FIVE124コメント

1 hina id:iDXKPVi/

2011-05-22(日) 18:54:51 [削除依頼]

確かに聞こえた。


世界のどこかが崩れる音……
  • 105 hina id:LacsugE0

    2011-08-29(月) 21:49:45 [削除依頼]
     喫茶店を出て魔物の姿を確認したアリオルは、目は魔物を睨んだまま傍らのケイシャに話しかける。
    「見たことある魔物、いる?」
    「いや。どれも初対面、かな」
    「そう」
     住人たちはすっかり町の奥に避難したらしい。人気を消してしまった町の中心部で、アリオルは木製の杖を構えた。
    「あたしがあのミノタウロスをやっつけるわ」
    「え?一番強そうだけど……大丈夫か?」
    「平気。あたしをなめてもらっちゃ困るわよ。……そういうわけだから、あとの2匹はよろしく」
     言っておいて返事も待たず、アリオルは駆けだした。同時に魔物側も一気になだれ込んでくる。両者の距離が一気に詰まる。
  • 106 シュナイダー@羅刹 id:Hgt8Min1

    2011-08-29(月) 22:28:58 [削除依頼]
    (`∀´)ニヤニヤしながら読んでたで^^

    いつも読んでくれてるお礼も兼ねての
    コメ投下((ry

    更新頑張ってちょ( ` ・ω・´)ノシ
  • 107 hina id:LacsugE0

    2011-08-29(月) 23:07:31 [削除依頼]
    シュナイダー>
    えっ、そんな照れる///←
    お礼なんていいのに……(´`)
    でもなんか今興奮して血圧上がったよw((待

    ありがとう。すごく嬉しい^^
    頑張りますー♪
  • 108 hina id:M4xF/Op0

    2011-08-30(火) 22:54:21 [削除依頼]
     突如アリオルの杖が青い光をまとい、その長さが2倍になる。木製の見た目はそのままだが、アリオルの魔法で長槍と同等の強度を持ったそれを、アリオルは思いっきり横薙ぎにした。攻撃をよけた魔物が3匹散り散りになる。アリオルは半人半牛の魔物だけを追った。
     魔法で杖の長さを元に戻すと、次はその強度をダイヤモンド並みにして振り回す。アリオル独自のいわゆる棒術というやつである。まともに当たれば相当なダメージが期待できるが、重量は木製の杖そのままなので、扱う側としては何の苦労もいらない。
    「こんな綺麗な町を汚すなんて許せない!」
     言下に振り下ろした杖を、しかし相手に両の手でがっちり止められて、アリオルは身動きができなくなる。力勝負では勝てるはずもなく、そのまま杖ごと放り投げられた。
     急所はかばいつつ転がるように着地して、起き上がればすでに目の前に魔物の姿。蹄のついた、アリオルの何倍もの太さがある腕が横から飛んでくる。後ろに跳躍してかわしながら、さっき完全に元の木製の杖に戻ってしまった杖を標的に向け、叫んだ。
    「ブレイズボール!」
  • 109 hina id:M4xF/Op0

    2011-08-30(火) 22:56:16 [削除依頼]
     火球が半人半牛の魔物に真正面から直撃する。あまりにあっさりと戦闘が終わってしまったような気がして拍子抜けしていたら、魔物は何事もなかったかのように突進してきた。焦げ跡があるがダメージになっていないらしい。
     横跳びで突進をかわしつつ詠唱を開始。途端に暗雲がたちこめ、辺りは夜のように暗くなる。魔物と一定の距離を保ちながら、再び高らかに叫んだ。
    「ライトニングシャワー!!」
     無数の巨大な稲妻が魔物に向かって真っすぐに落ちる。目を射るような稲光が消えた後には、嘘のような晴天と、黒こげになった魔物の姿が残っていただけだった。
    「所詮、あたしの敵じゃな……」
     しかしアリオルは口をつぐんだ。魔物が体から煙を立ち上らせながらも、唸り声をあげたからである。さらにそれは大地を揺るがす咆哮に変わり、思わず身をすくませたアリオルに再び魔物は突進を仕掛けてきた。
     動くのが一歩遅れたアリオルは蹄の突きを右肩口に食らい、よろめいた。かすっただけなのに鈍器で殴られたかのような痛みが走る。肩を押さえながら距離をとって睨みつければ、真っ黒こげにされたせいで巨大な影のようになった魔物が、こちらを血走った赤い瞳で見つめていた。その一点のみの赤が背筋を凍らせる。
     再び、咆哮。アリオルは杖を強く握りしめる。
    「なんで効かないのよ……!」
     思わず言葉が漏れた。アリオルは自分が、少なからず恐怖を感じていることに気付いた。
  • 110 hina id:zchWum60

    2011-08-31(水) 15:01:46 [削除依頼]
     一方アリオルがミノタウロスに向かっていったのをちらりと確認したケイシャは、残り2匹を自分1人で相手するつもりで長剣を構えた。
     チェルノークとルシファが戦う術を身につけていたとして、1人は王子、もう1人は年端もいかぬ少女である。何かあっては一大事だし、おそらく自分の方が戦慣れしていると思った。
     幸い、豹の魔物も騎士の魔物も狙いをケイシャに定めてくれたようだった。息を揃えたように同時に襲いかかってきた。
     ケイシャは動きの素早い豹の方に向かっていった。間合いが瞬時に詰まり、腐臭が鼻を突く。駆け寄る勢いのまま剣を前方向に突き出した。その剣さばきの速いこと。よけきれず掠めた豹の腹のあたりから、緑色の粘っこい血液が飛び散る。よろけた豹の後ろから、騎士の魔物が青銅の剣を大きく振りかぶって現れる。ケイシャはがら空きの胴に剣を横薙ぎにする。騎士の身体が上下真っ二つになり、上半身が下半身から零れ落ちた。それを見届ける間もなく、先と変わらぬスピードで襲いかかってきた豹の牙がケイシャに食い込む前に、ケイシャは左へ半歩かわすとその腹部を刺し通した。苦悶の声を上げながら豹の魔物もどうと倒れこむ。
     しかし、殺気は消えない。剣を握りなおしたケイシャは、視界の端にありえない物を見て目を見開いた。
  • 111 hina id:zchWum60

    2011-08-31(水) 15:06:40 [削除依頼]
     真っ二つにしたはずの騎士の魔物は、消滅していなかった。上半身がひとりでに動き出し、下半身と合体する。そして何事もなかったかのように魔物は再び剣を構えた。
     さらに背後から別の殺気を感じて反射的に右方向へ跳躍してよければ、ケイシャがそれまでいた方向に飛びかかっていた豹の魔物がいる。腹部から致.死量以上の血を流しているはずなのに、その動きはいささかも鈍ってはいない。
     これまでの魔物とは違う……!
     冷や汗がこめかみを伝う。2匹の魔物が再び、最初と同じように襲いかかってきた。
     一瞬のうちにケイシャは思考を巡らせる。相手は不死身か?だとしたら、勝つにはどうすればいい?
  • 112 hina id:jQ/WHVq/

    2011-09-04(日) 10:39:47 [削除依頼]
     豹が飛びかかってきたのをかわし、今度はその首元を狙う。首を斬りおとせば、あるいは消滅するかもしれない。しかしケイシャの剣の切っ先は魔物の首を掠めることなく空を切る。続いて太刀を振るってきた騎士の魔物については、その右手首を狙った。前にアリオルと戦った幽霊騎士が、剣をなくすと戦意を喪失したのを思い出したからだ。今回はそんなに甘くはないだろうと思いはしたものの、物は試し、下方向から勢いよく剣を振り上げた。騎士の手から剣がすっぽ抜ける。騎士は一瞬動きを止めたが、しかしやはり予想は裏切られ、今度は素手で襲いかかってきた。ケイシャは後方へ跳んで距離をとる。
     着地点を狙ってきた豹の突進は、長剣を盾にして防いだ。間髪入れず左側からやってきた騎士の正拳突きを身を引いてかわす。2匹同時に薙ぎ払うように剣を振るったのは、攻撃よりは相手にそれをかわさせて距離をとるのが目的だった。その間に体勢を立て直し、まずは豹の魔物の方を片付けようと一気に踏み込む。
     しかし突如として間に騎士の魔物が割って入り、強烈な蹴りを放ってきた。剣を盾に防いだが、衝撃に耐えきれず後ろへ跳躍する。そこを騎士の魔物を飛び越えて豹の魔物が狙ってくる。ケイシャはとっさに防御の構えをとった。
     不意に、風切音がした。
     何かがケイシャの横を掠めるように飛んでいった。耳元で風が起こる。髪が揺れる。目の前の豹が絶叫した。その左眼に、矢が刺さっている。
     矢は、ぼうっと青い光をまとっていた。ケイシャは振り向こうとしたがしかし前方から迫りくる騎士の魔物を確認すると、迎え撃とうと駆け出す。騎士が斜め上からの拳を繰り出そうとする。ケイシャは長剣を後ろに引いてぎりぎりまで待つ。すれ違いざまに、ケイシャは剣を突き出した。
     その切っ先は、騎士の喉笛、兜とかたびらの間をしっかりと貫いていた。拳を振り上げたまま騎士の魔物は動かなくなる。刺し通された部分から黒い煙が立ち上り、鎧が瓦解していく。がらがらと音を立てながら、騎士の魔物は絶命した。
     豹の魔物の方はどうかと見れば、もうすっかり動かなくなっていた。矢は刺さったままだったが、青い光はもう消えていた。
  • 113 hina id:jQ/WHVq/

    2011-09-04(日) 10:41:21 [削除依頼]
     ケイシャは振り返ってチェルノークを見た。チェルノークは弓を片手ににこにこ笑って立っていた。ルシファがその隣に影のように控えている。
    「ありがとう」
    「どういたしまして」
     礼だけ交わしてケイシャはアリオルを探す。アリオルはまだ戦っていた。すっかり炭と化したような魔物の猛攻を必死にかわしている。明らかにアリオルの方が分が悪い。
     ケイシャは加勢しようと走り出した。

     アリオルはもはや防戦一方だった。素早くそれでいて力強い肉弾攻撃を、横へ後ろへ跳躍しつつかわす。時折反撃する魔法は十中八九命中するのだが、まるで効いていない。
     どうすればいい?どうすれば……。
     必死に思考を巡らすも良案が浮かばない。そのうち疲労と焦りからか足がもつれた。体勢を崩したアリオルを魔物は見逃してくれない。その鮮やかに赤い両目がぎらりと光る。
    「やば……っ」
     思わずアリオルは目を閉じた。目を閉じたら負けだと知ってはいたけれど、反射的に閉じてしまった。
     まぶたの裏に、弟ギンの顔が一瞬浮かんだ。
  • 114 hina id:.vn0Np6.

    2011-09-11(日) 22:38:51 [削除依頼]


     アリオルが体勢を崩したとき、ケイシャはまだアリオルからは離れた位置にいた。
     半人半牛の魔物がチャンスとばかりに太い片腕を振りかぶる。アリオルは動かない、否、動けない。
     やられる……!
     ケイシャの鼓動が早鐘を打つ。アリオルの後ろ姿に、もう忘れたはずの「彼女」の後ろ姿が重なる。「彼女」はアリオルの金髪とは違い、髪の色は銀色だったけれど、腰のあたりまで真っ直ぐに伸びたその長さは、よく考えたら同じだった。
     ケイシャはかぶりを振る。
     違う。今あそこにいるのは「彼女」じゃない。
     再び目を戻したときには、もう魔物の拳がアリオルの脳天を撃たんとしているところだった。
    「アリオル!!」
     ケイシャは叫んだ。叫ぶしか、できなかった。
  • 115 hina id:.vn0Np6.

    2011-09-11(日) 22:40:09 [削除依頼]


     アリオルは死を覚悟した。
     死ぬわけにはいかなかったけれど、どうしようもなかった。
     しかし……痛みは、いつまで経ってもやってこない。
     おそるおそる、アリオルは目を開けてみた。
     誰かが目の前に立っている。
     黒い、影のような人物が。
     その人物は、振り下ろされた魔物の腕を、しっかりと握って止めていた。腕の太さに倍近い差があるのに、魔物の動きは完全に止められていて微塵もぶれることがない。
     魔物の赤い瞳が、目の前の人物を見下ろしている。その瞳には殺気以外の何かが宿っていた。畏怖というのか、あるいは、慈愛……?まさか。
     目の前の人物の、黒いマントが風にはためく。そこから覗くズボンも靴も、全てが黒い。
    「やめろ」
     全身真っ黒のその人は言った。
    「殺される」
  • 116 hina id:.vn0Np6.

    2011-09-11(日) 23:13:57 [削除依頼]
     半人半牛の魔物の目が細められる。彼が手を放すと、魔物は静かにその腕をおろし、おもむろに背を向けて去っていった。軽い地響きが、遠のいていく。やがて魔物の姿が見えなくなるまで、アリオルは空いた口がふさがらないままそれを見送っていた。
     アリオルの背後で足音がする。振り返るとチェルノークが立っていた。その後ろにぴったりと寄り添うにルシファの姿もある。
    「やあ」
     チェルノークは快活な声で彼に言った。
    「また会ったね。『黒い残像』くん」
    「……え」
     アリオルは再度前方に向き直り、その真っ黒な後ろ姿を凝視した。彼が億劫そうに振り返る。
     アリオルは息をのんだ。
     フードつきのマントも、そこから覗くズボンも靴も、全てが黒かった。髪も黒く、長い前髪からわずかに覗く瞳の色も黒い。しかしそれとは対照的に肌は白く、顔も小さめだった。体の線もよく見れば細く、意外と華奢な体つきをしている。身長もそれほど高くない。アリオルよりは高いが、ケイシャより低いし、180センチを超す長身のチェルノークと比べればだいぶ差がある。
     子供……?
     アリオルは一瞬、そんな印象を持った。
  • 117 hina id:scG98KR.

    2011-09-12(月) 08:31:34 [削除依頼]
     しかしそれよりもまず、彼が噂の『黒い残像』なのか。アリオルは息を詰め、目の前の人物をまじまじと眺める。
    「今回も、あの魔物を助けたの?」
     チェルノークが話しかけた。喫茶店で話した時と変わらぬ口調だ。
    「この女の子を殺したら、次は僕らのうちの誰かが、かたき討ちにあの魔物を殺すだろうから……そういうこと?」
    「……」
     『黒い残像』は答えない。反応がないため、実は聞こえていないんじゃないかと疑ってしまうほどだ。
    「君についてはいろいろ噂が飛び交ってるみたいだよ」
     構わずチェルノークは続ける。
    「魔物に襲われていたところを君に助けられた人は何人もいるらしいし。ま、僕もその一人だけどね。でも君が、魔物と一緒に人間を襲ってるって噂もあるらしい。少数派だけど」
    「……」
    「で、真偽のほどはどうなわけ?君の目的は何?」
    「……」
    「あ、それとよければ君の名前も知りたいな」
    「……」
     チェルノークは返答を待つ。『黒い残像』は微動だにしない。答える気があるのかないのか、身を翻して去ろうともしなければ、口を開く気配もない。両者に挟まれて、アリオルは何となく落ち着かなかった。張りつめた空気に呼吸が乱される。
  • 118 hina id:sXzjy8C.

    2011-09-13(火) 11:23:44 [削除依頼]
     しばらく沈黙が場を支配して、ついにチェルノークの方が折れた。
    「答えたくないなら、答えたくないって言ってくれればいいんだけど」
    「……」
    「あ、そうだ。立ち話もなんだし、そろそろお昼時だよね。ご飯、一緒に食べない?」
     そのとき『黒い残像』がふっと目を伏せた。ここしばらくの間で彼に起きたわずかな変化の一つである。
    「といってもこの町、レストランってないからなぁ。さっき向こう側にラーメン屋さんを見つけたんだけど、それでよければ」
     チェルノークはそう言って再び『黒い残像』の反応を待った。彼はやはりしばらく黙っていたが、やがてぼそりと呟いた。
    「食べる」
    「え、ほんと?ラーメン、好き?」
    「嫌いじゃない」
    「やったぁ」
  • 119 hina id:QB5dkfv1

    2011-09-16(金) 20:52:40 [削除依頼]
     チェルノークがさも嬉しそうに指を鳴らす。そのままアリオルとケイシャも促して、我先にと村の奥の方へ歩いていった。ケイシャがアリオルの傍にやってきて、「大丈夫か?」と心配そうに尋ねる。アリオルは「まあ、なんとか」と頷き、回復魔法で全身の傷を治癒した。それから『黒い残像』の方に向き直る。
    「あのさ」
     『黒い残像』が目を上げる。真っ黒な瞳は暗闇ではなく、太陽の光を反射して一瞬だけだがきらめいた。なんとなく安心する。
    「どんな思惑であれ、助けてくれてありがとね」
    「……」
    「あたし、アリオル。一応よろしく」
    「……」
     もとより反応を期待していなかったので、アリオルは返事を待たず歩き出した。チェルノークとルシファの後ろに続いてアリオルとケイシャ、さらに離れて『黒い残像』が、ゆっくりと歩いていく。
     隠れていた町の人たちがおそるおそる出てきて、アリオルたちに感謝の言葉を述べたり握手を求めたりした。チェルノークは大物気取りで悠々と(さすが王族というべきか)、アリオルとケイシャは恐縮しながら、それらを適当にやり過ごした。
  • 120 hina id:F7uzFNS.

    2011-09-19(月) 10:32:32 [削除依頼]
    第4話 それぞれの事情

     プリメーラの町のラーメン屋にて。
     ここに向かう途中ですでに全員から食べたいものを聞き取っていたチェルノークは、椅子に座るなり言った。
    「味噌2つと塩1つ、あと醤油2つね。あ、それで味噌のうち1つは野菜たっぷりで麺硬め……え?麺の硬さ指定できないの?それは残念。あ、いいよいいよ、君の腕に任せる。……あ、サイドメニューもあるんだ。じゃあチャーハンを……2つ、うん、2つでいいよね?うん、2つ。よろしく」
     店内は縦長な造りで、カウンター席しかなかった。奥からチェルノーク、ルシファ、アリオル、ケイシャ、『黒い残像』と並んで座った。店長はスキンヘッドのいかついおっちゃんだったが、途中一瞬困った顔をしつつも終始笑顔で、性格は優しそうだった。
     ラーメンが出てくるのを待つ間、おしぼりで手を拭き水を飲む。アリオルはラーメンを食べるのが、実は人生でまだ2度目だった。1度目はフォルランドで、近所のお姉さんが夕食の席に誘ってくれた時にいただいた。しかし自分で作ったことはなく、弟のギンも大して好きではないので、食卓にはなかなか上がらなかったのである。
    「……さて」
     何の前置きか、チェルノークが言ったので、全員の視線が彼に集まる。
  • 121 hina id:pATEDvT/

    2011-09-27(火) 20:39:47 [削除依頼]
     チェルノークは体ごと横を向き、全員を見渡すようにした。「あ、『黒い残像』くんが遠い!」などと一人でオーバーリアクションに嘆いたが、誰も席を替わろうとはしなかった。肝心の本人は出された水を黙々と飲み、チェルノークの様子を気にするそぶりもない。
    「まあいいか。うーんと」
     チェルノークは狭い店内を見渡し、自分たち5人と店長しかいないことを確認して満足げに頷いた。
    「とりあえずここは僕のおごりだから、みんな遠慮なく食べてね。で、『黒い残像』くん、おごってもらうからには質問にはちゃんと答えてよ?」
     そこで初めて『黒い残像』の表情が曇る。眉根を寄せてチェルノークを見やった。しかしその反応をチェルノークはむしろ期待していたかのように微笑む。
     2人の間に挟まれているアリオルとケイシャとルシファはといえば、水を飲んだりおしぼりで手を拭いたりと、無関心を装いつつ傍観者に徹する構えだ。
     アリオルは横目で『黒い残像』の様子をうかがった。彼は不服そうな面をしつつも、席を立つ気配はない。そんなに昼食をおごってもらうのがうれしいのだろうか。あるいは、実はラーメンが大好物なのかもしれない。どちらにせよ『黒い残像』のイメージからはかけ離れている。おかしかったが笑うのはこらえた。
  • 122 hina id:pATEDvT/

    2011-09-27(火) 20:42:09 [削除依頼]
    「まずは、そうだなぁ。この先も『黒い残像』くん、って呼ぶのは面倒だから、名前から聞かせてもらおうかな」
     チェルノークが言った。尋問開始である。
    「……ファイ」
     『黒い残像』はまたしばらく黙るかと思われたが、意外とあっさり答えた。
    「ファイ……。それが君の名前?」
    「そうだ」
    「君、年はいくつ?ちなみに僕は24歳」
    「18」
    「ご両親は?僕は父親も母親も健在だけど」
    「知らない」
    「知らないの?」
    「ああ、知らない」
     そう答えるファイは、しかし大して悲しくもなさそうだった。それにしても思いのほかすらすらと答えるので、アリオルは驚いていた。隣でケイシャも目を見張っている。
     おごってもらうからには……ということなのだろうか。礼儀正しい子である。魔物を従わせる威圧的な雰囲気や、小柄な体格からは考えられないような力の強さを有する割には、案外年相応に純粋な少年なのかもしれない。
    「ふぅん、そっか。じゃあ、さっきアリオルを助けてくれたのはどうして?」
     チェルノークが何気ない口調で本題に話を持って行った。それまで淡々と受け答えしていたファイの動きが止まる。真一文字に結ばれた口はなかなか開かない。
  • 123 hina id:5tW9OAB/

    2011-10-01(土) 21:48:41 [削除依頼]
     そこに、「へいお待ち!」のかけ声とともに、店長がカウンターにラーメンを次々と置いていった。チェルノークが前に向き直り、小さく歓声を上げた。
    「あ、じゃあ一旦質問は中断。熱いうちに食べよー」
     チェルノークが言った。アリオルは知らぬ間に自分が息を詰めていたことに気が付いた。2人の会話に、第三者とはいえはらはらしていたらしい。目の前で湯気を立て、いいにおいを漂わせている塩ラーメンに、食欲が刺激されて思わず笑みがこぼれる。
    「おいしそう」
    「だな」
     呟きにケイシャがあいづちを打ってくれた。彼は味噌ラーメンを頼んだらしい。
     ふうふういいながら、しばらく5人とも無言で食べた。熱くて速くは食べられなかったが、ラーメンはとてもおいしかった。人生2度目のラーメンの味は、1度目とはまた違うおいしさだった。
     半分ほど食べた時点でチャーハンが運ばれてきた。小皿をもらってチェルノークとルシファ、アリオルとケイシャとファイで分けて食べることにする。
     アリオルが、小皿に盛り分けたチャーハンをファイに渡すとき。
    「ごめん」
     ファイが不意に言った。
  • 124 御坂紫音@さすらいの紫音さすらってるんだ id:l/wB0850

    2011-10-06(木) 16:51:46 [削除依頼]
    評価にやってまいりました御坂紫音です。
    長らくお待たせして、申し訳ありませんでした。スローペースという事で、お目を瞑っていただけると幸いです。

    それでは早速評価に映ります。

    文章力の成長は素晴らしい。
    全はんとこうはんを比べれば、誰もが成長したと認めれるほどの、変貌振りです。これからの成長にも、とても期待できます。
    ストーリーも展開の運び方もうまいなと思います。これからの進み方で、色々と変わってくるでしょう。
    ですが私が抱いた感想としては、おもしろいけど物足りない。この一点です。
    何が物足りないのか明確に言えといわれると厳しいものがあるのですが、光り輝く貴方にとっての武器になりえるものが、無い。それがキャラの個性であったり、ストーリーの深みであったり、描写であったり。
    様々ですが、何か一つでもご自身が誇れるものを磨き上げ、作品に盛り込んでいけば更に素晴らしい作品になると思います。
    最後になりましたが、少し推敲の甘さが時折目立ちます。
    この場面でこの表現が適切なのか。
    今一度、投稿前に確認しなおす事をオススメします

    評価:BA

    質問、中傷等ありましたら準備版にて。
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