今の俺にできる事3コメント

1 みどり id:j.0bXEx1

2011-06-23(木) 22:10:37 [削除依頼]
あらすじ

人間の知らない所で二つの計画が始まっていた。
一方は天使による人間を消滅させる計画。
一方は死神による天使を消滅させる計画。
二つの計画の最重要項目は依り代の人間を捕まえる事。
何も知らない依り代を守ろうとするのは一人の死神と幼馴染の少年だけ。
孤立無援の中、二人は先の見えない戦いへと足を進めた。


主要人物

主人公・坂上翔(さかがみしょう)
幼馴染み・里中蘭(さとなからん)
死神・グリム
  • 2 みどり id:j.0bXEx1

    2011-06-23(木) 22:12:11 [削除依頼]
     まるで町全体が死んだような、静かな夜だった。
     街灯の明かりも、コンビ二の明かりも無く、風の音もない少し肌寒い春の夜。
     とある少年は夢を見ていた。
     それは奇妙な夢で、自分は夢を見ている、と理解できる夢だった。
     そこは規模の小さい住宅街で、中心に一人の少女が佇んでいた。
     特に何かする訳でもなく、ただ空を見ていた。
     少年はそれを遠くから見ていた。襖の隙間から見るように、少女の顔ははっきりしなかったが、どこか懐かしさを覚えていた。
     少女はただ空を見て、少年は少女を見ている。
     不意に少女の顔が悲しげに歪んだ。遠くからでも分かる。泣いているのだ。
     それを見た少年は少女に手を伸ばした。
     泣いて欲しくなくて、出来れば泣き止んで欲しくて。
     少年は少女の涙をどうしても止めたかった。
     どんな事をしても体は動かず、ただ見てるだけしか出来ない、そんな夢だった。

     どこか遠い所で鶏の鳴き声が聞こえ、少年は目を覚ました。
     寝癖のある短髪を手櫛で撫で付けながら、あまり私物がない殺風景な部屋の隅にあるタンスから、市立中学校の学生服を取り出し、欠伸をしながらゆっくり着替えた。
     上着のボタンを留めながら、勉強机に広がっている宿題を鞄に入れ、タンスから使い慣らした紺色の布ベルトを取り出した。
     少年がベルトを手に取った瞬間、突然、何の前触れもなく、物々しい深緑色の大鎌に変化した。
     少年は驚きのあまりに息が止まり、呼吸が再開した途端、叫びながら大鎌を放り投げていた。
    「なんじゃこりゃあああああ!」
    「うっさいっ!」
     ドンッ、という音と共に、怒号が隣の部屋から聞こえ、少年はすぐさま押し黙った。
     悲しい事にこの家での少年の位は一つ年下の中学生になったばかりの妹より低いのだ。
     妹の愚痴が一番位の高い母親の耳に入ればただでは済まない事は知っているので、少年はどんなに口惜しくても従うしかないのだ。
     妹の怒号に少し小さくなりながら、放り投げた大鎌に目を遣る。
    「ウヒヒ、災難だったなガキ。まぁ自業自得だけどな」
     どこからか楽しげな男の声が聞こえ、慌てて部屋を見回すが、何もない。
    「違う違う。こっちだこっち」
     少年は声のする方に目を向けるが何もない。
     天井から、壁、タンス、机、床、ベルト。
    「あれ?」
    「そうそうそれ。ベルトだベルト」
     恐る恐る近付き、いつの間にか元に戻っていたベルトを拾い上げると、声の主が発覚した。
    「よう。初めましてだな」
     その声は低く、男だと分かった。
    「ど、どうも」
    「オレは死神だ。ちょっと訳あってここにいるんだが、お前に協力して欲しい事がある」
    「はぁ」
    「いいか? よく聞けよ? お前の幼馴染が死ぬ」
    「え……?」
     これが少年――坂上翔と死神グリムの出会いだった。
  • 3 みどり id:/8CyXLL.

    2011-06-24(金) 18:28:49 [削除依頼]
    「ちょ、ちょっと待てよ。意味わからないよ。アイツが死ぬって……。そもそもアンタはなんなんだ? 死神なんているわけないだろ? なんなんだよ一体!」
     混乱のあまり、翔はベルトを握り締め、家族の目もはばからずに怒鳴りつける。
    「落ち着けって。あんまりでけぇ声出すとまた怒られんぞ。順番に話すから」
     そう言ってからグリムは話し出した。
     依り代の人間を見つけ出す。
     その話が上がったのはつい最近の事だった。
     死神の仕事は、寿命の尽きた人間の魂を集め、転生させる事だ。その中で障害となるのは、自然を壊す人間をこの世から消すのが仕事の天使だ。
     死神が魂を運ぶ際に、一度、天の門、という天使の管轄する場所を通って魂から感情や記憶を洗い流す必要があるのだが、人間を消す事が目的の天使はそれを良しとせず、天の門を通る死神を襲い、運んできた魂をことごとく消してしまうのだ。幸い、死神も天使もそもそもは魂だけなので死ぬ事はない。しかし、その行為は昔からあり、死神側は再三やめなければこちらも手を出すと忠告したがその全てを天使側は無視し、ついに我慢の限界を超えた死神達は死ぬ事のない天使達を唯一殺す事が出来る冥王の魂を依り代に定着させる事に決めた、というのがグリムの話だった。
    「で、その依り代がお前の幼馴染みって訳」
    「そもそも依り代ってなんだ?」
    「あー、そこから説明するか。俺達死神や天使は死んだ人間の魂なんだ。天使か死神になれる魂は死神や天使になってこの世に留まるか、転生するか決められるんだ。で、依り代っていうのは死神や天使の魂を定着させる事が出来る人間の事で、お前の幼馴染は珍しい人間で天使の頭の大天使や死神の頭の冥王の魂を定着させる事ができるんだ」
    「なんか難しいな……。でもアイツに害はないんだろ?」
     いつの間にか正座して聞き入っていた翔がそう問うと、グリムは雰囲気を一変させ、真剣な声色で言った。
    「いや、自分以外の魂を定着させられると、元の魂は強制的に剥がされて消えてしまうんだ。それにだ、天使と死神も依り代を狙ってるんだ。相手側に渡らないように殺せればそれで良し、生きたまま捕まえて大天使の依り代に出来たら尚良し、って話だ」
     それを聞いた翔の顔から血の気が失せ、グリムの宿るベルトを握り締めた。
    「それってアイツが危ないって事だよな……」
    「そうだ。そしてお前には依り代を守って貰いたい。いいか?」
    「守るって……。無理言うなよ、俺はただの人間で中学生だぞ。喧嘩だって勝てるかわからないのに…」
    「そうだ。お前は人間だ。出来る事はほとんどないだろう。だから死神のオレがこうしてお前のベルト取り憑いたんだ。さっき見ただろう? オレが武器になって一緒に戦う。それなら出来るだろう?」
     そう問われても簡単に頷ける訳がなかった。そもそも翔の幼馴染みは三年前に引っ越してしまっていた。それなのに頷けるどころか信用も出来なかった。
    「正直に言って信用出来ない。アイツは三年前に引っ越したんだ。それなのに……」
    「それなら心配すんな。一昨日からこっちに戻って来て今日からお前の学校に転校してくるぞ?」
     楽しそうな声でそう言われ戸惑うがまだ信用出来ない。
    「それじゃあ、アンタの言う通りアイツが戻ってきたら信じる」
    「ウヒヒ、それでいいぜ」
     時計は既に一周し、朝のホームルームまで、残り僅かしか時間がなかった。
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