好 き で す 、 実 は 。8コメント

1 にあ. id:WLSJjiX/

2011-07-20(水) 21:35:56 [削除依頼]
『これで、始業式を閉式致します。担任の先生に従って――』

「はぁ・・・腰痛ぇー・・・。」
私の肩に手を掛けながら、溜息混じりに呟いた。
「このクラスのまま、最後の1年間を過ごしたい。」
「ねー・・・せっかく慣れてきたところなのに。」


小学校生活最後の始まりでもあり、 恋の始まりでもあった。
  • 2 にあ. id:bLf7rCr0

    2011-07-22(金) 16:55:42 [削除依頼]
    西校舎3階多目的室にて、クラス替えが行われた。
    私にとっては、最大のイベントだ。
    「では、それぞれのクラスの担任の紹介を行います。」
    生徒指導担当の先生が、足を引いた。
    「6年1組担任の、“中澤 徹”です。君達は、小学校生活最後だ。この6年間で
    一番心に残る1年間であってほしい。宜しくお願いします。」
    拍手が起こる。私も慌てて、皆に合わした。
    「6年2組担任の、“永松 千尋”です。5年生、そして6年生と連続して、
    2年間君達と過ごせて嬉しいです。宜しくお願いします。」
    女性の先生でも人気な“永松 千尋”先生は、5年生の時にお世話になった。
    「6年3組担任の、“愛田 雄也”です。学年主任でもあります。宜しくお願い
    します。」
    先生達の自己紹介が終わると、次は転入生の自己紹介に移った。
    「続いて、2人の転入生の自己紹介を行います。」
    後ろから、男子と女子が現れた。
    最初に男子、次に女子が自己紹介をした。
    「6年2組の“黒木 寿弥”です。宜しくお願いします。」
    「6年3組の“荒井 千尋”です・・・宜しくお願いします。」
    自己紹介を終えた後、すぐに定位置に戻った。
    「では、早速クラス発表を行います。名前を呼ばれたら、前へ出てきて下さい。」
    その途端、少しざわつき始めた。


    「名簿28番、水口 紅。」
    数分後、私は願っていた2組のクラスへ属した。


    クラス発表は無事終わり、自教室へ移動した。
  • 3 にあ. id:bLf7rCr0

    2011-07-22(金) 17:26:57 [削除依頼]
    ―弓道道場にて。

    正確には覚えていないが、私は幼い頃から“弓道”を習っている。
    去年の春に行われた府大会では、優勝もした。
    この調子で稽古に励み、全国大会でも良い活躍をしたいと思っていた。

    そんな中、とんでもない事が起こった。

    「今日は、新しい仲間を紹介する。」
    珍しいな、とも思いながら、その“新しい仲間”が姿を現した。
    (見覚えのある顔・・・どこで見たっけ。)
    「蒼葉小学校6年、“黒木 寿也”です。宜しくお願いします。」
    (嘘だろ!・・・昨日の転入生じゃねぇかよ!)
    咄嗟に顔を下げ、なるべく気付かれないように話を聞いていた。
    「黒木君は、去年の府大会で準優勝、今年の全国大会の予選も余裕で通過
    している。弓道を習って6年だそうだ。」
    (去年の府大会で準優勝!?・・・そういえばこんな奴いたかも。)
    「準優勝じゃ甘いなー・・・水口なんて優勝だろ?」
    隣に座っていた男子が口を開いた。
    (お前余計な事言うなよ!!・・・完全に誰かバレた・・・)
    「“水口 紅”・・・?お前、そういえば昨日いたよな。」
    「えっ・・・まあ、いましたけど・・・。」
    極度な人見知り、こういう時は本当に困る。
    「お前も弓道習ってるんだー・・・イメージ違くね?」
    「そ、そう、ですかね・・・」
    (こういう時って敬語なのか?タメ口で喋るのか!?)
    「去年の府大会は悔しかった。お前も、今年の全国大会の予選通過したろ?
    ライバルだからな、お互い頑張ろう。」
    「あ・・・ええ、はい・・・。」
    (これからどうすればいいんだよ!!)
  • 4 にあ. id:bLf7rCr0

    2011-07-22(金) 17:41:23 [削除依頼]
    「予告通り、席替えをしたいと思います。」
    先生は、黒板に席順を書いていった。
    「男女3人ずつ班長を決め、順に生徒を選ぶ形で決まりました。視力や背の関係
    での移動は、また後日行います。」
    私は、5年生の時に初めて同じクラスになった、“青山 楓”という子に
    私を選ぶ様に言い、今のところ男子にとられる事は可能性としては少ない。
    大の友達で、賢く運動神経抜群で、憧れでもある。
    「では、窓側の席から順に書いていきます。」
    (楓に選ばれています様に!・・・男子は誰なんだろ?)


    「では、黒板に書かれた場所に移動して下さい。」
    そして数分後、移動が完了した。

    楓に選ばれたのは良かったものの、最大の危機が到来する。
  • 5 にあ. id:bLf7rCr0

    2011-07-22(金) 17:48:27 [削除依頼]
    「水口、同じ班だな。」
    なんと、楓が選んだ男子の中には、あの“黒木 寿也”がいた。
    (まじかよ・・・・・。)
    「どうも・・・。」
    「お前も遠慮なく“黒木”って呼べよ。俺はお前の事“水口”って呼ぶからさ。」
    「うん・・・。」
    (人見知りなんだから遠慮するに決まってるじゃん・・・。)
    「何、人見知りだから遠慮するに決まってるって?」
    (なんて奴だ!人の心を読み取る様な真似・・・。)
    「図星だな?まぁいい、こっちでも道場の方でも宜しくな、水口。」

    恋というのは、最低なスタートから始まる。
  • 6 にあ. id:dteZ.QP/

    2011-07-31(日) 16:04:11 [削除依頼]
    季節は夏に近づき、6月下旬となった。
    梅雨明けも、今週末だそうだ。
    今も雨は少し降っているが、太陽は雲から顔を出していた。

    昼食、清掃も終えての5時間目。算数の授業だ。
    一番疲れが出やすい時間で、黒板に書いてある事さえも、ノートに写す気が
    起きなかった。
    そんな中、教科書の練習問題を解いている最中、前の席に座っている
    黒木が後ろを向いて来た。
    「何?」
    黒木は、私のノートを見つめている。
    「おま・・・問題と解答写してるだろ、やめろ!」
    「急に下品な口調になったもんだな。」
    「良いから前向いてろっ。」
    黒木は、意外と素直に言うことを聞いて、前を向いた。
    「はい、それでは練習問題を解いてもらおうか。黒板に書いてくれる人、
    誰かいないか?」
    先生がそう言うと、すぐに黒木の手が挙がった。
    「んじゃあ、黒木と・・・もう1人いないか?」
    すると、黒木が口を開いた。
    「先生、水口さんがやりたいそうです。」
    (おまっ・・・んな事は一言も言ってねぇ!)
    そう言った途端、黒木が後ろを向いてき、私の腕を掴んで、無理矢理手を
    挙げさせられた。
    「くっ黒木、やめろ!」
    「行くぞ。」
    (何でこんな事になるんだよ・・・。)
    仕方なく、黒板に問題と解答を書き、急いで自席に戻った。
    すると、また黒木が後ろを向いてきた。
    「・・・今度は何の用?」
    「何でこんな事したか分かる?」
    「とんでもない辱めを受けた・・・何、面白がるため?」
    「夏休み中にある、弓道の稽古の時教えてやるよ。」
    笑いながら、黒木は前を向いた。
    (意味分かんねぇ・・・。)
  • 7 にあ. id:dteZ.QP/

    2011-07-31(日) 16:21:24 [削除依頼]
    ―弓道道場にて。

    「夏にある全国大会まで、あともう少しだ。気を抜かずに稽古に励め。今回は、
    大会出場者がこの道場から4人だ。特にその4人は、稽古をしっかりする様に。」
    (大会か・・・あの緊張感が嫌い・・・。)
    幼い頃は、皆の前で矢を放つだけでも緊張して、体調を崩すことが多かった。
    最近でも、大会前に体調を崩すことがあった。
    「では、皆、稽古に戻れ。」

    「水口、稽古が済んだら、道場の倉庫前で待っとけ。」
    黒木だった。
    「何、また用があんの?」
    「用が無かったら、わざわざ呼ばねぇよ。話があるんだけど。」
    (面倒だな・・・。)
    「うちは話無いから帰る。」
    「理屈っぽいな。」
    「お前に言われたくないね・・・。」
    「とにかく、倉庫前でな。」

    本当のスタートは、ここから。
  • 8 にあ. id:dteZ.QP/

    2011-07-31(日) 16:58:27 [削除依頼]
    稽古が済んで、仕方なく倉庫前に足を運んだ。
    黒木は、まだ居なかった。
    (黒木が言い出しっぺのくせに来てないとか・・・むかつく奴。)
    数分後、黒木がやって来た。
    「待たせた?」
    「別に・・・・・んで、話って何?」
    「前、算数の授業中に言ったろ、“夏休み中にある、弓道の稽古の時
    教えてやるよ”って。」
    「ああ・・・でもまだ夏休みじゃないんだけど?」
    「面倒だから今言う。」
    すると、話し声が聞こえてきた。

    「黒木と水口、何してんだろうなぁ?」
    「まさか・・・転入してきたところなのに告白か?」
    「まじか!・・・今日、黒木が水口に倉庫前に何々とか言ってたけど。」

    (あいつら・・・!変な誤解生じてんじゃねぇか!!)
    「倉庫に隠れっぞ。」
    腕を掴まれ、無理矢理倉庫に入れさせられた。
    すると、また話し声が聞こえた。

    「今、倉庫の戸閉まる音聞こえたんだけど。」
    「絶対あの2人だろ・・・あ!」

    (あいつら何考えてんだ?急に静かになったけど・・・。)
    そう思っている途端、倉庫の鍵がかかった音がした。

    「2人がいるのは分かってんだよ。ごゆっくり!」
    「超面白ぇー!!」

    笑いながら、弓道仲間の連中は去っていった。
    「ちょっ・・・どうすんだよ!!」
    「俺に聞くなよ・・・。」
    「だから行きたくなかったのに・・・!」
    「んじゃあ、今から、その後悔の気持ち―なくしてやるよ。」
    「は、意味分か・・・・・!!」
    いきなり、腕が身体を包み込んだ。
    「なっ何してんだよっ!!」
    「照れ隠しはよせよ・・・鈍感だな―水口。」
    黒木と水口、共に鼓動を打つのが早くなっていく。
    倉庫の中は暗くて、何が起こるのか分からない。
    でも、自分がそのスリルを許している―。
    「お前と出会って、同じクラスになって、同じ班になって、同じ道場の仲間に
    なって―今思うと奇跡だよな。」
    「・・・ッ・・・・。」
    「いつの間にかお前しか見れなくなってた・・・。」
    「冗談やめてよ・・・。」
    「冗談だったら、わざわざこんな皆の目につかねぇ所で言わねぇよ・・・。」
    「自分勝手な・・・。」

    「―お前が好きだ・・・。」

    唇が重なった瞬間、黒木の体温が伝わってきた。
    身体中が熱くなる―今、私はどんな顔をしてるんだろう。
    自分も、いつの間にか黒木のことが好きだったんだろうか―。
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