タカに、ツバメに、そしてフクロウ62コメント

1 枯れた雛罌粟 id:sxihvcG/

2011-06-13(月) 17:51:30 [削除依頼]
古代、暴威を振るった 妖(あやかし)、鬼― それが現代に甦り、人間を脅かし始めた― しかし、三人の高校生が化物との戦いに 三羽の喋る鳥たちと共に立ち向かうのだった― >>2登場人物&あいさつ
  • 43 枯れた雛罌粟 id:TaNGzX80

    2011-06-22(水) 23:23:07 [削除依頼]
    「ふえぇ〜」
     晴香は机の上に寝そべるようにぐったりしていた。
    先のテストで全力を使い果たしてしまったかのように。
    「次は数学……もうムリ……」
     完全にテストに対して降伏の白旗を揚げていた。
    赤点とか、補習とか、どうでもよくなっていた。
     寝そべりながら真司を見た。晴香から見て横に
    なっている彼はじっと動かないまま、黙っていた。
    何かを考えているのか、それとも眠っているのか――。
    晴香には全然把握できなかった。
    (真司君、いつもと違うみたい……)
    そんなことを思ってしまった。
     そこへタカがサッと晴香の視界を過ぎり、真司の肩へと
    着地した。そして、また晴香を睨んできた。
     だが、今度は若干の侮蔑を込めたような睨みだった。
    晴香はちょっとばかり視線が苦しく感じた。
     すると、遅れて小烏丸がゆったりと滑空しながら晴香の
    肩へと着地してきた。こっちは何だか機嫌が悪そうだった。
    「ふざけやがって……」
     翼を畳むや否や、いきなりぶっきらぼうにそう口にした。
    晴香は行きと明らかに態度が変わっていることに驚いた。
    「ど、どうしたの?」
     真司やタカに気づかれないように静かな声で聞いてみた。
    小烏丸はタカを睨み付けながら晴香に話した。
    「あのタカ……村雨丸って言うけど……。
     馬鹿にしてきやがってさっ……!!」
     小烏丸の口調からその憤りはすぐに感じられた。
    そんな怒りを露にする小烏丸を村雨丸は見下すような目で
    ずっと見ていた。
     小烏丸は嫌気が差したのか、ついに村雨丸とは目を
    合わせなくなった。晴香は少々不安になった。
    「ちょ、ちょっとっ……。式神同士は仲間なんでしょ?
     何変なムードになっちゃってるのっ……!?」
    「そりゃそうだけど……あいつだけは御免だな。
     おいらはああいう奴は嫌いなんだよ」
    「小烏丸……」
     晴香の心配を余所に小烏丸は晴香の背に隠れるように
    晴香の結んだ髪の下に潜り込んでしまった。
    「少しほっといてくれないか……?
     あいつなんか見たくない……」
    「そ、そんなぁ……」
     何もしていないのに変に胸が苦しくなる思いだった。
    次のテストの始まりを告げるチャイムが無情にも鳴った。
  • 44 枯れた雛罌粟 id:R.SFzit.

    2011-06-23(木) 22:16:12 [削除依頼]
     テスト中、晴香は小烏丸というフクロウと村雨丸
    というタカの二羽の間の空気の重さに押しつぶされ
    そうになりそうで気が気でなかった。
     ただでさえ、数学は苦手な上にこのような状況では
    彼女の解答ペースは“遅い”を通り越していた。
    (あぁっ〜〜!!どうしよう……集中できないよ〜〜)
     方程式をやっと解けるぐらいで、証明問題や整数
    問題には全くといっていいほど歯が立たなかった。
     問題の難易度、解法などよりも二羽の醸し出す異様
    なオーラの方をどうにかすることの方が重要にさえ、
    思ってしまっていた。

    ――――

     結局、七割ほど白紙の状態で提出してしまった。
    晴香の落ち込みと疲れは最高点に達していた。
     机に完全密着するようにうつ伏せになって昼休みを
    迎えた。周囲は各々弁当を取り出したり、購買に財布
    片手に買いに行ったりとしている中、晴香はしばらく
    うつ伏せのままでいた。
     そんな中、真司は一人でにどこかへ立ち去った。
    晴香はそれに気づきはしたが、動こうとはしなかった。
    ―テスト終わってから……話がある―
     真司はそう言った。まだテストは午後に英語がある。
    まだその時ではない、と考えた。
     しかし、何を言われるのかは気になっていた。ただ、
    晴香自身が真司に憑いているタカの存在に気づいた
    ことに対して、事情説明でもしてくれるのではないか、
    という予想だけはすぐに付いた。
     だが、小烏丸とタカの村雨丸がこの有様――
    というより、小烏丸が未だにブスっとしている中で
    大丈夫なのだろうかという不安がテストの不安よりも
    勝り、晴香を刺激していた。
     晴香はムクっと起きると、カバンから彩香が作って
    くれた小さな弁当を取り出し、机の上に広げた。
     二層のその弁当の上の方にはだし巻き玉子に
    ウィンナー、ミニトマト、下の方には白飯が
    敷き詰められていた。
  • 45 枯れた雛罌粟 id:R.SFzit.

    2011-06-23(木) 22:33:51 [削除依頼]
    「いただきま〜す……」
     元気なくはしを手にしながら、ちょっとずつ
    口に運んでいった。
    そこへ小烏丸が周囲を警戒するようにヌッと頭を出した。
    「はぁ〜、しんどい」
    「それはこっちのセリフよ……」
     女子高校生とフクロウは仲良くため息を吐いた。
    「あの村雨丸って野郎、おいらだけじゃなくて
     晴香のことも馬鹿にしてきたんだぞ?
     なんて奴なんだ、本当」
    「へ、そうなの?」
     晴香は全く実感がなかった。
    タカに馬鹿にされること事態が普通の人間なら、まず、
    経験することのないことであるからだが。
     小烏丸はさらに大きなため息を吐いて呆れた。
    「ったく、どういうことか分からないのか?」
    「そんなこと言ったって、あたしはそんなに強くないし、
     小烏丸ともまだ二回しか戦ってないし……」
     玉子を口にしながら晴香はあっさり意見を述べた。
    小烏丸はその意見に思わず納得させられてしまった。
    「そ、そりゃそうだけどさ……」
    「でも、後で真司君と話すし、
     その時に分かり合おうよ?」
    「う、うん……」
     小烏丸は不服ながらも頷いた。
     晴香はあっという間に弁当を完食し、弁当を片付けた。
    そして、眠くなったのか、また机にうつ伏せになって
    スースー寝息を立てて眠り始めた。
    「おいらにだって、面子ってものがあるんだよ……」
     小烏丸はそんな言葉をこぼした。
  • 46 シュナイダー@オーバーヒート id:jaJQbNO.

    2011-06-23(木) 23:23:51 [削除依頼]
    お、進んどるな!

    晴香、テスト真面目にやれしwww
    まあ、変な状況やから仕方ないんやなw
  • 47 枯れた雛罌粟 id:p5W6d4x0

    2011-06-24(金) 18:52:51 [削除依頼]
    >>46 いつもコメントありがとうございます^^ 私が晴香だったら発狂してますねw
  • 48 西瓜 id:L5vJdZE1

    2011-06-24(金) 19:47:06 [削除依頼]
    おもしろいです!続き楽しみにしてます!
  • 49 枯れた雛罌粟 id:gCk2bi60

    2011-06-26(日) 17:50:03 [削除依頼]
    >>48 ありがとうございます^^ 精一杯頑張ります!
  • 50 枯れた雛罌粟 id:gCk2bi60

    2011-06-26(日) 18:07:52 [削除依頼]
    >>45の続きです。  午後の英語は眠気との勝負だった。 晴香にとって英語という語学自体が暗号解読に等しいため、 読むことも、理解することも面倒で嫌いだった。  さっきとは違い、村雨丸が晴香の方を見てこない上に、 小烏丸も黙ってはいるが気持ち的に落ち着いている様子で いるため、晴香は妙な安心感を抱いていた。  そのせいで睡魔の格好の餌食になっていた。 穴埋め問題を六、七問解いただけで解答用紙を枕にして ゲームオーバーとなった。  結果的にこれまたほぼ白紙に近かったが、色々あって 補習とかを気にすることはほとんどなかった。 「ふあぁ〜〜!」  大きな欠伸をかきながら背を伸ばし、筆記用具をカバン に放り込んで帰り支度を始めた。  この日は掃除もなく、部活も大体は休みの日だった。 晴香が通う高校は他とは違い、テストの日や何かの イベントがあると掃除や部活などが基本的に休みになる ことが多かった。それは教師の数が微妙に少ないのが原因 で、採点に教職員を総動員してしまうために部活の顧問も 部活の管理ができないでいるのだ。  だが、晴香の入っている文芸部という名の雑談サロンは 顧問自体が存在しない上に、フリーすぎる存在であるため、 好き勝手に“部活動”として活動できた。  その気になれば晴香も勝手に休んで帰ることもできる。 しかし、彼女が早く家に帰ったところでやることがなく、 必然的にサロンで時間潰しをするしかなかった。  それに加え、先週に出会ったばかりの綾音とも約束を しているために今日出ることは絶対条件だった。 「さてと、行こ……」  晴香はサッと立ち上がり、教室を出ようとした。 だが、出入り口の辺りで真司に右腕を掴まれ驚いた。 「え!?」 「晴香、話があるって言ったろ?」 「そ、そうだっけ?」  テスト中に晴香は寝ていたためにすっかり記憶が 飛んでいた。真司はキリっとした目で晴香を見ていた。 「ったく、こっち来い」 「ちょ、ちょっ!?」  真司にグイグイ引っ張られ、晴香は連れていかれて しまった。他の女子からの嫉妬を含んだ視線が一瞬だけ 晴香に向けられていた。
  • 51 枯れた雛罌粟 id:qLGxCuA0

    2011-06-27(月) 18:20:00 [削除依頼]
     真司に連れられ、人気の無い校舎裏にやってきた。
    晴香は移動中に真司が言ってたことをやっと思い出し、
    申し訳なく思っていた。
     手を離され、背を向けていた真司がしっかりと晴香
    を凝視した。思わず晴香はたじろいでしまった。
    「晴香、今すぐ戦うのはやめろ……」
    「え?」
     いきなり真司が口にした言葉は意外なものだった。
    晴香だけでなく、小烏丸も目を見開いて驚いていた。
    「ちょ、何?いきなり……」
    「お前と、そのフクロウじゃ長く持たない」
    「な、何だとぉっ!?」
     小烏丸が真司の前に躍り出た。だが、真司は毅然
    とした態度で村雨丸と共に立っていた。
    「やっぱり……」
    「何がやっぱり、だ!?
     おいらは晴香と十分に上手くやれてる!何が問題だ!?」
     小烏丸が躍起になって真司に怒鳴るように話しているが
    真司は晴香の方を見て言った。
    「お前、こいつを変化させて……“鞘”はあるのか?」
    「さ、さや?」
     晴香が無知であることに真司はため息を吐いた。
    「鞘があるかないかが、式神と共に戦う資格だ。
     だったら、今見せてみろ」
    「そ、そんな……」
     晴香はどうしたらいいのか困ってしまった。
    小烏丸も小さな嘴を食いしばりながら滞空していた。
    「鞘が無くたって……戦えればいいじゃないか!」
     小烏丸は苦し紛れの言葉で押し通そうとしたが、
    真司は首を横に振り、口調を強めて言った。
    「そんな身構えで戦うつもりなのか?
     無理だ、無茶だ、お前も晴香もいずれ死ぬ」
    「し、真司君……」
     険悪なムードが漂う中、晴香は何を言って、
    どう判断を下せばいいのかすら分からなくなった。
    「晴香、お前が無理に戦うことはない。
     お前に傷つくと……俺が困るんだよ」
    「え……?」
     すると、真司はプイっとまた背を向けた。
    「良いか、晴香?お前がどんなに力を持っていても
     妖や鬼には絶対に敵わない……奴らを嘗めるな」
     そう無愛想に言って真司は去ってしまった。
    もの寂しい、生暖かい風が晴香と小烏丸の間を
    吹き抜けた。ただ、無情な沈黙だけがしばらく続いた。
  • 52 枯れた雛罌粟 id:qLGxCuA0

    2011-06-27(月) 18:21:18 [削除依頼]
    >>51訂正です ×お前に傷つくと ○お前が傷つくと でした。すみません><
  • 53 シュナイダー@ささかま id:EUHNywn1

    2011-06-27(月) 21:46:04 [削除依頼]
    真司強者説w

    鞘ってそんな存在やったんかいな
  • 54 銀狐 id:EUHNywn1

    2011-06-27(月) 23:25:52 [削除依頼]
    真司はやっぱり村雨丸とのタッグでしたか!
    どう戦うのか気になりますね!
  • 55 G id:xiI284Z/

    2011-06-27(月) 23:33:52 [削除依頼]
    鞘にはどんな意味が……!?

    続きが気になる!^ ^;
  • 56 枯れた雛罌粟 id:nqj/UxJ/

    2011-06-28(火) 18:36:00 [削除依頼]
    >>53-55 コメントありがとうございます^^ 鞘にはある秘密がありますw
  • 57 枯れた雛罌粟 id:nqj/UxJ/

    2011-06-28(火) 19:07:27 [削除依頼]
    >>51-52の続きです。 「はぁ〜〜」  晴香は大きくため息を吐きながら階段を上がり、 部室へと向かっていた。小烏丸はふて腐れて晴香の 肩の上にいた。 「あの真司という奴といい、村雨丸といい、  偉そうな奴だな!もう!」 「真司君のことは悪く言わないで……。  ほら、あたしたちはまだ出会ったばかりだし、  真司君の方が上みたいだったし……」 「何を言ってるんだよ!?」  いきなり耳元で叫ぶために鼓膜が破れそうになった。 「晴香は悔しくないのか!?  戦うなって言われて素直に認めるのか!?  そんなんで良いのかよ!?」 「そんなこと言われても……。  真司君は馬鹿にしてきたわけじゃないんだし、さ?」 「良くない……良くない!」  小烏丸はプルプル体を震わせていた。 「おいらは君に出会えて妖や鬼を倒す使命を  全うできるようになったのに……。  ずっと使い手を探してきた結果がこれなのか!?  おいらは何のためにいるんだよ!?  何のために現世に甦ってきたんだと思ってるんだよ!?」 「こ、小烏丸ってば……」  激しい剣幕で怒る小烏丸が怖く思えた。 必死に訴えかける一羽のフクロウでしかないのに、 一人前の人間に言われている気がしてならなかった。 「おいらは諦めないぞ……晴香と一緒にあいつらを  見返してやるんだからなっ!!!」  ガツンとそう言った小烏丸は気が晴れたのか、 大人しくなった。  階段を上り終え、暗い廊下に差し掛かったところで 晴香はすぐさまに話を変えようとした。 「そ、そういやさ……“鞘”って何の意味があるの?」 「え……?」 「真司君が言ってたことは本当なの?」 「…………」  小烏丸は黙りこくった。虚を突かれたように。 しかし、小さな弱々しい声で話し出した。 「晴香がおいらを変化させた時は刀にしかないだろ?  本当は……鞘に納まった状態で変化するのが  普通なんだ。一人前の武者としてのね……」 「じゃ、あたしは一人前じゃないってこと?」  晴香はすぐにそう納得したが、小烏丸は何か悔しいのか 言葉が詰まるようにしか喋らなかった。 「…………そうだよ。  晴香とおいらはまだ完璧な存在じゃないんだ……」  体を縮ませ、小烏丸は身を引いた。 「どうやったら、そうなるの?」 「それは晴香次第なんだ。おいらにはどうしようもない。  で、でもよ!」 「な、何!?」  小烏丸が一瞬だけ活気を取り戻した。 「晴香は戦えたし、技も生み出したじゃないか。  あいつらがなんて言おうと、おいらたちには  関係ないね」  小烏丸が捻くれたようにそう言ってのけたが、晴香には 一抹の不安があった。  小烏丸が言うことと、真司が言うことを天秤に掛けたら 真司の方が重く思えていた。 「そ、そうかな……」  晴香は部室の前で立ち止まった。
  • 58 枯れた雛罌粟 id:hGsmiqb.

    2011-07-22(金) 16:36:06 [削除依頼]
    長らく更新できず申し訳ありませんでした。
    明日から更新していきますね^^
  • 59 枯れた雛罌粟 id:JEXarIc0

    2011-07-24(日) 15:17:52 [削除依頼]
    >>57からです。  ガラっと部室の戸を開いた途端、目の前に綾音が バックを片手に出ようとしているのに鉢合わせした。 「あ、せ、先輩!!」 「あ、綾音!?」 「ちょうど今、帰ろうとしてたんですよ〜」 「みんなは?」  晴香は中を見回して確認してみたが、彼女以外に 誰一人としている気配はなかった。 「今日ですね、私以外にも新入部員が来て  賑やかでしたよ〜。先輩方とも仲良くできましたし」 「そ、そうなんだ。良かったね!」 「もうみんな帰っちゃったんですけどね……。  どうしても、先輩にだけ会いたいって思ってたんです」  綾音は晴香が真司に連れられている間に晴香をずっと 待っていたようだった。せっかくの後輩の期待をいきなり 裏切ってしまった感じがしてしまった。 「ご、ごめんね……色々あってさ……」 「い、いいんですよ!!  まだまだ先輩とは知り合ったばっかりですし、明日から  またよろしくお願いしますね!  じゃ、私、ちょっと用事があるんで先に失礼しますね」  綾音はペコリと丁寧に挨拶をして部室を出ていった。 晴香は大きくため息を吐いた。  小烏丸だけは綾音を不思議なものを見るかのような目で 見つめていた。
  • 60 採火 id:a3L7pKd1

    2011-07-25(月) 20:29:58 [削除依頼]
    晴香ちゃんが朝倉くんに絡もうと意気込んでいる場面が可愛くて、悶えながら読みました←
    戦闘時の動きや表情もすぐ思い浮かべられて、自分もこんな風に書きたいです。
    鞘の事も気になりますし、朝倉くんが晴香ちゃんを気に掛けているのにも気になりますし。
    もう待ちきれない自分が(殴

    これからも頑張ってくださいね。
    応援してます(*´∇`*)
  • 61 枯れた雛罌粟 id:UWcA0Oq1

    2011-07-26(火) 17:32:55 [削除依頼]
    >>60 採火さん、読んでくださったんですか!? 大変、恐縮です……(// 執筆、頑張ります^^
  • 62 枯れた雛罌粟 id:UWcA0Oq1

    2011-07-26(火) 17:58:54 [削除依頼]
    「もぅ〜どうしたらいいのかなぁ〜」
     晴香は小烏丸を右肩に乗せたまま、不幸になってしまい
    そうなくらいのため息を吐いて帰宅の途についていた。
     嫌いなテスト、小烏丸との一件、真司との一件、そして
    綾音との一件。些細なこともあれば、重大なこともあるが、
    その差は彼女にとってはほぼ同等に近いほど、無かった。
     それ故に変に心的な疲労を感じていた。
    「何だかおかしくなっちゃいそう……」
    「…………」
     小烏丸はさっきからずっと沈黙を保っていた。本物の
    フクロウのように言葉を発していない。
     滑稽だが、彼女には小烏丸に普通のフクロウのように振舞われ
    てしまうと、常識を忘れて違和感を感じてしまった。
    「ねぇ、小烏丸?」
    「…………」
    「小烏丸ってば!!」
    「あ、どうしたんだ?」
    「まだ考えてるの?」
    「じゃなかったら何だっていうんだ!?」
    「そんなに怒らなくても……」
     小烏丸の態度に段々と呆れと苛立ちすら覚えた。
    どうしてこんなフクロウに出会い、化け物と戦う使命を
    帯びて、それで受け入れてしまったのだろう――。
    そんな後悔を晴香はしていた。

     交差点を渡り、街路を歩いていく。次第に暗くなりつつ
    ある帰り道には生暖かい風が撫でるように吹いていた。
     右折し、シャッターが連ねる少しだけ広い道に入った。
    遅くなっているため、近道をしようと昔から利用している
    晴香だけが知っている帰り道を選択したのだ。
     すると突然、その道の向かい側から一人の男性が慌てて
    叫びながら走り込んできた。
    「た、助けてくれぇっーー!!!」
    その男性は晴香には目もくれずに走り去ってしまった。
    「な、なんなんだろ……?」
    「お、おいっ!!晴香!!前、前っ!!」
    「え……?」
     小烏丸の叫びで前方を確認したが、何も見えなかった。
    「何も……見えなっ……!?」
     だがその瞬間、晴香は何かに殴り飛ばされた。
    重い、強烈な一撃が腹部に入ったのが感じられた。
    「晴香っ!!!」
    「う、ううっ……」
     晴香を襲撃したのは背の低い、猫背になっている緑色の
    肌を持った鬼だった。それも一体だけでなく、五体もいた。
    「晴香っ!!立つんだ!!戦うぞ!!」
     小烏丸に呼びかけられ、何とか嗚咽混じりの苦しみに
    耐えながら立ち上がり、小烏丸を手にして鞘の無い刀へと
    変化させた。
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