彼は宇宙人44コメント

1 蓮 id:dYoAaZV1

2011-06-30(木) 12:08:31 [削除依頼]
彼は宇宙人かも知れない。


 私は彼に会ってから今までずっとそう思っている。


 なぜ、とか、どうしてここに、とかそんな事は私は知らない。なにせ、彼の口からは直接そんな事を聞いたこともないうえに、事が事だけに、友人にも言うことを控えているくらいの私の中でのトップシークレットになっているからだ。


 もし、世間にそのような事が知られれば彼の立場を危うくしてしまうかもしれない、と私はそう思ったのだ。


 なにせ彼の人柄は、宇宙人かもしれないと疑っている私でさえも認めるほどの優しさを持っているからだ。そんな彼がNASAだかどっかの国家秘密組織に捕らわれて解剖されてしまうのを私は望まないし、彼が利用されてしまうことがあらば怒ってしまうことだろう。
 
 もちろん宇宙人が地球を征服して、地球植民地計画などという末恐ろしいプランの尖兵である可能性も捨てきれないわけで、なら、なぜ尖兵なのに呑気にもこんなところで普通の人間生活を送っているのかという単純な疑問が湧くわけだ、多分その場合には地球人の生態系を知るために地球人の姿になり、実際に地球人と接して間近に観察していくことによってより深く地球人という生命体を知ろうとしているのではないかと私は推論している。

 
 あくまでも、地球植民地計画が存在した場合の話だが。


 そんなことを、初めて彼と知り合った頃の私は真面目に考えていたわけだが、彼の事を知っていくにつれてか、それとも時間の経過と共に育った愛着か、私は地球植民地計画という一つの可能性を危惧しなくなっていた。


 だが、だからといって彼が宇宙人であるかどうかを疑わないわけではない。


 なぜ、私が彼を宇宙人だと思い始めたのか、これからお話しようと思う。


 まずは私と彼の出会いからだ。

 
  • 25 ジョバンニ id:mmYvm2y.

    2011-07-16(土) 22:37:51 [削除依頼]
    評価に来たジョバンニです。どうぞよろしく。

    遅くなってしまい申し訳ありませんでした。未熟者ゆえ至らない点があると思いますが、どうか温かい目で見てくれると助かります。

    それでは始めますね。
    ストーリーはとても面白かった。宇宙人という表現からして、個性とセンスを感じます。独特なテンポもあいまって、この小説にしかない魅力が際立っていますね。描写においては適量だと思います。が、会話や二人のシーンになると極端に描写が狭まり、臨場感が薄くなる傾向もみられます。まだ序盤の方だと思いますが、現時点では問題らしい問題はありません。自信を持ってこれからも頑張ってほしいです。
    <アドバイス>
    未熟者ながらアドバイスさせていただきます。
    まずは臨場感について。描写とは意味のないものを描写してもダメですので、増やせと言っているわけではないし、このままでも十分だと思います。ですが会話が長かったり二人の間の物くらいしか描写していないと臨場感が薄くなってしまうんですね。「坂を歩いた」→「夜空を見ながら坂を歩いた」のように行動の中に情景を入れたり、会話の中に表情を加えたり、ちょっと描写が少なくなったなと思った時にはイメージしやすい物を描写すると効果的です。常に読者の目になって描写を書くのが基本であり、忘れがちなポイントですので。
    次にテンポコントロールについて。テンポとは文字の通り文章中のテンポのことで、それを自在にコントロールすることで、穏やかな雰囲気や緊迫した雰囲気など、そのシーンの雰囲気を表現することができます。どうやってコントロールするのかと言えば、まずは心理描写などで長々と長文を書く。その後で短文や中文を書けば、これだけでテンポの強弱ができます。大切なのは強弱です。長文によって詳しく鮮明に読者に伝えられて、なおかつ長文の後に短文を書けば、「じらし効果」によって短文が読者の記憶に強く残る。まさにテンポがなければ小説はつまらない、逆に言えばテンポをコントロールできれば常に一石二鳥状態というわけです。テンポを意識するのはとても重要な勉強になりますので、是非お試しを。
    最後に改行について。改行というのは文章においてとても基本でありますので、たまに曖昧な考えで改行をすることがあります。ハッキリ言って、改行ほど便利なシステムはありません。時間経過や主題を変えたい時など、改行一つだけで読者に無意識に伝えられますから。小説というのは基本が一番大切なので、こういった改行も十分に考えた上でやってみてください。するとより整った文体になります。
    <総合評価B>
    これで評価終了です。上から目線すいませんでした。
  • 26 蓮 id:l1Piun0.

    2011-07-16(土) 22:37:58 [削除依頼]
    水の方はまだ飲まないらしく、顔を横に振った。

    「ひゅ、ひゅひょおい」
    (す、すごい)

    「!!」

    私はその表情を見ながら、
    人間ってこんな表情を作れるんだなと感じていた。

    膝がガタガタと震えており、
    顔からは赤を通り越し今にも
    噴火しそうであるのに彼は泣き笑っていた。
    私は思わずそんな彼の背中を支えた。
    だが彼は決して箸をおくことはしなかった。
    その涙と汗は洪水もとい溶岩のように流れ出ていた。

    「がんばれ〜」

    「お、無理すんなよ!」
    と気がついたら周りに観客がいて、
    彼に向かって応援をしていた。私も彼に一声。


    「ひゃんひゃっへ!」
    (頑張って!)


    すると彼は立ち上がり、
    すごい勢いで丼の中身を掻き込む。
    最後の中身を食べ終え、
    彼は半ばその丼を落とすように置き、
    箸が中に落ちた音が周りに反響した。

    すると、少しの時間が流れ、
    私はそんな彼の反応を待った。
    そして、静かに彼は語りだした。

    「……RXJ1347銀河団をX線で観測すると
    数千万度から1億度近い高温のガスが
    検出されるらしいんだ」

    「へ?」

    「その銀河の中には三億度にも上る
    ガスがあるんだけど」

    「ひゅん。」

    「いま、僕はその中にいるような気がするよ……。」
    そういうと、彼の全身から力が抜け、崩れ落ちた。
    私は慌てて彼の額に手をかざす。

    「ひょ! ひょほいへふれふ! はれひゃ! 
    ひゅうひゅうひゃ!」
    (うわ! すごい熱です! 誰か! 救急車を!)

    「ああ……僕のベガ。
    ……アンドロメダ星雲よりも君は
    ……ああ、会いたい……僕の」

    彼はその最後の言葉を言ったと同時に事切れた。私は、思わず叫ぶ。

    「ひゃれひゃひゃひゅへへくりゃひゃい!」

    (誰か、助けてください!)


    まるで映画の一シーンを思わせる台詞を
    言ってしまう。だが残念なことにその言葉は
    だれにも通じていなかった。ただ、
    彼の様子をみて、救急車を呼んでくれたのだった。


    後に伝説として語り継がれる
    彼の赤い悪魔事件は彼の入院という結果に終わる。

    ちなみに激辛トンカツを初めて食べきった
    人物として、食堂に記念として彼が丼を食べきった
    シーンを誰かがたまたま撮った写真が
    飾られることとなった。

    尊敬の念として、彼に付けられた名は、
    赤い悪魔と闘った男と言うことで、
    赤い悪魔殺しと名付けられたのであった。
  • 27 蓮 id:l1Piun0.

    2011-07-16(土) 22:41:29 [削除依頼]



    ――このときだ。
    私が彼のことを宇宙人ではないかと
    疑い始めたのは。
    彼が倒れて病院まで付き添っていた間
    私は彼の事を冷静になって考えてみることにした。

    なぜ、ここまで彼のことが気になるのだろうか、
    と私は考えていた。私は今まで男の人と
    あまり接点を持つことがなかった。
    だが、彼はそんな私が初めて気になった男性だ。
    彼に抱くこの感情は未知のものであり、
    私も把握できていない。


    今まで男の人に抱いていたどんな感情よりも、
    それは山や空よりも高く、
    月とすっぽんよりかけ離れていた。

    ところでなんですっぽんと月を比べるのだろう。
    なにか関連があるのだろうか。

    おっとわき道にそれてしまった。
    それは置いといて、

    彼に出会った最初の日のことを思い出す。
    私はあの時、大学の帰り道久しぶりに
    通った通学路を懐古しながら歩いていた。
    そんな時分に、突然現れたのが彼だ。
    彼はなにを思ったのか、小学生が行っていた
    白線を踏む行為を模倣し始めたのだ。


    それを見た日から私は彼のことが気になって
    仕方なくなった。


    それはなぜか。


    たったそれだけのことだというのに
    私は不思議な気持ちになり、彼を知りたいと思い始めた。


    なぜ私はこのときそのように考え、
    また思ってしまったのだろうか。


    彼の行動を思い出してみればなにか
    わかるかと私は考えた。
    思えば彼の行動で私は気になったことが
    いくつかあることに気づく。

    まずその一。

    彼はなぜか、私が彼の顔を見つめようとすると
    顔を逸らす。


    その二。


    彼はなぜか、最初に私が会ったときや
    その次の時に逃げ出した。それこそ急に。


    その三。


    彼が激辛トンカツを食べ終えて最後に言った台詞、
    あれは宇宙のことだった。

    以上の疑念からわたしはあらゆる方面から
    かんがえてみることにした。


    そして突然私の脳裏に電撃が
    走ったような感覚で浮かんだのが、


    ――彼が宇宙人かもしれない、ということだ。
  • 28 蓮 id:l1Piun0.

    2011-07-16(土) 22:45:19 [削除依頼]
    こうした疑念を持ってしまうと、途端にそのような
    気がしてしまうから不思議である。

    だが、それで、合点がいくのではないか。

    彼がもし、宇宙人であるなら、
    私に正体を隠すために 行動するだろう。
    きっと彼は私がたぐいまれな観察眼を持っていること
    に気がついたに違いない。

    私のこの目は暗闇を見通す能力を持たない。
    だが、謎という大きな暗闇から真実を探り出すという
    目を持っているのだ。

    …つっこみはなしの方向でお願いしたい。

    とにもかくにも、私のことを恐れた彼は
    宇宙人だと言うことを隠すために、
    顔を隠したりしていた。

    だが、私は出会った瞬間気づいてしまったのだ。

    彼がほかの人間とは違う何かを持っていることを。

    私のこの洞察力には自分でも畏怖の念を抱く。
    それこそ、たこ焼きのなかにタコが入っていないこと
    を気づいてしまううほどに。

    そして、ときどき私の方を向かず、
    何やらつぶやいていた時ももしかしたら、
    彼の仲間である宇宙人に連絡を取っていた
    のかもしれない。

    な、なにー。
    私もしかして、宇宙的に知られてしまったのか。
    そしたら、どうしよう。
    宇宙人とこれ以上知り合いになることもやぶさか
    ではないのだが、さらわれてしまったりなんかしたら
    私は一生地球の土を踏まないかもしれない。

    コホン。またまた話がずれてしまった。

    そして、最後に彼は語っていた。
    ベガ、アンドロメダ星雲、会いたい。

    最後にこれを語った彼の瞳は、
    なぜか私の胸に迫った。
    もしかしたら、
    彼は誰かに会いたいのかもしれない。

    その誰かが、
    宇宙人の男の人なのか女の人なのかはわからないが、
    そうした人に会えない何かの事情があるのだろう。

    その宇宙人が女の人だとしたら、
    とそこで私は思考をとめた。
    なぜ止まったのか自分でもわからない。
    もう一度考えてみようと試みる。
    もし、相手が女の人であるなら、
    お母さんかもしれない。
    でももしかして、いや、でも。

    と思考がそのことを考えることを
    拒絶するかのように 鉛のようにズシンと頭を重くした。

    頭を横に振り、ひとまずそのことは保留として、
    なぜ会えないのか考えてみる。

    彼は宇宙人


    彼は宇宙人


    そして、頭をひとしきり悩ました結果。
    私が考えた 結論。それは、
    この地球を征服するために送り込まれた
    宇宙人である、ということだ。

    我ながら、おそろしい頭の回転のすさまじさだ。
    (速くはないことは自覚している)

    つまり、彼は、この地球のことを征服するために、
    探っている、尖兵なのかもしれない。


    もし、この私の考えが正しい場合。
    地球を救うのは私にかかっているかもしれない。


    そう思い、私は彼のことを観察することにした。
  • 29 蓮 id:l1Piun0.

    2011-07-16(土) 22:46:58 [削除依頼]
    彼の入院は一日だけだった。
    だから私は彼が退院する前にと思い、
    一連の事件にかかわった者として放っておくことが
    できず、また観察するという目的もあり、
    午前中に彼のところにお見舞いに行くことにした。

     県立だけあって広い敷地を持った病院に
    運び込まれた彼の病室に向かう。
    消化器内科のある七階だということは
    昨日の付き添いでわかっている。
    あの後、胃があれにあれて苦しんでいた彼のために
    ヨーグルトを持ってきた。
    消化器内科に上がるためのエレベーターに向かう
    廊下を歩く。
     病院の外の景色を穏やかに見つつ、
    通り過ぎる人やおばあちゃんに挨拶をして、
    エレベーターのある場所を探す。

     ようやく見つけたと思ったのだが、
    エレベーターの前にはあいにく人が数人
    待っているようで、その中には車いすに
    座っている人も見えた。

     何となく、それならと思い
    隣にある階段を使って、歩くことにする。
     だが、七階というのは相当なもので、
    体力を使う。
    私の脚力が磨かれると前向きにかんがえて
    登ったが、息が切れていることに気づき、
    自分の体力のなさに悲しい気持ちになった。
  • 30 蓮 id:l1Piun0.

    2011-07-16(土) 22:47:30 [削除依頼]
    更新完了です。
  • 31 蓮 id:sd18Zw8.

    2011-07-18(月) 10:09:18 [削除依頼]
    オープニングらしきもの >>1+2+19+20+21+22+23+24+26+27+28+29です。 では更新します。
  • 32 蓮 id:sd18Zw8.

    2011-07-18(月) 10:45:32 [削除依頼]
    そんな苦労をしつつも、なんとか彼の病室に
    辿り着くことができた。

    部屋に入る前、殺菌するためのアルコールが
    病室の前に置いてあったので、それを手につけた。
    ノズル口から発射された、アルコール臭が鼻孔を刺激する。
    思わず、しかめっ面になってしまった。

    そして、気を取り直して、部屋に入る。
    彼の病室は六人部屋で、彼のベットは
    入口から見て一番左奥だった。
    だが予想していた人物の姿がなく
    カーテンは開いていて、
    そのベットにはだれもいないことは一目瞭然だった。

    思わず、退院したのかと思って、近づいてみると、
    そうではなく、まだ私物が置かれていることから、
    トイレにでも言ったのかもしれない。机に置かれた
    雑誌はニートンという某有名サイエンス情報誌が
    置かれていた。タイトルは大きい宇宙だった。
    何やら、きな臭い雑誌である。私は心の中で
    『彼は宇宙人説』のメモ書きに記しておくことにした。

    私たちの宇宙人観を調べるためにこの雑誌を
    読んでいるかもしれないからだ。

    そんなことを思って、私は何気なく彼のいない
    ベットに腰掛ける。
    彼のベットの場所は窓際であるため、外を見ると、
    私が住んでいる街の光景が見渡せた。
    普段は意識しないが、こうしてみると
    なかなか味のある土地であることが分かる。

    古い家と新築が織り交ざっていて、
    遠くにそびえ立つ、アルプスも見える。


    窓が少し開いていて、その風が私のほほに当たった。
    まるで、風が私にキスをしてくれているようで、
    私はその心地よさに目を瞑った。
    そして、先ほど歩いた疲労感と、
    どうやら彼に会うということで、
    程よく緊張もしていたらしい。
    眠気が不意に私を襲ってきた。

    抗うことのできないような感覚に私は
    彼のいないベットを借りて、すこし横になることにした。

    ――ああ、これが彼の匂いか。

    無意識に彼の顔を思い出して、なぜか陽だまりのような
    心地よい温かさが胸に灯った。

    深呼吸をしたと同時に、私は意識を手放した。
  • 33 蓮 id:sd18Zw8.

    2011-07-18(月) 10:48:31 [削除依頼]
    >>32机に置かれた雑誌はニートンという某有名サイエンス情報誌が 置かれていた。 を 机にある私物は、雑誌で、 ニートンという某有名サイエンス情報誌だった。
  • 34 蓮 id:sd18Zw8.

    2011-07-18(月) 10:49:03 [削除依頼]
    に変更です。
  • 35 蓮 id:LQIdRj8/

    2011-07-19(火) 23:43:45 [削除依頼]
    しばらくして、私は意識をうっすらと回復させた。
    そして聞こえてきたのは、年を重ねしゃがれた声とそれに答える
    若者の声。

    「いやあ、兄ちゃん。かわいい彼女さんだね。」

    しゃがれた声の方は陽気に若者の方に話しかけていた。

    「突然、入ってきたと思ったら、自然にそのベットに座って
    寝てしまったよ?」


    「いや、えっと、違うんですよ。彼女はその……」

    若いほうの声の持ち主は困ったようなそんな声で返事をしていた。

    「ちょっとさえない若者だと思ったんだがね」

    「いや、ですから、僕も突然のことで何が何やら……」

    「しかし、本当にきれいな可愛い人じゃないか。
    どうやってしとめたんじゃ?うん?」

    「いや、その確かにベットの中に寝ているその姿はまるでお姫様
    だと思うほどで、その肌は絹のように柔らかな感じだなとは
    感じましたが、その、恋人というわけでは」

    「本当じゃな。なんといってもあの長い黒髪は
    一瞬、黒曜石のツヤをおもわせたわい。
    あんさんに恋人じゃなければ、わしが口説いておったものを」

    そう言って気持よく笑う。きっとおじいさんなのだろう。
    そんなおじいさんに、突如としてひきつった声で笑う、若者。


    「いや! あはははは! そうなんですか! あ、あはははは、は」

    語尾が急におとなしくなってしまったのは何故なのだろう、と
    思いながら、私は瞼を開けた。

    ぼやけた焦点から段々と周りの状態がはっきりとした姿に
    変わってきた。
    そして、若者だと思っていたのは、宇宙人説を持つ彼で
    話していた相手は私の予想通りおじいちゃんだった。
    私は止まっていた思考が元通りに流れ始めて、自分がいつの間にか
    眠っていたことに気がついた。

    彼は私の意識が目覚めたことに気づいたらしく、

    「お、おはよう。」

    と挨拶してきた。私は反射的に、

    「おはようございます」
    と寝ながら返した。

    そして、幾分かの間を経て、わたしは急に、今の自分に恥ずかしさを
    覚えた。顔に血が上り、紅潮しているのがわかる。

    「うううう」

    と思わず顔を隠す。


    彼はそんな私の顔を見て

    「ぶほっ」

    となぜかむせていた。そして、おじいちゃんも

    「なんとかわいらしき娘よ……恐ろしさを覚えたわ」

    となぜか神妙に言っていた。

    「寝顔見たんですか?」
    と彼の顔を見ずに問いかけた。
    すると、彼は、

    「いや、その」

    と言葉を濁す。その少しの言葉だけで、わたしは自分が醜態を
    さらしたことに気がついたのである。
    恥ずかしさのあまり、このまま消えてしまいたいと思う。

    「うううう、タイムマシンプリーズです」
  • 36 蓮 id:RP.zR1M1

    2011-07-20(水) 18:52:47 [削除依頼]

    穴があったら、入りたい。いや、むしろふたをして閉じこもりたい。
    そんなことを思って、ベットの上で悶えてしまう。
    それはもう、周りの目など意識できないほどに。

    「ちょ、ちょっと、あのさ!」

    「はい?」

    私は動作をやめ、彼の方を見る。
    彼は顔をなぜか真っ赤にしていて、

    「いや、あのさ。ちょっと、ベットさ。僕が寝てたところだから、
    なんというか、照れるんだけど……」

    と言ってきた。

    「なんで照れるんですか?」

    「なんでって。あのねぇ。」

    頭に手を当てて彼は呆れ気味だ。

    「とにかく! 君は女の子なんだから、もうちょっと
    警戒しなければいけません」

    彼は少し語気を強くした。そんな彼の言葉に
    隣にいたおじいちゃんはからかうように

    「そういって、
    お前さん、彼女の笑顔を他の奴に見られたくないだけじゃないのか?
    まったく、お熱い事じゃの。わしも、亡くなったおばあさんを
    思いだしたじゃないか」

    そう、考え深げにおじいさんは腕を組みながら、懐古しているようだ。

    「おじいさん。 だれが亡くなったって?」

    すると、いつのまにやら老婦人が
    おじいさんの傍にいて(いやもしくはずっといたのか)、おじいさん
    に冷たい笑顔を向けている。

    「おばあさん! 今のはちょっと気が緩んで……」

    「あなたは気が緩んだだけで、わたしを殺すんですか?」

    「ひいいい、鬼婆!」

    「ちょっと顔を貸してもらいましょうか?」

    「痛い、い、痛いよ! ばあさん、耳は引っ張らんでくれないか。
    千切れてしまうわい!」

    とおじいさんを連れて、どこかに行ってしまった。

    残されたのは私と彼と思ったのだが、よく見るとあと二人
    入院中らしき方たちが部屋に残っていた。

    中年らしき男と若い男性だが、二人はおじいちゃんたち
    のやり取りを見て笑っていた。

    きっとあのおじいちゃんは愛されているに違いない。


    「と、そろそろ、退院の手続き済んだから、出て行こうと思うんだけど」

    「あ、そうなんですか。なんか、寝てしまってすいません。」

    「いやいや。えっとお見舞いかな?」

    「はい、ヨーグルト持ってきました。」

    「持ってきた?」

    「ええ、家で作ったカスピ海ヨーグルトです。おいしいですよ」
  • 37 蓮 id:RP.zR1M1

    2011-07-20(水) 22:33:54 [削除依頼]
    「ということは、もしかしなくても、あの、手作り?」

    「ええ、そうです」

    彼はなにやら、賞をもらったかのような笑顔を浮かべてくれた。
    私はその顔を見て思わず私まで笑ってしまった。

    「帰る前に、ちょっと食べてもいいかな?」

    「もちろんです」

    私がうなずくと、彼は椅子に座った。私はベットに腰掛けながら、
    持ってきたヨーグルトを渡した。

    「あ、ちょっと待ってください」

    プラスチックの小さな容器に入れたヨーグルトに
    持ってきた梅ジャムを投入する。そして、プラスチックの
    スプーンを渡す。

    「はい、どうぞ」

    「ありがとう」

    そういって早速彼はヨーグルトを口に運んでいた。
    私は少々、緊張しながらそれを眺めていたが、

    「うん。おいしい!」
    と彼が破顔して笑う姿を見て、そっと胸をなで下した。

    そんな彼が食べている間、先ほどの二人は

    「……いいですね。初々しくて」

    「俺も彼女ほしくなってきた」

    とのコメントをいただいた。
    何がなんだかわからないが、そんな二人の様子がおかしくて、
    笑ってしまった。

    「見ましたか?」

    「はい。おれ、彼氏さんに殺意抱きそうになりましたっす」

    「奇遇だね。私もだよ」

    と怪しげな笑い方をしながら話していた。
    彼はそんな二人に、

    「誤解をもう解く気にもなれない」

    と悲しげな笑みを浮かべた。
    私は先ほど話された会話の一語がいまさらながら疑問に感じて

    「あの、彼氏ってなんのことですか?」

    と彼に訊いてみた。

    「いや、えっと……」

    とさらに困ったような表情を浮かべる。
  • 38 蓮 id:wwBmEUJ/

    2011-07-25(月) 12:05:05 [削除依頼]


    「さあ、なんのことだろう」


    彼の目は遠くを見ていた。

    「今、話しそらしましたね」


    私は冷たい目を意識して彼を見た。
    ――内心、普段冷たい目などしたことがないため、ドキドキではあったが。
    「うっ。意外に鋭い」


    そんな心持ちでいたが彼はどうやら気づかなかったようだ。
    だが、彼の言葉の端にそこはかとなく私に対する評価が低いものを感じて、
    払拭しようと試みる。


    「むっ。私は鋭いですよ。鋭すぎてゴルゴか、って言われますよ」


    「いや、それはウソだよね」


    私は雷に打たれたような感覚で、

    「なんでわかったんですか!?」
    とおののいた。

    「君の驚くポイントがわからない」

    と彼は呆れ顔だ。

    「君がゴルゴなんてどうみても有り得ない」

    「そんなのやってみないとわからないじゃないですか」


    「じゃあ、試しにやってみて」


    「私の後ろに立つと辺りが血の海です!」

    ――鉄砲を持つふりをして、
    できる限りゴルゴ風にハードボイルドを気取ってみる。

    「いや! セリフおかしいからね! なんかホラーっぽいよ!」
  • 39 蓮 id:wwBmEUJ/

    2011-07-25(月) 12:10:32 [削除依頼]
    口元を押さえて彼は笑っている。

    彼は笑うと、形の良いえくぼができることに気づく。
    些細な彼の特徴を密かに心のメモ帳に記した。
    彼はわたしの表情を見て、笑みを深めた。
    ――彼の瞳の奥にある優しい光。
      見つめる先にあるのは私の顔。
    なんてことのないことかもしれない。

    だがそんなことが私になにか心の奥の方にある
    得体の知れない熱いパトスを生じさせた。

    「ふにゃら」


    「何か突然、ふにゃけた!」

    と少々戸惑った口調の彼。

    (ポワー)
    (ポワポワー)
    (ポワポワポワワー)


    「ちょっと、どうしたの? もしもし?」

    「はっ!」

    と私は表情を引き締める。
    何か別世界に飛んでしまっていた。
    甘いものや至福の一時の無意識のうちになる、
    ポワーっとなるあの感覚に近いものがある。


    私は思わず頭に疑問符を付ける。
    なぜポワーっとなったのだろうか。
    ただポワーっとなっただけではなく
    ドキがむねむねするような(間違いではなくそんな感覚)、
    もとい胸を叩く熱い鼓動が激しさを増したような、
    そんな気さえする。


    この感覚、嫌ではない。ないのだが、


    (はっ! これはもしや宇宙人の洗脳!)

    「宇宙人さん、やりますね……!!」

    (私はすこし警戒感を強めねばなるまい)
  • 40 蓮 id:wwBmEUJ/

    2011-07-25(月) 12:12:43 [削除依頼]
    私を油断させて、
    自分の正体を隠す手段なのかもしれない。
    なんて巧妙な。
    一瞬とはいえこの私が彼を宇宙人として接することを
    忘れるとは。
    というか、宇宙人とどう接したら正しいのか
    いまいちわからないが。

    それにしたって、私の心を支配する、
    ポワーという感覚。あれは回避しがたい。
    もう一度されても私はあらがうことはできないだろう。
    それどころか時間を忘れてしまいそうになる。
    全く持って不可思議な存在である、宇宙人というのは。

    「う、宇宙人? なんのこと?」

    彼は頭にクエスチョンマークを付けたような顔
    と声で訊いてきた。

    ますます持って怪しい。
    私の観察眼を侮っているようだが、だまされない。

    「やりますね。しかし、私は負けませんよ」

    挑戦状を叩きつけるような心持ちで私は言った。
    すると彼は

    「ああ、言葉のキャッチボールが成り立たない」

    と何故か困った表情。


    私は彼が宇宙人であるかを確かめるため、
    机の上に置かれた雑誌について触れることにした。
  • 41 蓮 id:wwBmEUJ/

    2011-07-25(月) 12:13:40 [削除依頼]
    咳払いを一つして、
    「それで、この雑誌なんですけど」と切り出した。
    「うん?」

    彼は首を微かに傾げたのち、
    私が指差した雑誌に目を留めた。

    「ああ、雑誌。これがどうかしたの?」

    ふっふっふ。自らアシストをしてくるとは、
    愚かなり宇宙人。このチャンスを逃す手はない。


    ホームズの格好をした自分を
    イメージしながら質問する。

    「宇宙に興味があるようですね?」


    「なぜパイプを吹かす真似を……?」

    「あるかないか、どっちですか!」

    「いや、それは、あるけども」


    「ほほう」

    私は目を細めてみる。
    漫画的表現をするならここで私の目の所に
    キラーンとしたマークがついているだろう。

    「なぜこんなものを?」

    「なぜって」


    彼は当然のような顔で

    「宇宙が好きだから」

    とはっきり述べた。意志のこもった瞳に私は視線をそらせなかった。


    「何ですか急にそんな表情。戸惑うじゃないですか」


    最後の方はゴニョゴニョとなって口ごもってしまう。
    名探偵ホームズ(自称にして偽者)ピンチである。
  • 42 蓮 id:tUBqoCz0

    2011-08-08(月) 12:02:01 [削除依頼]
    「ち、宇宙人が偉そうに、です」
    「あれ?おかしいな。なんか辛辣な声が君から聞こえてきたような」

    照れ隠しに言った台詞が聞こえてしまったようだ。


    「気のせいじゃないですか」

    ニコリと笑顔で誤魔化しておく。

    「そっそうかな? なんかわかんないけど宇宙人ってなに?
    それって僕のこといってるの?」


    彼は恐々と訊いてきた。ふっ計算通り。
    この男自分から宇宙人であることをばらそうとしているのか。笑止。

    この私がすべてをさらけ出してあげよう。だが直接聞いてしまっては、相手もさすがに答えまい。ここは、さりげなく自分から答えを言わせるというミステリー的手法で。


    「おほん。あ〜、あなたは」

    「なぜ古畑任三郎的口調なのかな?」


    「出身はどこでしたか?」

    彼は私の口調に釣られたのかまるで犯人のように答えた。


    「愛知です、けど」


    なっなに〜!

    さりげなく彼の宇宙の出身地をききだそうと思ったというのに!


    「み、認めたくないものだな」
  • 43 蓮 id:tUBqoCz0

    2011-08-08(月) 12:03:37 [削除依頼]
    彼は宇宙人


    彼は宇宙人


    「い、いや突然なに? しかも僕の出身地が愛知であることを認めたくないの?」


    「本当ですか?」


    「なぜそこで疑いの目! 僕に嘘をつくメリットないけど!?」


    確かに、彼が一般人であるなら私も疑うことはしなかっただろう。

    だが彼は宇宙人かもしれない。そして彼が宇宙人であるとするなら、私に嘘をつくメリットが残念ながら存在してしまうのだ。私に知られてしまったら厄介なことになる。私はいつでも携帯で警察にこのことを知らせる用意があるのだから。

    「はいはい、そういうことにしておきましょう」

    (まったくしょうがないな。やれやれ)

    「その如何にも意味ありげで、しかもやれやれと肩をすくめるのはやめてくれないかい? 心の声透けて見えるようだから」

    「心の声が見える!」


    私は思わず恐怖を抱いた。宇宙人の能力を甘く見過ぎていた。まさか、私の心の声が見えるなんて!

    そんな、
    では私が先ほどまで考えていたこともわかってしまうのか。ならば私が先ほどまで考えていたポワーとした所の思考も見えていたのだろうか。急速に恥ずかしさを覚えた。

    「ぬぬぬ」

    (何で見るんですか?)
    (というかそれではあなたは宇宙人ということですね?)
    (先ほど私に使ったあのポワポワ攻撃はどのようにして使っているのですか)

    などと心の中で彼に問いかけてみた。ちなみに結構楽しんでいる。

    「あ〜、君の反応は見ていて飽きないけれど、そんな反応されると困るから一応言っておくよ。比喩だから。実際には聞こえてないからね。」


    彼は私の様子を見て訂正してきた。

    「比喩なんですか?」

    「そ、例え」

    私はそっと息を吐いた。正直、少し残念ではあるが、見えていたなら、私は心を無にする奥義を取得するため山にこもらなければならないところだった。


    だが、待てよ。
    仮に今のが嘘で、本当は私の心が見えるのであれば、私の先ほどの思考も聞こえていたかもしれない。それを聞いていた彼が機転を利かせとも考えられるのではないか。

    それを確かめる方法は何かないかと思案する。

    (ありきたりだけど)

    私はできる限り笑顔で、心の中でつぶやく。
  • 44 蓮 id:tUBqoCz0

    2011-08-08(月) 12:04:53 [削除依頼]
    (バカ)
    と心の中でつぶやく。もちろん、表情は笑顔のままだ。
    私はこの調子で笑顔はできる限りの明るさを見せるようにして、しかし心の内でつぶやくのは全く逆の言葉を言ってみる。
    (アホ)
    彼の表情は変わらないままだ。
    (宇宙人!)
    と精一杯考えた悪口を言ってみたが反応はない。彼は私の笑顔に釣られたのかにこやかな表情を浮かべている。


    この様子だったら彼は私の心が見えているようには見えない。
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