TRURH−独りぼっちの嘘つき―4コメント

1 Rui id:JMJNKil0

2011-07-12(火) 15:51:49 [削除依頼]



――歓声の下に埋もれた犠牲があった、
  • 2 Rui id:JMJNKil0

    2011-07-12(火) 16:15:42 [削除依頼]

    #00,Prologue

    今世紀、最も血の流れた戦争が終わって2年の時が過ぎた。
    瞼の裏に覚えている少女はまだ18歳でとまっているのに、気づけば俺は大人になっている。

    雨上がりのぬかるんだ道を踏みしめ、俺は「立ち入り禁止」のロープをくぐった。
    露に濡れた草木はより一層その緑を鮮やかに映し出し、見上げれば何処までも透きとおった青空が広がっている。
    きっと、「平和」なんてこれで十分だったのに。
    何よりも、誰よりも平和を望んだあの少女に、この穏やかで静かな世界をどうか見せてあげたかった。
    ……なんて、俺にそんなことを望む資格などないけれど。

    薄暗い森の奥へと進むと、ツタの絡まる石碑が見えた。
    石碑と言っても、英雄を称えるような立派なものではない。
    「二度とあの悪霊が目覚めぬように」と、去年亡くなった爺さん……里長が作ったものだ。

    石碑の下にうめられているのは、悪霊なんかじゃない。
    俺が世界で唯一愛した少女の遺骨だ。

    俺は石碑の下に少女が大好きだった林檎と銀色の指輪をおいた。

    ――愛してる。

    今までも、これからもずっと変わらずに。
    指先で石碑にそっと触れてみると、ひんやりと冷たかった。
    石碑に数滴の雫が零れた。耐えられなかった俺の涙。

    俺は少女を信じることができなかったんだ。
    少女はたった一人で里を救おうと戦ったのに。
    今更石碑の前で謝るなんて都合がよすぎるのかもしれない。

    ふと、藍色の蝶が石碑に触れた俺の指にとまった。

    「カオル……?」

    無意識にそう言葉が漏れた。
    蝶はその美しい羽をゆっくりとたたんだ。

    「許してくれるか……?」

    蝶は再び羽を広げて見せた。
    俺が笑うと蝶は青空に飛び立っていった。

    ――ありがとう。

    大人になった俺は、少女が眠る石碑に誓おう。

    カオルが救ったこの平和な里の未来を守っていこう……。
  • 3 Rui id:JMJNKil0

    2011-07-12(火) 16:35:26 [削除依頼]

    石碑の隣に腰かけた。
    目をつぶれば浮かんでは消える過去の思い出。
    少しだけ、物語を思い出してみようか……。


    #01.you


    平和なんて夢見てるのは馬鹿だけだと思っていた。

    「無理」
    「無理じゃないよ」
    「あきらめろ」
    「絶対あきらめないから」
    「無駄だって」
    「無駄じゃないよ!」

    何をムキになっているのか。こいつも、俺も。
    しまいにはこの女、目に涙がたまり始めている。

    「泣くなよ」
    「泣いてないよ」

    下唇をギュッとかみしめて、堪えているのか顔を真っ赤にしている。
    俺はひとつため息をついた。

    「お前何でそんなにこだわるんだよ」

    これは、何度も聞いた質問だ。

    「アンタなんかに教えない」

    これも、何度も聞いた回答だ。

    このやり取りで、俺たちの言い合いはいったん終了する。
    なぜかこの女と話していると陽は落ちていて、仕方なく毎回こいつを家に送って帰る。
    帰り道はほとんど無言で、少し後ろからあいつがついてくる。
    俺はなぜかあいつが遅れないように歩幅を合わせて歩く。

    いつからだろう、このやり取りが日課になったのは。

    家に着くと、こいつは全然恐ろしさのない目で俺を睨む。

    「明日は絶対納得させるから」

    「バイバイ」とか、「送ってくれてありがとう」の代わりなのか。
    俺はまたわざとため息をついて昨日と同じことを答える。

    「せいぜい楽しみにしてる」

    そう言えば、こいつの口元が少しだけ緩むから。
    無愛想で、勝気で、全然可愛げのない女だけど……。
    俺が惹かれているのも事実で。そんな自分が不思議で。
    毎日俺は必死で胸の激しい鼓動を隠していた。
  • 4 Rui id:JMJNKil0

    2011-07-12(火) 16:46:34 [削除依頼]

    俺らがなにに対して喧嘩しているのかというと「平和」についてだ。
    俺も含め、里の住人全員があきらめておとなしくしていると言うのに、あの女だけは馬鹿みたいに信じている。
    子供なのか、理解していないのか……理解したくないのか。
    どっちにしろ、この里の中であの女を相手にしてるのは俺だけ。

    30年前から里内で争いが絶えず起こっていた。
    というのも、この里の中には2つの人種がいるのが原因。
    ひとつは風を操ることのできる「風牙一族」。
    もうひとつは雷を操ることのできる「雷牙一族」だ。
    もともとなぜ同じ里にいるのかも、いつから同じ里にいるのかも不明。
    俺たちが生まれたときには既に争いがはじまっていた。

    風と雷。性質の違う2つがまじりあうことなどないのに。
    仲良くさせるなんて不可能だといつになったらわかるのだろう。
    まあ、仕方がないと言えばそうなるが。

    女の名前はカオル。
    里で唯一雷と風2つの性質の間に生まれた子供だった。

    両親が愛し合えたのだから、里の住人も理解しあえるとでも思っているのだろう。
    2つの性質を持っているせいで熱がでやすかったり、風邪をひきやすかったりと免疫力が低いことも認めないんだ。

    カオルの両親は、それぞれの一族の裏切り者として処刑されている。
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