された。

    「樹里亜ぁぁ〜〜、やったねっ!!」 

    「もちろんでしょ!まだまだ行くよ〜ん。」

    私は、ここでしか活躍出来ないからね。
    フゥーーー。次の一本も集中、集中。
    そういえば、男子の方はどうかな。
    あ、あれ……、瞬かな。やっぱりかっこいいなぁー。
    さすが瞬。何で瞬は何でもできるんだろう。
    ん?よく見ると、あれは……レンジだ。
    何やってんのアイツは。ずっとこっち見てるよ。気持ち悪。
    女の子を見て、勝手に興奮してんのかな。うん、きっとそうだね。

    「樹里亜っっ!!」

    え?あぁぁぁぁ!!危な……。落とすところだった。
    あのレンジの野郎は何考えてるか知らないけど、あのガン見のせいだぁ。
    あれ?さっき、レンジが居たところに瞬が居る!!
    得点板には、”25−0”。
    瞬が出てた試合だよね。すげぇー。
    −−−−−何か、瞬こっち見てない?目が合った気がする。
    もしかして、私の事……!?

    ピーーピーーピーーッッ
    試合が終わった。得点は”25−10”。まぁ、余裕だったかな。
    ちなみに、次は真都羽が出るんだったっけ。

    「わっ!]

    真都羽、またかよ。あの運動音痴はどうしたら治るんだよ。
  • 13 希美 id:cAc.sUe/

    2011-08-31(水) 16:17:34 [削除依頼]
    はぁーー。真都羽の運動神経の悪さにはビックリだわ。

    「樹里亜ぁ〜。次、審判だよ。」

    遠くの女の子が声をかけてきた。

    「うん。今行くっ!」

    女の子の所に、小走りで向かう。
    バーーンッッ!!
    その瞬間、頭に衝撃が走った。

    「いったぁ〜。」

    「大丈夫?保健室、行く?」

    周りにいた人達が駆け寄ってきた。

    「大丈夫、大丈夫っ!!これぐらい平気だよ。」

    本当は、かなり頭に響いていて、痛い。
    けど、そのくらいなんてことないよね、私っ!
    それより、誰だ?
    こんなピンポイントに、かなりの威力で投げてきたのは。
    でも、ボールを使っている授業なんだから、
    しょっちゅうある事だよな。
    私は、あまり気にせず、審判に集中した。
  • 14 夢羽 id:PM6Cz4o.

    2011-09-01(木) 15:32:17 [削除依頼]

    はぁ、本当体育なんかしてなんになるのかしら。
    大人になったって、運動しなきゃ意味がないでしょうが。
    あー、だるい。やっぱり見学しておいてよかった。
    バレーなんか危ないじゃない。
    ほら、今なんてボールが野村さんに顔面直撃中。
    あーあ、運動音痴なくせになんであんなに頑張るんだろう。
    わたしには理解できないなぁ。
    ああいうのを、下手の横好きっていうのよね、ふふ。
    ってそんなどうでもいいことはおいといて。
    瞬くんどこにいるんだろ。
    隣のコート、つまり男子のコートを見渡す。
    もう、みんな体操服着てるからわかんないじゃない。
    あ、いた! 焦げ茶色の髪が風を切って走ってる。
    ピーーーーッ。瞬くんのボールがコートを跳ねる。一点入ったのだ。
    瞬くんがみんなに、もみくちゃにされて嬉しそう。
    白い歯を覗かして、満面の笑顔。あぁ、癒されるなぁ。
    ホント好き……ってこんな恥ずかしいこと何言ってんのわたし!
    あぁぁ、恥ずかしい……
    頭をくしゃくしゃ掻く。栗色の茶髪がふわふわと揺れる。

    「樹里亜ぁぁ〜〜、やったねっ!!」

    あーもう、うるさい。ちょっと、瞬くん見えないじゃない。
    そこどいて! どけって! 誰よまったく……
    なっ、橋本樹里亜!
    わかっててやってるのこの仔。

    「もちろんでしょ!まだまだ行くよ〜ん」

    あ、わかっててはやってないのか。本当真剣ね。いつもいつも。
    尊敬してあげるわ、そこだけは。
    でも、瞬くんだけはあげないんだからっ!
    あ、瞬くん! こっち見てる。
    つり目で瞬くんを見つめる。でも、その視線は……

    「……ッ」

    面白くない、悔しい。
    瞬くんは、橋本さんを見てた。
    瞬くんの視線は離れない、じっと彼女を見つめている。
    そして、橋本さんたちの試合は終了。
    試合が終わったのを確認した瞬くんは、どこかへ行ってしまった。
    本当に、橋本さんを見てたの……?
    なんで、瞬くんってまさか、橋本さんのこと……
    そんなっ……
    ぐっと目をつむる。
    もうやだっ……

    「いったぁ〜」

    うわ、やっちゃった、近くにあるボール投げちゃった。

    「大丈夫? 保健室、行く?」

    周りにいた人達が駆け寄っている。
    ボール当てちゃった人、誰?

    「大丈夫、大丈夫っ!! これぐらい平気だよ」

    うげ、まさかの橋本さん!?
    あっちゃー、悪気はなかったんだけどなぁ、今更言ってもダメか。
    それに、悪気が100%なかったとも言えない。
    でも、結構思いっきり投げちゃったし、当たったのって頭でしょ?
    大丈夫なのかな。
  • 15 『夏にゃん』 id:j3onmHs/

    2011-09-03(土) 21:55:55 [削除依頼]
    クラスでは今、HRを行っている。
    だけど、ぼーっとしてたら結構早く終わった。

    うちは、帰る準備が全く出来ていなかったので
    今やっている。
    ……だけど、急いではいない。
    特に急ぐ用もなかったしね。

    そして、準備が終わった。
    「あー、やっと終わったー!よーし、帰ろっ!」
    そして、帰ろうとしたら
    珍しい二人が並んで歩いていたのを見た。

    須賀原さんとレンだった。

    ……何話してるんだろう?

    気になったうちは、その二人の隣を
    少しゆっくりめに通っていった。

    「――……」

    何を話しているかは分からなかった。
    何か、気になるなー……
  • 16 ごん id:Jmr.YBW1

    2011-09-05(月) 20:38:04 [削除依頼]
    「なぁに、レンくん、告白ならごめんなさいよ」

    ぶしつけにそんなことを言うのは、同じクラスの須賀原。HRのあとに俺が呼びだした。今の時間、どこもかしこも人がいて、落ち着いて話せそうなのは、体育館裏の用具庫の前くらいだった。
    まぁ、確かに告白のシチュエーションとしてはベタなところだが、絶対に違う。
    須賀原も本気で言っているわけではないだろうけど、ちょっとイラっときた。
    それでも、俺は平静を装って、しれっと返す。
    「俺は樹里亜一筋だし」
    「よくもまぁ、そんな恥ずかしげもなく言えるわね」
    さすがに呆れたような顔をされた。まぁ、いつものことだけど。皆、どうしてはっきり気持ちを伝えようとしないんだろうか。言葉がないと、伝わらないのに。

    まどろっこしいのは苦手だ。
    俺は、直球しか投げられない。
    だた、その直球に全く樹里亜が気づいてくれないのは、どうしたものか。

    「で、その橋本さんラブのレンくんが、何の御用?」
    須賀原が、さっさと終わらせたいとばかりに話を促す。
    俺も長引かせるつもりはないので、直球で行く。
    「樹里亜にボールが当たった件についての話」
    そういうと、須賀原は猫のようなつり目を瞬かせて、キョトンと首をかしげた。長くてくるくるした栗色の茶髪がゆらゆら揺れているのが、なんとなく気になった。
    「どういうことかな?」
    「当てたの、須賀原だよな」
    間をおかず、すぐに切り返す。ちょっと責めるような口調になってしまったかもしれない。
    案の定、顔も少しこわばっていた。それを、須賀原が指摘する。
    「そんな怖い顔しないでってば、なんでそんなに怒ってるの?」
    しらじらしく、そんなことを言う須賀原は、きっと俺が何が聞きたいのか分かっているんだと思う。
    「確認したいんだけど、アレわざと?」
    須賀原は、少しだけたじろぐように口を噤んだ。そして、何かを言おうとしたところで、先に俺が忠告する。

    「言っとくけど、まどろっこしいのは苦手だから。ヘタにごまかしたりしないでくれよな」

    須賀原は、少し目を見開いた。その目に、一瞬責められているように感じて、たじろきそうになる。
    ひょっとしたら、俺の思い過ごしだったのか?
    でも、後には引けない。それに、須賀原はやっぱりごまかしているように感じられた。
    俺は、もうひと押ししてみる。
    「本音で話せよな」

    すると、須賀原は、不敵に笑って見せた。しかし、猫のような目は俺を睨みつけている。

    「なんだ、レンくんにはバレたか。」

    そして、こう続けた。

    「だって、橋本さん、瞬くんに気に入られてるんだもの。
     ついやっちゃったのよ。
     悪い?」
  • 17 夢羽@ふぁんたじっく id:eFyO5cK/

    2011-09-06(火) 18:54:00 [削除依頼]

    わたしの後ろを、後輩の女の子たちが黄色い声をあげながら通り過ぎる。
    告白とでも思ったのでしょうね、場所が体育館裏の用具庫の前だもの。

    「本音で話せよな」

    ビリビリと言葉の端から端まで緊張が伝わる。
    圧力がかかった声を出すのは目の前に立つ、同じクラスの滝 蓮二郎。
    体育の時間に、わたしが橋本さんにボールを当てた所を見ていたらしい。
    レンくんは、橋本さんが大好きなの。
    いつも公衆の面前で告白してるけど、これは本当なんだってわたしは知ってる。
    本当に、橋本さんの事が好きなんだって。
    そうじゃなかったら、わざわざわたしを呼び出して、こんなこと聞かない。
    愛されて、愛されて、誰からも愛される。
    わたしの最愛の人からも、あなたは愛されるつもりなの――?
    なんで、あなたばっかり。
    友達からも愛されて、一人の男の子からは真剣に想われて、瞬くんからも愛されて……
    あなたは幸せすぎる。羨ましすぎるのよ、だから――
    わたしは、不敵に笑って見せた。気持ちいいくらい体が軽い。
    楽になった、吹っ切れたからだ。

    「なんだ、レンくんにはバレたか」

    嫌な女、わたしは自分の首を絞めるのが大好きみたいね。
    いつも悪役ばかり。でも、似合うんでしょう、そうでしょう。
    わかるもの、みんながわたしを指差してそっくり、と笑うのが。

    「だって、橋本さん、瞬くんに気に入られてるんだもの。ついやっちゃったのよ。悪い?」

    もう引けない。そして、はっきりわかったこと一つ。
    わたしは、橋本さんを恨んでる。羨ましすぎるのよ、あの人は。
    わたしにないものばかり持っていて、腹が立つのよ。
    ぎゅっと拳を握りしめる。

    「悪いってなぁ……だからって樹里亜にボールぶつけることはないだろっ、樹里亜に謝れっ」

    レンくんは叫んだ。
    橋本さんのために、愛する女の子のために。
    わたしにそんな人がいる? 
    わたしのためにこうやって怒ってくれる人がいる?
    いない、 いないのよ。
    それがあまりにも切なくて、悔しくて、苦しくて哀しくて、

    「……謝らない、わたしは悪くないっ」

    悲痛な叫びだっただろう。
    自分を守る言葉を吐いた後、わたしはその場から逃げだした。
    レンくんに、泣き顔を見せたくなかったから。
    わたしは強い子、一人で頑張れる、とっても強い子。
    わたしは弱い子、独りで泣いちゃう、とっても弱い子。
  • 18 希美 id:kKGgsZi0

    2011-09-15(木) 18:32:51 [削除依頼]
    ――そして、夜。

    入浴後、私は珍しく机に向かい教科書とノートを出した。
    今日、真都羽にも瞬にもバカにされたから
    あの2人を見返してやろう。
    ……と言いつつも何も分からない私。

    「あぁ〜もう分からないっっ」

    そうだ、瞬に聞こう。
    私は、ふと今日の瞬の言葉を思い出した。
      
     ?分かんなかったら、俺のとこ聞きに来い?

    いや、聞けないよ。
    聞いたら、私のプライドが......。
    でも、あの……あの瞬が勉強教えてやるよって。
    悩みながらも、私はもう寝る事にした。


    ――翌日。数学の時間。

    今日はちゃんと寝たから大丈夫。
    先生の話も聞いてるし、ノートも取った。
    けど......意味不明。

    「それでは、この問題について周りの人と
     相談してみてください。」

    よし、聞きに行こうっ!!

    「あのさぁ......。」

    「何?」

    瞬の声。
    心臓がぁぁ、破裂しそう。

    「あのさぁ、こ、ここが分かんないんだよね。」

    ふぅーー。なんとか言えた。

    「お前、あの時余計なお世話とか言ってたじゃねかよ。」

    「そうだけど。いいじゃん!
     この私が珍しく勉強しようって思ってるんだから。」

    「そうだな。お前が珍しく勉強しようと思ってくれた
     んだからなぁ〜。教えてやってもイイけど。」

    「そんな事言ってないで、早く教えてよ。」

    「はいはい。どこが分かんないの?」

    「分かんない所が分かんない......。」

    「相変わらずバカだな。」

    なんか、また仲が深まった気がする。
  • 19 ごん id:ynRfTN30

    2011-09-18(日) 20:51:11 [削除依頼]
    昨日須賀原は走り去ってしまった。正直、足がとろくてすぐにでも追いつけそうだったが、俺は追わなかった。いや、追えなかったと言うべきかもしれない。

    『……謝らない、私は悪くないっ』

    あの叫びに、圧倒された。なんだか、泣きたくなるような痛々しさを含んだ叫び。少しだけ、共感しかけた自分がいたことを、否定できない。
    それでも、樹里亜に危害を加えるのは許せない。
    俺は、須賀原への警戒を少し強めることにした。

    今朝、下駄箱で須賀原を見かけた。その視線の先には、樹里亜とその友人の真都葉っちがいて俺はぎょっとして少しだけ歩調を速めた。須賀原はもう上履きに履き替えていて、廊下をどんどんと進んでいく。そしてーー、
    何ごともなく、二人の横を素通りした。
    「…………はぁ」
    思わず、深く息を吐いた。心配し過ぎかもしれない。過保護か俺は。
    でも……

    「あ、おはようーレン!」
    真都葉っちが俺に気づいて、振り返りながら手を振った。そして、隣の樹里亜も振り返る。
    大好きな樹里亜が俺に小さく手を振った。

    「おはようレンジ」

    この子を守れるなら、過保護だろうがどうでもいいと思えた。
  • 20 ん id:ynRfTN30

    2011-09-18(日) 21:34:07 [削除依頼]
    しかし、だ。

    「あのさぁ、こ、ここが分かんないんだよね」
    樹里亜、どもっても可愛いな。って、そこじゃなくて。
    なんでそれを片倉に聞くんだ。
    いや、分かるけど。理由は分かるけど、自分じゃ言いたくない。そんな傷口が広がるようなことは言わない。
    報われないなぁ俺も。いや、今さらだけどな。報われないもの同士、ちょっとだけ須賀原に仲間意識。

    「お前、あの時余計なお世話とか言ってたじゃねかよ」
    おい、そこのイケメン。調子乗ってんじゃねぇよ。イライラするじゃないか。イライラ。

    「そうだけど。いいじゃん!
     この私が珍しく勉強しようって思ってるんだから」
    ツンデレ樹里亜ッ―!? 可愛いなぁもう。俺はデレデレ。……まぁ樹里亜の目線はばっちり片倉だけど。

    「そうだな。お前が珍しく勉強しようと思ってくれたんだからなぁ〜。教えてやってもイイけど」
    「そんな事言ってないで、早く教えてよ」
    「はいはい。どこが分かんないの?」
    「分かんない所が分かんない……」
    「相変わらずバカだな……」
    傍から見たら、初々しく微笑ましい会話。それを邪魔するのは野暮ってもんだ。

    「そんなひどいこと言うならー、俺が樹里亜に教えるけど?」

    ハイ、野暮で結構デス。……耐えられるかあんなもん。

    俺は片倉の机に頬杖をつくようにして座り、普通に割り込んでいった。
    完璧に二人の世界に入りかけていたお二人さんは、驚きの目をこちらに向ける。
    「レ、レンジ? ど、どっから出てきたの?」
    「愛しの樹里亜が困ってるんなら、どこからでも現れるよ」
    「相変わらず変態だね。そんな”冗談”ばっかりだと、女の子が逃げちゃうよ?」
    ハイ、通じマセン。直球をことごとくスル―する樹里亜。
    てか、片倉、ちょっと安心したような顔するなよ。むかつく。

    「んで、どこが――「レン!!ちょっとこっち来て」
    どこからか現れた真都羽っちに攫われる。
    樹里亜たちは少しぽかんとしていたが、それからまたさっきのように二人の世界に入っていく。
    あぁ、チクショウ。
    「ちょ、ちょ何?」
    俺は、片倉の席から少し離れた真都羽っちの席まで連れてこられた。
    「ん〜?ただわかんないところ聞こうとしただけやよー?」
    嘘つけ。結構頭いいくせに。
    真都羽っちの顔は少ししてやったりという風に笑っていた。

    コンニャロウ。確信犯め。
  • 21 『夏にゃん』 id:.9BUFYd0

    2011-09-22(木) 19:51:26 [削除依頼]
    レン達、何話してたんだろう?
    うちは、以前のレン達の会話がすっごく気になっていた。
    何かあったのかなー……

    「あのさぁ、こ、ここが分かんないんだよね。」
    樹里亜の声が聞こえてきた。
    そのお相手は、っと……
    お?瞬君ではありませんか!!

    わぁ!ここは見守っておこうではないですか!!
    初々しいねー二人とも!!

    そんな二人を微笑ましく見守っていた時。

    「そんなひどいこと言うならー、俺が樹里亜に教えるけど?」

    これは、レンですね。レン君です。

    ……ってちょ、ちょっ!!!
    レン駄目やろ!!!
    二人の邪魔したらアカンで!!!

    ……うん。対処しないとな。
    絶対止めないと続いてくわ、これは。

    そしてうちは適当に机の中のプリントやら
    テキストやらをバサバサと出す。

    「んで、どこが――「レン!!ちょっとこっち来て」」

    そしてレンをうちの机にムリヤリ連れてゆく。
    ……よし。完了。

    「ちょ、ちょ何?」
    あ、出したプリント、全部丸付いてた……。
    きっとレンは気づいてるね。失敗失敗。

    でも、いっか。
    二人の邪魔者・レンは除いてるもんね!

    「ん〜?ただわかんないところを聞こうとしただけやよー?」

    うちは、にやっと笑って言った。
  • 22 希美 id:IIqd2Ex.

    2011-09-28(水) 20:17:09 [削除依頼]
    「そんなひどいこと言うならー、俺が樹里亜に教えるけど?」

    レンジ!?何で入ってくるんだよぉ〜。

    「レ、レンジ? ど、どっから出てきたの?」

    「愛しの樹里亜が困ってるんなら、どこからでも現れるよ」

    変態野郎めっ。
    せっかく勇気を振り絞って、瞬といい所だったのにー。

    「相変わらず変態だね。そんな”冗談”ばっかりだと、女の子が逃げちゃうよ?」

    とか言っているうちに、レンジは真都羽に連れてかれていた。
    おっ!?これはチャンスじゃん!!
    真都羽、ナイス。

    「でさぁ、えっとぉ〜、あぁ!!ここっ。
     これはぁ、どうやって解けばいいの?」

    私はすぐに本題へ戻した。

    「お前、こんなのも分かんなかったのか。
     よくその頭で授業受けてたな。」

    「へ・・・?」

    「この問題分かんないで、テストとかどうしてたの?」

    「勘?」

    「勘で20点も採れるなんてある意味天才だな。」

    ……褒められたのか?
    ついに私も天才への仲間入りを果たしたんだっ!!

    「褒めてねーよ?」

    え……。今、私喋りました?

    「褒められてるか、褒められてないかの区別は出来ますぅ。
     それに褒められたなんて、これっぽっちも思ってないしっ!」

    チョットきつく言い過ぎたかな......。

    「バカの考えてる事なんて、すぐ分かるっちゅーの。」

    はい、負けました。
    きつく言い過ぎたとか思った私がバカだった。
    てか、いつでもバカか・・・私は。

    「おいっ。早くやるぞ。」

    っと言って問題を真剣に読む瞬。
    私は好きです、あなたの事......。

    「おーぃ。聞いてる?」

    あっ、つい見惚れてしまった。

    「あぁ、ごめんごめん。で?」

    「で、この公式に当てはめてやってごらん。」

    「えぇっーと……こう?」

    「ちげーよ、バカ。これはこうだろ。」

    バカって。いります?それ。
    でも、こうやって声が聞けるだけで幸せだな。

    「バカはいらないでしょっ。それで……こういう事ね。」

    「そう。分かった?」

    「うん、多分。……ぁ、ありがとね。」

    「おう。」

    聞いて正解だったよね?
    問題も理解出来て、瞬とも話せて一石二鳥じゃん!!
    そうだっ、また聞きに行こう。
    そうすれば少しでも近づける。
    ある意味バカで良かった、私。
  • 23 希美 id:iDjy9GC.

    2011-10-08(土) 18:03:58 [削除依頼]
    自分の席に戻って、先生の話に耳を傾ける。

    「えぇ〜、今の問題分かりました?
     では、次に・・・」

    よしっ。ノート取ろう。
    あ、あれ?消しゴム、消しゴム......。
    教科書やノートの下を探してもない。
    落としたっけなぁー。

    「消しゴム、何処ぉ〜。」

    って出てくる訳ないよな。

    「橋本さん、どうしました?」

    「いえ、何でもありません。」

    笑ってる人が、ちらほら・・・。
    てか、いくら探しても出てこないんだよな〜。
    まぁ、いっか〜。新しい消しゴム買おう。
    ンプッ。アハッ。
    後ろから聞こえてきた小さい笑い声。

    「何が面白いの?」

    小さい声で後ろのヤツに聞いてみた。

    「あ、頭。白いよ。」

    「へ?」

    頭を触ってみると消しカスらしきものが落ちてきた。

    「何で・・・」

    気付かなかった私も問題だけど。

    「誰だろう?」

    「分かんねーけど、あっちの方じゃん?」

    ‘あっちの方’を見渡してみるけど
    そんな事しそうな人はいない。
    誰がどうして......。
  • 24 夢羽* id:qEFmmsP1

    2011-11-03(木) 13:48:11 [削除依頼]

    どうしよ、これ……
    手持無沙汰の消しゴムを見つめる。きれいに使われた白い消しゴム。これは、橋本さんのもの。なんか、なんでかはわかんないんだけど、取ってしまった……
    こんなもの取ってどうするのとわたしは自問自答する。答えは……捨てればという結果に。
    確かにわたしは自分で消しゴムを持っているし、わたしがそれを使っているのをレンくんや橋本さん本人に見つかったら……もしものことを考えてわたしはそれを机の上で転がした。
    ふと橋本さんを見てみると、あぁ、消しゴム探してる。ないのになぁ、ここにあるのに。消しゴム投げちゃおうかな。
    そう思ってわたしは消しカスを誰にもわからないように橋本さんに投げた。ぽとりと彼女の頭の上に落ちる消しカス。
    橋本さんの後ろの席の男子がどこからともなく飛んできた消しカスに対して疑問を感じず笑い転げている。いい気味……

    まぁ、一番わたしは悪者よね、しょうがないわ。もう引き戻れないもの。
    わたしは瞬くんが好きなの、大好きなの。瞬くんだけは、諦められない――
  • 25 ごん id:hqjKOU3.

    2011-11-18(金) 22:32:37 [削除依頼]

    少しだけざわざわと私語が聞こえるが、いたって静かな教室。
    目の前の教壇には初老の担任が座っている。
    週に一度のLHRの時間、担任がのんびりと話しだす。
    「えー……と、うん。なんだったかな」
    忘れたんかい! いや、忘れたんですか!
    俺は心の中で盛大に突っ込んだ。
    「あ、そうだそうだ。うん。あれだね。あれ」
    あれって何?
    この前島先生、飽きなくて割と好き。

    それから約10分くらいかけて話された内容をまとめると
    『来月、バスケのクラスマッチあるから、チームとか決めちゃって。
     んじゃ、ルーム長あとよろしく』
    ということだった。

    ルーム長は男女合わせて二人。男の方は、俺の親友の松村健吾。
    「んじゃー。男子女子別れて適当にそれぞれで集まってー。
     んで、チームとか決めてね。あ、一チーム5人以上だからね」
    そう言うと健吾はさっさと教壇から下りた。適当すぎるだろ。まあ、クラスマッチのチーム決めなんてだいたいこんなもんだけど。
    俺は立ち上がると、男子がちょろちょろと集まりだしているとことによっていった。
    しかし、まぁこの年代と言うのは、寄ってたかると無駄話に花が咲いてしまうと言うわけで。なかなかチーム自体が決まらない。というか、誰も言いださない。
    仕方なく健吾が口を開く。
    「”ぐっとっぱ”でいいか? もう」
    「うちのクラスの男子15人だから、3チームだろ?」
    「あ、そっか。んじゃ”ぐっぱっちょ”で」
    「いいのかそんなんで」
    「いんだろ別に」
    いいんだ!?
    健吾が投げやりに「せーの」と音頭をとった。


    「『「ぐっぱっちょっ」』」


    俺と片倉は、お互いの右手のチョキをみながら顔を合わせた。

    「よろしくなー片倉」
    「ん。よろしくな」

    俺たちは、同じAチームになった。
    こりゃもう余裕だな、と俺は確信した。
    なんてったて完璧人間片倉だ。向かうところ敵ナッシング。
    そこまで考えてふと不安を覚えた。

    どうしよう。片倉と一緒じゃ、樹里亜にいいとこみせらんねーよ。
  • 26 希美 id:teiV86I1

    2011-12-08(木) 17:13:51 [削除依頼]
    「『「ぐっぱっちょっ」』」

    男子はやっぱみんな仲イイからそれで決めるんだ〜。
    なーんて思ってたら

    「樹里亜ぁ〜、一緒にやろう。」

    真都羽と、いつも3人で行動している
    美紀・佳奈・真樹がやってきた。

    「うん!ちょうど5人だからこれでいいね。」

    美紀はとても足が速いし、佳奈はバスケ部で戦力になる。
    真樹はバレー部のキャプテンで
    背が高いし、みんなをまとめてくれそう。
    真都羽は......まぁ盛り上げ役って事で。
    他の女子たちもなんとなくいつものメンツでまとまり
    グループが決定した。そんな中、超まじめちゃんの
    女子のルーム長 増田明美が私達のところへやってきた。

    「ここの5人はDチームです......」

    「『はい......』」

    そう言って自分の席へ戻り
    本を読む。いつもの光景だな。
    そういえば、久しぶりに明美と喋ったけど
    明美の喋り方ってドヨーンとしてるから
    こっちもつられてドヨーンってなっちゃうんだよね。
    変な空気が流れた。
    間もなく全員グループが決まったようだ。
    あっ、瞬!瞬は何グループだろう?
    近くにいる健吾に聞いてみよう。

    「健吾ー。瞬って何グループ?」

    「ぇーっと...レンと一緒だったからーAチームかな。」

    「そっか。ありがと。」

    Aチーム、Aチーム・・・。
    覚えとかなきゃな。
  • 27 夢羽 id:Qfc2jjx0

    2011-12-15(木) 20:21:51 [削除依頼]

    正直、最悪である。なんでよりにもよってバスケなのよ。球技は嫌いなのよ。体育全般嫌いだけど。なんでなのよ。やりたい人にだけやらせておけばいいじゃない。まったく、なんでわたしが出なくちゃいけないのよ……
    来月、バスケのクラスマッチがあると聞いて、わたしは先ほどから機嫌が悪い。ああもう、練習とかあるみたいだし、放課後とか? 昼休みとか? 練習試合もしてもいいとか。そんなのいらないわよ。全部仮病で休んでもいいけど。成績とか内申とかに響くし、なにより瞬くんに低評価に見られるのは嫌だし。かといって鈍臭いところを見られるのも嫌だし。
    そうやって内心、ぐるぐると参加する、しないについて考えている間に、チームは決まってしまっていた。
    わたしはCチームらしい。それなりに運動が好きそうな女の子たちと同じだ。そんなことより瞬くんは……
    片倉瞬の文字を黒板の上で探していると、目についたのは滝蓮二郎。彼は……Aチームか。近づかないようにしないと。ってその下に名前があるのは瞬くんじゃない!
    二人とも同じチームなのね。なんてこと……っ。
    瞬くんにバスケを教えてもらうというわたしの目論みは即刻却下された。
    嘘でしょうっ。わたしが頭を抱えてぷるぷる震えていると、頭上から声がした。

    「あ、ごめん。そこ通して」
    「……あ、ごめんなさ……しゅ、瞬くんっ」
    「ん、なに須賀原」

    顔をあげて見えたのははにかんだ瞬くんの姿だった。久しぶりに間近で見る瞬くんに、わたしは顔が真っ赤になってテンパってしまって。呂律が回らない。あぁ、情けない。

    「あ、……えっと、その」
    「須賀原、結構病弱だろ、気をつけろよ。そんでクラスマッチ頑張ろうな」

    にかっと笑う瞬くんの笑顔にわたしは見とれて、彼がいなくなったあとから、小さくこくんと頷いたのだった。
  • 28 希美 id:12Z/O/c1

    2012-01-18(水) 22:09:23 [削除依頼]
    「とりあえず、男子はAチーム対Bチーム、
     女子はCチーム対Dチーム。
     この試合が終わったらまた指示出すから。
     2分後に試合始めるぞー。解散!」

    健吾の声が響く体育館。
    みんな練習試合にも気合いが入っているんだか
    知らないけど放課後にやる割には、
    ほぼ全員そろってる。
     
     『まぁいっチョ頑張るかっ。』 
     『このメンバーで戦ったら無敵っしょ〜。』

    あちらこちらで、その気合いが聞こえる。
    なんだかんだ思ってるうちに
    試合開始の合図。
    ピーーーーッッ

     「美紀・佳奈・真樹・真都羽、頑張ろうねっ。」
     『おー!!!』

    さてと......相手は誰だったっかな。
    あっ、あっちにもバスケ部いんじゃん。
    あとは卓球部、美術部......
    あとてとちゃんか。これはーまずいかも。
    ギリギリ勝てるか勝てないかの相手だな。
    あんまり運動神経の関係ない部活に所属してるのに
    意外と動ける人々の集団・・・と言えばいいか。

     「真都羽っ。パス!」

    ボトッ。
    ・・・・・・。

     「ご、ごめん!っ次いこっ!」

    明るいのはイイけど・・・まいっか。
    あっ、てとちゃんがボール持ってる。
    チャンス!

     「ナイス!樹里亜〜。美紀にパスして。」
     「OK!美紀!」

    ピーーーーッッ
    やっと決まったー。ここまで長かったな。
    意外と点取られてるしな。
    あともうひと踏ん張り!


    ピーピーピーーーーッッ
    はぁ、はぁ、みんなの荒い息遣いが聞こえる。

     「結果は引き分けー。」

    はぁ、負けなくてよかったけどっ、
    はぁ、引き分けかっ。
    CチームもDチームも同じ感じだなぁ。
    足を引っ張る人がそれぞれ1名......。
    そのお2人さんはいまだに
    はぁはぁしてますけど大丈夫かなぁ、はははっ。
  • 29 ごん id:I6oNIPK1

    2012-02-11(土) 13:11:39 [削除依頼]

    授業終了のチャイムが鳴る。それと同時に、試合終了のホイッスルが体育館中で鳴り響いた。
    俺は膝を押さえ、荒い息を整える。
    ヒーローは涼しい顔をしてコートの真ん中に立っている。すぐその周りに人がクラスのやつらが集まって、口々にあいつを褒めそやす。遠巻きにそれを見つめる俺に一人だけ近づいてきた奴がいた。健吾だ。
    「お疲れ」
    「んー? いや、全然疲れてねぇ」
    「まあ、そうだろうな」
    悪気なく健吾は頷いた。そして、すげえな、と呟いて片倉を指差した。
    「あれがいたら、俺らなんかいらないだろ」
    俺は黙って頷く。

    初めての練習試合。その結果は、やる前から決まっていたようなものだった。

    Aチーム2勝
    Bチーム1勝
    Cチーム0勝

    試合には勝った。でも俺は素直に喜べない。

    試合中、片倉がシュートを決める度に思った。
    ――最悪だ。こりゃねぇよ。
    俺だってそれなりに頑張ったつもりだけど、いいところは全部、――本当に全部! あの完璧人間に取られてしまった。

    こんなんじゃ。マジでいいとこみせらんねぇーよ、樹里亜に。

    俺は膝小僧抱えてその場にしゃがみこんだ。来月のクラスマッチがとてつもなく憂鬱になってきた。
    ため息を漏らすと、だいじょうぶか? と健吾がしゃがみこんできた。
    「えい」
    なんとなくその顔面に軽くパンチする。
    「何すんだよ」
    「八つ当たり」
    「そうか」
    健吾の容赦ない拳が俺のわりと形の良い鼻を潰した。痛てーよ。自業自得だけど。


    「何してんだよ」
    いつの間にか片倉が傍に立っていた。しゃがみこんだままお互いの頬を掴みあう俺たちを呆れたように見下ろしている。健吾と俺は顔を見合わせると、同時に立ち上がり、両側から片倉の頬を引っ張った。
    「あにすんふぁよ」
    おおすごい。頬が伸びても、イケメンは変わらずイケメンなんだ。
    「羨ましそうに見てたから」
    「みふぇねーよ」
    「うん、知ってる」
    いいふぁげんふぁなせ、と無理やり俺と健吾はむりやり引き剥がされた。つれない奴。
    健吾が片倉の肩に手をかけ、さすがヒーロー、と冗談めいた口調で片倉を労った。片倉はふいと顔をそらして、
    「別に。クラスマッチで勝てなきゃ意味ないし」
    とクールに言い放った。なんか、むかつくけどカッコいい。
    いや、カッコいいからむかつくのか。

    「クラスマッチ頑張ろうな」

    誰が言ったのか。俺かもしれないし、あのむかつくイケメンかもしれない。もしかしたら、健吾かも。

    ――憂鬱なのは変わらないけど。

    やるからには、優勝ねらうしかないだろ。
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