逃げる姫はヴァンパイアの王子と出逢う12コメント

1 秋沙 id:DnF8jKd.

2011-06-12(日) 14:30:04 [削除依頼]
「お前の名前は今から、ユーリだ。分かったな?」

国から逃げ出した私に待っていたのは、決して平和な日常ではなかった。
  • 2 秋沙 id:Hfjmn5n.

    2011-06-13(月) 19:09:30 [削除依頼]
    ♯001 亡命
    1923年。
    コーデリア国、皇室。
    「王女様、お待ち下さいっ」
    「待てと言って待つ人なんていないよ」
    「あわわ、め、メガネをお返し下さい」
    私、マリアは使用人のミルヒのメガネを持って、廊下を走っていた。
    「姫様、国王様が……」
    通りかかった部屋から、別の使用人が出て来た。
    「え?お父様が呼んでいるの?」
    「はい。お待ちになっております」
    「分かった。はい、ミルヒ」
    ミルヒにメガネを返して、私はお父様の部屋へ向かった。
  • 3 秋沙 id:Hfjmn5n.

    2011-06-13(月) 19:16:33 [削除依頼]
    コンコン
    ドアをノックする。
    「お父様?入って良いかしら?」
    「ああ、マリアか」
    心なしか、お父様の声は何時もより低い気がした。
    ガチャ
    「失礼します」
    「マリア、待っていた」
    「用は何?」
    「良いから、これを持って、早く城の裏門に止めてある馬車に乗っておくれ」
    ペンダントを押し付けられて、背中を押される。
    訳が分からない。
    「お、お父様?如何言う事?説明してくれる?」
    「時間がない。ミルヒっ、マリアを馬車まで案内しろ」
    ミルヒがバタバタと、部屋に入って来る。
    「分かりました。王女様、行きましょう」
    グイッと、ミルヒが私の腕を掴んで走り出す。自然と、私も走らなきゃいけない。
    「マリア、元気でな」
    お父様はぎこちなく微笑んで、手を振った。
  • 4 秋沙 id:Hfjmn5n.

    2011-06-13(月) 19:27:31 [削除依頼]
    「ねえ、ミルヒ、これ、一体如何言う事なの?もう、走りながらでも良いから、説明してよ」
    「この国が滅びるんです」
    走りながら、ミルヒは暗い顔をして言った。
    「な、何言ってるの?この国が滅びるわけ……」
    「何処か不明の国の軍が、この城に向かって来ているんです。しかも、半端ない数で」
    「ミルヒはこの事、知っていたの?」
    「いいえ。王女様が行ってから、他の使用人達に聞かされました」
    ミルヒは走るのを止めて、立ち止まった。
    「ミルヒ?」
    「酷いですよね。急に国が滅びるとか言われて」
    「そ、そんなの、私だって、よく分からないよっ」
    「すみません。でも、これで王女様ともお別れ何ですよね」
    「如何して?」
    「国王様は王女様だけを逃がしになさったんです。大切な、王女様を」
    じゃ、じゃあ……お父様は?
    聞きたかったけど、怖くて聞けなかった。
  • 5 秋沙 id:Hfjmn5n.

    2011-06-13(月) 19:42:17 [削除依頼]
    そのまま馬車に乗り、城から出た。
    「王女様ーーーっ!!」
    ミルヒの声が後ろの方から聞こえた。
    「お元気で、ご無事でっ」
    ミルヒ……
    見えなくなるまで、ミルヒを見ていたけど、最後の方には涙でぼやけて見えなくなった。

    コーデリア国を出た辺りまで来た時、暗い森に入った。
    地理にはあまり詳しくないから、よく分からないけど、この森を抜けたら他の国になるんだと思う。
    ……それにしても、眠いな。
    目を擦る。
    「ん……」
    そのまま、私は眠ってしまった。

    「起きろ」
    揺さぶられて、目を開けると、目の前には見知らぬ少年がいた。
    「あれ?森じゃない」
    「国だっつの。ってか、お前、この国じゃない奴?」
    「えーと、此処、何処?」
    見渡すと、大きなシャンデリアがある部屋だった。
    「セルフィア国だ。お前は?何処から来たんだ?」
    まして、国が滅びそうなので逃げて来ましたなんて、言えない。
    「えーと、その辺?」
    「バ.カか。お前」
    「本当にその辺から来たんです。でも、何か気がついたら、凄い部屋にいるし……私、馬車に乗ってたんですけど、馬車は?」
    「知らねーよ。お前、城の前に倒れてたんだよ。ああ、これが落ちてたな」
    ペンダントを目の前に差し出される。
    お父様から貰った奴だ。
    「あ、私のです」
    「何?複雑な家庭の事情的な奴?」
    「そ、そうみたいな物です。えーと、ペンダント、返して貰えませんか?」
    「嫌」
    少年はそう言って、微笑む。
    「な、何でですか?それ、そんなに高価な物じゃないですよ」
    「これを返す代わりに俺の話し相手になれ」
    は?
    私は首を傾げる。
  • 6 秋沙 id:Hfjmn5n.

    2011-06-13(月) 19:56:43 [削除依頼]
    「友達、いないんですか?」
    「サラッと、傷付く様な事を言うな、お前」
    「あ、あの、私、お前って名前じゃないですから。ちゃんと、マリアって名前があるんですけど」
    「は?マリア?あっそ」
    「えーと、あなたは?」
    「ヒナタ・グレア・セルフィア。あ、ちなみにこの国の次期王な」
    私は呆然とする。
    「次期、王様?」
    「そう。王子なわけ。凄くね?」
    凄い所じゃない。
    まあ、私もコーデリア国の王女だけど。
    「ヒナタ、王子」
    「何だ?」
    「さっきから思ってたんですけど、この国の正装は制服みたいな感じ何ですか?」
    王子の格好はシャツにチェックのネクタイとズボンだった。
    「制服?まあ、そんな感じだな。別に誰しもがネクタイをしてるわけじゃねーけど」
    「そうなんですか」
    「話が反れたが、お前……マリアは俺の話し相手決定な」
    「嫌々、無理です。私、あまり男の人と話した事、ないですし。話題に欠けます」
    「条件は住む場所、食事、その他様々な事を援助する」
    「ほ、ホントですか?」
    「お前、何処も行く場所なさそうだし。只の家出少女だろうがな」
    家出少女……
    「早速だけど、マリア」
    「は、はいっ」
    「これに着替えてくれ」
    差し出されたのは、ロリータだった。
  • 7 秋沙 id:Hfjmn5n.

    2011-06-13(月) 20:41:24 [削除依頼]
    「着替えたか?」
    「き、着替えましたけど。ヒナタ王子はロリータ趣味でもあるんでしょうか?私、どっちかと言うと、ゴシックロリータの方が好き何ですけど」
    ドアを開けると、王子は私を凝視した。
    「ちょ……視線がレーザービームの如く熱いんですけど。何かおかしいですか?」
    「似合ってる。やっぱ、お前にはゴスロリは似合わねーよ」
    「そ、そうですかね」
    「まあ、飯にしようぜ。腹、へっただろ?」
    部屋に掛かっている時計は、7時を回っていた。
    「はい。そう言われれば、お腹空きました」
    「ヒイラギ、食事の用意を」
    王子は廊下に向かって言った。
    その辺、何処の国も変わってないんだなと思う。

    運ばれて来た夕食は、コーデリア国と変わらない物が多かった。
    「あれ?これ、グレープジュースですよね?え、もしかして、ワインですか?」
    赤に近い液状のグラスを見て、ふと私は言った。
    「嫌、血だけど」
    ステーキをガツガツ食べていた王子は、食べる手を止めずに食べながら言った。
    「血?何の血ですか?」
    「人間」
    カターン
    持っていたフォークを落とす。
    「え?」
    「お前のいた国はそう言う食事じゃなかったって事か」
    「い、意味が分からないんですけど」
    「聞いた事ないか?ヴァンパイアとか」
    「あ、それはあります。古い書物に書いてありました。けど、それって只の伝説じゃ……」
    「ホントのヴァンパイアはいねーけど、血を飲む人間もいるって事だ。特にこのセルフィア国とかな」
    「そうなんですか。じゃあ、これ、美味しいんですかね?」
    グラスを掴む。
    「止めて置いた方が良いぞ。お前、この国の国民じゃないし」
    「そ、そうですか」
    私はパンを千切って食べる作業に戻る。
  • 8 秋沙 id:muXa0a/1

    2011-06-15(水) 20:41:52 [削除依頼]
    この城は私が住んでいた城以上に大きかった。
    部屋も、大きいし、数が多いし、もう桁が違い過ぎる。
    「あの、迷わないんですか?こんなに部屋があるのに」
    「小さい頃から、住んでいるからな。何処に何の部屋があるかは全部頭に入っている」
    やっぱり、この国って結構凄い国何だろう。
    なのに私はセルフィア国と言う名前自体を聞いた事がない。
    何でだろう?
    「マリア、もう寝ないのか?十二時だぞ?」
    「え、あ、私、よく夜遅くまで起きていたので、十二時ではそれほど眠くならないです」
    「遅くまで起きて何してたんだ?」
    「曲、聴いたり、ミルヒと喋ったり、遊んだりしてました」
    「ミルヒ?」
    「と、友達です」
    嫌、使用人何だけど。
    「へえ、友達、いたのか」
    ギコギコと揺れる椅子に王子は座る。
    確か、安楽椅子だったと思う。
    「い、いましたよ。王子はいたんですか?」
    「過去形なのが、気になるが……幼馴染なら、いる」
    幼馴染、か。
    私にもいたな。
    「ってか、眠くね?何で眠くないんだよ、お前」
    ふあーと、王子は欠伸をする。
    「……俺、寝るわ……ぐー」
    寝るの早っ
    「くすっ」
    思わず、笑ってしまう。

    亡命してから、初めて笑ったのはこの時だった。
  • 9 秋沙 id:muXa0a/1

    2011-06-15(水) 20:52:20 [削除依頼]
    ♯002 城に彷徨う幽霊1
    セルフィア国の城に住む始めて一週間。
    此処での暮らしは、コーデリア国とは変わらなくて直ぐに慣れた。
    まあ、血を飲むと言う習慣だけは無理だけど。
    「マリアー、トランプしようぜ」
    王子はよく私の部屋に遊びに来る。
    私の部屋って言うより、只の客間だけど。
    「良いですけど、何をするんですか?」
    「ババ抜き」
    「二人でですか?」
    「まあ、誰がババ持ってるのか直ぐに分かるけどな。じゃあ、何かやりたい奴あるか?」
    「ポーカーは如何ですか?」
    「何か賭けるのか?」
    何でそんなギャンブル方面に行っちゃうんだか。
    「賭けませんよ。私、賭ける物、何も持ってませんし」
    「あるじゃねーか。“お前”が」
    「自分賭けてまでしたくないです。じゃ、じゃあ、神経衰弱しましょう」
    「良いけどさ。配るの面倒何だよな」
    文句を物々と言いながら、的確に王子はカードを裏返しで並べて行く。
    「そう言えば、王子は勉強とかしないんですか?次期王様だからって」
    「ああ、もうとっくに終わった。俺、優秀だからな」
    自分で言うんだ。
    「マリアは何処まで勉強したんだ?庶民は学校に通ってるんだろ?」
    「い、いえ、私は家庭教師を雇っていましたので」
    「もしかして、金持ちの家か?じゃあ、問題出すから、答えて見ろよ。3+7は?」
    「10ですよ、10。で、でも、その問題、学校に行ってない人でも解けますから」
    「そうか?なあ、俺が先で良いか?」
    カードを配り終え、王子は言った。
    「はい。どうぞ」
    強ち、後攻の方が有利かも知れない。
    その後、真剣衰弱は引き分けで終わった。
  • 10 秋沙 id:muXa0a/1

    2011-06-15(水) 21:00:33 [削除依頼]
    「お嬢様、お食事ですよ」
    使用人が言った。
    「あ、はい」
    「ところで、お嬢様は何処から来たお嬢様なのですか?」
    最近、よく周りの使用人の人達は私の身辺を探る様になった。
    確かに城の前で倒れてたとか、普通なら怪しい人だし、生憎、私は何処から来たとか言っていない。
    「えーと、結構北の方から来ました。で、でも、私、親から追い出されたんですよね」
    「お話を聞いていると、お嬢様のお家は結構家柄の良い家の様に見えますが」
    「はい。結構、良かったんですけど、破産しちゃって」
    「それは大変でしたね」
    「馬車だけは用意して貰えたんですけど、それで何処かに行って暮らせって言われまして……だから、王子に助けて頂けて凄く助かりました」
    「ヒナタ様は優しいお方ですから」
    「そうですよね」
    「ですが、勘違いしないで下さいね。ヒナタ様は親切心で貴方を助けたまでの事。決して、好意や恋心ではありません」
    「それぐらい踏まえています。王子には婚約者がいらっしゃるでしょうし。それに……」
    「それに?」
    「私、王子みたいな人と恋愛は出来ないです。良い友達にはなれると思うんですけど」
    あはは、と私は笑う。
    廊下で全てを聞いている王子を知らずに――
  • 11 秋沙 id:muXa0a/1

    2011-06-15(水) 21:08:50 [削除依頼]
    ガシャン
    昼食を食べている時、使用人がお皿を落とした。
    お皿は見事に割れ、破片が散った。
    「も、申し訳ありませんっ」
    使用人はペコペコ謝り、破片を拾う。
    「最近、こう言う事が多いんだよな」
    王子が私しか聞こえない小声で言った。
    「え、そうなんですか?」
    「特にメイドがな。何かに怯えているみたいだが」
    私はオレンジジュースが入ったグラスを掴む。
    「まあ、城内で幽霊が出るって噂と関係してるみたいだけど」
    ビクッ
    「マリア?」
    「ゆ、幽霊?」
    「ああ。目撃者もいる」
    「そ、その幽霊は何処で見かけたんですか?」
    「お前の部屋」
    グラスを落としそうになる。
    「え?」
    「正確にはお前の部屋付近」
    ちょ……部屋に戻れないし、寝れない。
    何でよりによって、幽霊何だろう。
    「何だ?お前、幽霊嫌いなのか?」
    「い、いえ」
    「そうか?」
    如何しよう。
    私、幽霊、絶対にダメなのに……
  • 12 まっきー id:UfuZUKG1

    2011-07-03(日) 08:49:47 [削除依頼]
    これ面白い!
    続き書いてぇ(*>o<*)
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