空の色は今日も青い12コメント

1 華 id:YnrQiTx/

2011-06-06(月) 17:37:59 [削除依頼]

――彼女が、何で泣いているのかがわからない

僕の目の前で、大声をあげて泣いている彼女。
誰かに気付いてもらいたくもありながら、
誰にも気づいてほしくないたくもある。

あと、1mの距離を
――僕は埋められずにいる
  • 2 華 id:YnrQiTx/

    2011-06-06(月) 17:52:53 [削除依頼]

    「ふぁ〜ぁ」

    眠いのをかみ殺し、席に着く。
    昨日、ユウキに薦められたDVDを見ていて、寝るのが遅くなった。
    そんなことも知らず、当の本人はいつものように声をかけてきた。

    「はよっす!! DVD見た?」
    「あぁ」
    「どうだった?」
    「お前が好きそうだと思った」

    ユウキは派手にずっこけた。

    「そりゃそうだろ!! 俺のだし。
     じゃなくて、お前はどうだった??」
    「んー、結構いいんじゃねぇ?」
    「そうだよなー」

    ユウキは、1人でガッツポーズを決めている。

    「おはよーっ」

    気付けば、僕の目は彼女に釘付けになっていた。

    ――桜庭柚葉(サクラバユズハ)

    クラス一清楚で、大人っぽい女子。
    いつからか、僕は彼女に恋をしていた。

    「おいっ、トウッ? 何見てんだよ?」
    「何でもねぇよ」

    ユウキは、僕が桜庭のことを好きだということは知らない。
    僕も、わざわざ教えようとは思わない。

    教室には、だんだん人が増え始めた。
    それに伴い、みんなは一緒にいる人をかえていく。

    もちろん、僕らも例外ではない。

    「あっ、サッシーはよっす!!」

    ユウキは、サッシーの所へ。

    「トウ、会いたかったぜっ!!」

    僕の所には、ハヤテが来た。

    「キモイ」
    「はい、死んだぁ」

    ハヤテはボケ。僕がツッコミ。
    クラス内では、そう言う風に話が進められている。
  • 3 華 id:YnrQiTx/

    2011-06-06(月) 18:05:04 [削除依頼]

    「はい、みんな席ついてっ!!」

    学級委員が号令をかける。
    朝読書の時間が始まるのだ。

    「ちぇーっ、もっとトウと一緒にいたいぜ」
    「お前、席後ろだろうが」

    僕の目は自然に桜庭を追っていた。
    一番前に座っている桜庭。君は、一体何の本を読んでいるのか

    「ちょっと、藤明君。本、読んで」

    女子学級委員、橋田莉奈(ハシダリナ)。
    このクラスで、多分一番怖い。

    「すいません」

    僕は一言謝って、本を開いた。
    『海へ』。僕は、家にこの本一冊しかない。
    だけど、この本が世界で一番僕は好きだ。
    何度読んでも、あきない。

    僕の名前は、藤明文之(トウメイフミノ)。
    あだ名はトウ。

    僕の親友、長野疾風(ナガノハヤテ)。
    あだ名はハヤテ。

    僕の友達、加澄優輝(カトウユウキ)。
    あだ名はユウキ。

    僕らはクラスの中でそこまで目立たない、安全圏にいる。
  • 4 華 id:tOawYvG1

    2011-06-07(火) 16:11:56 [削除依頼]

    ページを開くと、僕の身体は教室ではなく、本の中に溶け込む。
    まわりは海。キッドとセタールと一緒に、海の中をさまよう。

    「見ろよセタール!! 財宝だっ!!」
    「こんな海の中に財宝何かねぇよ」

    ボケのキッドとツッコミのセタールの掛け合い。
    なぁ、セタール。僕と一緒に、ツッコミを2人にしないか?

    「読書をやめてください」

    いつの間にか、20分を過ぎていたらしい。
    僕は、まだ本の余韻を残したまま、窓の外を見た。

    ――空の色は今日も青い
  • 5 華 id:tOawYvG1

    2011-06-07(火) 16:17:11 [削除依頼]

    *

    あっ、いた。
    教室に入って早々、私の目に飛び込んできたのは藤明君の顔。
    藤明君は、加藤君と話している。

    何を話しているんだろう……?
    私も、会話に参加したい。

    「おはよ、ゆず!!」
    「おはよーっ」

    私の親友、朝野美海(アサノミミ)。
    みみは、かわいくて頭がいい。
    みみに惚れている男子は、きっと2ケタはいると思う。

    多分、藤明君もその一人……。

    私は、藤明君に恋をしている。
    でも、そのことは誰も知らない。
    知ってほしくない。どうせ、失恋する恋だから。
    藤明君は、みみが好きなんだから。
  • 6 華 id:tOawYvG1

    2011-06-07(火) 16:23:51 [削除依頼]

    「トウ、会いたかったぜっ!!」

    長野君の声がする。
    私はとっさに藤明君の方を見た。

    「キモイ」
    「はい、死んだぁ」

    相変わらず、藤明君のツッコミはカッコイイ。
    でも、藤明君とは女子とは話さないから、つっこまれたことはない。
    私も、男子とはあまり話すタイプではないから。

    「ゆず?? まーたハヤテ見てんのー?」
    「ち、違っ――」
    「はい、みんな席ついてっ!!」

    橋田さんの号令で、私の声はかき消された。
    みみはニヤニヤして、席に戻っていく。

    みみは、私が好きなのは長野君だと思っている。
    勘違いだけど。

    私は本を開いた。
    『空へ』。『海へ』という本の続編だ。
    キッドとセタールに会おうとした時だった。

    「ちょっと、藤明君。本、読んで」
    「すいません」

    藤明君……。
    実を言うと、私は藤明君と話したことがない。
    だから、こうやって声を聞くだけで、胸が満たされる。
  • 7 華 id:tOawYvG1

    2011-06-07(火) 16:41:36 [削除依頼]

    『海へ』の続編、『空へ』は空を旅するお話。
    雲に乗って、飛行機に乗って、鳥に乗って……。
    一度は夢見る冒険の話。

    「セタール!! 夕日だ……」
    「あぁ、もうすぐ星空が見えるな……」

    空……。
    私は現実世界の空を見上げた。

    ――空の色は今日も青い
  • 8 華 id:Gnxi04m/

    2011-06-08(水) 17:28:29 [削除依頼]

    +

    朝読書が終わり、僕は立ち上がる。
    朝読書が終わった後は、5分の休憩時間だ。
    そして、その時間に僕には必ず立ち寄るところがある。

    「トウ、行くのか?」
    「あぁ。もし遅れたら、先生に言っといてくれ」
    「了解」

    ハヤテと一言二言話し、僕は教室を出た。
    今日は、きっと遅れるだろう。
    だって……、先客アリなんだから。
  • 9 華 id:Gnxi04m/

    2011-06-08(水) 17:34:43 [削除依頼]

    *

    朝読書を終えると、藤明君はまたどこかへ行ってしまった。
    毎日毎日、どこへ行っているのだろう?

    「ねぇハヤテー」

    みみが、長野君に話しかけている。
    イヤな予感がして、私は聞き耳を立てた。

    「ゆずって、あんたのこと好きみたいよ」
    「はぁっ!? お前、何言っちゃってんの?」
    「だって、毎日あんたばっかり見てるもん。
     実はうれしいんじゃないの? ゆずってモテるし」
    「るせぇよ!!」

    やっぱり……。
    みみは、何でああいうことばかり言うのだろう?

    「そういえばさー、フミノどこ?」

    みみは、クラスで一人だけ、藤明君のことを『フミノ』という。
    少し、うらやましくもあったりする。
    2人は、幼馴染だから……。

    「えっ、もう行ったけど」
    「ありがとっ!!」

    長野君から聞くと、すぐに駆けだしていってしまった。
    何か、おかしい……。

    いけないと思いつつも、私は教室を飛び出していた。
    きっと、藤明君はみみに告白して、その返事を言いに行くんだ。

    でも、現実は、そう上手く歯車は回らない――
  • 10 夏風 id:yz.y2xh1

    2011-06-09(木) 19:06:26 [削除依頼]

    どうも♪
    華=夏風です^^
  • 11 夏風 id:yz.y2xh1

    2011-06-09(木) 19:47:28 [削除依頼]

    +

    屋上。
    多くの人々が使用するであろう、告白スポット。
    そして、ここで僕は……。

    「フミノ!!」

    扉を元気よく開け、笑顔で入ってくる女子。
    みみ。僕の幼馴染だ。

    「よかったーっ!! 待っててくれないかと思ったんだ」
    「何だよ話って」

    みみの言葉をスルーして、僕は本題に入る。

    「……見当、ついてるでしょ?」

    みみは、急に手を組み、頬を赤くして上目遣いにそう聞いてきた。
    昔、聞いたことがある。
    これは、みみが男を落とすために絶対やることなのだそうだ。
    そして、それに落とされた男が数多くいる。

    でも、僕にそれは通用しない。

    「見当、ついてるけど」
    「じゃあ、返事……して」

    『して』の所で首をかしげる。
    他の男なら、キュンとくるのだろうが、僕は来ない。
    幼馴染だからだ。

    「僕、好きな人いるから」

    みみの目が、大きく開く。

    「……誰?」
    「言わないけど」
    「……、ウチしかフミノには合わないと思うけど」

    さっきと全然、声の高さが違う。
    イラついているときの声だ。

    だが、あえて僕は反発をする。

    「そうか? 僕には、みみは合わないと思うけど」

    その時、風がさぁーと、僕らをなでて行った。
    みみの髪が、風にたなびく。

    「……諦めないから」

    そう言って、みみは右足を軸にクルッと回り、扉を荒々しく開け屋上を飛び出して行った。
    みみの走る音は、僕の耳にもずっと聞こえていた。
  • 12 夏風 id:yz.y2xh1

    2011-06-09(木) 19:55:59 [削除依頼]

    *

    みみは、屋上への階段を上っていく。
    そして、元気よく扉を開けた。

    「フミノ!!」

    みみの、嬉しそうな声が聞こえる。
    やっぱり、そこに藤明君はいるんだ……。

    私は、コッソリと扉に近寄り、藤明君とみみを見た。

    「よかったーっ!! 待っててくれないかと思ったんだ」

    『待っててくれないかと思った』

    それって……。

    「何だよ話って」

    “藤明君を呼び出したのは、みみ”
    “みみが、藤明君を呼び出した”

    どういう……こと?

    ここは、みみの表情も藤明君の表情も見える。
    みみは、急に手を組み、頬を赤くして上目遣いにした。

    「……見当、ついてるでしょ?」

    その姿を見て、ドキッとしない人はいないだろう。
    藤明君も、みみのことが好きなんだ。
    2人は、付き合うことになるだろう。

    だけど、藤明君の表情は変わらなかった。

    「見当、ついてるけど」
    「じゃあ、返事……して」

    『して』の所で首をかしげるみみは、とてもかわいかった。
    藤明君も、これにはキュンときただろう。

    だけど、またしても藤明君の表情は変わらなかった。

    「僕、好きな人いるから」

    その言葉を聞き、みみの目が大きく開く。
    それは私も同じだ。

    藤明君は、みみが好きなんじゃなかったの……??
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