百物語大会!! (企画:恐怖、ミステリー部屋)21コメント

1 ‘‘理文” id:wO9MCqQ/

2011-07-23(土) 12:58:51 [削除依頼]
では、百物語大会の開催です!!
参加者、傍観者ともに、楽しみましょう!!

百物語大会に参加したいと言う方は、小説準備板の「恐怖、ミステリー部屋改」にて、受け付けています。
現在は六人です。
感想、意見などは、小説準備板の「恐怖、ミステリー部屋」でどうぞ。

それでは、百物語大会、スタート!!
  • 2 【第一話】 「台風の目」 通幻寂霊 id:vt-GLYVFsw.

    2011-07-23(土) 14:51:26 [削除依頼]
     友人のUは中国の古典オタ。
     普段は陽気で良いやつなんだけど、ふとした拍子にスイッチが入る。するともう、お手上げになる。
     相手が誰だろうとお構いなしに論語やらなんやらの話を延々としゃべり続ける。
     友達のMがフラれた時なんかは、「子、曰く〜」とか言ってなぐさめたらしい。聞いてたMは、逆に落ち込んだとか。
     そんなUと俺とTの三人が、某駅の近くにいた時の話。
     ちょうど台風の目に入ってたらしく、雨は降っていなかった。それでかわからんが、Uが古典トークを始めやがった。夜朗自大がどうのこうのって、こっちは全く興味ないんだけど。ふーんとか適当に相槌を打ちながら、Tと俺は所在なげに空を見上げた。
     すると、はるか頭上に何かが光っている。最初は飛行機かと思ったけど全然違った。バカでかい本物の目ん玉が二個、はるか下界をグワっと見下ろしていたんだ。Tと俺はビビってあごをアゥアゥとさせる。そんな俺らを尻目に、Uはまだしゃべり続けていた。
     そしたらその目ん玉から黄色い光線がピーーー、Uをつらぬいた!
    うぉぉー!!
     Tと俺が思わず叫ぶ。 するとU、ん?とか言って話を中断した。オイ、どうした!?ってUに聞いたら、U何言おうとしたか忘れたって。それだけで済むのかよって俺とTは目で探り合ってしまった。
     あん時は本当に驚いた。目はほんの10秒足らずで消えちまったよ。
  • 3 ‘‘理文” id:wO9MCqQ/

    2011-07-23(土) 15:45:58 [削除依頼]
    No.2「迷子」

     夜中、何故か学校の中に入り込む雄二。実は、明日提出のレポート用紙を教室に忘れて来てしまったのだ。
     雄二は宿直の先生に許可を得ると、教室へと向かう。
     人一人喰ってそうな暗闇の奥に進む。この手の雰囲気には慣れているため、まったくもって怖がる様子はない。
     難なくレポート用紙を手に入れると教室から出て、報告のために宿直室へと向かう。階段を下りる途中、背筋に寒気のようなものが走った。何か、冷たいもので背を触られたような感覚。
     雄二は頭を振って、それを振り払うと、再び歩き出す。
     その途中、どこかの教室から幼い子の泣き声のようなものが聞こえてきた。
     雄二は気になって泣き声の源の教室を探す。
     そう時間もかからず、教室を見つけた。
     雄二は扉を開けて、中に入る。
     教室の中を見渡す。
    「だれか、いるのか?」
     雄二の声が教室に響くと同時、泣き声が止んだ。
     奥のほうで、女の子が顔を出す。しゃがんでいた状態から立ち上がったらしい。
     女の子はどう考えても小学生ぐらいの女の子だった。雄二の学校は中学校。そのため、これぐらいの年の女の子がいることはまずない。
    「間違って入ったのか?」
     女の子は黙って頷いた。それから、舌足らずなしゃべり方で答える。
    「迷っちゃったの」
     なるほど、と雄二は思った。間違って学校に入り、そのまま教室で迷ったのか……。
     雄二は女の子の元へと歩くと、彼女の手を握り、言った。
    「とりあえず、先生のところ連れてってやるよ」
     そう言って、少女を引いて教室を出る。
     それから、特に何事もなく、宿直室へとたどり着いた。
     雄二は少女から手を離すと、何のためらいもなく宿直室の戸を開く。ベッドで仮眠を取っていた先生を呼び出した。
    「ああ、忘れ物は見つかったか?」
    「はい。それは見つかりました。それより、迷子の子を見つけたんですけど……」
     そう言いながら、雄二は後ろを振り向く。するとそこには、誰も居なかった。
    「あれ? おかしいな。さっきまでそこに居たんだけど……」
    「本当に迷子なんか居たのか?」
    「はい」
    「それじゃあ、俺が探しておくから。お前はもう帰れ。こんな時間に外なんか出歩くもんじゃないだろう」
    「自転車で来たので大丈夫です」
    「いいから帰れって」
     言われ、雄二はその日、結局家に帰った。

     翌朝の事だ。
     いつもどおり学校へと登校した雄二は、校門前に幾つも並んでいるパトカーを見た。
     友人から聞いた話では、今朝、最初に学校に来た先生が、宿直だった先生の変死体を見つけたらしい。血を抜かれ、体は水のように冷たい状態だったらしい。
     雄二は詳しい話を聞き、その死体の発見された場所を聞いて驚いた。
     昨日、雄二が寒気を感じたところだった。同時に思い出したのは女の子のこと。
     一体、何がどうなっていたのだろうか。
     宿直の先生が死んだのは、何が理由だったのだろうか?
     あの、迷子の女の子なのか? それとも、また別の何かなのだろうか?
     自分が何故か助かったことに、雄二は疑問を覚えながら、恐怖感に身を縮めた。
  • 4 楽々 id:ez-lBf5dn80

    2011-07-23(土) 15:57:07 [削除依頼]
    【No.3Rhythm】

     リズムは伝染する。

     男は定期検診を受けさせるため、殆ど寝たきりの祖母を総合病院まで車で送っていた。その途中の出来事である。
     遅くも速くも無い、時速四十キロ程で走行する彼の白いワゴン車の周りは田畑が広がるばかりである。四月下旬の植え込み作業が終わったばかりの田畑はどれも低く艶やかな緑で、運転する側としては眩しいくらい視界は良好だった。
     だからこそ、それが見間違いだったとはかなり考え難い。
     歩道に一人のピエロが立っていた。それ以外に人はない。ピエロは信号待ちをすると言うよりは、男が乗っているワゴン車をひたすら観察しているように見える。当然のように男とピエロの視線がぶつかった。男にとっては道端にピエロがいること以上に、うっすら汗ばんで滲んたおちゃらけメイクの下の無表情が不気味である。
     と、ピエロは全く突然に、体全体を使った大きな手拍子をした。
    「たん、たたたん」
    「えっ?」
     男は思わず振り返った。近頃ではまともに会話も成り立たなくなった後部座席の祖母が、機会音声のような無機質さではっきりとそう言ったからだ。顔を見ると、祖母は血走った眼でピエロを凝視している。男はその眼がピエロのそれと同じであると直感的にわかった。
     再び前方へ視線を戻すまで、ものの三秒程の時間だったろう。それでも横断歩道の通行人に気付くのに遅れ、ワゴン車をそこに突っ込ませるのには十分な時間である。男は慌ててブレーキを踏み、通行人を何とか避けたが、勢いそのままにワゴン車は横転した。車体が各面を打ち付ける。それがピエロのとった手拍子と同じリズムであることに気付いた者はいなかった。


    「……それで、男と祖母はどうなった? ピエロは?」
     私は夢中になって先を急かした。外を歩きながらにしては我ながらはしゃぎ過ぎている。友人はそんな私を見ていかにも満足気でいる。
     手の平を肩の前でヒラつかせ、友人は続けた。
    「さぁ……でも親子は無事では済むまい。それでな、この話の恐ろしいのはピエロじゃないんだよ。ピエロのとった手拍子こそが恐ろしいんだ。それを聞いた奴は皆、死に追いやられている……リズムは伝染するのさ」
    「って事は他にも関連した話があるんだな? 聞かせろよ」
     しかし、私がそう言っても友人は皮肉めいた笑みを浮かべるだけであった。
    「……お前にも伝染したぞ」
     そこまで話した所で、友人の頭上に店の看板が降ってきた。

  • 5 鈴蘭 id:d/.MxoK.

    2011-07-23(土) 16:19:40 [削除依頼]
    NO、4 (旅館)
    私、美咲は友達と旅館に行く事になった。
    丁度夏休みだったし思いで作りに丁度いいと思ったんだけど、
    お金があまりなかった事もあり一番安い旅館を予約した。
    安いだけあってかなりボロかった。
    そして、女将さんに部屋を案内してもらって部屋に着いたはいいんだけど、
    その部屋には四つのお札が貼ってあった。
    私達が不思議に思って女将さんにお札の事を聞くと、

    「そのお札は絶対に剥がさないで下さい。」
    女将さんはそれだけ言うと、部屋を出て行った。

    そして私達は約束通りお札を剥がさなかった。
    途中までは........。

    やっぱりお札が気になって気になって仕方なかったのだ。

    「ねぇ。このお札....一枚だけはがしてみない?」
    私は友達にそう言うと、友達も剥がしたかったらしく
    すぐに納得してくれた。
    そして私は恐る恐る壁に貼ってあるお札を剥がした。
    その瞬間ーーーー

    「ガタガタ.....ガタガタ」

    押入れがいきなり動き出したのだ。

    「嘘.....!」
    私達は驚いて2人で体を抱きしめあった。

    「ガタガタ.......ガタガタ.......ガタ」

    ピタっと押入れがなる音が消えた。
    もしかして助かった?私達はそう思って
    恐る恐る押入れのドアを開けた。

    そこにはなんと..........
    ーーー助けて助けて助けて助けて助けてーーー
    茶色くなった血で押入れ全体にそう書いてあった。
    後から女将さんにその事を聞くと、
    「お札..四枚全部剥がさなくて良かったですねぇ。」
    そう言って、含み笑いをしただけだった。

    じゃぁ四枚全部剥がしていたら私達.....どうなってたんだろう。


    ーーーー終わりーーーー
  • 6 通幻寂霊 id:vt-GLYVFsw.

    2011-07-23(土) 20:07:46 [削除依頼]
    No.5
    「物の怪」
     喫茶店で友達のKと雑談をしていたときに聞いた話。そん時は、何それ? って思ったけど、今思い返してみるとちょっと気持ち悪い。なんで、この場を借りて書かせてもらいたい。一人で抱え込むのはつらいんだよね。
     あ、苦手な人は読まないで下さい。
     それでは始めます。


     Kの家というのは3階建てのマンションの2階にあって、階段からは一番遠い所にあったんだ。周りが閑静な住宅街だったから、それだけ距離が離れていても、夜なんかは階段を上り下りする足音が聞こえてきたらしい。
     俺は一度だけその建物を外側から眺めたことがある。社宅らしく、けっこう年期が入ってて全体的に古びた感じがただよっていたっけ。ただ何となく嫌な感じがした。ここヤバイなって。
     で、夏のある夜のこと。
     Kはベッドに寝そべって漫画を読んでいた。家族はもうみんな寝ていたので、家の中は静まり返っていた。
     Kも相当眠かったらしく、単行本を手に持ちながら、うつらうつらとしていた。ふと誰かが階段を昇ってくる音が聞こえてきたんだ。
     あー誰かが上がってくるなーって思ったけど、とにかく眠い。K、電気をつけっぱなしにして、そのまま寝ちゃった。
     ところがしばらく経ってからフゥッと目が覚めたらしいんだ。いけねっ、と言って電気を消す。そして今度はもう、本格的に爆睡する気で横になった。
     すると靴の音が聞こえて来た。二回目だ。今度は上から降りてくる様子だったらしい。3階からってことね。
     建物の構造上か、それとも老朽化してるからなのかは、わからないけど、どうもKには足音の主が歩いている位置がわかるみたいなんだ。
     Kにとって少し意外だったのは、その床を鳴らす音が廊下を渡ってKのうちのほうに歩いているってこと。コツ、コツ、コツ、コツという響きが徐々に大きくなってきたと思ったら、いきなり止まった。
     Kの部屋は建物の一番はじっこで、玄関とびらの並ぶ廊下側に面していたんだけど、その壁をはさんだすぐ向こう側で靴音が止まった。すぐ目と鼻の先に誰かが静かに立ってるわけさ、真夜中に。
     気味が悪くなって、早くどっか行ってくんないかなぁなんて思いながら、ベッドの上で固まったK。そしたら又、靴の音がした。動き出したらしいんだ、そいつが。ようやく安心して寝れるなーと胸を撫で下ろしたのもつかの間、Kは自分の耳が信じられないものをとらえている事に気が付いたのさ。
     そいつは来た方向に戻ったんじゃなくて、さらに先に進んでいたんだ。止まってた場所は廊下の一番はじっこ、突き当たりだよ? その先は無い、はずなんだ。
     もうKはパニック。眠気が吹っ飛んで心臓がバクバク言ってる。そいつの行き先はもちろん空の上なわけだけど、もし建物にそって左に廻れば、Kの部屋にやって来るんだ。
     靴音は鳴り止まない。Kは反射的に、たぶん無意識で窓の方を見た。カーテンが開いたままの窓があった。するとそこにはガラスに写ったKの顔と、Kの顔に吸い付くような真っ白い女の顔があったんだ。ヌボーっとした能面みたいな顔を、ガラスの外すれすれに近づけてKの顔をジーっとのぞきこんでいる。そこ、足場なんか無いからね。
     K、あまりの出来事に声も出せなかったらしい。ただその女の無表情な顔にゾクリとして、意識が遠のいていった。次にKが気が付いた時には、もう夜が明けていた。
     その後Kは自分の部屋と親の寝室とを変えてもらった。日差しが強すぎるとか適当に理由を作って、本当のことは言わなかったってさ。
     なんだか根本的には何も解決してない気がするんだけどね。結局その人は誰で何をするつもりだったのか、とかね。いや、そもそもそれ、人間なのか? とか……。


     まぁ、こんな話でした。
     あー、そうそう、後からKは変なことを言ってた。
    「アイツ(女のこと)、探してたんだ」って……。
    は? って感じで、もうね、意味がわかりません。


    眠る時は気をつけて下さい。
    戸じまりなどもそうですが、それ以外にも……。
    おやすみなさい
  • 7 通幻寂霊 id:vt-GLYVFsw.

    2011-07-23(土) 20:08:22 [削除依頼]
    No.6
    「夢の中」
     前の話「物の怪」に出てくるkは、ちょっとそっち系(霊的な)の人物。これもkに聞いた話。


     Eは悩み事を抱えていた。だが家族にも友達にも相談できなかった。
     最近、同じような夢を見ていた。
     夢に腰の曲がった白髪あたまの老婆が出て来る。顔は一度もみたことがない。当然、目を合わせたこともない。
     ある時は海で、ある時は山道で、またある時は町中で出会った。
     ある夜、老婆は家の中にまで入ってきた。その時は曲がった背中とボサボサした灰色がかった頭をこちらに向けていた。台所で何かをやっていた。
     全ては夢の中の出来事だった。全て老婆だった。
     Eはたまらなくなり、学校で友人のCに相談した。Cには多少の霊感があるということを本人の口から聞いていた。
     昼休み、Eの話しを聞き終わったCはわかったと言った。CはEの家に一晩泊まって確かめたいとのことだった。
     四日後の土曜日にCがEの家にやって来た。夜になりCはEがいつも寝ているベッドに横になり、Eは床にふとんをしいて寝ることにした。明かりを消して床についた。最初はなかなか寝付けなかったが、そのうち自然に眠りに入っていった。
     Eはふと目が覚めた。夢はまだ見ていなかった。ベッドの上ではCが眠っている。床の上から暗い室内を見渡してみた。いつもと違う景色の中に部屋の入口のドアが目にとまった。
     わずかなすき間だがドアが開いていた。
     すき間の向こうの廊下に何かが立っていた。
     皺くちゃに歪んだ顔、ボサボサにふくれた白髪、顔を突き出すように曲がった腰、不気味な老婆がいた。
     老婆はドアと壁のわずかなすき間に目を当て、中の様子を食い入るように覗き込んでいたが、しばらくしてスーーっとそこから去っていった。
     翌朝になり、EはCにどうだったかと聞いてみた。Cは何もなかったと答えた。
    ここまで話し終えたところで友人のkは、どう思う? とわたしに聞いてきた。
     その老婆はEの実在する祖母なんじゃないのかとわたしは言った。
     kは、いや違う、問題はCだと断言した。初めからEには全く関係が無く、もともとはCが連れてきたのだと言う。
     何かの拍子でEに「見える」ようになってしまったのだと。
     Cはkの姉だった。


    あなたはどんな夢を見ていますか?
    Good Night?
  • 8 燎 id:Gbpm2Q00

    2011-07-23(土) 20:57:27 [削除依頼]
    No.7
    「pianissimo」

     カレの通う高校では、こんな噂が流れていた。
    「音楽室のピアノから、夜な夜な演奏が聴こえてくる」と。
     まあ学校の怪談としてはよくある話だし、「音楽室のピアノを聴いた生徒が突如失踪しました」などの霊的二次災害が一切起きなかったこともあってか、あくまで単なる噂として広まっていった。
     もっとも、単なる噂にはそれ相応の信憑性しかない。信じない生徒も多数いたのだろう。

    「ピアノ、聴きに行こうぜ」
     ある日の昼休みのこと。そう言ったのは、カレの友人であった。「オカルトなんか信じないよ」と、否定派に属していたカレは「はあ?」という表情を浮かべ、友人の目を見つめ返した。
    「マジかよ……」
     友人の目は、真剣そのものであった。カレはため息をひとつ、いかにも面倒くさいといった口調で喋り出した。
    「あのな、これはただの噂だぞ? どこにでもあるレベルの、”学校の怪談”だ。お前はそれをわざわざ検証しに行くのか? アホだろ」
     すると、友人はカレにため息をつき返し、
    「分かってないなぁ。今までこの学校にはそんな噂ですら、何にもなかったんだ。毎日つまらない。それこそ辟易するくらいにさ。……だが、どうだ。今、目の前に物凄く面白そうなことが転がってるじゃないか。学校の怪談! 夜な夜な鳴り響くピアノ! それこそベターだが、故に刺激的! ……分かるか。これはロマンなんだよ!」
     バンッと机を叩いて熱く語る友人を見て、カレはさっきよりも大きなため息をついた。頭痛がする。こいつアホだろ。行くなら、一人で行けよ。いろんな感情がごちゃ混ぜになって、ひとつの感想が口から漏れ出した。
    「ああ、そう」
  • 9 燎 id:Gbpm2Q00

    2011-07-23(土) 20:58:11 [削除依頼]
    「でもって、何故俺を連れてきた」
    「そりゃ、怖いからに決まってんだろ」
     昼間の威勢はどこへ行ったと問いかけようとして、カレは口をつぐんだ。言いたいことはいろいろあるが、全部終わった後に言ってやろう。
     電気の消えた校内は、もちろん暗い。無駄に用意周到な友人の所持品である懐中電灯の灯りを頼りに、音楽室へ続く廊下を歩いていた。この廊下の突き当たりに、目的地はある。
    「怖いな。お化けが出そうだ。……ほーら、お前の背後に幽霊が」「いる訳ねえだろ」
     カレはうんざりした表情で、速歩きを始めた。
    「音なんか何も聞こえないじゃないか。音楽室までは付き合ってやるから、さっさと帰るぞ」
     友人が追いついてきて、カレの隣に並ぶ。
    「恩に着るぜ」
    「うっせ」
     速歩きのせいもあってか、友人が追いついたころには既に音楽室の前に到着していた。ただ暗いだけで、普段と変わらない光景が広がっている。
     耳を澄ましても、何も聴こえない。やはりこの噂は、どこかの誰かが垂れ流したデタラメだったのだ。
    「ほら、なんも聴こえないだろ。帰るぞ」
    「待て待て。ドアに耳をつければなにか聴こえるかも……」
     往生際が悪いな。
     カレは、へばり付く友人を引きはがそうとして
    「……待てよ」
    「……なんだよ」
     友人の一言に阻まれた。
    「……聴こえる。聴こえるぞ。ピアノが」
     嘘をつくんじゃない。再びカレは引きはがしにかかった。
    「んっ」
     動きが止まった。なにかが、なにかがおかしい。
    「えっ、えっと。この……音って」
     確かに聴こえる。いや、聴こえてしまう。存在を認めようとすらしなかったピアノの音が、聴こえてしまう。カレの鼓膜を、揺らしてしまう。
    「夜になって、あたりは暗く、月明かりしか見えなくても……」
    「どうした? 壊れたか?」
     いきなり詩的な文章を呟きだしたカレに向かって、友人が悪態をついた。そこにすかさず軽いげんこつを落として、
    「曲だよ。スタンド・バイ・ミー」
    「……レミオロメン?」
    「違うよ。アメリカの歌手」
     そして、黙った。ピアノの歌は、心の底に深く突き刺さるような音色。
     胸の奥から、おなかの中から、流せるありったけの涙を流しながら。
    「そばにいてほしい、そばにいてほしい」
     叫んでいるような、気がした。
     ピアノの主は、誰なのだろう。誰に宛てたメッセージなのだろう。……誰のそばに、いたいのだろう。いろんな思いがぐるぐる、ぐるぐる、とカレの頭の中を掻きまわして、ピアノの音に体を預けた。
     本当に小さな音色。ドア越しにかすかに聞こえるピアニッシモ。弱弱しくて、力強い…………。
  • 10 燎 id:Gbpm2Q00

    2011-07-23(土) 20:59:26 [削除依頼]
     友人と別れて帰路についても、カレの頭からは、あのピアノの音がこびりついて離れなかった。友人こそ「あーあ、お前が聴きいっちゃったから。ドア開けられなかったじゃねーかよ。また明日行くぞ!」なんて言っていたが。おそらくあいつも、ピアノを聴きたいだけなのだろう。そうカレは結論した。
    「そばにいてほしい、そばにいてほしい」
     残響が止まらない。ピアノの音とともに、音の主を思う。本当に、誰なのだろう。というかそもそも、実際の人間なのだろうか。本当に怪談話のような展開なのだろうか?
     点滅する街灯の光と月明かりを頼りに、カレは静かな道を一人で歩いた。バックサウンドは、むろんスタンド・バイ・ミー。何度もリフレインしながら、徐々に大きくなっていく。
    「そばにいてほしい。そばにいてほしい」
     家に至る道。最後の曲がり角を通過し、カレは足を止めた。
     今まで何も気にしていなかったが、美しい満月が空の真ん中に浮かんでいることに気付いた。
    「……こんな夜のことなのかな」
     ぽつりと呟いて、止まらないサウンドに耳を傾ける。
     もはやそれは”残響”と呼べるようなものではなく、鼓膜をつんざくような悲鳴と化していた。
    「そばにいてほしい、そばにいてほしい」
    「そばにいてほしい、そばにいてほしい、そばにいてほしい、そばにいてほしい」
    「そばにいてほしい、そばにいてほしい、そばにいてほしい、そばにいてほしい、そばにいてほしい、そばにいてほしい、」
     カレは最後に。声に出さず、語りかけるような声で、こう言った。
    「そばにいて、俺が支えてあげるから……」

     その日以来、カレが音楽室にピアノを聴きに来ることは二度となかった。
  • 11 夜のツキ@(●´人`●) id:2l806fp/

    2011-07-24(日) 19:46:24 [削除依頼]
    No.8 【踊り場の鏡】
     
     壁には偉大な音楽家、ベートーヴェンやモーツァルトの肖像画が並ぶ普通の音楽室。
     私は一人、部活後の自主練習に励んでいた。
     フルートを構え、鏡を見ながら最大限の美しい音を奏でる。
     
     「あ、また間違った……」
     先ほどから三十分近く同じところを吹いているのだがずっと間違えてしまっている。
     肩をすくめ、フルートを優しく床に置くと、大きく伸びをした。
     きっと今日はこれ以上練習しても無理だろう。外はもう暗いということもあり、諦めた私は片付けるため窓に置いていた楽器ケースに手を伸ばした。
     その時、何気なく視線を上へと上げる。
     「わっ……」
     窓越しに空を見上げ、歓声を上げた。真っ赤な月だ。
     初めて見た私はもう7時だと言う事も忘れ鼻歌を歌いながら上機嫌に片づけをした。
     「あら、まだいたの?」
     片付けも終わり、音楽室を出ようとすると顧問の先生が驚いたような顔をしてドアにもたれかかっているのが見えた。
     「あ、はい。本当はもう少し早めに帰る予定だったんですけど、思わず月に見とれて……」
     私は赤い月を見つめた。
     先生も私のように赤い月を見上げ、小さく声を上げた。
     「……と、そろそろ家に帰りなさい。あんまり見とれていると月に連れて行かれちゃうわよ?」
     冗談交じりに言うと、先に音楽室をあとにした先生。
     言葉の最後の意味がよく分からなかった私は首をかしげ、急いで下へと向かった。
     階段の踊り場には大きな鏡がある。
     この鏡にはいろいろな噂があり、私はできれば通りたくなかった。
     お化けが出る、鏡の中に引き込まれるなど、嘘だと思ってはいるがやはり怖いものは怖い。
     だがこの道以外は存在しない。
     「はぁ……」
     憂鬱な気持ちのまま不安な足取りで一段一段階段を下りる。
     歩くたびに響く自分の足音が不気味に感じ、驚いて滑ってしまった。
     ちょうど、巨大な鏡の前で……。
     (なんか出そう……)

     顔を顰め、素早く立ち上がると、ふいに息遣いが聞こえた。
     自分の息遣いでないことに気づき、恐怖で身が凍った。誰かの視線を感じ、見てはいけないと思いながらも鏡へ視線をうつす。
     「ひっ……」
     悲鳴はのどの奥で止まり、全身が震えた。
     鏡に映っていたのは私一人だけだ。かばんを握り締め、顔を強張らせる年老いた私……。
     パニックに陥り、無我夢中で階段を駆け下りる。

     後ろを振り返らず家までずっと走り続けた。
     お風呂の鏡で顔を確認し、現役高校生の顔に安堵の息を漏らす。そのまま崩れ落ちるように座り込むと顔を両手で覆った。
     「どうしたの?」
     母が心配そうに話しかけてきたが私はそれどころではなかった。
     夢であってほしいが、現実だと脳が訴えているよう。
     震える私に追い討ちを掛けるよう鏡についての噂を思い出した。
     “あの鏡で年老いた自分を見た者は一ヶ月以内に死ぬ”

     狂ったように奇妙な笑い声をあげた私は母の手を振り払い、自室へと駆け込んだ。

       【 ―END― 】
  • 12 通幻寂霊 id:vt-QHlnNsT0

    2011-07-24(日) 23:05:54 [削除依頼]
    No.9 「琵琶の木」
     知り合いのNさんから聞いたお話です。
     Nさんの家には小さな庭があるらしいんです。庭は敷地の南部分、家の南廊下に面していました。
     その廊下のすぐそばには、一本の琵琶の木が生えていました。なんでもNさんがまだ子供だった頃に親が種をまいて、それがすくすくと育っていったそうです。Nさんも今は21才になっていました。
     Nさんが家で割り当てられていた仕事の一つに、南廊下の雨戸の開け閉めがありました。その時Nさんはいつも琵琶の木に目を送って気にかけていて、心の中で語りかけることもあったそうです。小さいころからの深い愛着があったからでした。
     そんなある日のこと。あたりが暗くなってきたのでNさんはいつものように南廊下を閉めようとしました。ガラス戸を開けて一枚目の雨戸に手をかけ、何気なく琵琶の木を見ました。日が沈んで薄暗くなった庭に、琵琶の木が一本静かにたたずんでいます。黄色い果実がたわわに実っていました。ただ、その日が特別だったのはそれが理由ではありませんでした。琵琶の木のすぐ横に、白髪の翁がすーーっと浮かび上がってきたのです。
     翁の全身は、神々しい光に包まれていました。この光についての説明が難しいのですが、Nさんが言うには、翁の体が光の光源になっていて、ピンポイントでものすごい輝きが放たれていたといいます。けど、全然まぶしくはなかったとのこと。その時Nさんはホントに一瞬で確信しました。このお爺さん、人間じゃないって。心の深い部分で。
     呆気にとられるNさんに対して、翁はにこにこ微笑んでいて、しばらくしたら静かにゆっくりと消えていきました。後には夢から醒めたような静寂だけが残ったそうです。
     この出来事があった後、じゃあNさんに何か重大な異変が起こったかというと、そういうわけではないといいます。
     何と言いますか不思議なお話を、聞かせて頂きました。
  • 13 通幻寂霊 id:vt-QHlnNsT0

    2011-07-24(日) 23:09:06 [削除依頼]
    No.10
    ◆「事情」
     あんまり怖くないかもしれないが、書いてみたい。
    オイラんちは田舎だから、すぐそばには、わりと綺麗な川とかそれなりの大きさをした山とかがある。野生動物についても蛙、川魚、蛇、鳥、狸、猪、熊と多彩なラインナップだ。
    で、これから話すのはゾンビついて。テレビのニュース番組なんかじゃ、都会ではやりたい放題やってるみたいだね。いや、あいつらのことかわいいマスコットみたいに思ってる人とかもいるらしいんだけど、実はかなり、したたかなんだよ。野生のゾンビは。
    近くに住んでるJさんが魑魅魍魎の言葉を聞けるようになっちゃったのは、小学校に上がってしばらくしてからのことだったらしい。それ以来様々な魑魅魍魎の声を聞いてきた。その一つが今から話すゾンビのこと。
     うちらの集落の近くに雑木林があった。その真ん中を一本の林道が通っている。緑のトンネルみたいな感じだ。
     明るいうちはけっこう利用者が多いんだけど、日が傾くと真っ暗になるから大人の男の人でも通らない。いや実は昼間でも女の人と子供は通らない。変質者とか人さらいとか出たら危ないから。そんな感じの所。
     Jさんはその道を朝の散歩に利用していたんだ。その日もいつも通り一人で歩いてた。そして雑木林の入口から100mくらい進んだ辺りで、それに遭遇したんだ。実は20mくらい入った所で気が付いてたらしいけど。
    「ちょw、待ってくれ」
    「そりゃ、ないよ〜」
    「あそこには三助が符丁を置いといたろ、たしか」
    「腹の調子がどうもな」
     ゾンビの集会だ。普通の人にはヴォーーヴォーーとしか聞こえない。
     林道の両サイドには杭が植えてあって鉄線みたいなものでつなげられている場所がある。そこにゾンビが何体もよっかかっていた。ちょうどJさんの頭と同じくらいの高さに。
     普通だったら引き返すさ。オイラだったらソッコウで逃げるよ。ゾンビの爪と歯は凶器だからね。
     けどJさんはそのままズシズシ進んでいった。
    周囲に鋭い緊張が走った、かに見えた。
     結論から言うとゾンビとJさんのバトルは起こらなかった。どうもJさんはそのあたりの機微がわかるらしい。
     後になってJさんが住民に話したこと。
    「ゾンビの中にはかなりヤバイのもいるよ。けどそれは人間でも、いるだろ? あんときゃ連中、人間の相手どころじゃなかったのさ。ん、何って、縄張りの協議さ。人間だって土地の境界線でゴタゴタすっべ?」
     それと同じさ、とJさんは苦笑いを浮かべて茶をすすったそうだ。
  • 14 通幻寂霊 id:vt-B5W3.fD0

    2011-07-25(月) 11:07:18 [削除依頼]
    No.11◆「糸」
     わたしの先輩から聞いた話です。
     先輩が中学生だったころ、夏休みに友達とショッピングモールへ買い物に出かけたらしいんですが、そこで奇妙な体験をしたと言うのです。
     そのショッピングモールの中央には、ちょっとした広場がありました。先輩達がその広場を通りかかった時に、ソレは現れました。ぼさぼさの髪で顏を覆い隠した女の人が、一人でのっそりと立っていたのです。なぜ女の人とわかったのかというと、白いワンピースを着ていて、やせた白い手足をしていたからでした。髪は異常に長くて、ヒザ上のあたりまで伸びていたそうです。
     けど、なによりもゾッとしたのは、背が物凄く高かったということでした。信じられない話ですが、2mを軽く超えている程だったというのです。
     ソレを見たのは先輩と友達の二人だけでした。不思議なことですが、周りにいたたくさんの人達は全く気付いていないようなんです。
     先輩達は「何あの人」「ヤバいよ、マジヤバいよ」「誰も気づいてないっ」と、ささやきあいました。熱い日差しが照り付けていたのに先輩達は寒気がしたそうです。
     すると恐ろしいことですが、少し離れた所からソレが先輩達に話かけてきました。
    「……を……い」
     先輩達はよく聞き取れません。
     ソレはゆっくりと近づいてきます。
    「……を……だい」
     ソレは固まっている先輩達のすぐ目の前までやって来ました。
    「××をちょぉぉぉだいぃぃぃぃ!!!」
    先輩達はソッコーでその場から逃げ出したかったのですが、なぜか足が動こうとしません。先輩は泣きたくなったそうです。
    すると突然、ソレが大声で叫びました。
    「ああ、ダメ、ダメなのぉぉぉ!もう遅いぃぃぃ!!」
    見るとソレの体が自分の髪によって縛られ始めました。もとから長かった髪の毛がニュルニュルと猛烈な勢いで伸び出し、ソレの全身に巻き付いていったのです。白いワンピースと白い手足が、みるみるうちに黒い生き物のような髪の毛に飲み込まれていきます。先輩達は奮えながらお互いを抱き合っていました。
     ソレの体は完全に黒くて長細い袋のようなものになり、上のほうに向かって伸びていきます。伸びるにつれて、巨大な袋はどんどん細くなり、最後には長い一本の糸のようになってしまいました。そしてその糸は風に揺られる火の粉のように宙を泳ぎ、薄れるような感じで空に溶けこんで行ったということです。
     そしてその時になってようやく、先輩達は体を自由に動かすことができるようになったといいます。
     ソレはいったいなんだったのでしょうか? また、ソレの言った××とはいったい……。そして、……。
     わたしが聞いた話は以上です。
  • 15 通幻寂霊 id:vt-B5W3.fD0

    2011-07-25(月) 22:58:52 [削除依頼]
    No.12
    ◆「小さな祠」
     友達の家に泊まりに行った時、そいつから、こんな話を聞いた。


     X県某町の山間部は、現在過疎化が急速に進んでいた。山のふもとに点在する家々には一応住人達が住んでいるわけだが、そのほとんどは高齢者となっていた。
     「古き詞は多く田舎に残れり」と荻生徂徠は書いている。詞は言葉であり、そして言葉は事場『ことば』でもある。今からおよそ百年前の話になるが、当時は村であったその町において一つの事件が起きた。
     村娘の一人に、「やえ」という名の少女がいた。肌の色は白かったが病弱というわけではなく、性格は闊達であり、そのため住民達からはやえチャンやえチャンと、たいへん好かれていたそうだ。
     ある夏のことだったが、このやえが奇妙な行動をとり始めた。一人でふらっと外に出ては、しばらく時間がたってから家に戻ってくる。何度かそのような事が続いた後、母親はやえが裏手の山に入って行くことに気が付いた。
    「さーちゃんと遊んでいたの」
     母親の問い詰めに対し、やえはそう答えた。だが村には、そのような呼び名の子供は一人もいない。心配した母親が父親に相談し、ある日父親はこっそりとやえの後をつけていった。
     山の入口には物置兼休憩所の小屋があった。父親は、小屋で遊んでいるなら叱らないといけないと考えていた。だが、やえはそこには目もくれずに、ずんずんと山を登っていく。子供の足の速さではなかった。父親は風を切るような速さにどうにかついて行ったが、心の中は不安でいっぱいだった。
    「どうしちまっただ。やえのやつぁよぅ」
     父親の心配をよそに、やえは黙々と進んでいったが、ある場所に来て足を止めた。
     そこは木立が開けた八畳から十畳ほどの更地だったらしい。足元には短い丈の雑草が覆い繁っていて、やえはしばらくの間そこに立ち止まっていた。
    「うん、わかった。とおちゃんにお願いしてみるね」
     そう言ってやえは、来た道を再び戻って行った。
     父親は木の陰からその様子を見送った後、一人で山を降りた。足が雲の上を歩くような感覚だったという。
     裏手の山の中腹に、ちっちゃくてかわいらしい祠が建てられたのは、それからしばらくしてのことだった。


     話を聞き終わった俺は、友達に疑問をぶつけてみた。その答えは以下のようなものだったので、一応書いておく。


    ・なぜ祠を建てたのか?
    父親はやえと話す童子の姿を見た。それは人間ではなかった。
    ・なぜやえの足は、ものすごい速さだったのか?
    童子だろ。じゃなかったら天狗の可能性もある。狐じゃないと思う。
    ・その祠は今もあるのか?
    土地開発なんかが無かったとすれば、あるはずだよ。


    俺が聞いたのは以上です。
  • 16 ‘‘理文” id:0akTV.F1

    2011-07-26(火) 14:22:22 [削除依頼]
    No.13 「インターネットの怪談話」

     私はインターネットを開けると、早速"怪談話"と検索した。
     すぐに検索結果が出てくる。適当にサイトを探し、適当に開ける。
     そのサイトには、いろいろな怪談が掲示されていた。
     どこかの掲示板らしい。
     夏、ということで百物語を皆で投稿しているようだ。
     私は一つ一つ適当に読んでいく。結構怖いものから、怖いというより笑えるものなど、いろいろな怪談があった。
     読んでいくうちに、「インターネットの怪談話」という題が目にはいる。
     インターネットの怪談話か……。ふむふむ。
     私はその微妙なタイトルに首を傾げながらも、読んでいく。
    『私はインターネットを開けると、早速"怪談話"と検索した』
     あれ……?
     最初の一行を読んで、ふと違和感を覚える。何かデジャブのようなもの。
     そのまま、なにか気になり、中身を読んでいく。
    『読んでいくうちに、「インターネットの怪談話」という題が目に入る』
     ………間違いない。これ、さっき私が考えたことだ。
     何だろう、これ。気持ち悪いな……。
     思いながらもそのまま先を読み進めてしまう。
     その小説で描かれている人物も同じようにしているようだ。そして、私よりも先に最後まで読み終える。まあ、そりゃそうだけど。
    『最後まで読むと、ふと、肩に手を置かれたような気がして、振り向いた』
     なんだ、この下手なパターン。面白いかね……?
     私はそのまま読み進める。
    『私は視線をパソコンに戻す。すると、急にぷつりと画面が消えた』
     で、この後はどうせパソコンから何かが出てきたとか、後ろを振り向くと誰かが居たとかでしょう?
    『そこで、唐突に画面がまた光を取り戻した。そして、そこには血だらけの人の顔があって……』
     ほらね。こんなことだろうと思ったよ。
     あ、まだ続きがあるみたいだな。
    『今、この小説を読んでいるあなたも、こんな目にあうかもしれないので、お気をつけくだされ……』
     うわ〜。これもまたベタだな。あ、そういやこんなことが少し前にもかかれてたな。『最後まで読むと〜』の三行前。
     まあ、私は最後まで読むと、ふと、肩に手を置かれたような気がして、振り向いた。
     って、あれ? え? 誰も、居ない?
     え、待って。待って。
     パソコンに目を戻そうとする私の行動を理性がとどめる。
     だが、結局、私は視線をパソコンに戻す。すると、急にぷつりと画面が消えた。
     やばい……、やばい……。マジで。これ、このまま行けば……。
     私の予想通り、そこで、唐突に画面がまた光を取り戻した。そして、そこには血だらけの顔があって……。

     ここから先、彼女はなにがあったかを覚えていない。今、この小説を読んでいるあなたも、こんな目にあうかもしれないので、お気をつけくだされ……。
  • 17 燎 id:v56Sbbz0

    2011-07-26(火) 15:35:09 [削除依頼]
    No.14
    「crush」

     カレは休日、家から割と遠いところにある公園で読書をして過ごす。
     成績良好、スポーツ万能、周りからの人望も厚いいわゆる優等生。クラスメイトからも一目置かれる、そういう存在だ。
     しかし人間だれしもストレスは溜まる。このカレとて例外ではない。カレはそのストレスを発散させる、変わった趣味を持っていたのだ。それは、誰にも知られてはならない、言うならば奇妙な趣味であった。

    「全くあの教師は……やたら大量に課題出しやがったな」
     今、まさに本を読み終わったところだ。本来なら二冊目の本に手を伸ばすところなのだが、普段よりも量の多い課題をこなさなければならないため、今日の読書をここで切り上げなければならなかった。
    「しょうがない……、アレをやろうかな」
     カレはポケットから飴玉を取り出すと、足元に無造作に落とした。
     すると、匂いを察知してか、働き盛りの蟻が押し寄せてきた。
    「ふふ、今日も集まってくる……」
     そう言ってカレは蟻を一匹つまみ上げ、指に力を込める。プチッ、と小気味良い音を残して蟻は潰れた。
    「今日も、良い音だなぁ……」
     そう。蟻を潰すことこそがカレの趣味であり、ストレス解消法なのだ。
     しばらくカレは一匹ずつ蟻を指で潰していったのだが、やがてじれったくなると両足を上げ、飴に群がる蟻を残らず圧死させてしまった。足元には無数の蟻の死骸が散らばっている。
    「ああ、気持ち良かった……また頑張ろう」
     
     そう言って立ちあがった時だった。
     重量感のある落下音と共に、何かが降ってきたのだ。
    「何だこりゃ?」
     直径二メートルはあろうかという赤色透明の球体。近寄ると、鼻を突く甘い匂いがした。
    「巨大な飴玉?」
     公園にいた人たちも、何事かとわらわらと群がってくる。ちょっとした騒動になった。
     
     ……騒動になっていたから、誰も気づかなかった。
     空の向こうから、群衆めがけて巨大な手が伸ばされている事に。
     そしてその手は野次馬のうちの一人をつまみ上げ……。
  • 18 通幻寂霊 id:vt-kwcuayG.

    2011-07-26(火) 22:45:25 [削除依頼]
    NO.15『隣人』
    1.
     前の話書いてたら思い出した。すっごく似たのがあったんで、書かせてもらいます。俺の叔父さんが、若いころに一人暮らししてた時の話。


     叔父さんの部屋ってのは古いアパートの二階にあったんだ。階段を昇って、すぐ一つ目の部屋。ほかの部屋もそこそこ住人でうまってたらしい。
     その日叔父さんは、仕事が終わって夕方の5時過ぎあたりに帰ってきた。本格的な夏の時期のことで、日が沈みかけるころには風が吹き出していた。空にかかってる雲は薄く、雨が降る様子は無かったらしい。
     ドアの鍵を開けて部屋に入った叔父さんは、さっそく一つしかない窓をあけ、扇風機のスイッチをONに。そんで冷蔵庫に入ってる缶ビールを取り出して一杯やり出した。しばらく一人で飲んでたら、なんか体がダルくなってきたんで横になった。案の定、ウトウトし始めた。窓の外では風が吹き、部屋の中は生あったかい感じだったそうだ。
     次に目覚めた時は既に空が暗くなってて、窓から見た外の様子では、日暮れ当たりに吹いてた風がもうやんでいた。そしたら階段を昇る靴の音が聞こえてきた。カツン、カツン、カツン、カツンと音がした後、壁の向こうでラジオの音が鳴り出した。どうやら隣人が帰ってきたようだ。そしたら叔父さん、また眠りに入っちゃった。そんでまた目が覚めるんだけど、そん時はもう夜中だったらしい。やべえやべえって、ボーっとしながらも窓を閉めて鍵をかけた。で、またゴロンと横になったら、なんか音が聞こえる。なんだよ、ラジオつけっぱなしじゃねーかと思った。けどその日はなんか様子がおかしかったんだ。となりからラジオが聞こえてくるのはよくあったことなんだけど、今までこんな時間にラジオがついてたことは一度もなかった。しかも、なんというか隣の部屋に奇妙な気配を感じたらしいんだ。ふと叔父さん、あることに気がついた。さっき隣が帰ってきた時、ドアあいたか? 普通もならバタンて音がするはずだった。変な胸騒ぎがした。
     叔父さん静かに扇風機を止めて、壁の向こうの様子に耳をそばだてたらしいんだ。そしたらかすかに、ピチゃピチゃって変な音がする。聞こえるか聞こえないか、かすかにピチャピチャって。なんの音だありゃ、もしかして蛇口をしめ忘れてんのか? と思った。けどすぐにちがうってことに気がついた。その音は壁をはさんだすぐ向こう側から聞こえてきたからさ。アパートの間取りはどの部屋も同じはずで、流しは別の所にある。こんな耳元で聞こえるわけはないんだ。しばらく考えを巡らせていた叔父さんはある事に思い到った。
    「喰ってる……」
  • 19 通幻寂霊 id:vt-kwcuayG.

    2011-07-26(火) 22:45:59 [削除依頼]
    NO.15『隣人』
    2.
     けど普通の食事で出すような音じゃなかった。叔父さん、わけのわからない寒気がした。腕を見たら鳥肌が立ってて、こめかみの辺りがピクピクする。叔父さんにとって、まずいことが起きる前触れだった。
     するとコン、コン……。
    叔父さんの部屋のドアを誰かが叩いた。
    コン、コン、コン。
    また叩いた。叔父さんはシカト。というか動けなかった。
    ドンドンドンドン!!
     今度は猛烈に叩いている。
    ばーーん!!!ばーーん!!!ばーーーん!!!
     ドアがぶっ壊れると思った叔父さんは観念して立ち上がり、怖いながらもドアに近づいていった。
     ドアの前に立った叔父さん。びりびりと震えている扉ののぞき穴から、外の様子を恐る恐る、うかがった。
    「ヒャッ!!!」
     叔父さんは後ろにブッ倒れた。のぞき穴の向こうで、でっかい顏がぺったりと張り付くようにこっちを見ていた。顏には目と鼻と耳がなく、口だけがある。
    なんじゃありゃぁ。
    ガチガチガチガチ
     叔父さんは生涯初めて、歯を鳴らして怯えたらしい。押し入れから布団を引っ張り出して頭からかぶって震えていた。
     ドアを叩く音は止んでいた。けど隣の部屋からはさっきまでよりもでかい音が聞こえてきた。
    −−ラジオじゃねーぞあれ!
     それまではラジオだとばっかり思っていたが、どう考えても違う気がした。じぁあ何なのかというと、よくわからない。
    バリーーン!!
     「ヒッ」と呻く叔父さん。
    ギャァーーーーン!!!
     この世のものとは思えない叫び声を最後に、全てが静かになった。時刻は午前2時をまわっていた。
     叔父さんは翌日、大家との手続きを済ませ、たった一日のうちに速きこと風の如く、疾風怒涛でそのアパートを出ていった。
     


     10年以上の月日が流れ、叔父さんは俺にこう言ったんだ。
    「宇宙人て奴は、わりと頻繁に地球へ来てるんだろうな」
     叔父さんが一日で引っ越した際、隣の部屋の様子は全く見なかったということだ。
  • 20 通幻寂霊 id:vt-kwcuayG.

    2011-07-26(火) 23:30:04 [削除依頼]
    NO.16
    『夏の日』
     宇宙的視野を持つ叔父さんが子供だったころの話。ここでは叔父さんの名前をA(仮名)とします。


     Aの実家は地方都市の隣町にあった。都市っていってもそれらしく栄えていたのは中央にある市街地だけで、そこから外れれば、のどかな田園が広がるような地域だった。
     夏休みの某日、Aは親に連れられて市民プールに行った。プールは市街地の端にある。しばらくプールで楽しく遊んだ後、二人は父親の友人家族と合流した。すぐそばには芝生の開けた場所があったので、レジャーシートを広げてちょっとした野外会食を始めた。
     空は茜色がかり、くぬぎやコナラその他の茂みになっている辺りは、薄暗くなってきていた。
     実はすぐ近くには神社もあって、社の周りには大きな木が何本も生えている。Aはカブトとクワガタ目当てに、そちらの方へと一人で入っていった。
     薄暗い木々の中にある神社は、なかなか不気味なものがあった。確かに神様のお社ではあるが、隙をついてどんな怪異が入り込んでくるかわからない。そんな気にもなってくる。
     木々は神社を取り囲むように生えていた。Aは社の前にあるそれらしい木を見て回ったのだが、どうもお目当ての昆虫はいないようだ。少しずつ奥の方へと入り込んでいった。Aが知らず知らずのうちに社の側面に沿って裏手へ廻り込もうとしていたときのことだった。
    「……イ……タ……」
     Aは、ん? と耳をそばだてる。何か声のようなものが聞こえたが、どこからかはわからない。
    「イ……タ……イ」
     どうも「痛い」と言っているようだ。しかし場所はまだいま一つ、はっきりとしない。
    「どこが痛いの?」
     Aは確かめるために、たずねてみた。
    「ハラジ……ヤ」
     ハラジヤ、ハラ、ジャ。
    「あぁ、お腹か」
     とりあえずAは、近くの木の根本から上のほうまで注意して見てみたが特に変わった様子はない。
     しばらくその場で考え込む。するとA、もしやと思って木の裏側に回ってみた。再び根本から順に上に向かって調べてみた。
    「あった!」
     Aの頭よりも上の位置に太いクギがささっている。よく見ると、何かが木にへばり付いていた。
    「これ?」
     と、問いかけるA。
    「イタイ」
     今度ははっきりと苦悶の声が聞こえた。
     Aには手が届かなかったので、戻って父親を連れてくることにした。
    「ちょっと待っててね!」
    そう言ってAは広場のほうへと走っていった。


     俺はたまらず叔父さんに聞いた。「で、その後どうなったの?」って。すると叔父さん、「そっれが、よく覚えてねぇんだわ」だって、笑いながら。本当に覚えていないんだろうか。だってそれ……。
     叔父さんが耳にしたのは木のつぶやきだったのか、それとも神の声だったのか、それとも……。
  • 21 通幻寂霊 id:vt-E.onb5T1

    2011-07-27(水) 23:21:52 [削除依頼]
    No.17 《心の住人》
     私の母から聞いた話です。
     今はもう無くなってしまったのですが、母の実家は平屋建ての一軒家でした。
     母の部屋はふすまで仕切られていて、東側に廊下、西側に物置部屋、南側に仏間、北側はガラス戸になっていて、その外には車置き場がありました。
     奇っ怪な現象が起きたのは東の廊下でした。どうも何かが居ついているようなのです。母の家はペットを飼っていませんでしたし、もちろんそれは家族のことでもありませんでした。
     奇妙な事が起きるのはいつも決まって夜になってから、だったといいます。
    ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダっ!!
     夜になると必ず、何者かが廊下を猛烈に走っているのです。母はわりと冷静に、おかしいなぁと思ったそうです。廊下の長さは3m程しかありませんでしたし、なぜかそれ程おびえる風でもなかったといいます。
     母は、もし幽霊がいるならそれはそれで構わないと思っていました。
     ある日の夜のことです。部屋で寝ていた母は物音に気づき目を醒ましました。いつものように何者かが廊下を走っています。またかと思った母は、なんとはなく廊下に向かって声をかけたのです。
    「走っているのはどなたですか」と。するとそれまで間断なく響いていた足音がピタリと止まりました。母は、聞こえたのかなと思い、ふすまに目を向けます。すると寝る前にはしっかりと閉じたはずのふすまが、なぜかほんの少しだけあいていました。母は暗闇に目を凝らして、そのすき間の向こうを見ました。誰か人が立っていました。廊下についている小さな裸電球のせいで、その人の姿が影になっており、よく見えません。 母はなおもじっと目を凝らしました。するとその人の顔がかすかに見えてきました。般若のような顔の女が、ふすまのすき間から寝ている母を睨んでいました。あまりに顔の印象が強烈だったために、どのような服を着ていたかということはわからなかったそうです。ただとても恐ろしい形相でしたが、母が言うにはどこか悲しげなところがあったといいます。母はなぜか理由もわからず意識が遠のいていったそうです。気づいた時には翌朝になっていました。しかし前夜の出来事については、はっきりと覚えていたそうです。
     その日以来、奇妙な足音は全くしなくなったということでした。


     この話には続きがあります。
     母が少し大きくなってからのことでした。
     母が風邪をこじらせ、悪いことに別の菌に感染してしまったのです。母は起きることもままならず、布団に寝込み、絶え間無く襲ってくる嘔吐に何日も悩まされ続けました。
     いつまでこんなことが続くんだろうと涙をにじませながら苦しんでいたある日のことです。あまりの辛さに母(母のお母さん=私の祖母)の名を叫んだのだのだそうです。
    「お母さーん、お母さーん」
    かすれる声を必死に喉からしぼり出していましたが、母親は家の中の別の場所におり、来てくれません。
     すると高熱により、もうろうとする意識の中で、誰かが母の枕元に座りました。その時、母は直感的に気付きました。今、枕元に座っている人があのときの女の人だということを。
     女の人は特に何かをしようとする風ではありませんでしたが、苦しむ母のそばに、じっと寄り添ってくれたといいます。それは心細く苦しんでいる母にとって、たいへん大きななぐさめになりました。
     その後、母は回復し元のように生活できる状態に戻りました。
    母は言います。あの女の人は私(=母)の中に住んでいるのかもしれないと。母の心に何か大きな異変が起きたとき、あの女の人は現れるのではないか、と……。


     母から聞いた話の一つをご紹介させていただきました。
     読んで下さり、ありがとうございました。
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