「僕−君=0」20コメント

1 ごん id:P7eLJAh.

2011-05-22(日) 12:38:21 [削除依頼]
初めての小説投稿です

青春ものかな?
  • 2 ごん id:P7eLJAh.

    2011-05-22(日) 13:25:07 [削除依頼]

    「僕−君=0」

    ―1―
    目の前を、ずぶ濡れの猫が横切った。

    俺は、なんとなくその猫を目で追いかけた。
    不意に、猫の体躯が、ぐにゃりと歪んだ気が
    した。
    ちっちゃな赤いポストも、古びた煙草の看板
    も、全てが歪んで見える。

    ――どこか遠くで雷が落ちた音がした。

    ハッと、我に返って目をゴシゴシと擦る。
    どうやら、いつの間にか泣いていたらしい。
    猫は、普通の体躯だし、ポストも煙草の看板
    もまっすぐたっている。

    あーあ、バカみたいだ。
    まさかあんなことくらいで泣くなんて。
    だいたい、雨の中、傘も差さずに泣いてる男
    なんて気色悪い。
    気持ち悪いを通り越して、気色悪い。
    これが美少女とまではいかなくても、女の子
    だったりすれば、見目麗しいものだろうに。
    残念ながら、目につく範囲に、そんな女の子
    はいないし、今までお目にかかったことも無
    い。いつかは、お目にかかってみたいものだ
    がな。

    猫はいつの間にか、どっかへ行ってしまった
    らしい。
    ちょっとぐらい慰めてくれたっていいんじゃ
    ないか?
    いつも、ご飯をあげているのは俺だってのに
    まったく薄情な奴だ。

    俺は、軽くため息をついて、歩みを進めた。
    こんなところで、立ち止まっててもしょうが
    ない。
    風邪でも引いたら、厄介だ。

    「…クシュンッ」

    手遅れかもしれないが。
  • 3 睡蓮花 id:sCykfRe.

    2011-05-22(日) 13:33:18 [削除依頼]

    ヤバいっ!! 


    文才ありますね!!
    感激なんですけど!?

    睡蓮花です!!
    よろしくおねがいします!!
  • 4 ごん id:P7eLJAh.

    2011-05-22(日) 14:22:36 [削除依頼]
    睡蓮花さん

    いやーこんな文章褒めていただいて
    逆に申し訳ないですっ;
    気長に頑張りますので
    読んでやってください
  • 5 睡蓮花 id:sCykfRe.

    2011-05-22(日) 14:24:14 [削除依頼]

    読みます!!

    愛読しますね
  • 6 ごん id:P7eLJAh.

    2011-05-22(日) 15:22:39 [削除依頼]

    ―2―
    案の定、俺は風邪をひいてしまった。

    二日ぶりに学校に登校。
    教室に入ると、すでに十人ほどの生徒が登校
    していた。
    一人男子生徒がこちらに振り向いた。

    「はよー!!稜ー風邪かー!?」
    「おっはよー国見!!」
    「国見でも風邪ひくんだー」
    「お前、それチョー失礼!!」

    朝からテンション高いな。
    普段大して仲良くないクラスメートが声をか
    けてくる。
    女子も混じっていることにびっくりだ。
    なんとも、陽気な奴らだ。

    「んー…はよ。風邪だよ」

    適当にそう返しながら、自分の席に着く。
    あのノリは、見ている分には別に嫌いじゃな
    いが、自分からノッていこうとは思わない。
    彼らも、気を悪くした様子もなく、何事もな
    かったように中断されていた会話に戻ってい
    く。

    「よ、国見。例のブツはどうした?」

    野太い声が、後ろから聞こえてきた。
    後ろに振り向くと、いつの間にか登校してい
    たらしい垣本が、俺のカバンに手を伸ばして
    きている。
    出してやるまで待てないのかこいつは。
    俺は、垣本の手を押し返し、カバンの中をあ
    さる。
    垣本いわく、例のブツ(貸す約束だったマン
    ガの新刊だ)がなかなか見つからない。
    垣本が、また手を伸ばしてくるのをたたき落
    とす。
    あ、やっと出てきた。

    「ん。これ」
    「おおー。サンクス!!」
    「どうでもいいけど悪役みたいだったぞ」
    「え?何が?」
    「最初の”例のブツ”って言い方」

    垣本のゴツイ顔と声とそのセリフが合わさる
    とどうにも、”ヤ”のつくご職業の方を連想
    してしまう。

    「そうかー?」
    「ただでさえ、その顔なんだから」
    「諭すような口調でひどいこと言うな」
    「ん?まだ、ゴツイとも、ヤクザ顔とも、オ
    ヤジ顔ともいってないぞ?」
    「…泣いてもいいか?」
    「絵ヅラ的にキモイから却下」
    「くっ…」

    今日も垣本は、愉快な奴だ。
    垣本と俺は、保育園からの腐れ縁だ。
    別に幼馴染という訳ではないし、小中と同じ
    クラスになったことは一度もなかった。
    今年、この高校に入学して、初めて同じクラ
    スになったのだ。
    今では、このクラスで一番仲がいい友達だ。
  • 7 ごん id:P7eLJAh.

    2011-05-22(日) 16:15:01 [削除依頼]

    垣本は、ふてくされていたが、めんどくさい
    ので放っておいたら勝手に復活した。
    入学当初からいじっていたから、少々耐性が
    ついたらしい。
    いや、もしかしたら元々こういう性質だった
    のかもしれない。見た目はゴツイが、なかな
    かにいじりやすい奴だし。
    中学は、あまり話さなかったから、知らない
    けど。

    「風邪は、もういいのか?」
    「まあね」
    「お前でも、風邪ひくんだな」

    さっき、クラスメートの誰かが、同じような
    ことを言っていた気がする。
    そんなに健康なイメージなんだろうか。

    「なんつーか。お前も人間だったんだなー、
    と」

    違った。
    なんか、もっと根本的なところからいろいろ
    と否定された。

    「人間だ」
    「いや、なんとなくロボットミーなイメージ
    が…。あんま、表情変わんねーし」
    「表情筋があんまり発達しなかったんだよ」

    というか、垣本、今の俺には、それ禁句。
    イエローカード、二枚。
    次で退場か?
    スポーツは見ないからよくわからんが、たぶ
    んそれくらいな気がする。

    いいじゃないか、表情薄くたって。
    ポーカーフェイスな無口キャラって何気にモ
    テるんだぞ。
    …まあ、美形なのが条件なんだけど。
    無口って言うほど喋らないわけじゃないし。
    だからか、俺にモテ期が来ないのは。

    珍しく空気を読んだのか、垣本はそれ以上何
    も言ってこなかった。垣本のくせに。

    「ノート、見るか?休んでた分」
    「ごめん。俺、垣本文明の文字は解読できな
    いんだ」
    「そこまで下手じゃねーよ」
    「自覚が無いってのは、幸せだ」
    「あーもう!ぜってぇ見してやんねー!!」

    また、拗ねてしまった。
    しょうがない。

    「沼田ー。ノート見してー」
    『いいよー』

    俺は、教室の隅で本を読んでいた沼田に声を
    かけた。
    沼田は、すぐに持ってきて貸してくれた。
    これでよし。

    「国見…、俺は今ほどお前を鬼畜だと思った
    ことはない」
    「自分で貸さないって言ったんじゃん」
    「…そうだけども!!わかってよ!!」
    「え、やだ」
    「何で即答!?」
    「ノート写してるから、静かにしてて」
    「…もーやだ、ほんと嫌」

    ますますふてくされているが、どうせその内
    戻るだろう。
    うん、ほっとこ。

    俺は、ノート写しに集中した。
  • 8 ごん id:P7eLJAh.

    2011-05-22(日) 16:15:58 [削除依頼]


    ありがとうございます
  • 9 ごん id:P7eLJAh.

    2011-05-22(日) 21:37:30 [削除依頼]

    ―3―
    今日、五時間目の授業は数学だ。
    四十代後半に見える、三十二歳の先生が、何
    人かの生徒にからかわれている。
    いつものことだ。
    おかげで授業がスムーズに進まないが、誰も
    そんなこと気にしない。
    頭のいい連中は教科書を見て勝手に先へ進ん
    でいってるし、まじめで頭のあまり良くない
    連中は、先生なんか頼りにしないで近くの奴
    に聞いたりしている。

    不真面目なほどんどの連中は、好き勝手なこ
    とをしている。
    例えば、わざとらしく教科書をたてて携帯電
    話をいじってるあの子とか。
    あれで隠しているつもりなのだろうか。
    他には、堂々と、教科書の代わりに本を広げ
    ている沼田とか。
    あれは、隠す気も無いらしい。

    この時間は、騒がしい。
    でも嫌いじゃないのは、俺も不真面目だから
    だろう。

    「垣本」
    「何だ?」
    「ここわかんない」
    「…今、数学の時間だぞ?」

    俺が、後ろの席の垣本に見せたのは、英語の
    ノート。
    休み中に進んだところまで、教科書の英文を
    訳していたのだ。

    「教科書の説明見たほうがいい」
    「否定できない…」
    「まあ、見ても理解できないが」
    「おい!!」
    「苦手はそのままに。出来るところだけ伸ば
    しましょう」
    「そのままなのかよ!?」
    「そんなツッコミいらないから。早く教えろ
    よ。次の時間、たぶんあたるから」

    休んでいた間に、俺のところまで、和訳を言
    う順番がまわってきそうなところまで進んで
    いたのだ。
    垣本は、確かAコースの丸山先生の授業だか
    ら、確か俺のコースよりも進むのが早いはず
    だ。

    朝から俺にいじられまくりだった垣本は、や
    っと優位に立つことができたと思ったのか、
    調子に乗り始めた。

    「ふ、ふ、ふ…」
    「何それ」

    変な笑い方し始めたぞ。まんま、悪役の笑い
    方じゃないか。
    中身は善人なのに、どうして垣本はこうなん
    だろう。
    思いっきり見た目に引きづられているぞ。

    「くぅ…。そんなことを言っていいのかな?
    教えてやらないぞー?」

    ニヤニヤ悪役笑いの顔をひきつらせたまま、
    そんなことを言う垣本。

    「沼田ー。英語の和訳教えてー」
    『いいよー。どこ?』
    「12ページの10行目ー」

    朝と似たような展開。
    これぐらい、予想しようよ垣本。

    「いいもん、もういいもん。国見ちゃんなん
    て知らないもん」
    「お前の裏声ほど気持ち悪いものはないな」
    「うぅ国…―」
    『”私は、小さな女の子が母親に怒られてい
    るのを見た”』
    「沼田の馬鹿ーっ!!」

    柿沼の言葉を遮るような形で、和訳を教えて
    くれた沼田。
    俺的には、タイミングぴったりだ。
    垣本の顔が、もっと面白い顔になってきた。

    「ナイス沼田。ありがと」
    『どういたしまして』
    「さてと」

    というか、教室の左端と右端で大声で話して
    いても怒られないってどういうことだ。
    もっと頑張んなよ先生。

    俺は垣本を放置して、自分の机に向き直る。
    もちろんわざとだ。
    垣本が何か喚いているが無視した。
    しばらくすると、情けない、懇願の声が聞こ
    えてきた。

    「あのぅ、もう怒ってないんで、こっち向い
    てください。え、怒ってんの?え、マジで?
    ほんと、もう勘弁してください。これじゃ俺
    一人で喋ってる痛い人じゃん…」

    気強いんだか、気弱なんだか。
    ほんとに面白い奴だな。
    十分遊んだし、そろそろさすがにかわいそう
    なので、後ろに振り向こうとした。

    すると、

    「…クスッ」

    斜め後ろのほうから、噴き出すような笑いが
    きこえた。
  • 10 ごん id:p78xQBB/

    2011-05-23(月) 21:11:18 [削除依頼]

    後ろに振り向いた俺を見て、垣本は嬉しそう
    な顔をする。
    そんな垣本をスルーして、俺は、垣本の隣の
    席の女子に話しかけた。

    「紺野さん?今笑ったの」
    「あ、ごめんね…」
    「いや、別に。意外だっただけだから」
    「…そう?」

    紺野さんは、普段から少しおっとりした女子
    だ。ぽっちゃり気味な体型も、よりおっとり
    した印象を深くする。
    それで、授業中やらに賑やかな連中からいじ
    られることも多い。
    俺が垣本をいじる時のようなハードないじり
    ではなく、皆に可愛がられているといった感
    じだ。
    その際の反応が鈍かったり、見当違いのこと
    を言ったりと、なかなか面白い。

    そして、紺野さんは鈍い。
    いつもボーっとしていて、周りのことなんて
    全く見ていないようにも感じる。
    だから、俺らの会話に反応して笑ったのには
    驚いたのだ。

    「紺野さん!こいつひどいと思わね!?」

    俺に思いっきり無視された垣本が、紺野さん
    に救いを求め始めた。

    「え?そう…?」
    「そうなんだよ!!」
    「そ、そっか…?」
    「そう!!俺、マジかわいそう…」
    「…がんばってね?」
    「おう!!」

    紺野さん、よくわからないのか、全て疑問形
    になっている。そして、そんな些細なことは
    きにしない垣本。
    不思議な会話だ。
    このコンビも面白いな。
    種類が違うが、お互い天然だからだろうか。

    ただ、垣本の勢いにだんだん紺野さんが引き
    気味になっている。いや、あれはもう怯えて
    いる。

    俺は、だんだん紺野さんに迫っている垣本の
    ブレザーの襟をひっつかむと、グイッと力強
    く引き寄せた。
    垣本の首が、ゴキュッと変な音をたてた気も
    するが気にしない。些細なことだ。
    激しく咳き込む垣本に代わって、紺野さんに
    謝罪をする。

    「ごめんね、紺野さん。垣本が馬鹿で」
    「え、ううん。大丈夫」
    「いやいや、こんなゴツイ顔が迫ってきたら
    怖いよね?わかってる」
    「…うん」
    「う、裏切ったな紺野さん!!」

    もう垣本が復活しやがった。さっきまで、咳
    き込んでいたくせに。

    「怖がらせた、お前が悪い」
    「俺が何をした!?」
    「とりあえず、目と鼻と口と耳とまゆ毛の形
    を直してきたらどうだ?」
    「もうそれ俺の面影ないぞ」
    「あ、あとあごの形も」
    「別人だよ!?」

    垣本をいぞりながら、横目で紺野さんを見る
    と、クスクスと控えめにだが愉快そうに笑っ
    ていた。

    …ふむ、男のガサツな笑いとはえらい違いだ
    な。

    五時間目終了のチャイムが鳴る。
    数学の先生は、最後に次の授業までの課題を
    告げて、さっさと教室を出て行った。
    紺野さんは、自分の席を離れて友達の席へ。
    俺は、垣本の文句を聞き流しながら、なんと
    なくその姿を目で追った。

    少し、名残惜しい。
    紺野さんの笑い声はもう少し聞いていたいも
    のだった。
  • 11 ごん id:oa4GE9z1

    2011-05-24(火) 21:45:08 [削除依頼]

    ―4―
    六時間目の現代古典は、熟睡してしまった。
    ノートを開いた覚えもないので、教科担任が
    出席を確認し始めた段階で寝てしまったよう
    だ。

    誰かが俺を揺り起そうとしている。
    寝起きで重い頭をゆっくり持ち上げると、垣
    本の顔が、ドアップで視界に入った。
    嫌な目覚めだ。

    「イったいなー!!」
    「あ、ごめん…」

    どうやらあまりの気持ち悪さに、つい手が出
    てしまったようだ。
    今のは、俺が悪い。

    垣本は頬に手を当てて、涙目になりながら俺
    を睨んでいる。
    気持ち悪くてしかたないが、これは、俺の自
    業自得なのでいじらないでやろう。

    「せっかく、人が起こしてやったてのに」
    「うん。悪い」
    「たっく…。じゃあ、俺部活行くからな」
    「ん。じゃな」
    「また、明日ー」

    演劇部に所属している垣本は、とっとと教室
    を出ていった。
    その後ろ姿は、いつもより生き生きとしてい
    るように感じた。張り切っている様子が、よ
    く伝わってくる。垣本はわかりやすい。
    もうすぐ大会が近いそうだ。
    あの垣本が演劇部だなんて、入学当初はギャ
    グかなんかだと思っていたが、意外に真面目
    にやっているらしい。
    俺は、特にやりたい部活もなかったので帰宅
    部だ。

    ときどき、俺はやりたいことがある垣本がう
    らやましく思える。
    しかし、今の現状に関して不満はない。
    それなりに、満足している。

    中学時代は、部活が全てだった時期もある。
    その頃のことを思い出すと、少々気恥ずかし
    い。
    あの頃の俺は、きっと予想してなかっただろ
    うし、許せないだろう。
    放課後に、大した目的もなく、ふらふらして
    いる自分。

    しかし、今の俺はこの生活を気に入っている。
    人は、変わるのだ。

    席を立つ。ちょっとふらついた。寝起きだから
    だろう。
    教室には、俺と沼田しか残っていなかった。
    沼田は、本を読んでいる。

    「じゃあな、沼田」
    「うん。また明日」

    沼田は、ちらっと顔を上げ、そう言うと、また
    本に目線を戻した。
    俺は、教室を出た。
  • 12 ごん id:oa4GE9z1

    2011-05-24(火) 22:10:11 [削除依頼]

    俺は、駅から高校までの道のりを、歩いて通
    っている。
    もう一台新しく自転車を買うのももったいな
    いし、こっちに持ってくるのもめんどくさい
    からだ。

    徒歩で約30分。
    細い裏道やら、住宅街やらを通って近道をし
    てもそれくらいはかかる道のり。
    俺はその倍以上の時間をかけて駅へ向かう。
    別に、そんなに足が遅くもない俺がなぜこん
    なに下校に時間がかかるのかというと――、

    「飯くうか?」

    ミャーー

    「じゃあやるよ」

    ミャ、ミャミャー

    こんな道草をしているせいだ。
  • 13 ごん id:was0w350

    2011-05-25(水) 20:36:01 [削除依頼]

    俺は、カバンの中から昼のあまりのパンを取
    り出した。
    目の前で、今か今かと待ちわびているコッペ
    に差し出した。

    ミャ―

    「待て…、まだだぞ?」

    コッペは、おとなしくちょこんと座り待つ。
    その目の前に、俺はパンを置いた。
    コッペはまだ動かない。

    「よし、いいぞ」

    俺が、許可すると、待ってましたと言わんば
    かりにコッペはパンにかぶりついた。
    その様子を眺めながら、俺はコッペの横に座
    り込む。
    いつ見ても、その食べっぷりが可愛らしいの
    で、撫でたくてしょうがないのだが、我慢す
    る。今、食事の邪魔をしたら確実に引っ掻か
    れるだろう。

    コッペは、黒い毛並みに黄金に近い瞳を持つ
    猫だ。おそらく、ボンベイと呼ばれる種類な
    のだろうが、詳しくはわからない。
    放課後、このタバコ屋のあたりでよく遭遇す
    る。
    二か月ほど前から、こうやって時々ごはんや
    らおやつやらをあげている。
    最初、コッペは警戒気味だった。しかし、何
    度か挑戦するうちに、俺の与えるごはんを食
    べるようになり、今では、ここへ来れば、ご
    はんが貰えると覚えたのか毎日このくらいの
    時間に現れる。
    まあ、俺も来れない時があるのだが。
    別に特に問題はない。
    コッペは、”KOPPE”と刺繍してある首
    輪をつけている。
    野良猫ではなく、飼い猫なのだ。
    捨て猫という可能性も、無くはないが、俺は
    飼い猫だと思っている。
    毎日、あちこち散歩しているはずなのに(こ
    の前は、高校の校庭で見かけた)毛並みが綺
    麗に手入れされているからだ。
    だから、俺は、こいつと気軽に付き合える。

    パンを食べ終えたコッペが、ごろんと横にな
    る。
    これは、”遊んでいいよ”のサイン。
    俺は、コッペを抱き上げ、抱っこした。
    さすが、コッペは人慣れしていて、むやみに
    暴れたりしない。

    前足を掴んで、人形のようにパタパタと操っ
    てみる。
    ほんとに、ぬいぐるみみたいで可愛い。

    あー、ほんと和むなぁ。
  • 14 ごん id:7J6xRke1

    2011-05-26(木) 21:27:51 [削除依頼]

    急に俺の腕の中から、コッペが抜け出そうと
    する。

    「どうした?」

    あんまり暴れるので、しぶしぶ腕の力を緩め
    ると、コッペはするりと抜け出した。ちょっ
    とショック。
    そのまま、コッぺは俺が来た道から来る誰か
    の元へ走りよった。まだちょっと遠くてよく
    見えないが、俺の高校の制服を着ているのが
    わかる。
    その人物は、すり寄ってきたコッペを抱き上
    げるとそのままこっちまで近寄ってきた。
    紺野さんだった。

    紺野さんは、俺に気づかず、コッペを抱いた
    まま通り過ぎて行きそうになったので、俺は
    あわてて声をかけた。

    「紺野さん」
    「あれ?…国見くん」

    紺野さんは、立ち止まり、驚きの表情で俺を
    見た。

    「どうして、こんなところ座ってるの?」
    「その猫と、戯れていたんだ」

    俺は、俺に抱っこされていた時よりも、リラ
    ックスした様子で紺野さんに抱っこされてい
    るコッペを指差しながらそう言った。

    猫好きの俺としては、ちょっと悲しかった。
    まあ、あまり表情に出ていないし、相手は紺
    野さんだから気づいてはいないだろう。

    あ。
    コッペは雄だから、実は女の子好きだったん
    だろう。
    …そう思いたい。
  • 15 ごん id:t2oiHzQ.

    2011-05-27(金) 22:01:40 [削除依頼]

    コッペは、本当に俺より紺野さんのほうが好
    きなようだ。
    紺野さんが地面に下ろしてやっても、そばを
    離れようとせず、紺野さんの足にすり寄って
    いる。
    俺のほうなんか見向きもしない。

    「紺野さん、コッペと仲いいの?」
    「コ…ッペ?」
    「その猫の名前」
    「コッペちゃんて言うんだ」
    「あれ?知らなかったんだ?」
  • 16 ごん id:t2oiHzQ.

    2011-05-27(金) 22:20:15 [削除依頼]

    コッペは、本当に俺より紺野さんのほうが好
    きなようだ。
    紺野さんが地面に下ろしてやっても、そばを
    離れようとせず、紺野さんの足にすり寄って
    いる。
    俺のほうなんか見向きもしない。

    「紺野さん、コッペと仲いいの?」
    「コ…ッペ?」
    「その猫の名前」
    「コッペちゃんて言うんだ」
    「あれ?知らなかったんだ?」

    どうやら紺野さんはコッペと初対面らしい。
    それなのにこの差は何だ。

    ミャ、ミャ―

    「可愛いねーこの子」
    「…可愛いな」

    俺と初対面の時はツンツンだったコッペ。
    紺野さんには一発で、デレデレだ。
    もともと紺野さんが動物に好かれるタイプだ
    ったのか。
    それとも、本当に、コッペが女好きだったの
    か。
    …俺が、動物になかなか好かれないタイプだ
    という可能性も捨てきれないのが悲しいとこ
    ろだ。
  • 17 ごん id:t2oiHzQ.

    2011-05-27(金) 22:21:04 [削除依頼]
    >15は無し
  • 18 ごん id:i5CwhfV.

    2011-05-28(土) 22:39:50 [削除依頼]

    紺野さんは、最近になってこの道を通るように
    なったらしい。道理で今まであったことが無い
    わけだ。

    「国見くん、猫好きだったんだね」
    「うん。かなり好き」
    「私も」

    紺野さんは、クラスメートとはいえ、男子のす
    ぐ横に座り込むのはちょっと抵抗があるのか、
    少し離れたところに腰かけた。俺は、タバコ屋
    の前の階段とも呼べないような段差に腰かけ
    ているので、段差より下に座ることにしたらし
    い。
    コッペは、俗に言う”お姉さん座り”をした紺
    野さんの膝の上に乗り、長い尻尾と体を丸める
    ようにして眠り始めた。
    俺のところには一度も自分で乗ってこなかった
    くせに。生意気な猫だ。
    でも、寝顔が可愛いから許してしまう。
    思わず、つぶやくように『可愛いなぁ…』と言
    った。そのつぶやきは、紺野さんに聞こえてし
    まったらしい。

    「意外だなぁ…」
    「そう?」
    「だって、あんまりそういうタイプには見えな
    いよ?」
    「そういうタイプ?」
    「こう…動物とフレンドリーなタイプ?猫を見
    て『かーわーいー!!』とか思わない人だと」

    本当に俺は、人間味が薄い印象があるらしい。

    前にも似たようなことがあった気がする。
    その時は、『女子に興味なしの朴念仁』と言わ
    れた。
    全く不思議だ。俺も人間だし、思春期の男だ。
    女の子に興味が無いわけないだろう。
    何かを見て可愛いと思うこともあるし、猫が寝
    転ぶ姿には和むし、女の子が寝転んでくれれば
    もっと嬉しい。最後のは、畳の上でという少々
    マニアックな条件も入れたいところだ。もちろ
    ん和服。浴衣もいいが、着物も捨てがたい。ブ
    ラよりさらしのが好きだな。
    まあ、俺の女の子に関する趣味趣向はどうでも
    いいか。

    とにかく、俺は、もっと表情筋やら、態度を改
    める必要がありそうだ。
    このまま、『国見くんは恋に興味無さそう』と
    か思われて、悪気なく女の子がますます遠ざか
    ってしまうのはごめんだ。
    実際、遠ざかって行った女の子がいたし。

    紺野さんは、しばらくコッペを愛でると、俺に
    コッペをゆだね帰って行った。
    最後に、『また会いたいな、コッペちゃん』と
    言うから、ここに来れば、会えることを教える
    と凄く嬉しそうな顔をした。

    紺野さんが、帰った後、俺はしばらくその場に
    いた。
    俺もそろそろ帰りたかったが、俺の膝の上にゆ
    だねられたコッペがまだ寝ている。起こすのは
    ちょっと忍びない。

    紺野さんは、またここへコッペに会いに来るの
    だろうか。
    今あった出来事を思い返してみると、少しこそ
    ばゆい。
    中学生にもなって、秘密基地を創っていたのが
    好きな子にばれてしまった時の心境か。
    はたまた、いい年こいて、あこがれのアイドル
    の写真を持っていたことがばれた中年オヤジの
    心境か。

    秘密にしていたわけでもないが、特に親しくし
    ていない相手に、予期しないタイミングでプラ
    イベートが明かされるのは、照れくさい。
    でも、嫌な気が全くしないのは、紺野さんが、
    人のプライベートにずかずか入り込むタイプで
    はないからだろう。
    『会いたい』とは言ったけど、そう毎日は、現
    れないような気がするのだ。
    そういう遠慮ができる子だ。

    コッペは、目覚めると、さっさと俺の膝の上か
    ら下りてどこかに行ってしまった。
    やはりこの落差が悲しいが、諦めることにする。
    俺も、さっさとその場を立ち去った。
  • 19 ごん id:1okJvs./

    2011-05-29(日) 13:01:18 [削除依頼]

    ―5―
    特に意識していなかったが、俺には変な癖が
    あるらしい。
    それを指摘したのは、垣本だった。

    「国見って、時々自分のこと”僕”って言う
    よな」
    「え?マジ?」

    ずっと俺で通していたつもりだったから全然
    気がつかなかった。
    ”僕”っていうキャラでもないし、改めて言
    われて思い返してみると全然思い当たらない
    から不思議だ。記憶も掘り返すときに、自然
    と”僕”から”俺”に直してしまっているの
    だろう。
  • 20 ☆ごん☆ id:HtHD9JA.

    2011-06-05(日) 01:58:58 [削除依頼]


    今日は、クラスマッチなのだ。
    今、俺と垣本は沼田を無理やり巻き込んで、
    教室でUNOをしている。
    校庭や体育館側は、とても騒々しいのだが、
    校舎のほうは何人分の足音か聞き取れるくら
    いに静かだ。
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