アカイロの世界7コメント

1 朱町やぐね id:q/T3mj30

2011-07-08(金) 16:14:07 [削除依頼]
「側にいてくれるって言ったのに」「うそつき」「あの子は優秀だから」「君はもっと努力しないとね」「追いついてみせるから待ってて」「どうせ無駄だから頑張らなければいいのに」「綺麗な目」「気持ち悪いわよ」「ちょっと来てもらっていい?」「文句でもあるの」「言いにくいんだがね……」「そんな価値ないよ」「成績もっと上げなきゃね」「お兄ちゃん?」「本当に血、つながってるの」「へえ、面白い」「捨てちゃうの?」「雑草根性……」「結局君は君なんだよ」「約束はなかったことに」「足掻いたって、蟻地獄から蟻は抜け出せない」「嘘ばっか」「信じられないよ」「だって、」 ------  嗚呼、煩い。 ------ ■Fantasy ■HighSchool ■微BoysLove ■>>1-1000
  • 2 朱町やぐね id:noqJ1/F0

    2011-07-08(金) 20:05:46 [削除依頼]
    ■序:-胎動-

     目を覚ましたら、一緒に街に出かけよう。

     おそろいのストラップなんて買ったら、君は嫌がるだろうね。

     恋人でもあるまいし、って顔を熟れた林檎よりも赤くして。

     優しい癖に素直じゃない、可愛い可愛い俺の弟。


     君が目を覚ましたら、色んなところへ出かけよう。

     海や、山。文化財巡りなんかも渋くていいかもね。

     楽しみだね。わくわくするよ。

     こんな気持ち、久しぶりだ。


     ねえ、だから。

     はやく、

     はやく、目を覚ましてよ。
  • 3 朱町やぐね id:GPH1JZ40

    2011-07-09(土) 20:31:04 [削除依頼]
    ■1:-遭遇-

    『人気俳優KAI、突然の引退宣言。その詳細に迫る!』
    『月9ドラマ終了直後……彼の身に一体何が?!』


     ゴシップ紙の表紙を飾る様々な文句。それらを見る度に、どうしようもない怒りに襲われた。無責任なメディアは、言うだけ言って対象を追いつめて楽しんでいる。情報を受け取る側に真実を読みとる力さえあれば、KAIは、甲斐はあんなにも悩み、苦しみ、絶望を選択する必要なんてなかったのに。

     ムシャクシャして雑誌を破ってゴミ箱に捨てた。

     何も知らない癖に。何もわからない癖に。
     甲斐を憶測で、それがさも真実であるかのように語るなんて。
     憎すぎて憎すぎて、怒りを通り越して、呆れて笑えてくる。

    「甲斐、甲斐、甲斐ぃ……」

     柔らかなソファに身を沈める。甲斐と二人で過ごしてきたこの部屋には、甲斐を思い起こさせるものが多すぎて、悲しみが溢れて仕方がない。
     甲斐、甲斐。たったひとりの家族だった。生まれる前から一緒で、かつてはひとつだった双子の弟。失くした悲しみは、きっと誰にもわからない。わかって欲しくなかった。

    「会いたい、会いたいよ……ッ」

     自分の叫びだけが室内に反響して消えていく。
  • 4 朱町やぐね id:GPH1JZ40

    2011-07-09(土) 20:45:43 [削除依頼]
    * * * * * *

     目を覚まして欲しいと呼びかけたのに。約束は、違われた。
     俺に甲斐を追う勇気があればよかったのに。俺が約束した誓いを、俺が破った。

     何度か家のチャイムが鳴ったけど、俺はそれを無視した。
     ドアを叩いて叫んでいたのは、甲斐のマネージャーかな?
     うるさくて、近所迷惑。ここがマンションだってわかってるのかな。
     君のことを皆、心配しているって、何。甲斐以外に心配される筋合いはないよ。

     俺の仕事は、明るい世界での甲斐の仕事とは正反対。裏世界の情報屋。
     俺の味方は甲斐だけで、俺の世界は甲斐だけで、俺には甲斐だけがいればよかった。

     甲斐が人に笑ってもらうのが好きだと言ったから、俳優なんて仕事を許したのに。
     甲斐は人が好きだったから、人に見てもらえる仕事に就いたのに。
     甲斐は、群衆に傷つけられ、壊され、消えてしまった。

     だから、俺は人なんて嫌いだと言ったのに。
  • 5 朱町やぐね id:56eyhfD.

    2011-08-04(木) 21:40:33 [削除依頼]
     ブラコンだって周りから苦笑いされるほどに。
     仲は良かった。たまに喧嘩はしたけれど。
     恋なんて甘い感情はなかったけど、それ以上に大切だった。

     甲斐、甲斐。
     俺と同じ顔してるくせして、犬みたいとか言われるんだろ。
     やたらめったらバカみたいに愛想振りまいてんじゃねえよ。
     俺、猫みたいってしか言われたことないのに。顔は同じなのにな。

     甲斐は人が好きで、優しかったんだ。
     優しいから、優しい人は強く見えるけど、本当は弱いんだ。
     弱くて、脆くて。悔しいけど、俺は甲斐を支えきれなくて。

     結果、甲斐を失った。

     憎い、憎い。甲斐が好きだと言った人たちが。
     涙は枯れてしまった筈なのに、目頭に熱を感じた。


    「……ぃ」


     がらがらの喉から声を絞り出す。
     静かな部屋に、耐えきれなかったからだ。

     それでも、出てくる言葉さえ。


    「……会いたいよ、甲斐」


     そんな言葉で。


     別に恋人になろうだなんて思ってなかった。
     双子の片割れには、幸せな家庭を築いて欲しかった。
     今となっては無理だけど、俺の家族と二つの家族で笑いあいたかった。
     遠い、だけど近かった未来の夢の残像。
  • 6 朱町やぐね id:56eyhfD.

    2011-08-04(木) 21:51:41 [削除依頼]
    * * * * * *

     目が覚めたら、そこは白い部屋だった。
     腕は冷たく、点滴の針が刺されている。

     いつのまに眠ったのかわからなかった。
     どれだけ眠っていたかわからなかった。

     ここは病院だろう。

     検討をつけてから、無性に悲しくなった。

     何故、点滴なんか打たれてるんだろうか。
     身体を治すため……?

     どうでもいいよ、身体なんて。
     どうでもいいのに。
     なんで放置してくれなかったの。

     助けてくれた誰かが、恨めしかった。


     白い四角が規則的に並ぶ天井を見つめていたら、ドアがノックされた。
     今更だけど、部屋は個室のようだ。


    「……起きていたのか」


     入ってきたのは、見知った顔。
     寝てると思ってたなら、

    「ノックの意味は何だったんだよ……」


     そう思わずにはいられない。


    「……目が覚めて、良かったよ」


     入ってきたのは、甲斐と俺の共通の知り合い。
     俺の客、甲斐の同業者。

     名を設楽紀一という。
     
  • 7 朱町やぐね id:56eyhfD.

    2011-08-04(木) 22:06:45 [削除依頼]
    「駿河」


     久々に呼ばれた名前。
     すぐには反応できなくて、訝しげな顔をされた。


    「なに?」
    「体調は、悪い? 悪いなら帰るけど」
    「悪くない。気にするなよ」
    「本当に」
    「……悪くない。続きをどうぞ」


     良くもないけど。


    「甲斐の、告別式。いつにする」
    「友引の日に」
    「そんなこと言うなよ。俺が死ぬ」
    「紀一は死なない。俺が引かれるから」


     そういえば、と。葬式のときは紀一が手伝ってくれたことを思い出す。
     頭が真っ白で、殆どなにも覚えてないけど。

     頼りになる、友達というのかな。

     紀一も辛い筈なのに。

     紀一は俺が唯一甲斐以外に心を開いた人物だ。
     心を許すまではいかないけど。
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