収集家たちの午後10コメント

1 冬痲 id:ext73/W/

2011-06-10(金) 22:44:17 [削除依頼]

     唯一つの目標でさえ、この世の全てを集め尽くすなど無理なのです。


深い蒼の瞳をした少女は悲しそうに呟いた。
  • 2 冬痲 id:ext73/W/

    2011-06-10(金) 23:24:58 [削除依頼]
    .

     古い洋館の庭に唯一人ひっそりと少女が立っていた。顔立ちは息を飲むほどに整っており、特に深い蒼の瞳はさながら一流職人の手で磨きあげられた宝石のよう。
     ただ少女には一つだけ奇妙な箇所があった。
     それは少女の服装だった。彼女は襟元にレースをあしらった膝上丈の純白のドレスを着ていた。だが、それはどうみても夏の服装。今は、雪が降ってもおかしくない季節だ。みるからに薄い生地でできたドレスは北風にさらされる度、寒そうに揺れた。
     その北風を気にする様子なく彼女は背伸びをして門の外を眺めた。何か他に気にかかることがあるようだった。
    「遅い……!遅すぎるのです」
    苛立たしげに、それでいてどこか寂しそうな口調で少女は小さく呟き、心配そうに眉根をぎゅっと寄せた。どうやら待ち人がいるらしかった。先ほどの言葉からも伺えるように彼女はもう何時間もその待ち人を待っていた。
     やがて待ちくたびれたのか彼女は小さく小さく嘆息し、その場に座り込む。そしてヴィトンのばぁーか、ばあーか、と呟く。拗ねたようなその台詞は彼女の幼い外見と相俟ってまるでおいてきぼりにされた幼子の様だ。
     そのとき、からんからんと門の外で馬の蹄の音がした。
  • 3 える id:51lNbJH1

    2011-06-10(金) 23:44:20 [削除依頼]
    題名に惹かれました(つω`) >>1もすごく惚れました! そのセンスが羨ましいです* 少女がなんだか気になります、 更新頑張ってください(´∀`)
  • 4 冬痲 id:kcB0Rek0

    2011-06-11(土) 00:39:51 [削除依頼]
    >えるさん

    はぅ…ありがとうございます!
    えるさんってあのえるさんですか??←
    どうしよう、嬉しくて心臓ばくばk))蹴

    少女気になりましたか!
    それは冥利につきるのです!!
    頑張りますっ
  • 5 冬痲 id:kcB0Rek0

    2011-06-11(土) 01:14:45 [削除依頼]
     その音を聞いた瞬間少女はがばっと顔をあげる。そして近づいてきたところどころ壊れた襤褸馬車を目に止めるなり門に走り寄りながら叫ぶ。
    「ヴィトン!!!」
    先ほど暴言を吐いたことなど忘れたかのような態度だった。そして馬車から降りてきた人物に体当たりをするかのように抱きついた。
     「う、わっと」
    よろけながらも何とか彼女をささえると襤褸馬車から降りてきた人物は顔を上げた。
     彼は意外にも若かった。18歳位だろうか、まだ幼さを残した顔はそれなりに整っており、右目は金色、左目は前髪と斜めに被ったハットに隠れて見えない。すらりとした長身は古風なコートですっぽりと包んでおり、優しげな面もちなのに、どこか暗い影が付き添っていた。
    「心配しました。あまりにも遅いものですから」
    「シャルロット……」
    ヴィーは少女、シャルをみつめ苦笑する。この時一瞬だけ彼の暗い影が消えた。
    「中に入ろう。寒かっただろう」
    「ヴィーを待っていたのは数分なのですからちっとも寒くなんて無かったのです!」
    強がりすぐばれる嘘をつくシャル。
  • 6 冬痲 id:kcB0Rek0

    2011-06-11(土) 19:06:45 [削除依頼]
     ヴィーはそっとシャルの頬に触れた。そしてその氷のような冷たさに眉を寄せる。
    「こんなにも冷たいじゃないか」
    「……」
    黙ったシャルを無言で促し、自分は馬車をひき、倉庫へと向かう。伸びきった雑草はヴィーが歩く度かさかさと密かな音を立てる。そんな遠ざかる彼の背中を見つめながらシャルはそっと何かを言った。それは聞き取れないほどに微量で細く、北風に飲まれていく。ただ一人残された彼女の瞳はひどく悲しそうで、恐ろしいほど澄んでいた。そう、まるで本物のガラス玉のように……。
     そしてヴィーはその声が聞こえたのか聞こえていなかったのか暗い倉庫の中で呟く。
    「それでも、僕は……」
    段々と小さくなった声はやがて苦しげな吐息と化した。まるでその先の言葉を紡ぐのを拒むかのように。

    .
    Episode 01
  • 7 冬痲 id:C.tLeIg1

    2011-06-12(日) 15:29:10 [削除依頼]
    ... 
     古い洋館にチャイムの音が唐突に鳴り響いた。その洋館、旧リグルス邸の住人ヴィトン・セルスティー・リグルスは面倒くさげな表情でたちあがるとゆっくりと玄関に向かった。濃い色の廊下は彼が歩く度にギシギシと音をたてた。かつては手入れを施されていたであろう高価な置物も厚いほこりを被って廊下で沈黙している。まるで生活感の無い屋敷なのだ。そんなもの悲しい雰囲気を気にする風でもなくヴィトンはふわあ、と大きな欠伸をした。そしてさきほどから鳴り続いているチャイムの音に小さく苦笑した。彼にはもう来客の正体がわかっていた。
     「ヴィー、故障ですか?」
    不意に暗い廊下の奥から綺麗な声が響いた。ピアノのような甘い響きを持ちつつも、媚びているという印象は一切無い。それどころかどこか気だるげだった。
    「いや、あいつだよ」
    くすくすと苦笑を密やかな笑い声と変えてヴィトンは答える。
    「あの阿呆女ですか!!」
    少女、シャルロットはよほどその相手が嫌いらしい。語尾にはありありとした苛立ちとめいっぱいの蔑みが込められていた。
     まあまあ、と本人にはきこえないような声でシャルロットを宥めると、ヴィトンはゆっくりと扉を開けた。
  • 8 冬痲 id:C.tLeIg1

    2011-06-12(日) 18:10:01 [削除依頼]
     「ヴィィィィー!!!逢いたかったぁ!」
    扉を開けると同時にヴィトンの鼓膜を引きちぎろうとするかのように叫ぶ女が入ってきた。露出の多い黒いジャケットを身につけたその奇妙な女はヴィトンに抱きつこうとくすんだ茶の長い髪を揺らしながら手を伸ばした。
     それにしてもシャルロットと同じように甘い響きをしているが、彼女とこの女の声は全く違った。シャルロットの声はどこまでも澄んでいて至上の楽器のようだが、女の声はどこか下品でわざとらしかった。
    「やあ、ロゼット。今日は何のようだい?」
    ヴィトンは抱きつこうとする女、ロゼットの腕を適当にかわすと、さっさっと本題に入ろうと話題を切り替えた。
    「やだぁ、アタシのことはロゼ、かマイハニーって呼んでって言ったでしょお」
    甘ったるい声でさらに腕を絡めようとするロゼットにヴィトンは冷たい声でもう一度ご用件は、と訪ねた。
    「んもぉ、冷たいわねェ。折角情報を持ってきてあげたって言うのにィ」
    ヴィトンのつれない態度に不満そうな声をだすものの、彼の冷たい目に無言の何かを感じたのかようやく本題に入る。

     そして、彼女の口から情報、という単語が漏れた途端、部屋の空気が一変した…………。
  • 9 冬痲 id:zlve7iU.

    2011-06-12(日) 22:14:07 [削除依頼]
     まるで、鋭利なナイフのように。
    「情報?」
    「ええ。それもかなりいい、ね」
    ぱちりとウィンクをしてロゼットはもったいつけるかのように、値踏みをするかのように口の端をつり上げた。
    「……場所を移動しよう」
    「イエス」
    ロゼットは分かってるじゃないとでもいうかのように鼻を鳴らし歩き出す。暫くしてふと思い出したかのようにヴィトンの方を向いた。
    「そういえば、おちびちゃんは?」
    「あぁ、シャル?彼女なら奥にいるけど」
    ヴィトンは何故そんなことを聞くのかと頭に疑問府を浮かべる。その顔を見たからか、ロゼットはいつもにない低い声で囁いた。
    「あの子も聞いといたほうがいいと思う」
    ロゼットの声音は真剣だった。
    「あぁ、分かったよ。……そこにいるんだろ、シャル」
    ヴィトンは今自分たちのいる廊下から一番近い部屋に向かって声を発した。
  • 10 冬痲 id:zpxO9dI.

    2011-07-20(水) 21:43:57 [削除依頼]
    ゆっくりと扉が開く。そして小さな金髪頭が覗いた。シャルは少しだけ微笑むと、どこかぎこちない仕草で頭を横に振った。
    「話を聞く、など私には必要も権利もないのですよ」
    それは、無機質な声音であるにも関わらず、どこか寂しそうにも聞こえた。
    「おちびちゃん?」
    ロゼットは戸惑った様に声をかけるが、シャルは聞こえているのかいないのか、醒めた瞳でなおも言葉を紡いだ。
    「私は唯のメモリーですから」
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