ときめきの因数分解 /+*☆16コメント

1 姫ヶ嬢 ムウマ id:d/MxcFA0

2011-07-10(日) 15:46:06 [削除依頼]

PROlOGUE /+*☆


大嫌いな数学の授業。

いつも私の元に 送られてくるのは

隣に座る彼からの 小さなメモとアメでした。
  • 2 姫ヶ嬢 ムウマ id:5sJii811

    2011-07-11(月) 21:46:41 [削除依頼]

    ――数学の時間。

    今日も隣の席に座る 彼…織田修斗(オダ シュウト)から

    小さくひねった紙が 送られてくる。

    私 古桃うらら(コモモ ウララ)は

    先生に見つからないように ねじねじのメモを開いた。

    可愛いクマが はしっこにプリントされたメモには

    綺麗な字で 書き込まれた数式と答え

    それにいつも 修斗がくれる

    おまけみたいなアメが 添付されてる。

    今日はイチゴ味だ。好きなんだ このイチゴアメ。

    私は教えてもらった数式を ノートに素早く写して

    もらったメモをていねいに ペンケースの中にしまった。

    それから別のメモに さらさらとメッセージを書き込み

    修斗がしたように 投げ返す。

    メモには一言だけ できるだけていねいな字で

    「アメと数式ぁりがと☆」とだけ書いて送った。

    それからイチゴアメを 口に放り込む。

    アメは甘くてちょっとすっぱくて それはまるで

    私の 修斗への恋を表してるみたいで――

    だから私は 修斗がいつも数学の時

    計算を教えるついでに おまけしてくれる

    このアメ玉が好きだった。
  • 3 姫ヶ嬢 ムウマ id:5sJii811

    2011-07-11(月) 21:50:54 [削除依頼]

    「ありがとね 修斗」

    数学が終わり

    校舎に鳴り響くチャイムの音にまじって

    私は隣の席で 数学の教科書を閉じかけた

    修斗に声をかけた。

    私が通う この学校の中でも

    修斗は 別格に頭がいい。

    三か月前 初めて彼と席が隣になった時は

    こんな真面目で 勉強しか好きじゃなさそうな

    堅いひと…正直苦手だと思ってた。

    だけど ある日をさかいに

    私の 修斗への「苦手意識」は

    「恋心」へと変わっていったんだ。
  • 4 姫ヶ嬢 ムウマ id:5sJii811

    2011-07-11(月) 22:09:14 [削除依頼]

    ――三週間前。

    その日の四時間目は よりによって数学。

    しかも私が特別 苦手で嫌いな

    「因数分解」の単元だった。

    私はいつも通り 計算式はちんぷんかんぷん。

    問題が全くとけなくて……。

    だから先生が 黒板の問題をとくよう

    私を名指しで指名してきた時には

    本気で泣きそうになった。

    何でよりによって 私をあてるんだろう。

    黒板の前まで 出ていきたくない。

    でもこの場で「分かりません」って言うのは

    もっと恥ずかしいし したくない。

    でもどんなに考えても

    やっぱり問題はとけない…。

    私は うっすらと涙を浮かべてさえいた。

    そんな時だった――。

    「√3」

    「……え?」

    「答え。問2の。…√3」

    “ルート3”

    それまで 話したこともなかった人から

    突然そう言われて

    私は 少し戸惑ったけど…。

    「ル……√3です…」

    涼しい顔で黙々とノートをとる 彼を

    横目で見ながら 私はおっかなびっくり

    彼に言われた通りに 答えた。

    私が数学が苦手だと 知っている先生は

    正直驚いた って顔をする。

    「おー正解だ。よくできたなぁ古桃」

    「あ…は はい…」

    答えが合ってたことに

    一番驚いてたのは 多分私だと思う。

    でもそんなことよりも 驚いたのは…

    (この人…無口でそっけないと思ってたけど

    案外いい人なのかも…?)

    それまで近寄りがたいと思ってた 彼に

    興味をもってる自分に 一番驚いた。
  • 5 姫ヶ嬢 ムウマ id:5sJii811

    2011-07-11(月) 22:18:15 [削除依頼]

    それから 無口で頭のいい彼と

    あいかわらず数学が苦手な私との関係は

    本当に 少しずつではあったけど

    確実に変化していった。

    彼はその後も たびたび

    答えが分からなくて 泣きそうな私に

    こっそり答えを教えてくれたり

    ノートを見せてくれたり

    カンタンなとき方を教えてくれたりした。

    始めは口で教えてくれていた彼だったけど

    そのうち ノートの切れ端に答えを書いて

    送ってくれるようになって…。

    ときには 計算式と答えの他に

    彼が書いた 先生の似顔絵なんかがあって

    それがどうしようもなく ヘタクソで

    そんな一面もあったんだって 彼のことを

    知るたびにときめく自分に 少し戸惑った。
  • 6 姫ヶ嬢 ムウマ id:5sJii811

    2011-07-11(月) 22:22:41 [削除依頼]

    メモが送られるようになってから 一週間。

    いつものように 綺麗に折りたたまれて

    送られてくると思ってたメモが

    その日から ねじねじに変わった。

    「何でねじねじなのかな」って思いながら

    開いてみれば そこには小さくて丸くて

    可愛い包み紙に入った アメ玉があった。

    これを包むために メモがねじねじなんだ。

    そう分かって 彼を見て…。

    そしたら修斗は 笑ってた。

    見たことなかった 彼の笑顔。

    いつもそっけない分 修斗の笑顔は

    とっても優しくて 嬉しくて。

    多分……その時からかな。

    修斗に本気で 恋しちゃったのは。
  • 7 姫ヶ嬢 ムウマ id:5sJii811

    2011-07-11(月) 23:02:40 [削除依頼]

    私は 修斗のことが好きなんだって

    自分でも そのことには気づいてる。

    たしかに始めは 彼にすごく苦手意識があって

    目を合わせることすら 避けてた。

    でも彼と隣の席になって 三か月。

    数学を教えてくれるようになって 三週間。

    メモが送られてくるようになって 二週間。

    恋の味がするアメがおまけされるようになって…

    修斗の笑顔を見るようになって…

    私が 彼に恋をしたんだと思うようになって…

    一週間。

    片想いの期間って考えると

    一週間って 実はすごく短いのかもしれない。

    でも恋は長さじゃないって思う。

    こうしてちょっとずつでも 毎日顔を合わせて

    メモのやりとりをするようになって

    きっと修斗も 私のことをちょっとだけでも

    意識してくれてるってそう思ってる。

    今はまだ 想いを伝える勇気はないけど…

    修斗にこうして 気にかけてもらえる。

    それだけで嬉しいから いいの。

    恋の味がするアメが 甘ずっぱい。

    それを今日も 修斗が送ってくれるから。

    それだけで 今 私は十分しあわせなんだ。
  • 8 姫ヶ嬢 ムウマ id:5sJii811

    2011-07-11(月) 23:17:03 [削除依頼]

    「織田本人に聞かせてやんなよ」

    昼休み。

    親友の青沢 玲(アオサワ レイ)ちゃんと

    屋上でのどかな ランチタイムをしていた私は

    玲ちゃんの のんきな一言に

    思わず飲んでた イチゴミルクを吹いた。

    「きったなー」なんて言いながら

    けらけら笑ってる玲ちゃんは

    私が修斗に 片想いをしてることを知って

    応援してくれてる唯一の人。

    男勝りな玲ちゃんは

    「うららの初恋なら応援する」と

    はりきって言ってくれた。

    これは内緒の話だけど 実は玲ちゃんは

    学校のみんなに秘密で

    数学の佐藤先生と つき合ってる。

    だから玲ちゃんは 私の恋の先輩だった。

    「む…無理だよ そんなの…」

    私は慌てて 口を拭いながらそう言う。

    玲ちゃんはからかうような笑みを浮かべた。

    「今の言葉さ あたしなんかじゃなく

    織田に言ってやんなよ。

    喜ぶと思うよー?あいつモテなさそーだし」

    「そ そんなことないよ」

    「うららはあいつがモテるって思うの?」

    「……だって優しいし…」

    「それはうららにだけ 特別でしょ。

    あいつのあだ名 知らないの?

    “勉強と成績から生まれた男 織田”だよ?」

    「……ぷっ。なぁにそれ」

    「いかにも織田って感じしない?」

    「するする」

    玲ちゃんはきっと 修斗のいいとこを知ってて

    私にわざとそう言ってくれてる。

    私が 恋に苦しまないように。

    「玲ちゃんは 修斗と同じくらい好きだよ」

    そう言ったら 玲ちゃんは明るく

    まるで男の子みたいに 豪快に笑って言った。

    「あたしは世界で一番 うららが好きだよ」
  • 9 姫ヶ嬢 ムウマ id:5sJii811

    2011-07-11(月) 23:23:51 [削除依頼]

    五時間目は国語だった。

    この時間は 修斗からは絶対に

    メモが回ってこないことを 私は知ってる。

    だって国語は 私が一番得意な科目だから。

    修斗に前 それを言った時

    「…僕は理系だから 国語は苦手だ」と

    珍しく自分のことを 話してくれた。

    秀才の彼にも 苦手な教科があるんだと

    その時はとっても意外に思えたけど

    国語の授業の時の 修斗を見てれば

    「苦手」だって言ってた意味がよく分かる。

    数学の時は あんなにすらすら動いてた

    ペンが急にたどたどしくなる。

    作文の授業なんかは 特にそう。

    「何で国語は苦手なの?」と聞くと

    答えはいつも 決まってた。

    「…僕は言葉が足りないから」

    無口で 必要最低限のこと以外はしゃべらない

    そっけない修斗らしい理由だと思った。

    困ったような顔をする彼は

    いつもの冷静沈着な表情とは一変して

    なんだか可愛く思える。
  • 10 花凛 id:uULZngg/

    2011-07-13(水) 17:22:09 [削除依頼]
    こういう話めっちゃ好きです!
    続きが気になるっ。
    更新頑張ってください!
  • 11 姫ヶ嬢 ムウマ id:uULZngg/

    2011-07-13(水) 22:05:42 [削除依頼]

    花凛サン /+*☆

    初コメありがとうございます!

    私の今の片想いを書いてるので

    応援してもらえると とっても嬉しくなります☆

    更新頑張りますね(@・ω・@)!
  • 12 姫ヶ嬢 ムウマ id:hhnm/0w0

    2011-07-15(金) 16:41:04 [削除依頼]

    「あっ」

    黒板の字を一通り写し終えて

    席から窓の外を見つめていた私は

    不意にそう 声を上げてしまった。

    まだノートをとっていたらしい修斗が

    私の声に 反応したのが 見なくても分かる。

    「…どうした」

    隣から 聞きなれた修斗の声がした。

    私は先生にバレないように

    こっそり空を指さして見せる。

    「見てあれ。ヒコーキ雲」

    夏の青い空にまっすぐのびた 白い筋。

    わたあめみたいな雲に まぎれて

    細くて今にも切れちゃいそうな ヒコーキ雲が

    学校の遥か頭上にのびてる。

    私はポケットから 携帯を取り出すと

    空にかざして ヒコーキ雲の写メを撮った。

    ――パシャッ。

    「撮ったの?」

    「うん ばっちり撮ったよ!」

    「…見せて」

    珍しく 勉強以外のことに興味をもつ

    修斗に 私は携帯電話を手渡す。

    修斗は 私が撮ったヒコーキ雲の写メを

    しばらく黙って 見つめていたけど

    急に何かを思い出したように 私に携帯を返した。

    「綺麗に撮れてるでしょ」

    嬉しくて つい笑みをこぼしちゃう。

    修斗は何も言わずに頷いて それから

    ノートの切れ端みたいな小さな紙に

    何かをサラサラっと書いて 私に送ってきた。
  • 13 姫ヶ嬢 ムウマ id:hhnm/0w0

    2011-07-15(金) 16:47:54 [削除依頼]

    国語の時間に 修斗から

    メモが送られてくるのは 初めてのこと。

    私は戸惑いながらも 受け取って

    教科書の影で カサカサとメモを開いてみた。

    そこに書かれていたのは――…

    「…う 嘘…っ」

    ローマ字の列に 一言添えられたメッセージ。

    “メアド教えるから その写メ送って。

     syuuto.oda.○○××@……”

    ずっと聞きたくて でも勇気がなくて

    聞き出せなかった 修斗のメールアドレス。

    修斗の方から 私に教えてくれた……!

    私は夢でも見てるような気分で

    おさえきれなくて 修斗の顔を見る。

    修斗は あいかわらず涼しい顔で

    眉一つ動かしたりはしなかったけど

    でも前とは 全然反応が違った。

    だって 無表情ではあったけど

    私の方をちゃんと向いて

    目を合わせてくれたから…。
  • 14 姫ヶ嬢 ムウマ id:hhnm/0w0

    2011-07-15(金) 17:05:59 [削除依頼]

    家に帰ってからの私は

    ものすごい盛り上がりようだった。

    携帯を片手に ごろんごろん

    床の上を右に左に 転がりまわる。

    制服を脱ぐよりも 鞄を置くよりも先に

    私は修斗のメアドを 携帯に登録した。

    それからおよそ一時間半――。

    いまだ私は 修斗へメールを送ってなかった。

    理由は簡単。

    修斗に送る 初めてのメールの内容を

    どうすればいいのかに悩んでいたから。

    『今日の写メだよー!』

    「これじゃあメールが続かないし…」

    『ヒコーキ雲がキラキラでまぶしいねっ☆』

    「うわあ…ぶりっ子っぽい…」

    『メアド教えてくれてありがとう

    これからもよろしくね

    あとコレ 今日頼まれてた写メだよ』

    「うーん…ちょっと真面目すぎかなあ…」

    好きな人にメールをするどころか

    男子とメールした経験さえ 少ない私。

    どういう文章にすれば

    修斗に気に入ってもらえるのか

    分からなくて……。

    ついに私は 一つの決心をして

    メールの宛先を「織田修斗」から

    「玲ちゃん☆」に変えた。
  • 15 姫ヶ嬢 ムウマ id:hhnm/0w0

    2011-07-15(金) 17:16:37 [削除依頼]

    『 うららだよー(^ω^)ノ

    突然メールごめんねえ(汗)

    玲ちゃんに ちょっと

    相談したいことがあるんだけど…

    いいかな(・д・)? 』

    「よし送信…っと」

    ――メール送信しました。

    玲ちゃんとは 毎日メールをしてる。

    話題が尽きない 玲ちゃんとのメールは

    私が悩んでても 浮かれてても

    疲れてても 泣いてても 怒ってても

    いつだって楽しい。

    私がメールを送って 五分もしないうちに

    玲ちゃんからの返信がきた。

    『おーうららか!

    今ちょうどヒマだったんだよー。

    にしても今日はやけにメール早いじゃん?

    相談…ってあぁー分かった!

    織田絡みだなー?当たりっしょ?

    あたしでよければ いくらでも聞くよん』

    玲ちゃんらしいメールに 私はホッとする。

    『何で分かったのΣ(・д・)!?

    当たりだよー!玲ちゃんスゴイ!(笑)

    あのね 修斗のことなんだけど…。

    実は今日 修斗にメアドもらったの!

    ヒコーキ雲の写メを撮って見せたら

    それ送ってって言われて

    メアドくれたんだあ(○´艸`○)

    …だけど何てメールしていいか分からないの!

    玲ちゃん 助けて(´д`;)』
  • 16 風理 id:hhnm/0w0

    2011-07-15(金) 18:42:48 [削除依頼]
    うららちゃんの気持ちに共感しちゃいます!
    続きが気になるー!
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