朱イロ桜ノカタリ唄13コメント

1 夜深 id:5RPfQEZ/

2011-07-02(土) 15:02:10 [削除依頼]



――氷や薄らう彼の命 凍てつく桜木 花弁冷え 刃となっては朱に染まり――

(ひやうすらうかのみこと いてつくさくらぎ かべんひえ やいばとなってはしゅにそまり)


(聞こえた唄は、もうすぐ其処に在る証)
  • 2 ゆい id:j5ErI82/

    2011-07-02(土) 15:03:50 [削除依頼]
    おもしろそうですね@


    これからもみにきます!

    更新大変やけど、がんばって!

    ゆいは「天国の君へ・・。」かいてるんで、
    よろしくです
  • 3 夜深 id:5RPfQEZ/

    2011-07-02(土) 15:03:55 [削除依頼]

    また、この寒々しい季節がやってきた。草木は枯れて、山も動物達の賑わいが無くなり、まるで時が止まってしまったようだと思う。

    この淋しい、寒々しい季節を人間は“冬”と呼ぶようだけど、あやかしやもののけたちは“朱染めの刻”と呼んでいる。
    普通は朱に染まるといえば秋の紅葉だと思うけど、何故かこの言い回しだった。

    一体何を表しているんだろう。………別に、僕にとってはどうでもいいことなんだけど。


    「心此処に在らず、か?ライヨウ」
    「………?ミカゲ…?」
    「お前、目が据わってるぞ。…………その横目止めてくれ。なんか、オレ虚しくなるから」
    「……ふぅん…」
    「うわっ、ひっでー反応だな相変わらず。つーか、こんなとこでボケッとしてんなよ。落っこちてもしらねーぞ」


    “式”の巳陰に言われて回りを見渡したら、大きな、というよりは高い木の上に僕達はいた。
    これは、この山で一番高い所にある木だ。
    登れば下に広がる人の町が一望できるから、結構お気に入りの場所だったりする。

    今は日没時で、ここから眺める夕日の町はとても綺麗だった。
    全てが橙色に染まって、いつもの町とはなんだかちょっと違うような気もする。

    これを見ていると、たまに人が言う「日没の時間は不思議な事がよく起こる」というのも、分かる気がする。


    「…………………で、僕達は何しに此処に来たんだっけ」
    「は、はあぁ?!!いったい何の冗談だよ!来葉がいきなり「夕日が見たい」って言うからオレが連れて来てやったんだろうが!」
    「ん、あぁ………そうだっけ?じゃあ、今見てるからいいんじゃない?」
    「……お前なぁ……」


    隣で、巳陰が呆れたようにため息をついた。
    ……実際呆れてるんだろうけど。


    「でも、本当に綺麗な夕日だよね。僕この橙色結構好きだよ」
    「そーかぁ?この色、目が痛くなるからあんまり好きじゃねぇな。オレは晴れてる日の昼が好きだぜ」
    「あぁ、それも好きだよ。なんだか絶好の昼寝日和って感じの。気持ち良いよねー」
    「そーじゃねぇよ!こう、思いっきり外を走り回りたくなるっつーか。お前はいっつも寝すぎなんだよ。ちっとは外に出ていろいろしたらどーだ」
    「いろいろ、って?」
    「いろいろって言やーな、あー…ほら、あれだ、池のサカナを追っかけて捕まえて食ったり、高いとこにダダーーッて駆け上ってみたりするんだよ!」
    「…………それは、巳陰しか出来ないんじゃないかな。僕、猫じゃないし。やっぱりあったかい所で寝てるほうが好きだし、ね」
    「……お前もある意味猫らしーと思うぞ、オレは」
    「そうかな?」


    ふっと、辺りが一段暗くなった。
    夕日を見てみると、向かい側の山にほとんど沈んで、もう円の半分も見えていなかった。

    すると、巳陰がひょい、と僕の肩に乗ってきた。

    巳陰は式だけど、立派なあやかしで猫や人型にもなれる。
    今は黒い猫の姿だ。まぁ、猫といっても尾が二つあるからやっぱり普通じゃないんだけど。


    「さあ、もう日が沈むぜ。暗くなる前に帰らないとトウネがガミガミうるせーからな」
    「そうだね、宮に帰ろっか」


    そうして、僕達は山の中にある宮へと帰っていった。
  • 4 ゆい id:j5ErI82/

    2011-07-02(土) 15:05:39 [削除依頼]
    おお〜いいね〜@
  • 5 夜深 id:5RPfQEZ/

    2011-07-02(土) 15:05:46 [削除依頼]



    「お帰りなさいませ!お二人とも」


    宮の裏にある家に帰ると、早速桃音が出迎えてくれた。

    桃音はこの宮に仕えているもののけで、性別は解らないが姿は13歳くらいの少女の様だ。背中まである白桃色の髪を後ろで綺麗にまとめている。


    「ただいま桃音ちゃん。ゴメンね、ちょっと遅くなっちゃったけど、ご飯冷めてない?」
    「はいっ、今出来上がったばかりです。もう召し上がられますか?」
    「そうだね、冷めないうちに頂くよ」
    「かしこまりました!巳陰さまもよろしいですか?」
    「おぅ、もう腹ペコペコだぜ!」
    「ふふっ、すぐにご準備致しますね!」


    そういうと、桃音は髪飾りの鈴をチリン、と鳴らしながらパタパタと駆けていった。


    「可愛いよね〜、桃音ちゃん。無邪気で、優しくて、気配りもちゃんとできてるし」
    「お前はオレと桃音じゃあ、だーいぶ態度が変わるよな……なんか悲しいぞ、来葉」
    「女の子には優しくしないといけないよって、前にタキジさんがいってたから」
    「またあいつかよ!ったく、来葉をあんなダラシナイヤツにだけはぜってーにしたくねーのに……………………ところでお前、なんで桃音が女だって知ってんだ?」
    「……………………いや、知らないけど」
    「知らないけど、じゃねーよ……。あいつ、見掛けによらず男かもしれねーぜ。もののけは見た目女みたいなヤツ、結構いるんだからな」
    「う〜〜ん。でも、華奢な体つきしてるし、か弱そうだから女の子ってことでいーんじゃない?」
    「おまえって、つくづくイイカゲンだよな……」
    「さてと。お腹も空いたし、早く桃音ちゃんの作ってくれたご飯食べにいこーよ、巳陰」
    「……………はぁ、もーどーでもいー…」


    うなだれる巳陰を横目に、僕達はご飯のいい匂いを辿っていくように台所へと向かった。

    巳陰は小さなことにもこだわるから、時々扱いが面倒になったりする。だいたいは適当に受け流してたら勝手に折れてくれるんだけど。


    ――けど、やっぱり大事な友人だから……、


    「今日はありがとう、巳陰」


    すると、巳陰の嬉しそうな照れくさそうな顔が目に入った。
  • 6 夜深 id:5RPfQEZ/

    2011-07-02(土) 15:08:22 [削除依頼]
    ≫ゆい さん
    コメントありがとうございます!
    やっと大好きな和風な小説が書けるので張り切ってますv
    こんなぐだぐだ文章を読んでくださって、本当にありがとうございます。
  • 7 夜深 id:wuc2Xvb/

    2011-07-03(日) 17:09:43 [削除依頼]


    一、年明ケニ危険ナ


    正月時ということもあり、宮はお参りをしに来るお客様で溢れていた。
    すると当然、宮で働いている人やもののけはすごく忙しくなっている。

    そんな中、僕と巳陰といえば、呑気にあたたかい家でごろごろと過ごしているだけだった。
    みんな働いている中でこんなにのんびりしているのもどうかと思うけど、別に手伝え、なんて言われてないし。


    とまぁ、いわゆるお留守番中な僕達だけど、やっぱり何もなく穏やかな時間だけが流れていくはずがない訳で………
  • 8 夜深 id:wuc2Xvb/

    2011-07-03(日) 17:11:01 [削除依頼]


    「あけましてオッメデト〜ウ♪ライ君、二股君」


    騒々しく部屋に入って、というより飛び込んで来たのは、いつも何らかのトラブルを運んで来るお兄さんの姿だった。

    すると途端、人型をとっている巳陰の顔が恐ろしく不愉快そうに歪んだ。


    「テメェ……、変な名前で呼ぶなって言ってるだろ!オレは巳陰だっての!!」
    「……あけましておめでとうございます、滝寺さん」
    「来葉もこんなトラブルメーカーに挨拶なんてしてんじゃねーよ!新年早々呪われるぞ!」
    「ノン!酷いね二股君。私は別にトラブルメーカーでも呪術師でもないからね。町のちょっとイケてる悪払いさ!」
    「悪払いにイケてるも何もねぇよ!そんでその無自覚がタチワリィんだよ!いい加減気付け、お前の半径50メートル内にいるヤツにはもれなく災難が降りかかってるだろ!」
    「アハハハハ、冗談はやめておくれ二股君。通行人が石に躓いて転ぶのも、風で自販機に入れようとしていたお札が飛んでいってしまうのも、全てあちらの不注意だろう?」
    「そんなレベルのが一日に5回や6回ゆうに超えてたらもうお前のせいだろう!」


    しばらくは終わらないであろう言い合いを横目に、僕は空気と化して蜜柑でも食べることにした。


    「(…あー、これ、甘くておいし〜)」


    まだ隣は煩いんだけど。

    この二人が揃って言い合いを始めたらなかなか終わらない。
    滝寺さんがふざけて、巳陰がキレて、それに滝寺さんがまたちょっかいをだして、巳陰がキレる、という悪循環だ。
    つまり、この二人は最高に相性が悪いようだ。


    ――…滝寺さんの方は、楽しんでるだけのように見えなくもないけど。


    ……それにしても、いい加減止めないと、二人のことだからこのまま夕暮れまで言い合いしてそうだ。


    「それで、滝寺さんは何かご用があったんですか?」
    「おっと、忘れるところだったよ」


    僕が言い合いを遮るように言うと、滝寺さんは何か思い出したような表情を浮かべた。
    すると次の瞬間、流れるような手つきで紙式を操り、巳陰を丸め込んで黙らせてしまった。


    「んぐぅッ!ン〜〜〜ッ!」
    「はーい、二股君はしばらくそこで黙っててね〜。私はちょっとライ君とお話しすることがあるから」


    巳陰はしばらくうめき声を上げながらジタバタともがいていたけど、もう諦めたのか、おとなしく部屋の隅からこっちを眺めている。


    「それでね、その話しってやつなんだけど」


    いつもと違った真剣な顔で、滝寺さんは僕に向かいあった。
    どんな時でもヘラヘラ笑っている滝寺さんがこんな表情をしているのも珍しい。
    巳陰もそれに気がついたらしく、じっと黙って聞き耳を立てていた。


    「一週間くらい前かな。仕事絡みのことで、ちょっと町外れの住宅地に行っていたんだよ。あそこら辺って公共施設とかお店とか無いし、何か淋しい所でしょ?普段はあんまり行かないんだけどね」
    「あぁ、たしか大赤松があるところですよね」


    ちなみに滝寺さんのいう“仕事”というのは、悪払いのことだ。悪払いとは、その辺にうろうろしている害的な霊やあやかしを消滅させたり、封印してしまったりするのを職業としている人のことで、当然表立って目立つことはないけど、神社や寺絡みの人には有名になっている。


    「そ、あの大赤松のあるとこね。………あれももう枯れかけだけどね」
    「……………じゃぁ、あの松に宿っていた守り神様は……」
    「…あぁ、もう長くないだろうね」
    「………ッ…」


    巳陰が息をつめて、眉を歪ませた。
    ………きっと僕も同じ様な顔をしてるんだろうけど。
  • 9 優陽 id:XRaX1mK1

    2011-07-03(日) 20:08:58 [削除依頼]
    初めましてー

    すっごい おもしろいです!!
    滝寺さんと巳陰さんの会話が おもしろくって好きです
    滝寺さんの個性が滲み出てて‘いいなぁ〜’って思いました
  • 10 夜深 id:wuc2Xvb/

    2011-07-03(日) 22:58:51 [削除依頼]
    ≫優陽 さん
    ありがとうございます!
    キャラクターの感想を頂けて、とても嬉しいです。
    がんばってキャラクターがもっと輝けるような作品を書きたいです……。
  • 11 優陽 id:gd8QXeY/

    2011-07-04(月) 18:47:36 [削除依頼]
    いえいえ〜
    深夜さんのキャラクターは
    すでにキランキランしてますよ!!

    来葉君はクールキャラっていうか
    天然キャラというか・・・
    一緒に居てて 落ち着くキャラですね

    がんばってください
    応援してます!!
  • 12 夜深 id:oz1kVCf1

    2011-08-20(土) 02:16:34 [削除依頼]


    彼の一言に、巳影も僕も言葉が出てこなかった。
    例の大赤松に宿る守り神の正体とは、妖力の強いあやかしだ。約500年も前からずっとこの町を守り続けてきたという。ココの辺り一帯が清められている土地で、悪いモノが寄ってこないのもこの守り神様のおかげだ。いわば、アヤカシ達の長のようなものだといえる。
    ふつう上下関係のないあやかしたちが唯一慕うという長が亡くなるとなれば、皆悲しむのは当然のこと。
    同時に妖力の守りがなくなったこの土地も汚れてしまう。そうすれば、あやかしはココにいることができなくなるだろう。
    本当に、まずいことになる。

    重い沈黙がしばらく続いた。長いような、短いような時間だ。
    だが、その沈黙をあっさり破ってしまったのは、次に滝寺さんが呟いた一言だった。


    「でもおかしいコトに、その大赤松の主にはまだまだ生命力が余ってるんだよね」
    「えぇ……?」
    「それ、どーいうことだよ?!」


    さっきまでの空気とは一変、一瞬でにその場が驚愕の色に変わる。
    枯れかけているのに生命力は有り余っているとは、あまりに辻褄が合わない、おかしな話だ。
  • 13 夜深 id:q2FqhS4.

    2011-10-06(木) 00:45:10 [削除依頼]

    「と、いうことは考えられるのは、何か悪いモノがあの木についてしまっているのかも…ってこと」
    「悪いモノ……つまり悪霊とかなんかですか?」
    「おいおい、あの大赤松はかなりの妖力を持ってるんだぞ。そんなたかが悪霊ごときでやられるわけがねぇだろ」
    「………たかが悪霊、ねぇ……」


    ふとつぶやいた滝寺さんは、普段は見られないような真剣な面持ちで考えこんでしまった。
    含みのある言い方は、あまり事態が宜しくないことを悟らせているようだ。


    「……僕としてはさ」


    何か行動をしたいならば、まずは今の状況を自分で確かめることから始めなければならないと思う。


    ―――だから直接見に行きたいんだ、その大赤松を。
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