斜陽の西風  :影月5コメント

1 影月 玄冬 id:c2qogba0

2011-05-21(土) 23:02:12 [削除依頼]


 陽の墜ちる地平より風は吹き

 死神は甘い言ノ葉で綴った詩を唄った

 光が闇に蝕まれし日に生まれた少年は

 唯、世界に絶望を視るという...
 
 
  • 2 影月 玄冬 id:c2qogba0

    2011-05-21(土) 23:26:24 [削除依頼]


    「……ぃ………ス…、……エリスッ! 起きろってば!」
     丘には爽やかで心地良い風が吹いている。オレンジ色の光につつまれ、少年は一本杉の根本に、丸まって眠っていた。きらきらと、夕日に遊ばれて微かに輝く髪はオオカミのような銀色で、時折もそりと体を動かすその様子は、仔狼の居眠りのような微笑ましさを見る者に感じさせた。
    「エーリースっ! 起きろーッ!」
     さて、先ほどから居眠り少年を起こそうと頑張っているこの少年。エリスと居眠り少年のものらしき愛称を連呼したりしているところから、二人は近しい関係であることが伺えた。
    「……ふぁ…………」
     止む気配の無い呼びかけに眠りから覚めたのか、エリスは眠そうに目を擦り、ゆったりと緩慢な動作で欠伸をした。どうにも眠そうで、このままでは再び寝てしまいそうだ。それを見たもうひとりの少年はエリスの頬を指で摘み、彼の覚醒を促した。
    「エ・リ・ス? 起きろよ? 眠んな、今までの俺の努力が無駄になる」
    「ふへ……ふぇと、なんふぇほんはほほふふぉに?」
    「うわ、面白ぇ顔になってる。しかも言ってる意味分かんねえ」
     くくっ、と少年は笑いをこぼす。頬を摘まれてエリスは上手く喋れないのだ。
  • 3 影月 玄冬 id:c2qogba0

    2011-05-21(土) 23:50:29 [削除依頼]
    「…………」
    「わーったよ、睨むの止めれ。離してやっから」
     寝起きのエリスに睨まれ、少年はパッとその手を離す。少し赤くなっている頬にエリスは手を当て、痛そうにさすった。しかめられた眉の下、幼いながらに凛々しい瞳は青く、恨めしげな視線を少年に向けている。その様子が可愛らしく思えた少年は口元を綻ばせ、エリスの銀糸の髪をわしゃわしゃと掻き回した。少年の腕はエリスのそれより逞しく、エリスが退かそうとしても、なかなか退かせない。エリスの唇が「セト」と動き、そうしてやっと少年は手を離した。
    「セト」
    「ん、なんだ、エリス」
    「視界から消え失せろ」
    「……無理っつったら」
    「……義父さんに言う」
    「……それは止めて欲しいなー、エリス」
     寝起きに立て続けに不快なことをされたエリスの機嫌は絶不調だった。セトと呼ばれた少年は"義父さん"なる人物に言いつけられた後のことを考え、青冷め、エリスに撤回を求めたが、
    「一度決めたらやり通す主義なんで」
     と一蹴された。
     
  • 4 影月玄冬 id:d0k6dbT/

    2011-05-22(日) 14:13:46 [削除依頼]
    「……それで、何の用?」
     苛立ちがこもった声でエリスは言った。
    「あー、そうそう」
     セトは何かをごまかすかのようにぽりぽり頬を掻いた。どうやら、ここに来た本来の目的を忘れていたらしい。セトはエリスに手を差しだし、立つのを促した。エリスも抵抗する素振りを見せず、大人しくその手をとって立ち上がる。セトはそのまま一本杉の丘を下る道に入り、歩きながら口を開いた。
    「……兄さんが帰ってきた。休みがやっと取れたんだと」
    「エイチさんが?」
    「ああ。だから、今日は御馳走なんだ。おじさんとエリスも招くって、母さん張り切ってた」
    「エイチさんって、王都で兵士やってたよね」
    「兵士っつーか軍師な。作戦とか練る人。所属は最弱の第七隊だけど」
    「最弱って言っても軍には変わりないし。別名百舌鳥部隊だっけ? 最近功績積んでるらしいじゃん」
    「ま、兄さんのお陰じゃない? 今までは力が劣ってたんじゃなくて、その力を上手く活かして纏めるひとが居なかったんだ、ていう話よ。俺の自慢の兄さんだからな、当たり前さ」
     二人の手は繋がれたまま、道を下って村へと降りていく。
  • 5 影月玄冬 id:d0k6dbT/

    2011-05-22(日) 21:24:27 [削除依頼]
    - - - -
     エリスの本名は、エリュシスという。セトも同じくティグリセティオンという名を持っているのだが、それはさておきエリスは自分の愛称が女の名になっているのが気に入っていなかった。だから、男らしい名には憧れるのだ。それこそ、幼稚な嫉妬をしてしまう程に。

     リエイティシオンは、久しぶりに会う幼なじみ兼弟の親友であるエリュシスを前に、困った表情を見せていた。
     今は夜、エリスとその養父カルシスを招いて開いたリエイティシオンの帰還を祝う晩餐会の途中だ。大きな四角い机には、端からセトの父ティグリスと母アルテミシア、セトとカルシス、エイチとエリスがそれぞれ向かい合って座っていた。いつもより豪華な食卓を前に、しかしエリスの機嫌が何故か悪いのである。エイチを除いた3人はさして気にしてはいなかったが、彼一人、具合でも悪いのかと心配していた。
    「エリー? どこか具合わるいのかい?」
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