奇妙な世界へようこそ(短編)4コメント

1 aki id:rB4xZjg/

2011-07-15(金) 16:42:02 [削除依頼]
14時35分

突然後ろから声をかけられたので驚いた。
彼女は、丈の長いスカートの制服に頭にはバイク用のヘルメットを被っていた。
「君、それを仕上げるの、面倒なんでしょ?
 代わりに僕がやってあげるよ。一瞬にしてね。」
彼女が言うそれとは、おそらく私が今左手に持っている、未完成な美術の作品のことだろう。
それにしても、こんな暑い日にヘルメット。いや、たとえ暑い日でなくてもそんなものは被らないだろう。この子、頭がどうかしているのか?
私がそんなことを考えていると、ヘルメットから声がしてきた。正確に言えば、ヘルメットの中の少女の口から声が発せられたのだが、まあどうでもいい。
「ねえ、聞いてる?
 僕が君の夢を一つ叶えてあげるよ。」
「夢?」
「だから言ってるじゃん。その宿題面倒なんでしょ。
 だからすぐに終わらせたい。でも、自分でやるのは面倒だ。誰かにやって欲しい。そうでしょ?」
彼女が私の顔を覗き込むようにして首をかしげる。
「だから、僕がやってあげるって言ってるじゃん。一瞬でね。」
一瞬で?は?そんなこと出来るはずがない。とことんいかれた子だ。
「君、今僕の事行かれてるとか思ったでしょう。」
「ええ、そうよ。」
私は素直に答えた。
「まあ、いい。皆最初はそんなもんだ。
 でもさ、証拠を見せれば、信じる?」
そんなこと、出来るはずがないんだ。
「たとえば、あそこにいるカラス。ウザイよね?消したげよっか?僕の力を使えばそんなこと簡単さ。」
私は自信過剰な彼女の話し方に、少々イラついてくる。
「じゃあ、やってみれば?本当にできたら、あなたのこと、信じてあげる。」
彼女が一瞬、ヘルメットの中で笑ったような気がした。
「じゃあ、やるよ。1,2の3!」
カラスは消えた。死んだのではない。本当に消えたのだ。この世界には、あのカラスはもともと存在しなかったとでも言うように、一瞬にして消えた。
私は驚きのあまり、息することもままならなかった。
彼女の顔を見る。
「ネ、言ったでしょ?これで信じてくれた?」
私は声を出さず、頷く。正確に言えば、声などでなかった。
少女は楽しそうな声で言う。
「じゃあさ、僕と取れ引きしようよ。」
「取引?」
私はやっと出た声で、彼女に聞き返す。
「そう、取引。僕は、君のその面倒な宿題を一瞬にして終わらせてあげる。もちろん、完璧にネ。
 その代わり、二つほど条件がある。まず一つ、ここで、僕と会った事、僕がして見せたことは誰にも言わない。二つ目、君の寿命を一日ちょうだい。」
キミノジュミョウヲイチニチチョウダイ。
「な、何を言ってるの?寿命?そんな馬鹿な。」
「馬鹿な?まあ、君がどう思おうと僕には関係ない。でも、うまい話だと思わないかい?たった一日だよ?たった一日の命を僕にくれたら、君はこの面倒な宿題から開放されるんだ。」
私の心は揺らぐ。まあ、確かにたった一日よね。
「いいわ。その条件、のんだ。」
「取引成立だね。」
彼女は私の手から画用紙を取る。
本当に一瞬だった。本当に一瞬で、私の画用紙には、さっきと比べ物にならないようなものが描かれた。
「じゃあ、君の一日分の寿命をもらうよ。」
そう聞こえたかと思うと、彼女は一瞬にして消えた。
  • 2 aki id:rB4xZjg/

    2011-07-15(金) 16:56:59 [削除依頼]
    23時40分

    私は自分の部屋にいた。
    先程の画用紙を見つめる。
    「本当だったのよね。夢なんかじゃない。」
    私は不思議な気分で床に着いた。

    11時30分

    美術の宿題を提出する時間。
    私はあの絵を持って、先生のところまでいく。
    「先生、やってきました。」
    その瞬間、空気が変わった。先生だけでない、そこにいた誰もが私に注目した。
    「こ、これ、本当にあなたが?」
    信じられないとでも言うように先生が私に問う。
    「はい。もちろん」
    その瞬間から、私を見る周りの目は変わった。

    14時00分

    今日は、月に一度の病院の日。
    私は生まれつき心臓が弱く、その検査に毎月行くのだ。
    給食を食べ終え、帰り支度をし、私は学校を出る。
    まだ病院の時間には、早かったので、私は、昨日少女と会ったところへと行く。
    そこは人通りが少なく、閑散としていた。
    しばらくここにいたら、彼女に会えるかもしれないという期待を胸に、私は近くのベンチに腰を下ろす。
  • 3 aki id:rB4xZjg/

    2011-07-15(金) 17:09:49 [削除依頼]
    14時33分

    ベンチに座り、風に当たっていると、急に胸が痛くなった。
    「何これ」
    私はその場に倒れこむ。
    誰かの足が見えた。上を見ると、そこにはあのヘルメット姿の少女が見えた。
    「もう時間みたいだね。残念。僕とあんな取引しなければ君は死なずにすんだのにね。」
    どういうこと?死ぬ?私が?
    「どうやら自分がおかれている状況がわかっていないみたいだね。僕は優しいから説明してあげるよ。」
    そう言うと彼女は、しゃがみこんだ。
    「君の寿命は、明日までだったんだ。というか、何もしなければ明日までだったんだ。僕と取引きをする、昨日まではね。」
    え!?
    「そして、今日いくはずだった病院の定期検査で、君の心臓の問題が分かる。で、それで急いで治療をし、君は助かる。というはずだったんだ」
    少女は笑う。
    「でも、残念。君はもう助からない。不幸なことに、昨日僕に出会ってしまったからね。」
    そう言うことだったのか。私は彼女を睨む。
    でも、もうだめだ。苦しい。私は目を閉じる。
    「さよなら、不運な少女よ」
    最後に彼女の声が聞こえた。
  • 4 aki id:rB4xZjg/

    2011-07-15(金) 17:12:47 [削除依頼]
    終わりです。
    ちょっと、バッドエンドですかね?
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