innocent6コメント

1 rain id:1LJO8uV/

2011-07-27(水) 12:33:24 [削除依頼]



殺されるために、生かされていると知った
  • 2 rain id:1LJO8uV/

    2011-07-27(水) 12:53:56 [削除依頼]

    #0. Why do I keep living?


    少女は俺の手を引いて森の奥深くまでやってきた。
    呼吸を荒くし、額に汗を浮かべ必死に走っていた。
    どうしてこの少女は、俺なんかを助けようとするのか。

    「はぁ……っ、はっ……」

    激しくせき込み、少女はその場に崩れるように座った。
    俺はただ静かに、小さな少女の震える背中を見つめた。
    ふらふらと再び立ち上がり、俺の手くびを掴む。

    「早く……!!逃げ、よう……?」

    くるしさに顔を歪める少女に俺はかすかに笑った。

    「逃げられるわけ、ないだろ……?」

    少女は激しく首を振ってまた走りだした。


    ――馬鹿だな。


    ――死から、逃げられるわけないのに……。


    このまま逃げ続けて、生き続けて、国が滅ぶことを望むのか。
    俺なんかの、たったひとつちっぽけな命でどれだけの犠牲がでるか知らないのか。
    馬鹿な女。その手を離せよ。


    振り払えばいいだけの話、だよな。


    一筋の光の侵入さえ許さない深い深い森の中。
    死の恐怖に脅えて、少しでも長く生きようと欲張りになって。


    なぜ、涙は流れるのだろうか……?


    少女には決して気づかれないように、俺は目元を拭った。


    あと、少しだけ。
    この瞬間を紡いで欲しい。


    もう少ししたら、


    ――君を守るために覚悟だってする。
  • 3 rain id:1LJO8uV/

    2011-07-27(水) 13:10:54 [削除依頼]

    #1.What is me?


    世界が、こんなにも色あせて見えたのは初めてだった。
    俺が生まれて、たった15回目の秋が来たってだけの話。

    人間は、秘密を隠すことがどうも苦手らしい。


    俺はただ、第56回目という半端な時期の試験の勉強をするために歴史館に入った。
    国を守る兵士になることと、国の歴史を知ることにどんな関連性があるのかという疑問を抱えつつ、俺は書棚に並べてある無駄に分厚い本を手に取る。
    なぜ歴史書というものは必要以上に小難しい言葉を並べるのだろう。
    人に話すときは7歳の子供でもわかるように説明しなさいといった教育を、この本の著者は受けてこなかったのだろうか。

    ……なんて、どうでもいいことを考えながら俺は文字をたどった。


    もしも、俺が取った本が15年前のものでなかったら、きっと俺はこれからものうのうと生きていたことだろう。
    もしも、第56回目の試験の範囲が15年前のものでなかったら、俺は今までと変わらず笑っていただろう。

    偶然というものは何よりも恐ろしい。

    その歴史書の一部、不自然に膨らんだ箇所があった。
    俺はそのページをめくり、一面だけ切り取られた新聞を見つけた。


    「国が誇る最終兵器ここに誕生!!」


    好奇心を煽るタイトル。
    読みはじめるその瞬間まで、俺は何一つ知らなかったのだと知った。
  • 4 rain id:1LJO8uV/

    2011-07-27(水) 13:31:21 [削除依頼]


    つい先ほどまで、雲ひとつない青空が広がっていたはずだ。
    たった30分館内にいた間に、俺の頭上は分厚く黒い雲で覆われた。
    大粒の雨が絶え間なく、激しく降り注ぎ、ものの数分間の間に頭の先から靴の中までびしょぬれになった。

    空を見上げた。
    雨が冷たい、目の中に当たれば当然痛い。


    ……痛い。


    俺には感覚がある。感情がある。

    それなのに、なぜ?


    答えなど返ってくるはずのない質問を心の中で繰り返した。
    どうしていいかわからずに、俺は薄暗い世界を彷徨った。


    兵士は、「士」という語尾から人間を指す。
    兵器は、「器」という語尾から道具を指す。


    「お前は俺が教えた者の中で最も優秀だった。
     自分を誇りに思いなさい。きっと、良い兵士になれる」

    かつて、俺が尊敬していた師がくれた言葉。
    だから、俺は良い「兵士」を目指した。


    良い「兵器」を目指したことなど一度もないのに。

    国民は約7000万人。
    そして俺は選ばれた。


    ――国が誇る最終兵器


    10月「32日」に生まれたのは、
    うなじに藍色のダイヤの刻印が刻まれているのは、
    15歳の子供で「シュヴァルツ・ブラック」の名を持つのは、


    俺以外、存在しない。
  • 5 rain id:1LJO8uV/

    2011-07-27(水) 13:48:06 [削除依頼]

    「国が誇る最終兵器ここに誕生!!

     政府が特例で指定した本日10月32日午後12時59分。
     国は歴史的暴風雨にみまわれた。
     20年に組織されていた「最終兵器」製作委員会は
     本日を持って解散される。
     約5000万人に囲まれた首都の中央訓練所で儀式は
     行われた。3人の赤子から選抜され、シュヴァル
     ツ・ブラックと名付けられた兵器は今後の国を守
     る最終手段として、18年後の「第ニ回藍紺大戦」
     でその威力を発揮することだろう。
     さらに細かい詳細は裏面に記載されています。」


    所々、雨が滲んで解読が難しくなってきた。
    裏面は切る位置が悪かったのか藍色の刻印のことのみ記されている。

    ある意味、俺の未来図。

    この新聞が誰かのいたずらで作成されたものでない限り、俺の命は後3年。


    後、3年。


    「うわああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」


    この国にしか存在しない本日10月32日。
    どしゃぶりのなか、濡れた地に蹲る国が誇った兵器。


    死への、カウントダウンが始まった。
  • 6 真琴 id:CIUH0780

    2011-08-20(土) 17:47:20 [削除依頼]
    怖いけど、よみたたいっ
    がんばってください
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