退魔士の改革6コメント

1 槍 id:kcXtxOy/

2011-06-05(日) 14:06:01 [削除依頼]
俺は非力だ。

腕の中で眠る恋人を強く抱きしめ、前方にいる人間の形をした妖魔を鋭く睨みつけた。

「許さねぇ……」

もう既に動かなくなった恋人を静かに地面に置き、ゆっくりと立ち上がった。

右手の小指の指輪と、左手の親指の指輪を重なり合わせる。
一瞬にして、真っ白なマントを身に纏い、右手には、ギラリと光る剣が握られていた。

少年の名は、出雲大雅。

剣の切っ先を不敵な笑みを浮かべた妖魔に向けた。
  • 2 槍 id:kcXtxOy/

    2011-06-05(日) 14:21:28 [削除依頼]
    退魔士・出雲大雅は16歳にして異例の二級退魔士。
    その特徴は、ギラリと光る剣と白いマント。
    剣は、変幻自在に形を変えられ、伸縮も自由、切れ味も調節できる。
    その剣の最大の特徴は伸縮のスピードが早すぎること。

    そんな大雅の剣をも、通用しない相手、現在戦闘中のS級妖魔。
    退魔士の条令で、一級以上の退魔士ではないとS級以上の妖魔とは戦闘をしてはならない。
    というものがあったが、大雅の頭にはそんなことはもう関係なかった。
    愛する恋人が目の前で無惨に殺された。

    自分の非力さと、妖魔の憎たらしさで、いっぱいいっぱいだった。
    ただ、死に物狂いで戦っていた。

    だがS級妖魔も伊達ではない、確実に全ての攻撃を避け、確実に大雅へダメージを与えている。

    大雅の体はもうすでにボロボロで、マントも所々切れていた。
  • 3 槍 id:kcXtxOy/

    2011-06-05(日) 14:45:50 [削除依頼]
    遂に妖魔の攻撃で左腕も機能しなくなった。
    その瞬間、直接頭に語りかけるような声が聞こえてくる。

    『お前、死にたくないだろ? 俺と組まねぇか?』

    お前は誰だ。

    『妖魔とは違った悪魔みたいなもんだ。どうだ契約しようぜ』

    ふと大雅の頭の中に、悪魔との契約は絶対にしてはならない、という条令がよぎる。
    だが、それどころではない。

    俺に、なんか利点はあるのか?

    『絶大なる力を手にいれることができる』

    ほう、代わりに俺が差し出すものはなんだよ。

    『後から言う。まぁ悪いもんじゃないさ』

    絶体絶命だからな、しょうがねぇ、知らぬもんを信じてみるか。
    契約の仕方は?

    『こっちでしておく、了承を得たからな。我はこの退魔士・出雲大雅に一生、従うことを誓う』

    なに勝手に一生とか言ってんだよ!

    すると、目の前に真っ黒な色をした、目が赤く、尻尾が生え、歯がむき出しで、長髪の人の形をしたものが立っていた。

    それが悪魔だと分かるのに、少しの時間を使った。
  • 4 槍 id:kcXtxOy/

    2011-06-05(日) 21:44:29 [削除依頼]
    妖魔は悪魔などおかまいなしに大雅に襲い掛かってきようとしていた。

    悪魔は大雅の肩に触れる。
    その瞬間、大雅のマントと剣は真っ黒になり、マントは元の形に戻る。
    眼は赤く染められた。
    左腕も動くようになり、全身から力が湧き出ているようだった。

    「こりゃいける」

    そう言うと大雅は襲い掛かってきた妖魔に対抗した。
    左手で直接、妖魔の体を掴み取り、大雅の剣が鋭く妖魔の体に突き刺さる。
    剣が妖魔の体の中で、暴れだし、妖魔の内臓はズタズタになった。
    驚くほどのスピードで妖魔は地面にうつ伏せに倒れた。

    大雅は冷たい視線で、倒れた妖魔を見つめる。
    そんな自分に気付いた大雅は、自分の姿を見た。
    今までのことは、全て無意識にやっていた。
    ただの憎しみに任せ、己を好きなように解放させた。

    自分が怖い。

    初めてそう思った。

    大雅は気持ちを切り替え、恋人の沙耶のもとへむかった。
    しかし、沙耶は目を閉じたままで、なにも変わらなかった。

    「そいつは残念だったな」
    後ろで悪魔が、感情のこもっていないように言った。
  • 5 槍 id:lXQA1Sd.

    2011-06-06(月) 20:58:10 [削除依頼]
    その声を聞いて、大雅は悪魔のことを思い出す。
    「お前、なんなんだよ」
    大雅は悪魔のほうを見ず、沙耶のほうを向きながら言った。
    沙耶の死には、唐突すぎて、涙さえ出ることはなかった。
    「俺? 俺は悪魔だぞ。契約のことは食事さえ出してくれればいい」
    「あぁ」
    今は悪魔に感謝すべきなのか分からなかった。
    悪魔に命を救われた、でも今は沙耶のことで頭がいっぱいだった。

    すると、そこに一級退魔士の証、金の指輪をつけた退魔士が3人、やってきた。
    「S級妖魔の気を感知したので……」
    大雅の声が退魔士の声を掻き消した。
    「おせぇよ!」
    やっと、溢れるように涙が出てきた。
    視界が涙で見えなくなり、沙耶の顔が大雅の涙でぬれる。
    その様子をさすがの悪魔も黙ってみている。
  • 6 槍 id:W9ofTbW/

    2011-07-18(月) 11:48:54 [削除依頼]
    大雅達の拠点地である《退魔学校》に沙耶の亡骸を運び、急いで戻った。

    「これはどうしたのかね」
    医療専門の先生が驚いた顔で大雅を向いたが、大雅は下を向いたまま何も言わなかった。
    それを察知した一級退魔士の一人が、推測であるだろうが、説明してくれた。
    「まさかS級の妖魔がここら辺にいたとは……」
    「我々も予想外の出来事で、対処に遅れてしまいました」
    「それで、S級妖魔はどうなったのかね?」
    「我々が駆けつけた時にはこの少年が、もう退治しておりました」
    先生がまた再び、驚いた顔を見せた。

    大雅は、すぐさま校長のもとへと連れて行かれた。
    多分、S級妖魔をどうやって倒したのか、聞かれるのだろう。

    校長は、長く伸びた髭を触りながら大きい椅子に座っていた。
    「ご苦労様だった」
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