将軍様に愛の言葉を!31コメント

1 音羽 id:afHP3wx/

2011-06-17(金) 17:27:06 [削除依頼]
どーも!音羽です!
読んだ方は一言でもアドバイス、または感想を
入れてくださると嬉しいです♪
  • 12 音羽 id:PvMDOqv.

    2011-07-21(木) 13:33:07 [削除依頼]
    第六宴:将軍の意地

    楼「作るって・・・!」
    麗「馬鹿な。そこまで時間をかけるぐらいなら『将軍栄酒』など
    不要だ。私が高級な水でも用意してやる。」

                 シュッ

    あたしは護衛に、太陽の光でキラリと光る長刀の刃を向けた。
    この光は自分の意志でもある。

    麗「何を・・・!」
    愛琉「あたしは酒司。そんないい加減なこと許さない。」

    春賀家の晴れ舞台を偽物の『将軍栄酒』で終わらせない。
    あたしは睨みつけるように将軍に顔を向けた。
    そして長刀を刃を下ろし、将軍の前でひざまずいた。

    愛琉「今までのご無礼、お許しください。ただ、我ら春賀家の
    晴れ舞台を偽りの御酒で継ぐのは恥かと。そこで少々、時間を
    賜りたい。」
    楼「えっ・・・」

    将軍は驚いた様子を隠せなかった。
    当たり前じゃない!あたし、さっきまで将軍に刃を向けた女だからね。

    楼「時間って・・・」
    愛琉「『将軍栄酒』を作ります」
    麗「貴様・・・いつまでそうほざく!?いいか、時間がないのだぞ。
    宴をいつまで長引かせるつもりだ!」
    愛琉「もともとこんな事態に陥ったのは楼殿のせいではなくて?」
    麗「ッ・・・!」
    愛琉「あなたは護衛なのでしょう。だったら将軍を監視しとけ」
    麗「な・・・!!」
    愛琉「何が『高級な水を用意してやる』よ。この俺様護衛が!」
    麗「俺様・・・!?貴様・・・斬り刻んでやる!」
    愛琉「あら、名前のわりには汚い言葉使うのねー。それじゃあ
    心が麗しくないんだわ。」
    麗「うるさい!麗しくないとか俺様とか何なんだ貴様は!」
    愛琉「とにかく黙って。」
    麗「くぅ・・・!」

    麗しくない俺様護衛は放っておいて、本題に戻る。

    愛琉「三日後」
    楼「三日後・・・?そんなんでできるの?」
    愛琉「味は多少落ちるけど・・・頑張ってみる」
    楼「わかった。宴は三日後だ。」
    麗「殿!勝手に宴の日程を狂わすなど!」
    楼「護衛さんよ。俺は将軍だよ、一応ね。」
    麗「・・・チッ・・・」
    楼「酒司のお嬢さん、本当に悪かった。俺は酒蔵で・・・」
    愛琉「詫びの言葉は宴のあとで。時間がないのよこっちは
    それと、扉も直してよ。今日中に。」

    あたしは酒蔵へ入った。
    ここからが本番・・・!


    麗「本当にいいんですか。これで。」
    楼「いいんだよ。俺が悪いんだ、全部」
    麗「はぁ・・・。」
    楼「じゃ、見せるとしますか。」
    麗「?何を?」
    楼「将軍の意地ってヤツよ。」

    ここからが本番だ。
  • 13 音羽 id:PvMDOqv.

    2011-07-21(木) 15:32:32 [削除依頼]
    第七宴:汗と涙の『将軍栄酒』作りの始まり

    愛琉「うーーーーん・・・違うなー。もーちょっと甘い。」

    春賀 愛琉、ただいま『将軍栄酒』を醸造中。
    楼将軍に作った『将軍栄酒』は混成酒と言って、御酒に他の原料の
    香り、味をつけ、糖分や色素を加えて造ったの。
    味はほのかにリンゴの甘みが隠し味だけど白桃の甘みがするの。
    香りは白桃のほうが強い。
    色は薄桃色。
    ここまでのデータはあるんだけど、問題は分量と発酵時間。
    どうしても足りない。

    愛琉「麹と桃とリンゴあわせてみたけど・・・全然ダメだぁ。
    まずい・・・。」

    当たり前だ。
    発酵を早めるために室温をあげようか・・・。
    分量は面倒くさいけど少しずつやるのが無難だ。
    発酵時間・・・分量・・・。

    とにかく寝る間も惜しんでやるわよ!
  • 14 音羽 id:uJtoeJC0

    2011-07-22(金) 10:47:57 [削除依頼]
    第八宴:『将軍栄酒』作り、俺も参加します!

    日付変わりました・・・。

    愛琉「ううううっ・・・日天に・・・いや・・・春賀家に栄えあれーー!」
    楼「何を叫んでいるんだい、お嬢さん?」
    愛琉「ふぇ?」

    気づくと扉(壊れたけど)の前に将軍がいた。

    愛琉「・・・何よ。『将軍宣言』はもうオワリマシタカ?」
    楼「してないよ」
    愛琉「・・・は?」
    楼「『将軍宣言』もそのあとの宴も三日後・・・いや、二日後か。
    その日にすることにした。」
    愛琉「どうして。宣言だけでもしといたらいいのに。」
    楼「いいんだ。俺は『将軍栄酒』は『将軍宣言』の後の宴で
    頂きたい。そのほうが格好つくしね☆」
    愛琉「最低ね・・・。人の苦労も知らないで。」

    そういうと将軍はしゅんと顔をうつむかせてしまった。
    詫びる気持ちはあるみたいだ。

    愛琉「そこ。」
    楼「え?」
    愛琉「扉。あなた壊したでしょ。直してよ。寒いし。」
    楼「あれは君が・・・」
    愛琉「何?」
    楼「・・・いいえ、何でもないです。直しておきますから。」
    愛琉「よろしい。・・・で何しに来たのよ。お説教?お詫び?飲んだ理由?
    どれも今はお断りよ。」
    楼「俺は『将軍栄酒』を飲んだ。」
    愛琉「そうね、酒泥棒。間違えた。将軍」
    楼「とてもうまかった。だから味は明確に覚えてる。」
    愛琉「だから?」
    楼「・・・俺を栄酒作りに参加させてくれ。」
    愛琉「はぁ!?」

    何言ってんのよこいつ!
    御酒の常識も基礎も何も知らないくせに!

    愛琉「断る!」
    楼「やる!」
    愛琉「あのね!『将軍栄酒』は簡単じゃないって言ったでしょ!
    酒司でさえ難しいのにあんたみたいに御酒の常識・基礎がない人に
    この酒蔵のもの一つも触られたくない!」
    楼「ひっ、ひでーよ!お嬢さん!せめて味だけでも!」
    愛琉「ダーーメーー!!」
    楼「やーーーるーーー!!」
    愛琉「あーもうっ、イライラする!早く出て行ってよ!」
    楼「やだね!」
    愛琉「ダメ!」
    楼「俺は動かないぞ」

    真剣な表情だ。今までの弱い表情はない。
    くそーっ。

    愛琉「いいわよ、じゃあ早速ここから飲んで!」
    楼「おう!」
  • 15 音羽 id:gaOJJ..1

    2011-08-10(水) 10:07:41 [削除依頼]
    第九宴:泥酔将軍

    楼「ふぅ・・・ぇぇええ・・・」
    愛琉「何間抜けな声発してるのよ。さっさと次のを飲め!」
    楼「お嬢さーん・・・俺、一応将軍っス・・・」
    愛琉「悪いけど、あたしはあなたみたいなだらしのない男が
    将軍になるなんて思ってなかったの」

    コポコポ・・・と音をたてて、あたしの造った御酒は将軍の盃に
    注がれる。

    愛琉「さー飲んで飲んで!」
    楼「うう・・・気持ち悪い・・・」
    愛琉「これだけで酔うなんて・・・諒殿の息子?」
    楼「父さんは・・・」

    将軍は口を閉じた。
    何か過去のことを思い出すように。
    そして御酒を口に入れる。

    楼「父さんは・・・俺と違うから。」

    辛いことを思い出したのだろうか。
    その声はどこか切なさを感じさせた。

    楼「次。」
    愛琉「あ・・・うん。」

    将軍の盃に発酵時間を少し延ばした御酒を注ぐ。

    楼「ゴクッ・・・・・・ん!」
    愛琉「え?」
    楼「これだ!!これだよ『将軍栄酒』!!」
    愛琉「嘘っ!?あたしも飲んでみる!!」

    まさか本当に!?
    本当にあの『将軍栄酒』が再現できたの?

    愛琉「ゴクッ・・・」
    楼「ね?」
    愛琉「・・・全然違う味じゃない。」
    楼「えー?」
    愛琉「あたしも造った身だからね。もちろん試飲したわよ?でも
    ・・・こんな味じゃ・・・」
    楼「お嬢さん。明日までこの御酒は発酵できるのだろう?」
    愛琉「うん・・・」
    楼「だったら大丈夫!今は時間が足りなかっただけで
    時間が経てば素晴らしいものができるよ!」
    愛琉「本当に?本当にこれが?『将軍栄酒』の味になるの?」
    楼「なるさ。」

    自慢げに胸を張って言う将軍。

    楼「これ以上造っても無駄だよ。」
    愛琉「だけどもし・・・!」
    楼「まぁ、俺を信じてよ!ね?」

    悔しいけど、今はこの人のことを信じるしかない。

    愛琉「わかった・・・。」
    楼「ありがと・・・うっ・・・」
    愛琉「将軍!?」
          
                 バタン

    たったったっ大変だぁーーーーーーーー!!
    バタンを思いっきり倒れた将軍。
    顔は真っ赤だし、顔は真っ青だし・・・あれ?
    なんかあたし矛盾すること言ってるよね?
    いや、顔は赤いんだよ。
    でも顔色悪いし!!きっと酔ったんだ!!

    楼「うううう・・・」
    愛琉「いやぁーーーー!!将軍!この酒蔵を汚さないで!
    ここで吐いたらしばき倒すよ!!」
    楼「俺より酒蔵を心配かよ・・・!ううう・・・」
  • 16 通りすがり id:GgZMTj0/

    2011-08-10(水) 10:11:07 [削除依頼]
    最後笑ってしまいました。
    感情がこもっていていい物語ですね。もうちょっと第1章ならそれを長くやっていったほうがバランスもよくなると思います。
    自分も音羽さん同じように溜めて放ってるので長めになっていますorz
    一緒に頑張りましょう!
  • 17 音羽 id:iEq92KC1

    2011-08-11(木) 10:04:40 [削除依頼]
    >16 アドバイスありがとうございます! これからはバランスも考えていかないといけませんね(^^ 一緒に頑張りましょう!
  • 18 音羽 id:iEq92KC1

    2011-08-11(木) 12:46:11 [削除依頼]
    第十宴:伊達上 楼、将軍と成ることを宣言します!

    愛琉「・・・んー・・・われらにぃーー・・・えいこう・・・あれぇ・・・」
    女「愛琉さん。起きてください。」
    愛琉「ふぇ・・・?」
    女「あーるーさーん!」
    愛琉「うわぁッ!!」

    びっくりしたーーー!!
    目の前に知らない女がいるんだもん!
    ・・・ってここどこ?
    綺麗な花瓶。
    華やかなカーテン。
    涼しげな風が入る窓。
    レース付きのベッド。

    愛琉「どこ・・・ですかね」
    女「ここは城の東側にある絶対男子禁制の女塔の」
    愛琉「ああ!桜ノ塔!?」

    桜ノ塔とは、この七天城の東側に位置する絶対男子禁制!!の塔。
    なんでこんな“絶対”男子禁制なのかっていうと・・・
    第三代将軍 伊達上 遥将軍の妻、さくら様が男子恐怖症だった
    らしいから、さくら様が夫の遥将軍にお願いして・・・半ば
    強制的に造らせたらしい。(さくら様は過去に男との間に痛い
    想い出があったっていう説も・・・)
    さくら様自身は「女のぷらいばすぃを保護するために造らせました!」
    って最期まで言い張ってたって伝説もある。

    愛琉「それにしても豪華だなー。なんで?」
    女「ええ。さくら様の・・・いえ、ある女性の遺書に『わたくしの財産
    は全て女性のためにと・・・」

    さくら様ってどんだけ金持ちなんだおい。へそくりだろ。
    心の中でそう呟いた。

    愛琉「ってゆーかどうしてあたしがここに?」
    女「はぁ・・・。それが酒蔵で楼様とお二人で倒れていらっしゃるのが
    早朝に発見されまして・・・。」
    愛琉「ああ・・・。ってええ!?あたしも!?」
    女「はい。楼様は完全に泥酔状態であられて、愛琉さんは寝ていらっ
    しゃいました。」
    愛琉「ご迷惑おかけして申し訳ございません・・・」

    反省。そうか。寝ていなかったし、御酒も飲んでたし。
    寝るのもおかしくないな。
    あ、ついでに七天幕府は16歳で大人とみなされるから
    16歳で飲酒していいのよ。

    女「それはそうと・・・。愛琉さん。少し御酒の匂いが・・・」
    愛琉「え?ああ。そうですね。少し匂いがきついかも。」

               コンコン

    女「はい。どなたでしょうか。」
    女2「麗様のご命令で・・・。お紅茶をお持ちしました。」
    愛琉「麗!?あの麗しくない俺様護衛が?」
    女2「・・・それは存じ上げませんが・・・」
    女「まぁ!愛琉さん!麗様とお知り合いで?」
    愛琉「知り合いっつーか・・・。」
    女「それはうらやましい!」
    愛琉「へ?」
    女2「麗様、女中の中ではかなりの人気にございます。」
    女「ええ。お顔も整っているし、背も高く知性に優れて・・・」
    愛琉「・・・交友には優れていないけどね。」
    女2「それと」

    紅茶を持ってきた女中さんが手紙らしきものを出す。

    女2「楼様からこのお手紙を」

    一枚の紙に墨で濃く書かれた荒い字。

    “伊達上 楼、将軍と成ることを宣言します!”
  • 19 音羽 id:iEq92KC1

    2011-08-11(木) 18:09:54 [削除依頼]
    第十一宴:いざ、舞台へ

    愛琉「・・・・・・将軍・・・・・・!」

    “伊達上 楼、将軍と成ることを宣言します”

    随分と下手な字だ。
    だけど、その字にはどこか力強さ、意志の強さを感じた。

    女「愛琉さん?」
    愛琉「あの・・・『将軍宣言』って、今日でしたっけ?」
    女「いえ、明日にございます。」
    愛琉「そうですか・・・。」

    明日は、伊達上 楼にとっての晴れ舞台である。
    そしてあたし、春賀 愛琉にとっても。

    愛琉「よーーーし!!」
    女「?」
    愛琉「ありがとうございました!あたし、今から自分の家に
    戻ります!」
    女「あら・・・そうですか?もう少し休んだ方が・・・。もしよければ
    馬を用意させましょうか。」
    愛琉「いえ!大丈夫です!」
    女「分かりました。でも、このお紅茶は飲んでいたほうが。」
    愛琉「どうしてですか?」
    女「せっかくの麗様からのお気持ちです。この香りはきっと・・・。
    御酒の匂いを和らげるお紅茶ですわ。」
    愛琉「・・・毒とか入ってないでしょうね・・・」
    女「まさか」

    ギリギリまで紅茶が注がれたカップを持ち一気に飲み干す。
    女中の人にお礼を言ってあたしは桜ノ塔から出た。

    愛琉「ふぁー・・・やっぱりまだ眠いー。」
    楼「うっ・・・おじょ・・・さん・・・!」

    よろよろと老人みたいに歩いてきたのは、顔が海より青い
    将軍だった。(手紙のあの力強い字が本当にこの人書いたの?)

    愛琉「ありゃ。どこかで見た男が。」
    楼「ううっ・・・もう・・・大丈夫・・・なのかい?」
    愛琉「あたしの心配より自分の心配しなさいよ。さっさと
    布団に入って寝た寝た!!」
    楼「うーーーっ・・・」
    愛琉「あなたねぇ、なんでここにいるわけ?」
    楼「けほっ・・・。明日、『将軍宣言』だから・・・衣装・・・」
    麗「明日の『将軍宣言』には貴様も付き添うだろう。
    清掃・・・いや、正装しろと言っているんだ。」

    ・・・。

    愛琉「・・・あたしの何を“清掃”すればいいのかしら?俺様護衛殿?」
    麗「すまない。漢字変換を間違えてしまった。」
    愛琉「貴様、ケンカ売ってんのかぁああ!?」
    楼「違う違う・・・。あのさぁ・・・」
    麗「ふん。貴様の清掃するべきところなど、数え切れないほどある」
    愛琉「じゃあ、あんたは何よ。所詮、あんたもあたしと同レベル
    でしょーが、え"!?」
    麗「同レベル?私と貴様がか!?ふざけるな!」
    愛琉「ふざけてまーせーんー!!あたしよりレベル低いくせに!」
    楼「なんか違うこと言い出したよお嬢さん!?“同レベル”から
    “低レベル”に下げたよ!?」
    愛琉「このヤロー!!」
    麗「小娘がーッ!」

                楼「腰抜け共聞けー・・・!」

    愛琉・麗「「・・・・・・」」

        愛琉・麗「「腰抜けは貴様でしょうが!!」」

    ―1時間後―
    俺様護衛が刀を抜き出したと同時に数十人の兵士が出てきて
    あたしたちは制圧された。
    そして今ここは

    楼「えーと・・・ここは」
    麗「楼将軍の部屋です」
    愛琉「ふーん。」

    そうね。一言で言うと「小汚い」かしら。

    楼「お嬢さん、聞こえてます・・・」
    愛琉「だってぇー」

    落書きとかあるし、本が散らばってる。(てゆーかほとんど
    破壊されてる。)

    愛琉「で、ここで何?」
    楼「はいこれ。」

    そうしてあたしの目の前に俺様護衛が突き出したのは
    上が桜色、下が紫色の華やかな袴だった。
  • 20 音羽 id:JCWd5u/.

    2011-08-12(金) 10:47:16 [削除依頼]
    第十二宴:温かい場所

    愛琉「綺麗・・・!」
    楼「お嬢さん、これ着ていきなよ。」
    愛琉「は?なんで?」
    麗「先ほど言ったはずだ。正装しろと。」
    愛琉「『将軍宣言』と、そのあとの宴に出るからかぁ。」
    楼「ぶっちゃけ、『将軍宣言』は俺と他のお偉いさん以外は
    正装じゃなくてもいいんだ。でもそのあとの宴はお嬢さんも
    出るだろ?」
    愛琉「これ、借りていいの?」
    楼「うん。どうぞ」
    麗「明日の7時に桜ノ塔へ行け。女官が着付けを手伝う。」

    綺麗な刺繍。布もなめらかだし、きっと高級だろうな・・・。
    あたしにはもったいないくらい。

    愛琉「ありがとうございます。将軍様。」
    楼「まぁね。色々迷惑もかけたし・・・ううぇ・・・」
    麗「楼将軍!」
    楼「ぎ・・・ぎも"ぢわ"る"い"・・・。」
    愛琉「あらら・・・じゃああたしはこれで!」
    麗「こら逃げるな小娘!」
    楼「うえええーーーー!!」
    麗「ぎっ・・・ぎゃああああ」

    バタンと勢いよくドアを閉めるとあたしは猛ダッシュで
    自分の家がある城下町へと駆けた。

    愛琉「ただいまー」
    美雪「お帰り、愛琉ちゃん」

    ふわぁっと御酒の香りがする。
    そのへんの酔っ払いとは違って、とても上品な御酒の香り。

    愛琉「ん〜!いい香りだぁ!」
    美雪「連絡もらったわよ、桜ノ塔の管理人さんから。
    城内の酒蔵で寝てたっていうからぁ。お母さんびっくりして」
    愛琉「ごめんねー・・・。」
    美雪「お腹すいたでしょう。何か食べる?」
    愛琉「うん。」
    美雪「そう。じゃあ今から何か作るね」

    トントントン
    カチカチ
    サクッサクッサクッ

    台所からリズミカルな音が聞こえてくる。
    お母さん料理がうまいから。
    謙虚だけど、どこか少女みたいな人だし、いつも笑顔だから
    色んな人に好かれる。お父さんもすぐに惚れたみたい。
    それに比べてあたしは・・・

    美雪「愛琉ちゃん。」
    愛琉「ん?」
    美雪「明日、『将軍宣言』よね。何か着ていく?」
    愛琉「ああ、大丈夫だよ。もう準備してある。将軍が綺麗な袴を
    用意してくださったの。」
    美雪「ふぇええ!?将軍様が!?どうしてなんで愛琉ちゃん将軍様
    と仲良いの?ってゆーか知ってるの?」
    愛琉「まぁ、色々とあって」
    廉「ただいまー。」
    愛琉・美雪「「お帰りなさい」」
    廉「おぅ、愛琉。酒蔵で寝たんだって?」
    愛琉「しょうがないでしょ、あんなことがあって」
    美雪「あんなことって?」
    愛琉「・・・『将軍宣言』が終わったら話すよ」
    廉「ふーん」

    しばらく沈黙が続いた。
    ・・・二人とも何を想像しているの?

    廉「愛琉。」
    愛琉「はい?」
    廉「頑張れよ。明日は春賀家にとって、愛琉にとって
    一生に一度の晴れ舞台だからな」
    愛琉「うん」
    美雪「応援してるわ。愛琉ちゃん」
    愛琉「はい。ありがとう」

    期待にこたえるだけが、子供の親孝行じゃないのはわかってる。
    親を一番幸せにするのは、子供が親より先に逝かないこと。
    それもわかってる。
    だけど、一生に一回ぐらいは期待にこたえたい。
    またこの、温かい場所へ戻るために。
  • 21 音羽 id:bNMfsJu1

    2011-08-14(日) 16:15:49 [削除依頼]
    第十三宴:『将軍宣言』始まります!

    愛琉「ふぁ・・・んー・・・?今何時・・・?」

    チラッと時計を見る。
    6時。
    『将軍宣言』の朝が来た。

    美雪「愛琉ちゃーん。7時に桜ノ塔に行くんでしょう?
    はやく起きてらっしゃいー!」

    ああ、ついに始まるんだ。
    あたしの晴れ舞台。

    朝御飯を食べて、城へ行く準備をすませた。

    愛琉「それじゃ、行って来ます。」
    美雪「気をつけてね。お母さんも見に行くから。」
    廉「楼殿によろしくな」

    家族の期待を胸に、城に向かって走った。


    愛琉「おはよーーーーございまーーーーす!!」
    女官「!春賀 愛琉さんですね。」
    愛琉「はいっ!」
    女官「それではさっそくこちらへ」

    そう言われて着いたのは、これまた豪華な部屋。

    女官「ここが本日の春賀さんの更衣と休憩の部屋になります」
    愛琉「はー・・・キラキラしますねー・・・」
    女官「あ・・・お気に召しませんでしたか?」
    愛琉「いえいえいえいえ!!充分です!!あたしにもったいない
    くらい!!」
    女官「そうですか。それはよかった。楼殿が直々に我々に
    『華やかにしてやってくれ』とお申し付けになられたので・・・。
    しかし麗様はまた違うことを・・・」
    愛琉「違うこと・・・?どんな?」
    女官「ええと・・・あの・・・非常に申しづらいのですが・・・『女という
    ことが最低限、わかる範囲の正装でよい。無理に華やかにすれば
    それこそ“豚に真珠”だ。』と・・・」
    愛琉「あのクソ護衛がぁああっ・・・。大丈夫です。あとで
    しばき倒しますから。」
    女官「ええっ!?」
    愛琉「あ、えーと冗談ですよ!冗談!」
    女官「ほっ・・・そうですか。申し訳ありません、無礼なことを」

    そこまであたし恐ろしいこと言ったっけ??
    女官はほっと胸をなでおろすと「さっそく着替えましょうか」と
    言い、数人の女官を呼んで、優しく着付けをしてくれた。

    女官「綺麗ですわ、春賀さん」
    愛琉「えへへ・・・そうですか?」
    女官「ええ。きっと楼殿も惚れ惚れしますわね。」

    女官さんたちにお礼を言って、あたしは桜ノ塔を出た。
    酒蔵に寄ると、扉はちゃんと修理されていた。
    酒蔵に入って『将軍栄酒』を取る。よし、ちゃんと重みがあるぞ。
    視界の端にチラリと映ったあたしの長刀。
    柄は桜色で、刃の先端は恐ろしいほど鋭い。たまに持っている
    あたしが怖くなるくらい。
    ついでに持っていこう。
    肩に長刀をかけて、両手には『将軍栄酒』。
    しばらく立ち止まっていると、鐘が鳴った。

    「ただいまよりぃーーー、第三十二代ーぃ、伊達上 楼将軍に
    よるぅー、第三十二回『将軍宣言』をーぅ、行いますぅー!!」

    今、新しい歴史の始まりが・・・!
  • 22 音羽 id:SnYp9SE1

    2011-08-16(火) 15:13:12 [削除依頼]
    第十四宴:夜露死苦の盃

    「えー、楼将軍にはぁー、優れたぁー、知性ぃーそしてぇー」

    ・・・・・・ふざけんなぁあああああ!!!!!!!
    何時間あたしらは立ってなきゃいけねぇんだよぉおおお!!
    あたしがイライラしている理由。
    それは

    「民をー、地獄の果てまでもぉー、守りぃー」

    どっかの大名のこの賛辞。
    全く、幕府もナメられたもんだわ。
    だいたいあの弱腰将軍が地獄の果てまでいけるわけないでしょう。
    地獄の門の前でノックアウトよ。

    「我らはぁー、この偉大なる七天幕府のぉー、ぐはぁっ!!」

    ・ ・ ・。
    今、さんざんと賛辞を並べた大名が・・・白目に・・・。
    しかも立ったままで。

    麗「お前はいつまでそう長く賛辞をたらたらと述べる!?
    はやく終わらせないか!見てみろ、民がお前を白い目で
    見てるぞ、ええ!?ふざけるな!」

    あーあ、ついに麗しくない俺様護衛がキレちゃったよ。
    気を失っている大名の胸ぐらをつかむと、彼はその大名を
    ブンブンと左右に振り回した。
    それを見る民の目は・・・。言わないでおこう。

    結局、俺様護衛が強制的に終わらせ、最後に
    楼「私、伊達上 楼は、この日天を率いる、第三十二代将軍と
    なることを宣言する!」
    で終わりました。


    愛琉「あーーーっ!緊張するッ!どーしよー!?」
    麗「だまらんか」
    愛琉「ふん!所詮俺様護衛には酒司の気持ちなんてわからない
    わよ!」
    麗「始まるぞ」

    「ただいまよりぃー、第三十二代ぃー、酒司ぁー、春賀愛琉の
    入場ぅー!」

    ぱぁっと幕があがる。
    中には諸藩の大名、その他のお偉いさんがいた。
    軽く、100人は超えているな。
    「この宴だけでもおとしやかに」という俺様護衛の言うことは、
    今回特別に聞いてあげましょう。
    あたしが座るのは将軍のすぐ横。
    その場所へとあたしはゆっくり向かう。
    あたしの『将軍栄酒』と一緒に。

    楼「よく来てくれたね」
    愛琉「・・・はい・・・」

    短く言葉を交わすと、あたしは将軍の盃に『将軍栄酒』を注いだ。

    楼「それではっ、日天の良き未来を願い、おじょ・・・春賀 愛琉の
    努めをたたえ、乾杯!」

    将軍は『将軍栄酒』を一気に飲み干すと「ありがとう」と言い、
    あたしに盃を回した。

    愛琉「え・・・?」
    楼「飲んでみてよ、うまいぞー!」
    愛琉「でもこれは」
    楼「・・・迷惑かけたな。ごめん。」
    愛琉「あ・・・」
    楼「これからもよろしくな!」

    ニッと笑う将軍に、なぜかあたしは少し期待を抱いていた。
    どんな期待か、自分でもよくわからない。だけど・・・

    愛琉「これからも夜露死苦ね☆」
    楼「おい、漢字変換がすっげーヤバいことになってるぞ・・・?」

    なんか安心したんだ。
  • 23 音羽 id:edTK2z0.

    2011-08-23(火) 14:57:18 [削除依頼]
    第十五宴:さっそくですが、事件発生。

    無事に『将軍宣言』も、その後の宴も終わり、ただいま午前2時。
    あたしは今、桜ノ塔でお休み中。
    さすがに朝の2時に活発に動き回る人間はいないもんで、
    塔の中も城もシーンと静まっている。まるで闇に音をすべて
    吸収されているよう。

    愛琉「さーて・・・寝ようかな「きゃぁぁああああ!!」・・・はい?」

    なんか今・・・悲鳴が聞こえてきたような・・・。
    ・・・まさか。気のせいだ。疲れすぎて・・・「きゃぁあ!!いやぁあ!」

    気のせいなわけないわ。
    二度も聞こえたんだから。

    あたしは急いで袴を着て(ちなみに、あたしの袴は上が薄水色で
    下が深い藍色。)茶色のブーツを履くと、髪を一つの三つ編みに
    して外へ出た。ついでにあたしの相棒の長刀を腰に縛り付けてね。

    外はまだ暗い。ろうそくを持ってくるのを忘れちゃったから、
    月の光が頼りだ。

    愛琉「うー・・・寒いな・・・。春だけど、まだ冷えるもんね・・・」

    独り言をぶつぶつと呟いていると、後ろから誰かがつけてくるのが
    わかった。反射的に「誰」と言うと、どこかで聞きなれた声が
    聞こえてきた。

    麗「・・・お前は何者だ。」

    あぁ。こんなとこでも会うなんて。
    俺様護衛も袴(上が紫で下が灰色の)で、腰には刀を差していた。
    そして片手にろうそく。

    愛琉「チクショー。麗しくない俺様護衛かよー。」
    麗「貴様っ・・・。小娘!」
    愛琉「は?小娘?あたしにはちゃんと“春賀 愛琉”っていう
    名前があんのー。わかるー?お・れ・さ・ま・ご・え・い!」
    麗「しっ!静かにしろ!」

    急に俺様護衛の目が鋭くなった。
    そして「しゃがみこめ」と木の陰に隠れる。

    愛琉「なんで・・・?」
    麗「できるだけ小さい声で話せ。・・・この城内で不穏な動きをする
    大名がいる。聞こえただろう。さっきの悲鳴。きっと大名の
    仕業だ。」
    愛琉「誰?その大名って。」
    麗「・・・希籐藩藩主、希籐 香奈多。」
    愛琉「キトウ、カナタ?」
    麗「・・・あぁ。まだ若い。確か18だ・・・。」
    愛琉「へぇー・・・あたしと同い年だ。すごいね。キトウさん」
    麗「18で藩主につくのは珍しいことじゃない。先代が早くに
    亡くなれば、わずか8つで藩主になる者もいる。その例が、
    希籐 香奈多だ。」
    愛琉「かなりエリートじゃないですか・・・」
    麗「そうか?しかし・・・・・・・・・静かに。」

    向こうから怪しい人影が近づいてくる。
    多分、二人。
    一人はフラフラして、今にも倒れそうだ。
    もう一人はそのフラフラしている人間のあとをつけて
    いるみたい。

    愛琉「何あれ・・・」
    麗「・・・・・・あっ・・・・・・」

    バタッ

    とうとうフラフラしていた人が倒れた。
    もう一人の人間はそれを見たのか、すぐにその場を立ち去る。

    麗「くそっ・・・。貴様は倒れた人間の様子を見てくれ。
    私は逃げた奴の後を追う。」
    愛琉「うん・・・って!?」

    そう言い残すと、俺様護衛は立ち去った。

    しょうがないから、倒れたヤツに近づく。
    そっと触れると、ベタッとした感触があった。
    それは・・・

    愛琉「血・・・。」

    暗い闇の中でもすぐに分かった。
  • 24 音羽 id:edTK2z0.

    2011-08-23(火) 17:51:43 [削除依頼]
    第十六宴:犯人の見当が全然つかないけど、でも放っておくわけ
    にはいかないのでとりあえずつくった捜査本部。

    楼「ふぁ〜〜〜っ!」
    愛琉「何まぬけな声だしてんのよ将軍。」

    ただいま午前9時。
    ここは将軍の自室の隣にある職務室。
    将軍は昨日の疲れからか、かなりぐったりとしている様子。
    今も机に顔をべったりとつけて仕事したくありません、っていう
    無言のアピールをしている。

    そしてその将軍を見て呆れるあたしと俺様護衛。

    愛琉「朝からこんなんなの・・・?」
    麗「あぁ。・・・って貴様、何しらじらしく職務室にいるんだ!」
    愛琉「だってー。あたしと将軍は一応友達だしさ。」
    麗「はぁっ!?楼将軍、本当ですか!?この娘を友人として
    認めたのはっ」
    楼「んー・・・まぁ、いいんじゃね?お嬢さんにはー・・・こう・・・
    借りみたいのがあるし・・・」
    麗「借りって・・・『将軍栄酒』のことですか。そんなこと、もう
    終わったでしょう?」
    愛琉「終わってないわよ俺様護衛。あたしが10年かけたものを、
    どっかのお偉いさんが飲んじゃって、三日で造ったものを
    飲ませるはめになったのよ。あーあ、10年間の努力が・・・」
    楼「・・・・・ね?」
    麗「・・・・・はい。」
    愛琉「あ、それよりも・・・。今朝の血まみれの人は?」

    そう。あたしは見てしまったのだ。
    血まみれで倒れた一人の“女”を。
    最初は暗くて、血がついてるってことしか分からなかったんだけど、
    あとから城内に運んだら、綺麗な女性ということが判明したんだ。
    とても綺麗だった。髪に軽くウェーブがかかってて・・・。

    麗「それが・・・」

    俺様護衛が口をつぐむ。

    麗「消えた。」

    楼 愛琉「「・・・・・・・・・・・。」」

    麗「いや、その・・・突然消えていたらしい。・・・知らないぞ私は!
    どうして二人ともそんな白い目で見るんだ!詳しく知りたいなら
    医師と看護師達に聞け!ただし、彼らが起きてからだ。」
    愛琉「起き・・・?なんでよ」

    楼「あのー・・・?俺、全然話に入っていけないんだけど・・・」

    将軍は今回の事件については全く知らなかったらしい。
    疲れで爆睡して、悲鳴など聞こえなかったのだろう。

    楼「とりあえず・・・事件らしいから、『捜査本部』つくろうか!」

    そう言うと将軍は筆を取り、さらさらと長方形の和紙に
    「犯人の見当が全然つかないけど、でも放っておくわけには
    いかないのでとりあえずつくった捜査本部。」と書いた。

    楼「『捜査本部』にはやっぱり名前つけなくちゃね!」

    名前のつけかたにも程がある。
  • 25 音羽 id:4MtQn4I1

    2011-08-24(水) 13:07:16 [削除依頼]
    第十七宴:出会いと報告

    麗「楼将軍・・・あなたって人は・・・。そんなやる気の無さそうな
    名前は要りません!それに、捜査本部と言っても、既に『隠』
    たちが捜査を始めています!」
    愛琉「『かくれ』・・・?」
    楼「いわゆる“忍者”ってもんだ。幕府のトップクラスの人達の
    ・・・隠語?ってもの。」
    愛琉「それ、あたしに教えていいの?」
    楼「あ、やべ。言っちゃった☆」
    麗「・・・・・・。小娘。」
    愛琉「ん?」

    俺様護衛は刀を抜き、床にトンと突き刺した。

    麗「このこと・・・誰にも言うなよ・・・。貴様だけだぞ、下女の中で
    『隠』の意味を知ったやつは。」
    楼「ま、普通に会話に隠が出ることはないしな。
    俺も会った事ないんだよー。いつ出てくれるんだろ。
    そんなに俺が頼りないかぁ・・・。」
    愛琉「ちっ、違うって!まだ将軍のお仕事に慣れてないんでしょ!」
    麗「そ、そうですよ。あなたもいつか立派な諒将軍のように」
    楼「俺は父さんと違うのさ・・・。頭も良いし、優しいし・・・」

    将軍の顔がだんだんと暗くなる。
    そしてニヤリと笑うと

    楼「はっはっはっ、どうせ俺は人形なんだよ!
    俺はただのお飾りで、実際に動かすのは臣下達!
    いいもんね。別に俺だってなりたくて将軍になったわけじゃ」
    ?「報告がありまする。棟梁。」

    どこからか声がした。
    でも、部屋中見渡してもどこにも人の姿は見当たらない。

    ?「ここでありまする。」

    ふと上を見上げると、人が・・・

    愛琉「人が天井からぶら下がってるぅぅぅぅううう!!??」
    麗「落ち着け小娘!」
    楼「誰かが天井からぶら下がってるぅぅぅぅううう!!??」
    麗「楼将軍、あなたまで!!??」

    確かにぶら下がっている。
    天井には縦横50cmほどの正方形に切り取られた穴があった。
    そこに足をひっかけてぶら下がっているのだ。
    藍色の長髪をポニーテールにした、藍色の瞳を持つ女性が。

    麗「お前は!」
    ?「御無沙汰している、麗。そして・・・」

    ストンと床に足を落とし、乱心中の将軍の前で軽くひざまずくと
    女性はふっと微笑んだ。

    望「御初にお目にかかりまする。穏隠団団長、影隠 望と
    申します。」
    愛琉「穏隠・・・団?」
    麗「彼女たち穏隠団は幕府の隠だ。」

    望「棟梁。」
    楼「へ?棟梁って?え?」
    麗「あなたのことですよ、楼将軍。」


    望「早速ですが、ご報告をいたします。
    先ほど消えた女ですが」
    麗「あぁ。」
    望「捕まえました。念のため、監獄にいれました。」
  • 26 音羽 id:7INWWH3.

    2011-08-25(木) 15:04:12 [削除依頼]
    ☆登場人物参☆

    穏隠団 影隠 望(かげがくれ のぞみ) 25歳 一人称「自分」
    七天幕府に雇われている忍軍団「穏隠団」の団長。
    冷静で幕府に忠実な女性。麗とはお互い、「麗」「望」と呼び合う
    仲である。(恋人ではない)

    穏隠団 日隠 凛(ひがくれ りん) 25歳 一人称「わらわ」
    穏隠団の副団長。望とは幼なじみである。おてんば娘で
    冷静さを失うことが度々あるが、穏隠団の団員を愛する想いは
    何よりも強い。

    穏隠団 水隠 純(みずがくれ じゅん) 25歳 一人称「オレ」
    穏隠団守備部隊の隊長。見た目も性格も「チャラ男」だが、
    実力は本物。趣味はナンパ。

    穏隠団 炎隠 灯眞(えんがくれ とうま) 20歳 一人称「僕」
    穏隠団攻撃部隊の隊長。不思議系男子。彼の思惑は、長年
    彼を可愛がってきた望にしか分からない。
  • 27 音羽 id:9lb5Mwz/

    2011-09-16(金) 21:42:26 [削除依頼]
    第十八宴:樹の終わり


    あたし達は言葉を失う。
    さっき逃げた人間をいきなり監獄に入れるなんて。
    まぁ、逃げたほうも悪いけど。

    楼「・・・どうして?」
    麗「そうだ、望。何故あの重傷を負った人間を監獄へ
    入れる必要があるんだ」
    望「あの顔を忘れたか麗!」

    望さんの穏やかだった顔が急に怒りに満ちた。
    何も知らないあたし達(将軍とあたし)はびくっと
    肩を震わせる。

    麗「あの顔・・・?」
    望「そうだ・・・・・・。20年前のあの事件だ・・・・・・・。」

    20年前。
    あたしと将軍が生まれる前。

    麗「・・・私とお前が・・・」
    望「5歳のとき・・・。」

    何かあったのだろうか。20年前。いや、あったんだ。きっと。

    望「そうですね・・・。棟梁とそこのあなたがお生まれになる前の
    ことでしょう・・・。」

    望さんは顔をうつむけながら語り始めた。

    望「今から20年前・・・。自分と麗は5歳。前棟梁、諒様の妻、歩由樹様の
    御腹に新しい御命が宿った・・・。それが棟梁。あなたです。
    お世継ぎがお生まれになる。民、臣下・・・。祝福する者は数え切れない。
    しかしその裏で、悔しい思いをする者もいました。
    諒様の兄君、翔様です。翔様はとても御身体が弱い。
    だから将軍などという大きな責任は持つことができないと
    臣下は密かに思っていました。翔様自身もそれをわかっておいで
    だったのでしょう。諒様の父上が御病気でお亡くなりになると
    すぐに諒様に将軍の座を譲りました。翔様はしばらく老中の座に
    着いていましたが、御身体を壊され、今は歩由樹様の弟君の
    光樹様が老中に・・・。翔様はやがて、下町で昔に出会った娘と
    御結婚。せめて自分の子供に希望を託したかったのでしょう。
    諒様の跡継ぎ・・・後の将軍になってほしいと・・・。しかし
    うまくはいかなかった。その後諒様が御結婚されて、
    歩由樹様に新しい御命があるとわかり、諒様の跡継ぎはその御子だと
    誰もが信じた。翔様は絶望したんです。自分は何もできないと。
    自分が譲った将軍の座は弟に、その次は弟の子供。
    自分は何一つ、得られなかった。父は将軍で、自分は長男なのに。
    そう思った翔様は、妊娠8ヶ月の歩由樹様のいる御部屋に火をつけた。
    ・・・自分がつけたんじゃなく、その当時、自分らと同い年・・・5歳の
    女子に罪を被らせた・・・。その女子があの血まみれ女です。
    名は十来 祀。
    彼女は翔様に仕える忍者団、龍翔団に入団した女子でした。
    まだ5歳でしたが頭が切れるもので・・・。その才能は密かに評価され
    ていました。しかし自分は・・・あの女を許しません。
    あいつは分かっていた。あの御部屋に誰がいるのかを。
    赤子を持った歩由樹様がいると・・・。火をつければ命を失うかも
    しれないということも。なのに、あの女は火をつけた。
    自分の意志と翔様の意志を重ねて・・・。
    あの大火事は二度と忘れられません・・・。」

    ふぅと溜め息をつくと、望さんは目を閉じた。

    麗「・・・当時、望も忍者団に入っていた。しかし龍翔団ではなく
    今の穏隠団に。私も二人とは知り合いだった。
    特に祀は賢かった。とても5歳とは思えなかった・・・。
    普段は無邪気な人間ですが、翔様のためならば、なんでもする
    アホだった・・・。なんであの男のために懸命になるのかが
    今もわからない・・・。」

    ――――――20年前―――――――

    麗『まつり、なにをしているの?』
    望『そこ、ふゆきさまのへやだよ。そのくさ、どけないと』
    祀『いいんだよ、これで』
    望『まつりっ!はやくこのくさどけてっ!』
    麗『なんでくさなんかおいてんの?』
    祀『・・・え・・・』
    麗『ふゆきさま、あかちゃんいるから。あぶないよ。
    あかちゃんまでけがしちゃうよ。いたいよ。』
    望『そうだよまつりっ!はやくどけて・・・っいたいっ!
    まつり、なにするのっ!』
    祀『・・・るさい・・・うるさいっうるさいっ!!
    はやくはなれてよばか!しんでもいいの!?
    まつりはやるの!ぜったいにっ!だれにもじゃまさせないっ!
    しょうさまのためだもん!おなかのあかちゃんなんて
    いらないんだよ!』
    望『まつりっ!』
    麗『あかちゃんだよ!?たいせつにしないと!』
    祀『・・・・・・いらないの・・・・・・』
    望『・・・どうして・・・』

        『だってこのあかちゃんはひとをくるしませるから』


    麗「あの火事は『樹の終わり』といわれている・・・。」
  • 28 音羽 id:ov69IcO/

    2011-09-23(金) 14:22:49 [削除依頼]
    第十九宴:お近づき

    楼「樹の終わり・・・か。なんとなくわかる。」

    思わず言ってしまったという顔で将軍は話した。

    楼「俺の母さんはもともと大自然に住んでたんだ。
    わかるかい?ここから少し離れたところにある氷葉山の
    奥深くに母さんの実家、津通理家があるんだ。
    母さんは樹が好きなんだよ。だから昔は部屋を樹の造りに
    していたんだ。今は・・・また嫁入り前みたいに、
    氷葉山に引きこもってるけど。」
    麗「楼将軍・・・」
    愛琉「お城には居ないの?」
    楼「父さんがいなくなってよっぽどショックなんだろうね。
    父さんが死ぬ前は城に居たけど」

    将軍は机に顔を伏せる。
    将軍の立場も楽じゃないのね・・・。

    楼「団長。」
    望「は」
    楼「よく燃えただろう?母さんの部屋は特に。樹の造りだからね」
    望「・・・・・・・・・はい。」
    愛琉「・・・でも・・・助かってよかったね」
    麗「あぁ。当時の穏隠団や家臣、兵たちが全力で救済にあたった。
    歩由樹様も多少傷を負ったが、御命に別状はなかった。」
    愛琉「そのあと、祀・・・?さんはどうなったの?」
    麗「捕らえられた。牢獄に3年間入れて、そのあと
    村に釈放した。そのあとの17年間は知らん。そして今は
    なぜか城に血まみれで倒れて監獄行きだ。あいつに関わると
    ろくなことにならないぞ。」

    俺様護衛は小さく舌打ちすると、刀を持って
    外へ出た。

    麗「監獄に行く。少々からかってやるか」
    望「自分も行く。」
    楼「俺も行くよ。」
    麗・望 「「だめです」」
    楼「えぇー!?なんで俺はダメなのさ!?」
    麗「次は楼将軍、あなたが狙われるかもしれませんよ」
    愛琉「・・・ねぇ、ちょっと」
    望「?なんですか?」
    愛琉「みんなー、大事な人忘れてない??」
    麗「は?」
    愛琉「希籐さんだよー。希籐 香奈多!怪しいやつ!」
    楼「キトー?誰それ」
    麗「あなたって人は・・・。希籐藩藩主ですよ。」
    望「自分も聞きました。今、穏隠団の調査部隊に
    頼んで調査中です。」
    愛琉「みんなが祀さんに会いにいくなら、あたしは
    希籐 香奈多くんに会いに行きます!」
    楼・麗「「はぁっ?」」
    愛琉「あたしは所詮、小娘でしょ?だから相手も油断するはず!
    だから近づいて、怪しいとこをどんどん吐き出させてくる!」
    麗「何を言う、小娘!相手はまだ18だが、かなりのエリートだ。
    もし何かあれば・・・!」
    望「いいじゃないか」
    麗「望!?」
    望「お名前は?お嬢さん」
    愛琉「酒司の春賀 愛琉ですっ!」
    望「ほぅ、酒司。これまたおもしろい人物と仲良くなられたのですね
    棟梁。では、いいでしょう。春賀さん、希籐 香奈多に
    お近づきになってみてください。」
    愛琉「本当に!?」
    望「えぇ。彼はかなり容姿が優れています。だから近づきたい
    女子もたくさんいるんです。今頃も女子と優雅にお茶している
    ことでしょう。その女子にまぎれれば、希籐と話すことも
    難しくない。」
    愛琉「よーし、春賀 愛琉、頑張ります!」
  • 29 音羽 id:NIg9CLq1

    2011-09-24(土) 10:28:00 [削除依頼]
    第二十宴:初めての命令

    望「念のため、団の守備部隊の者と攻撃部隊の者を
    就けましょう。純、灯眞!」

    サッ

    一瞬の風に招かれたかのように、二人の人間が目の前に現れた。
    一人は水をまとい、もう一人は炎をまとった男。

    望「この春賀 愛琉さんの護衛を頼みたい。今から彼女に
    希籐と接触してもらう。」
    純「ほーっ!君、可愛いねぇーー!!」
    愛琉「は・・・?」
    灯眞「・・・・・・。」
    純「・・・トーマー。話せよー・・・。んで、団長?どうして
    カナタちゃんに近づかなきゃいけないわけ??」
    望「さっき捕らえた女がいるだろう。血まみれで倒れた女だ。
    それと希籐がどうも怪しい。直接関係は無いかもしれないが
    女は幼い頃罪を犯した犯罪者、希籐は何か不審な動きがある。」
    愛琉「不審な動きって?」
    望「どうやら各藩の大名に賄賂を贈っているとか・・・。
    他にも、希籐藩所属の忍隊が城に忍び込んだりしているらしい
    のです。まだ確信はないのですが・・・。」
    愛琉「そんな奴、とっとと片付けちゃいましょう姉さん!」
    望「姉さ・・・。いえ、ここは証拠を見つけるのが最優先です。
    いいですか、春賀さん。希籐はかなりのエリートです。
    例え、まだ未成年だとしても。決して自分達のことは
    口に出さぬよう、お願いしまする。できれば棟梁のことにも触れず、
    自然な感じで・・・。今、流行のものとか。とにかく友人と
    話すような感じで。何かあれば純と灯眞がお守りします。
    自分の御命を優先して、危険を察したらすぐに逃げて下さいね」
    愛琉「はい」
    楼「ごめんお嬢さん。こんなこと、俺、ホントはやらしたく
    ないんだけど」
    愛琉「何言ってんの。あんた将軍でしょう。部下に『死ぬ覚悟で
    戦え』って言うのはあんたよ。そんなに弱気だったら
    誰もあんたに着いていかないわよ!」
    楼「う・・・」
    愛琉「だから近くに護衛の野郎がいるんじゃないの」
    麗「なっ・・・野郎!?」
    愛琉「これ以上幕府内で変な事件が起きたら国民から信頼
    されなくなるわよ。それに希籐がやってることも怪しいし!
    そしたら困るのは国民だけじゃなくて、あなた自身なんだからね!
    あたしたち臣下が仕えるのは将軍よ。それは国民も同じ。
    だから強気で生きなさいよ!間違っても良い。そしたら
    近くにいる人がそれを教えてくれるから。バカでアホで
    国のこと全然知らない男なのはみんな知ってる。」
    楼「・・・そうだよな。」
    麗「楼将軍?」

    将軍は立ち上がると後ろを向いて窓を見つめた。
    青い空に白い雲が憎いぐらい優雅に浮かんでる。

    楼「じゃあ行って来て、お嬢さん。これは命令だ。
    希籐 香奈多に接触し、何らかの情報を得て帰って来い。
    だけど、危ないと思ったときは自分の命優先で逃げること。
    いいね?」

    初めての命令。
    将軍だったら誰もが緊張するよね。
    だから臣下が頑張らなくちゃ。
    あたしは精一杯の笑顔で

    「行ってきます」
  • 30 音羽 id:NIg9CLq1

    2011-09-24(土) 13:34:42 [削除依頼]
    第二十一宴:希籐、覚悟なさい!

    楼「・・・・・・これでいいんだよな」
    麗「・・・おそらく」
    望「麗、そろそろ行くぞ。」
    麗「しかし楼将軍は」
    楼「護衛さん、行って来てよ。俺が行ったら迷惑が
    かかるだけだからよ」
    麗「そんな」
    楼「・・・行って来い。俺ができるのは命令だけだ」
    望「棟梁。春賀さんの言葉を借りるとすれば
    あなたはバカでアホで国のこと全然知らない男ですが」
    麗「おいおいおいおい望!?」
    望「・・・自分たち、穏隠団は幕府所属、つまり将軍の命令は
    絶対です。自分たちは将軍の命令で動き、生きて、時には
    死にます。それは民も同じ。」
    楼「・・・うん。だけど俺にはまだ・・・早いように思えて・・・。
    将軍が死んでこいと言えば、皆死ぬ。
    戦えと言えば、皆傷つく。」
    望「ええ、自分もそう思いまする」
    麗「望・・・」
    望「しかし、あなたの命令で生きることもできるんです。
    それを忘れずに。」


    愛琉「嘘だろぉー・・・。」

    先日のあの血まみれ女さんが倒れたことが早くも城内で
    話題になっている。
    知り合いに会う度に「愛琉ちゃんも気をつけて」だ。
    一応、大体の大名はまだ城に留まっている。
    事件が城内で起こったから、早く自分の領地に戻った方が
    良いんじゃないかって意見もあるけど、うかつに外に出れば
    もっと危険じゃないかっていう意見が多数で
    ほとんどの大名が泊り込み。
    その大名たちは今、お客さん専用の屋敷、「華龍棟」で
    お休み中だ。
    あたしは華龍棟へ向かう。
    あの希籐っていうエリート大名に会うために。
    20分ぐらいで着いた。
    紅色に染められた柱、屋根には金の龍たちが
    寝そべっている。

    愛琉「ここに・・・」
    純「いるかもね」
    愛琉「へ!?

    ふと左を見るとそこにいたのは金髪、宝石の耳飾り、銀の指輪、
    青色の忍服には水をまとう龍が複数描かれている・・・
    あまりにも節度のない服装と態度の穏隠団 守備部隊隊長、
    水隠 純さんだった。

    純「よろしー、愛琉ちゃん」
    愛琉「よろしー・・・くお願いします・・・水隠さん」
    純「オレのことは純さん、って呼んでくれれば大丈夫。
    それと」

    純さん?は右手の人差し指を屋根の金色の龍に向けた。
    そこにいたのは

    純「あそこで寝てるのは攻撃部隊隊長の炎隠 灯眞。
    トーマさんって呼んであげて。
    生まれつきの栗色の髪と天パがチャームポイント」

    すごいや忍者って。
    金色の龍に寄りかかるように、トーマさんが寝てる・・・。

    愛琉「すごい・・・」
    純「ま、オレら一応忍者だから☆大丈夫。アイツはカンが
    いいから、何かあればすぐに来てくれる。さ、いこうか。
    お茶会は3時からだよ。もうすぐだ。」
    愛琉「純・・・さんは隠れてるんですよね?」
    純「おぅ。様子見とくから。とにかく」

    純さんはあたしの腕を引っ張り耳にささやいた。

    純「自分の命優先だよ。危ないと感じたらすぐ逃げるんだ。
    じゃ、いってらっしゃい!」

    トンとあたしの背中を押すと、純さんは水をまとって
    消えた。
  • 31 音羽 id:ORebaps0

    2011-09-30(金) 17:12:40 [削除依頼]
    第二十二宴:渡る世間は姫ばかり・・・?

    もう嫌。
    逃げたい。
    何なのこれは。

    愛琉「どいつもこいつも着飾ってばかり・・・」

    希籐の部屋には短時間で辿り着けた。
    ここまでは良い。
    問題はここからだ。
    きらびやかな部屋にはおいしそうなお菓子、更に輝く青年がいる。
    遠くから見てるんだけど、輝き方が尋常じゃない。
    髪は漆黒で顎のラインに切りそろえてあり
    瞳はかすかに赤がかかった黒。
    どう見ても、あたしが出会った人間の中で一番の美貌だ。
    将軍(髪:黒の長髪 瞳:黒)もあたし(髪:紫のかかった黒
    瞳:紫の濃い黒)もあの俺様護衛(髪:茶色の濃い黒
    瞳:金が混じった茶色)でさえかなわない。
    おまけにかなりギラギラと着飾ったお嬢様方に囲まれている
    ため余計にキラキラ光っている。
    頭が良さそうで優しそうな顔して笑ってるけど、
    その裏にはきっと何か怪しい影があるんだ!
    早く探ってその笑顔をぶち壊したいんだけど
    あのお嬢様集団の中に入っていくのは気が引ける。
    だってあたし普通の袴で来たから・・・。(あたしのアホ!)
    しょうがないけど遠くで見とくしか・・・

    香奈多「そこの袴のお嬢さん、こちらへどうぞ」

    希籐+お嬢様集団の目があたしの方へ向く。
    希籐の優しそうな目、そしてお嬢様集団の痛い目。
    希籐のアホォォォォオオオ!!
    そんなこと言ったらあたしが一番痛い目に遭うだろうが!

    愛琉「え、あ、いや、私はここで・・・」
    香奈多「それじゃあお茶会に来た意味がないじゃないですか」
    愛琉「でも普通の袴だし」
    香奈多「構いませんよ。僕、袴の女性好きですし」

    ドキッとした。
    あたしのことを好きって言ってるわけじゃないのに。
    彼は“袴の女性”が好きって言っただけだ。
    だけど抜群の容姿の男性に笑顔でそう言われたら
    きっと女の子はときめいてしまう。

    香奈多「さぁ、こちらへ」

    彼はもう一つ椅子を引くと、自分の席の隣に置き、
    あたしを手招きした。
    もうこれだ。
    これが最後のチャンスと思え。
    レッツ・ゴー愛琉!

    愛琉「じゃあ・・・お邪魔しますぅ・・・」
    香奈多「僕のお茶会は初めてですか?」
    愛琉「はっはい!」
    香奈多「そうですか、それでは、いつものメンバーを
    紹介しますよ。いつも僕のお茶会に来てくれる姫たちです。」

    夕子「宗來藩藩主、時辰の娘、夕子と申します。」
    亜李「鶴賀藩藩主、鶴賀竜真の娘の亜李です☆」
    杜紀「松伊江藩 杜紀という。」
    莉香子「莉香子です。あ、須戸井藩の娘です!」
    明「・・・賀来河藩 明」
    飛鳥「葵藩の飛鳥ですー」

    ・・・嘘でしょ?
    みんな藩の娘なのーーーーーー!?
    そんな中に酒司一族のあたしが!?
    まぁでも、一応あたし将軍と知り合いだしー!?
    『将軍宣言』にも出させてもらったからね!?

    愛琉「・・・酒司の・・・春賀 愛琉ですー・・・」
    香奈多「あぁ!『将軍宣言』の時の!覚えていますよ!
    あの時はとても感激しました。いつか将軍栄酒を飲んでみたいもの
    です・・・。あぁ、すいません。少し取り乱しました。
    とりあえず、彼女達が僕のお茶会の常連さんなんです。
    あなたもここで友達になればいい。」

    無理。
    姫の視線がもう殺意モードになってんのよ。
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