目を開けたら、そこには6コメント

＞＞ｷｬｽﾄ


▽高城集takagisyuu


　　

?１


　　　　　長い夢から目が覚めて、


　　　

　　　俺は長い、長い夢を見ていた。
　　　はっきり見えない黒い世界の中で、


　　　俺は誰かをずっと探していた、


　　　途中で声がした。
　　　だけどその声は誰だか分からない。


　　　聞いたことのある声、ただそれだけだ。


　―――――――.......


　　　「集？！集っ！！」


　　　ん......なんだ、
　　　どこだ、ここは。


　　　なにか大切な夢から目が覚め、俺は
　　　白いベットの上に寝ていた。


　　　俺の目の中には白い天井が映る。


　　　ああ、ここは
　　　病院なのだろうか、
　　　.........なぜ？


　　

　　　さっきからひたすらなにかを
　　　叫んでいる奴がいる。


　　　なんだろうか、
　　　なにを叫んでいるのだろうか....


　　　しゅう？
　　　誰かの名前だろうか....


　　　泣きすする男女の声と、近くにいる、
　　　俺と同じくらいの女がベットを
　　　取り囲む。


　　　俺の知っている人だろうか....？


　　　「集....？帰ったらなに食べたい？
　　　　お母さん、何でも作ってあげる
　　　　からね？　」


　　　.............は？
　　　なにいってんだよ、おばさん。


　　　俺に向かって、しゅうって...
　　　しかもお母さんって...


　　　「お父さんと今度釣り行こう、
　　　　この前行けなかったからな。　」


　　　なんなんだよこいつら....
　　　お父さんやらお母さんやら....
　　　人違いすんじゃねーよ。
　　　しかも、自分の息子なんだろ？


　　　「あの、俺...ちがいますから...」


　　　「.....え？なに....が？」


　　　「あー、だからー。
　　　　俺しゅうじゃないです。」


　　　ポカーンとした顔で見やがって。


　　　誰なんだよほんとに。


　　　「え？！じゃあ名前は？！」


　　　「....名前は....なまっ....」


　　　名前........俺の、
　　　俺の名前......なんだっけ？


　　　っておいおいおい、嘘だろ？
　　　自分の名前なんで忘れてんだよ？


　　　ふざけんな自分。


　　　あっ、あれか？
　　　さっきの夢の続きか？


　　　もうわかったから起こしてくれよ....


　　　目を思いっきり閉じてあけてもそこは、
　　　さっきと変わらなかった。


　　　


　


　　

　　　「ほらっ！やっぱ集じゃない...っ！！」


　

　　　...........集じゃ、ない。
　　　だけど俺の名前が分からない。


　　　俺は一体なんなんだ？　
　　　俺はなにをしたんだ？


　　　深く、深く、
　　　奥の記憶をひっぱりだそうとした。


　　　けれど、


　　　「痛っ！！」


　　　ものすごい頭痛が俺を襲う。


　　　痛いどころじゃない、
　　　なんともいえない。


　　　ｽﾞｷﾝｽﾞｷﾝ


　　　頭の中に心臓でもあるかのように
　　　痛みがリズムよく襲う。


　　　なんなんだこれは？！