きみのくに17コメント

1 ももくり id:stOJqGN.

2011-06-11(土) 21:30:00 [削除依頼]
追放されたお姫様をお守りするのは、三人の男達。

姫の笑顔を誘うのは、彼らの仕事。
姫の髪を梳かすのは、彼らの仕事。
姫の食事を用意するのは、彼らの仕事。
姫の涙を掬うのは、彼らの仕事。

「姫様ー、俺達はそろそろ腹が減ったよ!なんか食う物ないのー?」
「こら!食事を用意するのは俺達の仕事でしょう?第一、お姫様は料理が苦手ですし」
「サメの刺身が食べたい」

「……もう!何故、姫である私が一番苦労しなきゃならないのですか!」

――これは、小さな姫の記憶。
愛に溢れた姫の記憶。
悲しみに埋もれた姫の記憶。

「君の国」
  • 2 ももくり id:stOJqGN.

    2011-06-11(土) 21:39:38 [削除依頼]
    1 消えた王国

    カラカラ、ギラギラ、フラフラ。

    果てしなく広がる砂漠の真上を、丁度太陽が通り過ぎる。
    容赦無く降り注ぐ光が、地面に突き刺さった。
    灼熱地獄。
    オアシス、そんなものはどこにも見当たらない。
    ただ本当に延々と砂の海が続いているだけである。

    その中を、トボトボと揺らめく四つの影があった。
    他に人は見当たらない。
    黒い影を落とし、彼らは俯いて進んで行く。

    「……なあ、何で俺達はこんな所にいるんだ?」

    ようやく、一番後ろを歩く一人の男が声を漏らした。
    蚊の鳴くような、そんな気力を失った声であった。
  • 3 ももくり id:EAd3HpS/

    2011-06-12(日) 19:47:25 [削除依頼]
    彼の声は案の定、次の瞬間には綺麗さっぱり消えた。
    空気中に余韻が少しも残る事はなかった。
    何にもないこの砂漠は、何もかもを一瞬で飲み込んでしまうのだ。

    「なーなー、何でこんな暑苦しい砂漠にいなきゃいけねーんだよ」

    男はもう一度、声を出す。
    しかし、やはり誰も応えようとはしない。
    他の者はただただ下を向いて、完全なる負のオーラを漂わせるばかりである。

    「昨日まで俺達はあの立派な城の中に居たんだぜ?毎日毎日さ、豪華な食事ばっかり食べて。あの大きな王国で不幸せな奴なんて誰一人として居なかった。なあ、そうだろう?だけど、今じゃ何故か俺達はこんな馬鹿みたいに暑くて広い砂漠にいる。何でだよ?」

    男は後ろに一つで括った茶色の髪を払いながら言ったが、やはり誰も応えない。
    長いその髪は、太陽の光を受けて金色に輝く。
    男の腰に付いているチェーンが、チャラチャラと鬱陶しく音を立て続ける。
    彼の名は、衣織(イオリ)。
    この中では一番軽そうな格好をした者であった。

    「……俺達の王国は、何で消えたんだ?」

    ――衣織の口からポツリと出た言葉は、再び消える。
    容易く砂漠に飲み込まれる。
    しかし、次の展開は先程とは違った。

    「俺達の王国は消えてなどいない!軽々しくそんな事を言うな、衣織!」

    一番前を歩く黒髪の男が、声に応えて怒鳴った。
  • 4 ももくり id:EAd3HpS/

    2011-06-12(日) 20:06:47 [削除依頼]
    黒髪の男の容姿は、まるで衣織とは正反対だった。
    軟派な格好をした衣織に対し、彼の格好は所謂硬派であった。
    短髪に、真面目な黒い瞳を兼ね揃えていた。
    腰に身に付けている、いかにも重たそうな長剣が、彼の揺ぎ無い性格を物語っている。
    黒髪の男の名は、漆黒(シッコク)。

    彼は立ち止まると、衣織を真っ直ぐに睨みつけた。
    衣織は小さく溜息を吐くと、口を開いた。

    「おいおい漆黒。お前の気持ちも良く分かるぜ。だけどさ、俺達の王国は昨晩に滅んだんだ。何処かの国に攻め入られて、そして滅んだんだ」
    「煩い!そんな証拠は何処にもないだろう?分かったような口を聞くな!」
    「じゃあ、何で俺達は今こんな場所にいるんだよ。姫様を守るために、命からがら王国から逃げ出したんだろう?」
    「衣織!しつこいぞ!お前のその無礼な口を塞いでやる!」

    漆黒はそう言うと、躊躇無く剣を手に取った。
    銀の光を放つ剣は、慣れた手つきで扱われる。
    「お前のその軽々しい態度は前々から気になっていたんだ!」
    そう言うと、漆黒は衣織に飛び掛った。
    剣の先が、衣織の喉元へと向かう。

    「やめなさい……!」

    ――前から二番目の。
    高く澄んだ女の声が、辺りを制した。
    漆黒の手はその瞬間にピタリと止まり、対抗しようと構えていた衣織も肩の力を抜く。
    ピンと張った空気が、太陽の光を跳ね返した。

    「これは姫である私からの命令です。無駄に体力を使うのは止めなさい」
  • 5 御坂紫音 id:PZFSL6s1

    2011-06-12(日) 20:08:29 [削除依頼]
    おお、ももくりではないか。

    やっぱりこういった話し得意だねぇ!! 
    うちもみならないたい><

    頑張ってbb
  • 6 ももくり id:EAd3HpS/

    2011-06-12(日) 20:11:54 [削除依頼]
    紫音>

    ありがとう><
    紫音のコメを見た瞬間、自然に笑みがこぼれたy((
    ファンタジーは書いていて楽しいよb
    難しいけど´`
    見習いたいのは私の方!
    頑張りますよん(^ω^)★
  • 7 御坂紫音 id:PZFSL6s1

    2011-06-12(日) 20:15:06 [削除依頼]
    ももくり>

    え…なにを見習えるんだ…!?
    ダメな文章の書き方だな、理解。

    ファンタジーいいよね、うん。しかもももくりって絶対甘いファンタジーじゃん?
    ぼくはどっちかというと、純ファンタジーor現代ファンタジーに走る傾向がww
  • 8 ももくり id:/eeTsMR0

    2011-06-13(月) 18:27:42 [削除依頼]
    紫音>

    紫音の小説は、軽めのギャグが入っているから読んでいて楽しいの^^((真剣+ギャグで一石二鳥、みたいな♪←
    そして予想できない展開になるし!
    紫音の小説は大好き(´ω`人)
    現代ファンタジーは書いてみたいけど、私の体では駄目だ←
  • 9 ももくり id:99E8PN/0

    2011-06-15(水) 18:12:08 [削除依頼]
    女の膝まで伸びた長い髪が揺れた。
    静寂を帯びた空気が、熱い暑い砂漠を支配していく。
    姫――自らそう名乗った彼女は、三人の男の目を一人ずつ順に見た。
    美しく整った麗しい彼女の瞳が、異様な力を放つ。

    「すみません、姫」

    やがて、漆黒が口を開いた。
    姫の方を申し訳無さそうに見て、剣を鞘に納める。
    カチャ、と小さく音が鳴った。
  • 10 ももくり id:99E8PN/0

    2011-06-15(水) 19:21:36 [削除依頼]
    ――すると、姫は少しだけ表情を変えた。
    揺らぎない、凛とした表情を保ちつつも。
    ふ、と。
    口元を和らげて、微笑んだのだ。

    「あーあ、そうやって姫に微笑まれると……どうしようもないよな」
    衣織は独り言のように呟いて、彼女と同じように笑ってみせる。
    それに誘われて、漆黒も「そうだな」と笑みをこぼした。
    一瞬で優しい空気に包まれた砂漠が輝く。
    たった一人の姫の笑顔で世界は変わったのだ。

    ――しかし、その優しい世界の中で、一人だけ表情を変えない人物がいた。
    衣織はそれに気が付き、口を尖らせる。
    漆黒の黒髪とも、衣織の茶髪とも違う。
    その人物は、白色の髪を持っていた。
    漆黒よりも衣織よりも背丈の低い、小柄な男だった。

    「ほら、艶(ツヤ)。お前も少しは笑顔を見せろよ」
    衣織がそう言って促したが、その艶と呼ばれた男は少しも表情を変えなかった。
    刻み込まれたような無表情をキープしたまま、藍色の瞳で姫を見つめる。
    そして、一言。

    「危険な砂が迫ってる」
  • 11 ももくり id:99E8PN/0

    2011-06-15(水) 19:33:16 [削除依頼]
    「艶……?」

    砂漠の空気はすぐに変わる。
    せっかく和やかな雰囲気を漂わせていたと言うのに。
    その白髪の男の言葉に、再び緊張が走った。
    表情を変えなかったのは艶だけだった。

    ボコン、と。
    四人の目の前の砂が――跳ねた。

    突然の出来事に姫は言葉を失う。
    ただ顔を真っ青にして、唇を震わせた。
    ボコボコと。
    砂の中から次から次へと何かが現れる。
    まるで一種の手品だった。

    「砂の……狼、だと?」

    衣織がその状況を一言で綺麗に表した。
    いつの間にか、彼らはすっかり包囲されてしまっていた。
    彼らを中心として、砂の化け物が円を作っていたのだ。
    その化け物は衣織の表現の通りに、狼の形をしている。
    砂を纏った狼、ではなく、砂で造られた狼、なのだ。

    砂の中から現れた、砂の狼の群れ。
    それらは低い唸り声を漏らし、背を曲げた。
    ――来る。
    瞬時に察した漆黒が、姫を抱き上げた。
  • 12 ももくり id:brpe1fO1

    2011-06-18(土) 18:55:04 [削除依頼]
    狼が一斉に襲い掛かる。
    その一瞬のタイミングを見計らい――漆黒が動いた。
    走り出す。
    砂の地面を足で乱暴に蹴った。

    しかし、すぐに目の前に五匹の狼が躍り出る。
    獲物は一人たりとも逃がすまい、と砂の牙を剥き出した。
    姫を抱えているため、漆黒の両手は塞がっている。
    そんな事に構わず、狼達は飛び掛る。
    「つっ……」
    漆黒が小さく声を漏らした。

    「馬鹿漆黒。姫を守るのは俺だっての」

    ――稲光、雷。
    鋭い音を立て、細い光が駆けた。
    糸のように繊細かつ大胆なそれは、派手に光り輝いて働く。
    それらは不規則な動きで狼を刻む。
    サラサラと砂と化して消えた五匹の残骸。
    衣織はそれを自慢げに見つめると、漆黒に告げた。

    「走れ」
  • 13 ももくり id:zejsAhJ0

    2011-06-21(火) 20:38:32 [削除依頼]
    「言われなくても」

    漆黒の口が重く、しかし柔らかく開いた。
    彼は再び疾走を始める。
    先程にも増して、速く速く速く。
    砂が舞って、煙が立ち込めた。
    ふわりと浮いたその粒子の中を、彼は必死で駆け抜けた。

    「三人の中で唯一、術を使えるのは俺だけなんだよなー」

    衣織は、姫達の影が遠くなっていくのを小さく振り向いて確認する。
    彼の周りの空気がパチパチと音を立て、火花を散らす。
    まるで花火のように熱く、しかしどこか残酷に冷たい光だ。
    非現実なその光景に狼は魅入りながらも、一人残った彼を囲み直した。
    唸り声が火花の音を掻き消すように、空気を震動させた。

    「漆黒は武器専門だからな。そして艶の方は……何ていうか、気配?察知?」
    衣織は「まあ、そんなとこかな」と大雑把な説明を付け加える。
    彼は敵の大群に囲まれているというのに、相変わらず焦った様子は見せなかった。
    「綺麗だろう、この光。戦いには美しさも必要だって、そんな面倒な事を教え込まれたんだ」
    ニヤニヤと笑みを浮かべ、ただただ狼達を見据えるだけである。

    「ん、そろそろ、結論。俺が何を言いたいかって言うとさ」
    ――衣織を取り巻く光が、次第に強く瞬いていく。
    太陽の光よりも熱く、濃く、そして――美しく。

    「お前らに姫はあげないよ?ってこと」
  • 14 苺みるく id:ONYvhRJ1

    2011-06-21(火) 20:41:51 [削除依頼]
    超面白いです!

    更新頑張って☆☆★”♪”

    私ゎ“だめって分かってる。姉弟だから。”を書いてます♪
    よかったら読んでみてください♪
    コメントくれたら嬉しいです☆
  • 15 ももくり id:CVJQHMM0

    2011-06-23(木) 19:08:24 [削除依頼]
    苺みるくさん>

    ありがとうございます^^♪ヤッター
    コメントとても嬉しいです(ω)
    見かけたら読ませていただきます!
    お互いに頑張りましょうb(`´)
  • 16 ももくり id:.kega1N1

    2011-06-28(火) 19:57:03 [削除依頼]
    舞う汗と砂。
    焦り焦りと肌を焼く太陽の下を、振り向かずに走って行く。
    漆黒の腕の中で、姫は何度も後ろを振り向いた。
    衣織の姿はまだ見えない。
    それが気掛かりで、だけど衣織の実力は分かっていて――

    「艶。狼の気配は感じますか?」
    やがて姫は、漆黒の隣で走る艶に問うた。
    彼は疲れを感じさせない冷たい瞳で、どこか遠くをぼんやりと見つめる。
    その表情とは裏腹に、忙しなく動く彼の足が不自然だ。
    艶はしばらくすると、少しだけ顔を上げた。
    「半径100m以内には誰もいない」

    無駄のない彼の言葉に、姫はほっとしたような笑みを浮かべる。
    そして続け様に再び質問をした。
    「何度もやってもらったのですが、もう一度お願いします。沢山の人の気配を探してください」
    オアシス、町。
    とりあえず安全地帯を求めるのは、人間の本能だろう。

    考え込んだ艶に託すように、姫は手を合わせた。
  • 17 ももくり id:.kega1N1

    2011-06-28(火) 20:05:17 [削除依頼]
    足音は鳴っているものの、どこか沈黙に似た空気を感じた。
    艶の答えを待つこの時間が酷く長い。
    水と食料を持たずに、砂漠で長時間過ごすのは難しい。
    己の命の危険を身近に感じて、姫は寒気がした。
    どうかオアシスに辿り着きたい。
    瞳で艶に訴えかける。

    「此処から東。遠く遠くに」

    ――艶が口を開いた。
    その瞬間に、姫の胸に喜びが満ち溢れた。
    心配の衝動に押しつぶされていた心が救われる。
    「やった……!」と小さく声を漏らしたほどに。

    「姫、今から東へ向かいます」
    「頼みます」
    太陽の位置を確認する漆黒の横顔が、笑っていた。
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