ピアノの音色に殺意を込めて5コメント

1 亜梨子 id:3f69H100

2011-07-03(日) 14:28:52 [削除依頼]
目次
 
 ピアノの音色に殺意を込めて

 序章
 第1章 パル・ホールは悪意に満ちて
 第2章 美しき青きドナウを殺人鬼に贈る
 第3章 二度ある殺人は三度ある
 第4章 同じ顔にドレスを着せる
 第5章 別れの曲に別れをのせて
  • 2 亜梨子 id:3f69H100

    2011-07-03(日) 15:00:40 [削除依頼]
    序章

     今からちょうど二年前の事である。
     パル・ホール前中央駅付近は、近頃急激な発達を見せていた。
     その理由は、東京と繋がる電車が開通したからである。
     関東内にあるものの、「田舎」であるA市だったが、パル・ホール前中央駅に電車が開通したことで最近活気づいてきた。
     それに便乗し、駅の横にあるデパートにも東京からの有名ブランドが入り、若者で溢れるようになった。
     そのデパートの向かいにあるパル・ホールは、A市内、県内でも最高と言われる大きなホールだった。音の響きや置いてあるピアノ、全てにおいて一級品だと言われている。
     芸術の秋の十月末日の今日、パル・ホールでピアノコンサートが開催されることになっていた。有名音楽家やピアノ演奏者が、パルホール前中央駅からぞろぞろと出てきている。
     A市では絶対に目にかかれないような黒塗りのリムジンがバスターミナルに停まっていたり、とにかく今日は、駅周辺が混雑していた。
     
  • 3 亜梨子 id:3f69H100

    2011-07-03(日) 15:00:55 [削除依頼]
     開演一時間前になり、来場者がぞろぞろと扉の奥に消えていった。有名な女優や俳優、映画監督など、各界から著名人まで来ていた。皆ドレスやスーツを着こなして、テレビや新聞、雑誌の取材に応じていた。
     その中の一人である、女優相坂華依は雑誌の取材に応じていた。
    「相坂さん自信もピアノ経験があるということでしたが、今回のピアノコンサートはどういった視点からご覧になられますか」
     記者の質問に少し首を傾け、
    「そうですね……。私の知っている曲もあるかと思うので、わくわくしています。私は美しき青きドナウが得意だったので、大好きな演奏者のオーラガン・クリスチャードに弾いてもらいたいです」
     と笑顔で答えた。
     記者からの質問はその後も続き、開演三十分前に、華依はやっと会場入りした。
     華依は、今日は親友で同じく女優の田畑歩と来ていたのだが、歩は先に会場に入ってしまったようだ。
     少し急ぎ足で会場に入り、チケットに書かれた席に行くと、歩が退屈そうにパンフレットを見ていた。
    「ごめんなさい、遅くなって」
     華依がそう言うと、歩はふと顔を上げ、「大丈夫よ」と、長い前髪をかきあげながら言い、またパンフレットに顔を戻した。
     華依は早速席に着き、まだ幕が下がったままのステージを見た。席は前から17列目、ちょうど真ん中の廊下に面している席だ。
     思わず、華依は「この席良いところね」と歩に言った。
     歩はパンフレットから視線を華依にうつし、「誰がチケットを取ったの?」と聞いた。
    「橋本社長に決まっているじゃない」
     橋本社長というのは、二人が所属する事務所の社長である。
    「まだ開演まで時間があるわね」
     華依はそう言い、歩の持っているピアノコンサートのパンフレットを覗き込んだ。
  • 4 亜梨子 id:3f69H100

    2011-07-03(日) 15:29:43 [削除依頼]
     開演を知らせるブザーが鳴り響き、照明が落とされた。
     華依は興奮しながら、ステージをじっと見つめた。隣にいる歩も同じようにステージを見つめている。
     ブザーが鳴り終わると、すぐさま豪華なオーケストラの音楽が鳴り始めた。
     幕が上がっていき、明るすぎる光に照らされたオーケストラが、物凄い迫力の音楽を奏でている。
     華依はその様子を、ぼうっと見ていた。あまりの迫力に、自分の知識の中にある表現では表現できない素晴らしい音楽があった。
     横を見ると、歩も熱っぽくオーケストラの演奏を見ていた。
     


     オーケストラの演奏が終わり、一旦幕が閉じ、少し経つと幕が開いた。主催者が出てきて英語で挨拶を始めた。
     華依は少し英語がわかるが、それも右から左に流れていくようだった。
     まだオーケストラの演奏が耳から離れなかった。
     主催者のおじいさんは深く一礼すると、舞台袖に引っ込んでいった。
     そして、早速一番の演奏者が入れ替わりでステージに出てきた。
    「Entry No.1. The Beautiful Blue Danube. 」(エントリーナンバー一。美しき青きドナウ)
     華依は、思わず「やったあ」と声をあげた。歩は「良かったわね」とにっこり笑いかけてくれた。
     演奏者としてステージに出てきたのは、華依のお気に入りのピアノ演奏者、オーラガン・クリスチャードだった。
     紳士的な雰囲気を漂わせる、深い茶髪に少し白髪の混じりかけたきちっとセットしてある頭。しっかりと立つ姿は、まさに紳士である。
     クリスチャードは、会場を見渡してからお辞儀をし、ピアノに向かった。イスの位置を入念にチェックし、ペダルに足をかける。
     そして、鍵盤に指を置き、情熱的な演奏を始めた。
     華依は、感動と興奮から涙で潤む目をおさえながら、その演奏にうっとりと聴き入っていた。
     曲は中盤に入った。その時だった。演奏が、止まった。いや、クリスチャードの体が、ゆっくりと左側に倒れていく。
     イスが倒れ、会場は騒然となった。誰かが、悲鳴をあげている。華依は何が起きたのかわからず、ただ立ち上がって口をおさえているだけだ。
     クリスチャードは胸と喉を苦しそうにおさえ、喘いでいる。舞台袖から何人ものスタッフがかけより、大声で何かを叫び、電話で話している。
    「Are there a doctor and a nurse in this!?」(この中に、お医者さんか看護士の方はいませんか!?)
     先程聞いた声だ。主催者のおじいさんが青い顔でステージに立ち、そう呼びかけている。
     前列のほうにいた五人ほどの男女がすぐにステージにかけより、主催者と何か話している。
     華依は、状況が把握できないまま、立ちつくしていた。
  • 5 亜梨子 id:s5mHJow1

    2011-07-09(土) 21:45:50 [削除依頼]
    第1章 パル・ホールは殺意に満ちて


     杉谷美佳は今日、会社のランチタイムを心待ちにしていた。
     なぜなら、ずっと行きたかったイタリアンレストランのランチの予約が、今日になっているからである。予約以前雑誌で読み、予約をとっていたのだ。
     実は、予約をとってからもう三ヶ月だ。雑誌で掲載されたこともあるが、前から話題になっている店なのだ。
     美佳は、朝食まで抜いてきて、午前中空腹と闘っていた。
     ランチタイムの放送が社内に流れ、その場が一気にざわめきだした。
     美佳はパソコンのディスプレイに表示されるアナログ時計を見て、急いで支度を始めた。
     十二時ぴったりに重なる二本の針。予約は十二時十分としてある。ここから徒歩で十分ほどの場所なので、余裕を持って到着出来るだろう。
    「美佳、今日はどこか行くの」
     社内でもプライベートでも仲の良い増本由梨が声を掛けてきた。
    「今日は予約していたレストランへ行ってくる」
    「そう、行ってらっしゃい」
     美佳は新しく買ったストールを首に巻き、軽快な足取りで部屋を出た。
     
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