祭祀24コメント

1 由梨 id:iEl.ZDF0

2011-08-05(金) 13:42:21 [削除依頼]
「犠が逃げ出したぞッ」

「直ぐに捜索隊を出せ」

私は白いブカブカの着物を引き摺りつつ、7年間住んで来た町を走る。
走って、走って、走って、

「……」

辿り着いたのは、期待していた“楽園”ではなかった――
  • 5 由梨 id:iEl.ZDF0

    2011-08-05(金) 14:08:34 [削除依頼]
    そして、祭典の日。
    私は大きな事を犯した。
    大人達は想定外の事態が起きて慌て、
    私は上手く行って微笑んで、
    逃げる事が出来た。
    走っている時、助言してくれた彼の横を通り過ぎた。
    彼は何処か困った様な顔をしていて、俯いていた。
    自分が余計な事を言ってしまったせいだとか、ごちゃごちゃと罪悪感に苛まれているのだろうか。
    まあ、如何だって良い。
    成功したんだから。
    そうして、私は町から出た。
  • 6 由梨 id:iEl.ZDF0

    2011-08-05(金) 14:10:46 [削除依頼]
    第1章 還って来た少女
    1 家出計画

    ジリリリリリリッ

    目覚まし時計が鳴り響く。
    現在の時刻は12時ジャスト。
    完全に遅刻だが、俺は平然としていられる。
    何故なら、今は夏休み中だからだ。
  • 7 由梨 id:iEl.ZDF0

    2011-08-05(金) 14:16:06 [削除依頼]
    って言っても、この町――神寿町は山奥で、そこそこの田舎……嫌、完全なる田舎で、都会っぽい要素が何もない。
    デパートとか、ファッションモールとか、テレビ局とか、全部ない。
    強いてある都会っぽいモノはコンビニ……以上。
    だからこそ、この町の子供は夏休みが来ても、あまり喜ばない。
    ずっと、夏休みの宿題をし続けるか、テレビを見てくつろぐか、もう普段の土日と変わらない。
    変わり栄えのない長い長い休日。
    暇を持て余した俺はある事を考えた。

    家出しようと。
  • 8 はな id:k6.N.vd0

    2011-08-05(金) 14:21:36 [削除依頼]
    面白いですね。
    続きが気になります。頑張って下さい。
  • 9 由梨 id:E05j9Ss1

    2011-08-05(金) 15:00:56 [削除依頼]
    はなさん
    コメントありがとうございます。
    頑張ります^^
  • 10 由梨 id:W31N5Xt/

    2011-08-05(金) 15:30:41 [削除依頼]
    幸い、両親は仕事でずっと家にいない。
    帰って来るのは年末ぐらいで、生活費は毎月俺の通帳に振り込まれる。
    俺は小学校の頃から鍵っ子で、近所や学校からも若干浮いていた。
    都会では、絶対両親が共働きだからと言って、浮いたりしない。
    尚更、俺は都会に憧れていた。
    どっちにしろ、両親の共働きのおかげで、家出し易くなったんだが。
    でも、流石に中学校は高校進学とかの進路相談で3者面談とかあったから、その時はこの家から15分離れた所に住んでいる祖父が両親の代わりに来ていた。
    祖父は結構この町での有権者らしく、俺の担任の先生も若干緊張していた。
    ま、今となれば、如何でも良いのだが。
  • 11 由梨 id:W31N5Xt/

    2011-08-05(金) 15:35:19 [削除依頼]
    そして、8時頃。
    俺は荷物を詰めた大きなエナメルを持って、家を出る。
    律儀に戸締りをして、鍵は迷ったが、渋々ポケットの中に突っ込む。
    もう必要のない物だが、流石に家の鍵を捨てるのも、誰かに拾われたら大変だし、仕方ない。
    まあ、何にせよ、俺はバス停へと向かっていた。
    此処までは計画通りだったが、想定外の事が起きてしまった。

    「お、櫻野じゃねーか。久し振りだな。終業式以来だっけ?」

    ダチの久木祐司に会ってしまった。
    俺は鞄を強く握り締める。
  • 12 由梨 id:W31N5Xt/

    2011-08-05(金) 15:40:08 [削除依頼]
    如何言い訳するか。
    俺は俯き、考える。
    コイツの口が堅い奴だったら話していたが、生憎それが出来ない。

    「お、おお、久し振りだな」

    棒読み……
    自分の演技力を恨む。

    「で、こんな時間に何してんだ?」

    結構、核心な部分に触れて来やがった。
    本人は普通に話しかけてんだろうけど、俺にとっては悪意を持っているとしか見えなかった。

    「お前こそ、何してんだよ?もう8時だぞ?」

    質問を質問する。
    変な奴だと思われてるだろうな。

    「俺はコンビニ行こうと思って。妹がアイス買って来いって煩くてさ」

    「そうか。じゃ、早く買って来いよ。じゃあな」

    「ああ」

    凄い我ながら自然だった気がする。
    俺は久木と別れた。
    一時は自分の演技力を恨んだが、今は感謝する。
    それ以前にコイツがバ.カだったのかも知れないが。
  • 13 由梨 id:W31N5Xt/

    2011-08-05(金) 15:43:33 [削除依頼]
    バス停に行くと、誰もいなかった。
    神は信じない派だが、こう言う時は神に感謝する。
    俺は安心して、ベンチに座る。

    「くす、」

    女の声がした。
    しかも、真横から。
    俺は渋々、声がした左を見る。

    「う、うわっ」

    気付けば、俺の隣には同年代辺りの女が座っていた。

    「お、脅かすなよ。ってか、お前、存在感なさ過ぎだ」

    初対面の人間に言い過ぎだとは思うが、それだけ俺は焦っていた。

    「ただいま」

    その知らない奴は俺に向かって、微笑み掛けた。
  • 14 由梨 id:pkcfF0L1

    2011-08-06(土) 10:36:16 [削除依頼]
    「あれ、忘れちゃった?私何だけどな」

    知らない奴はベンチから立ち上がる。

    「わ、悪いけど、俺等、初対面だと思うんだが」

    「ううん。確かに10年以来だけど」

    10年前?
    全く覚えてない。

    「そんな10年前の事なんか覚えてるわけねーよ。7歳とか、小1じゃねーの?」

    「そう?私はずっと覚えてるよ。時雨君」

    マジで知り合いだったのだろうか。

    「じゃ、覚えてない責任を取るって形で、時雨君はちょっとの間、私を匿って貰おうかな?」

    「は?何だよ、それ」

    「ホントに覚えてないのか。じゃ、自己紹介。私は初音杏子。改めてよろしく」

    ……初音、杏子?
    初音と言えば、この町の神社の家だったと思う。
    って事は神社の娘なのだろうか。
    嫌、でも確か神社の娘は10年前に犠になったとか言われてるし。
    だったら、コイツ、死.んでるはずじゃないのか。

    「ゆ、幽霊か?お前っ」

    「あはは、そう来る?ま、幽霊だと思っても良いよ。それに時雨君、重要な事忘れてるし」

    「重要な事?」

    「まあ、時雨君の家に行こうよ。時雨君は家出でもしようと思ってたんだろうけどさ」

    初音杏子とか言う奴は俺の荷物を見て微笑む。

    「結果、私が打っ壊しちゃったんだけどね」
  • 15 由梨 id:pkcfF0L1

    2011-08-06(土) 10:56:59 [削除依頼]
    2 家出不可能
    「へえ。時雨君の部屋って意外と綺麗だね。もっと散らかってると思ってた」

    ズカズカと初音は俺の部屋に入り込む。
    渋々、家に入れてしまったが、俺の判断は絶対に狂っていた。
    何処の誰か分からない奴を家に入れるとか。

    「あはは、ベットふかふか」

    初音は人のベットに座る。

    「なあ、不審者」

    「何?」

    否定しない所見ると、益々怪しくなって来る。

    「早く家から出て行ってくれないか?正直、名前名乗ったって、偽名の可能性だってあるんだし」

    「そうだね。でも、ホントに私の名前は初音杏子だよ」

    黒髪を揺らして、初音はベットから立ち上がる。

    「そうだ。身分証明的なのがあれば信じて貰えるんじゃない?」

    初音は持っていた黒いキャリーバックから、手帳ぽい奴を取り出す。
    ぶっちゃけ、もう如何でも良くなって来たが。

    「ほら、生徒手帳」

    渡された生徒手帳を見ると、確かにコイツの写真が貼ってあって、初音杏子と書かれてあった。
    しかも、この高校、東京だ。
    都会の奴だったのか。

    「名門校だったりするんだよ?私の通ってる学校」

    自慢かよ。
    地味にム.カつきつつ、俺は生徒手帳を返す。

    「時雨君はこの町の高校でしょ?どうせ」

    どうせって何だよ。
  • 16 由梨 id:QAjSfVy.

    2011-08-06(土) 18:55:09 [削除依頼]
    10時となった。
    だが、未だに初音は居座り続けている。

    「お前、ちゃんと家に帰れよ。家、あるんだろ?」

    説得する事、1時間50分。
    初音は、くるくる回る椅子に座って、無言でくるくると回っている。
    無視かよ。
    俺は床に膝を折る。
    もう今日は無理か。

    「んーと、確かに帰る家はあるんだけど、私って、この町から見たら、裏切り者って感じだし。時雨君のお祖父さんは本部の代表でしょ?多分、本部に私の存在がバレちゃったら、本部は私を殺.しに来るよ」

    殺.しに来る、か。
    正確にはもう一度、犠の役割をやらされると言う事だろうけど。
    一応、幾ら不審者で、町の裏切り者でも、何もしていない奴が死.ぬのは俺としても嫌だ。

    「じゃあ、お前は祭典の時に逃げ出したのか?」

    「そうだねー」

    暢気な返事が返って来る。
    逃げ出した犠なんて、聞いた事がない。
    前代未聞だろ、それ。

    バタッ

    その時、初音はぐったりと俺の机に突っ伏した。
  • 17 由梨 id:QAjSfVy.

    2011-08-06(土) 18:59:01 [削除依頼]
    「……初音?」

    「……」

    名前を呼んでも返事しない。

    「おい、大丈夫か?」

    「……ぐふ」

    机に突っ伏す初音から、奇妙な声がした。

    「おおおおおおおお」

    俺は退く。
    初音は変な奇声を出し始めた。
    絶対、何かが狂った。

    「……べ……の」

    「は?」

    「食べ物を」

    「嫌、何が?」

    「私、お腹減った。下さい。何か食べ物を」

    お前は日本語を覚え立ての外国人か。
    つい突っ込みたくなったが、コイツの状況がウケ狙いでもないので、俺は下に食べ物を取りに行った。
  • 18 由梨 id:QAjSfVy.

    2011-08-06(土) 19:03:21 [削除依頼]
    どれだけ腹減ってたんだか。
    俺はマジ食いしている初音を見て、溜め息を吐く。
    生憎、冷蔵庫には調理済みや直ぐに食べれる物がなかったから、適当に朝食の為に買い置きしていたパンを渡したのだが、初音はしゃくり取るなり食べ始めた。
    何か子供(高校生も子供だが)みたいに食ってるのが可愛く感じた。

    「ぐぶっ」

    ボーと、初音を観察していると、また変な奇声を上げた。
    初音はバタバタと苦しみ出す。

    「ちょ……喉に詰まったのかよ。ほら、水」

    俺はパンと一緒に持って来た水を渡した。
    案外、ガキっぽいな、コイツ。
  • 19 由梨 id:QAjSfVy.

    2011-08-06(土) 19:09:43 [削除依頼]
    「パンに殺.される所だった」

    500mlのペットボトルの水を一気飲みした初音は大きく深呼吸する。

    「うまうまだったよ。夕ご飯、どうも」

    「お前はまともな言葉を喋る気がないのか。何だよ、うまうまって」

    「旨しかったです」

    「それもおかしい」

    絶対、コイツ、国語の点数悪い。

    「さて、お腹も膨らんだ事だし、そろそろ寝ようか」

    初音は勝手に俺のベットに寝転ぶ。

    「ちょっと待てよ。出て行くんじゃねーのか?」

    「だから、出て行ったら、見付かって殺.されるんだってば。別に時雨君の両親、いないんだし、良いじゃん。ずっと居候してても」

    「殺.されねーよ、多分。だから、まず自分の家に……」

    「じゃ、もし、私が殺.されても、良いの?時雨君」

    「……嫌、ダメだな」

    俺はコイツを追い出せなくなってしまった。
  • 20 由梨 id:QAjSfVy.

    2011-08-06(土) 19:13:20 [削除依頼]
    結局、初音は俺のベットで寝出した為、俺は客間を使う羽目になった。
    本当なら、アイツが客間を使う方なのだが。
    疲れていたのか、布団を敷いて寝転がるとそのまま寝てしまった。

    「……君っ」

    目を開けると、目の前に初音の顔があった。

    「近ぇーよっ」

    「電話、鳴ってるよ?さっきからしつこく」

    ピルルルルルルルッ

    確かに鳴ってる。
  • 21 由梨 id:QAjSfVy.

    2011-08-06(土) 19:20:16 [削除依頼]
    「もしもし、櫻野ですけど」

    『もう12時なのだが。寝ていたのか?貴様』

    祖父からだった。
    そして、この人がこうやって孫の俺に電話をして来る事はあまりない。
    初音を匿っている事が知られたのかも知れない。

    「す、すみません。ま、まあ、夏休みなので」

    『別に如何でも良い。それより、久木から聞いた』

    「な、何をですか?」

    生唾を飲み込む。

    『お前、町を出ようとしてたらしいな』

    そ、そっちか……
    思わず、叫びそうになったが堪える。

    「してません」

    『なら、如何して昨日の8時頃に外出していたんだ?』

    「よ、夜空見に」

    我ながら、苦しい言い訳をする。

    『お前はこの町に監視されている。今回は未遂だったから許してやるが、今後一切その様な行為は禁止する』

    電話は一方的に切れた。
  • 22 由梨 id:QAjSfVy.

    2011-08-06(土) 19:27:56 [削除依頼]
    3 少女の偏食
    俺はリビングのソファーに顔を突っ伏す。
    どうせ、家出は出来ない。
    薄々、自分でも分かっていた。
    都会に出ても、町の捜索隊に見付かり、町に連れ戻される。
    何でも、祖父は俺に本部の代表を継がせたいらしい。
    そんな物を継いでしまったら、俺はずっと田舎暮らしになってしまう。
    それだけは絶対に嫌だ。

    「時雨君、お腹空かないの?私、凄い空いたのに」

    「知らねーよ。もう、冷蔵庫にある物使って良いから、適当に食い繋いでくれ」

    「ちなみに聞くんだけど、昨日の夕ご飯、食べた?」

    思い返して見れば、家出計画で頭がいっぱいで食べてなかった。
    じゃあ、俺はほぼ1日何も食べてないのか。
    別におかしくない事だが。

    「食べてない」

    「死.ぬよ」

    「そうだな」

    「ちゃんと食べなよ。待ってて、冷蔵庫漁って来るから」

    初音はバタバタと走って行った。
  • 23 由梨 id:QAjSfVy.

    2011-08-06(土) 19:35:39 [削除依頼]
    ちょっとしてから、初音は戻って来る。
    何気なく見ると、

    「何、持ってんだよ。プリンと醤油とか」

    初音はプリンに躊躇なく、醤油を掛けた。
    罰ゲームか。

    「ほら、これ食べたら元気出るよ」

    マジで言ってるのか、悪意を持って言ってるのか分からない。
    が、食べる気がない。

    「別に俺、3日食べない日とかあるし、大丈夫だって」

    「ちなみにうにの味、するよ」

    「しねーよ。ゲテモノだ」

    「ホントだって。試しに食べてみなよ」

    しつこいので、渋々、俺はプリン醤油を食べて見る。

    「……残すわ」

    「勿体無いよ」

    プリンと醤油が可哀想に思う味だった。
  • 24 桃 id:CB0ceDW1

    2011-08-28(日) 00:04:40 [削除依頼]
    題名に惹かれて参りましたーw

    続きまってますっ☆
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