天恋32コメント

1 雛宮紫陽花 id:i-goTp57z1

2011-06-28(火) 20:16:21 [削除依頼]
飛べない天使が求めたものは、
  • 13 未瑚. id:oB4KA/A1

    2011-06-30(木) 18:53:44 [削除依頼]
    やっぱあの曲最高ですよね!!

    ぅちんとこのボカロ好きの友達
    全員知らないとか悲しすぎる;

    あの曲はじめて聞いた時号泣したから!(えw
  • 14 鳴海 id:Z98sOdJ/

    2011-06-30(木) 19:03:29 [削除依頼]
    あたしもその曲好きです!!
    リン・レンの曲の中で一番と言ってもいいくらいに!!


    あ、すみません
    勝手にお邪魔して……
  • 15 雛宮紫陽花 id:i-WSsyqCv0

    2011-06-30(木) 20:27:10 [削除依頼]
    紫音さん>
    見つかってしまった←
    これはホントに、プロットも何もなく作ったものなので、グダグダもしくは凄まじい急展開になる事間違いなしです。読んで誰特ですよ、はい。

    応援ありがとうございます! 頑張っていこうと思います。


    未瑚さん>
    リンレンが好きな人なら、絶対に聞いてほしい曲ですよね。ウチの友達もみんな知らなくて、若干へこみましたorz
    アレは泣けますね。ええ、泣きましたとも((((


    鳴海さん>
    あの歌はいいですよね。一度聞いたら、何度も頭にリピートします。
    いや、邪魔ではないですが。まあ、一応小説スレですからね。雑談はあんまり、という方向で。
  • 16 ‘‘理文” id:5Abp1J0.

    2011-07-01(金) 13:43:40 [削除依頼]
    紫陽花見っけ。
    タイトルに釣られて来たので、一瞬にしてパソコンの前でorzポーズwww
    台詞は「紫陽花じゃないか。というかファンタジーじゃん」みたいな。
    そして今、新たな小説の案が思い浮かんだが、テスト期間の為に書きに入れない。
    それではまた時間あるときに読ませてもらうよ。
  • 17 雛宮紫陽花 id:i-e9SqVSY1

    2011-07-01(金) 18:18:13 [削除依頼]
    理文>
    がふっ((吐血
    くそ、どうしてこうも見つかるんだ←
    結局ファンタジーになってしまった。きっと紫陽花さんは一生空想世界から抜け出せないんだよ、うん((((

    ウチもテスト期間だが、そんな事は完全に無視して小説を書き始めてしまいました(若干後悔)。

    いや、読まなくていいよ。プロットほぼ皆無で描写も雑だし、いつ矛盾が出てくるか分からないような小説だからね。
  • 18 ‘‘理文” id:5Abp1J0.

    2011-07-01(金) 18:40:13 [削除依頼]
    >紫陽花
    わかった良し、じゃあ、俺も気にせずいまから書き始めよう。
    これで成績下がったら全責任は紫陽花ねw←オイ

    まあ、もちろん冗談だ。

    まあ、適当に読ませていただくww
  • 19 雛宮紫陽花 id:i-e9SqVSY1

    2011-07-01(金) 18:46:12 [削除依頼]
    理文>
    ウチに責任は取れんからな。やはり、そこは自己責任だ。何より、その紫陽花さんが一番成績ヤバいんだからな←

    まあ、読んでウチの表現力の無さに絶望しているんだな((((
  • 20 雛宮紫陽花 id:i-e9SqVSY1

    2011-07-01(金) 20:04:09 [削除依頼]
     羽毛の布団をキュッと握り締めて泣いていると、トントンとドアをノックする音が聞こえた。ソラの肩はビクリと跳ね、慌てて涙を乱暴に拭う。
    「何?」
     声が震えた。泣いていたのがバレたかもしれない。
    「ソラ、お腹空いてない? スカイフィッシュのソテー、まだあるけど」
     ドアの向こうから、ウェルザが少々声を張って言う。いつも通りの優しく能天気な声だ。腹なんて空いていない……と言いたい所であったが、あいにくペコペコである。
    「……食べる」
    「そう、じゃあ温めておくね。早く出てくるんだよ」
     そう言って、足音が遠ざかっていった。
     ソラはタオルで丁寧に涙を拭い、鏡を覗いた。ところが、目が真っ赤である。これでは泣いていた事がバレバレだ。どうしたものかと部屋をうろつくも、室内にはそれをどうにか出来るようなものはない。
     そうこうしている内に、足音が近付いてきた。なかなか出て来ないので、ウェルザが呼びに来たのだろう。もう、こうなれば捨て身だ。
     ソラはドアを豪快に開いた。外にいたウェルザは驚きの声を上げ、一目散にリビングに向かうソラの背中を目で追う。
     よし、成功だ。兄貴に顔を見られなかった!
     リビングのテーブルに置いてあるソテーを手で摘み食べる。フォークを出す時間すら惜しかった。
    「もう、ソラったら」
     戻ってきたウェルザが苦笑しながら、ソテーを貪るように食らう弟を見た。ソラはウェルザが来ると、サッと視線を逸らす。今顔を合わせれば、泣いていたのがバレるかもしれない。
     すると、横からニュッとフォークが現れた。
    「ちゃんとフォークを使って食べなきゃ駄目だよ。手が汚れちゃう」
     ソラは差し出されたフォークを引ったくると、それを使って食べ始める。こういう時は、割と素直だ。
     食事を終えると、ソラは皿とフォークをテーブルに放置して、さっさとリビングから出ていってしまった。ウェルザが呼び止めるが、無視してそのまま部屋に向かう。
    「ソラってば……もう」
     一人リビングに残ったウェルザは、溜め息混じりの小さく笑みを浮かべ、皿の片付けをする事となった。
  • 21 雛宮紫陽花 id:i-zSaLZKW1

    2011-07-02(土) 17:04:34 [削除依頼]
    Episode2.堕ちる


     暖かい光が顔に当たり、ソラは薄ら目を開いた。窓から差す日光が、彼の銀色の髪を輝かせる。どうやらベッドに寝転がっていて、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
     ムクッと起き上がると、ソラはショボショボとした目を擦った。大きな欠伸を一つ零し、部屋から出ていく。
     リビングに行くと、一人分の料理がポツンとテーブルに置いてあった。どうやら、ウェルザはもう仕事に行ったらしい。忙しいのに弟の分まできちんと食事を用意するとは、正直余計なお世話である。結局、兄貴も俺が何も出来ないと思ってるんじゃないか――そう思えてしまった。
     手早く食事を済ませると、ソラは家から出ていって。町に出ると、周りの天使たちの視線が全身に刺さる。皆が何を言わんとするか、ソラにはもう分かり切っていた。
    「また出て来たよ、あの出来損ない」
    「役立たずのクセにウロウロされたら、邪魔でしょうがないぜ」
     コソコソとそんな声が聞こえてきた。こちらに聞こえないように言っているつもりだろうが、筒抜けである。いや、もしかしたらわざと聞こえるように言っているのかもしれない。
     それでもソラは、押し黙ったまま町の中を抜けていった。目指す場所はクラウド・ヒル。いつも自分が、一日の大半を過ごす場所だ。
  • 22 雛宮紫陽花 id:i-zSaLZKW1

    2011-07-02(土) 19:14:14 [削除依頼]
    ○独り言○
    新しいキャラの容姿を確認しようとキャラ表を見て驚愕。

    ソラとウェルザの目の色間違ったっ!!

    ウチは一体何をしているんだ……。まあいいや、物語に支障はない。このまま貫き通します。
  • 23 雛宮紫陽花 id:i-mjJ2D1b1

    2011-07-03(日) 07:45:53 [削除依頼]
     クラウド・ヒルは町から外れた所に位置する、小高い丘である。町の人々にわざわざこんな何もない所まで来るような奴はいないので、ソラは一人でいる事が出来るのだ。
     しかし、今日は先客がいた。
     丘の上に佇む、金色の髪を長く伸ばした女性。両翼を広げたその姿は美しく、日の光に照らされる彼女は神々しくさえ思える。
    「よう、シャーゴット」
     そんな彼女に不躾に声を欠けたのは、ソラであった。
     名前を呼ばれた彼女はクルリと振り返り、その紫の瞳に温かい笑みを湛える。
    「おはようございます、ソラ。今日もいいお天気ですね」
    「まあ、雲の上だからな」
     丘を上りながら、ソラはシャーゴットにそう返した。すると、彼女はフフッと口に手を当てて上品に笑う。
    「あ、そうでしたね」
     その仕草や言葉からは想像しにくいかもしれないが、彼女こそこの天界で最大の権力を持つ者――つまり、神なのだ。言ってみれば、ソラとは天と地ほどに身分の差がある。
    「何してんだよ。お前、仕事あるんじゃねぇの?」
    「まだ朝早いですからね。祈りもなかなか集まらないんですよ。なので、遊びに来ました」
     こうも堂々と仕事をサボれるのは、神の権限なのだろうか……そんな事を思ったりする。
    「皆頑張ってんだろ。あんたがサボってて怒らねぇの?」
    「私を怒ろうとするのは、きっとこの世界でソラ以外にはいないでしょうね。皆、私の事を特別な存在だと思っているのでしょうから」
    「へぇ……こんなに間抜けな顔した奴なのにな」
    「あら、いっつもふてくされた顔をしてるあなたには言われたくありませんね」
     そんな事を言って、お互いに笑いあった。たとえ身分的にはどれだけ差があろうとも、二人は一番近い所にいる。同じモノを抱える、言わば似た者同士なのだ。

     ――同じ、孤独を抱える者。
  • 24 雛宮紫陽花 id:i-mjJ2D1b1

    2011-07-03(日) 14:06:30 [削除依頼]
     神であるシャーゴットは一見、全てに恵まれたかのようにも見える。輝かしいまでの美貌、神という地位、自分を慕う者たち……とても孤独とは縁遠く見える彼女であるが、実際は違った。
     神という高すぎる地位は、それだけで人々を遠ざけた。彼女を慕い仕える者はいるが、しかし心は遠く離れた場所にある。近くにいる者ほど、心の距離は遥かに掛け離れているのだ。シャーゴットには、それが寂しく、悲しく感じられた。
     そして、その寂しさから逃げ出す為に訪れたここで、ソラと出会った。
    「さて、私はそろそろ帰りましょうかね」
     シャーゴットはそう言うと、思い出したようにソラに向き直る。
    「あ、今日話した事は全部……」
    「二人だけの秘密にしといて、だろ。言われなくても分かってるから」
     ソラが面倒臭そうに遮ると、彼女はニコリと微笑みを浮かべた。
     シャーゴットは初めて出会った時も、同じ事を言った。ソラは最初、自分のような出来損ないと関わった事を明かされたくないのかと思い、酷い嫌悪感を覚えたのを覚えている。しかしそう問い掛けたところ、彼女は苦笑してこう答えた。

    「だって、他の人に聞かれたら恥ずかしいじゃないですか」

     シャーゴットにとって、ソラは自分の心を打ち明けられる唯一の存在だった。
    「ありがとうございます」
     彼女は小さく頭を下げると、まるで煙のように体が崩れ消えてしまった。
  • 25 雛宮紫陽花 id:i-mjJ2D1b1

    2011-07-03(日) 18:17:38 [削除依頼]
     小高い丘に一人残ったソラは、ボーッと青い空を見つめていた。最近は一日中、こうして何もせず過ごしている。暇で仕方ないが、何かして周りの天使たちに文句を付けられるのに比べれば遥かにマシだ。
     しかし、今日はいつもより晴れやかな気分だった。シャーゴットと話が出来たからかもしれない。
     何処までも青い空を見つめ、ソラはふと、先程の会話でのシャーゴットの言葉を思い出す。
     ――今日もいいお天気ですね。
     自分は雲の上だから当然だと言った。遮るともののない雲の上で、天気が変わる事などないのだから。しかしそれなら、雲の下は一体どうなっているんだろう?
     飛べないソラは下界に行けない為、下界についての知識はほぼ皆無といってよかった。ウェルザも自分に気を遣ってか、そういった事に関しての話はほとんどしてくれない。
     そこでソラは、ある事を思い付いた。
     ――下界に行こう。
     もちろん、飛べない自分が無事に辿り着けるか分からないし、行けたとしても天界に帰る事など不可能だ。だが、人間の世界に興味があるし、どうせ天界では蔑まれるだけ。それならいっそ下界に落ちて、人間として生きていく方がいいかもしれない。
     決意は固まった。ソラはスクッと立ち上がると、クラウド・ヒルを駆け下り、ある場所へ向かった。
  • 26 雛宮紫陽花 id:i-2TDdYx/.

    2011-07-04(月) 18:32:38 [削除依頼]
     天使が下界に降りる時は、ロストロードと呼ばれる道を通って行かなければならない。しかし、そこを通れるのは祈りを運ぶ天使たちだけで、それ以外の者は通行を許されていないのだ。飛べない者など、もっての他である。つまり、ロストロードは天界と下界を結ぶ一本道なのだ。
     だから、ソラは別の場所から下界に降りようと思った。たとえロストロードを通らなくても、雲から降りれば、重力に任せて下まで行ける。そうなれば、後は運に頼るのみだ。
     着いたのは、町の外れにあるクラウド・ヒルからさらに離れた場所。雲の端――クラウド・エンドだ。名前の通り、雲が途切れて下界を見下ろす事ができる。
     ソラは、今日初めてここまで来た。というのも、飛べない自分に下界など一生縁のないものだと思い、近付こうとすらしなかったからである。
     雲の淵に佇んで、下界の様子を眺めていると、ふと頭にウェルザの顔が過った。自分を大切にしてくれる兄、いつでも自分を支えてくれる兄……。嫉妬したり憎まれ口を叩いたりしたが、やはり嫌いにはなれなかった。そんな彼の元から離れて、自分は生きていけるのか……自信はない。
     しかし、自分は下界へ行くと決めた。この侮蔑に塗れた狭い世界から逃げ出し、未知なる新しい世界へ向かうのだと。
     ソラは左の翼をいっぱいに広げ、大きく息を吸い込んだ。きっともう二度と吸う事のない、天界の空気。

     ――さよなら……兄貴、シャーゴット。

     一番親しいであろう二人に心の中で別れを告げ、ソラは大空に飛び立った。その身は重力に逆らう事なく、下界まで真っ逆さまに落ちていく。

     彼は今日、天界から堕ちた。
  • 27 雛宮紫陽花 id:i-OK6iEYW/

    2011-07-08(金) 18:36:06 [削除依頼]
    見失いかけたorz 上げます。

    携帯だとスレ番号入れても、セキュリティとかで入れなかったりするんで不便ですね……。
  • 28 雛宮紫陽花 id:i-OK6iEYW/

    2011-07-08(金) 18:50:59 [削除依頼]
    Episode3.異端の悪魔


     空へ放り出されたソラの体は、凄まじい勢いで地上へと落ちていく。あまりのスピードに、目も開けていられない。必死に手で目を庇いながら、指の隙間から地上の様子を見る。
     アレは……町だろうか? 人がたくさん歩いていて、建物が規則正しく並んでいる。上空から見える屋根は色とりどりで、町の所々に緑色の何かが繁茂していた。天界では有り得ない、カラフルな世界である。
     と、そんな事を考えている場合ではない。自分は現在進行形でその町に落下して行ってるのだ。たとえ天使であっても、この高さから地面にぶち当たれば命の保障はない。
     どんどん町の様子が鮮明になってくる……ソラは体を小さく丸め、左の翼で自分を包んだ。片翼だけなのであまり意味はないかもしれないが、直接ぶつかるよりはマシだろう。
     地面が近い。迫る。落ちる。怖い。その瞬間――

     衝撃。
     バキバキッと何かが折れ砕ける音を、翼越しに聞いた。それでもまだ、落下が続く。そして、ドスンッと思い切り地面に叩きつけられた。
  • 29 雛宮紫陽花 id:i-Taqj/ir0

    2011-07-09(土) 20:04:45 [削除依頼]
    「ううっ……」
     体中の痛みに呻きながら、ソラは体を転がし仰向けになる。自分の上にあるのは、上空から見えた緑色のものだった。どうやら、アレがクッションの代わりになったらしい。破片らしきものが辺りに散らばっている。
     ソラは人々が不審そうに自分を見つめているのに気がついた。誰も倒れている自分に手を貸そうとする者はいない。何だ、結局俺は下界でも邪魔者なのか……そう思った時、近くで興味深げに様子を見ていた男が口を開いた。
    「おい、何があったんだ? 何もないじゃないか」
     何も……ない?
     ソラが驚きに目を見開いていると、周りの人々も言葉を連ねる。
    「ホント、何だったのかしら?」
    「木の枝が腐ってたんじゃないか?」
    「ポルターガイストとか?」
    「おいおい、真っ昼間だぜ」
     そんな言葉が、ソラを無視してあちこちから上がる。
     どういう事だ? 誰も俺に気付いてない? 一体どうなっている……?
    「何してるんだい? 君」
     騒めきの中で、一人の少年の言葉がソラの耳に届いた。地面に倒れたままソラが声の方を向くと、そこにいたのは黒髪の少年。大きな赤い瞳を持つ少年は、小首を傾げてソラを真っ直ぐに見つめてくる。どうやら、彼には自分が見えているらしい。
     しかし、それ以上にソラが驚愕したのは、その少年の背中にあるものだった。
     黒い翼――ふんわりとした天使の翼とは違い、ツルツルとした薄い膜のようなものでできている。たとえるなら、まさに蝙の翼のような感じだ。
     その翼が何の象徴であるのか、天界に籠もりきりのソラにでも分かっていた。

     彼は――悪魔だ。
  • 30 雛宮紫陽花 id:i-.mLjCU01

    2011-07-10(日) 16:52:02 [削除依頼]
    「お前……」
    「あーあー、大変だ。あんな高い所から翼も広げず落ちるなんて、自.殺行為だよ」
     ソラが口を開くも、悪魔はそれを遮って独り言のように続ける。
    「大丈夫? 怪我は……ってうわぁっ! 翼がもげちゃってるっ!」
     悪魔は片翼しかないソラを見て、それは驚いたようだった。急いで駆け寄ってきて、オロオロと辺りを見回す。
    「わわわっ、どうしよう! まさか翼がもげちゃうなんて……右の翼、探してこなきゃっ!」
    「ちょっと、待てよ」
     ソラは何とか声を絞り出し、悪魔を呼び止めた。悪魔はハッとして向き直り、ソラの傍らに座り込んで頭を下げる。
    「ごめん! 落ちてくるのには気付いてたんだけど、まあ相手は天使だし助けなくていいかな〜、とか思っちゃって。まさかこんなに大怪我になるなんて思わなかったもん! 助けてあげればよかったね……ホントにごめんっ!」
     一方的にまくし立てるように喋る悪魔。あまりに必死だったので、彼の口が止まるまでこちらも話す気にはなれなかった。何より、こんなに必死に謝る悪魔の姿に拍子抜けしてしまった。
     悪魔といえば、人の不幸が大好物で、いつでも人間を悪の道に引き摺り込もうとしている奴。そう思っていたし、天使や人間の常識的にも、そういう認識をされている。
     という事は、本当の悪魔は彼のような奴なのか? それとも、彼が悪魔として異端なのか?
     とにもかくにも、頭を下げて謝罪する悪魔を放置するのは頂けない。
    「謝る必要はねぇよ。右の翼は元々ない。助けられる義理もねぇ」
     そう言うと、悪魔は頭を上げた。今にも泣き出しそうである。
    「でも……僕が助けてあげたら、そこまで酷い怪我はしなかったよ?」
    「だから、最初から助けられる気はねぇんだ。誰かの世話になって生きていくのなんて、もうこりごりだ」
     ――同情と哀れみはもうたくさんだ。
     ソラが吐き捨てるように言うと、悪魔はニコッと笑った。
    「そう……でも、大丈夫ならよかった」
     彼が笑うと悪魔というよりは、むしろ天使のようである。少なくとも、いつも仏頂面で愛想の欠片もない自分より遥かに天使らしかった。
  • 31 雛宮紫陽花 id:i-HhkpJaZ1

    2011-07-11(月) 19:01:54 [削除依頼]
     ソラはゆっくり体を起こすと、腕やら足やらを確認した。翼に包まっていたお陰で外傷はないが、あちこちがズキズキと痛む。しかし、動けないほどではない。
     立ち上がろうと地面に手を付くと、
    「あっ、駄目だよ動いちゃ! 怪我してるんだから!」
     悪魔が慌ててソラを押さえ付ける。こっちの方が痛かった。
    「何だよ、俺とお前はもう関係ないだろ。お互い何をした訳でもねぇ。それにここにいたら邪魔だろ」
     ソラは周りにいる人間たちを差して言う。すると、悪魔はきょとんとしてソラを見つめた。
    「邪魔って……人間たちには僕たち外界の者たちは見えないんだから、邪魔になんてなり得ないと思うんだけど」
    「は?」
     ――人間に俺たちは見えない?
     思考がフリーズする。まさか、そんな事があるなんて……思いもよらなかった。
    「もしかして、知らなかったの? 一応僕たちの住んでる地獄では一般常識なんだけど」
     ソラの様子を見て、悪魔が首を傾げて尋ねてくる。一般常識……きっとそうなのだろう。ただ、自分が知らないだけで。
    「俺は……今日、初めて下界に来たから。下界の話なんて誰もしてくれねぇし、そもそも俺と話をしようとする奴自体いなかったし……」
     ソラが苦々しく口を開く。初対面の相手に自分の惨めな過去を晒す事になるとは、思いもしなかった。
    「へぇ〜。天使って以外と冷たいんだね。イメージ的にはこう、溢れる笑顔の優しい奴って感じなんだけど」
     もちろん、そういう天使がいない事もない。というか、自分以外に対しては皆そうであった。
    「さっきも言っただろ、俺の右の翼は元々ないって。だから俺は、天使たちから蔑まれてきた。俺は……出来損ないだから」
  • 32 雛宮紫陽花 id:i-pC3iBf30

    2011-07-18(月) 13:26:27 [削除依頼]
     目に薄ら涙が溜まっていくのが分かる。今まで誰にも吐いた事のない弱音が、ボロボロと溢れてくる。
    「自分が出来損ないだって、最初から分かってた。誰の役にも立てない、迷惑かけるばっかりで……兄貴にも、そうだった。結局、最後の最後まで迷惑かけて……」
    「止めて……もう止めて」
     その声にハッとして顔を上げると、悪魔が泣いていた。大粒の涙を流し、顔を真っ赤にして泣いている。
    「何で……お前が泣いてんの?」
    「だって、そんな悲しい話だなんて思わなかったんだもん」
     しゃくり上げながら涙を拭う悪魔に、ソラは思わず笑ってしまった。他人の話に涙する悪魔。らしくないと言えばらしくない。
    「何で笑ってるのさー」
     悪魔がムスッと頬を膨らませて睨んでくる。これが本当に悪魔なのかというくらい、可愛らしかった。
    「まあ、いいや。それより君、何て名前なの? 僕はルディンっていうんだ」
    「俺はソラだ」
     すると、ルディンは嬉しそうに笑みを浮かべ、
    「ソラ、か。じゃあ、よろしくね、ソラ」
     そう言って手を差し出してくる。ソラはその手に目を落とし、ルディンの顔に視線を戻した。
    「……何?」
    「握手だよ、あーくーしゅ。今日から友達、ね?」
     そう言って、ソラの手を取りギュッと握った。初めてであろう、兄とシャーゴット以外の感触。ルディンの手は温かく、同じ年頃の少年にしては柔らかかった。
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