始まりと最初9コメント

1 彪 id:2uzOL7a1

2011-06-13(月) 02:05:44 [削除依頼]
さあさあ今宵もお立ち会い!

右手に花を、左手に花火を、

綺麗な赤で彩って、

嗚呼、なんて素敵な!!
  • 2 彪 id:2uzOL7a1

    2011-06-13(月) 02:40:46 [削除依頼]
    時代【とき】は平成、何時になく澄み切った、雲一つ無い空の下。
    周りと何ら変わらぬ様子で、異質は歩いていた。
    信号機が制止を促すと、それは自身を取り囲む雑踏と同じように歩みを止める。

    男性にしては控え目な体格、少し明るめのパーカーにジーンズ、スニーカーというラフな格好に、緩い波を描く髪。
    どれを取っても、その外見からは『至って普通の人間』という結論しか見出せない。
    大人しくしていれば、寧ろ、女性受けするであろう顔立ち。
    その男ーーー深月琥珀は、ただそこに立っていた。
    まるで単なる人間のように、ただ、そこに。

    パーカーの下に隠した得物【えもの】の存在になど、周囲は誰一人として気付かない。


    4年ほど前から、日本では奇妙な事件が続いていた。
    主に都心の、人通りの多い交差点のど真ん中で、目撃者を一人も出すことなく殺人が繰り広げられる。
    人々が事件を認識するのは、真っ赤な花火が上がり、人間が単なる肉塊と化して地面に崩れ落ちてからだ。
    手口は決まって刺殺、しかし刺される瞬間どころか刃物を構える人物さえ、誰も見ていない。
    警察は血眼になって犯人を捜しているが、手がかりすら掴めないらしい。
  • 3 恋那 id:4/6tBWQ0

    2011-06-13(月) 10:04:53 [削除依頼]
    なんかちょっと怖そうでおもしろそう!
    がんばってください!
  • 4 彪 id:2uzOL7a1

    2011-06-13(月) 23:07:09 [削除依頼]
    恋那さん>
    ありがとうございます!頑張ります^^*
  • 5 彪 id:2uzOL7a1

    2011-06-13(月) 23:49:13 [削除依頼]
    信号機から響く音が変わり、琥珀は歩き始めた。
    ふと、パーカーの下に隠した相棒の存在を、布越しに確認する。
    L字型をしたそれは、大人しくそこにあった。
    手を離し、再び前を向く。
    白黒の道を渡り切ると、何故か今渡ったばかりの道路に向き直った。
    信号機の音色が、再度琥珀の動きを止める。
    じっと地面を見据える琥珀の瞳に、所謂希望の光の色は無かった。
    ただ、じっと、渡ってきた道を見つめている。


    4年前、例の事件が起こり始めた頃、琥珀は14歳だった。
    連日トップニュースとして流れるその殺人現場の様子を、画面に食い入るようにして見た。

    嗚呼、綺麗な、花だ。
    真っ赤に染まって、とても綺麗。
    まるで、父さんと母さんの時のよう。

    琥珀の両親は、数年前、何物かに殺された。
    真っ赤な花を咲かせて、倒れ込んで。
    琥珀は、その時ほど人間を美しいと思ったことは無かった。


    そして現在、琥珀は信号機の前に居る。
    渡ったばかりの道を見つめ、佇む。
    大きな通り、大きな交差点だ。

    そこで以前、琥珀は花を見たのだ。

    あの時。一瞬だった。
    すぐ隣を歩いていた男性が、赤く染まり、足から崩れ落ちた。
    見ると、心臓を一突き。胸から背中まで貫通していた。
    あたりを見回しても、そんなことが出来そうな長い刃物を持っている人物は見えない。
    すぐに救急車と警察に連絡した。
    まあ、救急車は意味は無いだろうが、警察だけというのも変なのでそうした。
    そして、面倒事に巻き込まれる前に、その場を後にした。
    帰宅してテレビをつけると、早くもさきほどの場所がニュースで流れている。

    こんな芸当をやってのける人間が、この世にいるのか。

    そう思い続けてきた琥珀は、その日、その芸当を目の当たりにしたのだ。
    そして、こう思い直した。

    あれは芸当なんてもんじゃない。
    洗練された、一つの芸術だ、と。
  • 6 彪 id:zw/e8MO.

    2011-06-14(火) 00:30:08 [削除依頼]
    それ以来、琥珀は毎日この交差点に通うようになった。
    何せ手掛かりが何も無いのだから、こうして待つことしか出来ない。
    同じ場所にはもう二度と現れないかもしれない。
    でも、現れるかもしれない。

    『もしかしたら自分が殺されるかも』なんていう考えは頭に無かった。
    ただどうしても、もう一度あの花が見たい。
    あの時のように、すぐ近くで、あの真っ赤な花が。

    そうしているうちに、日は暮れ、人影も少なくなっていく。
    さすがに人気の無い状態では、かの芸術家は現れないだろう。
    そう思い、いつもその辺で切り上げて帰路に着く。
    しかし、今日は何かが違った。

    帰るために、横断歩道を渡る。
    今日も、いつでも、何往復もしたこの道。
    その白黒の狭間を飛び越え、向こう側を目指す。
    そして、ちょうど道の真ん中辺りに差し掛かった時。

    突如視界に黒い影が飛び込み、琥珀の世界を真っ暗にした。
    異常な事態に反応し服の中の得物に手を掛けようとした刹那、両腕の動きを封じられる。
    何も見えず、何が起きているのかも解らない。
    力任せに黒い影を振りほどこうとした瞬間、空中に放り出されたような浮遊感を覚えた。

    地面についた感じはしない。ずっと浮いている。
    やっと着地の衝撃があったかと思うと、再び中に浮いた。
    どうやら、誰かに抱きかかえられているらしい。

    すると急にオレンジの光が眼を刺激し、反射的に身体を強張らせる。
    同時に、とうとうどこかに着地したらしい感覚があった。
    ゆっくりと瞼を開くと、自分より幾分年上と思われる男が居た。
    まるでお姫様抱っこするような状態で、自分を抱えている。

    よく見ると、自分と男が居る場所は、なんと高層ビルの屋上。
    あの浮遊感と着地の衝撃の繰り返しは、自分を抱きかかえたまま建物を飛び移っていたものだったのだろうか。
    信じようの無いことだが、今ここに居る理由はそれ以外に思いつかなかった。

    一体、この男は誰なのか。
    どうして自分を連れて、こんな高いところに?
    自分以外にも人間はまだ居た筈だ、それなのにどうして僕を?
    何のために、何が目的で。

    色々な疑問が湧いた。
    が、それらは全て、ある一つの推測によって掻き消された。

    ………この男が、『芸術家』だ。

    気を落ち着かせて、男の姿を再確認する。
    嗚呼、やっぱり。
    きっと……いや、絶対に、この男だ。
    手には大きな黒い布、多分これで僕の視界と身動きを封じた。
    そして、背には長い日本刀。
    侍のように挿しているわけではなく、ただぶら提げている感じで、日本刀を所持している。

    嗚呼、会いたかった。

    そう思った次の瞬間、男は刀を自分に差し向けていた。
    思わず自分の得物を手に取ろうとするが、いつもの定位置に相棒の姿は無い。

    「………っ!?」
    「探し物は、これかい」

    刀を持つ手とは逆の手で、琥珀の拳銃をぷらぷらと見せびらかす。
    そしてそれを、琥珀の足元に転がした。

    「おっと、拾おうなんて馬鹿な事思うなよ。安心しろ、別にお前を殺すつもりなんて無い」

    端から見れば全く説得力に欠ける姿だが、確かに殺気は感じられない。
    琥珀は大人しく、その場に静止した。

    「物分かりの良い子は好きだよ」

    そう言って、日本刀を下ろす男。
    薄暗くてよく見ていなかったが、男は黒っぽいフードつきの服にスウェットのようなズボン。
    男も、琥珀と同様"普通の人間"に見えた。

    そして、男はにこやかに、問う。

    「どうして毎日あそこに居たの?」
  • 7 彪 id:zw/e8MO.

    2011-06-14(火) 21:16:01 [削除依頼]
    うへぇ…今確認して気付きました、誤字がありますorz
    『宙に浮いた』とするべきところを、『中に浮いた』と書き損じてしまいました。
    謹んでお詫び申し上げます。
  • 8 彪 id:zw/e8MO.

    2011-06-14(火) 21:56:38 [削除依頼]
    「どうして毎日あそこに居たの?」

    男はそう言った。
    この場合、『あそこ』というのはきっと、あの交差点のことだろう。
    理由を問われれば、当然、"芸術家"を待っていたと答えるのが正しい。
    そしてその芸術家とは恐らく、目の前に居るこの男。
    つまり、『貴方を待っていました』と言うのが妥当だろう。

    しかし、一つ疑問が残る。
    どうして、僕が毎日居た事を知っているのか。
    例の殺人は、毎日、日本の至る所で起こっていた。
    よって、毎日あの場所を確認することなど、限りなく不可能に近い。
    なのに、どうして知っている?

    そもそも、この男が目的の殺人犯だと断定も出来ない。
    あの身体能力に日本刀、誰もがまず『怪しい人間』と認識するだろう。
    しかし、それはあくまで自分の憶測に過ぎず、求めた人とは関係の無い人間かも知れない。

    そこで、琥珀は質問に質問を返した。

    「どうして僕が毎日あの交差点に居ることを知ってるんですか?」

    すると、男は単純且つ明解な返答を返した。

    「どうしてって、見てたからに決まってるじゃん」
    「それは……そうですけど」
    「さあ、私が先に質問したし、そっちの質問にも答えた。
    私の質問にも返事をくれないか?
    私は結構短気でね、早く答えないと君を串刺しにしてしまう」

    この発言からして、この男は少なくとも何人かを殺しているだろう。
    そして串刺しという言葉が、胸から背中に貫通していたあの状態を示しているとしたら。

    間違いない。

    「あそこで……貴方を、待っていたんです」
    「私を?」
    「はい、以前、貴方の咲かせた美しい花を見ました」

    そういうと、男は何か考えるように黙った。
    そして、

    「…ああ、もしかして、前にあの交差点でサラリーマン殺した時に、隣に居た中学生くらいの」

    そうだ、その通りだ。
    確かにあの時、自分は高校に上がったばかりだった。

    「ええ。でも何故そこまで細かく憶えて……」
    「ん?ああ、基本的に、一度見た人間の顔は忘れないんだ。それにさ」

    すると男は、再びにっこりとこちらを向いて。

    「それにさ、あの時の中坊、怖いってんじゃなくて、綺麗なものを見る目してたから」
    「目…ですか?でもあの時、僕は貴方の顔どころか姿も見てません…
    僕の目を見たなら、どうしてこっちだけ貴方を見てないんですか」
    「んー?それは多分、本当に一瞬しか、私が其処に居なかったからじゃない?」

    成程……つまり、この男は僕を、以前から知っていた、と。
    そして、毎日居るのも見ていた………

    「……あれ?でもちょっと待ってください」
    「何か疑問?」
    「僕が貴方を見てないってのはまあいいとして、貴方はどうして僕が毎日あそこにいたのを知ってるんですか?
    いや、見てたからとかそういうんじゃなくて、どうやつて、殺人しながらあそこを見てたのかって」
    「普通に考えて、殺してから来た、っていうのが答えだろ」
    「いえ、でも、時間的に無理がありますよ。
    だって、ものすごく遠いところで殺したら、見に来るなんて出来ないでしょ?」
    「いや、だから、来てたんだって。
    お前が言ってるのは地面で動いたときの話だろ?
    ビルとか、電柱とか、家の屋根とか、上を飛んでくれば大して時間は掛からない。
    それに、地を這うより空を飛ぶほうが面白いだろ?」

    そう言って、男は大きく手を広げ、その場でくるりと回って見せた。
    常識的に考えれば、上を来たところで掛かる時間は依然莫大なものだ。
    しかし、この男にはどうも"常識"というものが通用しないらしい。
    この男の中では、きっと、自分に出来ることは全て『普通の常識』なのだ。
  • 9 彪 id:qnic2Sh0

    2011-06-16(木) 02:37:52 [削除依頼]
    変換ミス発見。
    『どうやって』を変換し損ねて『どうやつて』としてしまいました。
    お詫び申し上げます。
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