Don't say good bye.17コメント

1 ルイ id:/mP82D/0

2011-07-03(日) 16:10:28 [削除依頼]



瞼を閉じればすぐに会えるから、
  • 2 ルイ id:/mP82D/0

    2011-07-03(日) 16:15:32 [削除依頼]



    それでも私は笑っていられる


    ―第1章― 色彩
  • 3 ルイ id:/mP82D/0

    2011-07-03(日) 16:21:56 [削除依頼]

    真っ赤で真っ暗。
    痛みなんて感じない、ただ焼けるように熱かった。


    「……エ……ルっ!…………エル!!」


    最後に見たのは恐怖に染まったロイの顔だった。
  • 4 ルイ id:/mP82D/0

    2011-07-03(日) 16:26:19 [削除依頼]


    「…………ル、……エルッ………!」


    必死に私を呼ぶ声に目を覚ました。


    でも、世界は真っ暗なまま。


    「ロイ……」

    「エル!!」

    貴方の姿が見えない。
    視界を邪魔する瞼の存在は感じないのに。

    「ロイ、どこ?」

    「おい……お前、目が……」


    目が、見えない。
  • 5 ルイ id:/mP82D/0

    2011-07-03(日) 16:34:29 [削除依頼]


    途端、どうしようもない孤独感に襲われた。


    「ロイ……!どこっ、……やぁ!見えない!!」


    痛みを感じるくらい激しく目元を擦った。
    けれど、いくら擦ってみても世界が彩ることはなくて。

    「エルっ!」

    ロイの両腕が私を抱きしめた。
    混乱のせいで抵抗する私をロイは必死で落ち着かせた。
  • 6 ルイ id:/mP82D/0

    2011-07-03(日) 16:37:51 [削除依頼]

    ロイの体温が私の心に平穏を取り戻してくれる。


    どれくらいの時間が経ったんだろう。


    私はロイの二の腕にしがみついて震えていた。
    何も映らない目からでも、涙は流れることを知った。


    ふと、ロイも震えていることに気づいた。


    「ロイ……」

    「……ご、めん……っ俺………!」


    何も見えないけれど、貴方が泣いていることがわかった。
  • 7 ルイ id:/mP82D/0

    2011-07-03(日) 16:43:34 [削除依頼]


    ロイの腕に力がこもった。
    何かの感情を抑えるかのように、強く抱きしめられた。


    「ごめんっ……!俺……守れ、なかった……!!」


    自分を強く責めるその声に、胸が痛んだ。


    「ロイは悪くないよ……」


    私は無言でロイの背中に手をまわして泣き続けた。


    目が見えなくなったことじゃなくて、


    ロイが泣いていることが悲しかった。
  • 8 ルイ id:/mP82D/0

    2011-07-03(日) 16:51:39 [削除依頼]


    優しいけど、ほんの少し冷たい風が吹いた。


    「ん……、夢……?」


    私は体を持ち上げ、冷たいフローリングに足を下ろした。


    「寝ぼけてんの?」

    急にベットがへこみ、隣にロイが座ったのを感じた。

    「おはよ」
    「ロイ……?おは、よ」

    寝起きのせいか変な声が出た。ロイの笑い声が聞こえた。


    「うん。エル、おはよ」


    急に笑い声がやみ、ロイの低くて穏やかな声が聞こえた。

    いつも通り目を閉じると、ロイの指が瞼を撫でた。


    それが終わると、今度はふたりで笑いあった。
  • 9 ルイ id:/mP82D/0

    2011-07-03(日) 17:04:49 [削除依頼]


    朝がやってくるとロイは私の瞼を指で撫でる。
    何か大切なものでも触れるかのようにその指は優しい。

    私が光を失った日から、毎日やってるおまじない。

    こうすれば、いつかまた私の目が見える日がくる。
    私もロイもそう信じて今日をはじめようと決めた。


    「ロイ、あのね」
    「ん」
    「夢見たの」
    「夢?どんな」
    「目が見えなくなった日の、夢」

    微妙な沈黙が流れ、ロイは「そっか」と答えた。


    「朝飯食おうぜ、腹減っただろ?」


    何かをふっきるように、ロイは立ち上がって言った。
    不思議と、ロイが笑いかけてくれたのがわかった。


    「うん!」


    私も笑顔をかえして、立ち上がった。
  • 10 ルイ id:/mP82D/0

    2011-07-03(日) 17:09:21 [削除依頼]

    そしていつものようにロイの手に引かれて歩き出す。


    「ロイ」
    「ん?」


    「いつもありがとね」


    「ああ、俺も!ありがとな」


    この頃になって気づいた。


    私は光を失ったわけじゃないこと。


    色がなくたって、毎日はこんなに色づいている。
    見えなくたって、貴方の笑顔が立ち上がる勇気をくれる。


    失くしたのはそんなに大きなものじゃなかった。


    だって、


    第1章/それでも私は笑っていられる fin.
  • 11 ルイ id:/mP82D/0

    2011-07-03(日) 17:27:56 [削除依頼]



    解決策は君の伝える言葉達


    ―第2章― 焦燥  (ロイ.Ver)
  • 12 ルイ id:/mP82D/0

    2011-07-03(日) 18:05:01 [削除依頼]

    毎朝俺は、陽の光で起きれないエルを起こしに行く。

    光が戻るようにとその瞼を撫でれば笑ってくれる。
    見えてるはずがないのに、笑いかければ笑ってくれる。
    手を差し出せば、その手を握ってありがとうとまた笑うんだ。


    俺はエルの笑顔に惹かれた。


    けれど、俺だけじゃないことも理解していた。


    「エルちゃんおはよっ」


    エルの手を引いて廊下を歩いていると、背後から声が掛かる。

    「アースさん、おはようございます」

    声だけでエルは相手を判断し、丁寧に笑顔であいさつする。
    そうしているうちに次々と廊下に人が出てくる。


    「エルちゃん!おはよ」
    「よく眠れたか?」
    「明日は俺が起こしにいこっか?」
    「いろんな意味で危険だ!エルちゃん気をつけろよ?」
    「エルちゃんー!おはよう」


    何人から話しかけられてもエルは絶対に無視しない。
    からかわれたらむくれる振りをするし、笑顔には笑顔でかえす。


    器用だなと感心するが、正直俺はあまり面白くない。
  • 13 ルイ id:/mP82D/0

    2011-07-03(日) 18:16:50 [削除依頼]

    俺たちは大海原を航海しているひとつの集団だった。

    バカでかい船には20人の男と8人の女の船員。
    翼をモチーフにした旗を掲げ、2年もの間旅をしていた。


    旅の目的?


    おかしな話だが船長しか知らない。
    俺が船に乗っているのは船長が父親だからという理由。
    他の奴らはただ面白がってついてきただけという適当さ。


    ……この話は後にしよう。


    船上で(特に男ども間で)有名なのはエルの笑顔。
    日に1回はその笑顔が話題になるほどだった。


    エルが他の男に話しかけられるたびに、


    俺の心は言いようのないもどかしさでいっぱいになる。
  • 14 ルイ id:/mP82D/0

    2011-07-03(日) 18:23:59 [削除依頼]

    それもこれも、全部俺がはっきりしないせい。


    エルと俺が一緒にいれば、船員は「イチャつくな」と笑う。
    その言葉に素直に笑えないのは俺たちが正式な恋人ではないから。


    告白なんてしてない。


    「守る」と誓った。
    「そばにいる」と約束した。

    でも、一番伝えたいことを伝えてはいない。


    正確に言うと、伝える資格がないから。
  • 15 ルイ id:/mP82D/0

    2011-07-03(日) 18:32:28 [削除依頼]

    朝食を食べ終えて、俺は見張り台に上った。
    1時間交代で船の見張りをするのが仕事だから。

    ふと、心地いい聞き覚えのある声が耳を擽った。


    見下ろすと、アースとエルが一緒にいるのが見えた。


    笑い声が聞こえる。
    アースの声がなぜだか響いて聞こえる。


    無意識に眉間に皺がよってしまう。
    気にしないようにしようと進行方向に目を向けた。


    苛つく。


    何もできない自分に、心底苛つく。
    気持ちを伝えられない原因を作った過去の自分を殴りたい。


    アースとエルの笑い声が同時に聞こえるたびに妬ける。
  • 16 ルイ id:/mP82D/0

    2011-07-03(日) 21:53:05 [削除依頼]

    「告白しないのー?」

    突然横から現れた人影に、俺は反射的に距離を取った。


    「うわっ、急に出てくんな!!」
    「何回も呼んだっつーの。アンタが無視するからよ」


    アビはそう言い捨てて、当たり前のように俺の横に座った。

    「なるほどねー」
    「何が」
    「あれ見て妬いてたんだ?」

    そう言って、細い指でエルとアースがいる甲板を指差した。

    「関係ねぇだろ」

    調子を狂わされるのが嫌で俺はそっけない返事を返す。
    でも、返ってきたのは予想外の言葉だった。


    「関係あるよ」


    急に切なそうな声を出したかと思えば、乾いた笑顔で言った。


    「だって私、アースの事好きなんだもん」


    アビは秘密ね、と唇に指を立てた。


    「まさか……」
    「意外だった?」
    「まぁ……なんとなくそうかなとは思ってたけど」
    「アースに言ったら殺すからね」
    「うっ、了解。……俺達仲間だなー…………」
    「ちょっとー悲しくなるから一緒にしないでよ」
  • 17 ルイ id:/mP82D/0

    2011-07-03(日) 22:02:10 [削除依頼]

    なんとなく気まずい沈黙が流れる。

    「焦るよね」

    アビがぽつりと言葉を漏らした。
    俺はただ、エルを見ながら無言で頷いた。


    「なあ、同士」
    「だから一緒にしないでってば」
    「愚痴っていいか」
    「……別にいいけど。あ、惚気は聞かないから」

    俺はひとつ苦笑いを浮かべた後、アビに打ち明けた。


    エルを守れなかったから、告白できないこと。
    エルが他の船員に笑顔を向けるのがたまらなく嫌なこと。

    エルがいつか、俺の姿を忘れるんじゃないかってこと。


    「馬鹿ねー」

    いい終わると、アビはそう言って呆れた表情を浮かべた。

    「馬鹿って……」
    「そのまんまエルに言えばいいじゃない」
    「人事だと思いやがって」
    「だってそうじゃん」
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